和田大臣政務官記者会見の概要

(平成22年12月24日(金)15時00分~15時17分 場所:金融庁会見室)

【政務官より発言】

この会見室にお伺いするのは初めてでございますが、政務官の和田でございます。よろしくお願いいたします。

今日は、今月7日に公表させていただきました、「金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプランの中間案」から先の、最終的なアクションプランを本日公表しましたので、それについて色々中間案からの主な変更点がございますので、それをご説明したいというふうに思います。

今日、偶然にこういう機会をいただきましたので、皆様方にご報告させて頂ければと思いますが、我が金融庁から12月13日から1週間ぐらい、中国で体のご不自由方々のスポーツの祭典(広州2010アジアパラ競技大会)に(日本代表コーチ・役員として)いってきた職員がおりまして、この度、帰国して、先ほど、報告も兼ねて電話で話をしたばかりでございますが、その職員から、本当にこういったところで働きながら、ほかの分野の人たちと一緒に日本という存在をきっちりとスポーツの場でアピールできたということを喜びをもって語ってくれましたので、私は、その職員当人の士気も当然ながらですが、それを支えてくれた金融庁職員全体に感謝する意味を込めまして、実はここにバッジがついておりますが、これがいわゆるパラリンピックの記章でございます。

私たちは金融行政に邁進しなければならないのですが、やはりそういったところで、金融分野とは全然関係ないことではありますけれども、国民の皆様方と意識を共有するということを一つの出来事を通じて実践できたかなというふうに思っています。

そういったことで、本当にこういった時間をお借りして大変恐縮ですけれども、やはり公務員の世界は、こういった外に出て行って皆様方の感覚をしっかりと、掴み取って帰ってくるということは、ひいては金融行政の、国民の皆様方に本当に役立つ姿に変えていく大きな要素ではないかというふうに思っております。このお時間をおかりしまして、少しご報告させていただきました。

それでは、中間案公表時以降の経緯についてご説明したいと思います。

中間案公表以降、17日に開示制度ワーキンググループにおいて報告書を取りまとめ、そして22日に総合的な取引所検討チームにおいて中間整理を取りまとめた等の検討の進捗がございました。

また、15日に実施した関係団体への公開ヒアリングでは、10団体の皆様と2時間余りに亘りまして意見交換が行われました。この意見交換の場では、アクションプランの各施策の早期実施を求める声が多くございまして、おおむねご賛同いただけたものと考えています。

他方、利用者保護にも配慮すべきであるといったご意見も頂戴しましたので、このような点にもしっかりと留意して取り組んでまいりたいと、このように思った次第です。

そのほか、7日から17日まで実施しましたパブリックコメントでは、約60の団体や個人の皆様から約180件のご意見を受け付けた次第です。

これらを踏まえまして、今般、最終的なアクションプランとして改めて公表させていただくということになりました。

さて、主な変更点は6つほどございます。

第1に、総合的な取引所創設を促す制度・施策については、22日に取りまとめました中間整理において方向性が一致しなかった論点について、与党や民間事業者、これには取引所、清算機関、そして業者、投資家などを含みますが、こういった方々との意見交換を行う場を設けて、1月中を目途に方針を固めるよう努めることといたしました。

第2に、外国企業等による英文開示の範囲拡大等の制度整備については、開示制度ワーキンググループが17日に取りまとめた報告書の内容を踏まえて、関連法案の早急な国会提出を図るほか、平成23年度中を目途に関連政府令の改正を行うこととしました。

第3に、企業における会計実務充実のための会計専門家の活用等の促進については、公認会計士試験、資格制度の見直しについて検討し、関連法案の早急な国会提出を図ることといたしました。

第4に、市場関係者からのご意見を踏まえ、公募増資に関連した不公正な取引への対応を新たにアクションプランに盛り込みました。

本件は、上場会社が公募増資により資金調達を行う場合において、不公正な取引が行われているというようなご指摘もありました点を踏まえて、(1)自主規制機関に対して、増資公表前における上場会社や引受証券会社等の情報管理の徹底について検討を要請するとともに、(2)増資公表後、新株の発行価格決定までの間に、空売りを行った上で新株を取得する取引を禁止することとしたものでございます。

第5に、金融機関による中堅・中小企業のアジア地域等への進出支援体制の整備・強化につきまして、21日に自見大臣から公表させていただいたとおり、具体的な施策を取りまとめましたので、その内容を盛り込みました。

第6に、税制改正関係の施策については、中間案では要望中といたしておりましたが、16日に税制改正大綱がまとめられましたので、その内容を反映した形に表現しています。

以上がアクションプラン中間案からの主な変更点でございます。

今後のスケジュールとして、金融庁といたしましては、今後、アクションプランに盛り込まれた各種施策について迅速に取り組んでまいります。

ご関係の皆様方におかれましてもお力添えをいただきたく、よろしくお願いいたします。以上です。

【質疑応答】

問)

先ほどお話のありました追加部分の中で、公募増資に関連する部分の対応ですけれども、増資公表後、新株の発行価格決定までの間の空売りを禁止するというふうにありますけれども、この価格決定までの期間について、短縮するか否かとか、そういったことについてはどのように取り扱われているんでしょうか。

答)

細かい点については、事務方から答えます。

事務方)

公募増資公表後の話でございますが、まさしく増資公表後、新株の発行価格決定までの間に空売りを行った上で、新株を取得する取引を禁止するということでございます。

問)

特に2週間の期間については動かさないということですか。

事務方)

増資公表後、期間を何日という限定はせず、増資公表後、価格決定までの間ということでございます。

問)

すべてということですね。

事務方)

はい。

問)

要するに、期間自体の短縮は求めずに、その期間全部に網をかけることで対応すると、そういうことでいいのでしょうか。

事務方)

そういうことです。あと、参考までにでございますが、我が国において、よく日本では2週間の増資に当たっての待機期間があるというような指摘がなされているわけでございますが、我が国においては、増資公表後、売買成立までに2週間必要だということになっております。

ただ、これは金融商品取引法ではなくて、会社法上必要とされているものでございまして、金商法上は、上場企業については、発行登録制度を活用する場合そういう期間はゼロ日、最初に登録するときには7日間必要な訳ですが、そういう金商法の観点からすると、別に米国など諸外国と比べて長いということはないということでございます。

問)

分かりました。

それと、増資前の対応、空売りですとか、そういったものへの対応というのはどういう整理なのでしょうか。

事務方)

本文の7ページに書いておりますけれども、公表前の情報の扱いにつきまして、第2段落目のマル1ですが、自主規制機関に対し、増資公表前における上場会社や引受証券会社等の情報管理の徹底について検討を要請するということとしております。ここでいいます自主規制機関と申しますのは、東京証券取引所等の取引所、それから日本証券業協会を念頭に置いているところでございます。

問)

具体策については、日証協ですとか、そういったところが決めるという取り扱いですか。

事務方)

当然のことながら、インサイダー規制という規制がかかっているわけですが、情報の取り扱いについて一層の管理を徹底するよう要請するということでございます。

問)

今の部分なのですが、23年度上半期目途で関連府政令の改正を行って、23年度の下期ぐらいには実際に適用が始まるのだと、こういうふうに理解してよろしいのでしょうか。

事務方)

適用も含めて23年度上半期を念頭に実施まで含めて考えているところです。

問)

実施まで含めてですか。

事務方)

今のところそうです。ただ、目途でございますので、多少のずれはあるかもしれないということです。

問)

このアクションプランとの関連がどれくらいあるか分からないのですけれども、総合取引所の関連で、一昨日、中間整理という形で公表がされまして、ここに書いてある1月中にというところを含めて、他省との見解というか、目指す方向の違いというのがあったかと思うのですが、この点についてはどういうふうに理解したらよろしいのでしょうか。

答)

私自身も、3省の副大臣、政務官で集まって随分議論をした点でございますが、まず皆様方にきちんとご理解いただきたいのは、総合的な取引所創設を促すということについて3省とも意見が違っているわけではなくて、そこは一致しているということは、まずもって確認しておきたい点でございます。

そこから先、ではどのように進めていくのかという点につきましては、今、1月というお話を出されましたので、それに寄せてご説明すると以下のようになるかと思います。

私ども金融庁としては、つまり東副大臣、和田のラインとしましては、元々、年内にこれらを取りまとめるというミッションを背負っているという認識が強くございまして、年内に3省庁できちんと見解を取りまとめたいということを常に申し上げてきたつもりなのです。そのために、ヒアリングにおいても、考えられる色々な方々からのご意見をしっかりとお聞きしたつもりでもあるということなのです。

しかし、他省で、その議論をやってみたけれども、さらにもう少しお話を聞いてみたいというようなことがあったがために、そこは歩み寄って、年末年始を挟みますので、さすがにそこまで民間の方々に出てきていただくわけにはいきませんから、1月が始まったら早急にもう一度そういった方々に集まっていただいてご意見を聞こうということです。しかし、そこは、それを聞いたら、さすがにすぐに取りまとめましょうということが、我々の意見として1月中と申し上げているわけでございます。

他省からそのとき議論として出ていたのは、そういう一回きりで纏まるかどうか分からない、とりあえず出来るだけ可及的速やかにということではあるのだけれども、そこまで決意を持っては語れないということがあったということでございまして、本質的な中身部分について、この1月ということで全く異議があるということではなかったように記憶しています。

問)

ありがとうございました。

それともう一点なのですけれども、農水省の提案の中に、金融商品取引監視委員会というものがあって、これが仮に現実のものになれば、金融庁の分割といいますか、機能の再編というふうなことになってしまうかと思うのですけれども、こういった要望が農水省から出ていることについてはどういうふうに思っていらっしゃるでしょうか。

答)

農水省が議論の場にこういったものを出されたのには一つの背景がございます。私たち、政権を維持しているのは与党であるからですが、民主党の2009年の総選挙の際につくったインデックスというものにそういった表現が盛り込まれていることを一つの背景として提案されたわけです。

しかし、我々は全員民主党ですけれども、その民主党としても、その当時、その表現を盛り込んだ時の経済情勢と、現時点での経済情勢はかなり違いがあるのではなかろうかというふうに思っていまして、その辺は、私ども、その当時の提案としては理解していたのですが、現下の経済情勢全般を踏まえて考えると、金融行政は少なくとも金融庁が担っておりますので、そちらがしっかりとさせて頂くということになろうかというふうに思っているわけです。

問)

一応、筒井(農水省)副大臣も民主党でいらっしゃって、そのあたりの認識というのが共有されていらっしゃるのでしょうか。

答)

その議論の場で、民主党がその当時、そういった表現を作ったところから今に至るまで、どのような情勢の変化があったかということを議論するほどの時間はございませんでした。

問)

会計士試験の部分なのですけれども、これは早急な国会提出となっているのですが、これは来年の通常国会というわけではないのですか。

答)

来年から始まる通常国会の中でというふうに考えています。

問)

そこで出すということですね。

答)

はい。

では、ありがとうございました。またよろしくお願いいたします。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る