III -4 銀行法等に係る事務処理

III -4-1 営業拠点等の取扱い

  • (1)職員の派出の取扱い

    派出とは、特定の施設内の一定の場所に職員を派遣し、当該施設主体のために、金銭出納事務を行うことをいい、官公庁、公営住宅団地、総合病院等の公共性のある施設内において公金等の金銭出納事務に限った事務(注)を行っている限りにおいて、銀行法上の営業所としない扱いとすることができる。

    • (注) やむを得ず預金等の取次行為と同様の行為を行う場合は、必要最小限度にとどめ、次の点に留意すること。

      • マル1取次を行う対象とする者は、当該派出先の施設に所属する職員及び当該派出先の施設をもっぱら利用する者に限られているか。

      • マル2取次行為を行うに当たっては、金銭や通帳の預り証等を発行するなど事故防止について万全を期しているか。

  • (2)内部事務等を行う施設の取扱い

    顧客先に出向いて営業活動を行う職員の内部事務等を行うために設置された施設などは、当該施設において恒常的に対顧客業務を行わない限りにおいて、銀行法上の営業所としない扱いとすることができる。この場合、利用者が当該施設を営業所と誤認しないような措置を講じているか留意するものとする。

  • (3)営業所の設置、位置変更の取扱いについて

    法第8条第1項に規定する営業所の位置変更の届出は、所在地の変更を伴う位置変更について提出すればよいことに留意する。また、既存の営業所の一部の部門(例えば、銀行の固有業務を一部行っているディーリングルームや法人営業部門など)を分離し、新たに当該部門の業務を営む営業所を(所在地の変更を伴って)設置しようとする場合には、同項に規定する営業所の設置の届出が必要であることに留意する。

III -4-2 「その他の付随業務」等の取扱い

銀行が法第10条第2項の業務(同項各号に掲げる業務を除く。以下「その他の付随業務」という。)等を行う際には、以下の観点から十分な対応を検証し、態勢整備を図っているか。

  • (1)銀行が、取引先企業に対して行うコンサルティング業務、ビジネスマッチング業務、人材紹介業務、M&Aに関する業務、事務受託業務については、取引先企業に対する経営相談・支援機能の強化の観点から、固有業務と切り離してこれらの業務を行う場合も「その他の付随業務」に該当する。

    • (注1) これらの業務には、銀行が取引先企業に対し株式公開等に向けたアドバイスを行い、又は引受金融商品取引業者に対し株式公開等が可能な取引先企業を紹介する業務も含まれる。また、勧誘行為をせず単に顧客を金融商品取引業者に対し紹介する業務も「その他の付随業務」に含まれる。

    • (注2) 個人の財産形成に関する相談に応ずる業務も「その他の付随業務」に含まれる。

    • (注3)人材紹介業務については、職業安定法に基づく許可が必要であることに留意すること。また、その実施に当たっては、取引上の優越的地位を不当に利用することがないよう留意すること。

      なお、実施に当たっては、顧客保護や法令等遵守の観点から、以下の点について態勢整備が図られている必要があることに留意すること。

    • マル1優越的地位の濫用として独占禁止法上問題となる行為の発生防止等法令等の厳正な遵守に向けた態勢整備が行われているか。

      • (注) 個人の財産形成に関する相談に応ずる業務等の実施に当たっては、金融商品取引法に規定する投資助言業務に該当しない等の厳正な遵守に向けた態勢整備が行われているか。

    • マル2コンサルティング業務等により提供される商品やサービスの内容、対価等契約内容が書面等により明示されているか。

    • マル3付随業務に関連した顧客の情報管理について、目的外使用も含め具体的な取扱い基準が定められ、それらの行員等に対する周知徹底について検証態勢が整備されているか( II -3-2-3-2参照)。

  • (2)銀行が、従来から実施することを認められてきた電子マネー(オフラインデビットにおける電子カードを含む。)の発行に係る業務については、発行見合資金の管理等、利用者保護に十分配慮した対応となっていることについて、銀行自らが十分挙証できるよう態勢整備を図る必要があることに留意すること。

  • (3)資金の貸付け等と同様の経済的効果を有する取引

    • マル1銀行が、顧客又はその関係者の宗教を考慮して、商品(取引所において売買することができる物品をいう。以下この(3)において同じ。)の売買(取引所外での売買を含む。以下この(3)において同じ。)、物件の賃貸借又は顧客の営む事業に係る権利の取得が含まれる資金の貸付けと同様の経済的効果を有する取引(銀行法第10条第1項第2号又は同条第2項第18号に該当するものを含む。)を行う場合には、以下の点に留意する。

      • イ.当該取引に商品の売買が含まれる場合には、当該商品の売買代金に係る信用リスク以外に商品に関するリスク(当該取引に必要となる商品の売買ができないリスクを含む。以下この(3)において同じ。)を銀行が負担していないこと。

      • ロ.当該取引に物件の賃貸が含まれる場合(銀行が当該物件の取得前に取得の対価を支払う場合を含む。)には、当該物件の賃料に係る信用リスク以外に当該物件に関するリスクを銀行が負担していないこと。また、銀行法第10条第2項第18号の要件を満たすこと、銀行が物件の建設等、銀行が行うことのできない業務を行うこととなっていないこと。

      • ハ.当該取引に顧客の行う事業に係る権利の取得が含まれる場合には、当該権利から生じるキャッシュフローが資金の貸付けと同様であり、当該事業に関するリスクのうち当該顧客に対する信用リスクと評価できないものを銀行が負担していないこと。

    • マル2銀行が、顧客又はその関係者の宗教を考慮して、商品の売買が含まれる預金の受入れと同様の経済的効果を有する取引(銀行法第10条第1項第1号に該当するものを含む。)を行う場合には、商品に関するリスクを負担していないことに留意する。

    • マル3銀行が、顧客又はその関係者の宗教を考慮して、商品の売買が含まれる金利・通貨スワップ取引と同様の経済的効果を有する取引を行う場合には、商品に関するリスクを負担していないことに留意する。

  • (4)上記(1)から(3)に定められている業務以外の業務(余剰能力の有効活用を目的として行う業務を含む。)が、「その他の付随業務」の範疇にあるかどうかの判断に当たっては、法第12条において他業が禁止されていることに十分留意し、以下のような観点を総合的に考慮した取扱いとなっているか。

    • マル1当該業務が法第10条第1項各号及び第2項各号に掲げる業務に準ずるか。

    • マル2当該業務の規模が、その業務が付随する固有業務の規模に比して過大なものとなっていないか。

  • マル3 当該業務について、銀行業務との機能的な親近性やリスクの同質性が認められるか。

    • マル4銀行が固有業務を遂行する中で正当に生じた余剰能力の活用に資するか。

       

      (注1)銀行グループの効率的かつ合理的な業務運営を目的として、事業用不動産の賃貸等をグループ会社に対して行う場合(当該グループ会社自身が使用する場合に限る。)は、「その他の付随業務」の範疇にあると考えられる。
      なお、上記目的に照らし、銀行グループの範囲は、主要行等向けの総合的な監督指針Ⅴ‐1(2)に規定する範囲に限定され、銀行持株会社又は銀行の企業会計上の連結基準と整合的な取扱いとなっている必要があることに留意すること。

      (注2)上記規定を総合的に考慮するに当たり、例えば、グループ会社以外の者に対し事業用不動産の賃貸等を行わざるを得なくなった場合においては、以下のような要件が満たされていることについて、銀行自らが十分挙証できるよう態勢整備を図る必要があることに留意すること。なお、国や地方自治体のほか、地域のニーズや実情等を踏まえ公共的な役割を有していると考えられる主体からの要請に伴い賃貸等を行う場合は、地方創生や中心市街地活性化の観点から、二.については要請内容等を踏まえて判断しても差し支えない。
      イ.行内的に業務としての積極的な推進態勢がとられていないこと
      ロ.全行的な規模での実施や特定の管理業者との間における組織的な実施が行われていないこと
      ハ. 当該不動産に対する経費支出が必要最低限の改装や修繕程度にとどまること。ただし、公的な再開発事業や地方自治体等からの要請に伴う建替え及び新設等の場合においては、必要最低限の経費支出に
          とどまっていること
      ニ. 賃貸等の規模が、当該不動産を利用して行われる固有業務の規模に比較して過大なものとなっていないこと
      ※ 賃貸等の規模については、賃料収入、経費支出及び賃貸面積等を総合的に勘案して判断する(一の項目の状況のみをもって機械的に判断する必要はないものとする。)

      (注3)リストラにより、事業用不動産であったものが業務の用に供されなくなったことに伴い、短期の売却等処分が困難なことから、将来の売却等を想定して一時的に賃貸等を行わざるを得なくなった場合においては、上記(注2)を準用すること(ただし、ハ.のただし書及びニ.を除く。)。
         なお、国や地方自治体のほか、地域のニーズや実情等を踏まえ公共的な役割を有していると考えられる主体からの要請に伴い賃貸等を行う場合は、地方創生や中心市街地活性化の観点から、賃貸等の期間については、要請内容等を踏まえて判断しても差し支えない。

       (注4)「その他の付随業務」の範疇にあるかどうかを判断する際の参考として、一般的な法令解釈に係る書面照会手続及びノーアクションレター制度における回答を参照すること(金融庁HP「法令解釈に係る照会手続(ノーアクションレター制度ほか)」)。
       

III-4-3 預金等の取扱い

次の預金及び定期積金(外貨建てのものを除く。以下「預金等」という。)について、その商品の定義等に係る照会があった場合には、一般法令や他商品の取扱いを定めた法令等での取扱いを勘案し、以下の点に留意のうえ対応するものとする。

なお、銀行における預金等の商品設計については、元本保証を前提に、原則として自由であり各行の経営判断によりこれを行うことができる点に留意するものとする。

III -4-3-1 譲渡性預金(外国で発行されるものを除く。)

譲渡性預金とは、「払戻しについて期限の定めがある預金で、譲渡禁止特約のないもの」をいう。なお、こうした商品性にかんがみ以下のような取扱いについて留意する必要がある。

  • (1)期限前解約及び買取償却

    預入日に指定された満期日前の解約及び発行銀行による買取償却は行われていないか。

  • (2)流通取扱

    銀行は、自己の発行した譲渡性預金の売買を行っていないか。また、銀行は、譲渡性預金発行の媒介等を行っていないか。

  • (3)個別の相対発行ではなく、均一の条件で不特定多数の者に対して、公募といった形で大量に発行されている場合はないか。

III -4-3-2 期間の定めのある預金

以下の点に留意した取扱いとなっているか。

  • (1)定期預金の預入期間については、「準備預金制度に関する法律」に定める区分(払出しについて期限の定めのある預金で、その払戻期限が当該預金を締結した日から起算して1か月を経過した日以後に到来するもの)との整合性が保たれているか。

  • (2)変動金利定期預金(預入時に満期日までの利率が確定しない定期預金)の利率は、基準となる指標及び一定の利率設定方法により設定し、この指標及び利率設定方法を満期日まで継続しているか。

III -4-3-3 期間の定めのない預金

以下の点に留意した取扱いとなっているか。

  • (1)据置期間のある預金

    据置期間が1か月以上の場合又は据置期間内と据置期間後とで利率設定があらかじめ異なる場合には、据置期間内の取扱いについて、上記 III -4-3-2(2)と同様の取扱いがなされているか。

  • (2)貯蓄預金

    貯蓄預金とは「受入対象を個人のみとする預金で、預入・払出について、給与、公的及び私的年金(財形年金を含む。)、株式・信託の配当金及び投資信託の分配金等並びに保護預りの国債及び社債等の元利金に係る自動振込入金、同時に百件以上の取扱いを行う総合振込入金、公共料金の払込み等契約に基づく継続的な自動振替及び振込出金、総合口座の取扱いが行われていないもの」をいい、当局は、本預金を官民トータルバランスの確保の際の基準となるべきベンチマークとするものとする。

III -4-4 大口信用供与

  • マル1法第13条第1項ただし書(同条第2項で準用する場合を含む。以下マル2において同じ。)の承認の申請があったときは、信用供与等限度額を超えることについて信用の供与等を受けている者が合併をし、又は事業を譲り受けたことその他施行令及び施行規則で定めるやむを得ない理由があるかどうかを審査するものとする。

    当該承認に当たっては、原則として、今後の信用供与等限度額超過の解消に向けた計画を求めるとともに、決算期末(中間期末を含む。)までに解消される場合を除き、定期的に計画の履行状況を報告させるものとする。

  • マル2施行規則第14条の3第2項第3号の「その他金融庁長官が適当と認めるやむを得ない理由があること。」(施行規則第14条の6第1項で準用する場合を含む。)に該当し、法第13条第1項ただし書の承認をする場合としては、例えば、下記イからハまでに掲げるような事情があり、銀行の健全性に支障が生じないと認められる場合が考えられる。

    • イ.法令上の義務に基づき信用の供与等をする場合

    • ロ.金融グループの組織再編やビジネスモデルの再構築等を実施する場合であって、当該組織再編等の目的の実現のために必要であると認められる場合

    • ハ.ストレス状況下において、銀行間市場の安定性を確保することを目的として、コールローンその他の銀行間エクスポージャーについて信用供与等限度額を超過する必要性が認められる場合

    上記イ又はロに該当し、法第13条第1項ただし書の承認をする場合には、上記①にかかわらず、信用供与等限度額超過の解消に向けた計画を求めないものとする。

III -4-5 アームズ・レングス・ルール

アームズ・レングス・ルールは、銀行と銀行グループ内会社等との利益相反取引を通じて銀行経営の健全性が損なわれること等を防止するための規定であり、以下の点に留意する。

  • (1) 銀行グループ内において業務委託、その他の取引を行う場合に、アームズ・レングス・ルールに違反していないかにつき銀行において適切に検証が行われているか。

    例えば、以下のような取引又は行為は、銀行法施行規則第14条の10又は第14条の11に規定する取引又は行為に該当する可能性があることから、かかる取引又は行為を行うにあたっては、法第13条の2ただし書及び施行規則第14条の8に基づく内閣総理大臣の承認の必要性を検討しているか。

    • マル1賃料・手数料減免

    • マル2金利減免、金利支払猶予

    • マル3債権放棄、DES(デット・エクイティ・スワップ)

    • マル4特定関係者が債務超過である場合等における増資等の引受け

  • (2) 法第13条の2ただし書の承認の申請があったときは、当該申請をした銀行が法第13条の2各号に掲げる取引又は行為をすることについて施行規則第14条の8第1項各号に掲げるやむを得ない理由があるかどうか又は同条第2項に掲げる要件に該当するかどうかを審査するが、その際留意すべき項目は以下のとおり。

    • マル1施行規則第14条の8第1項第3号に該当する場合

      • イ.特定関係者が経営危機に陥り再建支援の必要な状況か。

      • ロ.特定関係者が再建支援を受けるに当たり、十分な自助努力及び経営責任の明確化が図られているか。

      • ハ.特定関係者を整理・清算した場合に比べ、当該取引又は行為を行うことに経済的合理性があるか。

      • ニ.債権放棄や金銭贈与の場合には、経営改善計画の期間中の支援による損失見込額の全額について、当該計画開始前に償却・引当を行うこととしているか。

      なお、承認に当たっては、特定関係者の経営改善計画の確実な履行を図る観点から、必要に応じ、以下の条件を付すものとする。

    • a.特定関係者の経営改善計画を確実に履行させるよう図ること

    • b.特定関係者の経営改善計画の履行状況、履行状況に対する銀行の認識、当該特定関係者に対する銀行の経営管理方針について、経営改善計画の期間中、事業年度毎に報告すること

    • c.特定関係者の経営改善計画の履行状況が不十分である場合、特定関係者の業務の見直しを含め、経営改善計画の抜本的な見直しを検討すること

    • マル2施行規則第14条の8第1項第4号に該当する場合

      銀行が特定関係者との間で当該取引又は行為を行わなければ今後より大きな損失を被ることになることが社会通念上明らかであるか。

III -4-6 自己資本比率の計算

自己資本比率の計算の正確性等については、告示及びバーゼル合意の趣旨を十分に踏まえ、以下の点に留意してチェックするものとする。

  • (注) 以下の留意点は、国内基準行について記載している。国際統一基準行については、主要行等向けの総合的な監督指針( III-2-1-1-2-2(3)を除く。)を参照すること。

III -4-6-1 「意図的に保有している他の金融機関等の対象資本調達手段」控除のためのチェック

自己資本比率向上のために資本調達手段を相互に意図的に保有することは、銀行及び他の金融機関等の双方において実体の伴わない資本が計上されることとなり、金融システムを脆弱なものにすることから、バーゼル合意を踏まえ、告示第29条第4項等において、銀行及び他の金融機関等との間で相互に自己資本を向上させるため、意図的に当該他の金融機関等の資本調達手段を保有していると認められ、かつ、当該他の金融機関等が意図的に当該銀行又は連結子法人等の資本調達手段を保有していると認められる場合(以下「意図的持合」という。)、銀行又は連結子法人等が保有する資本調達手段については、その全額をコア資本に係る調整項目として自己資本から控除しなければならないものとしている。この意図的持合については、具体的に以下のような場合を指すこととするが、これに該当しているか。

  • (1)銀行又は連結子法人等が、平成9年7月31日以降、我が国の預金取扱金融機関との間で、相互に資本増強に協力することを主たる目的の一つとして互いに資本調達手段を保有することを約し、これに従い、銀行又は連結子法人等が当該預金取扱金融機関の資本調達手段を保有し、かつ、当該預金取扱金融機関も銀行又は連結子法人等の資本調達手段を保有している場合

  • (2)銀行又は連結子法人等が、平成24年12月12日以降、他の金融機関等(我が国の預金取扱金融機関を除く。)との間で、相互に資本増強に協力することを主たる目的の一つとして互いに資本調達手段を保有することを約し、これに従い、銀行又は連結子法人等が当該他の金融機関等の資本調達手段を保有し、かつ、当該他の金融機関等が銀行又は連結子法人等の資本調達手段を保有している場合

    • したがって、他の金融機関等が当該銀行又は連結子法人等の資本調達手段を保有していない場合は、意図的持合には該当しない。また、他の金融機関等との間で相互に資本調達手段を保有している場合であっても、相互に資本増強に協力することを主たる目的の一つとして資本調達手段を互いに保有することが約されているとは認められない場合(例えば、専ら純投資目的等により流通市場等において他の金融機関等の資本調達手段を取得及び保有している場合や、専ら業務提携を行う目的で他の金融機関等の資本調達手段を相互に保有している場合、また、証券子会社がマーケット・メイキング等の目的で一時的に他の金融機関等の資本調達手段を保有している場合等)は、意図的持合には該当しない。

    • ※※なお、上記の意図的に保有している他の金融機関等の対象資本調達手段の額のほか、同じくコア資本に係る調整項目の額に含まれる少数出資金融機関等の対象普通株式等の額、特定項目に係る10パーセント基準超過額又は特定項目に係る15パーセント基準超過額の算出に際して、時価評価差額がその他有価証券評価差額金としてその他の包括利益累計額又は評価・換算差額等の項目として計上される対象普通株式等又は対象資本調達手段については、時価による評価替えを行わない場合の額をもってその額とする必要があることに留意する。

III -4-6-2 他の金融機関等向け出資の調整項目に係る除外事由該当性のチェック

告示第29条第9項第1号又は第41条第8項第1号では、「その存続が極めて困難であると認められる者の救済又は処理のための資金の援助を行うことを目的として保有することとなった資本調達手段」については、当該資本調達手段の保有に係る特殊事情その他の事情を勘案して金融庁長官が承認した場合に限り、当該承認において認められた期間、コア資本に係る調整項目の額を算出する場合における当該算出の対象から除外することができるものとされている。

この場合において、その存続が極めて困難であると認められるか否かは、銀行による資本調達手段の取得時点における当該資本調達手段の発行者の財政状態及び経営成績並びに経済情勢及び経営環境その他の事情を総合的に勘案して判断するものとし、例えば、業務若しくは財産の状況に照らし預金等の払戻しを停止するおそれのある金融機関又は預金等の払戻しを停止した金融機関が含まれる。

  • (注)したがって、かかる資本調達手段には、預金保険法第65条に規定する適格性の認定等に係る同法第59条第2項に規定する合併等の際に保有することとなった同条第1項に規定する救済金融機関及び救済銀行持株会社等の資本調達手段も含まれる。

また、上記取扱いが認められる期間は、上記事情に加えて、当該資本調達手段の発行者の規模及び金融システムにおける重要性、当該資本調達手段の種類及び保有額、銀行の資本の状況、銀行が当該資本調達手段を保有することとなった経緯及び目的その他の背景事情並びに当該発行者と銀行の関係その他の当該資本調達手段の保有に係る事情を総合的に勘案して、当該資本調達手段を取得した日から10年を基本としつつ、期間の伸長・縮減や、激変緩和措置としての対象範囲の段階的縮減を認めるなど、金融システムの安定に鑑み合理的に必要と認められる期間を定めるものとする。

なお、銀行による承認の申請については、原則として、対象となる資本調達手段の取得と同時又はその直後までに行うことが求められる。

さらに、告示第29条第9項第2号又は第41条第8項第2号では、「その存続が極めて困難となるおそれがあると認められる者に対する資金の援助その他の経営改善のための支援を行うことを目的として保有することとなった資本調達手段」についても、当該資本調達手段の保有に係る特殊事情その他の事情を勘案して金融庁長官が承認した場合に限り、当該承認において認められた期間、コア資本に係る調整項目の額を算出する場合における当該算出の対象から除外することができるものとされている。

この場合において、その存続が極めて困難となるおそれがあると認められるか否かは、銀行による資本調達手段の取得時点における当該資本調達手段の発行者の財政状態及び経営成績並びに経済情勢及び経営環境のみならず、地域における金融仲介機能を継続的に発揮するための持続可能な収益性及び将来にわたる健全性その他の事情を総合的に勘案して判断するものとし、例えば、銀行による資本調達手段の取得時点では最低所要自己資本比率を下回る状況にはないものの、合理的な事業計画に基づく収益の推移等を踏まえると、資金の援助その他の経営改善のための支援を受けられなければ、将来の一定期間に、最低所要自己資本比率を下回るおそれが見込まれる金融機関等が含まれる。

また、上記取扱いが認められる期間は、上記事情に加えて、当該資本調達手段の発行者の規模及び金融システムにおける重要性、当該資本調達手段の種類及び保有額、銀行の資本の状況、銀行が当該資本調達手段を保有することとなった経緯及び目的その他の背景事情、銀行が当該資本調達手段を一時的に保有することに伴う発行者の経営改善の見込み及びそれによる地域における金融仲介機能の継続的な発揮への寄与の状況並びに当該発行者と銀行の関係その他の当該資本調達手段の保有に係る事情を総合的に勘案して、当該資本調達手段を取得した日から5年を基本としつつ、期間の伸長・縮減や、激変緩和措置としての対象範囲の段階的縮減を認めるなど、金融システムの安定に鑑み合理的に必要と認められる期間を定めるものとする。

なお、銀行による承認の申請については、原則として、対象となる資本調達手段の取得と同時又はその直後までに行うことが求められる。

III -4-6-3 適格旧非累積的永久優先株又は適格旧資本調達手段としての適格性

平成26年3月30日までに発行した資本調達手段のうち、普通株式又は強制転換条項付優先株式に該当しないものについて、自己資本比率規制上の適格旧非累積的永久優先株又は適格旧資本調達手段として適格であるかについて確認するためには、平成25年11月22日付で金融庁により公表された『「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」の一部改正』による改正前の本監督指針のIII-4-6-3にも留意して行うものとする。

III -4-6-4 自己資本比率算定に際してのチェック

  • (1)資産の流動化が行われた場合には、法形式上の譲渡に該当する場合であっても、リスクの移転が譲受者に完全に行われている等、実質的な譲渡が行われているか。

  • (2)決算期を跨いで又は決算期日に保有債権に銀行保証等を付している場合には、原則、当該債権の残存期間と保証等の期間が等しい場合にのみリスク・アセットの削減効果を認める。ただし、保証等の残存期間が債権の残存期間を下回っている場合であっても、当該保証等につき正当な理由があり、かつ、継続して信用リスクの削減が期待できる場合(注)にはリスク・アセットの削減効果を認める。

    なお、一時的な自己資本比率の引上げを行う意図をもって保証契約等を結んでいる場合は、上記にかかわらずリスク・アセットの削減効果を認めない。

    • (注) 当面、保証等の残存期間が1年以上の場合を目途とする(ただし、保証等の残存期間が1年以上のものでも、実質的に1年以内に保証契約等を解除するインセンティブを与えるような契約を結んでいるものについては、リスク・アセットの削減効果を認めない。)。

  • (3)買戻し権利付債権譲渡については、原則としてリスク・アセットの削減効果を認める。

    ただし、決算期を跨いで買戻し権利付債権譲渡を行った場合、当該決算期以降1年以内に当該権利を行使して買戻しを行うインセンティブを与えるような契約を結んでいるものについては、リスク・アセットの削減効果を認めない。

    なお、一時的な自己資本比率の引上げを行う意図をもって買戻し権利付債権譲渡を行っている場合には、上記にかかわらずリスク・アセットの削減効果を認めない。

  • (4)資本勘定に算入される税効果相当額(=繰延税金資産見合い額)は税効果会計に関する会計基準等の趣旨を踏まえ適正に計上されているか。

  • (5)銀行がその資本調達手段の保有者に対して取得に必要な資金を直接又は間接に融通しておらず、また、当該資本調達手段を当該銀行の子法人等又は関連法人等が取得していないか。

  • (6)資本調達手段が金銭以外の財産によって払い込まれている場合には、現物出資財産の価額は適切に算定されており、かつ、かかる払込みがなされることについて監督当局の承認を得ているか。

III -4-6-5 銀行の任意による償還又は買戻し等に際しての自己資本の充実についての確認

  • (1)施行規則第35条第1項第2号の2に規定する新株予約権付社債の期限前償還に係る届出、同項第24号に規定する自己の株式の取得に係る届出、同項第24号の2に規定する取得条項付株式の取得に係る届出又は同項第24号の3に規定する全部取得条項付種類株式の取得に係る届出を受理しようとする時は、告示及びバーゼル合意の趣旨を十分に踏まえるとともに、当該銀行における株式取得後の自己資本比率がなお十分な水準を維持しているかどうか、特に留意するものとする。

  • (2)強制転換条項付優先株式の償還又は買戻しを行う場合の「発行者の収益性に照らして適切と認められる条件により、当該償還又は買戻しのための資本調達(当該償還又は買戻しが行われるものと同等以上の質が確保されるものに限る。)が当該償還又は買戻しの時以前に行われること」への該当の有無を判断するに当たっては、以下の点に留意するものとする。

    • マル1当該資本調達手段の償還又は買戻しを行うための資本調達(再調達)が当該償還若しくは買戻し以前に行われているか、又は当該償還若しくは買戻し以前に行われることが確実に見込まれるか。また、当該資本調達が行われた後に、銀行が十分な水準の自己資本比率を維持できないと見込まれるような事態が生じていないか。なお、強制転換条項付優先株式の償還又は買戻しを行うために資本調達(再調達)を行う場合、当該資本調達が行われた時点以降償還日又は買戻し日までの間は、当該資本調達により払込みを受けた金額のうち償還予定額相当額以下の部分については自己資本への算入が認められないことに留意する。

    • マル2当該償還が、専ら当該資本調達手段の保有者の償還への期待に応えるためだけに行われるものではないか。例えば、資本調達(再調達)のために発行される資本調達手段の適用配当率が当該償還される資本調達手段の適用配当率よりも実質的に高いものとなる場合、かかる銀行の配当負担の増加にも拘わらず当該資本調達を行う合理的な理由が認められるか。

    • マル3資本調達(再調達)のために発行される資本調達手段の配当率が、当該銀行の今後の収益見通し等に照らして、自己資本の健全性を維持しつつ十分に支払可能なものとなっているか。

  • (3) 平成26年3月30日までに発行した資本調達手段のうち、普通株式又は強制転換条項付優先株式に該当しないものに関する期限前償還等の届出受理に際しての確認については、平成25年11月22日付で金融庁により公表された『「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」の一部改正』による改正前の本監督指針のIII-4-6-5にも留意して行うものとする。

III -4-6-6 連結自己資本比率を算出する際の比例連結の方法の使用に関するチェック

  • (1)連結自己資本比率を算出する際に金融業務を営む関連法人等について比例連結の方法の使用の届出があった場合においては、以下の点に留意するものとする。

    • マル1告示第32条第1項第2号イに規定する投資及び事業に関する契約(以下「合弁契約」という。)については、以下の点についてチェックする。

      • 契約当事者に全ての共同支配会社が含まれているか。また、共同支配会社以外の法人等が含まれていないか。
      • 合弁契約に係る金融業務を営む関連法人等の設立、株式の発行等、共同支配会社の保有議決権割合(告示第9条第1項第1号に規定する保有議決権割合をいう。以下 III -4-6において同じ。)、共同支配会社からの役員派遣その他の役員の選任に関する事項、共同支配会社による経営への関与に関する事項(株主総会の決議方法等に関する事項並びに取締役会等の構成及び決議方法等に関する事項を含む。)などが契約内容に含まれているか。
    • マル2告示第32条第1項第2号ロに規定する、合弁契約に基づき保有議決権割合に応じて共同でその事業の支配及び運営を行う体制がとられているかどうかについては、以下の点についてチェックする。

      • 合弁契約に係る金融業務を営む関連法人等の株主総会その他これに準ずる機関(以下 III -4-6において「意思決定機関」という。)において、共同支配会社は保有議決権割合と同一の割合の議決権を与えられているか。
      • 各共同支配会社の合弁契約に係る金融業務を営む関連法人等への取締役派遣割合(合弁契約上、取締役を指名又は任免することが認められる取締役の数が全取締役数に占める割合をいう。)は保有議決権割合と同一となっているか。それらが同一でない場合には、代表取締役、社長、会長その他の役員の派遣状況等に照らして、実質的に保有議決権割合が同一であるのと同視できるか。
      • 合弁契約において定められている保有議決権割合が、当該合弁契約の変更を伴うことなく変更され得ることとなっていないか(下記マル4の場合を除く。)。
      • 意思決定機関及び取締役会の決議事項及び決議方法は、法令及び定款に基づいているか。
      • 合弁契約に係る金融業務を営む関連法人等に対する各共同支配会社の追加出資及び各共同支配会社(その子会社、子法人等及び関連法人等を含む。)の融資、債務保証その他のリスク負担行為が保有議決権割合に応じて行われることとされ、又はこれに反する内容となっていないか。
      • 合弁契約に係る金融業務を営む関連法人等について、新設、既存企業からの事業譲受け等、その設立態様の如何を問わず、合弁契約に定められている事業の遂行に必要な免許、許認可等所要の手続きを経て、銀行が自己資本比率を算定する日において現に事業が行われているか。
      • その他合弁契約に基づき保有議決権割合に応じて共同でその事業の支配及び運営が行われていないと認められる点はないか。
    • マル3告示第32条第1項第1号又は第2号ニに規定する、当該銀行が保有議決権割合を超えてその事業に関して責任を負うべきことを約する契約等(以下 III -4-6において「過大負担契約等」という。)は、書面又は口頭、明示又は黙示のいずれによるかを問わないものとする。

    • マル4合弁契約において一定の事由を停止条件として保有議決権割合の変更を認めることとされている場合には、停止条件の内容が明確かつ合理的なものであり、かつ、当該停止条件が成就していないことが明らかである限りにおいては、過大負担契約等に該当しないものとする。

    • マル5告示第32条第2項については、連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則第4条第1項第4号に規定する継続適用の原則に照らして判断することに留意する。

  • (2)金融業務を営む関連法人等について比例連結の方法を適用するに当たっては、その資産、負債、収益及び費用のうち、投資をしている銀行及び連結子法人等に帰属する部分のみを対象として連結の範囲に含める点を除き、子会社の全部連結に準じて行うものとする。ただし、我が国の会計制度上比例連結が採用されておらず馴染みがないことや、会計上の事務負担が増加することにかんがみ、以下の簡便法によっている場合には、当分の間、比例連結の方法によっているものとして取り扱って差し支えない。

    • マル1簡便法は、当該金融業務を営む関連法人等の資本調達手段(意図的持合として保有している他の金融機関の資本調達手段を除く。以下(2)において同じ。)を告示第29条第6項第1号又は第7項第1号に掲げる額を算出する場合におけるその他金融機関等に係る対象普通株式等の額及び告示第76条の2の3、第76条の4、第178条の2の3又は第178条の4の規定による信用リスク・アセットの額の算出の対象に含めず、告示第32条第1項本文後段の規定にかかわらず持分法を適用し、かつ、連結自己資本比率に係る算式における分母の額(信用リスク・アセットの額、マーケット・リスク相当額を8%で除して得た額(当該算式における分母にマーケット・リスク相当額に係る額を算入する場合に限る。)及びオペレーショナル・リスク相当額を8%で除して得た額の合計額をいう。以下(2)において同じ。)に調整を加えることにより行うものとする。

      • (注1) 簡便法において持分法を適用するのは、持分法の適用に当たって、当期純損益の認識、のれん相当額の調整、未実現損益の消去、配当金の消去等の会計処理が行われることによる。

      • (注2) 連結自己資本比率に係る算式における分子の額(自己資本の額をいう。)には調整を行わない。

    • マル2連結自己資本比率に係る算式における分母の額は、当該金融業務を営む関連法人等を連結の範囲に含めないで算出した連結自己資本比率に係る算式における分母の額から次のイ.に掲げる額を控除し、ロ.に掲げる額を加算した額とする。

      • イ. 当該金融業務を営む関連法人等の資本調達手段の額(株主資本勘定に属するものに限る。)

      • ロ. 毎決算期(中間期を含む。)の末日における当該金融業務を営む関連法人等の貸借対照表に基づき、告示第33条から第35条までの規定を適用して得た当該金融業務を営む関連法人等に係る分母の額に保有議決権割合を乗じて得た額

    • マル3上記マル2ロ.において、当該銀行と当該金融業務を営む関連法人等の間の債権・債務については、相殺消去を行わないこととして差し支えない。なお、相殺消去を行う場合には、当該銀行又は当該金融業務を営む関連法人等の有する債権を資産等から除いて上記マル2ロ.の分母の額を算定する。

    • マル4上記マル2ロ.において、当該金融業務を営む関連法人等に係る信用リスク・アセットの額の算定上、告示第33条に定める信用リスク・アセットの額よりも大きい額を用いても差し支えない。

    • マル5その他、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従っているか。

III -4-6-7 自己資本比率の計算方法の一貫性

例えば告示上の経過措置の適用等、自己資本比率の計算方法に関して銀行に一定の裁量が認められている場合、合理的な理由に基づく変更の場合を除き、一貫した計算方法を採用しているか。

III -4-7 子会社等

銀行の子会社(法第2条第8項に規定する子会社(同項の規定により子会社とみなされる会社を含む。)をいう。以下同じ。)、子法人等(施行令第4条の2第2項に規定する子法人等(子会社を除く。)をいう。以下同じ。)及び関連法人等(同条第3項に規定する関連法人等をいう。以下同じ。)(以下「子会社等」という。)の業務範囲等については、法第12条に規定する他業禁止の観点から以下のとおりとする。

なお、銀行持株会社の子会社等についても、これに準じた取扱いを行うものとする。

  • (注1) 銀行又はその子会社が、国内の会社(当該銀行の子会社を除く。)の株式等について、合算して、その基準議決権数(法第16条の4第1項に規定する基準議決権数をいう。以下同じ。)を超えて所有している場合の当該国内の会社(以下「特定出資会社」という。)が営むことができる業務は、第16条の2第1項第1号から第6号までに掲げる会社、同項第11号及び第12号の2から第13号までに掲げる会社(同項第12号の2に掲げる会社にあつては、特別事業再生会社を除く。)が行うことができる業務の範囲内であり、かつ、施行規則、告示、本監督指針に定める子会社に関する基準等を満たす必要があることに留意する。

    なお、子会社等に関する届出(子会社については法第53条第1項第2号の届出、特定出資会社については施行規則第35条第1項第12号の届出、子法人等又は関連法人等については同項第14号の届出をいう。)の受理に当たっては、当該子会社等の定款若しくは当該銀行と当該子会社等が締結した業務協定書等により、当該子会社等が営むことができる業務を営んでいることを確認する。

  • (注2) 子法人等及び関連法人等の判定に当たり、当該銀行が金融商品取引法に基づき有価証券報告書等の作成等を行うか否かにかかわらず、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則、企業会計基準適用指針第22号「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」(平成20年5月13日付)その他の一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従っているかにも留意する。その他の一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従っているかにも留意する。

    (参考)連結財務諸表を指定国際会計基準等(銀行法施行規則第14条の7第3項に規定する特例企業会計基準等適用法人等が採用する企業会計の基準をいう。以下同じ。)に従い作成している場合には、当該基準に基づく判定が行われているかに留意する。

  • (注3) 法第16条の2及び第16条の4に規定する「会社」には、特別目的会社(例えば、資産の流動化、自己資本の調達を目的とするもの等)、組合、証券投資法人、パートナーシップその他の会社に準ずる事業体(以下「会社に準ずる事業体」という。)を含まないが、会社に準ずる事業体を通じて子会社等の業務範囲規制、他業禁止の趣旨が潜脱されていないかに留意する。

  • (注4)銀行グループの業務範囲についても、主要行等向けの総合的な監督指針Ⅴ-3-1(2)に準じ、銀行の他業禁止の趣旨をグループ全体に及ぼし、グループ全体として銀行に対する規制に準じた取扱いとする。この際、銀行グループの範囲は、主要行等向けの総合的な監督指針Ⅴ-1(2)に準じ、銀行持株会社又は銀行の企業会計上の連結基準と整合的な取扱いとし、連結財務諸表を指定国際会計基準等に従い作成している場合には、指定国際会計基準等と整合的な取扱いとする。

  • (注5)銀行グループが指定国際会計基準等を適用する場合、法第16条の4で議決権取得制限(いわゆる5%ルール)の例外として許容されている行為(例えば、中小企業等経営強化法に関連したベンチャー投資、DES(デット・エクイティ・スワップ)、担保権の実行)は、その結果としてグループの範囲が広がるものであっても、特段の制限を受けるものではない。

  • (注6)銀行が適用する会計基準を変更することのみを原因として、従来は銀行グループ外とされていた会社又は会社に準ずる事業体が当該銀行の子会社等となる場合、銀行の他業禁止の趣旨の潜脱を防止する観点からは相応の期間内(原則として1年以内)に所要の措置を講ずることが望ましい。

III -4-7-1 子会社等の業務の範囲

子会社等の業務の範囲については、以下の点に留意するものとする。

  • (1)銀行の子会社が営む従属業務(法第16条の2第2項第1号に規定する従属業務をいう。以下同じ。)については、本監督指針 II -3-2-4等に沿って適切な対応を行っているか。

    • (注) 従属業務を営む銀行の子法人等又は関連法人等についても「銀行法第十六条の二第七項等の規定に基づき、従属業務を営む会社が主として銀行若しくは銀行持株会社又はそれらの子会社のために従属業務を営んでいるかどうかの基準を定める件」(以下「収入依存度規制告示」という。)に定める基準を満たす必要があることに留意する。なお、この場合において、「収入の額」は、収入依存度規制告示と同様であることに留意する。

  • (2)銀行の子会社が営む金融関連業務(法第16条の2第2項第2号に規定する金融関連業務をいう。以下同じ。)等については、以下の範囲となっているか。

    • マル1信用保証業務

      当該銀行並びに当該銀行及びその銀行持株会社の子会社、子法人等及び関連法人等による事業性ローンに係るものを取り扱っていないか、また、以下の点に留意した取扱いとなっているか。

      • イ.保証会社の業務運営に当たっては、保証債務の円滑な履行に疎通を欠くことのないよう、保証の特性を踏まえた、適正な保証料率の設定、適切な引当処理の実行などによる、保証業務の専業体制の確立や内部留保の充実その他適正な支払い準備の確保等に十分配意しているか。

        特に、グループ内の保証については、保証にかかるリスクが外部に移転していないことにかんがみ、当該保証会社の業況が当該銀行等の健全性の確保に影響を与えることがないよう十分配意しているか。

      • ロ.保証会社が信用保証を行うに当たって、物的担保以外に不必要な人的担保も徴求していないか。

      • ハ.銀行が、信用保証を必要とする債務者に対し、自行が子会社として設立した保証会社の保証を強制すること等の行為を行っていないか。

      • ニ.銀行が、保証会社の保証付住宅ローンの金利について、通常の場合の金利に比較して次のものに相当する部分を低減しているか。

        • 通常見込まれる貸倒れに伴う損失
        • 担保等の設定、管理、処分等のために要するコスト
        • 信用調査、貸出審査等が簡略化されることにより軽減が見込まれるコスト
    • マル2リース業務

      不動産を対象としたリース契約に当たっては、教育・文化施設、社会福祉施設等の公的な施設の整備・運営に係るものを除き、融資と同様の形態(いわゆるファイナンスリース)に限ることとし、一般向け不動産業務等の子会社対象会社が営むことができる業務以外の業務を行っていないか。

      (注)優越的地位の濫用及び利益相反取引の防止に係る管理態勢を整備するとともに、銀行が不動産業務を営むことができないことに鑑み、実質的に不動産の売買及び賃貸の代理及び媒介を営むこととならないよう、法令等遵守の観点から事前に十分な検討・検証を行うこととしているか。

    • マル3投資助言業務又は投資一任契約に係る業務

      業務の特殊性、投資家保護の観点から以下の点に留意した取扱いとなっているか。

      • イ.保護預りは当該社では扱わず、銀行本体、信託銀行等の扱いとなっているか。

      • ロ.投資助言の範囲は不動産、骨董品等は対象とせず、有価証券、金融商品としているか。

    • マル4電気通信業務(いわゆるVAN業務)

      主として(概ね5割以上)銀行の業務及び企業の資金、経理に関連したもの(受・発注業務、売掛・買掛債権管理業務等資金決済に関するもののほか、会計、税務、資金運用等に関するデータ処理等)を取り扱うこととしているか。

      • (注) 電気通信事業法第16条第1項による総務省への届出について照会があった場合には、「子会社等が他人の通信を媒介する役務(以下「媒介役務」という。)の提供を営利の目的とせず(例えば、共同出資の子会社等が、出資金融機関のみを対象として媒介役務を提供する場合等当該子会社等の定める料金、提供条件等から媒介役務について収益をあげることを目的としていないことが明白な場合:100%出資の子会社はこれに含まれる。)に行う場合には必要ない」旨回答すること。

    • マル5信託受益権の販売に係る業務

      不動産を信託財産とする信託の受益権の売買の代理及び媒介を行うに当たっては、銀行が不動産業務を営むことができないことにかんがみ、実質的に不動産の売買及び賃借の代理及び媒介を営むこととならないよう、法令等遵守の観点から事前に十分な検討・検証を行うこととしているか。

  • (3)銀行の特定子法人等(特定出資会社でない子法人等をいう。以下同じ。)及び特定関連法人等(特定出資会社でない関連法人等をいう。以下同じ。)については、以下のとおりとなっているか。ただし、会社に準ずる事業体については、この限りでない。

    • マル1銀行の特定子法人等及び特定関連法人等の業務の範囲については、子会社対象会社(法第16条の2第1項に規定する子会社対象会社をいう。以下同じ。)の営むことができる業務の範囲内であり、かつ、施行規則、告示、本監督指針に定める子会社に関する基準等を満たしているか。

      例えば、保険専門関連業務(同条第2項第4号に定める保険専門関連業務をいう。)を営む会社については、銀行が保険会社を子会社としている場合等に限り、銀行の特定子法人等又は特定関連法人等として保有することができることに留意する。

      なお、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律(以下「金融システム改革法」という。)の施行の際、信託業務を営む銀行(本体で不動産業務を営む者に限る。)の特定子法人等又は特定関連法人等で現に一般向け不動産業務を営むもの(以下マル3において「特定法人」という。)の当該業務については、銀行の特定子法人等及び特定関連法人等が営むことができる業務に含まれることに留意する。

    • マル2従属業務をもっぱら営む銀行の特定子法人等又は特定関連法人等であって、主として当該銀行の特定出資会社又は他の特定子法人等若しくは特定関連法人等(以下「従属先法人等」という。)の営む業務のためにその業務を営んでいるものについて、従属先法人等からの収入の額の総収入の額に占める割合が100分の50を上回っている場合には、上記マル1に反しないものとして取り扱って差し支えない。

    • マル3関連会社として届出がなされたもの(当該関連会社がその業務を行わせるために設立した会社及びこれらと同様の業務を営む会社を含み、(3)に該当する会社及び特定法人を除く。)で、金融システム改革法の施行の際、子会社対象会社の営むことができる業務以外の業務を現に営む銀行の特定子法人等又は特定関連法人等が、金融システム改革法の施行後も引き続きそれらの業務を営む場合には、別に命ずるところにより、当該特定子法人等又は特定関連法人等の名称、業務その他必要な事項について報告がなされたものに限り、当分の間、上記マル1に反しないものとして取り扱って差し支えない。

      ただし、当該特定子法人等又は特定関連法人等が当該銀行の子会社又は特定出資会社となる場合並びに当該特定子法人等又は特定関連法人等が金融システム改革法の施行前に営んでいた業務以外の業務を新たに営む場合はこの限りでない。

      • (注1) 関連会社とは、銀行が出資する会社で、その設立経緯、資金的、人的関係等からみて、銀行と緊密な関係を有する会社をいう。

      • (注2) 例えば、以下のような場合については、銀行法の趣旨を逸脱しない限り、上記特定子法人等又は特定関連法人等に準じて取り扱って差し支えない。

        • イ.銀行の届出済の関連会社が上記の業務を営む場合に、当該銀行が他の会社の保有する当該関連会社の株式を取得したことにより、金融システム改革法の施行の際、当該銀行の特定出資会社(子法人等又は関連法人等に限る。)となったことについてやむを得ない理由があるとき(金融システム改革法附則第104条に規定する届出がなされているものに限る。)

        • ロ.金融システム改革法の施行の際、銀行の特定子法人等又は特定関連法人等として上記の要件を満たすものが、法第16条の4第4項第1号の規定により当該銀行の特定出資会社(子法人等又は関連法人等に限る。)となった場合(同号に規定する認可を受けている場合に限る。)

        • ハ.金融システム改革法の施行の際、二の銀行のそれぞれの特定子法人等又は特定関連法人等として上記の要件を満たすものが、合併によりいずれか一の銀行の特定子法人等又は特定関連法人等(以下「存続会社」という。)となった場合(存続会社が合併前に営んでいた業務以外の業務を合併後に営むこととなる場合には、当該業務について平成14年3月期末までに必要な見直しが行われているものに限る。)

    • マル4特定子法人等又は特定関連法人等において一般向け不動産業務、物品販売業務、旅行あっせん業務等、子会社対象会社の営むことができる業務以外の業務を行っていないか。ただし、金融システム改革法の施行の際、特定子法人等又は特定関連法人等が現にこれらの業務を営んでいる場合には、平成14年3月期末までに必要な見直しが行われているか。

      なお、金融システム改革法の施行の際、特定子法人等又は特定関連法人等が現に従属業務又は金融関連業務(これらに準ずる業務として、別に命ずるところにより報告がなされたものを含む。)を営む場合又はこれらを併せ営む場合(当該従属業務が収入依存度規制告示各条に規定する基準に準じた基準(上記マル2の例による。)を満たす場合に限る。)においては、平成14年3月期末までに当該従属業務又は金融関連業務以外の業務について必要な見直しが行われているものに限り、当分の間、上記マル1に反しないものとして取り扱って差し支えない。

      • (注) 当該特定子法人等又は特定関連法人等が平成14年3月期末を超えて必要な見直しを終えていない場合には、見直しが終了していない正当な理由について、別に命ずるところにより報告を求めることに留意する。

III -4-7-2 他の事業者の貸出金等に係る担保財産(不動産を除く。)の売買の代理・媒介会社の取扱い

他の事業者の貸出金等に係る担保財産(不動産を除く。)の売買の代理・媒介会社については、以下の点に留意した取扱いとなっているか。

  • (1)当該会社の業務は以下に限られているか。

    他の事業者が貸出金等の回収のために担保権を実行する必要がある場合に行う当該貸出金等に係る担保財産(不動産を除く。)の売買の代理・媒介(以下、「代理等」という。)

    • (注1)他業禁止規制の趣旨を踏まえ、担保権の実行以外での売買の代理等は認められないことに留意する。

    • (注2)銀行が不動産業務を営むことができないことにかんがみ、不動産の売買の代理等は認められないことに留意する。

    • (注3)担保財産の取得・保有・管理及び売却は、規則第17条の3第1項第24号に規定する会社以外は認められないことに留意する。

  • (2)当該会社の業務遂行に当たって、収入依存度規制告示の基準を満たしているか。

III -4-7-3 銀行の貸出金等に係る担保財産の保有・管理会社(いわゆる自己競落会社)の取扱い

銀行の貸出金等に係る担保財産の保有・管理会社については、以下の点に留意した取扱いとなっているか。

  • (1)当該会社の業務は以下に限られているか。

    • マル1親銀行等が貸出金等の回収のために担保権を実行する必要がある場合(親銀行等に係る担保財産について第三者が担保権を実行する場合も含む。)に行う当該貸出金等に係る担保財産の取得(不動産以外の財産については競落による取得に限らず、いわゆる私的実行による取得も含む。)。

    • マル2取得した財産の保有・管理及び売却(以下「保有等」という)。

  • (2)当該会社の業務遂行に当たって以下の点は遵守されているか。

    • マル1不動産の保有等

      • イ.取得した不動産に関し、必要に応じ、財団法人民間都市開発推進機構、不動産特定共同事業者、宅地建物取引業者等との連携を図りつつ、整地、当該土地に適切な建築物の建設、隣接地の購入等を行い、当該不動産の価値の向上のための有効活用に努めているか。

      • ロ.資産の流動化に関する法律に規定する特定目的会社の活用による流動化を検討するなど、取得した不動産の円滑な売却の実現に努めているか。

      • ハ.当該会社は、不動産の保有等を行うに当たって、ホテル業等関連会社が営むことが適当でない業務を営んでいないか。

    • マル2動産の保有等

      • イ.動産は多種多様であり、その保有等により想定されるリスクも多岐に亘ることを踏まえ、当該動産の種別、特性に応じ、当該動産の保有等により生じうる管理責任や契約不適合責任等のリスクを適正に把握・分析・管理し、これらのリスクに適切に対応するための態勢を整備しているか。

      • ロ.当該動産の取得に際しては、客観性・合理性のある評価方法による評価をしているか。

      • ハ.取得した動産に関し、当該動産の種別、特性等に応じた適切な管理を行い、当該動産の価値の向上、維持に努めているか。

      • ニ.取得した動産の種別、特性等に応じた適切な売却・換価方法を検討し、その実現に努めているか。

      • ホ.当該会社は、動産の保有等を行うに当たって、関連会社が営むことが適当でない業務を営んでいないか。

    • マル3債権の保有等

      • イ.当該債権の取得に際しては、客観性・合理性のある評価方法による評価をしているか。

      • ロ.取得した債権に関し、当該債権の第三債務者(目的債権の債務者)の信用力を判断するために必要となる情報を随時入手し財務状況を継続的にモニタリングするなど、当該債権の価値の維持に努めているか。

      • ハ.取得した債権に関し、適時に適切な回収措置(第三者への譲渡を含む)を講じ、円滑な回収の実現に努めているか。

    • マル4その他の財産の保有等

      その他の財産についても、上記不動産、動産および債権の保有等に準じた取扱いがなされているか。

  • (3)対象財産は親銀行等の貸出金等に係る担保財産であり、当該財産の購入により、親銀行等に回収が見込まれるか。

    • (注) 貸出金等には親銀行等が保証の履行により取得した求償権等の債権で当該財産の被担保債権となっているものを含む。

  • (4)その他

    • マル1不動産の保有等を行う当該会社は、宅地建物取引業法の規定により、同法第3条の免許を取得しているか。

    • マル2不動産以外の財産の保有等を行う当該会社は、当該財産の保有等に必要な免許、許可、登録又は承認等を取得しているか。

    • マル3当該会社は取得した財産毎に収支・損益の分別管理を行っているか。

    • マル4親銀行等及び当該会社は当該会社の財務の健全性が確保されるよう必要な措置を講じているか。

III -4-7-4 銀行業高度化等会社

 (1)基本的な考え方
 銀行は、法第16条の2第1項第12号の3に掲げる会社(以下「銀行業高度化等会社」という。)に対して基準議決権数を超えて出資することが認められている。これは、銀行グループにおいて、将来的に様々な展開が予想される中で、認可を条件として、より柔軟な業務展開を可能とするためである。また、銀行グループにおける将来の可能性への戦略的な対応として、出資時点においては銀行業の高度化や利用者の利便の向上に資するといえないものであっても、これらが見込まれる業務を営む会社への出資を可能としている。
他方で、銀行業高度化等会社の認可申請があった場合には、銀行グループに他業禁止の規制が課されている趣旨である、本業専念による効率性の発揮、他業リスクの回避、利益相反の禁止及び優越的地位の濫用の防止といった要請を踏まえ審査を行う必要がある。

 
(2)認可審査にあたっての留意点
 銀行業高度化等会社の認可の審査基準は、銀行法施行規則第17条の5の2第2項において定めているが、各基準の審査にあたっては、以下の点に留意する必要がある。
 
 ① 出資額
  出資額の適切性については、銀行業高度化等会社の認可を申請する銀行(以下(2)から(4)において「申請銀行」という。)の資本金の額、財産及び損益の状況等に照らして判断を行う。銀行業高度化等会社に対する出資が全額毀損した場合の影響については、銀行グループへの自己資本比率への影響等の審査を行う。
 
   ② 出資比率等
    銀行業高度化等会社を子会社等とする場合、銀行業高度化等会社においても、銀行グループの一員として、適切な経営管理や内部管理、内部監査等に関する態勢整備が必要となる。
    また、銀行業高度化等会社に対する銀行の支配力が及ばない場合、銀行業高度化等会社のガバナンスや業務内容の適切性等について銀行が管理可能か、銀行業高度化等会社の業務が、銀行業の高度化又は利用者の利便の向上に資さなくなった場合や認可の基準を満たさなくなった場合、基準議決権数を超える出資の解消等を適切に図ることが可能か等の点を審査する。
 
   ③ 業務の内容
    申請銀行は、認可の申請に際しては、銀行業高度化等会社の営む業務の内容を明確にする必要がある。
    銀行業高度化等会社の営む業務の内容に関し、銀行業高度化等会社は、銀行業の高度化や利用者の利便の向上に資する業務(以下「資する業務」という。)やこれらが見込まれる業務(以下「見込まれる業務」という。)以外の業務を一部で兼営していても、そのこと自体をもって認可の対象外となるものではない。ただし、兼営する業務の内容が銀行業務に弊害等を及ぼす場合はもちろん、兼営する業務の規模が「資する業務」や「見込まれる業務」に比して著しく大きい等の場合も、他業禁止の趣旨等に抵触するおそれがあることから、認可をすることができない点に留意する。
    また、銀行業高度化等会社の業務を営むにあたり子会社対象銀行等の業務を併せ営むことが必要となる場合には、銀行業高度化等会社の認可のもと、これを営むことは許容される。他方で、銀行業高度化等会社が銀行法施行規則第17条の5に定める子会社対象銀行等の認可を受けずに子会社対象銀行等の業務を営むことや、子会社対象銀行等が他業を営むために銀行業高度化等会社の認可を受けることは、業務範囲規制の趣旨に反して、子会社対象銀行等の認可制度が潜脱されるおそれがある。このため、銀行業高度化等会社が子会社対象銀行等の業務を併せ営む場合には、上記のような潜脱のおそれがないかの観点から審査を行うものとする。
 
   ④ 申請銀行の業務への影響等
    銀行業高度化等会社の業務の内容が、銀行業の高度化や利用者の利便の向上に「資する業務」や「見込まれる業務」といえるものであっても、申請銀行の業務に支障を来す著しいおそれが認められるときは、出資額の大小にかかわらず、銀行業高度化等会社の認可をすることができない点に留意する(例えば、銀行業高度化等会社のコンプライアンス・リスクやレピュテーショナル・リスクの波及により、申請銀行の固有業務の運営に支障が生じたり、銀行グループとして重大な損害等が生じたりするおそれのある場合)。
 
(3)出資後の管理等
 銀行が、銀行業高度化等会社の認可を受け、基準議決権数を超えて出資を行った場合、当該銀行は銀行業高度化等会社の業務の状況等について、適切にモニタリングを行う。特に、銀行業高度化等会社の事業や業務の規模の拡大が見込まれる場合、これに伴うリスクや銀行グループへの影響等についても適切に管理する必要がある。
 なお、認可時点において、「資する業務」といえる業務を営んでいたものの、出資後に事業内容について大きな変更が生じた場合や、「見込まれる業務」であったとしても、出資後の状況により、「見込まれる」といえなくなった場合等には、基準議決権数を超える出資の解消等を適切に図る必要がある。
 
(4)地域商社
 銀行業高度化等会社としては、いわゆるFinTech企業のように情報通信技術を利用した会社のみが想定されるものではない。このため、いわゆる地域商社(地方創生や地域経済の活性化等のため、地域の優れた産品・サービスの販路を新たに開拓することで、従来以上の収益を引き出し、そこで得られた知見や収益を生産者に還元していく事業を営む会社)に対して基準議決権数を超える出資を行うことも、法第16条の2第1項第12号の3の要件を満たす限りは許容される。
 すなわち、地域経済の活性化等を目的として、地域商社が業務において培った技術を活用すること等により、地域の特性に適した商品・サービスの企画や流通形態を提供し、銀行の取引先企業のマーケティングや販路の拡大に寄与することができる場合、当該地域商社は利用者の利便に資するものとして銀行業高度化等会社に該当し得る。ただし、地域商社の業務の内容は様々であるところ、認可審査においては、特に以下の点についても留意する必要がある。
 
   ① 物流への関与等
    地域商社の業務内容としては、商品の仕入れ・販売を自ら行うような場合を始めとして、自ら在庫を保有し、機能的に物流を担う運営も考えられる。このような業務は、他業禁止の趣旨を踏まえれば、銀行業と組み合わせることによって利用者の利便が向上することが見込まれ、かつ、物流を担うことによる他業リスクや利益相反等の弊害のおそれが大きくないと認められる場合に限り、営むことが許容される。例えば、以下のような場合には、銀行業と組み合わせることによって利用者の利便が向上するといえると考えられる。

  • ・ 地域商社において物流を担うこと等によって、当該地域商社において受注情報や在庫情報、仕入価格や販売価格に係る情報を集約しマーケティングや販路の拡大へ寄与するとともに、これを銀行が融資等の審査業務に活用ができるような場合。

  • ・ 地域商社において在庫管理を行うこと等によって、ABL等の融資形態の活用に資する場合。

 また、地域商社が物流を担うことによる他業リスクや利益相反等の弊害のおそれは大きいものであってはならない。そこで、認可審査の際には、在庫保有を含む物流機能を実際に担う程度とそれに伴うリスクや弊害のおそれ(出資の毀損のほか、銀行の顧客が当該地域商社の仕入先又は卸先となる場合の利益相反、優越的地位の濫用、又は、これらが生じた場合のレピュテーションの低下等)、これに対する管理態勢を個別に審査することになる。例えば、以下のような場合には、物流を担うことによる他業リスクや利益相反等の弊害のおそれは大きくないと考えられる。

  • ・ 地域外での新規顧客の獲得や販路拡大の支援の観点から、ECサイトや実店舗での小売販売を行うための在庫を保有するものの、保有される在庫は、販売初期において試験的に販売したり、需給の不確実な期間において安定的に販売したりするための必要な程度に止まっている場合(これを超えて、販路の開拓や需給の見通しが立ったこと等の事情により取扱量を本格的に拡大するにあたっては、委託販売等の在庫の保有リスクを伴わない販売方式がとられる場合。)。

  なお、地域商社としては、在庫の保有や物流機能を担うことなく、ECモール等の取引の場の設置による集客・販売支援や、卸売先の紹介・商品開発に関するコンサルティング等に留まる範囲で行うことも考えられるところであって、このような業務運営を行う場合には、上記のような他業リスクや利益相反等の弊害のおそれは限定的であると考えられる。
 
   ② 製造・商品加工への関与
    地域商社が銀行業高度化等会社として製造や商品加工を直接担うことは、他業禁止の趣旨等に鑑みれば基本的には想定されず、地域産品の特性に適した商品企画や流通形態の提供という地域商社の機能として必要不可欠なもの(例えば、商品企画等のために必要となる試験的な製造や商品加工等)に限られ、かつ、コンプライアンス・リスクやレピュテーショナル・リスクを含めた他業リスクや利益相反等の弊害のおそれが限定される範囲に留める必要があることに留意する。

III -4-7-5 銀行とその証券子会社等の関係

  • (1)金融商品取引法等において、銀行とその証券子会社との間等における弊害防止措置が設けられている趣旨及び施行規則第17条の5第2項第5号(子会社対象銀行等を子会社とすることについての認可審査基準)における「子会社対象銀行等の業務の健全かつ適切な運営を確保するための措置を講ずる」との趣旨にかんがみ、出資関係等を有する金融商品取引業者との間の行為については、以下の点に留意する必要がある。

    • 銀行は、その関係金融商品取引業者(当該銀行等が金融商品取引業者の親銀行等(金融商品取引法第31条の4第3項に規定する親銀行等をいう。)又は子銀行等(金融商品取引法第31条の4第4項に規定する子銀行等をいう。)に該当する場合における当該金融商品取引業者をいう。)との間において、金融商品取引法第44条の3の規定により禁止されている行為に関与していないか。
  • (2)銀行がその関係金融商品取引業者との間で、法令等遵守管理に関する業務、損失の危険の管理に関する業務、内部監査及び内部検査に関する業務、財務に関する業務、経理に関する業務、税務に関する業務、子法人等の経営管理に関する業務、又は有価証券の売買、デリバティブ取引その他の取引に係る決済及びこれに関連する業務(以下本項において「内部の管理及び運営に関する業務」という。)について金融商品取引業等に関する内閣府令第153条第1項第7号に規定する行為を行う場合には、登録金融機関である銀行及び当該関係金融商品取引業者において、内部の管理及び運営に関する業務を行う部門から非公開情報が漏えいしない措置を的確に講じていること等、情報管理体制について業務方法書に記載することが求められている。一方、銀行監督の観点からは、内部の管理及び運営に関する業務の統合によって、銀行の当該業務遂行の高度化や効率化を図ることが可能となる反面、関係金融商品取引業者との関係で統合された内部の管理及び運営に関する業務についての責任の範囲や所在が不明確になるリスク、さらに当該銀行の内部の管理及び運営に関する業務の責任者が実質的に当該内部の管理及び運営に関する業務の管理・監督を行わないまま関係金融商品取引業者にその遂行を任せる状態になることによる当該銀行の実質的な内部の管理及び運営に関する機能が働かないリスク等、業務の健全かつ適切な運営が阻害されるリスクも発生することから、以下の点に特に留意する必要がある。

    • マル1統合する内部の管理及び運営に関する業務について、銀行が実質的な管理・監督を行わないまま関係金融商品取引業者へその遂行を任せる状態を防止するため、当該内部の管理及び運営に関する業務に係る銀行と関係金融商品取引業者との間の権限及び責任の分担、並びに、銀行における当該内部の管理及び運営に関する業務を担当する取締役等(以下「担当取締役等」という。)及び当該業務の担当者(関係金融商品取引業者の当該業務の従業員を兼職している者を含む。)の権限・責任の範囲が、職務規定や組織規定等において明確になっているか。

    • マル2銀行が内部の管理及び運営に関する業務についての管理責任を果たすための組織及び人的構成に関して、以下のような管理態勢の整備が図られているか。

      • イ.担当取締役等は、銀行における内部の管理及び運営に関する業務の担当者に対する監督等を通じて、業務の状況を的確に把握し、その適切な遂行を確保する責務と権限を有するとともに、当該銀行の取締役会等や監督当局に対して適切な報告・説明を行う権限及び責任を有しているか。

      • ロ.担当取締役等による営業部門に対するけん制機能が機能しない可能性がある場合には、けん制機能の実効性を確保するための措置が取られているか。

      • ハ.けん制機能の実効性の確保を目的として関係金融商品取引業者との合議機関等を設置することが選択されている場合については、当該合議機関における意思決定についての担当取締役等の職責や銀行等の関与が形骸化していないか、合議機関が営業推進の目的に利用されるなどけん制機能の実効性が損なわれていないか、に特に留意する必要がある。例えば、その防止のための措置として、当該合議機関の目的及び手続(決議方法、議事録の作成を含む。)、各構成員の権限と責任が明確になっているか。

    • マル3また、監督上必要な場合には、法第24条第1項又は法第52条の31第1項に基づいて当該銀行に対して以下の点について報告及び資料提出を求めるほか、必要があると認めるときには、法第24条第2項又は法第52条の31第2項に基づき、当該銀行の子会社たる金融商品取引業者に対しても報告徴求を行うこととする。

      • イ.当該内部の管理及び運営に関する業務等の実施についての方針及び手続

      • ロ.担当取締役等当該内部の管理及び運営に関する業務に従事する者の権限・事務分掌

      • ハ.その他各種規定の整備状況

      • ニ.当該内部の管理及び運営に関する業務実施に係る人員・組織の状況等

III -4-7-6 銀行とその関係保険会社の関係

保険業法施行規則等において、保険業法第100条の3若しくは同法施行規則第53条の4第2項に規定する特定関係者又は同法第194条に規定する特殊関係者に金融機関等(同法施行規則第53条の4第3項各号に掲げる金融機関及び銀行持株会社をいう。以下同じ。)が該当する場合における当該金融機関等と保険会社等との間等に弊害防止措置が設けられている趣旨にかんがみ、出資関係等を有する保険会社等との間の行為については、以下の点に留意する必要がある。

  • (1)銀行は、その関係保険会社(当該銀行が保険会社の特定関係者(保険業法施行規則第53条の4第2項)に該当する場合における当該保険会社をいう。)との間において、同法第100条の2に基づく同法施行規則第53条の4及び第53条の6に規定する講ずるべき措置に反する行為に関与していないか。

  • (2)銀行は、その関係保険会社(当該銀行が保険会社の特定関係者等(保険業法施行規則第53条の4第2項に規定する特定関係者及び同法第194条に規定する特殊関係者)に該当する場合における当該保険会社をいう。以下同じ。)及び関係保険会社を所属保険会社とする保険募集人等との間において同法第300条の規定により禁止されている行為に関与していないか。

    • (注) 関係保険会社を所属保険会社とする保険募集人等とは、関係保険会社の役員、関係保険会社を所属保険会社とする生命保険募集人、関係保険会社を所属保険会社とする損害保険募集人又は保険仲立人若しくはその役員若しくは使用人をいう。

III -4-7-7 子会社等に係るその他の留意事項

子会社等の財務の健全性及び業務の適切性は確保されているか。例えば以下の子会社等については、その業務の特性等にかんがみ、特に留意する必要がある。

  • (1)カード会社や住宅ローンの保証会社等の金融関連会社

  • (2)関連又はいわゆる「緊密先」といわれる不動産管理会社

III -4-8 議決権の取得等の制限

  • (1)法第16条の4第2項ただし書又は法第52条の24第2項ただし書の承認を行うに際しては、以下の点に留意する必要がある。

    なお、株式の保有に関するリスク管理については、II-2-4-2(5)を参照すること。

    • マル1 銀行等から、施行規則第17条の7第1項又は第34条の21第1項による申請があった場合には、基準議決権数を超えて保有する議決権を期間内に処分できないことがやむを得ない理由によるものであるかどうかを審査するものとする。

      「やむを得ない理由」とは、例えば、以下のようなものが考えられる。

      • イ.事業再生の途上にある会社の再建や事業の安定的な運用を支援するために、再生計画期間中は、当該議決権を保有し続ける必要があること。

      • ロ.事業再生計画に基づき議決権を取得した場合、当該計画による手続きが完了するまでは配当が支払われないこと等により、売却等による処分が困難であること。

      • ハ.当該会社における未公表の重要事実を知ることとなり、議決権を売却することが金融商品取引法第166条のインサイダー取引に関する規定に抵触するおそれがあるため、売却等による処分が困難であること。

    • マル2 以下の場合における法第16条の4第3項又は第52条の24第3項に定める承認の条件である当該議決権のうち基準議決権数を超える部分の議決権を「速やかに処分すること」とは「遅くとも当該会社の経営改善等のための計画終了(注)後速やかに処分すること」との趣旨であることに留意する。

      • イ.DES(デット・エクイティ・スワップ。施行規則第17条の6第1項第3号又は第34条の20第1項第3号)により議決権を取得した場合。

      • ロ.法第16条の2第1項第12号の2又は法第52条の23第1項第11号の2に規定する会社(いわゆる事業再生を行う会社)の議決権について、やむを得ないと認められる理由により当該議決権を譲渡することが著しく困難であって当該議決権を処分することができないため、施行規則第17条の2第11項各号に定める期間(3年(原則)又は5年(中小企業者))を超えて保有する場合。

    • (注)「計画終了」とは、当該計画期間を満了した場合、当該計画を計画期間よりも早期に達成した場合、当該会社が破綻又は実質的に破綻した場合及び当該計画を見直した場合をいう。

  • (2)その他の注意事項

    • マル1 銀行の子会社である投資運用業を行う金融商品取引業者が、投資一任契約に基づき顧客のために議決権を行使し又は議決権の行使について指図を行う株式等に係る議決権は、法第16条の4において銀行の子会社が取得し又は保有する議決権に含まれるものではないことに留意する。

    • マル2 法第16条の2第1項第12号又は第52条の23第1項第11号に規定する「新たな事業分野を開拓する会社として内閣府令で定める会社」(いわゆるベンチャービジネス会社)が行う新事業活動とは、新事業分野開拓が可能となるような新商品の開発又は生産、新役務の開発又は提供、商品の新たな生産又は販売の方式の導入、役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動を指し、研究開発を前提とした創業を行う業種のみならず、サービス業等の業種も対象となる。なお、その該当性の判断に当たっては、地域や業種が勘案されることとなるが、既に相当程度普及している技術・方式の導入等及び研究開発段階にとどまる事業については含まれないことに留意する。

    • マル3 施行規則第17条の2第6項各号に規定する「開始の日」とは、既に事業を行う会社が同項第1号に規定する新事業活動を開始する場合(いわゆる第二創業の場合)に、当該会社がその開始を決定した日をいう。

    • マル4 法第16条の4第7項又は法第52条の24第7項に定める議決権の保有制限の例外の対象となる会社として、施行規則第17条の2第7項各号に掲げる会社の議決権を、基準議決権数を超えて保有することが認められるのは、当該会社の事業再生に係る計画に盛り込まれている資本調達計画に基づき保有した場合であることに留意する。

III -4-9 情報開示(ディスクロージャー)の適切性・十分性

III -4-9-1 意義

情報開示(ディスクロージャー)を充実させることは、銀行の経営の透明性を高め、市場規律により経営の自己規正を促すものであるとともに、預金者の自己責任原則の確立のための基盤としても重要である。開示に期待されるこうした機能が適切に果たされるためには、銀行の経営内容がより正確に反映された財務諸表が作成されることがその前提であり、最近の経済・社会環境の変化等を踏まえ、適切な開示が図られる必要がある。

III -4-9-2 財務報告に係る内部統制

開示に当たって、財務諸表等が適正に作成される内部統制システム(内部監査を含む。)を構築するとともに、それが機能していたかを経営者自らが確認し、そのシステムを不断に見直すことにより、銀行経営のガバナンスが発揮されることが重要である。

有価証券報告書の提出者である銀行においては、代表者が有価証券報告書等に記載された事項が適正であることを確認し、その旨を記載した書面(いわゆる代表者確認書)を有価証券報告書等に添付することが求められるが、この書面作成に当たっては、内部監査の有効性の確認が必要となっている。また、金融商品取引法の施行に伴い、上場会社及び店頭登録会社である銀行においては、平成20年4月1日以後に開始する事業年度より、有価証券報告書等の記載内容が適正である旨を記載した確認書を有価証券報告書、四半期報告書等と併せて提出するとともに、財務報告に係る内部統制の有効性を評価した結果等を記載した報告書(内部統制報告書)についても、事業年度毎に作成する有価証券報告書等と併せて提出する必要がある。

(参考)

  • 財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)(企業会計審議会、平成19年2月15日)
  • Internal Control-Integrated Framework (the Committee of Sponsoring Organization of the Tread way Commission, 1992)
  • 財務諸表の正確性、内部監査の有効性についての経営責任の明確化について(要請)(平成17年10月7日)

III -4-9-3 銀行に求められる開示の類型

  • (1)銀行法上の開示

    銀行法のディスクロージャー義務は、法第20条に基づく「貸借対照表等の公告等」と法第21条に基づく「業務及び財産の状況に関する説明書類の縦覧等」(「ディスクロージャー誌」)の2つの制度から構成されている。

    法第20条の公告は、会社法に基づき株式会社一般に課される決算公告の特則と位置付けられており、リスク管理債権は、この注記事項とされている。

    法第21条に基づき作成される中間事業年度及び事業年度に係る説明書類の開示項目については、内閣府令(施行規則第19条の2及び第19条の3)で明確に定められている(なお、当該項目について、虚偽の記載等をして公衆の縦覧に供した者は法第63条により罰せられる。)。さらに、罰則の適用はないが、法第21条第7項において「預金者その他の顧客が当該銀行及びその子会社等の業務及び財産の状況を知るために参考となるべき事項の開示に努めなければならない。」とされている。

  • (2)「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号、以下「再生法」という。)に基づく開示

    再生法第6条に基づく資産査定の結果は、内閣総理大臣に報告されるとともに、同法第7条の規定により公表されることとなっている。さらに、同法第78条及び第86条の規定により、内閣総理大臣に対する報告に虚偽の記載があった場合には、罰則が適用されることとされている。

    なお、「金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第143号)第3条第2項第1号の規定により、再生法第6条第2項に規定する基準に従い資産の査定を行う必要のある金融機関は、銀行、信託銀行、長期信用銀行、信用金庫、信用協同組合、労働金庫、信金中央金庫、全国信用協同組合連合会、労働金庫連合会、農林中央金庫、信用農業協同組合連合会、信用漁業協同組合連合会及び銀行持株会社等である。

  • (3)金融商品取引法上の開示

    株式を公開している銀行等については、投資家の判断を誤らせないように、法令等に基づき、適切な開示がなされる必要がある。

    したがって、財務諸表の計数の正確性に加え、例えば、マル1平成16年3月期から導入されている「コーポレートガバナンスの状況」、「事業等のリスク」及び「財政状態及び経営成績の分析」に関する情報についての開示の適切性、マル2平成17年3月期から強化される「コーポレートガバナンスの状況」の開示の適切性、については留意を要する。

  • (4)任意開示

    現状では、投資判断に大きな影響を与えている業績予想発表及びその修正発表等は法律に基づかない任意開示である。また、IR(インベスターリレーションズ)活動や広告等の任意の開示も投資家、預金者等にとって重要な判断材料となる。

  •  

(5) 会計基準

  特例会計基準等適用法人等にあっては、Ⅲ-4-9-4に記載されている留意事項について、一部異なる取扱いが存在するので留意すること。

III -4-9-4 開示に当たっての留意事項

III -4-9-4-1 重要性の原則の適用

  • (1)連結の範囲・持分法の適用範囲に関する重要性の原則については、金融商品取引法に基づいて作成する連結財務諸表等はもとより、法に基づいて作成する銀行の中間連結財務諸表・連結財務諸表(法第19条第2項、施行規則第18条第3項及び第4項)、銀行の中間連結貸借対照表等・連結貸借対照表等(法第20条第2項)、銀行持株会社の中間連結財務諸表・連結財務諸表(法第52条の27第1項、施行規則第34条の24第1項及び第2項)、銀行持株会社の中間連結貸借対照表等・連結貸借対照表等(法第52条の28第1項)も対象となることに留意する。

    • (注) 連結して記載する中間事業年度及び事業年度に係る説明書類については施行規則上明定されている(施行規則第19条の3、第34条の26)。

  • (2)その内容については、連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則第5条第2項及び日本公認会計士協会監査委員会報告第52号「連結の範囲及び持分法の適用範囲に関する重要性の原則の適用に係る監査上の取扱い」(平成5年7月21日付)に従っているか。

    また、重要性の判断に当たっては、銀行グループの財政状態及び経営成績を適正に表示させる観点から、量的側面と質的側面の両面で並行的に判断され、金融業を営む個々の子会社等の特性が十分考慮されているか。

III -4-9-4-2 記載項目についての留意事項

  • (1)一般的な留意事項

    • マル1各記載項目については、本監督指針に定めるもののほか、企業内容等の開示に関する内閣府令、連結財務諸表規則等も参考として、適切かつわかりやすい表示がなされているか。

    • マル2各記載項目について自行において該当がない場合、注釈が必要な場合等には、その旨適切な表示がなされているか。

    • マル3施行規則に定められた義務的な開示項目以外の情報を自主的・積極的に開示することは、その内容の正確性・適切性が確保される限り、何ら差し支えないことに留意する。特に、市場の関心の強い分野に係るエクスポージャー等については、国際的なベストプラクティスを踏まえつつ、自行のリスク特性に即した有用な情報を積極的に開示することが望ましい。

  • (2)個別の記載項目についての留意事項

    • マル1「経営の組織」については、組織図等を用いて系統的に分かりやすい説明がなされているか。

    • マル2「主要な業務の内容」には、預金業務、貸出業務、商品有価証券売買業務、有価証券投資業務、内国為替業務、外国為替業務、社債受託及び登録業務、デリバティブ取引等の受託等業務、附帯業務等の区分毎にその内容が記載されているか。

    • マル3「直近の中間事業年度又は事業年度における事業の概況」には、業況、事業実績、損益の状況等についての概括的な説明、自行が対処すべき課題等について説明されているか。

    • マル4「リスク管理の体制」には、リスク内容、リスク管理に対する基本方針及び審査体制・検査体制・ALM管理体制等のリスク管理体制等について記載されているか。

    • マル5「法令遵守の体制」には、法令遵守(コンプライアンス)に対する基本方針及び運営体制について記載されているか。

    • マル6 「中小企業の経営の改善及び地域の活性化のための取組の状況」には、以下の事項等について、利用者等が興味や関心を持てるような具体的で分かりやすい内容が記載されているか。

      • イ.中小企業(小規模事業者を含む。以下このマル6において同じ。)の経営支援に関する取組み方針

      • ロ.中小企業の経営支援に関する態勢整備(外部専門家・外部機関等との連携を含む。)の状況

      • ハ.中小企業の経営支援に関する取組状況(支援内容、外部専門家・外部機関等との連携、取組事例等)

        • a.創業・新規事業開拓の支援

        • b.成長段階における支援

        • c.経営改善・事業再生・業種転換等の支援

      • ニ.地域の活性化に関する取組状況

      (注1)上記ハ及びニの取組状況については、具体的な実績や成果を記載するよう努めているか確認する。

      (注2)上記ニの取組状況については、地域の面的再生への積極的な参画等(地方公共団体・中小企業関係団体・外部機関等との連携を含む。)を具体的に記載しているか確認する。

      (注3)「外部専門家」とは、税理士、弁護士、公認会計士、中小企業診断士、経営指導員等をいう。

      (注4)「外部機関」とは、地方公共団体、経済産業局、商工会議所、商工会、中小企業団体中央会、JETRO、JBIC、地域経済活性化支援機構、東日本大震災事業者再生支援機構、中小企業再生支援協議会、中小企業基盤整備機構、認定経営革新等支援機関、事業再生ファンド、地域活性化ファンド等をいう。

      ※ なお、上記に掲げた事項に限らず、「中小企業の経営の改善及び地域の活性化のための取組の状況」について、各金融機関の自主的な判断により記載事項を追加することを妨げるものではない。

    • マル7銀行単体及び銀行グループに係る「自己資本(基本的項目に係る細目を含む。)の充実の状況」には、決算状況表の「自己資本比率の状況」の内容と同程度のものが記載されているか。

    • マル8「貸倒引当金」については、個別貸倒引当金、一般貸倒引当金及び特定海外債権引当勘定(租税特別措置法第55条の2の海外投資等損失準備金を含む。)毎の内訳も併せて記載されているか。

    • マル9「銀行及びその子会社等の主要な事業の内容及び組織の構成」については、銀行グループにおける主要な事業の内容、当該事業を構成しているグループ会社の当該事業における位置付け等について系統的に分かりやすい説明がなされるとともに、その状況が事業系統図等によって示されているか。

III -4-9-4-3 リスク管理債権額の開示

  • (1) 連結ベースのリスク管理債権額については、中間連結貸借対照表又は連結貸借対照表に基づき銀行及び連結の範囲に含まれる子法人等について作成されているか。

  • (2) 開示区分

  • マル1破綻先債権

    施行規則第19条の2第1項第5号ロ(1)の「元本又は利息の支払の遅延が相当期間継続していることその他の事由により元本又は利息の取立て又は弁済の見込みがないものとして未収利息を計上しなかつた貸出金」については、昭和41年9月5日付国税庁長官通達「金融機関の未収利息の取扱いについて」に基づき未収利息を益金に算入しなかった場合等をいう。

  • マル2延滞債権

    • イ.施行規則第19条の2第1項第5号ロ(2)の「債務者の経営再建又は支援を図ることを目的として利息の支払を猶予したもの」については、「金利棚上げにより未収利息を不計上とした貸出金」をさすものとする。

    • ロ.「延滞債権」に「金利減免」が含まれるかどうかについては、金利減免後の利息回収状況により判断するものとし、金利減免後の未収利息について収益不計上が認められる場合には、「延滞債権」として開示対象債権に含まれることに留意する。

マル3貸出条件緩和債権

    • イ.施行規則第19条の2第1項第5号ロ(4)の「債務者の経営再建又は支援を図ることを目的として」いるかどうかの判定においては、債務者の経営状況及び金融機関の意図等に基づき判断することとし、当該条件変更が、債務者の経営再建又は支援を図ることを目的としていないと認められる場合には、債務者に有利となる取決めを行っている場合であっても、貸出条件緩和債権には該当しないことに留意する。

      (注) 債務者の経営再建又は支援を図る目的の有無については、単に融資形態のみをもって判断するのではなく、債務者の状況や資金の性格等を総合的に勘案して判断する必要がある。例えば、書換えが継続している手形貸付であっても、いわゆる正常運転資金については、そもそも債務者の支援を目的とした期限の延長ではないことから、貸出条件緩和債権には該当しないことに留意する。

    • ロ.施行規則第19条の2第1項第5号ロ(4)の「債務者に有利となる取決め」とは、債権者と債務者の合意によるものか法律や判決によるものであるかは問わないことに留意する。また、その具体的な事例としては、例えば、以下のような約定条件の改定を行った債権又はその組み合わせで、かつ当該債務者に関する他の貸出金利息、手数料、配当等の収益、担保・保証等による信用リスク等の増減、競争上の観点等の当該債務者に対する取引の総合的な採算を勘案して、当該貸出金に対して、基準金利(当該債務者と同等な信用リスクを有している債務者に対して通常適用される新規貸出実行金利をいう。)が適用される場合と実質的に同等の利回りが確保されていない債権が考えられるが、これらにかかわらず施行規則の定義に合致する貸出金は開示の対象となることに留意する。

      • a.金利減免債権:金利を引き下げた貸出金

      • b.金利支払猶予債権:金利の支払を猶予した貸出金

      • c.経営支援先に対する債権:債権放棄やDES(デット・エクイティ・スワップ)などの支援を実施し、今後も再建計画の実施に際し追加的支援の蓋然性が高い債務者に対する貸出金

      • d.元本返済猶予債権:元本の支払を猶予した貸出金

      • e.一部債権放棄を実施した債権:私的整理における関係者の合意や会社更生、民事再生手続における認可決定等に伴い、元本の一部又は利息債権の放棄を行った貸出金の残債

      • f.代物弁済を受けた債権:債務の一部弁済として、不動産や売掛金などの資産を債務者が債権者に引き渡した貸出金(担保権の行使による引き渡しを含む。)の残債

      • g.債務者の株式を受け入れた債権:債務の一部弁済として、債務者の発行した株式を受領した貸出金の残債。ただし、当初の約定に基づき貸出金を債務者の発行した株式に転換した場合は除く。

      • (注) 上記の事例に係る判定に当たっては、例えば、以下の点に留意する。

        • 適用金利が基準金利を下回る場合であっても、金利の減免や元本支払猶予等の貸出条件の変更を行っていない貸出金であれば、貸出条件緩和債権には該当しないこと

        • ただし、金利の減免や元本支払猶予等の貸出条件の変更を行っていない貸出金であっても、新規貸出時に、債務者の経営状況、資金使途、及び設定された貸出条件等からして、実質的に当該債務者に対する既存債権の条件緩和、又は既存の条件緩和債権の返済を目的として実施されたものであることが明らかな場合は、貸出条件緩和債権に該当すること

        • 基準金利は経済合理性に従って設定されるべきであること

          具体的には、

          • ・設定に際し、信用リスクに基づく適切かつ精緻な区分を設け、その区分に応じた新規貸出約定平均金利を基準金利とすること
          • ・ただし、新規貸出約定平均金利が、その区分において、信用リスク等に見合ったリターンが確保されている旨を合理的・客観的に証明できる方法により求めた金利を著しく下回る場合には、当該方法により求めた金利を基準金利とすること
        • 四 開示の判断は、「c.経営支援先に対する債権」の場合は債務者単位で行うこと。また、「e.一部債権放棄を実施した債権」、「f.代物弁済を受けた債権」及び「g.債務者の株式を受け入れた債権」であって、開示を逃れるために意図的に債権を分割していると認められる場合は、当該債務者に対する分割をする前の当該貸出金の残債を開示する必要がある。これらの場合を除いては、個々の債権単位で開示の判断を行うこと

        • 五 特に債務者が中小企業である場合は、当該企業の財務状況のみならず、当該企業の技術力、販売力や成長性、代表者等の役員に対する報酬の支払状況、代表者等の収入状況や資産内容、保証状況と保証能力等を総合的に勘案し、当該企業の経営実態を踏まえて区分すること

        • 六 条件変更を実施している債権であっても、当該企業が保有する資産の売却等の見通しが確実であり、それにより返済財源が確保されている場合等には、信用リスクそのものが軽減されていること

III -4-9-4-4 再生法開示債権の開示区分

再生法施行規則第4条に定める基準に従い、以下のとおり区分する。ただし、その際には、以下に掲げる基準を機械的・画一的に適用するのではなく、債務者の実態的な財務内容、資金繰り、収益力等により、その返済能力を検討し、債務者に対する貸出条件及びその履行状況を確認の上、業種等の特性を踏まえ、事業の継続性と収益性の見通し、キャッシュフローによる債務償還能力、経営改善計画等の妥当性、金融機関等の支援状況等を総合的に勘案した上で、区分することが適当である(再生法第6条第2項参照)。特に債務者が中小企業である場合は、当該企業の財務状況のみならず、当該企業の技術力、販売力や成長性、代表者等の役員に対する報酬の支払状況、代表者等の収入状況や資産内容、保証状況と保証能力等を総合的に勘案し、当該企業の経営実態を踏まえて区分することが適当である。

(注)再生法開示債権の開示対象についても、再生法施行規則第4条に定める基準に従う。なお、仮払金については貸出金に準ずるもの(支払承諾に基づき代位弁済を行ったことにより発生する求償権及び貸出金と関連のある仮払金)として差し支えない。

  • マル1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権

  •    破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、「破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権」をいい、破産、清算、会社更生、民事再生、手形交換所の取引停止処分等の事由により経営破綻に陥っている債務者のほか、深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しがない状況にあると認められるなど実質的に経営破綻に陥っている債務者に対する債権である。なお、特定調停法の規定による特定調停の申立てについては、申立が行われたことをもって経営破綻に陥っているものとはしないこととし、当該債務者の経営実態を踏まえて判断する。
     具体的には、事業を形式的に継続しているが、財務内容において多額の不良債権を内包し、あるいは債務者の返済能力に比して明らかに過大な借入金が残存し、実質的に大幅な債務超過の状態に相当期間陥っており、事業好転の見通しがない状況、天災、事故、経済情勢の急変等により多大な損失を被り(あるいは、これらに類する事由が生じており)、再建の見通しがない状況で、元金又は利息について実質的に長期間延滞(原則として6カ月以上延滞しており、一過性の延滞とは認められないものをいう。)している債務者や、自主廃業により営業所を廃止しているなど、実質的に営業を行っていないと認められる債務者に対する債権が含まれる。
     このほか、経営改善計画等の進捗状況が計画を大幅に下回っており、今後も急激な業績の回復が見込めず、経営改善計画等の見直しが行われていない場合、又は一部の取引金融機関において経営改善計画等に基づく支援を行うことについて合意が得られない場合で、今後、経営破綻に陥る可能性が確実と認められる債務者については、「深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しがない状況にある」ため、破産更生債権及びこれらに準ずる債権に該当するものと判断して差し支えない。

  • マル2 危険債権

  •    危険債権とは、「債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権」をいい、現状、経営破綻の状況にはないが、経営難の状態にあり、経営改善計画等の進捗状況が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる債務者(金融機関等の支援継続中の債務者を含む)に対する債権である。
     具体的には、現状、事業を継続しているが、実質債務超過の状態に陥っており、業況が著しく低調で貸出金が延滞状態にあるなど元本及び利息の最終の回収について重大な懸念があり、従って損失の発生の可能性が高い状況で、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる債務者に対する債権をいう。
     なお、会社更生法、民事再生法等の規定による更生計画等の認可決定が行われた債務者に対する債権については、危険債権と判断して差し支えない。さらに、更生計画等の認可決定が行われている債務者については、以下の要件のいずれかを充たしている場合には、更生計画等が合理的であり、その実現可能性が高いものと判断し、当該債務者に対する債権は要管理債権又は正常債権に該当するものと判断して差し支えない。

    • イ. 更生計画等の認可決定後、当該債務者が、原則として概ね5年以内に、業況が良好であり、かつ、財務内容にも特段の問題がないと認められる状態(当該債務者が金融機関等の再建支援を要せず、自助努力により事業の継続性を確保することが可能な状態となる場合は、金利減免・棚上げを行っているなど貸出条件に問題のある状態、元本返済若しくは利息支払いが事実上延滞しているなど履行状況に問題がある状態のほか、業況が低調ないしは不安定な債務者又は財務内容に問題がある状態など今後の管理に注意を要する状態を含む。)となる計画であり、かつ、更生計画等が概ね計画どおりに推移すると認められること。

    • ロ. 当該債務者が、5年を超え概ね10年以内に、業況が良好であり、かつ、財務内容にも特段の問題がないと認められる状態(当該債務者が金融機関等の再建支援を要せず、自助努力により事業の継続性を確保することが可能な状態となる場合は、金利減免・棚上げを行っているなど貸出条件に問題のある状態、元本返済若しくは利息支払いが事実上延滞しているなど履行状況に問題がある状態のほか、業況が低調ないしは不安定な債務者又は財務内容に問題がある状態など今後の管理に注意を要する状態を含む。)となる計画であり、かつ、更生計画等の認可決定後一定期間が経過し、更生計画等の進捗状況が概ね計画以上であり、今後も概ね計画どおりに推移すると認められること。

  • マル3 要管理債権

  •    要管理債権とは、金利減免・棚上げを行っているなど貸出条件に問題のある債務者、元本返済若しくは利息支払いが事実上延滞しているなど履行状況に問題がある債務者のほか、業況が低調ないしは不安定な債務者又は財務内容に問題がある債務者など今後の管理に注意を要する債務者に対する債権のうち、「三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権」をいう。
     なお、形式上は延滞が発生していないものの、実質的に三ヶ月以上延滞している債権も、要管理債権に該当する。実質的な延滞債権となっているかどうかは、返済期日近くに実行された貸出金の資金使途が元金又は利息の返済原資となっていないか等により判断する。
     金融機関等の支援を前提として経営改善計画等が策定されている債務者については、以下の全ての要件を充たしている場合には、経営改善計画等が合理的であり、その実現可能性が高いものと判断し、当該債務者に対する債権は要管理債権又は正常債権に該当するものと判断して差し支えない(当該計画を「合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画」という。)。
     なお、債務者が中小企業である場合、企業の規模、人員等を勘案すると、大企業の場合と同様な大部で精緻な経営改善計画等を策定できない場合がある。債務者が経営改善計画等を策定していない場合であっても、例えば、今後の資産売却予定、役員報酬や諸経費の削減予定、新商品等の開発計画や収支改善計画等のほか、債務者の実態に即して金融機関が作成・分析した資料を踏まえて債権区分の判断を行うことが必要である。
     また、債務者が中小企業である場合、必ずしも精緻な経営改善計画等を作成できないことから、景気動向等により、経営改善計画等の進捗状況が計画を下回る(売上高等及び当期利益が事業計画に比して概ね8割に満たない)場合がある。その際には、経営改善計画等の進捗状況のみをもって機械的・画一的に判断するのではなく、計画を下回った要因について分析するとともに、今後の経営改善の見通し等を検討することが必要である(ただし、経営改善計画の進捗状況が計画を大幅に下回っている場合には、「合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画」とは取り扱わない)。なお、経営改善計画等の進捗状況や今後の見通しを検討する際には、バランスシート面についての検討も重要であるが、キャッシュフローの見通しをより重視することが適当である。
     このほか、債務者が制度資金を活用して経営改善計画等を策定しており、当該経営改善計画等が国又は都道府県の審査を経て策定されている場合には、債務者の実態を踏まえ、国又は都道府県の関与の状況等を総合的に勘案して判断する。
     本基準は、あくまでも経営改善計画等の合理性、実現可能性を検証するための目安であり、債権区分を検討するに当たっては、本基準を機械的・画一的に適用すべきものではない。

    • イ. 経営改善計画等の計画期間が原則として概ね5年以内であり、かつ、計画の実現可能性が高いこと。
       ただし、経営改善計画等の計画期間が5年を超え概ね10年以内となっている場合で、経営改善計画等の策定後、経営改善計画等の進捗状況が概ね計画どおり(売上高等及び当期利益が事業計画に比して概ね8割以上確保されていること)であり、今後も概ね計画どおりに推移すると認められる場合を含む。

    • ロ. 計画期間終了後の当該債務者の業況が良好であり、かつ、財務内容にも特段の問題がないと認められる状態(ただし、計画期間終了後の当該債務者が金融機関等の再建支援を要せず、自助努力により事業の継続性を確保することが可能な状態となる場合は、金利減免・棚上げを行っているなど貸出条件に問題のある状態、元本返済若しくは利息支払いが事実上延滞しているなど履行状況に問題がある状態のほか、業況が低調ないしは不安定な債務者又は財務内容に問題がある状態など今後の管理に注意を要する状態を含む。)となる計画であること。

    • ハ. 全ての取引金融機関等において、経営改善計画等に基づく支援を行うことが合意されていること。
       ただし、単独で支援を行うことにより再建が可能な場合又は一部の取引金融機関等が支援を行うことにより再建が可能な場合は、当該支援金融機関等が経営改善計画等に基づく支援を行うことについて合意されていれば足りるものと判断する。

    • ニ. 金融機関等の支援の内容が、金利減免、融資残高維持等に止まり、債権放棄、現金贈与などの債務者に対する資金提供を伴うものではないこと。
       ただし、経営改善計画等の開始後、既に債権放棄、現金贈与などの債務者に対する資金提供を行い、今後はこれを行わないことが見込まれる場合、及び経営改善計画等に基づき今後債権放棄、現金贈与などの債務者に対する資金提供を計画的に行う必要があるが、既に支援による損失見込額を全額引当金として計上済で、今後は損失の発生が見込まれない場合を含む。
       なお、制度資金を利用している場合で、当該制度資金に基づく国が補助する都道府県の利子補給等は債権放棄等には含まれないことに留意する。

    • マル4 正常債権

    •    正常債権とは、「債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、破産更生債権及びこれらに準ずる債権、危険債権、要管理債権以外のものに区分される債権」をいう。
       なお、国、地方公共団体及び被管理金融機関に対する債権は正常債権に該当する。

III -4-9-4-5 自己資本の充実の状況等の開示(施行規則第19条の2第1項第5号ニ、第19条の3第1項第3号ハ、第19条の5、第34条の26第1項第4号ハ、及び第34条の27の2関係)

自己資本比率規制の第3の柱(市場規律)に基づく自己資本の充実の状況等の開示は、第1の柱(最低所要自己資本比率)及び第2の柱(金融機関の自己管理と監督上の検証)を補完し、市場による外部評価の規律づけにより金融機関の経営の健全性を維持することを目的としており、開示告示に従って、以下の事項に留意し、適切に実施される必要がある。また、金融機関は、開示の対象となる情報の重要性に照らしつつ、利用者にとって有益な情報開示のあり方を検討する必要がある。情報開示の省略等が当該情報の利用者による経済的な意思決定を変更させる可能性のある情報については、その適切な開示に特に留意するものとする。

ただし、財産的価値を有する情報及び守秘義務に係る情報については、これらの情報を公開することで銀行の地位に大きな損害を与えるおそれがある場合には、当該項目に関するより一般的な情報とともに、その特定の情報項目が開示されなかった事実及びその理由を開示することで差し支えないものとする。

(注)Ⅲ-4-9-4-5は、主に銀行が単体の自己資本比率を算出するに当たっての開示事項を定めたものであり、銀行が連結の自己資本比率を算出する場合や銀行持株会社が連結の自己資本比率を算出する場合には、適宜読み替えて適用するものとする。

  • (1) 定性的な開示事項 【国際統一基準行・国際統一基準持株会社】

    • マル1 「連結の範囲に関する次に掲げる事項」について

      • イ.「連結自己資本比率を算出する対象となる会社の集団(連結グループ)に属する会社と連結財務諸表規則第5条に規定する連結の範囲(会計連結範囲)に含まれる会社との相違点及び当該相違点の生じた原因」

        • ・ 告示第3条又は「銀行法第五十二条の二十五の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(以下「持株自己資本比率告示」という。)第3条の規定に従った場合と連結財務諸表規則に基づく場合の連結の範囲及び方法の違い(例えば、連結、持分法適用、比例連結等)

        • ・ 連結の範囲及び方法の違いが生じた原因

      • ロ.「連結グループに属する会社であって会計連結範囲に含まれないもの及び連結グループに属しない会社であって会計連結範囲に含まれるものの名称、貸借対照表の総資産の額及び純資産の額並びに主要な業務の内容」には、一覧表示等の方法により、同じ取扱いを受けるものの区分ごとに、それらの名称、貸借対照表の総資産の額及び純資産の額並びに主要な業務の内容

    • マル2 「銀行全体のリスクの特性並びにリスク管理の方針、手続及び体制の概要」

      • イ.銀行のビジネスモデルとリスクプロファイルとの整合性がどのように確保されているかの説明(例えば、ビジネスモデルに係る主要なリスクの説明と、その主要なリスクが、それぞれのリスクカテゴリーのなかでどのように管理され、開示されているかの説明等)及び銀行のリスクプロファイルが、取締役会で承認されたリスク許容量とどのように関連付けられているかの説明

      • ロ.リスク・ガバナンス体制。例えば、銀行内における責任の所在(それぞれの権限、権限の委譲、リスクカテゴリー別及び事業部門別の責任の分担等)、リスク管理プロセスに関与する組織、部門間の関係(取締役会、取締役、各リスク委会、各リスク管理部門、コンプライアンス部門、内部監査部門等)

      • ハ.銀行内でリスク文化を醸成するための方法(行動規範、リミットの管理方法や抵触した場合の手続、業務担当者(ビジネスライン)とリスク管理部署との間でリスクに係る課題を提起、共有するための手続等)

      • ニ.リスク計測システムの対象範囲と主な特徴

      • ホ.取締役及び取締役会等へのリスク情報の報告手続き。特に、エクスポージャーに関する報告の範囲と主な内容

      • ヘ.ストレス・テストに関する定性的情報(ストレス・テストの対象となるポートフォリオ、採用したシナリオと使用した手法、リスク管理におけるストレス・テストの利用等)

      • ト.銀行のビジネスモデルから生じるリスクを管理、ヘッジ、削減するための戦略と手順、ヘッジと削減策の継続的な有効性をモニタリングするための手順

    • マル3 「信用リスクに関する次に掲げる事項」

      • イ.「リスクの特性並びにリスク管理の方針、手続及び体制の概要」

        • ・ ビジネスモデルに基づいた信用リスクプロファイルの説明

        • ・ 信用リスク管理方針を決定し、信用リスク限度額を設定する基準と方法

        • ・ 信用リスク管理・コントロールに関する体制と組織

        • ・ 信用リスク管理部門、与信管理部門、コンプライアンス部門、内部監査部門の関係

        • ・ 信用リスクエクスポージャーと信用リスクの管理機能に係る報告の範囲と主な内容

      • ロ.「会計上の引当て及び償却に関する基準の概要」

        • ・ 引当て・償却の方針及び方法(信用格付付与、債務者区分、債権区分、資産分類の概要(区分の定義、区分方法及び対象資産の範囲に関する説明を含む。)と引当て・償却の額の算定方法を含む。)

        • ・ 債権を危険債権以下に区分しない(あるいは破綻懸念先以下に区分されている先に対する債権と判定しない)ことを許容する三月以上延滞債権の延滞日数の程度、及びその理由

        • ・ 貸出条件の緩和を実施した債権(三月以上延滞債権及び危険債権以下に該当するものを除く)の定義(三月以上延滞債権及び危険債権以下に区分しない条件、貸出条件の緩和を実施したことに伴い引当金の額を増加させる条件の説明を含む。)

        • ・ 引当金及び自己資本比率それぞれの算定に利用する信用リスクのパラメーターの主要な差異(デフォルトの定義やパラメーターの算出方法の差異を含む。差異がない場合は差異がないことの説明を含む。)

      • ハ.「標準的手法採用行にあっては、エクスポージャーの種類ごとのリスク・ウェイトの判定に使用する適格格付機関等の名称」については、告示第51条第1項又は持株自己資本比率告示第29条第1項に基づき、個別格付が付与されていない債権に、当該債務者が負っている他の債務の個別格付を適用している場合、その適用に当たっての運用プロセス及び適用状況の説明

      • ニ.「内部格付手法採用行にあっては、次に掲げる事項」のうち、「内部格付制度の概要及び当該制度に関する次に掲げる事項の概要」

        • a.「資産区分ごとの格付付与手続」については、各ポートフォリオにおいて用いられる主なモデルの数、同一のポートフォリオに含まれるモデル間の主な差異に関する説明

        • b.「パラメーター推計及びその検証体制」

          • ・ PD:推計と検証のための定義、方法、データに係る説明(デフォルトの可能性が低いポートフォリオ(LDP:Low Default Portfolio)のPDの推計方法、規制上のフロアの適用状況、少なくとも過去3期分のPDの推計値と実績デフォルト率の間の差異の主な要因等)

          • ・ LGD:景気後退期LGDの推計方法、LDPのLGDの推計方法、デフォルト時からエクスポージャーの清算(終結)までに要する期間に係る説明等

          • ・ EAD:EAD推計に当たって用いられた前提や仮定等

        • c. 「内部格付制度並びに使用するモデルの開発及び管理等に係る運営体制」

          • ・ 使用するモデルの開発、承認、変更手続きを行う部門の役割

          • ・ リスク管理部門と内部監査部門との関係、モデルの検証機能がモデル開発から独立していることを確保する手続

          • ・ モデルに係る報告の範囲と主な内容

    • マル4 「信用リスク削減手法に関するリスクの特性並びにリスク管理の方針、手続及び体制の概要」

      • イ.ネッティングを利用する方針及びプロセスの基本的な特徴並びにネッティングの利用状況に係る説明

      • ロ.担保評価・担保管理の方針・プロセスの基本的な特徴

      • ハ.使用する信用リスク削減手法におけるマーケット・リスク又は信用リスクの集中状況に関する説明(例えば、保証人の種類別、担保の種類別又はクレジット・デリバティブにおけるプロテクションの提供者別にエクスポージャーを集計したときの、特定の区分へのエクスポージャーの集中状況)

    • マル5 「派生商品取引及びレポ形式の取引等の相手方に対する信用リスクに関するリスクの特性並びにリスク管理の方針、手続及び体制の概要」

      • イ.カウンターパーティ及び中央清算機関に対するエクスポージャーに関するリスク資本及び与信限度枠の割当方法に関する方針

      • ロ.担保、保証、ネッティングその他の信用リスク削減手法に関する評価並びに担保等の管理の方針及び処分手続の概要

      • ハ.誤方向リスクの特定、モニタリング及び管理のための方針

      • ニ.自行の信用力悪化により担保を追加的に提供することが必要となる場合の影響度に関する説明

    • マル6 「証券化取引に係るリスクに関する次に掲げる事項」

      • イ.「リスクの特性並びにリスク管理の方針、手続及び体制の概要」については、銀行の証券化取引についての方針(証券化によるリスク移転の程度及びリスクの種類を含む。)(銀行勘定と特定取引勘定を区別すること。また、再証券化取引を行っている場合は、区別すること。以下このマル6において同じ。)

      • ロ.「体制の整備及びその運用状況の概要」については、再証券化エクスポージャーを保有している場合は、証券化エクスポージャーとの差異

      • ハ.「証券化目的導管体の名称及び当該証券化取引に係る証券化エクスポージャーを保有しているかどうかの別」については、少なくとも当事業年度に行った証券化取引のほか、銀行が自己資本比率を算出する上で当該証券化目的導管体を連結の範囲に含めているかどうかの別

      • ニ.「連結自己資本比率を算出する対象となる会社の集団の子法人等及び関連法人等のうち、当該連結グループが行った証券化取引に係る証券化エクスポージャーを保有し、かつ、当該連結グループがその経営に関与し又は助言を提供しているものの名称」については、少なくとも当事業年度に行った証券化取引

      • ホ.「内部評価方式を使用している場合には、その概要」

        • ・ 内部評価のプロセス及び内部評価のプロセスを統制する仕組み(統制を行う者の独立性、説明責任、内部評価のプロセスに対する評価結果等を含む。)

        • ・ 内部評価と適格格付機関の付与する外部格付との関係(当該適格格付機関についての情報も含む。)

        • ・ 所要自己資本の計算目的以外の内部評価の利用方法

        • ・ 内部評価方式が適用される証券化エクスポージャーの種類及びエクスポージャーの種類毎の信用補完の水準を定めるためのストレス・ファクター

    • マル7 「マーケット・リスクに関する次に掲げる事項」

      • イ.「リスクの特性並びにリスク管理の方針、手続及び体制の概要」

        • ・ 銀行のトレーディング活動の戦略目標及びマーケット・リスク管理のプロセス

        • ・ マーケット・リスク管理部署の体制及び役割

        • ・ リスク量に関する報告及び計測システムの範囲と主な内容

      • ロ.「内部モデル方式を使用する場合におけるモデルの概要及び適用範囲」

        • a.バリュー・アット・リスク及びストレス・バリュー・アット・リスク

          • ⅰ)内部モデル方式の適用範囲(リスクカテゴリーの別、拠点の別又は個別リスク若しくは一般市場リスクの別)

          • ⅱ)グループ内の異なる拠点において、複数のモデルを使用している場合には、拠点別の使用しているモデルに関する説明

          • ⅲ)モデルの概要

          • ⅳ)内部管理に用いるモデルと規制上のモデルに差異がある場合には、その差異に関する説明

          • ⅴ)バリュー・アット・リスクに関する以下の事項

            • ・ ヒストリカル・データの更新頻度

            • ・ ヒストリカル・データの観測期間

            • ・ ヒストリカル・データの重み付けの方法

            • ・ 10営業日を下回る保有期間によって算出したバリュー・アット・リスクについては保有期間の換算方法

            • ・ バリュー・アット・リスクの合算方法(一般市場リスクと個別リスクの合算、リスク・ファクター間の合算等)

            • ・ 価格再評価の手法(フルバリュエーション法、センシティビティ法等)

            • ・ リスク・ファクターの変動の捕捉(絶対リターン、相対リターン等)

          • ⅵ)ストレス・バリュー・アット・リスクに関する以下の事項

            • ・ ストレス期間の選定方法とその根拠

            • ・ 価格再評価の手法(フルバリュエーション法、センシティビティ法等)

            • ・ 10営業日を下回る保有期間によって算出したストレス・バリュー・アット・リスクについては保有期間の換算方法

          • ⅶ)ストレス・テストに関する説明

          • ⅷ)バックテスティングに関する説明

          • ⅸ)内部モデルに使用するパラメーターの検証体制

          • ⅹ)その他モデル検証手法に関する説明

        • b.追加的リスク

          • ⅰ)モデルの概要

          • ⅱ)デフォルト及び格付遷移の織り込み方法

          • ⅲ)各種パラメーターの推定方法(PD/LGD、遷移確率、相関等)

          • ⅳ)流動性ホライズンの設定方法に関する説明

          • ⅴ)モデル検証手法

        • c.包括的リスク

          • ⅰ)モデルの概要

          • ⅱ)デフォルト及び格付遷移の織り込み方法

          • ⅲ)各種パラメーターの推定方法(PD/LGD、遷移確率、相関等)

          • ⅳ)流動性ホライズンの設定方法に関する説明

          • ⅴ)モデル検証手法

    • マル8 「オペレーショナル・リスクに関する次に掲げる事項」のうち、「リスク管理の方針及び手続の概要」については、リスクを確実に認識し、評価・計測し、報告するための体制

    • マル9 「出資その他これに類するエクスポージャー又は株式等エクスポージャーに関するリスクの特性並びにリスク管理の方針、手続及び体制の概要」

      • イ.リスクを確実に認識し、評価・計測し、報告するための体制

      • ロ.その他有価証券、子会社株式及び関連会社株式の区分ごとのリスク管理の方針

      • ハ.株式等エクスポージャーの評価等重要な会計方針(会計方針を変更した場合については、財務諸表規則第8条の3に準じた事項を含む。)

    • マル10 「金利リスクに関する次に掲げる事項」

      • イ.「リスク管理の方針及び手続の概要」

        • ・ リスク管理及び計測の対象とする金利リスクの考え方及び範囲に関する説明

        • ・ リスク管理及びリスク削減の方針に関する説明

        • ・ 金利リスク計測の頻度

        • ・ ヘッジ等金利リスクの削減手法(ヘッジ手段の会計上の取扱いを含む)に関する説明

      • ロ.「金利リスクの算定手法の概要」

        • ・ 開示告示に基づく定量的開示の対象となるΔEVE及びΔNII(銀行勘定の金利リスクのうち、金利ショックに対する算出基準日から12ヶ月を経過する日までの間の金利収益の減少額として計測されるものであって、開示告示に定められた金利ショックにより計算されるものをいう。以下このマル10において同じ。)並びに銀行がこれらに追加して自ら開示を行う金利リスクに関する以下の事項

          • ― 流動性預金に割り当てられた金利改定の平均満期

          • ― 流動性預金に割り当てられた最長の金利改定満期

          • ― 流動性預金への満期の割当て方法(コア預金モデル等)及びその前提

          • ― 固定金利貸出の期限前返済や定期預金の早期解約に関する前提

          • ― 複数の通貨の集計方法及びその前提

          • ― スプレッドに関する前提(計算にあたって割引金利やキャッシュフローに含めるか否か等)

          • ― 内部モデルの使用等、ΔEVE及びΔNIIに重大な影響を及ぼすその他の前提

          • ― 前事業年度末の開示からの変動に関する説明

          • ― 計測値の解釈や重要性に関するその他の説明

        • ・ 銀行が、自己資本の充実度の評価、ストレス・テスト、リスク管理、収益管理、経営上の判断その他の目的で、開示告示に基づく定量的開示の対象となるΔEVE及びΔNII以外の金利リスクを計測している場合における、当該金利リスクに関する以下の事項

          • ― 金利ショックに関する説明

          • ― 金利リスク計測の前提及びその意味(特に、開示告示に基づく定量的開示の対象となるΔEVE及びΔNIIと大きく異なる点)

    • マル11 「貸借対照表の科目が別紙様式第一号に記載する項目のいずれに相当するかについての説明」
       本項目の記載に当たっては、バーゼル銀行監督委員会「資本構成の開示要件」(2012年6月)の趣旨を十分に踏まえる。

      • イ.自己資本の構成に関する開示事項のうち、貸借対照表(連結自己資本比率を算出する銀行が、連結自己資本比率に関する定性的な開示事項として本項目を記載する場合は、告示第3条又は持株自己資本比率告示第3条の規定に従い、連結財務諸表を作成したと仮定した場合における連結貸借対照表をいう。以下このマル11において同じ。)に表示される科目の一部を構成するものが存在する場合には、当該内訳部分とその額

      • ロ.貸借対照表に表示される科目又は上記イ.の内訳部分が自己資本の構成に関する開示項目のいずれに相当するかを判別するための参照番号、記号及びその他の必要な説明

      • ハ.連結自己資本比率を算出する銀行が、連結自己資本比率に関する定性的な開示事項として本項目を記載する場合において、告示第3条又は持株自己資本比率告示第3条の規定に従い、連結財務諸表を作成したと仮定した場合における連結貸借対照表の内容が連結財務諸表規則に基づき作成した連結貸借対照表の内容と異なる場合には、その差異

    • マル12 「自己資本比率規制上のエクスポージャーの額と貸借対照表計上額との差異及びその要因に関する説明」

      • イ.開示告示別紙様式第2号第2面で複数のリスク区分にまたがる勘定科目やリスク区分との紐づけが困難な勘定科目についての定性的な説明

      • ロ.自己資本比率規制上のエクスポージャーの額と貸借対照表計上額との差異について、開示告示別紙様式第2号第3面で示される主要な差異項目の説明

  • (2) 定性的な開示事項 【国内基準行・国内基準持株会社】

    • マル1 「連結の範囲に関する次に掲げる事項」について

      • イ.「連結自己資本比率を算出する対象となる会社の集団(連結グループ)に属する会社と会計連結範囲に含まれる会社との相違点及び当該相違点の生じた原因」には、以下の内容が記載されているか。

        • ・ 告示第26条又は持株自己資本比率告示第15条の規定に従った場合と連結財務諸表規則に基づく場合の連結の範囲及び方法の違い(例えば、連結、持分法適用、比例連結等)

        • ・ 連結の範囲及び方法の違いが生じた原因

      • ロ.「連結グループに属する会社であって会計連結範囲に含まれないもの及び連結グループに属しない会社であって会計連結範囲に含まれるものの名称、貸借対照表の総資産の額及び純資産の額並びに主要な業務の内容」には、同じ取扱いを受けるものの区分ごとに、それらの名称、貸借対照表の総資産の額及び純資産の額並びに主要な業務の内容が、一覧表示等の方法により適切に記載されているか。

    • マル2 「自己資本調達手段の概要」には、告示第25条若しくは第37条又は持株自己資本比率告示第14条の算式における「自己資本の額」にその発行額の全部又は一部が含まれる自己資本調達手段(経過措置により自己資本の額に含まれる適格旧非累積的永久優先株及び適格旧資本調達手段を含む。)に係る以下の情報を記載しているか。

      • ・ 発行主体

      • ・ 資本調達手段の種類

      • ・ コア資本に係る基礎項目の額に算入された額

      (以下は該当する場合に記載)
      • ・ 配当率又は利率(公表されている場合)

      • ・ 償還期限がある場合は、その旨及び日付

      • ・ 一定の事由が生じた場合に償還等を可能とする特約がある場合は、その概要(初回償還可能日、償還金 額、対象となる事由等)

      • ・ 他の種類の資本調達手段への転換に係る特約がある場合は、その概要

      • ・ 元本の削減に係る特約がある場合は、その概要

      • ・ 配当等停止条項がある場合は、その旨及び停止した未払の配当又は利息に係る累積の有無

      • ・ ステップ・アップ金利等に係る特約その他の償還等を行う蓋然性を高める特約がある場合は、その概要

    • マル3 「信用リスクに関する次に掲げる事項」について

      • イ.「リスク管理の方針及び手続の概要」には、以下の内容が記載されているか。

        • ・ リスクを確実に認識し、評価・計測し、報告するための態勢

        • ・ 貸倒引当金の計上基準

        • ・ 信用リスクの算出に当たり、基礎的内部格付手法あるいは先進的内部格付手法を採用しているにもかかわらず、銀行が採用していない手法を部分的に適用している場合には、各手法が適用されるエクスポージャーの性質及びエクスポージャーを適切な手法に完全に移行させるための計画の説明

      • ロ.「エクスポージャーの種類ごとのリスク・ウェイトの判定に使用する適格格付機関等の名称」について、すべての法人等向けエクスポージャー(中小企業等向けエクスポージャーを除く。) に100%のリスク・ウェイトを適用している場合には、それを開示しているか。

      • ハ.「内部格付手法が適用されるポートフォリオについて、次に掲げる事項」について

        • a.「使用する内部格付手法の種類」について、内部格付手法について段階的適用を行う場合は、移行期間を記載しているか。

        • b.「内部格付制度の概要」には、以下の内容が記載されているか。

          • ・ 内部格付制度の構造(内部格付を付与するに当たり、外部格付を主要な要素として用いている場合は、両者の関係についての説明を含む。)

          • ・ 自己資本比率算出目的以外での各種推計値の利用状況

          • ・ 内部格付制度の管理と検証手続

      • ニ.「次に掲げるポートフォリオごとの格付付与手続の概要」には、各ポートフォリオについて以下の内容が記載されているか。

        • ・ 各ポートフォリオに含まれるエクスポージャーの種類

        • ・ PD(先進的内部格付手法を採用している場合には加えてLGD及びEAD)の推計及び検証に用いた定義、方法及びデータ(これらの変数の導出に用いられた前提を含む。)

        • ・ 告示及び持株自己資本比率告示で定められたデフォルトの定義との相違点が存在し、かつ、当該相違点が重要であると判断される場合には、当該相違点の内容に関する説明(当該相違点が影響を与えるポートフォリオの種類の説明を含む。)

    • マル4 「信用リスク削減手法に関するリスク管理の方針及び手続の概要」には、以下の内容が記載されているか。

      • ・ 貸出金と自行預金の相殺を用いるに当たっての方針及び手続の概要並びにこれを用いている取引の種類、範囲等

      • ・ 派生商品取引及びレポ形式の取引について法的に有効な相対ネッティング契約を用いるに当たっての方針及び手続の概要並びにこれを用いている取引の種類、範囲等

      • ・ 担保に関する評価、管理の方針及び手続の概要

      • ・ 主要な担保の種類

      • ・ 保証人及びクレジット・デリバティブの主要な取引相手の種類及びその信用度の説明

      • ・ 信用リスク削減手法の適用に伴う信用リスク及びマーケット・リスクの集中に関する情報

    • マル5 「派生商品取引及び長期決済期間取引の取引相手のリスクに関するリスク管理の方針及び手続の概要」には、以下の内容が記載されているか。

      • ・ リスク資本及び与信限度枠の割当方法に関する方針

      • ・ 担保による保全及び引当金の算定に関する方針

      • ・ 自行の信用力の悪化により担保を追加的に提供することが必要となる場合の影響度に関する説明

    • マル6 「証券化エクスポージャーに関する次に掲げる事項」について

      • イ.「リスク管理の方針及びリスク特性の概要」には、以下の内容が記載されているか。

        • ・ リスクを確実に認識し、評価・計測し、報告するための態勢

        • ・ 銀行の証券化取引についての方針(証券化によるリスク移転の程度及びリスクの種類を含む(再証券化取引を行っている場合は、区別して記載すること。)。)

        • ・ 銀行の証券化取引における役割(オリジネーター、投資家、サービサー、信用補完の提供者、ABCPのスポンサー、流動性の提供者、スワップの提供者等)及び関与の度合

        • ・ 証券化エクスポージャーに内在する信用リスク及びマーケット・リスク以外のリスク(例えば、流動性リスク)がある場合には、その性質

      • ロ.「体制の整備及びその運用状況の概要」には、再証券化エクスポージャーを保有している場合は、証券化エクスポージャーとの差異を含めて記載されているか。

      • ハ.「当該証券化目的導管体の種類及び当該銀行が当該証券化取引に係る証券化エクスポージャーを保有しているかどうかの別」には、少なくとも当事業年度に行った証券化取引について記載されているか。また、保有する証券化エクスポージャーをオンバランス取引又はオフバランス取引のいずれとして取り扱っているかの別を含めて記載されているか。

      • ニ.「銀行の子法人等(連結子法人等を除く。)及び関連法人等のうち、当該銀行が行った証券化取引(銀行が証券化目的導管体を用いて行った証券化取引を含む。)に係る証券化エクスポージャーを保有しているものの名称」には、少なくとも当事業年度に行った証券化取引について記載されているか。

      • ホ.「証券化取引に関する会計方針」には、以下の内容が記載されているか。

        • ・ 証券化取引を資産の売却あるいは資金の調達等どのように会計上認識しているか。

        • ・ 資産の売却をどの時点で認識しているか。

        • ・ 証券化エクスポージャーの留保持分評価の前提等。変更があった場合は、その概要と影響。

        • ・ デリバティブ等他の会計方針と合成型証券化の会計方針が異なる場合は、その説明。

        • ・ 証券化取引を目的として保有している資産についての評価方法及び銀行勘定又は特定取引勘定のいずれに計上しているか。

        • ・ 証券化エクスポージャーに提供している流動性補完、信用補完、その他の事前の資金の払込みを行わない信用供与について、貸借対照表において負債として認識するための方針。

      • ヘ.「内部評価方式を用いている場合には、その概要」には、以下の内容が記載されているか。

        • ・ 内部評価のプロセス及び内部評価のプロセスを統制する仕組み(統制を行う者の独立性、説明責任、内部評価のプロセスに対する評価結果等を含む。)

        • ・ 内部評価と適格格付機関の付与する外部格付との関係(当該適格格付機関についての情報も含む。)

        • ・ 所要自己資本の計算目的以外の内部評価の利用方法

        • ・ 内部評価方式が適用される証券化エクスポージャーの種類及びエクスポージャーの種類毎の信用補完の水準を定めるためのストレス・ファクター

      • ト.「定量的な情報に重要な変更が生じた場合には、その内容」の例としては、証券化取引を目的として保有している資産の額に重要な変更が生じた場合及び銀行勘定と特定取引勘定との間の移動があった場合等が考えられる。

    • マル7 「マーケット・リスクに関する次に掲げる事項」について

      • イ.「リスク管理の方針及び手続の概要」には、リスクを確実に認識し、評価・計測し、報告するための態勢が記載されているか。

      • ロ.「追加的リスクを内部モデルで計測している場合には、当該内部モデルの概要」には、追加的リスクの計測対象としているデフォルトの定義及び格付区分の概要、流動性ホライズンの決定方法並びに追加的リスク計測モデルの検証方法を含めて記載されているか。

      • ハ.「包括的リスクを内部モデルで計測している場合には、当該内部モデルの概要」には、包括的リスクの計測対象としているリスクの種類及びその評価方法並びに包括的リスク計測モデルの検証方法(ストレス・テストの活用方法を含む。)を含めて記載されているか。

    • マル8 「オペレーショナル・リスクに関する次に掲げる事項」について、「リスク管理の方針及び手続の概要」には、リスクを確実に認識し、評価・計測し、報告するための態勢が記載されているか。

    • マル9 「出資等又は株式等エクスポージャーに関するリスク管理の方針及び手続の概要」には、以下の内容が記載されているか。

      • ・ リスクを確実に認識し、評価・計測し、報告するための態勢

      • ・ その他有価証券、子会社株式及び関連会社株式の区分ごとのリスク管理の方針

      • ・ 株式等エクスポージャーの評価等重要な会計方針(会計方針を変更した場合には、財務諸表規則第8条の3に準じた事項を含む。)

    • マル10 「金利リスクに関する次に掲げる事項」

      • イ.「リスク管理の方針及び手続の概要」

        • ・ リスク管理及び計測の対象とする金利リスクの考え方及び範囲に関する説明

        • ・ リスク管理及びリスク削減の方針に関する説明

        • ・ 金利リスク計測の頻度

        • ・ ヘッジ等金利リスクの削減手法(ヘッジ手段の会計上の取扱いを含む)に関する説明

      • ロ.「金利リスクの算定手法の概要」

        • ・ 開示告示に基づく定量的開示の対象となるΔEVE及びΔNII(銀行勘定の金利リスクのうち、金利ショックに対する算出基準日から12ヶ月を経過する日までの間の金利収益の減少額として計測されるものであって、開示告示に定められた金利ショックにより計算されるものをいう。以下このマル10において同じ。)並びに銀行がこれらに追加して自ら開示を行う金利リスクに関する以下の事項

          • ― 流動性預金に割り当てられた金利改定の平均満期

          • ― 流動性預金に割り当てられた最長の金利改定満期

          • ― 流動性預金への満期の割当て方法(コア預金モデル等)及びその前提

          • ― 固定金利貸出の期限前返済や定期預金の早期解約に関する前提

          • ― 複数の通貨の集計方法及びその前提

          • ― スプレッドに関する前提(計算にあたって割引金利やキャッシュフローに含めるか否か等)

          • ― 内部モデルの使用等、ΔEVE及びΔNIIに重大な影響を及ぼすその他の前提

          • ― 前事業年度末の開示からの変動に関する説明

          • ― 計測値の解釈や重要性に関するその他の説明

        • ・銀行が、自己資本の充実度の評価、ストレス・テスト、リスク管理、収益管理、経営上の判断その他の目的で、開示告示に基づく定量的開示の対象となるΔEVE及びΔNII以外の金利リスクを計測している場合における、当該金利リスクに関する以下の事項

          • ― 金利ショックに関する説明

          • ― 金利リスク計測の前提及びその意味(特に、開示告示に基づく定量的開示の対象となるΔEVE及びΔNIIと大きく異なる点)
             

  • (3) 定量的な開示事項 【国際統一基準行・国際統一基準持株会社】

    定量的な開示事項について、前期から大幅な変化があった場合に、その要因に係る説明。

    • マル1 「信用リスクに関する次に掲げる事項」について、本項目の記載に当たっては、銀行の保有する資産の質(Credit Quality of Assets)に係る定量的な開示事項の情報を補完する目的を踏まえる。

      • イ.「主な種類別の内訳」の例として(a)貸出金、コミットメント及びその他のデリバティブ以外のオフ・バランスシート・エクスポージャー、(b)債券の2類型等が考えられる。

      • ロ.「地域別」については、少なくとも国内及び国外の区分

      • ハ.延滞期間別のエクスポージャーの期末残高(危険債権以下に該当するものを除く。延滞期間は、「1ヵ月未満」「1ヵ月以上2ヵ月未満」「2ヵ月以上3ヵ月未満」「3ヵ月以上」等の区分を行うものとする。)

  • (4) 定量的な開示事項【国内基準行・国内基準持株会社】

    • マル1 「自己資本の充実度に関する次に掲げる事項」について

      • イ.「内部格付手法が適用されるポートフォリオ及びこのうち次に掲げるポートフォリオごとの内訳」について、基礎的内部格付手法及び先進的内部格付手法の両方を部分的に使用する銀行にあっては、手法ごとに記載しているか。

      • ロ.「内部格付手法が適用される株式等エクスポージャーに係る信用リスクに対する所要自己資本の額及びこのうち次に掲げる区分ごとの額」には、所要自己資本の算出における区分に沿った形での株式のポートフォリオ別の所要自己資本の額を記載しているか。

    • マル2 「信用リスクに関する次に掲げる事項」について

      • イ.「信用リスクに関するエクスポージャーの期末残高(期末残高がその期のリスク・ポジションから大幅に乖離している場合には期中平均残高の開示も要する。)及びエクスポージャーの主な種類別の内訳」には、以下の内容が記載されているか。

        • ・ 期中平均残高の計算に日次平均を用いていない場合は、計算方法

        • ・ 信用リスクの計算に当たって複数の手法を使用している銀行にあっては、使用している手法ごとのエクスポージャーの期末残高

      • ロ.「エクスポージャーの主な種類別の内訳」の例として (a)貸出金、コミットメント及びその他のデリバティブ以外のオフ・バランスシート・エクスポージャー、(b)債券、(c)OTCデリバティブの3類型等が考えられる。

      • ハ.「地域別」には、少なくとも国内及び国外に区分しているか。

      • ニ.「一般貸倒引当金、個別貸倒引当金及び特定海外債権引当勘定」の「増減額」について、増減の内訳を記載しているか。

      • ホ.「標準的手法が適用されるエクスポージャーについて、リスク・ウェイトの区分ごとの信用リスク削減手法の効果を勘案した後の残高」について、リスク・ウェイトの区分ごとの保有残高は格付の有無についても区分しているか。

      • へ.「内部格付手法が適用されるポートフォリオについて、次に掲げる事項」について

        • a.債務者格付あるいはプールを統合して開示する場合には、内部格付手法において使用される債務者格付あるいはプールの全体的な分布状況が理解し得るような方法で統合を行っているか。

        • b.「適切な数のEL区分を設けた上でのプール単位でのエクスポージャーの分析」について、このようにEL区分を用いた開示を実施する場合には、開示の利用者に対して十分意味のある信用リスクの分解という観点で適切なEL区分となっているか。

      • ト.「内部格付手法を適用する」「エクスポージャーごとの直前期における損失の実績値及び当該実績値と過去の実績値との対比並びに要因分析」について、要因分析には、PD、LGD及びEADの水準についての分析が記載されているか。

      • チ.「内部格付手法を適用する」「エクスポージャーごとの長期にわたる損失額の推計値と実績値の対比」について、対比期間は内部格付制度及び推計値の精度を評価するために十分に長期であるか。

    • マル3 「信用リスク削減手法に関する次に掲げる事項」について、合成型証券化取引の一部として扱われるクレジット・デリバティブは、信用リスク削減手法の情報開示から除き、証券化エクスポージャーに関する情報開示に含めているか。

    • マル4 「証券化エクスポージャーに関する次に掲げる事項」について

      • イ.「主な原資産の種類別の内訳」の例として、クレジットカード与信、住宅ローン、自動車ローン等が考えられる。

      • ロ.「銀行がオリジネーターである場合における信用リスク・アセットの算出対象となる証券化エクスポージャーに関する次に掲げる事項」及び「銀行がオリジネーターである場合におけるマーケット・リスク相当額の算出対象となる証券化エクスポージャーに関する次に掲げる事項」について

        • ・ オリジネーターである銀行が、当事業年度に行った証券化取引のうち、当該銀行が証券化エクスポージャーを保有しない証券化取引については、別に記載されているか。

        • ・ スポンサー業務のみにより生じる証券化エクスポージャーとその他の証券化エクスポージャーがある場合は、必要があれば両者が区別して記載されているか。

      • ハ.「当期の損失額」には、償却・引当及びI/Oストリップスの償却が含まれているか。

      • ニ.「保有する証券化エクスポージャーの額及び主な原資産の種類別の内訳」には、オンバランス取引とオフバランス取引とが区別して記載されているか。

      • ホ.「保有する証券化エクスポージャーの適切な数のリスク・ウェイトの区分ごとの残高及び所要自己資本の額」には、オンバランス取引とオフバランス取引とが区別して記載されているか。

      • へ.「自己資本から控除した証券化エクスポージャー」には、信用補完機能を持つI/Oストリップスが含まれているか。

    • マル5 「出資等又は株式等エクスポージャーに関する次に掲げる事項」の「貸借対照表計上額及び時価」について、上場証券の株価と公正価値が大きく乖離している場合、対比を開示しているか。

  • (5) 連結レバレッジ比率又は単体レバレッジ比率に関する開示事項【国際統一基準行・国際統一基準持株会社】

    「前連結会計年度の連結レバレッジ比率との間に著しい差異を生じた原因」又は「前事業年度の単体レバレッジ比率との間に著しい差異を生じた原因」について、例えば、前連結会計年度末における連結レバレッジ比率又は前事業年度末における単体レバレッジ比率から0.5%以上の増加又は減少がある場合のほか、主要な連結子会社の異動による連結レバレッジ比率の増加又は減少が生じた場合にはその変動が連結レバレッジ比率の分子(資本の額)又は分母(総エクスポージャーの額)のいずれの変動によって生じたか、その主な要因について開示しているか。

  • (6) 四半期ごとの開示事項 【国際統一基準行・国際統一基準持株会社】

    • マル1 開示告示第6条及び第9条に規定する事項につき、バーゼル合意の趣旨を踏まえ、四半期ごとの開示が適切になされる必要がある。なお、これらの開示事項(過去情報も含む。)をウェブサイト上に開示する場合には、その記載箇所を預金者、投資家等の利用者が容易に特定できるようにすることが適当である。
       また、開示告示第6条に掲げる銀行における四半期の開示事項のうち、第1項第2号から第4号まで及び第6号、第2項並びに第3項第2号から第4号まで及び第6号から第11号までに掲げる事項又は第9条第1項に掲げる銀行持株会社における四半期の開示事項のうち、第2号から第4号まで及び第6号から第11号までに掲げる事項を開示する場合には、対象となる四半期の末日を基準日とする金融商品取引法第24条第1項若しくは第3項の規定に基づく有価証券報告書、同法第24条の4の7第1項の規定に基づく四半期報告書又は同法第24条の5第1項の規定に基づく半期報告書の公表後、速やかに行うことが適当である。
       開示告示第6条及び第9条に掲げる開示事項のうち、同告示別紙様式第8号第二面から第四面に基づいて開示する場合には、同四半期報告書の公表後、変動要因の分析に要する時間を勘案しつつ、速やかに行うことが望ましい。
       他方、これ以外の開示事項については、同四半期報告書の公表後、速やかに行うことが望ましい。

    • マル2 開示告示第6条第1項第4号又は第9条第1項第4号に掲げる「自己資本調達手段に関する契約内容の詳細」については、第6条第1項第3号又は第9条第1項第3号に掲げる「自己資本調達手段に関する契約内容の概要」に加えて、当該自己資本調達手段に関する契約の具体的な内容を預金者、投資家等の利用者が容易に知ることができるように記載することが適当である。
       なお、これらの自己資本調達手段に関する開示事項については、金融機関が自己資本調達手段の発行、償還又は内容の変更等を行った場合には更新する等、利用者が最新の情報を参照できることが望ましい。

    • マル3 「前四半期の連結レバレッジ比率との間に著しい差異を生じた原因」又は「前四半期の単体レバレッジ比率との間に著しい差異を生じた原因」について、例えば、前四半期における連結レバレッジ比率又は単体レバレッジ比率から0.5%以上の増加又は減少がある場合のほか、主要な連結子会社の異動による連結レバレッジ比率の増加又は減少が生じた場合にはその変動が連結レバレッジ比率の分子(資本の額)又は分母(総エクスポージャーの額)のいずれの変動によって生じたか、その主な要因。

  • (7) 四半期ごとの開示事項【国内基準行・国内基準持株会社】

    内部格付手法を採用する国内基準行においては、開示告示第14条及び第17条に規定する事項につき、四半期ごとの開示が適切になされる必要がある。その他の国内基準行においても、四半期開示を実施している場合には、預金者、投資家等の利用者にとって有用な情報につき、四半期ごとに開示することが望ましい。

III -4-9-4-6 報酬体系の開示(施行規則第19条の2第1項第6号、第19条の3第4号及び第34条の26第1項第5号関係)

報酬体系の開示は、「銀行法施行規則第十九条の二第一項第六号等の規定に基づき、報酬等に関する事項であって、銀行等の業務の運営又は財産の状況に重要な影響を与えるものとして金融庁長官が別に定めるものを定める件」(以下「報酬告示」という。)に定められた事項について、市場や預金者等による外部評価の規律づけを通じ、報酬体系が役職員の過度なリスクテイクを引き起こさないことを確保し、金融機関の経営の健全性を維持するという趣旨を十分に踏まえ、適切に実施される必要がある。

ただし、公にすることにより金融機関の競争上の地位を大きく害するおそれのある情報、若しくは、個人が特定され、個人の権利利益が不当に害されるおそれのある情報、又は、守秘義務に係る情報等については、より一般的な内容の記載に止めるとともに、その理由を記載することで差し支えないものとする。また、報酬告示に定められた事項に該当する事項がない場合には、該当する事項がない旨を記載することで差し支えないものとする。

なお、開示に当たっては、金融機関は、その規模、業務の複雑性、海外拠点の設置状況及び国際的な雇用・報酬慣行の導入状況等を勘案し、適切な情報開示のあり方を検討する必要があり、報酬告示に定められた項目について、画一的な情報開示が求められるものではない点に十分留意するものとする。国際的に金融活動を展開し、大規模かつ複雑なリスクを抱える場合については、「主要行等向けの総合的な監督指針」を参照し、これに準ずるものとするが、その他の場合については、その規模、業務の複雑性及び海外拠点の設置状況等に応じ、「主要行等向けの総合的な監督指針」を参考にしつつ、必要と認められる適切なレベルの情報開示が行われているかに留意するものとする。

(参考)
  • バーゼル銀行監督委員会「第3の柱における報酬についての開示要件」(2011年7月)
  • バーゼル銀行監督委員会「開示要件(第3の柱)の統合及び強化―第2フェーズ」(2017年3月)

また、中小・地域金融機関がグループ(銀行又は銀行持株会社及びそれらの主要な連結子法人等をいう。)を形成している場合で、報酬告示に定められた事項について、グループ内で開示する内容に重複があるときには、当該内容を纏めて記載し、説明するなど、分かりやすい開示に努めているかに留意するものとする。

III -4-9-4-7 流動性に係る経営の健全性の状況の開示(施行規則第19条の2第1項第5号ホ、第19条の3第3号ニ、第19条の5、第34条の26第1項第4号ニ及び第34条の27の2関係)(国際統一基準行)

  • (1)一般的な留意事項

    流動性に係る経営の健全性の状況の開示は、流動性カバレッジ比率の最低水準及び銀行の自己管理と監督上の検証を補完し、市場による外部評価の規律づけにより銀行の経営の健全性を維持することを目的としており、「銀行法施行規則第19条の2第1項第5号ホ等の規定に基づき、流動性に係る経営の健全性の状況について金融庁長官が別に定める事項」(以下「流動性カバレッジ比率開示告示」という。)の趣旨に従って適切に実施される必要がある。また、銀行は、開示の対象となる情報の重要性に照らしつつ、利用者にとって有益な情報開示のあり方を検討する必要がある。特に情報開示の省略等が当該情報の利用者による経済的な意思決定を変更させる可能性のある情報については、その適切な開示に留意するものとする。

    ただし、財産的価値を有する情報及び守秘義務に係る情報については、これらの情報を公開することで銀行の地位に大きな損害を与えるおそれがある場合には、当該項目に関するより一般的な情報とともに、その特定の情報項目が開示されなかった事実及びその理由を開示することで差し支えないものとする。

  • (2)「単体流動性カバレッジ比率に関する定性的開示事項」

    • マル1「時系列における単体流動性カバレッジ比率の変動に関する事項」については、過去2年間の流動性カバレッジ比率の主要な変動及びその要因について定性的な説明が記載されているか。また、本項目を説明するに当たっては、「単体流動性カバレッジ比率に関する定量的開示事項」(直近の四半期に係るものであり、かつ流動性カバレッジ比率開示告示別紙様式第一号を使用して作成したもの)を使用しているか。

    • マル2「単体流動性カバレッジ比率の水準の評価に関する事項」については、以下の内容が記載されているか。

      • イ.銀行による流動性カバレッジ比率の水準に関する評価

      • ロ.上記イ.において課題があると評価された場合には、課題に対する実務上の対応策

      • ハ.銀行による今後の流動性カバレッジ比率の見通しが開示された比率と大きく乖離することが想定される場合には、その見通しに関する定性的な説明

      • ニ.ハ.について、実績値が当初の見通しと大きく異なる場合には、その異なった理由の追加的な説明

    • マル3「算入可能適格流動資産の合計額の内容に関する事項」については、必要に応じ、例えば、以下の内容が記載されているか。

      • イ.算入可能適格流動資産の通貨又は種類等の構成や所在地に著しい変動があった場合には、その変動に関する説明

      • ロ.主要な通貨(例えば、当該通貨建て負債合計額が、銀行の負債合計額の5%以上を占める通貨)において算入可能適格流動資産の合計額と純資金流出額の間に著しい通貨のミスマッチがある場合には、そのミスマッチに関する評価及びミスマッチへの実務上の対応策に関する説明

    • マル4「その他単体流動性カバレッジ比率に関する事項」については、必要に応じ、例えば、以下の内容が記載されているか。また、以下の内容に限らず、重要な事項が記載されているか。

      • イ.流動性カバレッジ比率告示第29条に定める「適格オペレーショナル預金に係る特例」を適用している場合には、以下の内容に関する説明

        • a.適格オペレーショナル預金に係る特例の適用対象

        • b.適格オペレーショナル預金の金額の推定方法

      • ロ.流動性カバレッジ比率告示第38条に定める「シナリオ法による時価変動時所要追加担保額」を適用している場合には、シナリオ法による時価変動時所要追加担保額の推定方法に関する説明

      • ハ.流動性カバレッジ比率告示第53条に定める「その他偶発事象に係る資金流出額」、同告示第60条に定める「その他契約に基づく資金流出額」又は同告示第73条に定める「その他契約に基づく資金流入額」に重要な項目がある場合には、当該項目に関する定性的な説明

    (注)流動性カバレッジ比率(日次平均の値をいう。)の内訳のうち、流動性カバレッジ比率に与える影響に鑑み、重要性が乏しく、かつ、実務上の観点(会計上の制約等)から日次データを使用しない項目がある場合には、その情報の利用者にとって有益であると考えられる項目について、日次データを使用しない内容及び説明について記載すること。なお、その日次データを使用しない項目については定期的に見直すこととし、見直しを行った場合にはその理由とともに説明すること。

  • (3)「単体流動性リスク管理に係る開示事項」

    • マル1「流動性に係るリスク管理の方針及び手続の概要に関する事項」には、銀行の流動性リスクを確実に認識し、計測・評価し、報告するための態勢が記載されているか。

    • マル2「流動性に係るリスク管理上の指標に関する事項」には、必要に応じ、マル1において計測・評価するリスク管理上の主要な指標等の考え方や活用状況について、例えば、以下の指標等が含まれているか。

      • イ.銀行の内部管理上の流動性資産

      • ロ.オンバランス及びオフバランス項目の満期区分別の資金流入・資金流出に係るギャップ

      • ハ.内部管理上モニタリングしているその他の主要な指標等

      • ニ.上記イ.からハ.の指標等への限度値の活用状況

      • ホ.ストレステストの概要及びその活用方法

    • マル3「その他流動性に係るリスク管理に関する事項」については、必要に応じ、例えば、以下の内容が記載されているか。また、以下の内容に限らず、重要な事項が記載されているか。

      • イ.流動性リスクを削減するための取組み

      • ロ.流動性ストレス時の対応策(コンティンジェンシー・ファンディング・プラン(CFP))

  • (4)四半期ごとの開示事項

    流動性カバレッジ比率開示告示第6条に規定する「単体流動性カバレッジ比率に関する定量的開示事項」について、バーゼル合意の趣旨を踏まえ、四半期ごとの開示が適切になされる必要がある。なお、これらの開示事項(過去情報も含む。)をウェブサイト上に開示する場合には、その記載箇所を預金者、投資家等の利用者が容易に特定できるようにすることが適当である。

    また、開示に当たっては、対象となる四半期の末日又は最終営業日( II -2-6-4-3-1(1)(注)参照。ただし、本取扱いは平成28年12月31日までとする。)を基準日とする金融商品取引法第24条第1項若しくは第3項に規定する有価証券報告書、同法第24条の4の7第1項に規定する四半期報告書又は同法第24条の5第1項に規定する半期報告書の公表後、速やかに行うことが望ましい。

(注)上記は、流動性カバレッジ比率開示告示に定める開示事項のうち、施行規則第19条の2第1項第5号ホに規定する「流動性に係る経営の健全性の状況について金融庁長官が別に定める事項」について定めたものであり、第19条の3第3号ニ、第19条の5、第34条の26第1項第4号ニ及び第34条の27の2の規定に基づく場合には、適宜読み替えて対応するものとする。

III -4-9-5 主な着眼点

  • (1) 経営陣の姿勢

    経営陣は、銀行の経営の健全性の維持、それに対する信頼性の確保の観点から、通常の企業以上に、その経営内容のディスクロージャーが重要な意義を有していることを十分に認識し、常に、積極的かつ正確なディスクロージャーをすすめるための態勢整備やその充実を図るよう取り組んでいるか。

  • (2) 開示方針の策定【国際統一基準行・国際統一基準持株会社】

    • マル1 取締役会による、開示に係る手続及び体制を定めた開示方針の策定並びに行内への周知

    • マル2 当該開示方針の主要な内容に係るディスクロージャー誌等への記載

    • マル3 取締役会及び上級管理職による、当該開示方針に従った適切な開示を行うための体制整備

    • マル4 ディスクロージャー誌等における当該開示方針に従った適切な開示が行われていることを経営陣等が確認している旨の記載

  • (3) 利用者・投資家に分かりやすい開示

    • マル1 法定開示事項について、預金者、取引先等の利用者が銀行の業務内容、財務状況を適切に判断できるように、正確かつ平易な表示・記載となっているか。

    • マル2 特にリスク管理債権の開示は適切に行われているか。

    • マル3 法第21条第4項の趣旨を踏まえ、参考となる事項の開示に努めているか。例えば、主要な事業部門別・顧客セグメント別の収益性について、的確な開示に努めているか。

    • マル4 特に、将来の見込み等を開示する場合においては、十分慎重な見通しをもって経営判断が行われる態勢となっているか。

    • マル5 市場の関心の強い分野に係るエクスポージャー等については、国際的なベストプラクティスを踏まえつつ、自行のリスク特性に即した有用な情報の積極的な開示に努めているか。

(参考) 財務報告に係る内部統制システムの有効性確認項目

  • マル1 経営陣は、銀行が行うディスクロージャーの適切性及び正確性を確保するための内部管理態勢の整備に努めているか。

  • マル2 適正な開示の前提として、例えば、財務報告プロセスを的確に文書化しているか。

  • マル3 財務諸表等の記載事項に関する全てのリスクを識別・評価・統制・監視する体制が構築されているか。

  • マル4 内部統制システムの妥当性と有効性を検証する内部管理体制(内部監査を含む。)が機能しているか。

III -4-9-6 監督手法・対応

  • (1)決算ヒアリング等において、代表者が行った、財務諸表に記載された事項の適正性の確認及び当該財務諸表作成に係る内部監査の有効性の確認について、これらをどのようにして行ったかを確認する。

    • (注) 「財務諸表の正確性、内部監査の有効性についての経営責任の明確化について(要請)」(平成17年10月7日)においては、有価証券報告書等を提出していない場合には、財務諸表の適正性、及び財務諸表の作成に係る内部監査の有効性を確認している旨をディスクロージャー誌に記載することになっていることに留意する。

  • (2)リスク管理債権・再生法に基づく開示債権については、正当な理由がないにもかかわらず当該銀行の自己査定と検査結果の格差が大幅に認められる場合など自主的な改善努力に委ねたのでは当該銀行の法令等遵守態勢やリスク管理態勢の整備に支障を来たすと認められる場合には、法第26条に基づき業務改善命令を発出する。

  • (3)その他、上記の着眼点に照らし、改善が必要と認められる銀行に関しては、必要に応じて法第24条に基づき報告を求めることを通じて、改善を促すものとする。また、重大な問題があると認められる場合には、法第26条に基づき業務改善命令を発出するものとする。

  • (4)なお、検査結果、オフサイト・モニタリング等に基づき、有価証券報告書の虚偽記載等に該当することが明らかなときには、その旨を証券監査担当部局へ連絡する。

III -4-10 合併等

  • (1)銀行が、合併等を公表したときには、合併等に係る作業のスケジュール(「金融機関の組織再編成の促進に関する特別措置法」(以下「組織再編成法」という。)における経営基盤強化計画の認定の申請を行う場合には申請作業スケジュール、合併等の経営再編に伴いシステム統合等を行う場合にはシステム統合に向けたスケジュール等を含む。)及びその進捗状況について、必要に応じ、法第24条に基づく報告等により把握を行うものとする。

  • (2)合併等の認可(予備審査を含む。)申請に係る事情の調査に当たっては、当該銀行が組織再編成法における経営基盤強化計画の認定(予備審査を含む。)を申請し、又は金融機能強化法に基づく株式等の引受け等に係る申込みを行った場合には、当該申請又は申込みの内容をヒアリングの上、合併等の認可申請内容との整合性が図られているかを確認する。

III -4-11 銀行持株会社

III -4-11-1 意義

 銀行持株会社は、その子会社である銀行(以下「子銀行」という。)及び法第52条の23第1項各号に掲げる会社の経営管理を行う会社であり、その業務範囲は銀行持株会社グループの経営管理(法第52条の21第2項に規定する経営管理をいう。)、これに附帯する業務及び法第52条の21の2第1項に規定する業務に限定されている。銀行持株会社は、その子会社の経営管理を行うに当たっては、銀行経営の健全性確保や預金者保護といった銀行法の趣旨を十分に踏まえたうえで、子銀行の業務の健全かつ適切な運営の確保に努めなければならない。

III -4-11-2 主な着眼点

銀行持株会社の監督上の指針は、本監督指針の銀行に関する規定に準じるほか、銀行持株会社の子会社である銀行の業務の特性等にかんがみ、特に以下の点に留意する。

  • (1)グループ全体の経営管理態勢の構築に責任ある役割を果たしているか。

  • (2)銀行持株会社の経営方針が、子銀行の財務の健全性を歪めることとなっていないか。また、グループ内の会社において顕在化したリスクが子銀行への波及を防止するためのリスク管理方針が定められているか。

  • (3)子銀行やグループ内の会社に対する経営の監視機能が働いているか。

  • (4)グループ内において顧客情報を共有する場合、その取扱い方針を明確に規定しているか。また、その方針等が遵守されていることを適切に把握しているか。

  • (5)銀行持株会社と子銀行間及びそのいずれかと銀行のグループ内の会社との間の役員の兼職は適正なものとなっているか。

  • (6)グループ全体の顧客の利益の保護のための体制の構築( III -4-12参照)に責任のある役割を果たしているか。

  • (7)子銀行とグループ内の会社との間において業務委託契約等を締結している場合に、契約の内容が実質的に委託先への支援となっており、アームズ・レングス・ルールに違反していないか。銀行持株会社にアームズ・レングス・ルールについてのチェック態勢が整備されているか。

  • (8)銀行持株会社及びその子会社の連結自己資本比率及び連結流動性カバレッジ比率の計算が正確に行われているか( III -4-6及び II -2-6-4参照)。

  • (9)第三者割当増資のコンプライアンス態勢( II -3-1-5参照)がグループ全体に確立されているか。

  • (10)銀行持株会社単体の財務構造(有利子負債の状況等)も含め、グループ全体の財務管理が適切に行われているか。

  • (11)システミックリスクの顕在化のおそれについて理解した上で、流動性リスク管理態勢を整備しているか。

  • (12)情報開示の適切性・十分性( III -4-9参照)については、最終的には株式を公開している銀行持株会社の責任であることを踏まえた対応が行われているか。

  • (13)子銀行が合併等に伴いシステム統合を行う場合には、 II -3-6を踏まえた上で、システム統合リスク管理態勢を整備しているか。

III -4-11-3 監督手法・対応

  • (1)子銀行の経営管理等に関し、必要があると認められる場合は、銀行持株会社に対しヒアリングを行うものとする。なお、必要に応じ、子銀行と併せて行うものとする( III -1-4(3)を参照)。

  • (2)子銀行に対し、法第24条に基づき報告を求める時であって、銀行持株会社の経営管理にかかわる等必要がある場合には、同時に銀行持株会社に対しても、法第52条の31に基づき報告を求める。

  • (3)子銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保する観点から、銀行持株会社の経営管理等に問題が認められるときは、銀行持株会社に対し法第52条の31に基づき報告を求め、重大な問題があると認められるときは、法第52条の33に基づき業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。

III -4-11-4 システム統合

  • (1)子銀行等が合併等に伴いシステム統合を行う場合には、銀行持株会社に対し法第52条の31に基づき、システム統合リスク管理態勢及びプロジェクト管理態勢について、定期的に報告を求めて実態を把握し、重大な問題がないか検証する。

    • (注) 子銀行等の合併後の本格的なシステム統合、又は、合併等を伴わないシステム統合の場合は、必要に応じ、法第52条の31に基づき報告を求めるものとする。

  • (2)システム統合リスク管理態勢及びプロジェクト管理態勢に関する検査結果通知が行われた場合には、法第52条の31に基づき、指摘事項について、事実確認、発生原因分析、改善対応策、その他を取りまとめた報告、及び、リスクを適正に制御する方策(計画を的確に履行するための方策、内部監査を含む内部管理態勢等)についても報告を求め、システム統合リスク管理態勢及びプロジェクト管理態勢に問題がないか検証する。

    さらに、定期的にフォローアップ報告を求めて、検査結果を受けた改善・対応策の進捗状況、プロジェクト管理態勢の実効性等の確認を行う。

  • (3)システム統合に係る移行判定が行われたときは、その判断の根拠等につき、法第52条の31に基づく報告を求める。

  • (4)上記(1)から(3)のいずれかの検証等の結果、問題がある場合には法第52条の31に基づき報告を求め、重大な問題がある場合には、法第52条の33に基づき、システム統合リスク管理態勢・プロジェクト管理態勢に関する業務改善命令を発出するものとする。

III -4-11-5 事務処理上の留意点

同一の事項に関して、銀行及び当該銀行を子会社とする銀行持株会社の両者がそれぞれ次に掲げる届出を行う必要がある場合においては、銀行及び銀行持株会社の連名により、1つの届出書として提出することが可能であることに留意する。

  • マル1法第53条第1項第2号、同条第3項第3号

  • マル2法第53条第1項第3号、同条第3項第4号

  • マル3施行規則第35条第1項第8号、同条第3項第5号

  • マル4施行規則第35条第1項第10号、同条第3項第6号

  • マル5施行規則第35条第1項第11号、同条第3項第7号

  • マル6施行規則第35条第1項第12号、同条第3項第8号

  • マル7施行規則第35条第1項第13号、同条第3項第9号

  • マル8施行規則第35条第1項第14号、同条第3項第10号

  • マル9施行規則第35条第1項第15号、同条第3項第11号

  • マル10施行規則第35条第1項第16号、同条第3項第12号

III -4-12 顧客の利益の保護のための体制整備

III -4-12-1 意義

利益相反の弊害は、銀行・証券会社間だけに生じる問題ではなく、銀行(グループ)内の部門間、又は同一金融グループ内の親会社・子会社・兄弟会社・関連会社のいずれとの間でも起こりうる問題である。また、情報管理体制が整備されていること等一定の条件の下で、非公開情報をその親法人等・子法人等と授受することが認められていることを踏まえれば、従前以上に利益相反管理の重要性を認識し、適切な経営管理態勢を構築する必要がある。

したがって、より広範な業務を展開する金融グループにあっては、銀行・証券会社間に限らず、グループ内における利益相反による弊害を防止するため、自己責任に基づく規律付けをもって内部統制を行なう必要がある。なお、利益相反を管理するためのルール等は、金融機関が自主的な努力により適切な経営管理態勢やコンプライアンス態勢を構築することで、有効に機能するものであることに留意する必要がある。

また、利益相反管理態勢を整備するにあたっては、金融グループ内会社等の営む業務内容や規模、特性等を勘案するとともに、銀行又は同一金融グループにおけるレピュテーショナル・リスクについても配慮する必要がある。

一方、銀行等のグループ会社の中には、当該銀行等の顧客とは無関係の業務を行っているものがあり得ることも踏まえれば、銀行等が行う利益相反管理の水準・深度は、必ずしも同一である必要はないと考えられる。このように、銀行等がグループ内で利益相反管理の水準・深度に差異を設ける場合には、対外的に十分な説明が求められることに留意する必要がある。

III -4-12-2 主な着眼点

  • (1)利益相反のおそれがある取引の特定等

    • マル1利益相反のおそれがある取引をあらかじめ特定・類型化するとともに、継続的に評価する態勢を整備しているか。

    • マル2利益相反を特定するプロセスは、銀行や銀行のグループ内会社等の業務内容、規模・特性を反映したものとなっているか。

      また、新規の業務活動や、法規制・業務慣行の変更等に的確に対応し得るものとなっているか。

  • (2)利益相反管理の方法

    利益相反の特性に応じ、例えば以下のような管理方法を選択し、又は組み合わせることができる体制が整備され、定期的に管理方法の検証が行われているか。

    • マル1部門の分離(情報共有先の制限)

      情報共有先の制限を行うにあたっては、利益相反を発生させる可能性のある部門間において、システム上のアクセス制限や物理上の遮断を行う等、業務内容や実態を踏まえた適切な情報遮断措置が講じられているか。

    • マル2取引条件又は方法の変更、一方の取引の中止

      取引条件又は方法の変更、若しくは一方の取引の中止を行うにあたり、親金融機関等又は子金融機関等の役員等が当該変更又は中止の判断に関与する場合を含め、当該判断に関する権限及び責任が明確にされているか。

    • マル3利益相反事実の顧客への開示

      顧客に利益相反の事実を開示する場合には、利益相反の内容、開示する方法を選択した理由(他の管理方法を選択しなかった理由を含む)等を明確かつ公正に、例えば書面等の方法により開示した上で顧客の同意を得るなど、顧客の公正な取扱いを確保する態勢となっているか。また、開示内容の水準は対象となる顧客の属性に十分に適合したものとなっているか。

  • (3)利益相反管理態勢等

    • マル1利益相反を管理・統括する部署(以下、「利益相反管理統括部署」という。)を設置するなど、利益相反を一元的に管理する態勢となっているか。

    • マル2利益相反管理統括部署は、営業部門からの独立性が確保され、十分な牽制が働く態勢となっているか。また、利益相反管理態勢の構築や役職員の意識の向上に努める等の役割を果たし、定期的に利益相反管理態勢の検証を行っているか。

    • マル3利益相反管理統括部署は、その親金融機関等又は子金融機関等の取引を含め、利益相反管理に必要な情報を集約し、適切な利益相反管理を行う態勢を整備しているか。

    • マル4利益相反管理方針を踏まえた業務運営の手続を定めた社内規則を整備しているか。また、研修・教育等により、利益相反管理について役職員及び子金融機関等に周知徹底させる態勢を確保しているか。

  • (4)利益相反管理方針の策定及びその概要の公表

    • マル1利益相反管理方針には、利益相反の特定方法、類型、管理体制(役職員の責任・役割等を含む)や管理方法(利益相反管理の水準・深度に差異を設ける場合は、その内容及び理由を含む)、管理対象の範囲等が明確化されているか。また、当該管理方針は、金融グループ内会社等の営む業務内容や規模等が十分に反映されているか。

    • マル2利益相反管理方針の概要を公表するに際しては、利益相反管理方針の趣旨が明確に現れているものとなっているか。また、公表方法は、例えば、店頭でのポスター掲示やホームページへの掲載など、顧客等に対して十分に伝わる方法となっているか。

III -4-12-3 監督手法・対応

検査結果、不祥事件等届出書等により、顧客の利益の保護のための態勢に問題があると認められる場合には、必要に応じて法第24条に基づき報告を求めるものとする。その結果、業務の健全性・適切性の観点から重大な問題があると認められる場合等には、法第26条に基づく業務改善命令の発出を検討するものとする。

その際、利益相反による弊害の発生を認識しているにもかかわらず、その解消に向けた具体的な取組みを行わないなど、内部管理態勢が極めて脆弱であり、その内部管理態勢の改善等に専念させる必要があると認められるときは、法第26条に基づく(業務改善に要する一定期間に限った)業務の一部停止命令の発出を検討するものとする。

III -4-13 暗号資産に関する留意事項

III -4-13-1 意義

暗号資産の設計・仕様は様々であるところ、移転記録が公開されず、取引の追跡困難な暗号資産が存在する等、テロ資金供与やマネー・ローンダリングに利用されるリスクが高いものも存在する。また、一般的に、暗号資産は、その価値の裏付けとなる資産等がないため本源的な価値を観念し難く、価格の変動が大きいことを踏まえると、銀行グループが暗号資産を保有する際にはその価格変動リスクについての検討が必要となる。加えて、暗号資産の管理については、システムの誤作動やサイバー攻撃などのシステムリスクも存在する。

以上のほか、これらのリスクが顕在化した場合のレピュテーショナル・リスク等も考慮すれば、銀行グループによる暗号資産の取得は必要最小限度の範囲とする必要があり、かつ、銀行グループの業務において、暗号資産の取得、保有又は処分等(暗号資産を実質的な投資対象とするファンドに対する出資等の間接的な方法によるものを含む。以下「暗号資産の取得等」という。)が生じる場合には、銀行の固有業務の運営への支障や銀行グループとして重大な損害等が生じるおそれがないよう、十分な態勢整備が行われている必要がある。

III -4-13-2 主な着眼点

 銀行グループにおける暗号資産の取得等については、上述のとおり、銀行法施行規則第13条の6の9及び同条の6の10に基づく態勢整備がなされている必要がある。かかる態勢整備について、具体的には、以下の点に留意する必要がある。
 
  • マル1 暗号資産の特性等を踏まえたリスクの特定・評価・低減

    •   暗号資産の仕組み(発行者、管理者その他の関係者や当該暗号資産と密接に関連するプロジェクトの内容等を含む。)、想定される用途、流通状況及び当該暗号資産に使用される技術その他当該暗号資産の特性(以下「暗号資産の特性等」という。)等を踏まえ、暗号資産のリスクの特定・評価について十分な検討が行われ、以下の②から④の措置を含め、当該リスクを適切に低減するための内部管理態勢が整備されているか。また、これらについて定期的な検証及び見直しが実施されているか。

  • マル2 テロ資金供与及びマネー・ローンダリングへの対応

    •   テロ資金供与及びマネー・ローンダリングに利用されるおそれが高い場合においては、暗号資産の取得等の適否を慎重に判断することとしているか。例えば、移転記録の追跡が著しく困難である暗号資産については、テロ資金供与及びマネー・ローンダリングに利用されるおそれが特に高いことから、暗号資産の取得等を行うことがないよう留意する。

    •   また、暗号資産の取得等の相手方のテロ資金供与及びマネー・ローンダリング対策の状況等にも留意する等、マネロン・テロ資金供与対策ガイドライン記載の措置に沿った対策が適切に講じられているか。特に、暗号資産の取得等に関して、海外に居住若しくは所在する者から又はこれらの者への暗号資産の移転を伴う可能性がある場合には、Ⅱ-3-1-3-1-2(4)に準じた対策が適切に講じられているか。

  • マル3 財務の健全性確保を図るための措置

    •   銀行グループの業務において暗号資産の取得が必要となる場合であっても、健全性の確保の観点から、取得する暗号資産の量については当該業務のために必要最小限度の範囲とする等、適切な方針が定められているか。また、暗号資産の保有についても、当該暗号資産の市場リスク、流動性リスク等を考慮の上で、速やかに売却する等により適切な処分を図ることが可能な態勢となっているか。

    •   なお、銀行グループにおいては、投資の目的をもってする暗号資産の取得等を行わないこととしているか。

  • マル4 暗号資産の取得等に係る安全管理措置

    • 暗号資産の管理を担当する部署及び責任者を明確にしているか(複数の部署で暗号資産の管理を担当す
       る場合には、部署間の担当と責任が明確になっているか。)。また、取り扱う暗号資産の特性等に関し
       て十分な知識・経験を有する者を配置しているか。

    • 暗号資産の管理、流出時の対応その他暗号資産に係る内部規程を適切に整備し、役職員に対する周知、
       徹底を図っているか。また、当該内部規程について、定期的な検証及び見直しが行われているか。

    • ・不正アクセス等による暗号資産の流出の防止のための対策等、取り扱う暗号資産の管理に関するシステ
        ムリスク管理態勢が十分に構築されているか。また、当該システムリスク管理態勢について、専門家に
        よる定期的な検証及び見直しが行われているか。

III -4-14 銀行主要株主

III -4-14-1 意義

  • (1)事業会社等による、顧客基盤や店舗ネットワークの共有を通じたシナジー効果を得ることを目的とした銀行業への参入がみられる。また、投資目的により銀行株式を保有する者もみられる。このような者のうち、国、地方公共団体等を除き、銀行の経営に影響力を及ぼし得る者については、銀行法に基づき、銀行主要株主としての認可を受けることが必要である。

  • (2)したがって、銀行免許の申請がなされる際、当該申請者に、事業会社等や投資ファンド等、銀行主要株主となろうとする者が存在する場合には、銀行主要株主認可申請が同時になされることが必要であり、当局としては、免許審査と並行して銀行主要株主認可に係る審査を行うことが必要である。

III -4-14-2 銀行主要株主認可審査において確認すべき事項

III -4-14-2-1 事業会社等による銀行主要株主認可申請

  • (1)事業会社等による、銀行の議決権に係る取得資金に関する事項、保有の目的、その他議決権の保有に関する事項に照らして、銀行の業務の健全かつ適切な運営を損なうおそれがないか審査する際には、例えば、以下のような点について十分検証するものとする。

    • マル1事業会社等の銀行保有に係る方針・目的が銀行の業務の健全性・適切性等を損なうおそれがないか。例えば、短期売買目的による議決権の保有等となっていないか。

    • マル2議決権を取得するための資金原資にかんがみ、銀行の業務の健全性・適切性等を害するおそれがないか。例えば、過度の借入金による議決権の取得等となっていないか。

    • マル3事業会社等を含めたグループ間における取引の適正確保がなされているか。

  • (2)事業会社等の財産及び収支の状況に照らして、銀行の業務の健全かつ適切な運営を損なうおそれがないか審査する際には、例えば、以下のような点について十分検証するものとする。

    • マル1事業会社等の財務の状況、資金調達の状況にかんがみ、銀行の業務の健全性・適切性等を害するおそれがないか。

    • マル2特に、子銀行の50%超の議決権を保有している事業会社等については、子銀行が計画どおりの収益が上げられない場合にも、その経営の健全性確保のための十分なキャッシュフロー等が準備されているか。

    • マル3認可審査に際しては、直近の決算期の財務諸表及び監査報告書等の資料(事業会社等が外国法人等である場合には、財務状況を示す類似の資料)の提出を求め、監査報告書に当該事業会社等の継続企業(ゴーイング・コンサーン)の前提に重要な疑義が認められる旨の追記がないか等について確認することとする。

  • (3)事業会社等が、その人的構成等に照らして、銀行の業務の公共性に関し十分な理解を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であるか審査する際には、例えば、以下のような点について十分検証するものとする。

    • マル1事業会社等の経営体制、当該事業会社等が主要株主基準値以上の議決権を保有する銀行(以下 III -4-14において「子銀行等」という。)に係る経営管理態勢にかんがみ、銀行の公共性について理解を有し、かつ、十分な社会的信用があるか。

    • マル2子銀行等の経営の健全性を確保するためには、子銀行等の経営の独立性が確保されることが前提となるが、銀行主要株主に事業会社等が存在する場合には、当該事業会社等の事業戦略上の要請によって、子銀行等の経営の独立性が損なわれることがないよう、例えば、以下のような点について十分検証するものとする。

      • イ.事業会社等の役員又は職員が子銀行等の役員又は職員を兼任すること等により、子銀行等の経営の独立性が損なわれていないか。

      • ロ.子銀行等が事業会社等の店舗を共有する場合等において、事業会社等が銀行業務の一部を受託したり、事業会社等の職員が銀行員を兼職すること等により、保安上ないしリスク管理上、銀行業務の健全かつ適切な運営が損なわれていないか(なお、この点は、コンビニにATMを設置する等のインストアブランチ(小売店舗内銀行営業所)一般の形態に適用されるべき事項である。)。

  • (4)子銀行等の経営の独立性が確保されたとしても、事業会社等の経営の悪化等、子銀行等が意図しない事業会社等のリスクが子銀行等に及ぶ可能性がある。特に、子銀行等と事業会社等とが営業基盤を共有しているような場合には、事業会社等の破綻等に伴い、子銀行等の営業基盤が一気に失われるおそれ(共倒れリスク)がある。こうしたリスクに対応するためには、例えば、以下のような点について十分検証するものとする。

    • マル1子銀行等に対する事業会社等のリスクを遮断するための方策が十分講じられているか。なお、当該方策には、最低限、以下の項目が含まれている必要がある。

      • イ.事業会社等の業況が悪化した場合、子銀行等より支援・融資等を受けないこと

      • ロ.事業会社等の業況悪化、子銀行等の株式の売却、預金の引出し等、事業会社等により子銀行等に起因する種々のリスク(シナジー効果の消滅、レピュテーショナルリスク(風評リスク)等に伴う子銀行等の株価の下落・預金の流出、取引先の離反等)をあらかじめ想定し、それによって子銀行等の経営の健全性が損なわれないための方策(収益源及び資金調達源の確保、資本の充実等)を講じること

      • ハ.特に、子銀行等が事業会社等の営業基盤を共有しているような場合には、事業会社等の破綻等に伴い、営業継続が困難とならないような措置を講じること

    • マル2上記のリスク遮断策によっても、子銀行等に対する事業会社等のリスクを完全に遮断することが困難な場合も想定され、事業会社等の経営リスクに伴う子銀行等の経営悪化を早期に把握する観点から、銀行主要株主認可に係る審査の過程において、子銀行等の経営に影響を及ぼし得る事業会社等の財務状況や社会的信用等について十分検証する。

III -4-14-2-2 投資ファンドによる銀行主要株主認可申請

  • (1)投資ファンドによる、銀行の議決権に係る取得資金に関する事項、保有の目的、その他議決権の保有に関する事項に照らして、銀行の業務の健全かつ適切な運営を損なうおそれがないか審査する際には、例えば、以下のような点について十分検証するものとする。

    • マル1投資ファンドの銀行保有に係る投資方針・投資目的が銀行の業務の健全性・適切性等を損なうおそれがないか。例えば、短期売買目的による議決権の保有等となっていないか。

    • マル2議決権を取得するための資金原資にかんがみ、銀行の業務の健全性・適切性等を害するおそれがないか。例えば、過度の借入金による議決権の取得等となっていないか。

    • マル3投資ファンドの運用者や主要な出資者等が子銀行等の役員又は職員を兼任していないか。

    • マル4投資ファンドの運用が悪化した場合、子銀行等より支援・融資等を受けないこととしているか。

    • マル5投資ファンドやその出資者を含めたグループ間における取引の適正確保がなされているか。

  • (2)投資ファンドの財産及び収支の状況に照らして、銀行の業務の健全かつ適切な運営を損なうおそれがないか審査する際には、例えば、以下のような点について十分検証するものとする。

    • マル1投資ファンドの運用の状況、資金調達の状況にかんがみ、銀行の業務の健全性・適切性等を害するおそれがないか。

    • マル2特に、子銀行の50%超の議決権を保有している投資ファンドについては、子銀行が計画どおりの収益が上げられない場合にも、その経営の健全性確保のための十分なキャッシュフロー等が準備されているか。

    • マル3認可審査に際しては、直近の決算期の財務諸表及び監査報告書等の資料(投資ファンドが外国ファンドである場合には、運用状況を示す類似の資料)の提出を求めることとする。

  • (3)投資ファンドが、その運用体制等に照らして、銀行の業務の公共性に関し十分な理解を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であるか審査する際には、例えば、以下のような点について十分検証するものとする。

    • マル1投資ファンドの運用体制について、銀行の公共性について理解を有し、かつ、十分な社会的信用があるか。

    • マル2投資ファンドの主要な出資者等が、銀行の公共性について理解を有し、かつ、十分な社会的信用があるか。

  • (4)特に、新規免許を受け営業を開始する銀行の経営が軌道に乗るには一定の期間を要することが一般的であることにかんがみ、ある程度長期保有を継続し、株主としてのガバナンスをもって新銀行の経営を安定・成長させる方針であるか、また、それがどういう形で担保し得るか等について確認するものとする。

    その際、株式の公開に関する考え方についても確認するものとする。

III -4-14-3 認可後の監督において留意すべき事項

  • (1)銀行主要株主に対しては、法第52条の11の規定に基づき当該銀行主要株主の決算期毎に有価証券報告書等のディスクロージャー資料(資金調達の状況を含む。ディスクロージャー資料がない場合は経営状況・財務状況を示す資料)及び当該銀行主要株主と子銀行等との取引関係(預金、借入等)を記載した書面の提出を求めるものとする。

  • (2)オフサイト・モニタリングや検査結果等に基づき、子銀行等の独立性確保及び子銀行等に対する事業リスク遮断のための方策等に係る実効性等に疑義が生じた場合は、銀行主要株主に対して、必要に応じて法第52条の11に基づく報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、法第52条の13に基づく措置命令を発出する等の対応を行うものとする。

III -4-14-4 既存銀行に資本参加する場合の銀行主要株主認可について

  • (1)上記 III -4-14-1から III -4-14-3の観点は、事業会社等及び投資ファンド等が既存の銀行に資本参加する場合の銀行主要株主認可に係る審査についても、基本的に適用することとし、銀行主要株主認可等の過程において深度あるヒアリングを行い、十分な検証を行うものとする。

  • (2)また、上記 III -4-14-1から III -4-14-3に掲げた主な着眼点は、事業会社等が銀行持株会社を保有しようとする場合についても適用することとする。

III -4-14-5 既存銀行に資本参加する場合の当該銀行監督上留意すべき事項

  • (1)事業会社等及び投資ファンド等が既存の銀行に資本参加し、これに伴いインターネットバンキング業務を本格的に展開する等これまでのビジネスモデルを大きく変更しようとする場合には、主要行等向けの総合的な監督指針の「 VII -1 銀行業への新規参入に係る免許審査及び免許付与後の監督上の対応等」における当該銀行の監督上の着眼点を参照することとし、必要に応じて、法第24条に基づく報告を求め、ビジネスモデルの変更に向けた準備状況、既存顧客の保護の状況等を把握し、業務の適切性を検証することとする。

  • (2)なお、検証の結果、預金者等の保護及びビジネスモデルの変更に向けた円滑かつ適切な準備体制の確保等を図る必要があると認められる場合には、準備に要する期間を勘案した一定の期限を付した上で、法第26条に基づく業務の一部停止命令を発出する等の対応を行う。

III -4-15 予備審査

  • (1)施行規則第39条の規定に基づく予備審査申請があった場合には、以下の要領により、審査等を行うものとする。

    • マル1提出:長官宛(財務局管轄銀行にあっては財務局長宛)

    • マル2審査:本認可申請時に準じて行うこととするが、事柄の性質上、標準処理期間は定められていないことに留意する。

    • マル3回答:審査終了時に長官名(又は財務局長名)により、文書で回答する。

  • (2)審査・回答内容

    • マル1予備審査は申請者の事情や判断により行われることから、事案毎に認可等を受けるための準備の進捗状況等に大きな差があることに留意し、事案に応じ申請者の実態に相応しい審査内容を適切に検討することを基本とする。

    • マル2例えば、予備審査の結果、認可等を受けるために必要な準備がほぼ整っていることが確認された場合には、「○○○については、更に本認可申請がある場合には、改めて内容を審査した上で認可することと決定されたので、準備が整い次第、申請手続きをとられたい。」等の趣旨を回答する。

    • マル3例えば、予備審査の結果、認可等を受けるために必要な準備はまだ整っていない場合でも、いたずらに予備審査を継続することが申請者の利益に適うわけではないこと等から、例えば、充足すべき課題が明確に絞られていること等が確認された場合には、認可申請等に必要な留意事項を付して、予備審査を終了させることも検討する。

      その場合には、「○○○については、別紙の内容に関する準備が整い、認可申請がある場合には、改めて内容を審査の上、認可することと決定されたので、通知する。」等の趣旨を回答する。

III -4-16 産業競争力強化法に関する銀行の留意事項

産業競争力強化法等に定める事業再編に関する計画及び特定事業再編に関する計画の記載事項については、銀行の計算書類等の記載方法に則し、以下の点に留意するものとする。

III -4-16-1 事業再編の実施に関する指針(以下、「実施指針」という。)一.の事業再編による生産性及び財務内容の健全性の向上に関する目標の設定に関する事項

  • (1)実施指針一.イ.(1)の「営業利益」は、例えば、業務純益を指す。

  • (2)実施指針一.イ.(2)の「有形固定資産回転率」は、例えば、業務収益(資金運用収益、役務取引等収益及びその他業務収益)を有形固定資産の帳簿価額で除した値を指す。

  • (3)実施指針一.イ.(3)の「事業再編計画の終了年度における従業員一人当たり付加価値額の値」は、例えば、従業員1人当たりの付加価値額(業務純益、人件費及び減価償却費の和)をいう。

  • (4)実施指針一.ロ.(1)の「有利子負債合計額」は、例えば、預金を含む負債性の資金調達手段の全てを指し、「運転資金」は、例えば、不良債権を除く貸付債権等を指す。

  • (5)実施指針一.ロ.(2)の「経常収入」は、例えば、経常収益を指し、「経常支出」は、例えば、経常費用を指す。

III -4-16-2 実施指針二.イ.の事業再編の定義に関する事項

  • (1)実施指針二.イ.(3)の「売上高」は、例えば、業務収益を指す。

  • (2)実施指針二.イ.(5)の「当該商品又は役務の提供に係る販売費」は、例えば、経費を指す。

III -4-16-3 実施指針二.ロ.(3)の過剰供給構造にある業種又は事業分野の基準の定義

実施指針二.ロ.(3)( ii )の「売上高営業利益率」における「売上高」は、例えば、業務収益を指し、「営業利益」は、例えば、業務純益を指す。

III -4-16-4 実施指針三の特定事業再編による生産性及び財務内容の健全性の向上に関する目標の設定に関する事項

実施指針三.イ.(1)から(3)まで並びにロ.(1)及び(2)については、上記 III -4-16-1(1)から(5)までを準用する。

III -4-16-5 実施指針四.イ.の特定事業再編の定義に関する事項

実施指針四.イ.(4)及び(5)の「売上高」は、例えば、業務収益を指す。

III -4-17 金融機能強化法に関する留意事項

金融機能強化法に基づき資本参加を行う場合の運用に当たっては、特に以下の点に留意するものとする。

III -4-17-1 経営強化計画の記載事項に関する留意事項

  • (1)金融機能の強化のための特別措置に関する内閣府令(以下 III -4-17において「府令」という。)第9条第2号ハに規定する「中小企業者」、「地元の事業者」及び「信用供与」については、以下の点に留意するものとする。

    • マル1「中小企業者」とは、銀行法施行規則別表第一における「中小企業等」から個人事業者以外の個人を除いたものとする。

    • マル2「地元の事業者」とは、当該銀行が主として業務を行っている地域が属する都道府県内の事業者(個人事業者を含む。)とする。

    • マル3「信用供与」については、以下のものを除外したものとする。

      • イ.政府出資主要法人向け貸出、及び特殊法人向け貸出

      • ロ.土地開発公社向け貸出、地方住宅供給公社向け貸出、及び地方道路公社向け貸出

      • ハ.大企業が保有する各種債権又は動産・不動産の流動化スキームに係るSPC向け貸出

      • ニ.自行の子会社向け貸出、及び自行を子会社とする銀行持株会社等(その子会社も含む。)向け貸出

      • ホ.個人向け貸出

      • へ.上記のほか金融機能強化法の趣旨に反するような貸出

  • (2)府令別紙様式第一号(記載上の注意)7.(1)及び別紙様式第二号(記載上の注意)8.(1)に規定する「経営改善支援等取組先企業(個人事業者を含む。)の数の取引先の企業(個人事業者を含む。)の総数に占める割合」については、以下の点に留意するものとする。

    なお、「経営改善支援等取組先企業」及び「取引先の企業」には、個人ローン又は住宅ローンのみの取引先は含まないものとする。以下 III -4-17-1(2)において同じとする。

    また、「経営改善支援等取組先」とは、経営強化計画に記載した以下の方策に基づき、経営改善支援等に取り組んでいる取引先とする。

    • マル1創業又は新事業の開拓に対する支援に係る機能の強化のための方策

    • マル2経営に関する相談その他の取引先の企業に対する支援に係る機能の強化のための方策

    • マル3早期の事業再生に資する方策

    • マル4事業の承継に対する支援に係る機能の強化のための方策

    • マル5担保又は保証に過度に依存しない融資の促進その他の中小規模の事業者の需要に対応した信用供与の条件又は方法の充実のための方策

  • (注1)上記「経営改善支援等取組先」の具体例は以下のとおり。

    • マル1 創業又は新事業の開拓に対する支援に係る機能の強化のための方策

      • イ.政府関係金融機関と協調して投融資等を行った取引先

      • ロ.創業支援融資商品による融資を行った取引先

      • ハ.企業育成ファンドの組成・出資等を行った取引先 等

    • マル2 経営に関する相談その他の取引先の企業に対する支援に係る機能の強化のための方策

      • イ.コンサルティング機能、情報提供機能等を活用して、財務管理手法等の改善、経費節減、資産売却、業務再構築、組織再編等の助言を行った取引先

      • ロ.取引先との長期的な密度の高い関係(コミュニケーション)から得られる情報を活用しつつ、公的制度等に係る情報提供、資金繰りや売上げ等に係る経営改善指導、財務書類の作成や後継者育成等に係る助言など、事業者の幅広い情報提供・経営指導・相談のニーズへの対応を継続して行っている先

      • ハ.紹介した外部専門家(経営コンサルタント、公認会計士、税理士、弁護士等)が業務再構築等の助言を行った取引先 等

    • マル3早期の事業再生に資する方策

      • イ.人材を派遣して再建計画策定その他の支援等を行った取引先

      • ロ.プリパッケージ型事業再生(民事再生法等の活用)(注)及び私的整理ガイドライン手続の中で再生計画等の策定に関与した取引先

        (注) 再生型法的整理(民事再生法、会社更生法等)において議決権を行使したに過ぎない場合は含まれない。

      • ハ.企業再生ファンドの組成による企業再生のため当該ファンドに出資(現物出資)した取引先

      • ニ.企業再生に当たり、デット・エクイティ・スワップ(DES)、デット・デット・スワップ(DDS)、DIPファイナンス等の手法を活用した取引先

      • ホ.「中小企業再生型信託スキーム」等RCCの信託機能を活用して再建計画の策定に関与した取引先

      • へ.中小企業再生支援協議会と連携し再生計画の策定に関与した取引先 等

    • マル4 事業の承継に対する支援に係る機能の強化のための方策

      相続対策のコンサルティングに加え、MBO、EBO等を含む株式買取に関する資金面の支援やM&Aのマッチング支援を行った取引先 等

    • マル5 担保又は保証に過度に依存しない融資の促進その他の中小規模の事業者の需要に対応した信用供与の条件又は方法の充実のための方策

      • イ.スコアリングモデルを活用した商品による融資を行った取引先

      • ロ.財務制限条項を活用した商品による融資を行った取引先

      • ハ.財務諸表の精度が相対的に高い中小企業者に対する特別な融資プログラムによる融資を行った取引先

      • ニ. 「十分な資本的性質が認められる借入金」の融資を行った取引先 等

    なお、経営改善支援等の具体的な取組みは、各銀行において自らの規模・特性、利用者の期待やニーズ等を踏まえ、自主的な経営判断により決定されるべきものであり、一律・網羅的な対応を求めるものではないことに留意する。また、経営強化計画において、「経営改善支援等取組先」の内容が記載されているか確認する。

  • (注2)上記「経営改善支援等取組先」のうちマル2及びマル3については、重点的に経営改善を支援する対象との位置付けを明確にし、当該取組先の経営の実態に応じて、例えば、イ.経営改善支援の専担組織・専担者の支援の対象先としている、ロ.本部と営業店が連携して支援を行うこととしている等、経営改善支援の対象としていることについて客観的な裏付けがある場合に限る。したがって、単なる与信管理、貸出条件の緩和等の契約更改(経営改善の支援を目的としないものに限る。)、回収強化、金融支援等を行っている先は、「経営改善支援等取組先」には含まれないことに留意する。

III -4-17-2 株式等の引受け等の決定に関する留意事項

金融機能強化法第5条第1項及び第17条第1項に規定する株式等の引受け等の決定に関し、以下に掲げる要件の審査に当たっては、それぞれ特に以下の点に留意するものとする。

  • (1)金融機能強化法第5条第1項第2号及び第17条第1項第2号に規定する要件

    審査に当たっては、経営の改善の目標を達成するための方策として、地域密着型金融に関する取組み等による収益性の確保及び業務の効率化が実行されているか、又は、実行されることが確実に見込まれるかを確認する。

    また、併せて、当該方策が合理的なものか、説明力が十分かを確認する。

  • (2)金融機能強化法第5条第1項第3号及び第17条第1項第4号イに規定する要件

    「中小規模事業者等向け信用供与円滑化計画」を適切かつ円滑に実施するための方策の審査に当たっては、特に以下の点に着眼する。

    • マル1毎年9月末日及び3月末日(以下「報告基準日」という。)における「中小規模事業者等向け貸出比率(中小企業者又は地元の事業者(以下「中小規模事業者等」という。)に対する信用供与の残高の総資産に占める割合をいう。以下同じ。)」の水準を、当該経営強化計画の始期における中小規模事業者等向け貸出比率の水準と同等の水準又はそれを上回る水準とすることが確実に見込まれるか。

    • マル2報告基準日における「中小規模事業者等に対する信用供与の残高の見込み」が合理的な水準となっているか。

  • (3)金融機能強化法第5条第1項第4号及び第17条第1項第3号に規定する要件

    審査に当たっては、特に以下の点に着眼する。

    • マル1部門別の損益管理が実施されている等、経営強化計画が適切に実施されるための経営管理態勢が構築されていること。

    • マル2減資等により繰越欠損金の処理がなされている等、公的資金の配当の確保に向けた準備が整っていること。

    • マル3社外取締役の選任・拡充を図る場合に当該取締役予定者の就任承諾を得ている等、責任ある経営体制の確立に向けた準備が整っていること。

    • マル4労使間で十分な協議を行うこと、かつ、経営強化計画の実施に際して雇用の安定等に十分な配慮を行うことが見込まれる等、経営強化計画の実施により従業員の地位が不当に害されないものであること(金融機能強化法第17条第1項第3号に規定する要件に限る。)。

    • マル5金融機能強化法第5条第1項第6号に規定する基準適合金融機関等でないときは、府令第5条第6号に規定する従前の経営に関する分析結果の内容及びそれに基づく経営管理に係る体制の改善を図るための方策(当該分析結果により、経営者の責めに帰すべき事由により基準適合金融機関等でなくなったと認められる場合には、経営責任の明確化を含めた経営管理に係る体制の抜本的な改善を図るための方策を含む。)が妥当なものであること。例えば、当該分析結果の内容を検証した結果、業務執行やリスク管理がずさんな経営管理体制が維持される場合には、計画の円滑・的確な実施が見込まれないものとして、国の資本参加の基準を満たさないこととする。

  • (4)金融機能強化法第5条第1項第8号及び第9号並びに第17条第1項第4号ホ及びへに規定する要件

    審査に当たっては、「経営強化計画の実施のために必要な範囲であること」との要件について、金融市場の急激な変動その他経済情勢の大幅な変動が生じた場合でも、銀行の財務基盤の安定を確保し、適切かつ積極的な金融仲介機能が発揮できるようにするなど、当該銀行が主として業務を行っている地域で金融機能を発揮するために十分な自己資本の水準かどうかを確認する。

  • (5)金融機能強化法第5条第1項第11号及び第17条第1項第8号に規定する要件

    審査に当たっては、経営強化計画に添付される貸借対照表等の財務諸表が、直近の当局検査の内容を的確に踏まえたものであるか、又は、監査法人等との協議を経たものであるかを確認する。

  • (6)金融機能強化法第17条第1項第6号ハ及び二(2)に規定する要件

    審査に当たっては、「金融組織再編成の実施のために必要な範囲を超えないこと」との要件について、第15条第1項の申込みに係る株式等の引受け等が、資本参加を受ける銀行の自己資本比率を、経営強化計画を提出した銀行の直近の自己資本比率の水準にまで回復するために必要な額(以下「障壁除去に必要な額」という。)を超えないことを確認する。

III -4-17-3 経営強化計画の履行を確保するための監督上の措置等

金融機能強化法第11条及び第21条に規定する監督上必要な措置及び協定銀行に対する転換権の行使の要請については、特に以下の点に留意する。

  • (1)監督上の措置

    • マル1経営の改善の目標に係る監督上の措置

      • イ.経営強化計画の実施期間中

        経営強化計画の始期となる事業年度の翌年度末以降において、報告基準日におけるコア業務純益の実績(コア業務純益ROAを選択した場合はその実績)が経営強化計画の始期の水準を下回った場合には、その理由及び収益性の向上に係る改善策について報告を求め、フォローアップを行うものとする。

      • ロ.経営強化計画の終期

        経営強化計画の終期において、コア業務純益の実績(コア業務純益ROAを選択した場合はその実績)が経営強化計画に記載された目標を3割以上下回った場合、又は、業務粗利益経費率の実績が経営強化計画の始期の水準を上回った場合には、その理由及び収益性又は業務の効率の向上に向けた抜本的な改善策について報告を求め、必要に応じ、当該改善策の実行を求める業務改善命令の発動を検討するものとする。

        • (注1)上記ロ.において、業務粗利益経費率については、経営強化計画の終期の実績が計画の始期の水準を上回った場合であっても、機械的には監督上の措置を講じないこととする。業務改善命令の必要性の有無を検討するに際しては、まずは、上記の場合に至った要因がやむを得ない事情に基づくものであるかどうか、中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策等が確実に履行されているかどうかなどを十分検証する。

        • (注2)上記ロ.に係る業務改善命令が発動された場合は、翌年度以降改善状況のフォローアップを行い、なお状況の改善が図られていないと認められるときには、原則として、責任ある経営体制の確立を含む抜本的改善策の提出及びその実行を求める業務改善命令の発動を検討する等、厳正に対応するものとする。

      • マル1全体注)障壁除去に必要な額を超えない範囲で資本参加を受ける銀行については、原則として、本措置は適用しないものとする。

    • マル2中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化等地域経済の活性化に資する方策に係る監督上の措置

      • イ.a.報告基準日における「中小規模事業者等向け貸出比率」及びb.報告基準日における「中小規模事業者等に対する信用供与の残高」の実績、又はc.報告基準日における「経営改善支援等取組先企業の数の取引先の企業の総数に占める割合」の実績が、経営強化計画の始期(季節変動要因等を考慮すべき場合は始期直前の同期)の水準を下回った場合には、その理由について報告を求める。さらに、当該指標の改善に向けた実効性のある施策が十分に講じられたと認めがたい場合には、当該指標に係る改善策の提出を求め、必要に応じ、当該改善策の実行を求める業務改善命令の発動を検討するものとする。

      • ロ.経営強化計画の始期から1年後の報告基準日以降において、上記イ.のa.及びb. の実績、又はc.の実績が2期連続で経営強化計画の始期(季節変動要因等を考慮すべき場合は始期直前の同期)の水準を下回った場合には、その理由及び抜本的改善策について報告を求めるとともに、原則として当該改善策の実行を求める業務改善命令の発動を検討するものとする。

    • マル3その他の場合の監督上の措置

      上記の場合のほか、経営強化計画の履行状況に照らして必要があると認められる場合には、当該経営強化計画の履行を確保するため、監督上必要な措置を講じるものとする。

      • (注) なお、協定銀行が引き受けた株式に所定の配当がなされない場合には、金融機能強化法に基づき、所定の配当がなされない理由、当該株式の消却に対応することができる財源が従前どおり確保されることが十分担保されるような抜本的収益改善策等の報告を求め、必要に応じ、当該改善策等の実行を求める業務改善命令の発動を検討する等、厳正に対応するものとする。

  • (2)協定銀行に対する転換権の行使の要請

    資本参加を受けた銀行が基準適合金融機関等でなくなった場合その他の当該銀行につき議決権の制限を撤廃することによって経営管理を通じた適切な業務運営を確保することが必要と認められる場合には、原則として、協定銀行に対して、当該銀行に係る取得株式等について、普通株式への転換請求権を行使するよう要請する方向で検討するものとする。

III -4-17-4 金融機能の強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律(以下「改正法(平成20年12月施行)」という。)の施行前に改正前の金融機能強化法の規定によりされた決定に係る経営強化計画について

改正法(平成20年12月施行)の施行前に改正法(平成20年12月施行)第1条の規定による改正前の金融機能強化法第5条第1項又は第17条第1項の規定によりされた決定に係る経営強化計画については、本監督指針の一部改正(平成23年7月27日適用)による監督指針 III -4-16-1を除き、本監督指針の一部改正(平成20年12月17日適用)による改正前の本監督指針 III -4-15の規定を適用することとする。

III -4-17-5 震災特例金融機関等、震災特例対象子会社、又は、震災特例金融機関等を当事者とする金融組織再編成を行う金融機関等、若しくは、当該金融機関等に係る組織再編成銀行持株会社等に係る株式等の引受け等の決定に関する留意事項

震災特例金融機関等、震災特例対象子会社、又は、震災特例金融機関等を当事者とする金融組織再編成を行う金融機関等、若しくは、当該金融機関等に係る組織再編成銀行持株会社等が経営強化計画を提出する場合における金融機能強化法第5条第1項及び第17条第1項に規定する株式等の引受け等の決定に関し、以下に掲げる要件の審査に当たっては、それぞれ特に以下の点に留意するものとする。

  • (1)金融機能強化法附則第8条第1項、又は、第9条第1項に基づく株式等の引受け等の申込みを行うことに関する要件

    府令附則第2条第1項第1号、又は、第7条第1項第10号イに基づいて提出される理由書の審査に当たっては、当該金融機関等が震災特例金融機関等、震災特例対象子会社、又は、震災特例金融機関等を当事者とする金融組織再編成を行う金融機関等、若しくは、当該金融機関等に係る組織再編成銀行持株会社等である旨が記載されているか確認する。

    また、当該金融機関等における東日本大震災(金融機能強化法附則第8条第1項に規定する東日本大震災をいう。以下同じ。)の被災者への信用供与の状況が記載されているか確認する。

  • (2)金融機能強化法第5条第1項第4号及び第17条第1項第3号に規定する要件

    審査に当たっては、特に以下の点に着眼する。

    • マル1部門別の損益管理が実施されている等、経営強化計画が適切に実施されるための経営管理態勢が構築されていること。

    • マル2減資若しくは準備金の減少等による繰越欠損金の処理がなされている、又は、当該処理が計画に盛り込まれている等、公的資金の配当の確保に向けた態勢が整っていること。

    • マル3労使間で十分な協議を行うこと、かつ、経営強化計画の実施に際しての雇用の安定等に十分な配慮を行うことが見込まれる等、経営強化計画の実施により従業員の地位が不当に害されないものであること(金融機能強化法第17条第1項第3号に規定する要件に限る。)。

  • (3)金融機能強化法第5条第1項第8号及び第9号並びに第17条第1項第4号ホ及びヘに規定する要件

    審査に当たっては、「経営強化計画の実施のために必要な範囲であること」との要件について、東日本大震災による銀行の財務基盤への潜在的な影響も踏まえ、当該銀行の財務基盤の安定を確保し、適切かつ積極的な金融仲介機能が発揮できるようにするなど、当該銀行が主として業務を行っている地域で金融機能を発揮し、東日本大震災からの復興に継続的に貢献するために十分な自己資本の水準かどうかを確認する。

  • (4)金融機能強化法第5条第1項第11号及び第17条第1項第8号に規定する要件

    審査に当たっては、経営強化計画に添付される貸借対照表等の財務諸表が、直近の当局検査の内容を踏まえたものであるか、又は、監査法人等との協議を経たものであるかを確認する。

III -4-17-6 経営強化計画の履行を確保するための監督上の措置等

震災特例金融機関等、震災特例対象子会社に係る銀行持株会社等、又は、震災特例金融機関等を当事者とする金融組織再編成を行う金融機関等、若しくは、当該金融機関等に係る組織再編成銀行持株会社等が経営強化計画を提出する場合における金融機能強化法第10条及び第11条並びに第20条及び第21条に規定する監督上必要な措置及び協定銀行に対する転換権の行使の要請については、特に以下の点に留意する。

  • (1)経営強化計画の履行状況のフォローアップ

    経営強化計画の履行状況についてフォローアップを行うに当たっては、履行状況報告において、経営強化計画に掲げられた各種施策の実施状況が実績計数を含め具体的に記載されているか検証するものとする。

  • (2)監督上の措置

    履行状況報告に記載された、経営強化計画に掲げられた施策の実施状況(実績計数を含む。)を十分に検証した上で、当該震災特例金融機関等、当該震災特例対象子会社、又は、業務実施金融機関(金融機能強化法附則第9条第1項に規定する業務実施金融機関をいう。以下同じ。)が主として業務を行っている地域における経済の復興状況等を勘案し、特に必要があると認められる場合には、当該経営強化計画の履行を確保するため、監督上必要な措置を講じるものとする。

    (注) なお、株式に所定の配当がなされない場合には、金融機能強化法に基づき、所定の配当がなされない理由及び収益改善策等について報告を求めるものとする。

    当該報告等により、上記の場合に至った要因がやむを得ない事情に基づくものであるかどうか、東日本大震災からの復興に資する方策が適切に履行されているかどうか、当該震災特例金融機関等、当該震災特例対象子会社、又は、業務実施金融機関が主として業務を行っている地域の収益環境が回復しているかどうか等を十分に検証した上で、特に必要があると認められる場合には、当該改善策等の実行を求める業務改善命令の発動を検討するものとする。

  • (3)協定銀行に対する転換権の行使の要請

    資本参加を受けた銀行が基準適合金融機関等でなくなった場合その他の当該銀行につき議決権の制限を撤廃することによって経営管理を通じた適切な業務運営を確保することが必要と認められる場合には、原則として、協定銀行に対して、当該銀行に係る取得株式等について、普通株式への転換請求権を行使するよう要請することを検討するものとする。

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