III  主な着眼点

以上を踏まえ、各金融機関におけるコンサルティング機能の発揮状況や、コンサルティング機能が組織全体として継続的かつ着実に発揮されるための態勢整備の状況について、以下の着眼点に基づき検証していく。

なお、以下の着眼点に定める具体的な内容や水準については、各金融機関において、自らの規模や特性、債務者のニーズ等を踏まえ、自主的な経営判断により決定されるべきものであり、金融機関に一律・画一的な対応を求めるものではないことに留意する必要がある。

III -1 コンサルティング機能の発揮

本監督指針IIに定める「コンサルティング機能の発揮に際し金融機関が果たすべき役割」が十分に果たされているか。

III -2 態勢整備

金融機関は、本部及び営業店等において、債務者に対し、本監督指針IIに定める「コンサルティング機能の発揮に際し金融機関が果たすべき役割」を着実に遂行できるよう、以下の態勢を整備することが求められる。

(1)経営陣による主導性の発揮

経営陣は、債務者に対するコンサルティング機能の発揮を経営課題として明確に認識し、主導性を十分に発揮して、中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための基本方針その他必要と考えられる規定等を策定し、職員等に周知徹底しているか。

また、経営陣は、債務者に対するコンサルティング機能の発揮の取組みに関する評価・改善に積極的に取り組み、必要に応じて当該基本方針その他規定等を見直すなど、本監督指針Ⅱに定める「コンサルティング機能の発揮に際し金融機関が果たすべき役割」を組織全体として継続的かつ着実に遂行できるよう、必要な態勢の整備に努めているか。

(2)本部による営業店支援

営業店における人材やノウハウの不足の補完や自金融機関における経営資源の有効活用のために、本部による支援態勢の整備に努めているか。

(3)外部専門家・外部機関・他の金融機関等との連携

自金融機関における専門的な人材やノウハウの不足の補完や、中長期的な人材育成やノウハウ蓄積の観点を踏まえつつ、必要に応じ、適時適切に、外部専門家、外部機関、他の金融機関等と連携できるよう、本部や営業店等において連携態勢の整備に努めているか。(連携の例は、本監督指針II -2(1)参照)

特に、顧客企業が事業再生、業種転換、事業承継、廃業等の支援を必要とする状況にある場合や、支援にあたり債権者間の調整を必要とする場合には、判断を先送りせず、外部機関等の第三者的な視点や専門的な知見・機能を積極的に活用しているか。また、他の金融機関が外部機関等を活用して事業再生支援を行う場合、積極的に連携・協力するよう努めているか。

(注)具体的な連携先は、各金融機関において、自らの規模や特性、地域の実情、債務者のニーズ等を踏まえ自主的な経営判断により決定されるべきものである。また、金融機関が保有する債務者の経営に関する情報を連携先と共有する場合には、顧客企業の同意が前提となることに留意する必要がある。

(4)コンサルティング機能の発揮を支えるノウハウの蓄積・人材の育成

本監督指針II に定める「コンサルティング機能の発揮に際し金融機関が果たすべき役割」を着実に遂行するために、それを支えるための金融手法や知識等のノウハウを持つ人材の育成や活用に努めているか。また、そうしたノウハウを営業店と本部の適切な連携により組織全体で共有するよう努めているか。

(5)職員のモチベーション(動機付け)の向上に資する評価

営業店の評価、その他業績評価等の基準は、中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための基本方針と整合的なものとなっているか。当該基本方針に沿わない対応を慫慂するような評価基準となっていないか。

また、コンサルティング機能の発揮の難易度や効果は、債務者の状況、外部環境、金融機関の取引地位など様々な要因により一様ではないが、質の高いコンサルティング機能が発揮された場合に、そうした取組みを業務上の評価に適正に反映するよう努めているか。

(6)監査

定期的かつ必要に応じ、内部監査等を実施することにより、本監督指針III -2(1)~(5)に定める態勢が整備されていることを確認しているか。

また、当該監査等の結果等を踏まえ、必要に応じて態勢を更に改善・充実していくなど、監査等を有効に活用する態勢が整備されているか。

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