II  業務の適切性

II -1 法令等遵守

信用保証協会の業務の公共性を十分に認識し、法令や業務上の諸規則等を厳格に遵守し、健全かつ適切な業務運営に努めることが顧客からの信頼を確立するためにも重要であることから、当面、特に留意すべき点は以下のとおりである。

II -1-1 不祥事件等に対する監督上の対応

役職員の不祥事件等に対する監督上の対応については、以下のとおり、厳正に取り扱うこととする。

  • (1)不祥事件等の発覚の第一報

    信用保証協会において不祥事件等が発覚し、第一報があった場合は、以下の点を確認するものとする。

    • マル1本部等の事務部門、内部監査部門への迅速な報告及びコンプライアンス規定等に則った理事会等への報告。

    • マル2刑事法令に抵触しているおそれのある事実については、警察等関係機関等への通報。

    • マル3事件とは独立した部署(内部監査部門等)での事件の調査・解明の実施。

  • (2)不祥事件等届出書の受理

    法第35条に基づく報告命令により、信用保証協会が不祥事件の発生を知った日から30日以内に不祥事件等届出書が提出されることとなるが、当該届出書の受理時においては、法令の規定に基づき報告が適切に行われているかを確認する。

  • (3)主な着眼点

    不祥事件と業務の適切性の関係については、以下の着眼点に基づき検証する。

    • マル1当該事件への役員の関与はないか、組織的な関与はないか。

    • マル2当該事件の内容が信用保証協会の経営等に与える影響はどうか。

    • マル3内部けん制機能が適切に発揮されているか。

    • マル4改善策の策定や自浄機能は十分か。

    • マル5当該事件の発覚後の対応は適切か。

  • (4)監督上の措置

    不祥事件等届出書の提出があった場合には、事実関係、発生原因分析、改善・対応策等についてヒアリングを実施し、必要に応じ、法第35条に基づき報告を求め、さらに、重大な問題があるときは、法第36条に基づく監督命令等を発出することとする。

II -1-2 役員による法令等違反行為への対応

II -1-2-1 意義

  • (1)信用保証協会が業務を遂行するに際しての役員による組織的な法令違反行為については、当該個人の責任の問題に加え、法人としての信用保証協会の責任も問われる重大な問題であり、信用失墜・風評等により信用保証協会の経営に重大な影響を及ぼすことに留意すべきである。

  • (2)さらに、公共性を有し、地域経済において重要な機能を有する信用保証協会において、中小企業者等との信頼関係を阻害するような問題が発生した場合には、地域の中小企業金融の円滑化に大きな影響を及ぼすおそれがあることを銘記する必要がある。

II -1-2-2 監督手法・対応

  • (1)検査結果、不祥事件等届出書等により、役員による組織的な法令違反の疑いがあると認められた場合には、厳正な内部調査を行うよう要請し、法第35条に基づき報告を求める。

    特に、重大な法令違反の疑いがある場合には、事案に応じ、弁護士、外部専門家等の完全に独立した第三者(注)による客観的かつ厳正な調査を行うよう要請し、法第35条に基づき報告を求める。

    • (注)例えば顧問弁護士は、完全な第三者には当たらないことに留意する。

  • (2)当該調査結果及び信用保証協会の対応等を踏まえ、法第36条に基づく行政処分など、法令に則して、厳正な行政上の対応を検討する。

II -1-3 反社会的勢力による被害の防止

II -1-3-1 意義

反社会的勢力を社会から排除していくことは、社会の秩序や安全を確保する上で極めて重要な課題であり、反社会的勢力との関係を遮断するための取組みを推進していくことは、企業等にとって社会的責任を果たす観点から必要かつ重要なことである。特に、公共性を有し、経済的に重要な機能を営む信用保証協会においては、信用保証協会自身や役職員のみならず、顧客等の様々なステークホルダーが被害を受けることを防止するため、反社会的勢力を金融取引から排除していくことが求められる。

もとより信用保証協会として公共の信頼を維持し、業務の適切性及び健全性を確保するためには、反社会的勢力に対して屈することなく法令等に則して対応することが不可欠であり、信用保証協会においても、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」(平成19年6月19日犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)の趣旨を踏まえ、平素より、反社会的勢力との関係遮断に向けた態勢整備に取り組む必要がある。

特に、近時反社会的勢力の資金獲得活動が巧妙化しており、関係企業を使い通常の経済取引を装って巧みに取引関係を構築し、後々トラブルとなる事例も見られる。こうしたケースにおいては経営陣の断固たる対応、具体的な対応が必要である。

なお、役職員の安全が脅かされる等不測の事態が危惧されることを口実に問題解決に向けた具体的な取組みを遅らせることは、かえって信用保証協会や役職員自身等への最終的な被害を大きくし得ることに留意する必要がある。

  • (参考)「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」(平成19年6月19日犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)

    • マル1反社会的勢力による被害を防止するための基本原則

      • 組織としての対応

      • 外部専門機関との連携

      • 取引を含めた一切の関係遮断

      • 有事における民事と刑事の法的対応

      • 裏取引や資金提供の禁止

    • マル2反社会的勢力のとらえ方

      暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である「反社会的勢力」をとらえるに際しては、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標榜ゴロ、政治活動標榜ゴロ、特殊知能暴力集団等といった属性要件に着目するとともに、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求といった行為要件にも着目することが重要である(平成23年12月22日付警察庁次長通達「組織犯罪対策要綱」参照)。

II -1-3-2 主な着眼点

反社会的勢力とは一切の関係をもたず、反社会的勢力であることを知らずに関係を有してしまった場合には、相手方が反社会的勢力であると判明した時点で可能な限り速やかに関係を解消するための態勢整備及び反社会的勢力による不当要求に適切に対応するための態勢整備の検証については、個々の取引状況等を考慮しつつ、例えば以下のような点に留意することとする。

  • (1)組織としての対応

    反社会的勢力との関係の遮断に組織的に対応する必要性・重要性を踏まえ、担当者や担当部署だけに任せることなく役員が適切に関与し、組織として対応することとしているか。また、信用保証協会単体のみならず、関連会社とも一体となって、反社会的勢力の排除に取り組むこととしているか。

  • (2)反社会的勢力対応部署による一元的な管理態勢の構築

    反社会的勢力との関係を遮断するための対応を総括する部署(以下「反社会的勢力対応部署」という。)を整備し、反社会的勢力による被害を防止するための一元的な管理態勢が構築され、機能しているか。

    特に、一元的な管理態勢の構築に当たっては、以下の点に十分留意しているか。

    • マル1反社会的勢力対応部署において反社会的勢力に関する情報を積極的に収集・分析するとともに、当該情報を一元的に管理したデータベースを構築し、適切に更新(情報の追加、削除、変更等)する体制となっているか。また、当該情報の収集・分析等に際しては、関連会社とも情報の共有に努め、保証業務支援機関等から提供された情報を積極的に活用しているか。さらに、当該情報を保証審査に、適切に活用する体制となっているか。

    • マル2反社会的勢力対応部署において対応マニュアルの整備や継続的な研修活動、警察・暴力追放運動推進センター・弁護士等の外部専門機関との平素からの緊密な連携体制の構築を行うなど、反社会的勢力との関係を遮断するための取組みの実効性を確保する体制となっているか。特に、平素より警察とのパイプを強化し、組織的な連絡体制と問題発生時の協力体制を構築することにより、脅迫・暴力行為の危険性が高く緊急を要する場合には直ちに警察に通報する体制となっているか。

    • マル3反社会的勢力との取引が判明した場合及び反社会的勢力による不当要求がなされた場合等において、当該情報を反社会的勢力対応部署へ迅速かつ適切に報告・相談する体制となっているか。また、反社会的勢力対応部署は、当該情報を迅速かつ適切に役員に対し報告する体制となっているか。さらに、反社会的勢力対応部署において実際に反社会的勢力に対応する担当者の安全を確保し担当部署を支援する体制となっているか。

  • (3)適切な事前審査の実施

    反社会的勢力との取引を未然に防止するため、保証審査においては、反社会的勢力に関する情報等を活用し、保証委託者等への適切な事前審査を実施し、併せて、契約書へ暴力団排除条項を導入するなど、反社会的勢力が取引先となることを防止しているか。

  • (4)適切な事後検証の実施

    反社会的勢力との関係遮断を徹底する観点から、既存の保証債務及び求償権や契約の適切な事後検証を行うための態勢が整備されているか。

  • (5)反社会的勢力との取引解消に向けた取組み

    • マル1反社会的勢力との取引が判明した旨の情報が反社会的勢力対応部署を経由して迅速かつ適切に役員に報告され、役員の適切な指示・関与のもと対応を行うこととしているか。

    • マル2平素から警察・暴力追放運動推進センター・弁護士等の外部専門機関と緊密に連携しつつ、反社会的勢力との取引の解消を推進しているか。

    • マル3事後検証の実施等により、取引開始後に保証委託者等が反社会的勢力であると判明し、信用保証協会が求償権を取得した場合には、可能な限り回収を図るなど、反社会的勢力への利益供与にならないよう配意しているか。

    • マル4いかなる理由であれ、反社会的勢力であることが判明した場合には、資金提供や不適切・異例な取引を行わない態勢を整備しているか。

  • (6)反社会的勢力による不当要求への対処

    • マル1反社会的勢力により不当要求がなされた旨の情報が反社会的勢力対応部署を経由して迅速かつ適切に役員に報告され、役員の適切な指示・関与のもと対応を行うこととしているか。

    • マル2反社会的勢力からの不当要求があった場合には積極的に警察・暴力追放運動推進センター・弁護士等の外部専門機関に相談するとともに、暴力追放運動推進センター等が示している不当要求対応要領等を踏まえた対応を行うこととしているか。特に、脅迫・暴力行為の危険性が高く緊急を要する場合には直ちに警察に通報を行うこととしているか。

    • マル3反社会的勢力からの不当要求に対しては、あらゆる民事上の法的対抗手段を講ずるとともに、積極的に被害届を提出するなど、刑事事件化も躊躇しない対応を行うこととしているか。

    • マル4反社会的勢力からの不当要求が、事業活動上の不祥事や役職員の不祥事を理由とする場合には、反社会的勢力対応部署の要請を受けて、不祥事案を担当する部署が速やかに事実関係を調査することとしているか。

II -1-3-3 監督手法・対応

検査結果、不祥事件等届出書等により、反社会的勢力との関係を遮断するための態勢に問題があると認められる場合には、必要に応じて法第35条に基づき報告を求め、当該報告を検証した結果、業務の健全性・適切性の観点から重大な問題があると認められる場合等には、法第36条に基づく監督命令等の発出を検討するものとする。その際、反社会的勢力への債務保証や反社会的勢力との不適切な取引関係を認識しているにもかかわらず関係解消に向けた適切な対応が図られないなど、内部管理態勢が極めて脆弱であり、その内部管理態勢の改善等に専念させる必要があると認められるときは、法第36条に基づく業務改善に要する一定期間に限った業務の一部停止命令の発出を検討するものとする。

また、反社会的勢力であることを認識しながら組織的に債務保証や不適切な取引関係を反復・継続するなど、重大性・悪質性が認められる法令違反又は公益を害する行為などに対しては、法第36条に基づく厳正な処分について検討するものとする。

 

II -2 金融機関との連携等

II -2-1 意義

中小企業の経営の改善発達を促進するための中小企業信用保険法等の一部を改正する法律(平成30年4月施行)により、中小企業者による経営の改善発達を促進するため、信用保証協会が、その業務を行うに際し、金融機関と連携(法第20条の2)を図るとともに、中小企業者に対する経営の改善発達に係る助言その他の支援(法第20条第2項第1号)を行うことが規定された。
 信用保証協会は、こうした趣旨を踏まえ、金融機関が事業の評価に基づく融資や信用保証付き融資も活用して必要十分な信用供与を行いつつ、その後の適切な期中管理・経営支援を実施するよう、促していくことが重要である。

II -2-2 主な着眼点

上記意義を踏まえ、各信用保証協会が金融機関との連携を図るとともに、自らも中小企業者の経営の改善発達を促していくための態勢の整備状況について、以下の着眼点に基づき検証していく。

  • (1) 保証審査時及び支援体制の構築における対応

    信用保証協会は、中小企業者からの相談に応えるとともに、保証審査時においては、事業継続のために迅速な資金調達を必要とする中小企業者の目線に立って対応することを第一とし、利用資格等の基礎的事項はもとより、業歴、業況、成長性、財務バランス、返済可能性、信用保証の必要理由や資金使途(運転資金、設備資金等)等を適切に勘案し、審査を行っているか。その際、定量的な基準だけではなく、例えば、財務状況は悪化していても本業に再生等の可能性がある場合には、当該中小企業者に対する地域金融機関の支援姿勢等といった非財務情報を含めて総合的な判断を行っているか。
     信用保証協会は、金融機関における、個々の中小企業者に対するア)既往の信用保証の付かない融資(以下「プロパー融資」という。)等の与信取引の状況やその推移、イ)業況や事業性の把握状況、ウ)今後のプロパー融資の実施方針を含めた支援の方向性、に着眼して柔軟に保証付き融資とプロパー融資のリスク分担(以下「リスク分担」という。)を行っているか。その際、経営改善・事業再生の局面等においては、金融機関の支援姿勢が当該局面を円滑に進展させることにつながることから、信用保証協会は、上記ア)イ)ウ)に特に留意しているか。
     一方で、中小企業者が創業期であることや事業規模が小さいこと等の理由により著しく信用力に乏しい場合、危機等の突発的事態の発生により中小企業者が信用保証協会による保証がなければ必要十分な資金調達を行えないと考える場合においては、信用保証協会は画一的にプロパー融資を求めるのではなく、個々の中小企業者の実態に応じて柔軟に対応しているか。
     なお、仮に金融機関が中小企業者に対して十分な融資を行えない場合には、信用保証協会が中小企業者に対して他の金融機関を紹介する取組みを行っているか(なお、その取組みの実施にあたっては、中小企業者から中小企業支援機関に資金繰りの相談がなされた場合に速やかに信用保証協会に連絡がなされるよう、日頃から、信用保証協会が中小企業支援機関との連絡体制等を充実させていくことが重要である)。

  • (2) 保証承諾後の対応

    • マル1期中管理

    •  信用保証協会は、債務の保証を実施した中小企業者に対する金融機関の期中管理や経営支援が行われるよう、金融機関と対話をしているか。

    • マル2経営改善・事業再生支援

    •  中小企業者の経営の改善発達を促すためには、上記(1)及び(2)①の対応を進めていくことを通じ、金融機関による中小企業者への支援を促すことが重要となるが、その支援効果が十分に発揮されない事由がある場合には、必要に応じ、信用保証協会も、自ら期中管理や経営支援を行っているか。その際、信用保証協会が専門家の紹介・派遣や助言を行う等の支援に努めているか。
       また、信用保証協会は金融機関と連携・協調して円滑な事業再生(一定ルールの下で行われる求償権放棄を伴う抜本再生を含む。)に努めているか。

  • (3) 改善活動

    信用保証協会は、上記(1)及び(2)にかかわらず、保証審査から代位弁済実行までの間、金融機関の対応を含めて改善の余地があると考えられる場合には、金融機関との対話を通じ、その対応の改善に努めているか。

  • (4) 情報開示等

    信用保証協会は、信用保証利用の状況、代位弁済の状況、プロパー融資の状況や経営改善・事業再生支援の状況等について情報開示を行っているか。

    II -2-3 監督手法・対応

    上記の監督上の着眼点に基づき、開示される情報や各種ヒアリングを活用し各信用保証協会における取組み状況を把握しつつ、信用保証協会との対話を通じて、中小企業者の経営の改善発達を促す機能が十分に発揮されるよう、対応を促すこととする。

 

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