VI 監督上の評価項目と諸手続(保険媒介業務)

VI-1 業務の適切性(保険媒介業務)

VI-1-1 保険媒介業務管理態勢

 保険媒介業務を行う金融サービス仲介業者(以下、VIにおいて「保険媒介業者」という。)は、保険契約者等の利益を害することがないよう、適正な保険媒介業務管理態勢を確立する必要がある。
 このため、以下のような措置等について、適切に実行するとともに、内部監査部門による監査等を通じて、事後的に適切性等を検証し、必要に応じて改善を図ることが求められる。
 

VI-1-1-1 適正な保険媒介業務管理態勢の確立

(1)保険媒介業務の意義
  • マル1 金融サービス提供法第11条第3項に規定する保険媒介業務とは、以下のイからハの行為をいう。
    • イ.保険契約の締結の勧誘
    • ロ.保険契約の締結の勧誘を目的とした保険商品の内容説明
    • ハ.その他の保険契約の締結の媒介
  • マル2 なお、上記ハに該当するか否かについては、一連の行為の中で、当該行為の位置付けを踏まえた上で、以下のイ及びロの要件に照らして、総合的に判断するものとする。
    • イ.保険会社等又は保険媒介業者などからの報酬を受け取る場合や、保険会社等又は保険媒介業者と資本関係等を有する場合など、保険会社等が行う保険募集又は保険媒介業者が行う保険媒介業務と一体性・連続性を推測させる事情があること。
    • ロ.具体的な保険商品の推奨・説明を行うものであること。
 
(2)「保険媒介業務関連行為」について
  •  保険契約の契約成立に向けた契約見込客の発掘以降の広い意味での保険媒介業務のプロセスのうち上記(1)に照らして保険媒介業務に該当しない行為(以下「保険媒介業務関連行為」という。)については、直ちに保険媒介業務規制が適用されるものではない。
     しかし、保険媒介業者においては、保険媒介業務関連行為を第三者に委託し、又はそれに準じる関係に基づいて行わせる場合には、当該保険媒介業務関連行為を受託した第三者(以下「保険媒介業務関連行為従事者」という。)が不適切な行為を行わないよう、例えば、以下のマル1からマル3の点に留意しているか。
    • (注1)保険媒介業務関連行為とは、例えば、保険商品の推奨・説明を行わず契約見込客の情報を保険会社等又は保険媒介業者に提供するだけの行為や、比較サイト等の商品情報の提供を主たる目的としたサービスのうち保険会社等又は保険媒介業者からの情報を転載するに留まるものが考えられる。
    • (注2)ただし、例えば、以下の行為については、保険媒介業務に該当し得ることに留意する必要がある。
      • イ.業として特定の保険会社等の商品(群)のみを見込み客に対して積極的に紹介して、保険会社等又は保険媒介業者などから報酬を得る行為
      • ロ.比較サイト等の商品情報の提供を主たる目的としたサービスを提供する者が、保険会社等又は保険媒介業者などから報酬を得て、具体的な保険商品の推奨・説明を行う行為
    • (注3)例えば、以下の行為のみを行う場合には、上記の要件に照らして、基本的に保険媒介業務・保険媒介業務関連行為のいずれにも該当しないものと考えられる。
      • イ.保険会社等又は保険媒介業者の指示を受けて行う商品案内チラシの単なる配布
      • ロ.コールセンターのオペレーターが行う、事務的な連絡の受付や事務手続等についての説明
      • ハ.金融商品説明会における、一般的な保険商品の仕組み、活用法等についての説明
      • 二.保険会社等又は保険媒介業者の広告を掲載する行為
 
  • マル1 保険媒介業務関連行為従事者において、保険募集(保険媒介業者が取り扱うことできない保険契約の締結の媒介行為を含む。)若しくは保険媒介業務又は特別利益の提供等の保険募集規制及び保険媒介業務規制の潜脱につながる行為が行われていないか。
  • マル2 保険媒介業務関連行為従事者が運営する比較サイト等の商品情報の提供を主たる目的としたサービスにおいて、誤った商品説明や特定商品の不適切な評価など、保険媒介業者が保険媒介業務を行う際に顧客の正しい商品理解を妨げるおそれのある行為を行っていないか。
  • マル3 保険媒介業務関連行為従事者において、個人情報の第三者への提供に係る顧客同意の取得などの手続が個人情報の保護に関する法律等に基づき、適切に行われているか。
     また、保険媒介業務関連行為従事者への支払手数料の設定について、慎重な対応を行っているか。
    • (注)例えば、保険媒介業者が、高額な紹介料やインセンティブ報酬を払って保険媒介業務関連行為従事者から見込み客の紹介を受ける場合、一般的にそのような報酬体系は保険媒介業務関連行為従事者が本来行うことができない具体的な保険商品の推奨・説明を行う蓋然性を高めると考えられることに留意する。
 
(3)保険媒介人の採用・届出
  • マル1 保険媒介業者において保険媒介業務に従事する役員又は使用人(以下「保険媒介人」という。)の採用に当たって、その適格性を審査しているか。
     また、その審査に当たっての審査基準が整備されているか。
     なお、保険媒介業者において、保険媒介人については、以下の要件を満たすことに留意する必要がある。
    • (イ)保険媒介人とは、保険媒介業者から保険媒介業務に関し、適切な教育・管理・指導を受けて保険媒介業務を行う者であること。
    • (ロ)保険媒介人のうち保険媒介業務に従事する使用人については、上記(イ)に加えて、保険媒介業者の事務所に勤務し、かつ、保険媒介業者の指揮監督・命令のもとで保険媒介業務を行う者であること。
    • (ハ)保険媒介人は、他の保険媒介業者、保険代理店、保険仲立人又は保険会社等において保険契約の締結の代理又は媒介を行う役員又は使用人にはなれないこと。
  • マル2 保険媒介業者は、金融サービス提供法第74条に規定する届出を行っているか。
 
(4)保険媒介人の教育・管理・指導
  •  保険媒介業者においては、保険媒介業務に関する法令等の遵守、保険契約に関する知識、内部事務管理態勢の整備(顧客情報の適正な管理を含む。)等について、社内規則等に定めて、保険媒介人の育成、資質の向上を図るための措置を講じるなど、適切な教育・管理・指導を行っているか。
  • マル1 保険媒介人の教育について
    •  保険商品の特性に応じて、顧客が十分に理解できるよう、多様化した保険商品に関する十分な知識や保険契約に関する知識の付与及び適切な保険媒介業務の遂行のための十分な教育を行っているか。
  • マル2 保険媒介人の管理・指導について
    •  保険媒介業者においては、保険媒介人の健全かつ適切な業務運営を確保するために、不適切な保険媒介業務の端緒となり得る点等について、その状況を適時把握し、管理・指導するために適正な措置を講じているか。
       具体的には、例えば、以下の(イ)及び(ロ)のようなことが考えられる。
      • (イ)保険媒介人の挙績状況、保険契約の継続状況等の常時把握可能な管理を行う。
         その際、保険会社等の役職員が実質的な保険契約の締結の媒介を行い、その保険契約を保険媒介業者の扱いとする等の行為又は保険媒介人の間での成績を付け替える等の行為は、重要事項説明等の説明が不十分となるなどの不適切な保険媒介業務につながるおそれがあることから、こうした行為が行われないように特に留意する。
      • (ロ)金融サービス仲介業者が、いかなる名目によるかを問わず、その行う金融サービス仲介業に関して顧客から金銭その他の財産の預託を受けてはならないことから(金融サービス提供法第27条)、保険媒介人による契約者からの保険料領収が行われないこと、その遵守の状況が事後で確認できる体制とすることなどを保険媒介業者において管理・指導する体制を構築する。
  • マル3 営業所等の拠点に対する監査について
  •  営業所等の拠点の保険媒介業務に関する業務内容について、以下のような点を含めて、監査等を適切に実施し、営業所等の拠点の保険媒介業務の実態や内部事務管理の状況等を把握しているか。
     また、監査等において内部事務管理が不適切な営業所等の拠点に対し、適切な措置を講じるとともに、改善が図られるよう指導・検証する態勢を整備しているか。
    • イ.営業所等の拠点に対する監査の周期は、営業所等の拠点の業務の品質を確保する上で有効なものとなっているか。
    • ロ.監査等を実施する営業所等の拠点の選定及び監査等の項目は、日常の管理を行う中で把握した情報や管理指標の異常値等に着目し、適時適切に見直しを行っているか。
    • ハ.監査等の手法として、無予告での訪問による監査等を実施できる態勢を整備しているか。
 

VI-1-1-2 保険契約の締結の媒介上の留意点

 保険媒介業者の行う保険媒介業務の健全かつ適切な業務運営を確保する観点から、保険契約の締結の媒介においては、以下の点に留意するものとする。その際、保険媒介業者と顧客が契約を締結しようとする保険会社等との間の顧客に対する情報の提供及び説明に関する役割分担を適切に踏まえ、機械的・画一的な取扱いとならないよう配慮するものとする。

(1)不当な乗換媒介の防止等
  •  二以上の保険会社等から委託を受けている保険媒介業者については、当該保険会社等間の不当な乗換媒介の防止、顧客情報の管理等についての措置を講じているか。
 
(2)金融サービス提供法第30条で準用する保険業法(以下「準用保険業法」という。)第294条第1項及び第2項関係(情報提供義務)
  • マル1 保険媒介業者は、保険媒介業務に関し、保険契約の種類及び性質等を踏まえ、保険契約の内容その他保険契約者等に参考となるべき情報の提供を適正に行っているか。
  • マル2 書面の交付又はこれに代替する電磁的方法により、情報の提供を行うに当たっては、顧客が保険商品の内容を理解するために必要な情報(以下「契約概要」という。)と顧客に対して注意喚起すべき情報(以下「注意喚起情報」という。)について、記載しているか。
     なお、「契約概要」と「注意喚起情報」の主な項目は、以下のとおりとする。
    • (注)「契約概要」と「注意喚起情報」について、同一媒体を用いて一体で記載している場合には、以下のイ(イ)及びロ(イ)について省略した上で、当該情報を「契約情報」として表示することで足りる。
    • イ.「契約概要」の項目
      • (イ)当該情報が「契約概要」であること。
      • (ロ)商品の仕組み
      • (ハ)保障(補償)の内容
        • (注)保険金等の支払事由、支払事由に該当しない場合及び免責事由等の保険金等を支払わない場合について、それぞれ主なものを記載すること。
           保険金等を支払わない場合が通例でないときは、特に記載すること。
      • (二)付加できる主な特約及びその概要
      • (ホ)保険期間
      • (ヘ)引受条件(保険金額等)
      • (ト)保険料に関する事項
      • (チ)保険料払込みに関する事項(保険料払込方法、保険料払込期間)
      • (リ)配当金に関する事項(配当金の有無、配当方法、配当額の決定方法)
      • (ヌ)解約返戻金等の有無及びそれらに関する事項
    • ロ.「注意喚起情報」の項目
      • (イ)当該情報が「注意喚起情報」であること。
      • (ロ)クーリング・オフ(保険業法第309条第1項に規定する保険契約の申込みの撤回等)
      • (ハ)告知義務等の内容
        • (注)危険増加によって保険料を増額しても保険契約が継続できない(保険期間の中途で終了する)場合がある旨の約款の定めがあるときは、それがどのような場合であるか、記載すること。
      • (ニ)責任開始期
      • (ホ)支払事由に該当しない場合及び免責事由等の保険金等を支払わない場合のうち主なもの。
        • (注)通例でないときは、特に記載すること。
      • (ヘ)保険料の払込猶予期間、契約の失効、復活等
        • (注)保険料の自動振替貸付制度を備えた保険商品については、当該制度の説明を含む。
      • (ト)解約と解約返戻金の有無
      • (チ)セーフティネット
      • (リ)手続実施基本契約の相手方となる指定ADR機関(金融サービス提供法第11条第9項に規定する「指定紛争解決機関」をいう。以下同じ。)の商号又は名称(指定ADR機関が存在しない場合には、苦情処理措置及び紛争解決措置の内容)
      • (ヌ)補償重複に関する以下の事項
        • (注)補償重複とは、複数の損害保険契約の締結により、同一の被保険利益について同種の補償が複数存在している状態をいう。
          • a.補償内容が同種の保険契約が他にある場合は、補償重複となることがあること
          • b.補償重複の場合の保険金の支払に係る注意喚起
          • c.補償重複の主な事例
      • (ル)特に法令等で注意喚起することとされている事項
        • (注)法令で注意喚起することとされている事項には、例えば少額短期保険業者が相手方金融機関である場合、以下の例示を含む。
          • a.保険期間が保険業法施行令第1条の5に定める期間以内であって、保険金額が保険業法施行令第1条の6に定める金額以下の保険のみの引受けを行う者であること。(仲介業者等府令第56条第1項第10号イ)
          • b.一の被保険者について引き受けるすべての保険の保険金額の合計額は、2,000万円(保険業法施行令第1条の6第1号から第6号までに掲げる保険の保険金額の合計額は、1,000万円)を上限とすること。(仲介業者等府令第56条第1項第10号ロ)
          • c.一の保険契約者について引き受ける保険業法施行令第1条の6各号に掲げる保険区分に応じた保険金額の合計額は、原則、仲介業者等府令第56条第1項第10号ハに定める上限総保険金額が上限であること。(仲介業者等府令第56条第1項第10号ハ)
  • マル3 情報提供義務の適用除外(仲介業者等府令第56条)
  •  仲介業者等府令第56条第3項第1号イに規定する保険契約とは、例えば、世帯主が家族に対して保険をかけた上で、保険料は世帯主が負担する場合であって保険料を当該法人自身が負担する場合などが考えられる。
    • (注)明確に被保険者に保険料負担を求めるものではないが、物品等の通常販売価格及び市場価格との比較並びに保険給付のために必要な保険料の額が物品等の価格に占める割合などから、被保険者が負担する実質的な保険料があると解される場合があることに留意する必要がある。
       なお、保険法に基づき被保険者の同意が求められる場合には、被保険者に対して、当該同意の可否を判断するに足りる情報が提供される必要があることに留意する必要がある。
  • マル4 情報提供義務に係る体制整備関係
  •  保険媒介業者は、仲介業者等府令第35条に規定する措置に関し、「契約概要」及び「注意喚起情報」を記載した書面の交付又はこれに代替する電磁的方法による提供を行うために、以下のような体制を整備しているか。
    • イ.当該書面(当該書面に記載すべき事項を記録した電磁的記録を含む。以下、VI-1-1-2(2)マル4において同じ。)において、顧客に対して、保険媒介業者における苦情・相談の受付先を明示する措置を講じているか。
    • ロ.「注意喚起情報」を記載した書面において、手続実施基本契約の相手方となる指定ADR機関の商号又は名称(指定ADR機関が存在しない場合には、苦情処理措置及び紛争解決措置の内容)を明示する措置を講じているか。
    • ハ.当該書面に記載等すべき事項について、以下の点に留意した記載等とする措置を講じているか。(「VI-1-3 適切な表示の確保」参照)
      • (イ)文字の大きさや記載事項の配列等について、顧客にとって理解しやすい記載とされているか。
        • (注)例えば、文字の大きさを8ポイント以上とすること、文字の色、記載事項について重要度の高い事項から配列すること、グラフや図表の活用などの工夫すること等。
      • (ロ)記載等する文言の表示に当たっては、その平明性及び明確性が確保されているか。
        • (注)例えば、専門用語について顧客が理解しやすい表示や説明とされているか。顧客が商品内容を誤解するおそれがないような明確な表示や説明とされているか。
      • (ハ)顧客に対して具体的な数値等を示す必要がある事項(保険期間、保険金額、保険料等)については、その具体的な数値が記載等されているか。
        • (注)具体的な数値等を記載等することが困難な場合は、顧客に誤解を与えないよう配慮の上、例えば、代表例、顧客の選択可能な範囲、他の書面の当該数値等を記載等した箇所の参照等の記載を行うこと。
      • (ニ)当該書面等に記載等する情報量については、顧客が理解しようとする意欲を失わないよう配慮するとともに、保険商品の特性や複雑性に合わせて定められているか。
      • (ホ)当該書面等は他の書面等とは分離・独立した書面等とする、又は同一の書面等とする場合は、他の情報と明確に区別し、重要な情報であることが明確になるように記載等されているか。
    • ニ.顧客に当該書面の交付又はその他適切な方法(電磁的方法を含む)による提供を行うことに加えて、少なくとも以下のような情報の提供及び説明が口頭により行われる体制が整備されているか。
      • (イ)当該書面等を読むことが重要であること。
      • (ロ)主な免責事由など顧客にとって特に不利益な情報が記載された部分を読むことが重要であること。
      • (ハ)特に、乗換(準用保険業法第300条第1項第4号に規定する既契約を消滅させて新たな保険契約の申込みをさせ、又は新たな保険契約の申込みをさせて既に成立している保険契約を消滅させること。)の場合は、顧客に不利益になる可能性があること。
    • ホ.当該書面の交付又はその他適切な方法(電磁的方法を含む)による提供に当たって、契約締結に先立ち、顧客が当該書面等の内容を理解するための十分な時間が確保される体制が整備されているか。
      • (注1)「注意喚起情報」を記載した書面等については、顧客に対して効果的な注意喚起を行うため、契約の申込時に説明・交付又は提供することでも足りる。
      • (注2)顧客に対する十分な時間の確保に当たっては、保険商品の特性や販売方法を踏まえる一方、顧客の理解の程度やその利便性が損なわれないかについて考慮するものとする。
    • ヘ.電話・郵便・インターネット等のような非対面・非接触の方式(テレビ会議室システム(映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識できる方法をいう。)を含む。以下同じ。)による情報の提供及び説明を行う場合は、上記イからホに規定する内容と同程度の情報の提供及び説明が行われる体制が整備されているか。
       例えば、少なくとも以下のような方法により、顧客に対して適切な情報の提供や説明が行われている必要がある。
      • (イ)電話による場合
        •   顧客に対して口頭にて説明すべき事項を定めて、当該書面等の内容を適切に説明するとともに、当該書面等を読むことが重要であることを口頭にて説明の上、郵便等の方法又は電磁的方法により遅滞なく当該書面を交付又はこれに代替する電磁的方法により提供する方法
      • (ロ)郵便による場合
        •   当該書面を読むことが重要であることを顧客が十分認識できるような記載を行った上で、当該書面を顧客に送付又はこれに代替する電磁的方法により提供する方法
      • (ハ)インターネット等による場合
        •   当該書面の記載内容、記載方法等に準じて電磁的方法による表示を行った上で、当該書面を読むことが重要であることを顧客が十分認識できるよう電磁的方法による説明を行う方法
        • (注1)上記ニに規定する内容と同程度とは、例えば、郵便の場合は書面への記載、インターネット等の場合は電磁的方法による表示により、口頭による情報の提供及び説明に代えることが考えられる。
        • (注2)郵便による場合、当該書面を読むことが重要であることを顧客が十分認識できるような書面を併せて送付することでも足りる。
        • (注3)インターネット等による場合、当該書面の郵送等に代えて、印刷や電磁的方法による保存などの手段が考えられる。
    • ト.顧客から「契約概要」及び「注意喚起情報」を記載した書面等の記載事項を了知した旨を十分に確認し、事後に確認状況を検証できる態勢にあるか。とりわけ、これらの書面をインターネット等の非対面・非接触の方式で電磁的方法により提供する場合であっても、対面の方式で書面を交付して説明する場合と同程度に、顧客が書面の記載事項を了知した旨の確認を適切に行っているか。
      • (注)インターネット等の非対面・非接触の方式で電磁的方法により提供する場合に顧客が書面の記載事項を了知した旨の確認をする方法としては、例えば、テレビ会議システムを利用した上で、適宜、書面の記載事項を画面上に表示して説明を行うとともに、顧客とのコミュニケーションを通じて、その了知の有無を確認することが考えられる。
         映像によって顧客の了知の確認ができない方式においては、必要に応じて電話等で補足をすること、書面を全て閲覧しないと申込みのページに遷移できない仕組みとすることや、当該書面の内容を読んで了知したことについての質問及びチェックボックスを設けること等の措置を、顧客の特性等に応じて組み合わせることによって、顧客の了知の有無を確認することが考えられる。
(3)仲介業者等府令第56条第1項第4号関係
  •  二以上の保険会社等が引き受ける保険契約を取り扱う保険媒介業者(仲介業者等府令第56条第1項第4号に規定する二以上の相手方金融機関が引き受ける保険に係る保険契約を取り扱う保険媒介業者をいう。以下、VI-1-1-2(3)において同じ。)においては、以下の点に留意しつつ、仲介業者等府令第56条第1項第4号に規定する保険契約への加入の提案を行う理由の説明その他二以上の保険会社等が引き受ける保険契約を取り扱う保険媒介業者の業務の健全かつ適切な運営を確保するための措置が講じられているかどうかを確認するものとする。
    • マル1 二以上の保険会社等が引き受ける保険契約を取り扱う保険媒介業者が取り扱う商品の中から、顧客の意向に沿った比較可能な商品(保険媒介業者の把握した顧客の意向に基づき、保険の種別や保障(補償)内容などの商品特性等により、商品の絞込みを行った場合には、当該絞込み後の商品)の概要を明示し、顧客の求めに応じて商品内容を説明しているか。
    • マル2 顧客に対し、特定の商品を提示・推奨する際には、当該提示・推奨理由を分かりやすく説明することとしているか。特に、自らの取扱商品のうち顧客の意向に合致している商品の中から、二以上の保険会社等が引き受ける保険契約を取り扱う保険媒介業者の判断により、さらに絞込みを行った上で、商品を提示・推奨する場合には、商品特性や保険料水準などの客観的な基準や理由等について、説明を行っているか。
      • (注1)形式的には商品の推奨理由を客観的に説明しているように装いながら、実質的には、例えば保険媒介業者の受け取る手数料水準の高い商品に誘導するために商品の絞込みや提示・推奨を行うことのないよう留意する。
      • (注2)例えば、自らが勧める商品の優位性を示すために他の商品との比較を行う場合には、当該他の商品についても、その全体像や特性について正確に顧客に示すとともに自らが勧める商品の優位性の根拠を説明するなど、顧客が保険契約の契約内容について、正確な判断を行うに必要な事項を包括的に示す必要がある点に留意する(準用保険業法第300条第1項第6号、VI-1-1-2(10) マル2参照)。
    • マル3 上記マル1マル2にかかわらず、商品特性や保険料水準などの客観的な基準や理由等に基づくことなく、商品を絞込み又は特定の商品を顧客に提示・推奨する場合には、その基準や理由等(特定の保険会社等との資本関係やその他の事務手続・経営方針上の理由を含む。)を説明しているか。
      • (注)各保険会社等間における「公平・中立」を掲げる場合には、商品の絞込みや提示・推奨の基準や理由等として、特定の保険会社等との資本関係や手数料の水準その他の事務手続・経営方針などの事情を考慮することのないよう留意する。
    • マル4 上記マル1からマル3に基づき、商品の提示・推奨や保険媒介業者の立場の表示等を適切に行うための措置について、社内規則等において定めた上で、定期的かつ必要に応じて、その実施状況を確認・検証する態勢が構築されているか。
  (4)準用保険業法第294条の2関係(意向の把握・確認義務)
  •  保険媒介業者は、準用保険業法第294条の2の規定に基づき、顧客の意向を把握し、これに沿った保険契約の締結等の提案、当該保険契約の内容の説明及び保険契約の締結の媒介等に際して、顧客の意向と当該保険契約の内容が合致していることを顧客が確認する機会の提供を行っているか。
  • マル1 意向把握・確認の方法
    •   意向把握・確認の方法については、顧客が、自らの抱えるリスクやそれを踏まえた意向に保険契約の内容が対応しているかどうかを判断した上で保険契約を締結することを確保するために、取り扱う商品や保険契約の締結の媒介の形態を踏まえ、保険媒介業者の創意工夫による方法で行っているか。
       具体的には、例えば、以下のような方法が考えられる。
      • イ.保険金額や保険料を含めた当該顧客向けの個別プランを説明・提案するにあたり、当該顧客の意向を把握する。その上で、当該意向に基づいた個別プランを提案し、当該プランについて当該意向とどのように対応しているかも含めて説明する。
         その後、最終的な顧客の意向が確定した段階において、その意向と当初把握した主な顧客の意向を比較し、両者が相違している場合にはその相違点を確認する。
         さらに、契約締結前の段階において、当該意向と契約の申込みを行おうとする保険契約の内容が合致しているかどうかを確認(=「意向確認」)する。
        • (注1)事前に顧客の意向を把握する場合、例えば、アンケート等により把握することが考えられる。
        • (注2)顧客の意向を把握することには、例えば、性別や年齢等の顧客属性や生活環境等に基づき推定するといった方法が含まれる。この場合においては、個別プランの作成・提案を行う都度、設計書等の交付又は提供資料の目立つ場所に、推定(把握)した顧客の意向と個別プランの関係性をわかりやすく記載し説明するなど、どのような意向を推定(把握)して当該プランを設計したかの説明を行い、当該プランについて、当該意向とどのように対応しているかも含めて説明することが考えられる。
        • (注3)自動車等に伴う補償を望む顧客に係る意向の把握及び説明・提案については、顧客自身が必要とする補償内容を具体的にイメージしやすく、そのため意向も明確となることから、主な意向・情報を把握した上で、個別プランの作成・提案を行い、主な意向と個別プランの比較を記載するとともに、保険媒介業者が把握した顧客の意向と個別プランの関係性をわかりやすく説明することが考えられる。
      • ロ.仲介業者等府令第56条第1項第3号ロに規定する一年間に支払う保険料の額(保険期間が一年未満であって保険期間の更新をすることができる保険契約にあっては、一年間当たりの額に換算した額)が五千円以下である保険契約における意向把握については、商品内容・特性に応じて適切に行うものとする。
  • マル2 意向把握・確認の対象
    •  例えば、以下のような顧客の意向に関する情報を把握・確認しているか。
      • イ.第一分野の保険商品及び第三分野の保険商品について
        • (注)海外旅行傷害保険商品及び保険期間が1年以下の傷害保険商品(契約締結に際し、保険契約者又は被保険者が告知すべき重要な事実又は事項に被保険者の現在又は過去における健康状態その他の心身の状況に関する事実又は事項が含まれないものに限る。)を除く。
        • (イ)どのような分野の保障を望んでいるか。(死亡した場合の遺族保障、医療保障、医療保障のうちガンなどの特定疾病に備えるための保障、傷害に備えるための保障、介護保障、老後生活資金の準備、資産運用など)
        • (ロ)貯蓄部分を必要としているか。
        • (ハ)保障期間、保険料、保険金額に関する範囲の希望、優先する事項がある場合はその旨
      • ロ.第二分野の保険商品について
        • (注)第二分野の保険商品のほか、海外旅行傷害保険商品及び保険期間が1年以下の傷害保険商品(契約締結に際し、保険契約者又は被保険者が告知すべき重要な事実又は事項に被保険者の現在又は過去における健康状態その他の心身の状況に関する事実又は事項が含まれないものに限る。)を含む。
        • (イ)どのような分野の補償を望んでいるか。(海外旅行傷害保険や傷害保険などの保険の種類)
        • (ロ)顧客が求める主な補償内容
          • (注)意向の把握に当たっては、例えば、以下のような情報が考えられる。
            • ・ 海外旅行傷害保険については、補償の内容・範囲、渡航者、渡航先、渡航期間など
            • ・ 保険期間が1年以下の傷害保険については、補償の内容・範囲など
        • (ハ)補償期間、保険料、保険金額に関する範囲の希望、優先する事項がある場合はその旨
  • マル3 意向把握・確認義務の適用除外(仲介業者等府令第57条関係)
    •   既存契約の更新や一部変更の場合において、実質的な変更に該当する場合は、当該変更部分について適切に意向把握・確認を行うものとする。
  • マル4 意向把握・確認義務に係る体制整備関係
    •   保険媒介業者においては、準用保険業法第294条の2に規定する措置に関し、契約の申込みを行おうとする保険商品が顧客の意向に合致した内容であることを顧客が確認する機会を確保し、顧客が保険商品を適切に選択・購入することを可能とするため、そのプロセス等を社内規則等で定めるとともに、所属する保険媒介人に対して適切な教育・管理・指導を実施するほか、以下のような体制が整備されているか。
      • イ.意向把握に係る体制整備
        •   保険会社等又は保険媒介業者のいずれか、又は双方において、意向把握に係る業務の適切な遂行を確認できる措置を講じているか。例えば、適切な方法により、保険媒介業務のプロセスに応じて、意向把握に用いた帳票等(例えば、アンケートや設計書等)であって、VI-1-1-2(4)マル1アに規定する顧客の最終的な意向と比較した顧客の意向に係るもの及び最終的な意向に係るものを保存するなどの措置を講じているか。
          • (注)顧客の意向に関する情報の収集や提供等に際しては、個人情報の保護に関する法律(利用目的の明示や第三者提供に係る同意等)や銀行等の窓口販売における弊害防止措置などの関係法令等を遵守する必要があることに留意する。
      • ロ.意向確認に係る体制整備
        •   仲介業者等府令第35条に規定する措置に関し、保険会社等又は保険媒介業者において、契約の申込みを行おうとする保険商品が顧客の意向に合致した内容であることを顧客が確認する機会を確保し、顧客が保険商品を適切に選択・購入することを可能とするため、適切な遂行を確認できる措置を講じているか。VI-1-1-2(4)マル1イ又はこれと同等の方法を用いる場合においては、以下の措置を講じているか。
          • (イ)意向確認書面の作成・交付
            •   契約の申込みを行おうとする保険商品が顧客の意向に合致しているものかどうかを、顧客が契約締結前に最終的に確認する機会を確保するために、顧客の意向に関して情報を収集し、保険商品が顧客の意向に合致することを確認する書面等(当該書面に記載すべき事項を記録した電磁的記録を含む。以下「意向確認書面」という。)を作成し、顧客に交付又は提供するとともに、保険会社等において保存するものとされているか。
          • (ロ)意向確認書面の記載事項
            •   意向確認書面には、以下の事項が記載されているか。
              • a.顧客の意向に関する情報
              • b.保険契約の内容が当該意向とどのように対応しているか。
              • c.その他顧客の意向に関して特に記載すべき事項
                •  例えば、特記事項欄等を設け、以下のような情報を記載することが考えられる。
                • (a)当該保険契約の内容では顧客の意向を全部又は一部満たさない場合はその旨
                • (b)特に顧客から強く要望する意向があった場合や個別性の強い意向を顧客が有する場合はその意向に関する情報
                • (c)当該保険契約の内容が顧客の意向に合致することを確認するために最低限必要な情報が提供されなかった場合はその旨
              • d.保険媒介人の氏名・名称
                •   顧客に対して当該書面の作成責任者を明らかにするために記載されているか。
                   なお、保険媒介人が旧氏を使用する場合には、保険媒介業者において、保険媒介人として届出を行っている氏名と顧客に対して明らかにする氏名を適切に管理する態勢を整備する必要がある。
          • (ハ)意向確認書面の記載方法
            •   意向確認書面は顧客にとって分かりやすい記載とされているか。
               なお、顧客の意向に関する情報については、例えば、当該書面に予め想定される顧客の意向に関する情報の項目を列挙するといった方法も認められるが、その場合は、予め想定できない顧客の意向に関する情報(上記(ロ)c)を記載するため、特記事項欄等を設けるものとする。
          • (ニ)意向確認書面の確認・交付時期
            •   意向確認書面により、保険契約を締結するまでに、顧客が申込みを行おうとしている保険契約の内容が顧客の意向と合致しているか否かの確認を行う措置を講じているか。
               また、顧客が確認した意向確認書面は、顧客の確認後、遅滞なく顧客へ交付又は提供する措置を講じているか。
               なお、顧客が即時の契約締結を求めている場合や電話による募集の場合など当該書面の即時の交付又は提供が困難な場合は、顧客の利便性を考慮し、意向確認書面に記載すべき内容を口頭にて確認の上、意向確認書面を事後に遅滞なく交付又は提供することでも足りる。
          • (ホ)意向確認書面の記載内容の確認・修正
            •   意向確認書面の記載内容のうち、特に顧客の意向に関する情報(上記(ロ)a及びc)については、顧客に対して事実に反する記載がないかを確認するとともに、顧客から当該部分の記載の修正を求められた場合には速やかに対応を行うこととされているか。
          • (ヘ)保険契約の内容に関する意向の確認
            •   顧客が申込みを行おうとする保険契約の内容のうち、顧客が自らの意向に合致しているかの確認を特に必要とする事項(主契約や特約ごとの具体的な保障(補償)内容、保険料(保険料払込方法、保険料払込期間を含む。)及び保険金額、保障(補償)期間、配当の有無など)については、意向確認書面に確認のための設問を設ける等の方法により、顧客に対して再確認を促すような工夫がなされているか。
          • (ト)意向確認書面の媒体等
            •   意向確認書面については、顧客における保存の必要性を考慮した媒体とされているか。
               なお、必ずしも独立した書面等とする必要はないが(申込書と一体で作成することも可能と考えられる。)、他の書面等と同一の書面等とする場合には、意向確認書面に該当する部分を明確に区別して記載する必要があることに留意すること。
               また、当該意向確認書面は保険会社等又は保険媒介業者と顧客の双方が確認するために交付される書面等であることから、保険会社等又は保険媒介業者においても書面等を事後的に確認できる方法により保存することとされているか。
              • (注)電子メール等の電磁的方法による交付を行う場合は、顧客の了解を得ていること及び印刷又は電磁的方法による保存が可能であることが必要である。
          • (チ)顧客が意向確認書面の作成及び交付を希望しない場合の対応
            •   顧客が意向確認書面の作成及び交付を希望しない場合は、顧客に対して、当該書面の役割(契約の申込みを行おうとする保険契約の内容が顧客の意向に合致するか否かを保険会社等又は保険媒介業者及び顧客の双方が確認するための書面であること等)を書面等により説明するとともに、事後に顧客が意向確認書面の作成及び交付を希望しなかったことが検証できる態勢にあるか。
          • (リ)意向確認書面の記載事項等の検証等
            •   意向確認書面の作成及び交付については、保険商品の特性や販売方法の状況の変化に応じて、また顧客等からの苦情・相談の内容を踏まえながら、その記載事項や記載方法、収集すべき顧客の意向に関する情報及びその収集方法等について検証の上、必要に応じ見直しを行うこと等の適切な措置が講じられているか。
          • (ヌ)顧客が保険契約の内容等を誤解していること等が明らかな場合の対応
            •   顧客が保険契約の内容等について、理解していない又は誤解していることが明らかである場合は、より分かりやすい説明及び誤解の解消に努めることとされているか。
          • (ル)取り扱える保険会社等の範囲の説明等
            •   保険媒介業者が取り扱える保険会社等の範囲(例えば、1社のみか複数社か、複数社の場合には取り扱える保険会社等の数等の情報等)を説明するとともに、顧客が告知を行おうとする際には、告知受領権が無いことについてその説明が行われることとされているか。
  (5)団体保険の加入勧奨に係る体制整備関係
  •  保険契約者と被保険者との間の密接性、両者の当該団体保険に係る利害関係及び団体の構成員となるための要件等に照らし、保険契約者と被保険者との間に一定程度の密接な関係が認められない団体を被保険者団体とする保険については、当該団体保険の締結媒介を行った保険媒介業者が加入勧奨における情報提供及び意向把握・確認等を行う場合において、以下のような体制が整備されているか。
    • マル1 加入勧奨に当たっては、例えば、準用保険業法第300条第1項に規定する禁止行為の防止など、保険媒介業務規制に準じた取扱いが求められ、募集規制の潜脱が行われないような適切な措置が講じられているか。
    • マル2 電話による加入勧奨を行う場合には、VI-1-2-1-1(4)を踏まえた適切な措置が講じられているか。

(6)顧客の意向に基づかない補償重複に係る対応
  •  保険媒介業者は、補償重複のうち、顧客の意向に基づかないものについて、その発生防止や解消を図る観点から、新規契約や契約の更新・更改(以下「新規契約等」という。)に当たって、顧客に対し、補償重複に係る説明等が十分かつ適切に行われることを確保するため、以下の取組みを行っているか。
    • マル1 社内規則等において、補償重複に係る説明の確実な実施方法等、補償重複に係る対応を実施するための必要事項を適切に定めているか。
    • マル2 保険媒介人に対して、補償重複に関する適切な教育・管理・指導を行っているか。
    • マル3 自社で取り扱う保険商品(特約を含む。)のうち、組み合わせて契約した場合に補償重複となる保険商品の組合せの一覧を作成しているか。
       また、新たな保険商品の販売開始時等、必要に応じて一覧の見直しを行っているか。
    • マル4 新規契約等における商品説明に当たっては、顧客に対し、当該保険商品と組み合わせて契約した場合に、補償重複となる保険に既に加入していないかを確認することとしているか。
       また、補償重複に該当する保険に既に加入している場合には、保険料と保険金の関係について明示的に説明した上で、顧客の意向の有無を確認し、当該顧客の意向を踏まえた適切な内容の補償を提供しているか。
    • マル5 補償重複に係る顧客に対する確認・説明の実態を把握・検証できる態勢を構築しているか。
 
(7)準用保険業法第295条関係(自己契約の禁止)
  • マル1 自己契約
    • イ.保険媒介業者において自己契約の状況を把握・検証できる態勢を構築しているか。
    • ロ.自己契約に係る保険料の計算にあたっては、以下のとおり取り扱う。
      • (イ)自己物件と他人物件が混同する保険契約の場合で、自己契約に該当する保険料が明確に区分されないときは、その全額を自己契約に該当するものとみなす。
      • (ロ)保険期間の途中で、自己物件が他人物件に、他人物件が自己物件に変更になった場合には、自己契約に係る保険料は期間按分して算定することができる。
  • マル2 特定契約
    •   保険媒介業者が、自らと人的又は資本的に密接な関係を有する者を保険契約者又は被保険者とする保険契約(保険業法第2条第4項に規定する損害保険会社及び同条第9項に規定する外国損害保険会社等が保険者となる保険契約に限る。以下「特定契約」という。)の保険媒介業務を主たる目的(取扱保険料に占める特定契約の保険料の割合が5割を超えること)とすることは、準用保険業法第295条の趣旨に照らし問題があるため、以下に留意しつつ、自己契約と同様に状況を把握・検証できる態勢を構築し、もって保険媒介業務の公正を確保し、保険媒介業者の自立化の促進に努めているか。
    • イ.以下に掲げる者(以下「特定者」という。)を保険契約者又は被保険者とする保険契約を特定契約として把握しているか。
      • (イ)保険媒介業者本人と生計を共にする親族(姻族を含む。)及び生計を共にしない2親等以内の親族(姻族を含まず。)
      • (ロ)法人である保険媒介業者への出資比率が30%を超えるもの
        • (注)出資比率の算定方法
           出資者である個人と生計を共にする親族(姻族を含まず。)の出資額を合算した額で算出して30%を超えたときの当該個人
    • ロ.保険媒介業者が特定契約の保険媒介業務を主たる目的とする保険媒介業者であることが判明した場合には、至った事由及び是正計画を付して、判定を行った月の翌月末日までに金融庁又は財務局へ報告がなされているか。
  • マル3 自己契約又は特定契約に係る収入保険料の割合が30%を超えた場合には、速やかに改善するようしているか。
 
(8)準用保険業法第300条第1項第4号関係
  •  一定金額の金銭をいわゆる解約控除等として保険契約者が負担することとなる場合があること、特別配当請求権その他の一定期間の契約継続を条件に発生する配当に係る請求権を失うこととなる場合があること、被保険者の健康状態の悪化等のため新たな保険契約を締結できないこととなる場合があることなど、不利益となる事実を告げているか。
     また、適切な方法により顧客が不利益となる事実を了知した旨を十分確認しているか。
 
(9)準用保険業法第300条第1項第5号関係
  • マル1 保険媒介業者が、保険媒介業務に関し、保険契約者又は被保険者に対して、各種のサービスや物品を提供する場合においては、以下のような点に留意して、「特別利益の提供」に該当しないものとなっているか。
    • イ.当該サービス等の経済的価値及び内容が、社会相当性を超えるものとなっていないか。
    • ロ.当該サービス等が、換金性の程度と使途の範囲等に照らして、実質的に保険料の割引・割戻しに該当するものとなっていないか。
    • ハ.当該サービス等の提供が、保険契約者間の公平性を著しく阻害するものとなっていないか。
      • (注1)保険媒介業者が、保険契約者又は被保険者に対し、保険契約の締結によりポイントを付与し、当該ポイントに応じた生活関連の割引サービス等を提供する場合において、ポイントに応じてキャッシュバックを行うことは、保険料の割引・割戻しその他特別の利益の提供に該当し、保険業法第4条第2項各号に掲げる書類に基づいて行う場合を除き、禁止されていることに留意する。
      • (注2)保険媒介業者が、保険媒介業務の対価として顧客から受領する手数料その他の報酬の割引等についても、その内容によっては、保険業法第4条第2項各号に掲げる書類に基づいて行う場合を除き、保険料の割引・割戻しその他特別の利益の提供に該当し得ることに留意する。
  • マル2 団体扱や集団扱での契約の締結の媒介にあたり、以下に掲げる事項について保険会社等との役割分担に応じて適切な確認を行っているか。
    • イ.対象となる団体や集団が、事業方法書に定める要件に該当していること。
    • ロ.団体や集団の定足数を満たしていること。
    • ハ.契約者又は被保険者が、事業方法書に定める要件に該当していること。
    • ニ.団体割引率等の割引率の適用が適正なものであること。
 
(10)準用保険業法第300条第1項第6号関係
  • マル1 保険契約に関する表示(告げることを含む。以下同じ。)に関し、顧客の十分な理解が得られるような措置が講じられているか。商品の特性に応じた表示となっているか。
     なお、表示には以下に掲げる方法により行われるものを含むものとする(以下、VI-1-1-2(11)において同じ。)。
    • イ.パンフレット、ご契約のしおり等保険媒介業務のために使用される文書及び図面
    • ロ.ポスター、看板その他これらに類似するものによる広告
    • ハ.新聞紙、雑誌その他の出版物、放送、映写、演劇又は電光による広告
    • ニ.インターネット等による広告
    • ホ.その他情報を提供するための媒体
  • マル2 比較表示に関し、準用保険業法第300条第1項第6号に抵触する行為には以下の事項が考えられる。
    • イ.客観的事実に基づかない事項又は数値を表示すること。
    • ロ.保険契約の契約内容について、正確な判断を行うに必要な事項を包括的に示さず一部のみを表示すること。
      • (注1)「契約概要」を用いた比較表示(それぞれの「契約概要」を並べる方法により行う場合や、「契約概要」の記載内容の全部を表形式にまとめ表示する場合等)を行う場合は、保険契約の契約内容について、正確な判断を行うに必要な事項を包括的に示したものと考えられる。
      • (注2)比較表示(その記載内容を表形式にまとめ表示する場合を含む。)を行うに際し、以下の各要件が全て充足されている場合には、保険契約の契約内容について、正確な判断を行うに必要な事項を包括的に示したものと考えられる。
        • (イ)比較表示の対象とした全ての保険商品について、比較表示を受けた顧客が「契約概要」を入手したいと希望した時に、その「契約概要」を速やかに入手できるような措置が講じられていること。
           例えば、比較表示の対象とした全ての保険商品について、比較表示と同時に「契約概要」が提供されること、又は、比較表示の対象とした全ての保険商品について、インターネットのホームページ上に「契約概要」を表示できるようにすること、あるいは顧客からの要望があれば遅滞なく郵送等で要望のあった「契約概要」を交付又は提供できるようにすること等の体制を整備した上で、これを顧客に周知すること等が考えられる。
        • (ロ)比較表示に関し、以下のような注意喚起文言が記載されていること。
          • a.比較表には、保険商品の内容の全てが記載されているものではなく、あくまで参考情報として利用する必要があること。
          • b.比較表に記載された保険商品の内容については、必ず「契約概要」やパンフレットにおいて全般的に確認する必要があること。
    • ハ.保険契約の契約内容について、長所のみをことさらに強調したり、長所を示す際にそれと不離一体の関係にあるものを併せて示さないことにより、あたかも全体が優良であるかのように表示すること。
    • ニ.社会通念上又は取引通念上同等の保険種類として認識されない保険契約間の比較について、あたかも同等の保険種類との比較であるかのように表示すること。
      • (注)例えば、保険期間の相違がある保険商品の比較を行う場合、有配当保険と無配当保険の比較を行う場合等には、商品内容の相違を明確に記載する等、顧客が同等の保険商品と誤解することがないよう配慮した記載を行うことが求められる。
    • ホ.現に提供されていない保険契約の契約内容と比較して表示すること。
    • ヘ.他の保険契約の契約内容に関して、具体的な情報を提供する目的ではなく、当該保険契約を誹謗・中傷する目的で、その短所を不当に強調して表示すること。
  • マル3 一の保険会社等の商品について他の保険会社等の商品等との比較表示を行う場合には、(i)書面等(当該書面に記載すべき事項を記録した電磁的記録を含む。以下IV-1-1-2において同じ。)を用いて、以下の事項を含めた表示が行われ、かつ、(ii)他の保険会社等の商品の特性等について不正確なものとならないための措置が講じられているか。
    • (注1)上記(i)については、上記マル2ロ(注1)又は(注2)の要件を充足した場合には、当該要件を充足したものと考えられる。
    • (注2)保障(補償)内容や特約の内容に関して、比較する全商品にほぼ共通して存在すると認められる事由や、比較の対象とした保険種類であれば通常支払われるものと認められる事由については、記載内容から省略したことをもって直ちに「誤解させるおそれ」を生ぜしめるものではない。
      • (イ)保険期間
      • (ロ)保障(補償)内容(保険金を支払う場合、主な免責事由等)
      • (ハ)引受条件(保険金額等)
      • (ニ)各種特約の有無及びその内容
      • (ホ)保険料率・保険料(なるべく同一の条件での事例設定を行い、算出条件を併記する。)
      • (ヘ)保険料払込方法
      • (ト)払込保険料と満期返戻金との関係
      • (チ)その他保険契約者等の保護の観点から重要と認められるもの
  • マル4 保険料に関する比較表示を行う場合は、保険料に関して顧客が過度に注目するよう誘導したり、保障(補償)内容等の他の重要な要素を看過させるような表示を行うことがないよう配慮されているか。
     また、顧客が保険料のみに注目することを防ぐため、保険料だけではなく保障(補償)内容等の他の要素も考慮に入れた上で比較・検討することが必要である旨の注意喚起を促す文言を併せて記載すること等、比較表の構成や記載方法等について、顧客の誤解を招かないよう工夫がされているか。
    • (注1)契約条件や保障(補償)内容の概要等、保険料に影響を与えるような前提条件を併せて記載することが適切な表示として最低限必要と考えられる。
    • (注2)顧客の年齢や性別等の前提条件に応じ、適用される保険料の相違が顕著である場合には、前提条件の相違により保険料が異なる場合があるので、実際に適用される保険料について保険会社等に問い合わせた上で商品選択を行うことが必要である旨の注意喚起を促す文言を併せて記載することが適当と考えられる。
  • マル5 比較表示を行う主体がどのような者か(保険会社等、保険媒介業者)、比較の対象となった保険商品を提供する保険会社等や保険媒介業者との間に、提供する比較情報の中立性・公正性を損ない得るような特別の利害関係(例えば、強い資本関係が存在する等)を有していないか、どのような情報を根拠として比較情報を提供するのか等について、比較表示を行う際に顧客に対して明示することが望ましい。
 
(11)準用保険業法第300条第1項第7号関係
  • マル1 準用保険業法第300条第1項第7号に抵触する行為を排除する措置が講じられているか。
  • マル2 予想配当表示について
    • イ.予想配当表示に関し、準用保険業法第300条第1項第7号に抵触する行為には、以下のような行為が考えられる。
      • (イ)実際の配当額は、表示された予想配当額から変動し、0(ゼロ)となる年度もあり得る旨を予想配当と併記して表示しないこと。
      • (ロ)表示された予想配当額が将来の受領額の目安として一定の条件のもとでの計算例を示すものであるにもかかわらず、その旨及び当該一定の条件の内容を表示しないこと。
      • (ハ)配当の仕組み(配当は支払時期の前年度決算により確定する旨等)、支払方法(積立配当方式、保険料相殺方式、保険金買増方式、現金支払方式等の別)及び予想配当の前提又は条件となる事項について表示しないこと。
      • (ニ)損害保険契約に係る予想配当については、その前提又は条件の異なった複数の予想配当額を表示しないこと。
      • (ホ)合理的かつ客観的な推測の範囲を明らかに超える高額の予想配当額を表示すること。
      • (ヘ)特別配当(ミュー配当)を表示する場合に、普通配当と区別しないで表示すること。
    • ロ.生命保険契約について、予想配当表示を行う場合には配当率が生命保険会社の直近決算の実績配当率(確定するまでの間は、その直前の実績配当率又は合理的かつ客観的なもので、保守的に算出された配当率とする。以下同じ。)で推移すると仮定して算定した配当額を表示し、さらに、少なくとも合理的な一時点においては、利差配当(ラムダ配当を含む。)率(配当を積み立てる場合は、積立配当利率も含む。)が、直近決算の実績配当の利差配当率から上方には1%以内、下方には上方への幅以上(ただし、実績配当率を下回る利差配当率の下限は0%)の範囲内で推移すると仮定して算定した配当額も併せて表示しているか。
    • ハ.ロの場合において、予想配当についてイの要件を満たした書面等が保険契約者等に提示されているか。
 
(12)準用保険業法第300条第1項第9号及び仲介業者等府令第62条第1項第2号関係
  • マル1 「業務上の地位等を不当に利用」とは、例えば、職務上の上下関係等に基づいて有する影響力をもって、顧客の意思を拘束する目的で利益又は不利益を与えることを明示することをいうが、このような行為を行っていないか。
  • マル2 保険媒介業者は、仲介業者等府令第62条第1項第2号の規定の趣旨を踏まえ、以下に掲げる行為等を行っていないか。
    • イ.顧客に対し、威圧的な態度や乱暴な言葉等をもって著しく困惑させること。
    • ロ.勧誘に対する拒絶の意思を明らかにした顧客に対し、その業務若しくは生活の平穏を害するような時間帯に執拗に訪問し又は電話をかける等の社会的批判を招くような方法により保険媒介業務を行うこと。
 
(13)仲介業者等府令第62条第1項第4号関係
  • マル1 保険会社等の信用又は支払能力等を表示する場合の適正な措置が講じられているか。
  • マル2 保険会社等の信用又は支払能力等の表示に関し、仲介業者等府令第62条第1項第4号に抵触する行為としては、以下のような行為が考えられる。
    • イ.保険業法第110条に規定する業務報告書及び中間業務報告書に記載された数値、若しくは保険業法第111条に規定する業務及び財産の状況に関する説明書類に記載された数値又は信用ある格付業者の格付(以下、「客観的数値等」という。)以外のものを用いて、保険会社等の資力、信用又は支払能力等に関する事項を表示すること。
    • ロ.使用した客観的数値等の出所、付された時点、手法等を示さず、また、その意味について、十分な説明を行わず又は虚偽の説明を行うこと。
    • ハ.表示された客観的数値等が優良であることをもって、当該保険会社等の保険契約の支払いが保証されていると誤認させること。
    • ニ.一部の数値のみを取り出して全体が優良であるかのように表示すること。
    • ホ.他の保険会社等を誹謗・中傷する目的で、当該保険会社等の信用又は支払能力等に関してその劣後性を不当に強調して表示すること。
    • ヘ.保険契約者保護機構(以下「機構」という。)の行う資金援助等事業に参加していることの表示を行う場合において、機構の行う資金援助が、一定の条件、限度において実施されるものであり、保険契約が完全に保証されるものではないことを表示しないこと。
 
(14)仲介業者等府令第62条第1項第5号関係
  •  共同保険契約や保険会社等間の保険商品の提携販売等一の契約者が複数の保険会社等との間で一又は複数の保険契約を同時に締結(契約の更改及び更新を含む。)する場合などにおいて、保険契約者が保険の種類や引受保険会社等について誤解しないよう、契約当事者たるそれぞれの保険会社等と保険契約者との間の契約関係が明確となることをはじめ、保険媒介業務に関して適切な措置が講じられているか。
 
(15)金融サービス提供法第38条第1項第7号関係
  •  金融サービス提供法第38条第1項第7号で規定する「その他金融サービス仲介業務に関し著しく不適当な行為」に抵触する行為を排除する措置が講じられているか。
 
(16)その他
  • マル1 保険媒介業務に関して、挙績を指向するあまり、金融機関への過度の預金協力による見込み客の獲得、保険料ローンを不正に利用した保険媒介業務のほか、作成契約、超過保険契約等の不適正な行為を行うことを防止する措置を講じているか。
  • マル2 保険媒介業者が、他の保険媒介業者といわゆるフランチャイズ形式などにより多数又は広範囲に業務を展開する場合は、両者が異なる主体であることや、両者が取り扱う保険商品の品揃えが顧客に宣伝しているものと異なる場合における品揃えの相違点を説明するなど、当該他の保険媒介業者が当該保険媒介業者と同一の事業を行うものと顧客が誤認することを防止するための適切な措置を講じているか。
 

VI-1-1-3 保険媒介業務を行う銀行等に係る保険媒介業務管理態勢

VI-1-1-3-1 非公開金融情報・非公開保険情報の取扱い

(1)保険媒介業務を行う金融サービス仲介業者である銀行等が、非公開金融情報(仲介業者等府令第20条第2項第1号イに規定する非公開金融情報をいう。以下同じ。)を保険媒介業務に係る業務に利用する場合には、非公開金融情報の利用について顧客の同意を取得する際に、当該同意の有効期間及びその撤回の方法、非公開金融情報を利用する保険媒介業務の方式(対面、郵便等の別)、利用する非公開金融情報の範囲(定期預金の満期日、預金口座への入出金に係る情報、その他金融資産の運用に係る情報等)を顧客に具体的に明示するとともに、例えば、以下の方法のような適切な方法により事前に顧客の同意を得なければ保険契約の締結の媒介ができないようにするための必要な措置(注)を講じているか。

(注)例えば、非公開金融情報を利用しようとする場合には事前に同意をとらなければ商品説明を行えない、さらに書面による同意がなければ契約申し込みを行えないような事務手続を整備することが考えられる。
  • マル1 対面の場合
    •   非公開金融情報の保険媒介業務に係る業務への利用について、当該業務に先立って書面又は電磁的方法その他の適切な方法による説明を行い、同意を得た旨を記録し、契約申込みまでに書面又は電磁的記録その他の適切な方法による同意を得る方法
  • マル2 郵便による場合
    •   非公開金融情報の保険媒介業務に係る業務への利用について、当該業務に先立って説明した書面の送付又は電磁的記録の提供を行い、保険申込書の送付等保険媒介業務の前に、同意した旨の返信を得る方法
  • マル3 電話による場合
    •   非公開金融情報の保険媒介業務に係る業務への利用について、当該業務に先立って口頭による説明を行い、同意を得た旨を記録し、その後速やかに当該利用について説明した書面の送付又は電磁的記録の提供(電話での同意取得後対面にて顧客と応接する場合にはその場での書面交付又は電磁的方法による表示でも可とする。)を行い、契約申込みまでに書面等の適切な方法による同意を得る方法
  • マル4 インターネット等による場合
    •   非公開金融情報の保険媒介業務に係る業務への利用について、当該業務に先立って電磁的方法による説明を行い、電磁的方法による同意を得る方法
      • (注)顧客の属性に関する情報(氏名、住所、電話番号、性別、生年月日及び職業)は非公開金融情報又は非公開保険情報に含まれない。
 

(2)保険媒介業務を行う金融サービス仲介業者である銀行等が、非公開保険情報(仲介業者等府令第20条第2項第1号ロに規定する非公開保険情報をいう。以下同じ。)を資金の貸付け等の保険媒介業務に係る業務以外の業務に利用する場合には、非公開保険情報の利用について顧客の同意を取得する際に、当該同意の有効期間及びその撤回の方法、非公開保険情報を利用する業務の方式(対面、郵便等の別)、利用する非公開保険情報の範囲(保険媒介業務に係る業務において知り得た家族構成等の情報)を顧客に具体的に明示するとともに、例えば、上記(1) マル1から マル4までに掲げる方法に準じた適切な方法により事前に顧客の同意を得るための措置を講じているか。

 
VI-1-1-3-2 銀行等の保険媒介業務指針
 保険媒介業務の公正を確保するために銀行等が定める保険媒介業務指針には、以下の事項が定められているか。
 また、保険媒介業務指針の内容について、顧客に周知するため、保険媒介業務指針の書面による交付又は説明、店頭掲示、インターネットホームページの活用等の必要な措置が講じられているか。
 
  • (1)顧客に対し、保険媒介業務を行う保険契約の引受保険会社等の商号や名称を明示するとともに、保険契約を引き受けるのは保険会社等であること、保険金等の支払いは保険会社等が行うことその他の保険契約に係るリスクの所在について適切な説明を行うこと。
  • (2)複数の保険契約の中から顧客の自主的な判断による選択を可能とするための情報の提供を行うこと。
  • (3)銀行等が法令に違反して保険媒介業務につき顧客に損害を与えた場合には、当該銀行等に保険媒介業者としての販売責任があることを明示すること。
  • (4)銀行等における苦情・相談の受付先及び銀行等と保険会社等の間の委託契約等に基づき保険契約締結後に銀行等が行う業務内容を顧客に明示するとともに、保険媒介業務を行った保険契約に係る顧客からの、例えば、委託契約等に則して、保険金等の支払手続に関する照会等を含む苦情・相談に適切に対応する等契約締結後においても必要に応じて適切な顧客対応を行うこと。
  • (5)上記(1)から(4)までに掲げる顧客に対する保険媒介業務時の説明や苦情・相談に係る顧客対応等について、顧客との面談内容等を記録するなど顧客対応等の適切な履行を管理する体制を整備するとともに、保険媒介業務時の説明に係る記録等については、保険期間が終了するまで保存すること。
 
VI-1-1-3-3 銀行等保険媒介制限先の確認等

(1)銀行等は、銀行等保険媒介制限先(仲介業者等府令第20条第3項第1号柱書に規定する銀行等保険媒介制限先をいう。以下同じ。)を保険契約者又は被保険者とする保険契約(仲介業者等府令第20条第1項第1号及び第3号に掲げるもの並びに既に締結されている保険契約(その締結の媒介を当該銀行等又はその役員若しくは使用人が手数料その他の報酬を得て行ったものに限る。)の更新又は更改(保険金額その他の給付の内容の拡充(当該保険契約の目的物の価値の増加その他これに準ずる事情に基づくものを除く。)又は保険期間の延長を含むものを除き、再更改を含む。)を除く。)の締結の媒介を手数料その他の報酬を得て行わないことを確保するため、以下の措置を講じているか。

  • マル1 保険媒介業務に際して、あらかじめ、顧客に対し、銀行等保険媒介制限先に該当するかどうかを確認する業務に関する説明を書面の交付又はこれに代替する電磁的方法による提供により行った上で、当該顧客が銀行等保険媒介制限先に該当するかどうかを顧客の申告により確認するための措置
  • マル2 保険媒介業務を行った保険契約に係る契約申込書その他の書類又は電磁的記録を引受保険会社等に送付する時までに、保険媒介業務の過程で顧客から得た当該顧客の勤務先等の情報を当該銀行等の貸付先に関する情報と照合し、当該顧客が銀行等保険媒介制限先に該当しないことを確認するための措置
  • マル3 上記の措置によって、顧客が銀行等保険媒介制限先に該当することが確認された場合に、当該保険契約に係る保険媒介手数料その他の報酬について、保険会社等から受領せず、又は事後的に返還するための態勢の整備
    • (注1)上記マル1及びマル2の措置については、顧客に勤務先等の情報提供等を強制することのないよう留意すること。なお、上記マル1及びマル2の措置による確認によっても当該顧客が銀行等保険媒介制限先に該当するかどうかを確認できなかった場合は、特段の事情のない限り、該当しないものとみなす。
    • (注2)上記マル2の銀行等の貸付先に関する情報との照合による確認については、貸付先に関するデータベース(少なくとも年1回の更新が必要。既存のものが存在する場合はそれを活用することも可。)と照合する方法や、本部等で融資情報を一元管理して各支店からの照合依頼を受ける方法その他の銀行等の規模や特性を踏まえた方法によることもできる。
    • (注3)銀行等が事業に必要な資金の貸付けを行っている法人等の役員又は常時使用する従業員を主たる構成員とする団体を設立させ、これに対し保険媒介業務をする行為は、特段の事情のない限り、実質的に当該法人等に対する保険媒介業務とみなされる。

(2)銀行等は、保険会社等から保険媒介業務の委託を受けるに当たっては、当該銀行等のその他の業務(他の保険会社等から受託した業務を含む。)の健全かつ適切な運営に支障を及ぼさないよう、例えば、当該保険会社等の業務又は財務の健全性や保険媒介業務を行う金融サービス仲介業者である銀行等に対する販売管理態勢の整備状況、当該銀行等が保険媒介業務を行うこととなる保険商品の内容に十分留意して当該業務の受託の可否を決定しているか。

 
VI-1-1-3-4 仲介業者等府令第20条第3項第1号関係
 仲介業者等府令第20条第3項第1号柱書に規定する「保険の目的物の価値の増加その他これに類する事情」には、例えば、次に掲げるものが含まれる。
  • (1)保険の目的物の価値の増加
  • (2)保険の目的物の入替
  • (3)被保険範囲の拡大
  • (4)団体保険の被保険者数の増加
 
VI-1-1-3-5 仲介業者等府令第62条第1項第8号関係
 住宅ローンの申込みを受け付けている顧客に対して、住宅関連債務返済支援保険又は住宅関連信用生命保険の契約締結の媒介を行う際には、当該保険契約の締結が当該住宅ローンの貸付けの条件ではない旨の説明を書面の交付又はこれに代替する電磁的方法による提供により行う必要があることに留意すること。
 
VI-1-1-3-6 仲介業者等府令第62条第1項第10号関係
 顧客に資金需要があるにもかかわらず、保険媒介業務を行うために意図的に貸付申込みをさせない場合については、「顧客が当該銀行等に対し資金の貸付けの申込みを行っている場合」とみなされる。
 
VI-1-1-3-7 銀行等の保険媒介業務に係る法令等遵守責任者等
 銀行等は、仲介業者等府令第20条第2項第3号に規定する保険媒介業務に係る法令等の遵守を確保する業務が確実に実施されるよう、同号に規定する法令等の遵守を確保する業務に係る責任者(当該責任者を指揮し保険媒介業務に係る法令等の遵守を確保する業務を統括管理する統括責任者を含む。)について、保険媒介業務に関する法令や保険契約に関する知識等を有する人材を配置しているか。
 
VI-1-1-3-8 銀行等の保険媒介業務に係る内部監査
 銀行等は、保険媒介業務に係る業務の健全かつ適切な運営を確保する観点から、当該銀行等の内部監査が確実に実施されるよう、当該部門に保険媒介業務に関する法令や保険契約に関する知識等を有する人材を配置しているか。
 
VI-1-1-3-9 公正取引委員会ガイドライン関係
 銀行等は、「金融機関の業態区分の緩和及び業務範囲の拡大に伴う不公正な取引方法について」(平成16年12月1日公正取引委員会)における「第2部第2.2銀行等の保険募集業務に係る不公正な取引方法」も参照した上で保険媒介業務に係る不公正な取引方法に十分留意した業務運営を行っているか。
 

VI-1-1-4 直接支払いサービス

 保険媒介業者は、保険媒介業務を行うに当たって、保険金を受け取るべき者の選択により、直接支払いサービスが受けられる旨を表示し、かつ、提携事業者が提供する財・サービスの内容・水準に言及する場合には、以下のような点に留意し、仲介業者等府令第56条第1項第5号に規定する情報の提供が行われているかどうかを確認するものとする。
  • (1)保険媒介業務時に保険契約者又は被保険者に対して以下に掲げる事項の情報提供が行われているか。
    • マル1 保険金を受け取ることができること(提携事業者からの財・サービスの購入や直接支払いサービスの利用が義務づけられないこと)
    • マル2 提携事業者の選定基準(提携事業者が決定している場合には、提携事業者の名称も表示する。)
    • マル3 直接支払いサービスを受ける場合において、保険金が財・サービスの対価に満たないときは、顧客が不足分を支払う必要があること(余剰が生じた場合には、余剰分を保険金として受け取ることができること)
    • マル4 当初想定していた財・サービスを提供可能な提携事業者の紹介が困難となる場合として想定されるケース
 
  • (2)保険契約者、被保険者、保険金を受け取るべき者又は提携事業者から紹介手数料その他の報酬を得ていないか。
 
  • (3)保険事故発生時に、提携事業者からの財・サービスの購入や直接支払いサービスを受けることが義務づけられるものではない(保険金を受け取ることができる)旨を、改めて、保険金を受け取るべき者に説明しているか。
 

VI-1-2 顧客保護等

VI-1-2-1 顧客に対する説明責任

 保険媒介業者は、顧客保護を図るため、その業務に関し、業務の的確な遂行その他の健全かつ適切な運営を確保する必要がある。
 このため、以下のような措置等について、適切に実行するとともに、内部監査部門による監査等を通じて、事後的に適切性等を検証し、必要に応じて改善を図ることが求められる。
 
VI-1-2-1-1 顧客保護を図るための留意点

(1)顧客に対して公正な事務処理を行っているか。
 

(2)保険契約者との取引に当たっては、取引の内容等を保険契約者に対し、適切かつ十分な説明を行っているか。
 

(3)高齢者に対する保険媒介業務は、適切かつ十分な説明を行うことが重要であることに鑑み、社内規則等に高齢者の定義を規定するとともに、高齢者や商品の特性等を勘案した上で、きめ細やかな取組みやトラブルの未然防止・早期発見に資する取組みを含めた保険媒介業務の方法を具体的に定め、実行しているか。
 その際の取組みとしては、例えば、以下のような方策を行うなどの適切な取組みがなされているか。

  • マル1 保険媒介業務時に親族等の同席を求める方法。
  • マル2 保険媒介業務時に複数の保険媒介人による保険媒介業務を行う方法。
  • マル3 保険契約の申込みの検討に必要な時間的余裕を確保するため、複数回の保険媒介業務の機会を設ける方法。
  • マル4 保険媒介業務を行った者以外の者が保険契約申込書の受付後に高齢者へ電話等を行うことにより、高齢者の意向に沿った商品内容等であることを確認する方法。
     また、高齢者や商品の特性等を勘案した上で保険媒介業務の内容の記録(録音・報告書への記録等)・保存を行うといった適切な取組みがなされているか。
     これらの高齢者に対する保険媒介業務に係る取組みについて、取組みの適切性等の検証等を行っているか。
  
(4)保険媒介業者が行う電話による新規の保険媒介業務(自らが保険媒介業務を行った団体保険に係る保険契約に加入することを勧誘する行為その他の当該保険契約に加入させるための行為を含む。)は、非対面で、顧客の予期しないタイミングで行われること等から、特に苦情等が発生しやすいといった特性等に鑑み、当該行為を反復継続的に行う保険媒介業者は、トラブルの未然防止・早期発見に資する取組みを含めた保険媒介業務の方法を具体的に定め、実行するとともに、保険媒介人に対して、適切な教育・管理・指導を行っているか。
 また、これらの取組みについて、適切性の検証等を行い、必要に応じて見直しを行っているか。
 その際の取組みとしては、以下の措置を含めた適切な取組みがなされているか。
  • マル1 説明すべき内容を定めたトークスクリプト等を整備の上、徹底していること。
  • マル2 顧客から、今後の電話を拒否する旨の意向があった場合、今後の電話を行わないよう徹底していること。
  • マル3 通話内容を記録・保存していること。
  • マル4 苦情等の原因分析及び再発防止策の策定及び周知を行っていること。
  • マル5 保険媒介業務を行った者以外の者による通話内容の確認(成約に至らなかったものを含む。)及びその結果を踏まえた対応を行っていること。
 
(5)顧客情報は法的に許される場合及び顧客自身の同意がある場合を除き、第三者に開示していないか。
 

VI-1-3 適切な表示の確保

(1)情報開示の趣旨を十分踏まえて適切に開示を行う体制を確立しているか。
 

(2)保険媒介業務用の資料等(広告も含む。)について、表示媒体や商品の特性に応じた適正な表示を確保するための措置が講じられているか。 

(3)適正な表示を確保するための社内規則等が適切に策定されているか。

(注)社内規則等は、以下の事項等を踏まえ、保険期間、保障内容、引受条件及び保険料率・保険料等が適切に表示されるよう留意して策定されているか。

  • マル1 保険商品の保障内容に関する優良性を示す際に、それと不離一体の関係にあるものを併せてわかりやすく示さないことなどにより、契約者等に著しく優良との誤解を与える表示となっていないか。
     例えば、保険商品の保障内容に以下の例示のような一定の制限条件があるにもかかわらず、当該条件が表示されていない場合又は著しく小さな文字で表示されている、著しく短い時間で表示されている、参照先を明瞭にすることなく保障内容を強調した表示から離れたところに表示されている等により当該条件表示を契約者等が見落とすような表示方法となっている場合には、当該保険商品の内容が、実際のものよりも著しく優良であるとの誤解を与えるおそれがあることに留意する必要がある。
    • イ.給付事由の全部又は一部について、契約後一定の不担保期間がある場合
    • ロ.保険金(給付金)額等が被保険者の年齢、契約後の年数、入院日数、対象疾病等の条件により減額又は消滅する場合
    • ハ.先進医療による治療を給付事由とすることにより、医療行為、医療機関及び適応症等によっては、給付対象とならないことがある場合
  •  また、保険商品の保障内容に関する優良性と直接関係のない情報を表示し、あたかも優良であるかのごとき表示をなしている場合には、実際のものよりも著しく優良であるとの誤解を与えるおそれがあることに留意する必要がある。
  • マル2 保険商品の取引条件の有利性を示す際に、制限条件等を併せてわかりやすく示さないことなどにより、契約者等に著しく有利との誤解を与える表示となっていないか。
     例えば、保険料の表示に関して、主たる契約者層とは考えられない若年層等の保険料を用例とし、その適用年齢等の条件表示を著しく小さく表示しているため、契約者等が見落とすような表示となっている場合には、他の年齢層等の契約者等についても当該保険料が適用され、実際のものよりも著しく安いとの誤解を与えるおそれがあることに留意する必要がある。
     また、保険商品の取引条件に関する有利性と直接関係のない情報を表示し、あたかも有利であるかのごとき表示をなしている場合には、実際のものよりも著しく有利であるとの誤解を与えるおそれがあることに留意する必要がある。
  • マル3 保険商品・サービス等に関する表示が客観的事実に基づくものとなっているか。
  •  例えば、業界における最上級その他の序列を直接に意味する用語、唯一性を直接に意味する用語又は相対的な優位性があることを意味する用語を使用する場合は、その主張する内容が客観的に実証されているか。
     また、客観的な事実について表示する際に、その一部のみを表示あるいは強調することにより、以下の例示のような契約者等に誤った事実認識をさせるおそれのある表示となっていないか。
    • イ.医療費の自己負担額について、高額療養費制度に基づく給付を反映していない額を表示することにより、過大に認識させるおそれのあるものとなっていないか。
    • ロ.テレビCM等において、十分な視認性を確保せずに重要な事項を画面上に注記して表示したものになっていないか。
  • マル4 保険商品・サービス等に関する表示に業界における最上級その他の序列を直接に意味する用語、唯一性を直接に意味する用語又は相対的な優位性があることを意味する用語を使用する場合は、その主張する内容の根拠についても明確に表示しているか。
     例えば、「最高」「最低」「日本一」「ナンバーワン」、「当社だけ」「業界初」「他社にない」、「ワイド」「最低水準」「割安」等の用語を使用する場合は、その用語の根拠となった調査方法、出典又は前提条件を表示する必要がある。
  • マル5 銀行等で販売する保険商品について表示を行う場合(銀行等が行う表示を含む。)には、例えば、定期預金など銀行等の商品であるかのような誤解を招かないように、当該商品が保険会社等の保険商品であることを適切に表示しているか。
 

(4)表示媒体や表示内容に応じ、「契約概要」、「注意喚起情報」を記載した書面等(当該書面に記載すべき事項を記録した電磁的記録を含む。)を読むことの重要性を喚起するための表示を行うための措置を講じているか。

 

(5)適正な表示がなされるよう、法令等遵守担当部門によるリーガルチェック等を含めた十分な審査体制が整備されているか。
 なお、審査については、以下の点に留意したものとなっているか。

  • マル1 保険媒介業務用の資料等について、本社で集中管理するなどの方法により、表示内容に係る審査を漏れなく行っているか。
  • マル2 約款、「契約概要」、「注意喚起情報」、パンフレット、ご契約のしおり等について、それぞれの表示内容の整合性を確保するためのチェックを行っているか。
  • マル3 保険媒介業務用の資料等における積立利率等の表示については、公然性や客観性を高めるなどの観点からチェックを行っているか。
  • マル4 契約者等からの苦情等において表示上の問題等が指摘されている場合には、その内容について分析し、問題が認められた場合には、改善のための適切な対応を行っているか。
  

(6)商品性の説明(比較広告等を含む。)に係る準用保険業法第300条第1項第6号及び同第7号については、以下の点に留意するものとする。

  • マル1 保険契約に関する表示については、「VI-1-1-2(10)」に準じて取り扱うものとする。
  • マル2 予想配当表示については、「VI-1-1-2(11)」に準じて取り扱うものとする。

 

VI-1-4 その他

VI-1-4-1 他の保険募集人等との関係

  保険媒介業務を行う金融サービス仲介業者と保険募集人(保険業法第2条第23項に規定する「保険募集人」をいう。)及び保険仲立人(保険業法第2条第25項に規定する「保険仲立人」をいう。)との兼営等禁止(金融サービス提供法第11条第3項)及び金融サービス仲介業者の誠実義務(金融サービス提供法第24条)の趣旨に照らし、保険媒介業者の適切な業務運営を確保するため、以下に掲げる事項に特に留意するものとする。

 
VI-1-4-1-1 他の保険募集人等との関係
(1)保険媒介業務の委託
  • マル1 保険媒介業者又はその保険媒介人が、第三者に対して保険契約の締結の媒介を委託し、又は保険契約の締結の媒介に関する手数料、報酬その他の対価(以下、VI-1-4-1-1(1)において「手数料等」という。)の支払いを行っていないか。
  • マル2 保険媒介業者又は保険媒介人が、保険募集人又は保険仲立人から保険契約の締結の媒介の委託を受け、又は保険契約の締結の媒介に関する手数料等の支払いを受けていないか。
 
(2)共同の行為
  • マル1 顧客からの委託を受けて保険媒介業務を行う保険媒介業者又はその保険媒介人が、保険会社等、保険募集人又は他の保険媒介業者(顧客からの委託を受けて保険媒介業務を行う場合を除く)と、同一契約の共同取扱いを行っていないか。
  • マル2 顧客からの委託を受けて保険媒介業務を行う保険媒介業者又はその保険媒介人が、原則として、保険会社等、保険募集人又は他の保険媒介業者(顧客からの委託を受けて保険媒介業務を行う場合を除く)に当該保険媒介業務に係る事務の一部の引継ぎ又は代行をさせていないか。
  • マル3 保険会社等からの委託を受けて保険媒介業務を行う保険媒介業者又はその保険媒介人が、保険仲立人又は他の保険媒介業者(保険会社等からの委託を受けて保険媒介業務を行う場合を除く)と、同一契約の共同取扱いを行っていないか。
  • マル4 保険会社等からの委託を受けて保険媒介業務を行う保険媒介業者又はその保険媒介人が、原則として、保険仲立人又は他の保険媒介業者(保険会社等からの委託を受けて保険媒介業務を行う場合を除く)に当該保険媒介業務に係る事務の一部の引継ぎ又は代行をさせていないか。
 
(3)店舗共用
 顧客からの委託を受けて保険媒介業務を行う保険媒介業者がその保険媒介業務を行う事務所を、保険募集人又は保険仲立人の保険募集、若しくは他の保険媒介業者の保険媒介業務を行う事務所と同一建物内に設置していないか。ただし、専有部分が独立区分されていること、入口から各々の事務所まで共用部分をもって区分されていること等、顧客に混同が生じないよう十分手当てがなされている場合には、基本的に問題ないものとみなす(なお、この場合においては、III-2-3も参照すること。)。
 
(4)情報提供
 保険媒介業者又はその役員若しくは使用人が、自己が顧客から得た非公開情報の保険募集人、保険仲立人又は他の保険媒介業者への提供を行っていないか。また、保険媒介業者又はその役員若しくは使用人が、保険募集人、保険仲立人又は他の保険媒介業者が顧客から得た非公開情報の提供を受けていないか。ただし、当該情報の提供につき事前に当該顧客の個別の同意がある場合には、基本的に問題ないものとみなす。
 
VI-1-4-1-2 関係募集人等との関係
 保険媒介業者(顧客からの委託を受けて保険媒介業務を行う者に限る。)に自己と一定の資本関係のある保険募集人(当該保険媒介業者の議決権を実質25%以上保有又は当該保険媒介業者が実質25%以上の議決権を保有している保険募集人をいう。)又は他の保険媒介業者(当該保険媒介業者の議決権を実質25%以上保有又は当該保険媒介業者が実質25%以上の議決権を保有している他の保険媒介業者であって、保険会社等からの委託を受けて保険媒介業務を行うことがある者に限る。)が存在する場合において(以下、これらの者を「関係募集人等」という。)、コンピューターの共用に関して、当該保険媒介業者と関係募集人等のそれぞれの端末から他方の情報へのアクセスができないようなシステム設計が講じられているか。
 
VI-1-4-1-3 保険会社等との関係
(1)顧客から委託を受けて保険媒介業務を行う保険媒介業者は、保険会社等から独立した立場で保険契約の締結の媒介を行うことが求められていることから、保険会社等との関係においては、特に以下の点に留意するものとする。
  • マル1 店舗共用
  •  保険媒介業務を行う事務所を保険会社等の事務所と同一建物内に設置していないか。ただし、専有部分が独立区分されていること、入口から各々の事務所まで共用部分をもって区分されていること等、顧客に混同が生じないよう十分手当てがなされている場合には、基本的に問題ないものとみなす(なお、この場合においては、III-2-3も参照すること。)。
  • マル2 便宜供与
  •  顧客から委託を受けて保険媒介業務を行う保険媒介業者が、保険会社等から通常の条件に照らして著しく異なる条件で融資を受け、又は何らの名義によってするかを問わず、金銭、物品、役務の提供等の便宜供与を要請若しくは受領していないか。
  • マル3 人事交流
  •  顧客から委託を受けて保険媒介業務を行う保険媒介業者がその保険媒介人として、保険会社等からその役員又は使用人の出向を受け入れていないか。
    • (注)保険会社等から委託を受けて保険媒介業務を行う保険媒介業者についても、保険会社等の役員又は使用人が、保険媒介業者の役員又は保険契約の締結の媒介を行う使用人になれないことには留意が必要である(金融サービス提供法第15条第5号、第38条第1項第3号)。
 

(2)保険会社等から委託を受けて保険媒介業務を行う保険媒介業者においては、保険会社等のために保険契約の締結の媒介を行う立場を誤解させるような表示を行っていないか。
(注)単に「公平・中立」との表示を行った場合には、「保険会社等と顧客との間で中立である」と顧客が誤解するおそれがある点に留意する。

 

VI-1-4-2 結約書

 準用保険業法第298条に規定する結約書のひな型は、別紙様式VI-1に定める。
 

VI-1-5 監督手法・対応

 日常の監督事務や、事故等届出等を通じて把握された保険媒介業務の適切性に関する保険媒介業者の態勢上の課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金融サービス提供法第35条第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、保険媒介業者における自主的な改善状況を把握することとする。また、金融サービス仲介業の健全かつ適切な運営の確保又は顧客保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金融サービス提供法第37条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。さらに、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金融サービス提供法第38条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。
 

VI-2 諸手続(保険媒介業務)

VI-2-1 登録

VI-2-1-1 登録申請・添付書類の記載要領等

(1)同一人は2以上の商号又は名称を使用して、2以上の登録の申請を行わないものとする。

(2)仲介業者等府令第12条第3号に規定する「能力を有することを明らかにする書面」とは、VI-2-1-2(1)に定めるところにより、保険媒介業務に係る業務を適確に遂行するに足りる能力があることを証する資料とする。その他、III-3-1-3(7)を参照する。 

(3)保険媒介業者に関しては、「金融サービス仲介業務の内容及び方法として内閣府令で定めるものを記載した書類」(金融サービス提供法第13条第2項第3号)の「業務の内容及び方法」(仲介業者等府令第11条第1号)に取り扱う保険の種類が記載されているか否かを確認するものとする。なお、取り扱う保険契約の種類とは、以下のとおりとする。

  • マル1 生命保険会社(外国生命保険会社等及び保険業法第219条第4項の免許を受けた特定法人の引受社員を含む。)が保険者となる保険契約(以下「生命保険契約」という。)
  • マル2 損害保険会社(外国損害保険会社等及び保険業法第219条第5項の免許を受けた特定法人の引受社員を含む。)が保険者となる保険契約(これら以外の外国保険業者が保険者となる保険契約で、保険業法施行令第39条の2に規定する保険契約を含む。以下「損害保険契約」という。)
  • マル3 少額短期保険業者が保険者となる保険契約(以下「少額短期保険契約」という。)

 

VI-2-1-2 登録の拒否

(1)金融サービス提供法第15条第1号タに規定する「金融サービス仲介業務を適確に遂行するに足りる能力」は、登録申請者が法人の場合にあっては、保険媒介業務に従事する全ての役員及び使用人、登録申請者が個人の場合にあっては、当該個人及び保険媒介業務に従事する全ての使用人のそれぞれが、取り扱う保険種類に応じて、保険媒介業務に関する法令、保険契約に関する知識及び保険媒介業務の業務遂行能力等に関する試験の合否等により、判断するものとする。

(2)金融サービス提供法第15条第5号ハ(2)の著しく不適当な行為とは、保険契約者の無知に不当に乗ずることなど、保険契約者等の保護に欠ける行為とする。

 

VI-2-2 保険媒介業務に従事する役員又は使用人の届出の取扱い

(1)金融サービス提供法第74条の規定により届出を要する役員又は使用人とは、VI-1-1-1(3) マル1(イ)から(ハ)の要件を満たす者である必要があることに留意する。

(2)役員又は使用人の氏名又は勤務する事務所が変更となった場合は、届出を要するものとする。

(3)金融サービス提供法第74条の適用において、保険媒介業者登録と同時に届出を行う場合は登録日をもって届出日とし、登録日と異なる場合は財務局長等に提出した日(届出書郵送の場合においては発送日の翌日)をもって届出日とする。

 

VI-2-2-1 役員又は使用人の届出書の記載要領

 仲介業者等府令別紙様式第9号に規定する役員又は使用人の届出書の記載要領は、以下のとおりとする。
(1)「年月日」
 保険媒介業者登録と同時の場合は登録申請書の日付を記載する。登録日と異なる場合は財務局長等に提出した日とし、届出書を郵送する場合は発送日の翌日とする。
 
(2)「登録番号」
 保険媒介業者登録と同時の場合は、記載不要とする。
 
(3)「商号、名称又は氏名」
 法人は商号又は名称を「商号又は名称」欄に記載し、個人は氏名を「氏名」欄に記載する。
 
(4)「氏名」
 届出事由が生じた者の氏名を記載する。
 
(5)「生年月日」
 届出事由が生じた者の生年月日を記載する。
 
(6)「事由発生年月日」
 届出事由が「新規」の場合は登録日、「追加」の場合は財務局等への届出日、「廃止」又は「改姓」の場合は事由発生日を記載する。
 
(7)「事由」
 該当する事由に〇印を付す。
 
(8)「備考」
  • マル1 改氏名の場合は、旧氏名を記載する。
  • マル2 当該役員・使用人の所属事務所の名称及び取り扱うことのできる保険契約の種類を記載する。
 

VI-2-2-2 役員又は使用人の届出書の添付書類

 仲介業者等府令別紙様式第9号に規定する役員又は使用人の届出書の届出事由が「新規」又は「追加」に該当する場合は、仲介業者等府令第12条第3号に規定する「能力を有することを明らかにする書面」を添付するものとする。
 

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