VIII 監督上の評価項目と諸手続(貸金業貸付媒介業務)

VIII-1 業務の適切性(貸金業貸付媒介業務)

VIII-1-1 金融サービス仲介業者の禁止行為等

金融サービス提供法第32条で準用する貸金業法(以下「準用貸金業法」という。)第12条の6(禁止行為)に係る貸金業貸付媒介業務を行う金融サービス仲介業者(以下、VIIIにおいて「貸金業貸付媒介業者」という。以下同じ。)の監督に当たっては、例えば、以下の点に留意する必要がある。

 
(1)主な着眼点
  • マル1 資金需要者等に虚偽を告げることや不確実な事項について断定的判断を提供することを禁止するなど、準用貸金業法第12条の6の禁止行為に関し規定した社内規則等を定め、役職員が社内規則等に基づき適切な取扱いを行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。
  • マル2 内部管理部門において、社内規則等に基づき、適正な業務が行われているか検証する態勢が整備されているか。
 
(2)留意事項
  • マル1 準用貸金業法第12条の6第1号に規定する「貸付けの契約(貸金業貸付媒介業務(金融サービス提供法第11条第5項に規定する貸金業貸付媒介業務をいう。以下同じ。)に係るものに限る。以下同じ。)の内容のうち重要な事項を告げない」行為に該当するかどうかは、個々の事実関係に則して判断する必要があるが、例えば、次のような行為を行う場合には、当該規定に該当するおそれが大きいことに留意する必要がある。なお、同号から第3号に規定する「告げる」又は「告げない」行為とは必ずしも口頭によるものに限られない。
    • イ.資金需要者等から貸付けの契約の内容について問合せがあったにもかかわらず、当該内容について回答せず、資金需要者等に不利益を与えること。
    • ロ.資金需要者等が貸付けの契約の内容について誤解していること又はその蓋然性が高いことを認識しつつ正確な内容を告げず、資金需要者等の適正な判断を妨げること。
      • (注)上記マル1における「貸付けの契約」とは、以下の契約をいう。
        • a.貸金業者と顧客との間における資金の貸付け又は手形の割引を内容とする契約(以下VIIIにおいて「資金の貸付け等を内容とする契約」という。)
        • b.上記aに係る保証契約
        • c.資金の貸付等を内容とする契約に係る媒介契約
        • d.上記cに係る保証契約
  • マル2 準用貸金業法第12条の6第4号の規定は、貸金業貸付媒介業者が業務を運営するに当たり不適切な行為を禁止するものであり、「偽りその他不正又は著しく不当な行為」に該当するかどうかは、個別の事実関係に則して、資金需要者等の利益を害する程度や業務の不適切性の程度を総合的に勘案して判断することとなるが、例えば、貸金業貸付媒介業者が次のような行為を行う場合は、当該規定に該当するおそれが大きいことに留意する必要がある。なお、「不正な」行為とは違法な行為、「不当な」行為とは客観的に見て、実質的に妥当性を欠く又は適当でない行為で、不正(違法)な程度にまで達していない行為をいう。
    • イ.資金の貸付け等を内容とする契約の締結の媒介又は当該契約の変更の媒介に際して、次に掲げる行為を行うこと。
      • a.白紙委任状及びこれに類する書面又は当該書面に記載すべき事項を記録した電磁的記録を徴求すること。
      • b.白地手形及び白地小切手を徴求すること。
      • c.印鑑、預貯金通帳・証書、キャッシュカード、個人番号カード、運転免許証、健康保険証、年金受給証等の債務者の社会生活上必要な証明書等を徴求すること。
      • d.貸付金額に比し、合理的理由がないのに、過大な担保又は保証人を徴求すること。
      • e.クレジットカードを担保として徴求すること。
      • f.資金需要者等に対し、借入申込書等に年収、資金使途、家計状況等の重要な事項について虚偽の内容を記入するなど虚偽申告を勧めること。
    • ロ.人の金融機関等の口座に無断で金銭を振り込み、当該金銭の返済に加えて、当該金銭に係る利息その他の一切の金銭の支払を要求すること。なお、一切の金銭の支払とは、礼金、割引料、手数料、調査料その他何らの名義をもってするかを問わない。
    • ハ.顧客の債務整理に際して、帳簿に記載されている内容と異なった金額などを基に残存債務の額を水増しし、和解契約を締結すること。
    • ニ.貸金業貸付媒介業者が、架空名義若しくは借名で金融機関等に口座を開設し又は金融機関等の口座を譲り受け、債務の弁済に際して当該口座に振込みを行うよう要求すること。
    • ホ.資金需要者等が身体的・精神的な障害等により契約の内容が理解困難なことを認識しながら、資金の貸付け等を内容とする契約の締結の媒介を行うこと。
    • ヘ.資金需要者等が障害者である場合であって、その家族や介助者等のコミュニケーションを支援する者が存在する場合に、当該支援者を通じて資金需要者等に契約内容を理解してもらう等の努力をすることなく、単に障害があることを理由として資金の貸付け等を内容とする契約の締結の媒介を拒否すること。
    • ト.資金逼迫状況にある資金需要者等の弱みにつけ込み、次に掲げる行為を行うこと。
      • a.資金需要者等に一方的に不利となる資金の貸付け等を内容とする契約の締結を強要すること。
      • b.今後の貸付けに関して不利な取扱いをする旨を示唆すること等により、株式、出資又は社債の引受けを強要すること。
      • c.資金の貸付け等を内容とする契約締結の媒介と併せて自己又は関連会社等の商品又はサービスの購入を強制すること。
    • チ.確定判決において消費者契約法(平成12年法律第61号)第8条から第10条までの規定に該当し無効であると評価され、当該判決確定の事実が消費者庁、独立行政法人国民生活センター又は同法に規定する適格消費者団体によって公表されている条項と、内容が同一である条項を含む資金の貸付け等を内容とする契約(消費者契約に限る。)の締結の媒介を行うこと。
 
(3)監督手法・対応

日常の監督事務や、事故等届出等を通じて把握された貸金業貸付媒介業者の業務に関する課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金融サービス提供法第35条第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、貸金業貸付媒介業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。また、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金融サービス提供法第37条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。さらに、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金融サービス提供法第38条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。

 

VIII-1-2 契約に係る説明態勢

 資金の貸付け等を内容とする契約に係る説明態勢に関する貸金業貸付媒介業者の監督に当たっては、例えば、以下の点に留意するものとする。その際、貸金業貸付媒介業者と貸金業者との間における顧客に対する情報の提供及び説明に関する役割分担を適切に踏まえ、機械的・画一的な取扱いとならないよう配慮するものとする。
 
(1)主な着眼点
  • マル1 法令等を踏まえた社内規則等の整備

    資金需要者等の知識、経験及び財産の状況を踏まえた説明態勢に関し、具体的かつ客観的な基準を定めた社内規則等を整備し、役職員が社内規則等に基づき適正な資金の貸付け等を内容とする契約に係る説明を行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。
     また、資金の貸付け等を内容とする契約に係る説明を行った際の状況に係る記録の方法を定めるなど、事後検証が可能となる措置が講じられているか。

      • (注)「資金の貸付け等を内容とする契約に係る説明」とは、資金の貸付け等を内容とする契約の締結の勧誘時、資金の貸付け等を内容とする契約の締結の手続時等、取引関係の見直し時等における説明をいう。
  • マル2 法令等を踏まえた契約に係る説明等の対応を行う態勢の構築

    社内規則等に則り、資金の貸付け等を内容とする契約に係る説明が的確に実施されているか。例えば、以下の点に留意する。

    • イ.資金の貸付け等を内容とする契約の締結の勧誘時
      • a.資金需要者等に対する勧誘状況等について、事後に検証が可能な適切な方法により記録(勧誘者リスト(勧誘者リスト等、勧誘を行う基となった資料を含む。)を整備し、特に、被勧誘者から資金の貸付け等を内容とする契約を締結しない旨の意思(当該勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)の表示の有無について、明確に記録されているか。
        • (注1)勧誘者リストの整備においては、III-2-2(4)に記載した、信用情報の目的外利用に該当しないよう留意すること。
        • (注2)「勧誘」とは、電話や戸別訪問に限らず、電子メール、ダイレクトメールによるものを含む。
      • b.資金需要者等に勧誘を行った際、再勧誘を希望しない旨の意思表示があった場合は、再勧誘を希望しない期間、商品の範囲について資金需要者等に確認し、適切に記録しているか。
         なお、資金需要者等から、再勧誘を希望しない期間、商品の範囲について確認ができない場合には、勧誘を行った資金需要者等の属性や貸付商品の特性等に応じて再勧誘を希望しない期間等を個別に判断する必要があるが、一般的には、当該貸金業貸付媒介業者が行う一切の勧誘について、少なくとも概ね3ヶ月間、再勧誘を希望しないと推定されるものと考えられる。
    • ロ.資金の貸付け等を内容とする契約の締結の手続時等
      • a.資金の貸付け等を内容とする契約の締結の手続を行おうとする場合は、契約内容を口頭で十分に説明することになっているか。口頭で十分な説明ができない場合は、例えば顧客等(資金需要者である顧客又は保証人となろうとする者をいう。以下同じ。)からの電話による問合せ窓口の設置や説明内容のホームページへの掲載等の補完的手段が講じられているか。
         貸金業貸付媒介業者がインターネット等の口頭での説明が困難である手段を通じて資金の貸付け等を内容とする契約の手続を行おうとする場合には、顧客等が貸金業貸付媒介業者のホームページ上に表示される説明事項を読み、その内容を理解した上で画面上のボタンをクリックする方法等で、顧客等が理解した旨を確認することにより、口頭による説明の代替措置が講じられているか。
      • b.資金の貸付け等を内容とする契約締結の意思形成のために、資金需要者等の十分な理解を得ることを目的として必要な情報(商品又は取引の内容及びリスク等)を的確に提供することとし、特に以下の点に留意しているか。
        • ・ 貸金業貸付媒介業務の遂行に伴い保証人(貸金業者と顧客との間の資金の貸付け等を内容とする契約に係る保証契約の保証人をいう。以下VIII-1-2において同じ。)となろうとする者に保証契約(貸金業者と顧客との間の資金の貸付け等を内容とする契約に係る保証契約をいう。以下VIII-1-2において同じ。)に関する説明を行う場合には、当該保証契約の内容を十分に理解しうるよう説明を尽くす(例えば、保証契約の形式的な内容にとどまらず、保証人の法的効果とリスクについて、最良のシナリオだけでなく、最悪のシナリオ即ち実際に保証債務を履行せざるを得ない事態を想定した説明(注)を行う)とともに、保証人となろうとする者が、十分な時間的余裕を持ってあらかじめ保証契約の内容及びこれに伴う危険性について十分理解した上で契約を締結することが可能な態勢となっているか。
          • (注)個別の契約内容に即し、相手方の理解力に応じた説明を行う必要があるが、例えば、以下の点について十分な説明を行う必要がある。
            • * 保証人は、主たる債務者が債務を履行できない場合には、債務不履行額に遅延損害金を付した額(特約により主たる債務者が一部の債務不履行により残債務の一括返済を行わなければならなくなる場合は当該金額)のうちその保証の範囲内の額を支払わなければならなくなるおそれがあること。
               また、貸金業貸付媒介業務の遂行に伴い経営に実質的に関与していない第三者が貸金業者と保証契約を締結する場合には、契約締結後、貸金業法の規定に基づき、主たる債務者の弁済状況について当該被保証債務の債権者である貸金業者が保存する帳簿により確認することができること。
            • * 貸金業貸付媒介業務の遂行に伴い経営に実質的に関与していない第三者が貸金業者と根保証契約を締結する場合には、契約締結後、保証人の要請があれば、当該被保証債務の債権者である貸金業者から定期的又は必要に応じて随時、被保証債務の残高・返済状況について情報を提供すること。
            • * 保証人は、保証債務を履行できない場合には、強制執行により、財産を差押えられるおそれがあること。
            • * 連帯保証人は、民法(明治29年法律第89号)第452条に規定する催告の抗弁及び同法第453条に規定する検索の抗弁が主張できないことや分別の利益がないことなど、通常の保証人とは異なること。
              • (注)「分別の利益」とは、複数人の保証人が存在する場合、各保証人は債務額を全保証人に均分した部分(負担部分)についてのみ保証すれば足りるという性質をいう。
        • ・ 貸金業貸付媒介業務の遂行に伴い中小企業・小規模事業者等の経営者等(以下「経営者等」という。)が貸金業者との間で保証契約を締結する場合、「経営者保証に関するガイドライン」に基づき、以下の点について、主債務者と保証人に対して丁寧かつ具体的に説明を行うこととしているか(貸金業者向けの総合的な監督指針ii-2-13-3(2)参照)。
          • (i)保証契約の必要性
          • (ii)原則として、保証履行時の履行請求は、一律に保証金額全額に対して行うものではなく、保証履行時の保証人の資産状況等を勘案した上で、履行の範囲が定められること
          • (iii)経営者保証の必要性が解消された場合には、保証契約の変更・解除等の見直しの可能性があること
        • ・ 貸金業貸付媒介業務の遂行に伴い貸金業者が物的担保を徴求する場合、物的担保を提供する者が当該担保契約の内容を十分に理解しうるよう説明を尽くす(例えば、物的担保権が行使されうる場合等、物上保証の法的効果とリスクについて説明を行い、特に、物的担保契約の形式的な内容にとどまらず、最良のシナリオだけでなく、最悪のシナリオ即ち実際に物的担保権が行使されうる事態を想定した説明を行う)など、物的担保契約の内容を十分理解した上で契約を締結することとなっているか。
        • ・ いわゆる「おまとめローン」を目的とする契約の手続を行おうとする場合は、資金需要者等に対し、完全施行前の貸金業法第43条第1項のみなし弁済の適用に関する説明を行うとともに、必要に応じ、貸金業協会や消費生活センターなど適切な相談窓口を紹介しているか。
    • ハ.取引関係の見直し時等
      • a.準用貸金業法第17条第1項から第5項に規定する「重要なものとして内閣府令で定めるもの」を変更する場合その他債務者等にとって不利となる契約の見直しを行う場合
         資金の貸付け等を内容とする契約の変更箇所について説明を行うとともに、これまでの取引関係や、債務者等の知識、経験及び財産の状況を踏まえ、債務者等の理解と納得を得ることを目的とした説明態勢が整備されているか。
      • b.顧客の要望を謝絶し資金の貸付け等を内容とする契約に至らない場合
         これまでの取引関係や、資金需要者等の知識、経験及び財産の状況に応じ可能な範囲で、謝絶の理由等についても説明する態勢が整備されているか。
  • マル3 内部管理部門等による実効性確保のための措置

    資金の貸付け等を内容とする契約に係る説明に関して、定期的な内部管理部門における当該説明を行った際の状況に関する記録等の確認や担当者からのヒアリングの実施等及び内部監査に加え、必要に応じ、例えば、録音テープの確認や資金需要者等と直接面談等を行うことにより、資金の貸付け等を内容とする契約に係る説明の実施状況を把握・検証しているか。また、当該検証等の結果に基づき、必要に応じて実施方法等の見直しを行うなど、資金の貸付け等を内容とする契約に係る説明の実効性が確保されているか。

 
(2)監督手法・対応

日常の監督事務や、事故等届出等を通じて把握された貸金業貸付媒介業者の勧誘・説明態勢等に関する課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金融サービス提供法第35条第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、貸金業貸付媒介業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。また、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金融サービス提供法第37条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。さらに、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金融サービス提供法第38条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。

 

VIII-1-3 利息、保証料等に係る制限等

 貸金業貸付媒介業者は、利息制限法(昭和29年法律第100号)に規定する金額を超える利息の契約の締結の媒介やその受領、又はその支払を要求してはならない。
利息、保証料等に係る制限等に関する貸金業貸付媒介業者の監督に当たっては、例えば、以下の点に留意する必要がある。
 
(1)主な着眼点
  • マル1 法令等を踏まえた社内規則等の整備

    社内規則等において、法令及び認定金融サービス仲介業協会の自主規制規則等を踏まえ、利息、保証料等に係る制限等を具体的に定めているか。

  • マル2 法令等を踏まえた利息、保証料等の制限等に係る実施態勢の構築
    • イ.役職員が社内規則等に基づき、利息、保証料等の制限等に係る取扱いを適切に行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。
    • ロ.資金の貸付け等を内容とする契約の締結の媒介を行うとき、以下の点に留意して、契約内容の確認等を行う態勢の整備がなされているか。
      • a.準用貸金業法第12条の8第2項に規定する「みなし利息」についても利息に含めて資金の貸付け等を内容とする契約の締結の媒介を行っているか。
      • b.準用貸金業法第12条の8第2項に規定する「契約の締結及び債務の弁済の費用」、金融サービス提供法施行令第36条に規定する「利息とみなされない費用」及び第37条に規定する「利用料」は、実費相当額(法令上の上限がある場合にはその範囲内)となっているか。
      • c.債務履行担保措置に係る契約を、債務履行担保措置を業として営む者と締結することを資金等の貸付けを内容とする契約の条件とするものの締結の媒介を行う場合、当該債務履行担保措置の対価として支払われる金銭の額と利息を合算した金額が、利息制限法に規定する金額を超えないものとなっているか。
      • d.同一の債権者による同一の債務者に対する追加的な資金の貸付け等を内容とする契約に係る媒介を行う場合の利率については、利息制限法の上限利率が、同法第5条に基づき、当該債権者の当該債務者に対する貸付残高に応じて変化することを踏まえたものとなっているか。
      • e.保証業者と保証契約を締結しようとするときは、あらかじめ、当該保証契約を締結するまでに、当該保証業者への照会その他の方法により、当該保証業者と当該資金の貸付け等を内容とする契約に係る媒介契約の相手方又は相手方となろうとする者との間における保証料に係る契約の締結の有無及び当該保証料の額を確認しているか。
         また、確認に関する記録を作成し、保存しているか。
      • f.仲介業者等府令第125条に規定する保証料に係る契約を、保証業者との間で締結することを資金の貸付け等を内容とする契約に係る契約の締結の条件とするものの締結の媒介を行わない措置を講じているか。
      • g.保証業者と根保証契約の締結の媒介を行う際に、当該根保証契約が仲介業者等府令第126条に規定するものであるときは、当該根保証契約の締結の媒介を行わない措置を講じているか。
      • h.貸金業貸付媒介業者は、自らの媒介により締結された資金の貸付け等を内容とする契約の債務者から当該媒介の手数料を受領した場合において、当該資金の貸付け等を内容とする契約の更新(仲介業者等府令第127条の規定を含む。)があったときは、これに対する新たな手数料を受領し、又はその支払いの要求をしない措置を講じているか。
  • マル3 内部管理部門等による実効性確保のための措置

    利息、保証料等に係る契約の締結の媒介に関して、内部管理部門における定期的な点検や内部監査を通じ、その状況を把握・検証しているか。また、当該検証等の結果に基づき、態勢の見直しを行うなど、適正な利息、保証料等に係る契約の締結の媒介の実効性が確保されているか。

 
(2)監督手法・対応

日常の監督事務や、事故等届出等を通じて把握された貸金業貸付媒介業者の利息・保証料等に係る契約の締結の媒介に関する課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金融サービス提供法第35条第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、貸金業貸付媒介業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。また、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金融サービス提供法第37条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。さらに、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金融サービス提供法第38条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。
 なお、準用貸金業法第12条の8第1項、第3項及び第4項の規定により、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和29年法律第195号、以下「出資法」という。)の上限金利を下回る金利帯であっても、利息制限法の上限金利を上回る利息の契約の締結の媒介、受領又は支払の要求をした場合、行政処分の対象となることに留意する。

 

VIII-1-4 媒介手数料に係る制限等

 貸金業貸付媒介業者は、貸金業貸付媒介業務に関して受ける手数料、報酬その他の対価(以下VIII-1-4において「手数料等」という。)に関して、出資法第4条に規定する金額を超える手数料等の契約をし、又はその受領をしてはならない。その際、貸金業貸付媒介業務に関して受ける手数料等を当該貸金業貸付媒介業者が行う他の業務に関する手数料等と合わせて受領する場合において、出資法の当該規制が潜脱されていないかに留意する。
 その他、手数料等に係る制限等に関する貸金業貸付媒介業者の監督に当たってはVIII-1-3を参照する。
 

VIII-1-5 広告規制

 広告規制に関する貸金業貸付媒介業者の監督に当たっては、以下の点に留意する必要がある。
 
(1)主な着眼点

不適切な広告の防止など、広告の取扱いに関する規定を規定した社内規則等を定め、担当役職員が社内規則等に基づき適切な取扱いを行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

 
(2)留意事項
  • マル1 準用貸金業法第15条第1項に規定する「貸付けの条件について広告をする」とは、準用貸金業法第15条第1項第2号、仲介業者等府令第129条第1項に掲げる事項(媒介手数料の計算の方法に限る。)又は貸付限度額、その他の貸付けの条件の具体的内容を1つでも表示した広告をすることをいう。
  • マル2 準用貸金業法第15条第2項に規定する「広告」とは、個別の具体的内容に応じて判断する必要があるが、ある事項を随時又は継続して広く宣伝するため、一般の人に知らせることをいい、例えば、次に掲げるものをいう。
    • イ.テレビコマーシャル
    • ロ.ラジオコマーシャル
    • ハ.新聞紙、雑誌その他の刊行物への掲載
    • ニ.看板、立て看板、はり紙、はり札等への表示
    • ホ.広告塔、広告板、建物その他の工作物等への表示
    • ヘ.チラシ、カタログ、パンフレット、リーフレット等の配布
    • ト.インターネット上の表示
  • マル3 仲介業者等府令第129条第4項に規定する「多数の者に対して同様の内容で行う勧誘」とは、個別の具体的内容に応じて判断する必要があるが、特定の名あて人に対して、同様の内容のものを送付することをいい、例えば、次に掲げるものをいう。
    • イ.ダイレクトメール、チラシ、カタログ、パンフレット、リーフレット等の送付
    • ロ.電子メールの送信
  • マル4 準用貸金業法第16条第2項第3号に規定する「借入れが容易であることを過度に強調することにより、資金需要者等の借入意欲をそそるような表示又は説明」に該当するかどうかは、個別具体的な事実関係に即して判断する必要があるが、例えば、次のような表示がある場合には、これに該当するおそれが大きいことに留意する必要がある。
    • イ.貸付審査を全く行わずに貸付けが実行されるかのような表現
    • ロ.債務整理を行った者や破産免責を受けた者にも容易に貸付けを行う旨の表現
    • ハ.他社借入件数、借入金額について考慮しない貸付けを行う旨の表現
  • マル5 VIII-3-2の規定により、認定金融サービス仲介業協会に加入しない貸金業貸付媒介業者から提出された広告に関する資料等については、認定金融サービス仲介業協会の自主規制規則を勘案した検証を行い、不適切な広告を確認した場合は、協会員との衡平性を確保しつつ、資金需要者等の利益の保護等の観点から速やかに適切な対応を行うものとする。
 
(3)監督手法

日常の監督事務や、事故等届出等を通じて把握された貸金業貸付媒介業者の広告等に関する課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金融サービス提供法第35条第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、貸金業貸付媒介業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。また、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金融サービス提供法第37条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。さらに、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金融サービス提供法第38条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。

 

VIII-1-6 書面の交付義務

 書面交付義務に関する貸金業貸付媒介業者の監督に当たっては、以下の点に留意する必要がある。
 
(1)主な着眼点
  • マル1 資金需要者等に対する書面交付に関して規定した社内規則等を定め、役職員が社内規則等に基づき適切な取扱いを行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。
    • (注)「資金需要者等に対する書面交付」には、次の書面交付が含まれることに留意する。
      • ・ 準用貸金業法第16条の2第1項又は第2項に規定する契約締結前の書面を資金の貸付け等を内容とする契約に係る媒介契約の締結又は資金の貸付け等を内容とする契約の成立までに当該契約の相手方になろうとする者に交付すること。また、準用貸金業法第16条の2第3項に規定する契約締結前の書面を保証契約を締結するまでに当該保証契約の保証人となろうとする者に交付すること。
      • ・ 取引関係を見直すことにより、準用貸金業法第17条第1項から第5項に規定する「重要なものとして内閣府令で定めるもの」を変更した際は、準用貸金業法第17条に規定する書面を契約の相手方および保証人がいる場合には当該保証人に交付すること。
  • マル2 内部管理部門等において、社内規則等に基づき、適正な書面の交付が行われているか検証を行う態勢が整備されているか。
  • マル3 書面の記載内容は、資金需要者等にとって明確でわかり易い内容となっているか、また、記載内容について、必要に応じ見直す態勢が整備されているか。
     極度方式基本契約に基づく個々の貸付けに係る準用貸金業法第17条書面の各記載事項については、契約書と同一文言での記載になっていない場合、必要な事項が明確かつわかり易く記載されているか。
  • マル4 一定期間における貸付け及び弁済その他の取引の状況を記載した書面の交付に際しては、当該書面が交付される旨及び個別書面の記載事項が簡素化される旨を示した上で、あらかじめ書面又は電磁的方法により承諾を得ているか。なお、債務者等から電磁的方法により承諾を受けた場合には、当該承諾を行った債務者等に対し、承諾を受けた旨を書面又はその他適切な方法により通知しているか。
     また、債務者等から、当該書面での交付の承諾を撤回したい旨の意思表示があった場合、当該書面以外の方法による書面交付の適用開始の時期等について、適切な説明が行われているか。
  • マル5 書面の交付に代えて電磁的方法により提供する場合又は一定期間における貸付け及び弁済その他の取引の状況を記載した書面を交付することについて承諾若しくは撤回の意思表示を受ける場合には、債務者等の承諾等があったことを記録しているか。
 
(2)留意事項
  • マル1 準用貸金業法第16条の2の契約締結前の書面として、申込書一体型のパンフレットを契約締結前の書面とすることを排除するものではないが、記載事項が法令の要件(貸付けの金額、貸付けの利率、極度額等)を満たす必要があることに留意する。
  • マル2 契約締結前の書面交付後、契約締結前に法令で定められた記載事項の内容に変更が生じた場合には、再度、当該契約の相手方となろうとする者に対し契約締結前の書面を交付する必要がある。
 
(3)監督手法

日常の監督事務や、事故等届出等を通じて把握された貸金業貸付媒介業者の書面交付に関する課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金融サービス提供法第35条第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、貸金業貸付媒介業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。また、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金融サービス提供法第37条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。さらに、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金融サービス提供法第38条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。

 

VIII-1-7 帳簿の備付け等

 帳簿の備付け等に関する貸金業貸付媒介業者の監督に当たっては、以下の点に留意する必要がある。
 
(1)主な着眼点
  • マル1 帳簿の作成及び備付け等について規定した社内規則等を定め、役職員が社内規則等に基づき適切な取扱いを行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。
  • マル2 貸金業貸付媒介業務に係る媒介手数料の債務者以外の者(当該媒介手数料債権を対象とする保証契約の保証人を含む。)から返済金を受領した場合、当該返済者と債務者との関係や当該返済者が返済するに至った経緯等について、交渉経過の記録等に正確に記載され、担当者以外の第三者がその内容を容易に把握できる態勢が整備されているか。
  • マル3 内部管理部門においては、交渉経過の記録等の確認や担当者からのヒアリングの実施等に加え、必要に応じ、例えば、録音テープの確認や資金需要者等と直接面談等を行うことにより、正確な帳簿の作成及び保存が履行されるための態勢が整備されているか。
    • (注)仲介業者等府令第139条第5項第8号に規定する「交渉の経過の記録」とは、債権(貸金業貸付媒介業務に係る媒介手数料債権及び当該債権を被保証債権とする保証契約に基づく債権をいう。)の回収に関する記録、貸金業貸付媒介業務に係る媒介契約(媒介手数料債権を被保証債権とする保証契約を含む。)の条件の変更(当該条件の変更に至らなかったものを除く。)に関する記録等、貸金業貸付媒介業務に係る媒介契約(媒介手数料債権を被保証債権とする保証契約を含む。)の締結以降における当該契約に基づく債権に関する交渉の経過の記録であり、当該記載事項は以下の事項とする。
      • イ.交渉の相手方(債務者、保証人等の別)
      • ロ.交渉日時、場所及び手法(電話、訪問、電子メール及び書面発送等の別)
      • ハ.交渉担当者(同席者等を含む)
      • ニ.交渉内容(催告書等の書面の内容を含む)
 
(2)監督手法・対応

日常の監督事務や、事故等届出等を通じて把握された貸金業貸付媒介業者の帳簿の備付け等に関する課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金融サービス提供法第35条第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、貸金業貸付媒介業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。また、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金融サービス提供法第37条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。さらに、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金融サービス提供法第38条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。

 

VIII-1-8 帳簿の閲覧、謄写

 帳簿の閲覧又は謄写に関する貸金業貸付媒介業者の監督に当たっては、以下の点に留意する必要がある。
 
(1)主な着眼点
  • マル1 債務者等(貸金業貸付媒介業務に係る媒介手数料の債務者及び当該媒介手数料債権を対象とする保証契約の保証人をいう。以下VIII-1-8において同じ。)又は債務者等であった者(以下「帳簿の閲覧等の請求者」という。)から帳簿の閲覧又は謄写を求められた際の対応について、帳簿の閲覧等の請求者が本人又は正当な委任を受けた代理人等であるか確認した上で、過度の負担を課すことなく迅速に帳簿の閲覧又は謄写に応じるよう社内規則等を定めているか。
     なお、本人又は正当な委任を受けた代理人等であるかの確認及び閲覧又は謄写の方法に関し、正当な理由なく過度な負担を課す場合は、帳簿の閲覧又は謄写の拒否に該当するおそれがあることに留意する必要がある。
  • マル2 帳簿の閲覧又は謄写に必要な物的設備を確保し、閲覧又は謄写の方法等が帳簿の閲覧等の請求者にわかるようになっているか。また、帳簿の閲覧等の請求者から帳簿の閲覧又は謄写に関する問合せ等があった場合、迅速かつ適切に対応できる態勢となっているか。
  • マル3 インターネットなど、対面以外の方法で契約の締結の媒介を行う貸金業貸付媒介業者については、帳簿の閲覧等の請求者が遠隔地に居住するなど来店が困難である場合に際して、帳簿の複写請求や複写物の郵送請求に配慮しているか。
     帳簿の複写や複写物の郵送に係る実費を徴収する場合、当該金額は適正かつ適切な金額となっているか。また、帳簿の閲覧又は謄写の請求者から当該実費の内容について説明を求められた場合、その内容を説明する態勢が整備されているか。
  • マル4 内部管理部門において、社内規則等に基づき、帳簿の閲覧等の請求者に対し適切な帳簿閲覧又は謄写が行われているか検証する態勢が整備されているか。
 
(2)監督手法・対応

日常の監督事務や、事故等届出等を通じて把握された貸金業貸付媒介業者の帳簿の閲覧、謄写に関する課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金融サービス提供法第35条第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、貸金業貸付媒介業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。また、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金融サービス提供法第37条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。さらに、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金融サービス提供法第38条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。

 

VIII-1-9 取立行為規制

 取立行為に関する貸金業貸付媒介業者の監督に当たっては、以下の点に留意する必要がある。
 
(1)主な着眼点
  • マル1 債務者等(貸金業貸付媒介業務に係る媒介手数料の債務者及び当該媒介手数料債権を対象とする保証契約の保証人をいう。以下VIII-1-9において同じ。)に対する取立て・督促については、客観的な基準及び手順等を規定した社内規則等を定め、役職員が社内規則等に基づき適切な取扱いを行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。
  • マル2 内部管理部門においては、交渉経過の記録等の確認や担当者からのヒアリングの実施等に加え、必要に応じ、例えば、録音テープの確認や資金需要者等と直接面談等を行うことにより、取立て・督促の実態を把握し、検証を行うことができる態勢が整備されているか。
 
(2)留意事項
  • マル1 準用貸金業法第21条第1項各号の規定は、「人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動」の例示であり、個々の取立て行為が同項に該当するかどうかは、個別の事実関係に即して判断する必要がある。当該規定に定める事例のほか、例えば、次のような事例は、「人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動」に該当するおそれが大きい。
    • イ.反復継続して、電話をかけ、電報を送達し、電子メール若しくはファクシミリ装置等を用いて送信し又は債務者、保証人等の居宅を訪問すること。
    • ロ.保険金による債務の弁済を強要又は示唆すること。
  • マル2 準用貸金業法第21条第1項第1号、第3号及び第9号に規定する「正当な理由」とは、個別の事実関係に即して判断すべきものであるが、例えば、以下のようなものが該当する可能性が高い。
    • イ.準用貸金業法第21条第1項第1号
      • a.債務者等の自発的な承諾がある場合
      • b.債務者等と連絡をとるための合理的方法が他にない場合
    • ロ.準用貸金業法第21条第1項第3号
      • a.債務者等の自発的な承諾がある場合。
      • b.債務者等と連絡をとるための合理的方法が他にない場合。
      • c.債務者等の連絡先が不明な場合に、債務者等の連絡先を確認することを目的として債務者等以外の者に電話連絡をする場合。なお、この場合においても、債務者等以外の者から電話連絡をしないよう求められたにも関わらず、さらに電話連絡をすることは「人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動」に該当するおそれが大きい。
    • ハ.準用貸金業法第21条第1項第9号
      • a.弁護士若しくは弁護士法人又は司法書士若しくは司法書士法人(以下「弁護士等」という。)からの承諾がある場合。
      • b.弁護士等又は債務者等から弁護士等に対する委任が終了した旨の通知があった場合。
  • マル3 準用貸金業法第21条第1項第2号に規定する「その申出が社会通念に照らし相当であると認められないことその他正当な理由」とは、個別の事実関係に即して判断すべきものであるが、例えば、以下のようなものが該当する可能性が高い。
    • イ.債務者等からの弁済や連絡についての具体的な期日の申し出がない場合。
    • ロ.直近において債務者等から弁済や連絡に関する申し出が履行されていない場合。
    • ハ.通常の返済約定を著しく逸脱した申出がなされた場合。
    • ニ.申出に係る返済猶予期間中に債務者等が申出内容に反して他社への弁済行為等を行った場合。
    • ホ.申出に係る返済猶予期間中に債務者等が支払停止、所在不明等となり、債務者等から弁済を受けることが困難であることが確実となった場合。
  • マル4 準用貸金業法第21条第1項第5号は、債務者等に心理的圧迫を加えることにより弁済を強要することを禁止する趣旨であり、債務者等から家族に知られないように要請を受けている場合以外においては、債務者等の自宅に電話をかけ家族がこれを受けた場合に貸金業貸付媒介業者であることを名乗り、郵送物の送付に当たり差出人として貸金業貸付媒介業者であることを示したとしても、直ちに該当するものではないことに留意することとする。
  • マル5 準用貸金業法第21条第1項第6号に規定する「その他これに類する方法」とは、クレジットカードの使用により弁済することを要求すること等が該当すると考えられる。
  • マル6 準用貸金業法第21条第1項第9号に規定する「司法書士若しくは司法書士法人」に委託した場合とは、司法書士法(昭和25年法律第197号)第3条第1項第6号及び第7号に規定する業務(簡裁訴訟代理関係業務)に関する権限を同法第3条第2項に規定する司法書士に委任した場合をいう。
  • マル7 準用貸金業法第21条第2項に規定する支払を催告するための書面又はこれに代わる電磁的記録については、次によるものとする。
    • イ.準用貸金業法第21条第2項第1号に規定する「住所」及び「電話番号」については、それぞれ、当該債権を管理する部門又は営業所等に係るものを記載すること。
    • ロ.準用貸金業法第21条第2項第2号に規定する「当該書面又は電磁的記録を送付する者の氏名」については、当該債権を管理する部門又は営業所等において、当該債権を管理する者の氏名を記載すること。
 
(3)監督手法・対応

日常の監督事務や、事故等届出等を通じて把握された金融サービス仲介業者の取立行為に関する課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金融サービス提供法第35条第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、貸金業貸付媒介業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。また、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金融サービス提供法第37条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。さらに、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金融サービス提供法第38条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。

 

VIII-2 業務の透明性の確保

 貸金業貸付媒介業者の業務方法の変更や事故等の発生等については、資金需要者等に対し重大な影響を与える可能性がある。貸金業貸付媒介業者は、資金需要者等の視点に立った正確かつ公正な情報を資金需要者等に迅速に伝達する必要があり、貸金業貸付媒介業者が業務の透明性を確保し、説明責任を果たすことは、ひいては貸金業貸付媒介業者の信頼性が高まることとなる。
このような観点から、貸金業貸付媒介業者の監督に当たっては、以下の点に留意する必要がある。
 
(1)主な着眼点
  • マル1 業務方法の変更(営業所等の閉鎖の決定等)や事故等の発生等において、資金需要者等の利益の保護に影響をもたらすと判断した場合の情報開示の方法等を規定した社内規則等を定め、役職員が社内規則等に基づき適切な取扱いを行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。
  • マル2 資金需要者等の利益の保護に影響をもたらす情報が迅速かつ適切に公表されているか。また、公表する情報は、資金需要者等に必要な情報がわかり易く表示され、また、資金需要者等からの問合せに対し十分な説明がなされるなど、適切に対応するための態勢が整備されているか。
 
(2)監督手法・対応

情報開示については、法令等で規定されているほかは、貸金業貸付媒介業者が自己責任原則に則り、経営判断に基づき行うものであり、上記着眼点の対応がなされていない場合においても、直ちに監督上の措置を講ずることはない。
 しかしながら、資金需要者等の利益の保護の観点から、資金需要者等に不利益をもたらす可能性がある情報について、故意に情報開示を行っていない場合等については、業務の適切性の観点から検証することとする。

 

VIII-3 諸手続(貸金業貸付媒介業務)

VIII-3-1 登録の申請、届出書等の受理

VIII-3-1-1 登録の要否

(1)登録の要否の判断基準等

登録の要否については、資金の貸付け又は手形の割引を内容とする契約の成立に向けた一連の行為における当該行為の位置付けを踏まえた上で総合的に判断する必要があり、一連の行為の一部のみを取り出して、直ちに登録が不要であると判断することは適切でないことに留意する。

 
(2)登録が必要である場合

例えば、以下のマル1からマル3のいずれか一つの行為でも業務として行う者は、原則として、金融サービス提供法第12条に規定する金融サービス仲介業の登録を受ける必要があることに留意する。

    • マル1 資金の貸付け又は手形の割引を内容とする契約の締結の勧誘
    • マル2 資金の貸付け又は手形の割引を内容とする契約の勧誘を目的とした商品説明
    • マル3 資金の貸付け又は手形の割引を内容とする契約の締結に向けた条件交渉
 
(3)登録が不要である場合

媒介に至らない行為を貸金業者から受託して行う場合には、金融サービス仲介業の登録を得る必要はない。
 例えば、以下のイからニに掲げる行為の事務処理の一部のみを貸金業者から受託して行うに過ぎない者は、金融サービス仲介業の登録が不要である場合もあると考えられる。

    • イ.商品案内チラシ・パンフレット・契約申込書等の単なる配布又は交付若しくは提供
      • (注)このとき、貸金業者名やその連絡先等を伝えることは差し支えないが、配布又は交付若しくは提供する資料の記載方法等の説明をする場合には、媒介に当たることがあり得ることに留意する。
         また、比較サイト等の商品情報の提供を主たる目的としたサービスにおいて貸金業者から提供を受けた商品案内等のコンテンツを単にホームページ上に転載することは差し支えないが、加工したコンテンツを掲載したり、例えば、自らが推奨する商品のコンテンツを上位に表示されるようなデザインやアルゴリズムの仕組みを設けること等をしたりする場合には、媒介に当たることがあり得ることに留意する。
    • ロ.契約申込書及びその添付書類等の受領・回収
      • (注)このとき、単なる契約申込書の受領・回収又は契約申込書の誤記・記載漏れ・必要資料の添付漏れの指摘を超えて、契約申込書の記載内容の確認等まで行う場合は、媒介に当たることがあり得ることに留意する。
    • ハ.住宅ローン等の説明会における一般的な住宅ローン商品等の仕組み・活用法等についての説明
    • ニ.勧誘行為をせず、単に顧客を貸金業者に紹介する業務
      • (注)上記「紹介」には、以下の行為を含む。
        • a.当該業者の店舗に、貸金業者が自らを紹介する宣伝媒体を据え置くこと又は掲示すること。
        • b.当該業者と貸金業者の関係又は当該貸金業者の業務内容について説明を行うこと。
        • c.貸金業者のサイトへの単なるリンクの設定のみを行い、資金の貸付を内容とする契約の締結に至る交渉や手続は当該貸金業者と顧客との間で行い、契約締結に当たり当該業者は関与をもたないこと。
 

VIII-3-1-2 登録申請等に係る事務処理

 金融サービス仲介業の登録の申請並びに変更及び登録簿の閲覧等の事務処理については、以下のとおり取り扱うものとする。
 
(1)登録申請書、届出書の受理

登録申請書及び変更の届出の受理に当たっては、次の事項に留意し、不適切な場合にはその是正を求めるものとする。

    • イ.資金需要者等に公的機関又は金融機関のごとき誤解を与え、取引の公正を害するおそれのある商号又は名称を使用していないこと。
    • ロ.2以上の商号又は名称を使用して、2以上の登録の申請をしていないこと。
 
(2)登録の申請の審査
  • マル1 健全かつ適切な業務運営を行うことに疑義がある場所を営業所等として記載することや、他人に成りすます又は他人の名義を借りて金融サービス仲介業登録を行うなど、登録行政庁を欺き金融サービス仲介業の登録を受けることは、虚偽記載又は不正な手段による登録となるため、特に、新規の登録申請に当たり、登録申請者(法人の役員を含む。)や重要な使用人を財務局に招聘してヒアリングを行い又は営業所等の現地調査を行うなど、不適切な登録申請を排除するよう努めるものとする。
 
  • マル2 金融サービス提供法第15条第1号タに規定する「金融サービス仲介業を適確に遂行するに足りる能力を有しない者」であるかどうかの審査に当たっては、登録申請書及び同添付書類をもとに、ヒアリング及び実地調査等により検証し、特に以下の点に留意するものとする。なお、III-3-1-3(7)も参照する。
    • イ.申請者の社内規則等は認定金融サービス仲介業協会の自主規制規則と同等の社内規則等となっているか。
    • ロ.社内規則等並びにIII-1、III-2及びVIII-1に掲げる主な留意事項について、当該貸金業貸付媒介業者の規模・特性等からみて、適切に対応するための態勢が整備されているか。
       特に、組織態勢の確認に当たっては、法令等遵守のための態勢を含め、相互牽制機能が有効に機能する内部管理部門の態勢(業容に応じて、内部監査態勢)が整備されているか。
    • ハ.営業所等に個人情報の保管のための適切な設備、資金需要者等からの苦情対応及び帳簿の閲覧のための場所等が確保されるなど、当該貸金業貸付媒介業者の規模・特性等に応じて、金融サービス仲介業の健全かつ適切な業務運営を行うための必要かつ十分な設備が整っているか。
    • ニ.申請者が法人(人格のない社団又は財団を含む。)の場合、法人の定款又は寄付行為等に法人の目的として金融サービス仲介業(貸金業貸付媒介業務に係るものに限る)を行うことが含まれているか。
    • ホ.常務に従事する役員のうちに貸付けの業務に3年以上従事した経験を有する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者があるか(申請者が個人である場合にあっては、申請者が貸付けの業務に3年以上従事した経験を有する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者であるか。)。また、貸金業貸付媒介業務を行う営業所等ごとに貸付けの業務に1年以上従事した者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者が常勤の役員又は使用人として1人以上在籍しているか。
      • (注1)「常務に従事」しているかどうかは、貸金業貸付媒介業者の通常の業務執行の内容及び態様を基本的に把握できるだけの実態が認められるか否かで判断される。必ずしも「常勤」までは求められないが、例えば取締役会の開催日だけ出勤している程度では常務に従事しているということはできない。
      • (注2)「常勤」については、貸金業貸付媒介業者の営業時間内にその営業所等に常時駐在することまでは求められないものの、当該貸金業貸付媒介業者の営業の実態及び社会通念に照らし、相応の勤務実態が必要である。
      • (注3)常務に従事する役員のうちに貸付けの業務に3年以上従事した経験を有する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者であることを審査するに当たっては、必要に応じて、3年以上従事した経験があること又はこれと同等以上の能力を有することを客観的に明らかにできる資料等の提出を受け、検証するものとする。
 
  • マル3 申請者がパチンコその他設備を設けて客の射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業を兼業している場合は、以下の適切な措置が講じられているか。
    • イ.兼業する業務を行う当該営業所の同一敷地内に金融サービス仲介業の店舗を設置していないこと。
    • ロ.兼業する業務を行う当該営業所の利用者を対象とした貸付けの勧誘又は広告を行わないこと。
 
  • マル4 登録申請時において認定金融サービス仲介業協会に加入する予定がない者に対しては、以下の事項を通知して周知するとともに適切な対応を求めることとする。
    • イ.協会規則を考慮した社内規則等が整備されている必要があること。
    • ロ.協会規則に改正等があった場合には、それに応じて直ちに社内規則の見直しを行う必要があること。
 

VIII-3-2 非協会員に対する広告の写し等の徴収

 非協会員に対しては、金融サービス提供法第35条第1項の規定に基づき、各年の四半期ごとに、前四半期に出稿した広告等(VIII-1-5(2) マル2の「広告」及び マル3の「勧誘」をいう。)の写し又はその内容がわかるものを遅滞なく徴収するものとする。

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