衆議院財務金融委員会における柳澤金融担当大臣の「破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告」概要説明

(はじめに)

去る三月九日、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(金融再生法)第五条に基づき、平成十二年七月二十七日以降、中央省庁再編に伴い金融再生委員会が廃止された本年一月五日までの間における、破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告書を国会に提出申し上げました。本日、本報告に対する御審議をいただくに先立ちまして、簡単ではございますが本報告の概要について御説明申し上げます。

(長銀及び日債銀に係る特別公的管理)

まずはじめに、特別公的管理が行われておりました長銀及び日債銀に係る措置につきまして、概要を申し上げます。

日本長期信用銀行につきましては、前回御報告申し上げましたように昨年三月一日、預金保険機構が保有する長銀の既存普通株式約二十四億株を米国のリップルウッド社が中心となって組成した投資コンソーシアムであるニュー・LTCB・パートナーズ社(パートナーズ社)に対して譲渡することにより、同行に係る特別公的管理が終了しておりました。その際、昨年二月二十八日、予備的基準日貸借対照表に基づき三兆五千八百八十億円の金銭贈与・損失補てんが行われておりましたが、本年一月五日、基準日貸借対照表の確定に伴い、新生銀行より預金保険機構に対して、金銭の贈与に係る特例資金援助及び損失の補てん額の変更の申込みがなされ、同日、金融再生委員会等により金銭の贈与・損失の補てん額を三兆五千八百九十九億円に変更することが承認されました。

次に、日本債券信用銀行につきましては、昨年九月一日に、預金保険機構が保有する日債銀の既存普通株式約二十五億株をソフトバンク、オリックス及び東京海上火災保険を中心に構成される出資グループ(ソフトバンク・グループ)に対して譲渡することにより、同行に係る特別公的管理が終了したところであります。譲渡に当たっては、金融再生法の規定に従い、八月三十一日、預金保険機構より日債銀に対し約三兆二千四百二十八億円の金銭贈与・損失の補てんが行われたところであります。

また、長銀、日債銀に係る瑕疵担保条項に基づく解除権の行使状況についてですが、本年一月五日現在で、預金保険機構が引き取ることとなった案件は、新生銀行については、前回御報告申し上げましたそごうグループのほか三社で、債権額二千百四十一億円、支払見込額千百二十二億円であり、あおぞら銀行については、そごうグループほか一社で債権額百六十三億円、支払見込額六十三億円となっております。

(金融整理管財人による管理等)

次に、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分が行われた金融機関に関する措置につきまして、御説明申し上げます。

管理を命ずる処分が行われていた国民銀行、幸福銀行、東京相和銀行、なみはや銀行及び新潟中央銀行の五行の受皿への営業譲渡については、各行の金融整理管財人により鋭意作業・検討が進められた結果、昨年八月十四日に国民銀行が八千代銀行に譲渡されたのを始め、本報告の対象期間以降の措置も含めますと、幸福銀行が本年二月二十六日に関西さわやか銀行に、なみはや銀行が本年二月十三日に大和銀行及び近畿大阪銀行にそれぞれ譲渡されております。残る東京相和銀行、新潟中央銀行に関しましても、東京相和銀行につきましては、六月十一日に米国に本拠を持つローンスターにより今後設立される新銀行に譲渡される予定となっており、新潟中央銀行につきましては、五月十四日に大光銀行、第四銀行をはじめとする六行に譲渡される予定となっております。

また、協同組織金融機関に対しましては、昨年七月二十七日以降本年一月五日までの間に、二十一信用組合に対し金融整理管財人による管理を命ずる処分及び金融整理管財人の選任が行われております。なお、その後において、二信用組合に対し、同様の措置がとられております。

(預金保険法に基づく破綻金融機関の処理等)

続きまして、預金保険法に基づく金融機関の破綻処理について、御説明申し上げます。昨年七月二十七日以降本年一月五日までの間に、預金保険法の単独適用案件で金融再生委員会による預金保険法第六十一条第一項に基づく適格性の認定、及び、金融再生委員会及び大蔵大臣による預金保険法附則第十六条第二項に基づく必要性の認定が行われたものは、破綻金融機関数で見ると、五信用金庫であります。

(預金保険機構の各勘定の状況)

最後に、これらの破綻金融機関の処理に係る資金を経理する預金保険機構の各勘定の状況について、御説明申し上げます。まず、一般勘定については、ペイオフコストの範囲内の一般資金援助等の業務を経理することとされておりますが、その一月五日現在の借入残高は一兆七千三百億円となっております。次に、特例業務勘定については、ペイオフコストを超える特別資金援助や、破綻金融機関の資産の買取りに係る整理回収機構への貸付等の業務を経理することとされておりますが、その一月五日現在の借入残高は三兆七千七百八億円となっております。また、特例業務勘定において、ペイオフコストを超える特別資金援助の原資に充当するために設けられた特例業務基金に交付された国債の償還状況は、累計で七兆八千二百七十五億円となっております。さらに、金融再生勘定については、特別公的管理銀行に対する損失の補てん、金融機関等の資産の買取りを行う整理回収機構への貸付等の業務を経理することとされておりますが、その一月五日現在の借入残高は、五兆六百十九億円となっております。

この他、金融機能早期健全化法に基づく資本増強に係る整理回収機構への貸付等の業務を経理する金融機能早期健全化勘定の借入残高は、一月五日現在で八兆二千七百二十六億円となっております。

(おわりに)

只今概要を御説明申し上げましたとおり、破綻金融機関の処理に関しては、これまで金融再生委員会等において、関係法令に従い所要の措置を迅速かつ的確に講じてまいったところでありますが、金融再生委員会の事務を引き継いだ金融庁といたしましても、今後とも、我が国の金融システムの一層の安定に向けて、万全を期してまいる所存でございます。

御審議の程、宜しくお願い申し上げます。

以上

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