参議院金融問題及び経済活性化に関する特別委員会における柳澤金融担当大臣の「破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告」概要説明

(はじめに)

昨年九月十一日、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」第五条に基づき、平成十三年一月六日以降七月三十一日までを報告対象期間として、その間における破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告書を国会に提出申し上げました。

本日、本報告に対する御審議をいただくに先立ちまして、簡単ではございますが本報告の概要について御説明申し上げます。

(長銀及び日債銀の特別公的管理後の諸措置)

まずはじめに、長銀及び日債銀の特別公的管理後の諸措置につきまして、概要を申し上げます。

日本債券信用銀行につきましては、前回御報告申し上げましたように十二年九月一日、預金保険機構が保有する日債銀の既存普通株式約二十五億株をソフトバンク、オリックス及び東京海上火災保険を中心に構成される出資グループに対して譲渡することにより、同行に係る特別公的管理が終了しておりました。その際、十二年八月三十一日、予備的基準日貸借対照表に基づき三兆二千四百二十八億円の金銭贈与・損失補てんが行われておりましたが、昨年二月七日、基準日貸借対照表の確定に伴い、あおぞら銀行より預金保険機構に対して、金銭の贈与に係る特例資金援助及び損失の補てん額の変更の申込みがなされ、同日、内閣総理大臣等により金銭の贈与・損失の補てん額を三兆二千三百六十五億円に変更することが承認されました。

また、新生銀行及びあおぞら銀行からの預金保険機構による瑕疵担保条項に基づく債権買取の状況についてですが、今回の報告対象期間中に、預金保険機構が引き取った案件は、新生銀行については五十五件で、債権額二千六百五十九億円、支払額千五百五十七億円であり、あおぞら銀行については十六件で債権額三百七十三億円、支払額二百十二億円となっております。

(金融整理管財人による管理等)

次に、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分が行われた金融機関に関する措置につきまして、御説明申し上げます。

管理を命ずる処分が行われていた幸福銀行、東京相和銀行、なみはや銀行及び新潟中央銀行の四行の受皿への営業譲渡については、各行の金融整理管財人により鋭意作業・検討が進められた結果、なみはや銀行が昨年二月十三日に大和銀行及び近畿大阪銀行に、幸福銀行が二月二十六日に関西さわやか銀行に、新潟中央銀行が五月九日に第四銀行、同十四日に大光銀行をはじめとする五行に、東京相和銀行が六月十一日に東京スター銀行にそれぞれ譲渡されております。

また、協同組織金融機関に対しましては、今回の報告対象期間中に、十二信用組合に対し金融整理管財人による管理を命ずる処分が行われております。なお、その後において、昨年十二月二十八日に石川銀行、本年三月八日に中部銀行に対し、金融整理管財人による管理を命ずる処分が行われたほか、三十一信用組合及び十三信用金庫に対し、同様の措置がとられております。

(預金保険法に基づく破綻金融機関の処理等)

続きまして、預金保険法に基づく金融機関の破綻処理について、御説明申し上げます。今回の報告対象期間中においては、破綻信用金庫の事業譲渡二件について、預金保険法単独適用案件として処理が行われております。

(預金保険機構による資金援助等の実施状況等)

最後に、これらの破綻金融機関の処理に係る預金保険機構による主な資金援助等の実施状況及び公的資金の使用状況について、御説明申し上げます。

破綻金融機関の救済金融機関への営業譲渡等に際し、破綻金融機関の債務超過の補てん等のために預金保険機構から救済金融機関に交付される金銭の贈与に係る資金援助額は、今回の報告対象期間中において二兆六千八百七十六億円であり、これまでの累計で十六兆八百五億円となっております。このうち、ペイオフコストの範囲内の金銭の贈与に係る資金援助の額は、報告対象期間中で一兆三千六百九十九億円、これまでの累計で五兆五千六百五十九億円であり、ペイオフコストを超える金銭の贈与に係る資金援助の額は、報告対象期間中で一兆三千百七十七億円、これまでの累計で十兆五千百四十六億円となっております。

また、預金保険機構による破綻金融機関からの資産買取額は、報告対象期間中で七千五百四十九億円、これまでの累計で五兆四千二百十五億円となっており、金融再生法第五十三条に基づく健全金融機関からの資産買取額は、報告対象期間中で六十四億円、これまでの累計で三百四十六億円となっております。

次に、特別公的管理銀行の業務の実施により発生した損失を補てんする金融再生法第六十二条に基づく損失補てんは、これまでの累計で四千五百億円であり、報告対象期間中においては、長銀・日債銀の基準日貸借対照表の確定による清算の結果、八十一億円増額されております。他方、当該清算の結果、金銭贈与額が百二十三億円減額されております。

さらに、預金保険機構による金融機能早期健全化法に基づく優先株式等の引受け等の額は、報告対象期間中で千四十億円、これまでの累計で八兆四千九百三十三億円となっております。

これらの預金保険機構による資金援助等については、いわゆる七十兆円の公的資金枠が措置されておりますが、最後に、その使用状況について申し述べます。

まず、特例業務勘定の特例業務基金に交付された十三兆円の交付国債の償還額の累計は、七月三十一日現在で、八兆九千九十五億円となっております。また、一般勘定、特例業務勘定、金融再生勘定及び金融機能早期健全化勘定における政府保証付借入等の残高は、七月三十一日現在で、各勘定合計で十九兆八千六百六十三億円となっております。

(おわりに)

只今概要を御説明申し上げましたとおり、破綻金融機関の処理に関しては、これまでも適時・適切に所要の措置を講じることに努めてきたところでありますが、今後とも、金融庁といたしましては、我が国の金融システムの一層の安定に向けて、万全を期してまいる所存でございます。

御審議の程、宜しくお願い申し上げます。

以上

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