参議院金融問題及び経済活性化に関する特別委員会における柳澤金融担当大臣の「破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告」概要説明

(はじめに)

去る五月二十四日、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」第五条に基づき、昨年八月一日以降、預金等全額保護の特例措置期限である本年三月三十一日までを報告対象期間として、その間における破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告書を国会に提出申し上げました。

本日、本報告に対する御審議をいただくに先立ちまして、簡単ではございますが本報告の概要について御説明申し上げます。

(管理を命ずる処分等の状況)

まずはじめに、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分等の状況について御説明申し上げます。

今回の報告対象期間中には、石川銀行、中部銀行の二行並びに十三の信用金庫及び三十一の信用組合に対し、金融整理管財人による管理を命ずる処分が行われております。

石川銀行については、昨年十二月二十八日、同行より預金保険法第七十四条第五項に基づく申出がなされ、当該申出及び同行の財務状況を踏まえ、同日、管理を命ずる処分が行われております。

また、中部銀行については、本年三月八日、同行より預金保険法第七十四条第五項に基づく申出がなされ、当該申出及び同行の資金繰り状況を踏まえ、同日、管理を命ずる処分が行われております。

これら二行の譲渡先については、それぞれ金融整理管財人において、地元の金融機関を中心に鋭意折衝が進められてきましたが、預金等全額保護の特例措置期限内に受皿金融機関と営業譲渡について合意するに至らず、三月二十八日、両行ともそれぞれ日本承継銀行と営業譲渡契約を締結しております。日本承継銀行は、本年三月五日の預金保険法第九十一条第一項第一号に基づく承継銀行の設立決定を受け、預金保険機構の子会社として設立され、三月十九日に銀行業等の免許を取得していたものであります。

なお、石川銀行、中部銀行の日本承継銀行からの再承継先については、関係者において引き続き早期確保に向けた努力が継続されているところであります。

次に、破綻金融機関の受皿金融機関への事業譲渡等による処理の状況について申し上げますと、今回の報告対象期間中に、七信用金庫、二十四信用組合について事業譲渡等が行われ、管理を命ずる処分が取り消されております。

また、事業譲渡等が未了の破綻金融機関においても、受皿金融機関は確保されており、日本承継銀行と営業譲渡契約を締結した石川銀行、中部銀行を含め、全ての破綻金融機関について、本年三月三十一日の特例措置期限までに、預金等全額保護のための特別資金援助に係る所要の手続を済ませております。

(瑕疵担保条項に基づく債権の買取り)

次に、新生銀行及びあおぞら銀行からの預金保険機構による瑕疵担保条項に基づく債権買取の状況について申し上げます。今回の報告対象期間中に、預金保険機構が引き取った案件は、新生銀行については百十三件で、債権額四千四百四十四億円、支払額二千八百六十九億円であり、あおぞら銀行については二十五件で、債権額三百三十二億円、支払額二百九億円となっております。

(預金保険機構による資金援助等の実施状況等)

最後に、これらの破綻金融機関の処理に係る預金保険機構による主な資金援助等の実施状況及び公的資金の使用状況について、御説明申し上げます。

破綻金融機関の救済金融機関への営業譲渡等に際し、破綻金融機関の債務超過の補てん等のために預金保険機構から救済金融機関に交付される金銭の贈与に係る資金援助額は、今回の報告対象期間中において四千四百五十億円であり、これまでの累計で十六兆四千五百八十九億円となっております。このうち、ペイオフコストの範囲内の金銭の贈与に係る資金援助の額は、報告対象期間中で二千七百八十五億円、これまでの累計で五兆八千三百十九億円であり、ペイオフコストを超える金銭の贈与に係る資金援助の額は、報告対象期間中で千六百六十五億円、これまでの累計で十兆六千二百七十億円となっております。

また、預金保険機構による破綻金融機関からの資産買取額は、報告対象期間中で千四百九十九億円、これまでの累計で五兆五千七百十四億円となっており、金融再生法第五十三条に基づく健全金融機関からの資産買取については、報告対象期間中で債権簿価三千三百二億円、買取額二百六億円、これまでの累計で債権簿価一兆三千三十五億円、買取額五百四十九億円となっております。

さらに、預金保険機構による金融機能早期健全化法に基づく優先株式等の引受け等の額は、報告対象期間中で千百二十億円、これまでの累計で八兆六千五十三億円となっております。

これらの預金保険機構による資金援助等については、いわゆる七十兆円の公的資金枠が措置されておりますが、最後に、その三月三十一日現在における使用状況について申し述べます。

まず、特例業務勘定の特例業務基金に交付された十三兆円の交付国債の償還額の累計は、九兆五百四十八億円となっております。また、一般勘定、特例業務勘定、金融再生勘定及び金融機能早期健全化勘定における政府保証付借入等の残高は、各勘定合計で十九兆九千七百八十四億円となっております。

(おわりに)

只今概要を御説明申し上げましたとおり、破綻金融機関の処理に関しては、これまでも適時・適切に所要の措置を講じることに努めてきたところでありますが、今後とも、金融庁といたしましては、我が国の金融システムの一層の安定の確保に向けて、万全を期してまいる所存でございます。

御審議の程、宜しくお願い申し上げます。

以上

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