平成23年8月24日
金融庁
株式会社東研に係る有価証券報告書等の虚偽記載に対する課徴金納付命令の決定について
金融庁は、証券取引等監視委員会から、(株)東研に係る有価証券報告書等の虚偽記載に係る検査結果に基づく課徴金納付命令の勧告を受け、平成23年7月15日に審判手続開始の決定(平成23年度(判)第14号金融商品取引法違反審判事件)を行ったところ、被審人から課徴金に係る金融商品取引法(以下「金商法」という。)178条1項2号及び4号に掲げる事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書の提出があり、これを受けた審判官から金商法185条の6の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、本日、下記のとおり
決定(PDF:132KB)を行いました。
記
1決定の内容
被審人に対し、次のとおり課徴金を国庫に納付することを命ずる。
(1)納付すべき課徴金の額金3108万円
(2)納付期限平成23年10月25日
2課徴金に係る金商法178条1項各号に掲げる事実
(1)課徴金に係る金商法178条1項4号に掲げる事実
被審人(株)東研(以下「被審人」という。)は、関東財務局長に対し、下表のとおり、重要な事項につき虚偽の記載がある有価証券報告書、半期報告書及び四半期報告書(以下「開示書類」という。)を提出したものである。
(2)課徴金に係る金商法178条1項2号に掲げる事実
被審人は、関東財務局長に対し、平成21年12月4日、第39期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(上記表の番号4の書類)及び第40期事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書(上記表の番号6の書類)を組込情報とする有価証券届出書を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、同年12月24日、3,574,000株の株式を357,400,000円で取得させ、もって重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により有価証券を取得させたものである。
番号 | 開示書類 | 虚偽記載 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
提出日 | 書類 | 会計期間 | 財務計算に 関する書類 |
内容(注) | 事由 | |
1 | 平成19年 1月30日 |
第37期事業年度中間連結会計期間に係る半期報告書 | 平成18年5月1日~平成18年10月31日の中間連結会計期間 | 中間連結 損益計算書 |
連結中間純損益が▲122百万円であるところを7百万円と記載 | ・売上の前倒し計上 |
2 | 平成19年 7月31日 |
第37期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書 | 平成18年5月1日~平成19年4月30日の連結会計期間 | 連結 損益計算書 |
連結当期純損益が▲179百万円であるところを▲80百万円と記載 | ・売上の前倒し計上 |
3 | 平成20年 9月12日 |
第39期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書 | 平成20年5月1日~平成21年7月31日の第1四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が1,555百万円であるところを1,961百万円と記載 | ・売掛金の過大計上 等 |
4 | 平成21年 7月30日 |
第39期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書 | 平成20年5月1日~平成21年4月30日の連結会計期間 | 連結 貸借対照表 |
連結純資産額が1,113百万円であるところを1,436百万円と記載 | ・売掛金の過大計上 等 |
5 | 平成21年 9月11日 |
第40期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書 | 平成21年5月1日~平成21年7月31日の第1四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が976百万円であるところを1,317百万円と記載 | ・売掛金の過大計上 等 |
6 | 平成21年 12月4日 |
第40期事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書 | 平成21年8月1日~平成21年10月31日の第2四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が1,011百万円であるところを1,366百万円と記載 | ・売掛金の過大計上 等 |
7 | 平成22年 3月12日 |
第40期事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書 | 平成21年11月1日~平成22年1月31日の第3四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が1,247百万円であるところを1,598百万円と記載 | ・売掛金の過大計上 等 |
8 | 平成22年 7月27日 |
第40期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書 | 平成21年5月1日~平成22年4月30日の連結会計期間 | 連結 損益計算書 |
連結当期純損益が▲103百万円であるところを▲34百万円と記載 | ・売上の前倒し計上 等 |
連結 貸借対照表 |
連結純資産額が1,365百万円であるところを1,758百万円と記載 | |||||
9 | 平成22年 9月13日 |
第41期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書 | 平成22年5月1日~平成22年7月31日の第1四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が1,370百万円であるところを1,765百万円と記載 | ・売掛金の過大計上 等 |
(注)金額は百万円未満切捨てである。また、▲は損失であることを示す。
3課徴金の計算の基礎
上記2(1)の表に掲げる各事実及び同2(2)に掲げる事実について、課徴金額は、それぞれ以下のとおりとなる。
(1)上記2(1)の表の番号1及び同2
平成20年法律第65号による改正前の金融商品取引法(以下「旧金商法」という。)172条の2第1項及び2項の規定により、番号1及び同2に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の3を乗じて得た額(117,843円)
ロ3,000,000円
a番号1については、3,000,000円の2分の1に相当する額である1,500,000円
b番号2については、3,000,000円
となるが、番号1及び同2が、いずれも第37期事業年度に係るものであることから、旧金商法185条の7第2項及び平成20年内閣府令第79号による改正前の金融商品取引法第六章の二の規定による課徴金に関する内閣府令61条の2の規定により、3,000,000円を個別決定ごとの算出額に基づき按分することとなり、
a'番号1に係る課徴金の額は
3,000,000×1,500,000/(1,500,000+3,000,000)=1,000,000円
b'番号2に係る課徴金の額は
3,000,000×3,000,000/(1,500,000+3,000,000)=2,000,000円
が
を超えないことから、
となる。
-
(2)上記2(1)の表の番号3及び同4
旧金商法172条の2第1項及び2項の規定により、番号3及び同4に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の3を乗じて得た額(43,835円)
ロ3,000,000円
a番号3については、3,000,000円の2分の1に相当する額である1,500,000円
b番号4については、3,000,000円
となるが、番号3及び同4が、いずれも第39期事業年度に係るものであることから、旧金商法185条の7第2項及び平成20年内閣府令第79号による改正前の金融商品取引法第六章の二の規定による課徴金に関する内閣府令61条の2の規定により、3,000,000円を個別決定ごとの算出額に基づき按分することとなり、
a'番号3に係る課徴金の額は
3,000,000×1,500,000/(1,500,000+3,000,000)=1,000,000円
b'番号4に係る課徴金の額は
3,000,000×3,000,000/(1,500,000+3,000,000)=2,000,000円
が
を超えないことから、
となる。
-
(3)上記2(1)の表の番号5、同6、同7及び同8
金商法172条の4第1項及び2項の規定により、番号5から同8に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額
番号5 44,754円 番号6 48,276円 番号7 54,731円 番号8 53,370円 ロ6,000,000円
a番号5については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
b番号6については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
c番号7については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
d番号8については、6,000,000円
となるが、番号5から同8が、いずれも第40期事業年度に係るものであることから、金商法185条の7第6項及び金融商品取引法第六章の二の規定による課徴金に関する内閣府令61条の3の規定により、6,000,000円を個別決定ごとの算出額に基づき按分することとなり、
a'番号5に係る課徴金の額は
6,000,000×3,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)
=1,200,000円
b'番号6に係る課徴金の額は
6,000,000×3,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)
=1,200,000円
c'番号7に係る課徴金の額は
6,000,000×3,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)
=1,200,000円
d'番号8に係る課徴金の額は
6,000,000×6,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)
が
を超えないことから、
=2,400,000円
となる。
-
(4)上記2(1)の表の番号9
金商法172条の4第2項の規定により、番号9に係る課徴金の額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額(63,377円)
ロ6,000,000円
が
を超えないことから、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円となる。
-
(5)上記2(2)
金商法172条の2第1項1号の規定により、重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により取得させた株券等の発行価額の総額の100分の4.5に相当する額が課徴金の額となることから、
平成21年12月4日提出の有価証券届出書に係る課徴金の額は、
357,400,000円×4.5/100=16,083,000円
について、金商法176条2項の規定により1万円未満を切り捨てて、16,080,000円 となる。
-
(6)以上により、納付すべき課徴金の額は次のとおりとなる。
1,000,000円+2,000,000円+1,000,000円+2,000,000円+1,200,000円+1,200,000円+1,200,000円+2,400,000円+3,000,000円+16,080,000円
=31,080,000円
お問い合わせ先
金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局総務課審判手続室(内線2398、2404)