平成25年5月13日
金融庁
株式会社クロニクルに係る有価証券報告書等の虚偽記載に対する課徴金納付命令の決定について
金融庁は、証券取引等監視委員会から、(株)クロニクルに係る有価証券報告書等の虚偽記載に係る検査結果に基づく課徴金納付命令の勧告を受け、平成25年3月26日に審判手続開始の決定(平成24年度(判)第40号金融商品取引法違反審判事件)を行ったところ、被審人から課徴金に係る金融商品取引法(以下、「金商法」といいます。)178条1項2号及び4号に掲げる事実並びに納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書の提出があり、これを受けた審判官から金商法185条の6の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、下記のとおり
決定(PDF:179KB)を行いました。
記
1決定の内容
被審人に対し、次のとおり課徴金を国庫に納付することを命ずる。
(1)納付すべき課徴金の額金6443万円
(2)納付期限平成25年7月11日
2課徴金に係る金商法178条1項各号に掲げる事実
(1)課徴金に係る金商法178条1項4号に該当
被審人(株)クロニクル(以下、被審人という。)は、その発行する株式が大阪証券取引所ジャスダック市場に上場されている会社であるが、被審人は、関東財務局長に対し、下表のとおり、重要な事項につき虚偽の記載がある有価証券報告書及び四半期報告書(以下「開示書類」という。)を提出した。
番 号 |
開示書類 | 虚偽記載 | ||||
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提出日 | 書類 | 会計期間 | 財務計算に 関する書類 |
内容(注) | 事由 | |
1 | 平成21年 2月13日 |
第30期事業年度 第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書 |
平成20年10月1日 ~平成20年12月31日の第1四半期連結累計期間 |
四半期連結 損益計算書 |
連結四半期純損益が1,581百万円以上の損失であるところを1,228百万円の損失と記載 | ・営業出資金名目の使途不明金に係る損失の不計上 ・債務免除に係る損失の不計上 等 |
2 | 平成21年 5月15日 |
第30期事業年度 第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書 |
平成20年10月1日 ~平成21年3月31日の第2四半期連結累計期間 |
四半期連結 損益計算書 |
連結四半期純損益が1,868百万円以上の損失であるところを1,440百万円の損失と記載 | ・営業出資金名目の使途不明金に係る損失の不計上 ・債務免除に係る損失の不計上 等 |
3 | 平成21年 8月14日 |
第30期事業年度 第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書 |
平成20年10月1日 ~平成21年6月30日の第3四半期連結累計期間 |
四半期連結 損益計算書 |
連結四半期純損益が2,544百万円以上の損失であるところを2,122百万円の損失と記載 | ・営業出資金名目の使途不明金に係る損失の不計上 ・債務免除に係る損失の不計上 等 |
4 | 平成21年 12月24日 |
第30期事業年度 連結会計期間に係る有価証券報告書 |
平成20年10月1日 ~平成21年9月30日の連結会計期間 |
連結 損益計算書 |
連結当期純損益が2,949百万円以上の損失であるところを2,389百万円の損失と記載 | ・営業出資金名目の使途不明金に係る損失の不計上 ・債務免除に係る損失の不計上 等 |
5 | 平成22年 12月24日 |
第31期事業年度 連結会計期間に係る有価証券報告書 |
平成21年10月1日 ~平成22年9月30日の連結会計期間 |
連結 貸借対照表 |
連結純資産額が3,837百万円以下であるところを4,968百万円と記載 | ・営業出資金の架空計上 ・貸付金の過大計上 等 |
6 | 平成23年 2月14日 |
第32期事業年度 第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書 |
平成22年10月1日 ~平成22年12月31日の第1四半期連結会計期間 |
四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が3,642百万円以下であるところを4,802百万円と記載 | ・営業出資金の架空計上 ・貸付金の過大計上 等 |
7 | 平成23年 5月16日 |
第32期事業年度 第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書 |
平成23年1月1日 ~平成23年3月31日の第2四半期連結会計期間 |
四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が3,535百万円以下であるところを4,678百万円と記載 | ・営業出資金の架空計上 ・貸付金の過大計上 等 |
8 | 平成23年 8月15日 |
第32期事業年度 第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書 |
平成23年4月1日 ~平成23年6月30日の第3四半期連結会計期間 |
四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が3,329百万円以下であるところを4,485百万円と記載 | ・営業出資金の架空計上 ・貸付金の過大計上 等 |
9 | 平成23年 12月26日 |
第32期事業年度 連結会計期間に係る有価証券報告書 |
平成22年10月1日 ~平成23年9月30日の連結会計期間 |
連結 貸借対照表 |
連結純資産額が2,855百万円以下であるところを3,669百万円と記載 | ・営業出資金の架空計上 等 |
10 | 平成24年 2月14日 |
第33期事業年度 第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書 |
平成23年10月1日 ~平成23年12月31日の第1四半期連結会計期間 |
四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が2,742百万円以下であるところを3,515百万円と記載 | ・営業出資金の架空計上 |
11 | 平成24年 5月15日 |
第33期事業年度 第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書 |
平成24年1月1日 ~平成24年3月31日の第2四半期連結会計期間 |
四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が2,601百万円以下であるところを3,375百万円と記載 | ・営業出資金の架空計上 |
12 | 平成24年 8月14日 |
第33期事業年度 第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書 |
平成24年4月1日 ~平成24年6月30日の第3四半期連結会計期間 |
四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が2,512百万円以下であるところを3,275百万円と記載 | ・営業出資金の架空計上 |
13 | 平成24年 12月26日 |
第33期事業年度 連結会計期間に係る有価証券報告書 |
平成23年10月1日 ~平成24年9月30日の連結会計期間 |
連結 貸借対照表 |
連結純資産額が396百万円であるところを1,559百万円と記載 | ・営業出資金の架空計上 ・棚卸資産の過大計上 |
(注) 金額は百万円未満切捨てである。
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(2)課徴金に係る金商法178条1項2号に該当
被審人は、平成23年12月7日、第31期有価証券報告書及び第32期第3四半期報告書を組込情報とする有価証券届出書を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、同年12月26日、480個の新株予約権証券を965,280,000円(新株予約権の行使に際して払い込むべき金額を含む。)で取得させ、もって重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により有価証券を取得させた。
3課徴金の計算の基礎
2の(1)の表に掲げる事実につき
番号1、同2、同3及び同4
旧金融商品取引法(以下「旧金商法」という。)172条の2第1項本文及び2項前段の規定により、被審人の第30期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第30期第1四半期報告書」という。)、同事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第30期第2四半期報告書」という。)、同事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第30期第3四半期報告書」という。)及び同事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(以下「第30期有価証券報告書」という。)に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の3を乗じて得た額(49,633円)
が
ロ3,000,000円
を超えないことから、
第30期第1四半期報告書については、3,000,000円の2分の1に相当する額である1,500,000円
第30期第2四半期報告書については、3,000,000円の2分の1に相当する額である1,500,000円
第30期第3四半期報告書については、3,000,000円の2分の1に相当する額である1,500,000円
第30期有価証券報告書については、3,000,000円
となるが、第30期第1四半期報告書、第30期第2四半期報告書、第30期第3四半期報告書及び第30期有価証券報告書が、いずれも第30期事業年度に係るものであることから、旧金融法185条の7第2項及び旧金融商品取引法第六章の二の規定による課徴金に関する内閣府令61条の2の規定により、3,000,000円を個別決定ごとの算出額に応じて按分することとなり、
第30期第1四半期報告書に係る課徴金の額は
3,000,000×1,500,000/(1,500,000+1,500,000+1,500,000+3,000,000)
=600,000円
第30期第2四半期報告書に係る課徴金の額は
3,000,000×1,500,000/(1,500,000+1,500,000+1,500,000+3,000,000)
=600,000円
第30期第3四半期報告書に係る課徴金の額は
3,000,000×1,500,000/(1,500,000+1,500,000+1,500,000+3,000,000)
=600,000円
第30期有価証券報告書に係る課徴金の額は
3,000,000×3,000,000/(1,500,000+1,500,000+1,500,000+3,000,000)
=1,200,000円
となる。
番号5
金商法172条の4第1項本文の規定により、被審人の第31期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(以下「第31期有価証券報告書」という。)に係る課徴金の額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額(80,694円)
が
ロ6,000,000円
を超えないことから、6,000,000円となる。
番号6、同7、同8及び同9
金商法172条の4第1項本文及び2項前段の規定により、被審人の第32期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第32期第1四半期報告書」という。)、同事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第32期第2四半期報告書」という。)、同事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第32期第3四半期報告書」という。)及び同事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(以下「第32期有価証券報告書」という。)に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額
第32期第1四半期報告書 55,292円 第32期第2四半期報告書 166,468円 第32期第3四半期報告書 56,065円 第32期有価証券報告書 175,853円 が
ロ6,000,000円
を超えないことから、
第32期第1四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
第32期第2四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
第32期第3四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
第32期有価証券報告書については、6,000,000円
となるが、第32期第1四半期報告書、第32期第2四半期報告書、第32期第3四半期報告書及び第32期有価証券報告書が、いずれも第32期事業年度に係るものであることから、金商法185条の7第6項及び金融商品取引法第六章の二の規定による課徴金に関する内閣府令61条の3の規定により、6,000,000円を個別決定ごとの算出額に応じて按分することとなり、
第32期第1四半期報告書に係る課徴金の額は
6,000,000×3,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)
=1,200,000円
第32期第2四半期報告書に係る課徴金の額は
6,000,000×3,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)
=1,200,000円
第32期第3四半期報告書に係る課徴金の額は
6,000,000×3,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)
=1,200,000円
第32期有価証券報告書に係る課徴金の額は
6,000,000×6,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)
=2,400,000円
となる。
番号10、同11、同12及び同13
金商法172条の4第1項本文及び2項前段の規定により、被審人の第33期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第33期第1四半期報告書」という。)、同事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第33期第2四半期報告書」という。)、同事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第33期第3四半期報告書」という。)及び同事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(以下「第33期有価証券報告書」という。)に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額
第33期第1四半期報告書 76,777円 第33期第2四半期報告書 104,045円 第33期第3四半期報告書 80,644円 第33期有価証券報告書 78,976円 が
ロ6,000,000円
を超えないことから、
第33期第1四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
第33期第2四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
第33期第3四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
第33期有価証券報告書については、6,000,000円
となるが、第33期第1四半期報告書、第33期第2四半期報告書、第33期第3四半期報告書及び第33期有価証券報告書が、いずれも第33期事業年度に係るものであることから、金商法185条の7第6項及び金融商品取引法第六章の二の規定による課徴金に関する内閣府令61条の3の規定により、6,000,000円を個別決定ごとの算出額に応じて按分することとなり、
第33期第1四半期報告書に係る課徴金の額は
6,000,000×3,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)
=1,200,000円
第33期第2四半期報告書に係る課徴金の額は
6,000,000×3,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+ 6,000,000)
=1,200,000円
第33期第3四半期報告書に係る課徴金の額は
6,000,000×3,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)
=1,200,000円
第33期有価証券報告書に係る課徴金の額は
6,000,000×6,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)
=2,400,000円
となる。
2の(2)に掲げる事実につき
金商法172条の2第1項1号の規定により、重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により取得させた株券等の発行価額の総額の100分の4.5に相当する額が課徴金の額となることから、
平成23年12月7日提出の有価証券届出書に係る課徴金の額は
965,280,000円×4.5/100=43,437,600円
について、金商法176条2項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて、43,430,000円
となる。
以上により、納付すべき課徴金の額は次のとおりとなる。
600,000円+600,000円+600,000円+1,200,000円+6,000,000円
+1,200,000円+1,200,000円+1,200,000円+2,400,000円+1,200,000円
+1,200,000円+1,200,000円+2,400,000円+43,430,000円
=64,430,000円
お問い合わせ先
金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局総務課審判手続室
(内線2398、2404)