平成26年7月22日
金融庁
株式会社アイレックスに係る有価証券報告書等の虚偽記載に関する課徴金納付命令の決定について
金融庁は、証券取引等監視委員会から、(株)アイレックスに係る有価証券報告書等の虚偽記載に係る検査結果に基づく課徴金納付命令の勧告を受け、平成26年6月19日に審判手続開始の決定(平成26年度(判)第13号金融商品取引法違反審判事件)を行ったところ、被審人から課徴金に係る金融商品取引法(以下「金商法」といいます。)第178条第1項第4号に掲げる事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書の提出があり、これを受けた審判官から金商法第185条の6の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、下記のとおり
決定(PDF:161KB)を行いました。
記
1決定の内容
被審人に対し、次のとおり課徴金を国庫に納付することを命ずる。
(1)納付すべき課徴金の額金1,500万円
(2)納付期限平成26年9月19日
2課徴金に係る金商法第178条第1項各号に掲げる事実
被審人(株)アイレックス(以下「被審人」という。)は、東京都中央区日本橋本町四丁目8番14号に本店を置き、その発行する株式が東京証券取引所ジャスダック市場(平成25年7月15日以前は大阪証券取引所ジャスダック市場)に上場されている会社である。
被審人は、システム開発に係る派遣業務について、実際には作業に従事していない人員の勤務表を改ざんして実態を上回る作業時間を計上することにより、これに対応する架空の売上を計上するなどした。また、システムの開発及び制作を受注して行う取引について、顧客の検収後に発生した労務費等を費用として処理すべきであったにもかかわらず、これを仕掛品として計上するなどした。
これらの結果、被審人は、関東財務局長に対し、下表のとおり、重要な事項につき虚偽の記載がある有価証券報告書、四半期報告書及び四半期報告書の訂正報告書(以下「開示書類」という。)を提出した。
番 号 |
開示書類 | 虚偽記載 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
提出日 | 書類 | 会計期間 | 財務計算に 関する書類 |
内容(注) | 事由 | |
1 | 平成24年 6月25日 |
第70期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書 | 平成23年4月1日~平成24年3月31日の連結会計期間 | 連結 損益計算書 |
連結経常損益が211百万円であるところを335百万円と記載 連結当期純損益が124百万円であるところを248百万円と記載 |
・架空売上の計上 等 |
2 | 平成24年 8月14日 |
第71期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書 | 平成24年4月1日~平成24年6月30日の第1四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が596百万円であるところを806百万円と記載 | ・仕掛品の過大計上 等 |
3 | 平成24年 11月14日 |
第71期事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書 | 平成24年4月1日~平成24年9月30日の第2四半期連結累計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
連結四半期経常損益が▲14百万円であるところを190百万円と記載 連結四半期純損益が▲68百万円であるところを135百万円と記載 |
・架空売上の計上 ・仕掛品の過大計上 等 |
平成24年7月1日~平成24年9月30日の第2四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が545百万円であるところを899百万円と記載 | ||||
4 | 平成25年 2月14日 |
第71期事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書 | 平成24年4月1日~平成24年12月31日の第3四半期連結累計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
連結四半期経常損益が▲16百万円であるところを129百万円と記載 連結四半期純損益が▲75百万円であるところを69百万円と記載 |
・架空売上の計上 ・仕掛品の過大計上 等 |
平成24年10月1日~平成24年12月31日の第3四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が551百万円であるところを846百万円と記載 | ||||
5 | 平成25年 6月10日 |
第71期事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書の訂正報告書 | 平成24年4月1日~平成24年9月30日の第2四半期連結累計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
連結四半期経常損益が▲14百万円であるところを68百万円と記載 連結四半期純損益が▲68百万円であるところを13百万円と記載 |
・架空売上の計上 ・仕掛品の過大計上 等 |
平成24年7月1日~平成24年9月30日の第2四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が545百万円であるところを715百万円と記載 |
(注)金額は百万円未満切捨てである。また、▲は損失であることを示す。
3課徴金の計算の基礎
2の表に掲げる事実につき
番号1
金商法第172条の4第1項本文の規定により、被審人の第70期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書に係る課徴金の額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額(206,903円)
が
ロ6,000,000円
を超えないことから、6,000,000円となる。
番号2、同3、及び同4
金商法第172条の4第2項前段の規定により、被審人の第71期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第71期第1四半期報告書」という。)、同事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第71期第2四半期報告書」という。)及び同事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第71期第3四半期報告書」という。)に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額
第71期第1四半期報告書 203,455円 第71期第2四半期報告書 192,050円 第71期第3四半期報告書 191,479円 が
ロ6,000,000円
を超えないことから、
第71期第1四半期報告書、第71期第2四半期報告書及び第71期第3四半期報告書については、それぞれ6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
となるが、第71期第1四半期報告書、第71期第2四半期報告書及び第71期第3四半期報告書が、いずれも第71期事業年度に係るものであることから、金商法第185条の7第6項及び金融商品取引法第六章の二の規定による課徴金に関する内閣府令第61条の3の規定により、6,000,000円を個別決定ごとの算出額に応じて按分することとなり、
第71期第1四半期報告書、第71期第2四半期報告書及び第71期第3四半期報告書に係る課徴金の額は、それぞれ
6,000,000×3,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000)
=2,000,000円
となる。
番号5
金商法第172条の4第2項前段の規定により、被審人の第71期第2四半期報告書に係る平成25年6月10日提出の訂正報告書に係る課徴金の額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額(192,050円)
が
ロ6,000,000円
を超えないことから、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円となる。
以上により、納付すべき課徴金の額は、
6,000,000円+2,000,000円+2,000,000円+2,000,000円+3,000,000円
=15,000,000円
となる。
お問い合わせ先
金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局総務課審判手続室
(内線2398、2404)