平成26年12月17日
金融庁
JALCOホールディングス株式会社に係る有価証券報告書等の虚偽記載に対する課徴金納付命令の決定について
金融庁は、証券取引等監視委員会から、JALCOホールディングス(株)に係る有価証券報告書等の虚偽記載に係る検査結果に基づく課徴金納付命令の勧告を受け、平成26年11月21日に審判手続開始の決定(平成26年度(判)第28号金融商品取引法違反審判事件)を行ったところ、被審人から課徴金に係る金融商品取引法(以下「金商法」といいます。)第178条第1項第2号及び第4号に掲げる事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書の提出があり、これを受けた審判官から金商法第185条の6の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、下記のとおり
決定(PDF:164KB)を行いました。
記
1決定の内容
被審人に対し、次のとおり課徴金を国庫に納付することを命ずる。
(1)納付すべき課徴金の額金1億5,150万円
(2)納付期限平成27年2月17日
2課徴金に係る金商法第178条第1項各号に掲げる事実
(1)課徴金に係る金商法第178条第1項第4号に該当
被審人JALCOホールディングス(株)(以下「被審人」という。)は、東京都中央区日本橋室町一丁目5番3号に本店を置き、その発行する株式が東京証券取引所ジャスダック市場に上場されている会社である。
被審人は、連結子会社において、売買取引の実体を伴っていない割賦販売契約を締結すること等により、売上等を過大に計上した。
この結果、被審人は、関東財務局長に対し、下表のとおり、重要な事項につき虚偽の記載がある有価証券報告書及び四半期報告書(以下「開示書類」という。)を提出した。
番号 | 開示書類 | 虚偽記載 | ||||
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提出日 | 書類 | 会計期間 | 財務計算に 関する書類 |
内容(注) | 事由 | |
1 | 平成24年 8月13日 |
第2期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成24年6月第1四半期四半期報告書) | 平成24年4月1日~平成24年6月30日の第1四半期連結会計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
連結四半期純損益が▲138百万円であるところを▲108百万円と記載 | ・売上の過大計上 等 |
2 | 平成24年 11月14日 |
第2期事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成24年9月第2四半期四半期報告書) | 平成24年4月1日~平成24年9月30日の第2四半期連結累計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
売上高が537百万円であるところを914百万円と記載 | ・売上の過大計上 等 |
連結四半期純損益が▲259百万円であるところを▲178百万円と記載 | ||||||
平成24年7月1日~平成24年9月30日の第2四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が▲5百万円であるところを81百万円と記載 | ||||
3 | 平成25年 2月12日 |
第2期事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成24年12月第3四半期四半期報告書) | 平成24年4月1日~平成24年12月31日の第3四半期連結累計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
売上高が718百万円であるところを1,860百万円と記載 | ・売上の過大計上 等 |
連結四半期純損益が▲342百万円であるところを▲219百万円と記載 | ||||||
平成24年10月1日~平成24年12月31日の第3四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が▲96百万円であるところを33百万円と記載 | ||||
4 | 平成25年 6月26日 |
第2期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(平成25年3月期有価証券報告書) | 平成24年4月1日~平成25年3月31日の連結会計期間 | 連結 損益計算書 |
売上高が904百万円であるところを3,351百万円と記載 | ・売上の過大計上 等 |
連結当期純損益が▲421百万円であるところを▲219百万円と記載 | ||||||
5 | 平成25年 8月7日 |
第3期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成25年6月第1四半期四半期報告書) | 平成25年4月1日~平成25年6月30日の第1四半期連結会計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
売上高が266百万円であるところを1,421百万円と記載 | ・売上の過大計上 等 |
連結四半期純損益が168百万円であるところを229百万円と記載 | ||||||
6 | 平成25年 11月6日 |
第3期事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成25年9月第2四半期四半期報告書) | 平成25年4月1日~平成25年9月30日の第2四半期連結累計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
売上高が646百万円であるところを3,111百万円と記載 | ・売上の過大計上 等 |
連結四半期純損益が131百万円であるところを267百万円と記載 | ||||||
7 | 平成26年 2月5日 |
第3期事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成25年12月第3四半期四半期報告書) | 平成25年4月1日~平成25年12月31日の第3四半期連結累計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
売上高が980百万円であるところを4,801百万円と記載 | ・売上の過大計上 等 |
連結四半期純損益が150百万円であるところを363百万円と記載 |
(注)金額は百万円未満切捨てである。▲は損益計算書では損失であることを、貸借対照表では債務超過であることを示す。
(2)課徴金に係る金商法第178条第1項第2号に該当
被審人は、以下のとおり、重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により有価証券を取得させた。
イ平成24年12月26日、第2期第2四半期報告書を組込情報とする有価証券届出書(株式)を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、平成25年2月21日、26,000,000株の株式を1,300,000,000円で取得させた。
ロ平成25年11月1日、第2期有価証券報告書及び第3期第1四半期報告書を組込情報とする有価証券届出書(株式)を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、同年11月18日、8,411,217株の株式を1,800,000,438円で取得させた。
3課徴金の計算の基礎
2の(1)の表に掲げる事実につき
- 番号1、同2、同3及び同4
金商法第172条の4第1項本文及び第2項前段の規定により、被審人の第2期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第2期第1四半期報告書」という。)、同事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第2期第2四半期報告書」という。)、同事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第2期第3四半期報告書」という。)及び同事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(以下「第2期有価証券報告書」という。)に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額
第2期第1四半期報告書 39,922円 第2期第2四半期報告書 32,514円 第2期第3四半期報告書 33,974円 第2期有価証券報告書 46,810円 が
ロ6,000,000円
を超えないことから、
第2期第1四半期報告書、第2期第2四半期報告書及び第2期第3四半期報告書については、それぞれ6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
第2期有価証券報告書については、6,000,000円
となるが、第2期第1四半期報告書、第2期第2四半期報告書、第2期第3四半期報告書及び第2期有価証券報告書が、いずれも第2期事業年度に係るものであることから、金商法第185条の7第6項の規定により、6,000,000円を個別決定ごとの算出額に応じて按分することとなり、
第2期第1四半期報告書、第2期第2四半期報告書及び第2期第3四半期報告書に係る課徴金の額は、それぞれ
6,000,000×3,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)
=1,200,000円
第2期有価証券報告書に係る課徴金の額は
6,000,000×6,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)
=2,400,000円
となる。
- 番号5、同6及び同7
金商法第172条の4第1項本文及び第2項前段の規定により、被審人の第3期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第3期第1四半期報告書」という。)、同事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第3期第2四半期報告書」という。)、同事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第3期第3四半期報告書」という。)に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額
第3期第1四半期報告書 238,289円 第3期第2四半期報告書 406,673円 第3期第3四半期報告書 642,868円 が
ロ6,000,000円
を超えないことから、
第3期第1四半期報告書、第3期第2四半期報告書及び第3期第3四半期報告書については、それぞれ6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
となるが、第3期第1四半期報告書、第3期第2四半期報告書及び第3期第3四半期報告書が、いずれも第3期事業年度に係るものであることから、金商法第185条の7第6項の規定により、6,000,000円を個別決定ごとの算出額に応じて按分することとなり、
第3期第1四半期報告書、第3期第2四半期報告書及び第3期第3四半期報告書に係る課徴金の額は、それぞれ
6,000,000×3,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000)
=2,000,000円
となる。
- 2の(2)に掲げる事項につき
金商法第172条の2第1項第1号の規定により、重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により取得させた株券等の発行価額の総額の100分の4.5に相当する額が課徴金の額となることから、
イ平成24年12月26日提出の有価証券届出書(株式)に係る課徴金の額は、
1,300,000,000円×4.5/100=58,500,000円
ロ平成25年11月1日提出の有価証券届出書(株式)に係る課徴金の額は、 1,800,000,438円×4.5/100=81,000,019円
について、金商法第176条第2項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて、81,000,000円
となる。
以上により、納付すべき課徴金の額は、
1,200,000円+1,200,000円+1,200,000円+2,400,000円+2,000,000円 +2,000,000円+2,000,000円+58,500,000円+81,000,000円
=151,500,000円
となる。
お問い合わせ先
金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局総務課審判手続室
(内線2398、2404)