平成28年4月22日
金融庁

株式会社ウィズ株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の決定について(1)

金融庁は、証券取引等監視委員会から、(株)ウィズ株式に係る相場操縦の検査結果に基づく課徴金納付命令の勧告新しいウィンドウで開きますを受け、平成28年3月16日に審判手続開始の決定(平成27年度(判)第36号金融商品取引法違反審判事件)を行ったところ、被審人から課徴金に係る金融商品取引法(以下「金商法」といいます。)第178条第1項第14号に掲げる事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書の提出があり、これを受けた審判官から金商法第185条の6の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、下記のとおり決定(PDF:170KB)を行いました。

決定の内容

被審人に対し、次のとおり課徴金を国庫に納付することを命ずる。

  • (1)納付すべき課徴金の額金382万円

  • (2)納付期限平成28年6月22日

課徴金に係る金商法第178条第1項第14号に掲げる事実

被審人(株) トレード・ラボ(法人番号5010401079339)は、投資事業有限責任組合契約に基づき、トレード・ラボ投資事業有限責任組合(以下「組合」という。)の財産の運用、管理等を行う無限責任組合員として、組合に出資された財産の運用権限を有していたものである。

被審人の役員として組合財産の運用を担当していたAは、被審人の業務に関し、(株)ウィズの株式につき、同株式の売買を誘引する目的をもって、別表記載のとおり、平成26年8月14日午前9時3分頃から同月18日午後2時59分頃までの間、3取引日にわたり、B証券株式会社を介し、組合名義の証券口座を用いて、直前の約定値より高指値の組合名義の売り注文及び買い注文を、Aが管理するC名義の証券口座を用いた買い注文及び売り注文と対当させて株価を引き上げたり、直前の約定値より高指値の買い注文を発注して株価を引き上げるなどの方法により、同株式合計3800株を買い付ける一方、同株式合計3300株を売り付け、そのうち、被審人らの同年8月度における組合への出資割合である約0.78パーセントについては自己の計算において、それ以外においては自己以外の者である組合への出資者の計算において、それぞれ買い付ける一方、売り付け、もって、同株式の売買が繁盛であると誤解させ、かつ、同市場における同株式の相場を変動させるべき一連の売買をしたものである。

(別表)

(単位:株)
取引年月日 売買数量
売付け 買付け
平成26年8月14日 100 2,100
平成26年8月15日 2,600 900
平成26年8月18日 600 800
合計 3,300 3,800

課徴金の計算の基礎

金商法第174条の2第1項の規定により、当該違反行為に係る課徴金の額は、

当該違反行為に係る有価証券の売買対当数量に係るものについて、自己の計算による当該有価証券の売付け等の価額から、自己の計算による当該有価証券の買付け等の価額を控除した額

当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等又は買付け等の数量が、当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等又は売付け等の数量を超える場合、当該超える数量に係る有価証券の売付け等の価額から当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該違反行為に係る有価証券の買付け等についての金商法第130条に規定する最低の価格のうち最も低い価格に当該超える数量を乗じて得た額を控除した額、又は当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該違反行為に係る有価証券の売付け等についての金商法第130条に規定する最高の価格のうち最も高い価格に当該超える数量を乗じて得た額から当該超える数量に係る有価証券の買付け等の価額を控除した額

及び

違反者が、自己以外の者の計算において、当該違反行為の開始時から当該違反行為の終了後1月を経過するまでの間に違反行為又は有価証券の売付け等若しくは有価証券の買付け等をした場合、当該違反者が、運用対象財産の運用として当該違反行為又は有価証券の売付け等若しくは有価証券の買付け等を行った者であれば、当該違反行為又は有価証券の売付け等若しくは有価証券の買付け等をした日の属する月における当該運用対象財産のうち金融商品取引法第六章の二の規定による課徴金に関する内閣府令第1条の16第1項で定めるものの運用の対価の額に相当する額として同条第2項で定める額に三を乗じて得た額

の合計額として算定。

2に掲げる事実につき

(1)当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等の数量は、当該違反行為に係る有価証券の売付け等の数量3,300株に500/63,500(注1)を乗じた25.98株(注2)であり、当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等の数量は、当該違反行為に係る有価証券の実際の買付け等の数量3,800株に500/63,500(注1)を乗じた29.92株に、金商法第174条の2第8項、金融商品取引法施行令第33条の13第1号の規定により、違反行為の開始時にその時における価格(899円)で買付け等をしたとみなされる特定関係者等が当該違反行為の開始時に所有している当該有価証券の数量372.44株(注3)を加えた402.36株である

ことから、

当該違反行為に係る有価証券の売買対当数量(25.98株)に係るものについて、自己の計算による当該有価証券の売付け等の価額から、自己の計算による当該有価証券の買付け等の価額を控除した額

{(920円×100株+925円×100株+948円×1,500株+949円×100株

+950円×300株+954円×600株+956円×300株+976円×200株

+977円×100株)×500/63,500(注1)}

-{(899円×3,300株)×500/63,500(注1)}

= 1,352.75円

(注1)平成26年8月時点において、組合への出資63,500口のうち、500口が違反者及び金商法第174条の2第6項、金融商品取引法第六章の二の規定による課徴金に関する内閣府令第1条の17第1項第3号、第2項第3号の規定により、当該違反行為を自己の計算においてしたものとみなされる特定関係者による出資である(被審人100口、A300口、D社100口)ことから、同出資割合である「500/63,500(約0.78%)」について、自己の計算において行ったものと認められる。

(注2)小数点以下の端数が生じた場合は、小数第三位を切り捨てて表記している。以下、同じ。なお、計算の過程における端数処理は行っていない。

(注3)当該違反行為の開始時に組合財産として運用されている当該有価証券の数量47,300株に500/63,500(注1)を乗じた数量

当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等の数量(402.36株)が、当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等の数量(25.98株)を超えていることから、当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該違反行為に係る有価証券の売付け等についての金商法第130条に規定する最高の価格のうち最も高い価格(1,675円)に当該超える数量376.37株(402.36株-25.98株)を乗じて得た額から、当該超える数量に係る有価証券の買付け等の価額を控除した額

(1,675円×376.37株)

-{(899円×44,100株+914円×200株+918円×300株+922円×100株

+924円×100株+925円×100株+926円×100株+927円×100株

+928円×300株+930円×300株+931円×100株+934円×100株

+935円×400株+940円×100株+945円×100株+946円×100株

+950円×200株+955円×100株+959円×200株+960円×300株

+968円×100株+971円×100株+980円×200株)×500/63,500(注1)}

= 290,884.25円

及び

違反者が、自己以外の者の計算において、当該違反行為の開始時から当該違反行為の終了後1月を経過するまでの間に違反行為又は有価証券の売付け等若しくは有価証券の買付け等をした場合、違反者である被審人は、運用対象財産の運用として当該違反行為又は有価証券の売付け等若しくは有価証券の買付け等を行った者であるので、当該違反行為又は有価証券の売付け等若しくは有価証券の買付け等をした日の属する月における当該運用対象財産のうち金融商品取引法第六章の二の規定による課徴金に関する内閣府令第1条の16第1項で定めるものの運用の対価の額に相当する額として同条第2項で定める額に三を乗じて得た額

1,176,081.86円×3

= 3,528,245.60円(注4)

の合計額3,820,482.60円となる。

(注4)違反者である被審人は、業として金商法第28条第4項第3号に掲げる行為(金商法第2条第8項第15号ハに掲げる行為)を行うものであることから、金商法第174条の2第1項第2号ニ(1)、金融商品取引法第六章の二の規定による課徴金に関する内閣府令第1条の16第1項第4号、第2項により、金商法第2条第8項第15号ハに掲げる権利(同条第2項第5号の「投資事業有限責任組合契約」に基づく権利)を有する者から違反者が拠出を受けて運用を行う金銭その他の財産のうち算定対象取引に係る利益又は損失が帰属するものについて、算定対象取引が行われた日の属する月に違反者に対価として支払われ、又は支払われるべき金銭その他の財産(以下「運用報酬」という。)の価額(運用報酬算定期間が1月を超える場合にあっては、当該運用報酬算定期間の月数で除す方法その他の合理的な方法により算出した額)の総額に三を乗じて得た額になる。

被審人は、組合の事業年度第2期(自:平成26年4月1日・至:平成27年3月31日)に係る運用報酬(管理報酬及び成功報酬)を受領していたところ、運用報酬算定期間が1月を超えるので、当該運用報酬算定期間の月数で除す方法により算出すると、違反行為期間が含まれる平成26年8月における被審人の管理報酬及び成功報酬の月額のうち、被審人、A、D社の出資割合である約0.78%(注1)分を除いた金額は1,176,081.86円となる(注5)。

したがって、被審人に対する自己以外の者の計算分の課徴金額は、この1,176,081.86円に三を乗じて得た金額である3,528,245.60円となる。

(注5)平成26年8月における被審人の管理報酬(被審人、A、D社の出資割合である約0.78%(注1)分を除く)は、契約に基づいて算出された年額管理報酬12,600,000円を12月で除した1,050,000円である。また、同成功報酬(被審人、A、D社の出資割合である約0.78%(注1)分を除く)は、同契約に基づいて算出された年額成功報酬1,512,982.40円を12月で除した126,081.86円である。よって、算定対象取引が行われた日の属する月に被審人に対価として支払われ、又は支払われるべき運用報酬の価額の総額は合計1,176,081.86円となる。

(2)金商法第176条第2項の規定により、上記(1)で計算した額の1万円未満の端数を切り捨て、3,820,000円。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

総務企画局総務課審判手続室

(内線2398、2404)

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