平成30年3月20日
金融庁

株式会社エボラブルアジア株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の決定について

金融庁は、証券取引等監視委員会から(株)エボラブルアジア株式に係る相場操縦の検査結果に基づく課徴金納付命令の勧告新しいウィンドウで開きますを受け、平成30年1月17日に審判手続開始の決定(平成29年度(判)第21号金融商品取引法違反審判事件)を行ったところ、被審人から課徴金に係る金融商品取引法(以下「金商法」といいます。)第178条第1項第14号に掲げる事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書の提出があり、これを受けた審判官から金商法第185条の6の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、下記のとおり決定(PDF:81KB)を行いました。

1 決定の内容

 被審人に対し、次のとおり課徴金を国庫に納付することを命ずる。

  • (1)納付すべき課徴金の額 金1億341万円

  • (2)納付期限 平成30年5月21日

2 課徴金に係る金商法第178条第1項第14号に掲げる事実

被審人アセットデザイン(株)(法人番号5010001078625)(以下「被審人」という。)は、投資運用業及び第二種金融商品取引業を行うことにつき関東財務局長の登録を受けている株式会社であり、英国領ケイマン諸島籍ユニットトラスト型ファンドであるアセットデザイン・コプロス・ファンド(以下「コプロスファンド」という。)の受託会社であるエリアン・トラスティ(ケイマン)・リミテッドとの間で締結したインベストメント・マネジメント契約に基づき、上記ファンドに出資された資産の運用権限を有していたものであるが、被審人の運用担当者において、同社の業務に関し、当時、東京証券取引所マザーズ市場に上場されていた(株)エボラブルアジアの株式につき、同株式の売買を誘引する目的をもって、別表記載のとおり、平成29年2月16日午後2時53分頃から同日午後3時までの間、A証券株式会社を介し、最良売り気配と同値又はその上値に売り注文を大量に発注する方法により、同株式合計1万2500株を売り付けるとともに、同株式合計5万9500株の売付けの委託を行い、もって、被審人及び被審人と特殊の関係にある者におけるコプロスファンドへの出資割合である約4.24パーセント相当については自己の計算において、それ以外については自己以外の者であるコプロスファンドへの出資者の計算において、同株式の売買が繁盛であると誤解させ、かつ、同市場における同株式の相場を変動させるべき一連の売買及び委託をしたものである。

3 課徴金の計算の基礎

別表の違反行為に係る課徴金の額の計算の基礎は以下のとおりである。

(1)  当該違反行為に係る課徴金の額は、金商法第174条の2第1項の規定により、

イ 当該違反行為に係る有価証券の売買対当数量(注1)に係るものについて、自己の計算による当該有価証券の売付け等の価額から、自己の計算による当該有価証券の買付け等の価額を控除した額

ロ 当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等の数量が当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等の数量を超える場合は、当該超える数量に係る有価証券の売付け等の価額から、当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該違反行為に係る有価証券等に係る有価証券の買付け等についての金商法第67条の19又は第130条に規定する最低の価格のうち最も低い価格に当該超える数量を乗じて得た額を控除した額

及び

ハ 違反者が、自己以外の者の計算において、当該違反行為の開始時から当該違反行為の終了後1月を経過するまでの間に違反行為又は有価証券の売付け等若しくは有価証券の買付け等をした場合、算定対象取引(注2)が行われた日の属する月(算定対象取引が2以上の月にわたって行われたものである場合には、これらの月のうち最後の月)について違反者に財産の運用の対価として支払われ、又は支払われるべき金銭その他の財産(以下「運用報酬」という。)の価額(注3)の総額に3を乗じて得た額

を合計し、

ニ 金商法第176条第2項の規定により、前記イないしハの合計額に1万円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てる

ことで算出される。
 

(2)本件では、別表に掲げる事実につき、

イ 売買対当数量(注4)に係る課徴金額 0円

ロ 当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等の数量が当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等の数量を超える場合の、当該超える数量に係る課徴金額 4,184,829.45533816円(注6)

{違反行為期間中における有価証券の売付け等の価額のうち上記ファンドに対する違反者及び違反者の役員等特殊の関係にある者の出資割合相当額(42,462,500円×4.24281172030789%)+違反行為の開始時にその時における価格で当該違反行為に係る有価証券の売付け等を自己の計算においてしたものとみなされる当該違反行為の開始時に所有している当該有価証券の価額(3,395円×110,300株×4.24281172030789%)}

-(2,592円×5,210.17279253809株)

及び

ハ 違反者に対し、運用報酬として支払われるべき金銭に基づく課徴金額99,225,349.2093784円(注7)

を合計(103,410,178.664717円)し、

ニ 1万円未満の端数(178.664717円)を切捨て、103,410,000円となる。

 

(注1)売買対当数量:当該違反行為に係る有価証券の売付け等数量と買付け等数量のうち、いずれか少ない数量をいう。

(注2)算定対象取引とは、金商法第174条の2第1項第2号ニの違反行為又は有価証券の売付け等若しくは有価証券の買付け等のうち違反行為に係る有価証券等に係るもののことを指す(金融商品取引法第六章の二の規定による課徴金に関する内閣府令第1条の16第1項第1号)。

(注3)運用報酬の算定の基礎となる期間(以下「運用報酬算定期間」という。)が1月を超える場合にあっては、当該運用報酬を当該運用報酬算定期間の月数で除す方法、運用報酬算定期間に係る運用実績に基づいて運用報酬が算定されるときには当該算定対象取引が行われた日の属する月の運用実績に基づいて算出する方法その他の合理的な方法により算出することとなる(同条第2項かっこ書き)。

(注4)当該違反行為に係る売買対当数量は、

(ア)自己の計算による有価証券の売付け等の数量が5,210.17279253809株(注5)であり、

(イ)自己の計算による有価証券の買付け等の数量が0株である

ことから、0株となる。

(注5)実際の売付け等の数量12,500株に違反者及び違反者の役員等特殊の関係にある者のコプロスファンドに対する出資割合4.24281172030789パーセントを乗じて得られる530.351465株に、上記の金商法第174条の2第7項及び金融商品取引法施行令第33条の12第1号の規定により、違反行為開始時にその時における価格(3,395円)で当該違反行為に係る有価証券の売付け等を自己の計算においてしたものとみなされる当該違反行為の開始時に売付け等をしている当該有価証券の数量110,300株に同4.24281172030789パーセントを乗じて得られる4,679.821327株を加えた数量。

(注6)当該超える数量に係る有価証券の売付け等の価額から、当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該違反行為に係る有価証券の買付け等についての金商法第67条の19又は第130条に規定する最低の価格(2,592円)に当該超える数量5,210.17279253809株を乗じて得た額を控除した額

(注7)違反者が、受領すべき運用報酬33,075,116.4031261円に3を乗じることで算出される。

お問い合わせ先

総務企画局総務課審判手続室

03-3506-6000(代表)(内線2398、2404)

サイトマップ

ページの先頭に戻る