金融
令和3年3月8日

年度末における事業者に対する金融の円滑化について

 金融機関におかれては、緊急事態宣言下も含め、資金繰り支援と感染拡大防止の両立に着実に取り組んでいただいてきたことに感謝申し上げます。
 3月5日、緊急事態宣言が延長されたところ、新型コロナウイルス感染症の影響が2事業年度目を迎え、これまでの経済活動の抑制等による事業者への影響の長期化が懸念される中、苦境に立たされている様々な事業者を引き続きしっかりと支え、今後の経済の力強い回復に向けて取り組んでいく必要があります。特に、資金需要の高まる年度末に向けては、事業者の資金繰りに重大な支障が生じることのないよう、より一層の金融仲介機能の発揮が期待されます。
 金融機関におかれては、既に大変なご尽力を頂いている中、重ねての要請となり恐縮に存じますが、引き続き、これまでに要請させて頂いた事項に加え、本日の「中小企業等の金融の円滑化に関する意見交換会」における大臣及び副大臣からの要請事項も含めた下記の内容について、貴協会傘下金融機関等に対し、周知徹底を宜しくお願い申し上げます。

(1) 新型コロナウイルス感染症の影響を直接・間接に受けている飲食業者、旅客運送事業者、宿泊事業者、観光・遊興関連施設事業者、小売店、旅行代理店、ライブエンタメ・文化芸術・スポーツ・イベント関連事業者、ブライダル事業者、医療・福祉機関等、及びこうした施設のオーナーや、これらの事業者と取引をしている事業者など、中小企業は勿論のこと、大企業・中堅企業も含め、積極的な資金ニーズの確認や、事業者からの相談への丁寧な対応などをはじめ、きめ細やかな支援を行うこと。

(2) こうした支援に当たっては、直接・間接に新型コロナウイルス感染症の影響により資金繰りが厳しい事業者の状況を十分に勘案し、貸し渋り・貸し剥がしを行わないことは勿論のこと、そのような誤解が生じることのないよう、年度末、更にはそれ以降も含めて、事業者の立場に立った最大限柔軟な資金繰り支援を行うこと。

(3) 年度末を迎えることを踏まえ、事業者の状況やニーズを積極的に確認し、年度末に必要となる資金や補助金等の支給までの間に必要となる資金等も含めた新規融資の積極的な実施など、事業者の実情に応じた最大限柔軟な対応を行うこと。

(4) 既往債務の返済猶予等の条件変更についても、新型コロナウイルス感染症の影響長期化等を踏まえ、事業者ごとの事業・財務状況を十分に確認し、再度の条件変更も含め、事業者の要望に沿った最大限柔軟な対応を徹底すること。

(5) また、融資上限額が拡大された民間金融機関における実質無利子・無担保融資について、申込期限である年度末に向けて、ニーズに応じた最大限積極的な活用を図るほか、既往融資の据置期間多くの事業者が1年以内)や返済期間についても、事業者の先々の状況やニーズを十分に踏まえ、据置期間・返済期間の長期の延長等を積極的に提案するなど、親身かつ丁寧な対応を行うこと。

(6) さらに、条件変更や新規融資を行う場合の債権の区分について、新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前に正常先と認識していた事業者について、感染拡大前と同一の評価とすることを含め、金融庁が、引き続き金融機関の判断を尊重することとしていることを踏まえ、事業者に寄り添った資金繰り支援に努めること。

(7) 日本政策投資銀行、商工組合中央金庫、日本政策金融公庫等による資本性劣後ローン等に関し、幅広い業種・規模の事業者に本制度が理解され、申請に当たって必要となる事業計画の策定が円滑に進むよう、官民金融機関で連携し、事業者への積極的な周知や、必要性が高いと思われる事業者への積極的な提案、また、本業支援の一環としての事業計画の策定支援などをより一層促進すること。

(8) 事業再構築補助金の公募が今月開始予定であることも踏まえ、必要に応じて、同補助金も活用しながら、今後の経営改善等に向けて事業者と十分に対話を行い、必要に応じ、地域経済活性化支援機構の復興支援ファンド等や、中小企業再生支援協議会、事業引継ぎ支援センター等の外部機関も活用・連携して、事業者の経営改善、事業再生、事業転換支援等を力強く進めること。また、同補助金をはじめとする様々な補助金・交付金・税制措置等について、事業者への積極的な周知・浸透を図ること。さらに、企業決算・監査業務が円滑に進むよう、日本公認会計士協会から、監査人に対して、経営者と適時かつ適切なコミュニケーションを図ることを求めていることも含め、新型コロナウイルス感染症に関連して関係団体より発出された文書1について、上場会社等である事業者に対し適切に周知を行うこと。

(9) 上記(1)から(8)までの取組みについて、営業現場の第一線まで浸透させ、組織全体として、積極的に取り組むこと。また、顧客から金融機関等の相談窓口等に寄せられる相談・苦情等を迅速に把握・分析し、顧客対応等に課題が認められる場合には直ちに改善を図ること。


1 以下の事項等に留意すること。

・企業会計基準委員会「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」(2020年4月10日公表、2021年2月10日更新)において、会計上の見積りについて、企業が置いた一定の仮定が明らかに不合理である場合を除き、会計上の「誤謬」にあたらないとされていること

・日本公認会計士協会「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その7)」(2021年3月2日公表)において、監査人が、過度に悲観的な予測を行い、経営者の行った会計上の見積りを重要な虚偽表示と判断することは適切ではないとされていること

 また、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査等への対応に係る連絡協議会において、関係団体より発出された文書を共有し、公表している。(次のURL参照) https://www.fsa.go.jp/singi/coronakansakyougikai/index.html

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金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

監督局総務課監督調査室(内線3706・3862)

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