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令和8年8月5日

金融庁

「サステナブルファイナンス有識者会議(第30回)意見要旨」の公表について

金融庁では令和8年6月23日、サステナブルファイナンス有識者会議(第30回)を開催し、各施策の進捗状況や国内外の情勢等を踏まえた、サステナブルファイナンスの推進の意義等に関して議論を行い、今般、「サステナブルファイナンス有識者会議(第30回)意見要旨」として取りまとめましたので、公表します。

(別紙)
サステナブルファイナンス有識者会議(第30回)意見要旨(PDF:2.1MB)

1.現下の情勢におけるサステナブルファイナンスの意義等

  •  マクロ的な情勢として、地政学的リスクの上昇、予見不能な世界情勢、インフレリスク、サプライチェーンの途絶、エネルギー・食糧等の脆弱性、市場のボラティリティ上昇、AI導入による社会構造の変化、人口減少、地方の過疎化の進展等、多くの社会課題や不確定要因を抱える中、真に持続可能な社会を実現するために、短期的な収益志向ではない、官民共同でのサステナブルファイナンスの拡充が一層必要で、欧米の動向はその重要性に影響を与えるものではない。
  •  気候変動ファイナンスは、アセットクラスとして既に確立しているので後退することはあり得ず、投資家の投資意欲も相当程度あるとの感触。こうした中、サステナブルファイナンスのテーマが多様化している。ネイチャー、格差の縮小、防衛・安全保障に対する考え方へと関心が広がっている。
  •  サステナブルファイナンスの射程は広がっているものの、気候変動対応の重要性は不変。日本が政府の強力な旗振りの下でぶれずに官民一体となって取組を推進していくということが、日本国内のみならず国際的な課題解決においても重要。
  •  世界的に課題が山積している時代だからこそ、民間企業が自らリードしていこうとする機運も高まっており、そうした動きを後押しするサステナブルファイナンスの役割は重要。
  •  地政学リスクやエネルギー安全保障、AIの電力需要の高まり等で、GHG排出量を中長期的に削減する軽減施策は容易には進まない状況になってきているため、適応施策に資するようなサステナブルファイナンスの重要性が一層高まっている。
  •  自然資本、ネイチャーへの投資が広がってきている。TNFDのアーリーアダプター数は日本が最多であり、この分野の投資は今後も拡大するものと考える。

2.足元の取組状況を踏まえた今後の課題

市場関係者に対する期待/人材育成

  •  サステナブルファイナンスの更なる推進に向けて、幅広いステークホルダーへの効果的な発信を続けるとともに、市場拡大に向けた具体的手法についての議論を深めることが極めて重要。
  •  システムレベルの課題に対しては、インベストメントチェーン全体で取り組む必要があり、特に機関投資家、アセットオーナーの役割が重要。アセットオーナーから運用会社へのインセンティブの提供なども含め、インパクト投資の推進に向けた取組が重要。
  •  機関投資家にとっては、自身の行ったサステナブルファイナンスが世の中をどのように良くすることに繋がっているのかについての評価が進み、その内容が最終受益者に伝わることが重要であり、それが更なる投資の後押しに繋がる。
  •  市場で大きな資本を動かすにはリターンが重要。サステナブルファイナンス市場は過去5、6年のうちに急拡大を遂げたが、現状、ESGの専門家が投資の意思決定を行っていない(運用担当者ではない)といったねじれがある。サステナブルファイナンスの枠組みは急激にできたので、その定着のため、人材の育成が一層重要。
  •  銀行においては、サステナビリティに関する顧客との継続的な対話を通じて、顧客の事業やビジネス実態の把握に繋げることが重要。関連情報を整理して現場がサステナビリティの知見を使いやすくすることに加え、サステナビリティに関する課題について行員が自分事として捉えていく機会を広げていくことが必要。
  •  地域金融機関において、中小企業のサステナビリティ向上に資する対話が可能となるよう、様々なインフラや人材育成の支援を具体化することが重要。

サステナビリティ経営/コーポレートガバナンス

  •  サステナビリティが経営層やサステナビリティ推進部門に留まらず全社的に浸透していくには、リスクへの対応、つまりレジリエンスの概念を取り込むことが有用である。
  •  サステナビリティと事業戦略に距離があり、サステナビリティをリターンに繋げるという意味ではまだまだチャレンジングであるところ、特に経営陣(取締役会)の理解を更に促進していく必要がある。

システムレベルの変化への対応

  •  気候変動、ネイチャーポジティブ、経済的な格差の拡大、人口減少に伴う地域の衰退、AIの発展に伴う働き方の変化など、様々な課題が相互にシステミックに結びついて、社会と金融市場双方のリスクになっている。短期的な企業価値の向上ではなく、市場全体の底上げ(ベータを高める)を図るシステムレベル投資の考え方を既存のファイナンス理論や金融教育に組み込むことが重要。
  •  世界的な異常気象を背景に、適応施策の推進がより切実な課題として認識されるようになってきている。日本でも、適応も含め、レジリエンスに対するファイナンスの議論を進めることが重要。
  •  AIの導入が社会構造を大きく変えようとしている。大量の電力消費や人間の意思決定からの疎外など、サステナビリティの文脈の中でどう位置付けるかは課題。
  •  AIを含むデジタルアセットとサステナブルファイナンスの重複領域に関する議論の進展が世界的に見られる。日本でもこの領域に焦点を当てた新たな取組を行うべき。

その他

  •  電源のグリーン化を優先することにより電力・製造コストが上がり、エネルギー多消費産業の競争力が落ちて寧ろグリーン投資の阻害要因になるなど、様々な政策が矛盾する方向に進むことによる悪影響が存在。政策の優先順位を明確化し、産業の競争力を一定維持し得る環境を整えたうえで、そこにサステナブルファイナンスを統合的に組み込んでいくことが重要。
  •  足元、社債市場の活性化が一つ大きなテーマになっており、これはSDGs債・ESG債の量的な拡大とも関連するものであることから、本テーマについても注目してもらいたい。
(参考)
「サステナブルファイナンス有識者会議」メンバー等名簿(PDF:1.2MB)

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お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

総合政策局総合政策課サステナブルファイナンス推進室(内線 2770、5404、3515)

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