外国為替証拠金取引について
令和2年2月21日更新
注意すべきポイント
■ 外国為替証拠金取引は、金融商品取引法の登録を受けた業者でなければ行うことができません。無登録業者からの勧誘にご注意ください。
■ 登録を受けた業者と取引を行う場合でも、その業者の信用力を慎重に判断し、信用できる業者と取引を行ってください。
■ 外国為替証拠金取引は、比較的少額で取引できる反面、差し入れた証拠金以上の多額の損失が生じるおそれのある非常にリスクの高い商品です。取引の仕組みと取引に伴うリスクを十分に理解したうえで、自らの責任で適切な投資判断を行ってください。
I 外国為替証拠金取引とは
外国為替証拠金取引は、証拠金を差し入れて、日本円と米ドルなど、2つの国の通貨の為替相場を予測して売買を行う金融商品です。外国為替を英語で“Foreign Exchange”と表すことに由来して、外国為替証拠金取引は、通称、「FX」などと言われます。(以下、外国為替証拠金取引を「FX取引」といいます。)
FX取引は、少額の資金で取引が始められ、投資金額に比べて大きな額の取引を行うことができます。資金効率が良い取引である反面、証拠金以上の損失が生じるおそれがあり、元本も利益も保証されない取引です。
投資者の皆様がFX取引を行う方法には、金融商品取引業者を通じて金融商品取引所に上場されているFX取引を行うもの(以下、「取引所FX取引」といいます。)と、FX取引を取り扱う金融商品取引業者(以下、「店頭FX業者」といいます。)と相対で取引を行うもの(以下、「店頭FX取引」といいます。)があります。
取引所FX取引は、東京金融取引所に上場され、取引が行われています。
II 取引に対する注意
FX取引は、金融商品取引法上のデリバティブ取引に該当します。日本に居住する投資者に対してFX取引を業として行うには、金融商品取引業の登録が必要です。たとえ海外で金融商品取引のライセンスを持つ業者であっても、日本で登録を受けずに日本に居住する者に対して金融商品取引を業として行うことは禁止されています。
無登録業者と取引した場合は、トラブルが生じても無登録業者への追及は極めて困難です。取引を始める前に、取引の相手が金融商品取引法の登録を受けている業者であることを必ず確認してください。
III 信用できる金融商品取引業者と取引を行いましょう
金融商品取引法の登録を受けた業者と取引を行う場合であっても、その業者の信用力などを慎重に判断することが必要です。
金融商品取引業者は、業務及び財産の状況に関する事項を記載した説明書類をウェブサイト又は営業所に備え置く方法により開示しています。また、店頭FX業者は、店頭FX取引に関するリスク情報(注)をウェブサイトで公表していますので、業者を選定する際の参考にしてください。
- 未カバー率:投資者の買い建玉と売り建玉の差額のうち、カバー取引(店頭FX業者が、投資者との取引から生じる相場変動リスクを軽減するために他の金融機関を相手方に行う取引)を行っていない割合です。数値が高いほど、業者は相場変動リスクが高くなります。
- カバー取引の状況:カバー取引相手の信用格付に応じた建玉の割合です。業者がどの程度信用力のある金融機関とカバー取引を行っているかを表します。一般的には取引相手の信用格付が低いほど、取引相手が破綻し、業者がその影響を受けるおそれが高くなります。
- 平均証拠金率:証拠金預託額に対する建玉残高の割合です。数値が低いほど、業者は投資者の損失額を回収できなくなるリスクが高くなります。
店頭FX取引は相対取引であることから、店頭FX業者は、金融商品取引法等に基づき、公正な取引を行うために、店頭FX取引に関するルールを定め、ルールに従って適切に取引を行うことが求められています。しかし、悪質な業者と取引した場合は、約定価格が投資者に不利になるように意図的に調整されるなど、不利益を被るおそれがあります。
業者の情報をできる限り収集・確認し、業者の信用力を慎重に見極めるとともに、取引の仕組みや内容を十分理解し、取引に伴うリスクを認識したうえで、自己の資力、取引経験及び取引目的等に照らして適切であると判断する場合にのみ、自己の責任において取引を行ってください。
IV FX取引に伴うリスク
FX取引には、次のようなリスクがあり、合理的な投資判断を行うためには、相当程度の専門知識が必要です。信用できる業者と取引を行う場合であっても、取引には高いリスクが伴いますので、ご注意ください。
- ○ 相場変動リスク
外国為替相場は、各国の政策金利や景気動向等と密接に関連しており、経済指標、金融政策、政治情勢、要人の発言などの影響を受けて変動します。FX取引は、為替相場が想定と逆の方向に変動した場合は損失が生じるおそれがあります。相場が急激に変動したときは、証拠金の額を上回る損失が生じることがあります。
- ○ 金利変動リスク
FX取引は、取引対象とする2つの通貨の金利差調整額(スワップポイント)の受払いが日々発生しますが、スワップポイントは、各国の短期金利に応じて日々変動するため、金利の動向によっては、期待していたようなスワップポイントを受け取れない場合があります。場合によっては、スワップポイントが受取りから支払いに転じることがあります。
- ○ 流動性リスク
FX取引は、外国為替相場が急変して取引の流動性が低下した場合には、スプレッドが広くなって意図した取引ができなくなったり、建玉の決済や新たな取引が困難になるおそれがあります。
また、流動性の低い通貨の取引を行う際には、希望する価格で取引ができないことがあります。取引対象通貨を発行する国の経済状況などによっては、為替取引が制限され、FX取引がその影響を受けるおそれもありますので、取引対象とする通貨の選定には十分な注意を払う必要があります。
- ○ 信用リスク
FX取引は、業者の財務状況が悪化した場合には、取引ができなくなるなど、投資者に不利益が生じるおそれがあります。
- ○ システムリスク
金融商品取引所又は金融商品取引業者の取引システムに障害が発生したときは、取引が遅延したり、取引が停止されるおそれがあります。また、オンライン取引を行う場合に、投資者のネットワーク・システムに障害が発生したときは、取引ができないなどの支障が生じるおそれがあります。
V 投資者保護のための主なルール
このように、FX取引は高いリスクを伴うことから、投資者保護のために、主に次のようなルールが設けられています。
- ○ 証拠金制度(レバレッジ制限)
個人が店頭FX取引を行う際は、通貨ペアの種類を問わず、取引金額に対して4%以上の証拠金を差し入れ、維持する必要があります(レバレッジに換算すると25倍以下となります。)。
法人が店頭FX取引を行う際は、通貨ペア毎に、過去の相場をもとに算出される額以上の証拠金を差し入れる必要があります。
なお、取引所FX取引については、金融商品取引所が取引所規則に基づいて証拠金基準額を算出しています。
- ○ ロスカットルール
金融商品取引業者は、FX取引を取り扱う際は、投資者の損失の拡大を防止するためのロスカットルールを定めます。
為替相場が投資者の想定と逆方向に変動して建玉に評価損が生じ、評価損の額があらかじめ業者と取り決めた水準に達した場合は、業者が投資者の建玉を強制的に決済して取引を終了させます。なお、相場が急激に変動したときは、ロスカットルールが適用されても、証拠金の額を上回る損失が生じることがあります。
- ○ 証拠金の管理方法
金融商品取引業者は、万が一業者が破綻した場合でも顧客の資産を保護するために、信託銀行等への金銭信託により、顧客から預かった資産を自己の資産と明確に区分して管理することが求められています。
取引所FX取引にかかる証拠金は、金融商品取引業者を通じて、金融商品取引所に直接預託され、金融商品取引所において管理されます。
- ○ 勧誘規制
FX取引では、次のような勧誘行為は禁止されています。
- 勧誘の要請をしていない顧客に対し、訪問又は電話をかけて店頭FX取引を勧誘すること
- 取引所FX取引又は店頭FX取引を勧誘する前に、投資者に勧誘を受ける意思の有無を確認せずに勧誘すること
- 取引所FX取引又は店頭FX取引の勧誘を受けた投資者が、契約しない旨の意思や引き続き勧誘を受けることを希望しない旨の意思を示したにもかかわらず、勧誘を継続すること
- ○ 両建て取引の禁止
売建玉と買建玉を同時に保有する両建て取引は、取引コストを二重に負担することやスワップポイントが相殺されることなど、経済合理性を欠くおそれがあることから、金融商品取引業者が両建てを勧誘することは禁止されています。
VI 相談例
VII FX取引に関するご相談や情報提供について
FX取引に関する一般的なご意見、ご質問、情報提供については、金融庁金融サービス利用者相談室で受け付けています。個別のトラブルについて、あっせん、仲介、調停を行うことはできませんので予めご了承ください。
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FX取引などを取り扱う金融商品取引業者の自主規制機関として、一般社団法人金融先物取引業協会が設立されています。協会では、加入する業者との間で生じたトラブルに関するご相談に応じているほか、争いを解決する手段としてあっせん制度を設けています。(協会に加入する業者との間のあっせん業務については、特定非営利活動法人「証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)」に委託しています)。
このほか、国民生活センターや、住所地を管轄する消費生活センターでも相談を受け付けています。
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