平成20年4月25日
金融庁

「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等
(期間:平成20年1月1日~3月31日)

1.はじめに

  • (1)金融庁では、金融サービス利用者の利便性の向上を図るとともに、寄せられた情報を金融行政に有効活用するため、金融サービス等に関する利用者からの電話・ホームページ・ファックス等を通じた質問・相談・意見等に一元的に対応する金融サービス利用者相談室(以下「相談室」)を平成17年7月19日に開設しました。

  • (2)利用者からの相談等については、専門の相談員が電話で対応しています。相談員からは、問題点を整理するためのアドバイスを行ったり、業界団体が開設している紛争処理機関等を紹介しています。なお、寄せられた相談等の内容や処理状況等については、金融庁内の関係部局に回付し、検査・監督等の参考として活用しています。

  • (3)相談室に寄せられた利用者からの相談件数や主な相談事例等のポイント等については、四半期毎に公表しています。平成20年1月1日から3月31日までの間(以下「今期」)における相談等の受付状況及び特徴等は、以下のとおりです。

2.受付状況

平成20年1月1日から3月31日までの間に、11,676件の相談等(詳細については、PDF別紙1(PDF:74K)をご参照ください。)が寄せられています。一日当たりの受付件数は平均199件となっており、19年10月1日から12月31日までの間(以下「前期」)の実績(187件)と比べやや増加しています。

相談等の内訳は、以下のとおりです。

  • (1)相談等の類型

    質問・相談として寄せられたものが9,128件(78%)、意見・要望として寄せられたものが1,748件(15%)、情報提供として寄せられたものが754件(6%)、その他が46件(0%)となっています。

  • (2)相談等の方法

    電話による相談等が9,692件(83%)、ホームページによる相談等が1,079件(9%)、ファックスによる相談等が188件(2%)、手紙による相談等が441件(4%)、その他が276件(2%)となっています。

  • (3)相談等の分野

    預金・融資等に関するものが2,881件(25%)、保険商品等に関するものが3,424件(29%)、投資商品等に関するものが3,550件(30%)、貸金等に関するものが1,556件(13%)、金融行政一般・その他が265件(2%)となっています。

3.分野別の特徴

  • (1)預金・融資等に関する相談等の受付件数2,881件のうち、一般的な照会・質問に関するものが762件(26%)、個別取引・契約の結果に関するものが677件(23%)等となっています。

    業態別では、銀行に関するものが1,909件(66%)、信用金庫・信用組合等の協同組織金融機関に関するものが414件(14%)、その他558件(19%)となっています。

    業務別では、預金業務に関するものが953件(33%)、融資業務に関するものが793件(28%)、その他注1が1,135件(39%)となっています。

    今期の受付件数は、一般的な照会・質問に関する相談等が増加(513件→762件)したこと等から、前期に比べてやや増加(2,713件→2,881件)しています。

    注1:その他では、為替についての相談等が寄せられています。

  • (2)保険商品等に関する相談等の受付件数3,424件のうち、個別取引・契約における顧客説明及び個別取引・契約の結果に関するものが合計1,761件(51%)(うち保険金の支払に関するもの1,223件)、金融機関の態勢・各種事務手続に関するものが631件(18%)(うち保険金請求時等における保険会社の対応に関するもの373件)等となっています。

    業態別では、損害保険会社に関するものが1,660件(48%)、生命保険会社に関するものが975件(28%)、その他789件(23%)となっています。

    今期の受付件数は、保険金の支払に関する相談等が減少(1,517件→1,223件)したこと等から、前期に比べて減少(3,833件→3,424件)しています。

  • (3)投資商品等に関する相談等の受付件数3,550件のうち、一般的な照会・質問に関するものが1,600件(45%)、行政に対する要望等に関するものが529件(15%)等となっています。

    業態別では、証券会社(第一種業)に関するものが560件(16%)、市場に関するものが429件(12%)、登録詐称・無登録業者に関するものが429件(12%)、その他注2が2,132件(60%)となっています。

    今期の受付件数は、一般的な照会・質問に関する相談等が増加(1,281件→1,600件)したこと等から、前期に比べて増加(3,158件→3,550件)しています。

    注2:その他では、EDINETや個別法人に関する相談等が寄せられています。

  • (4)貸金等に関する相談等の受付件数1,556件のうち、一般的な照会・質問に関するものが626件(40%)、個別取引・契約の結果に関するものが301件(19%)、不適正な行為に関するものが260件(17%)等となっています。

    今期の受付件数は、不適正な行為に関する相談等が減少(368件→260件)したこと等から、前期に比べてやや減少(1,677件→1,556件)しています。

  • (5)金融行政一般・その他に対する意見・要望等の受付件数265件のうち、一般的な照会・質問に関するものが60件(23%)、行政に対する要望等に関するものが34件(13%)等となっています。

  • (6)貸し渋り・貸し剥がしに関する情報提供は、31件寄せられています。(「貸し渋り・貸し剥がしに関する情報の受付・活用状況について」は、PDF別紙2(PDF:137K)をご参照ください。)

  • (7)預金口座の不正利用に関する情報提供は、88件寄せられています。(金融庁及び全国の財務局等より金融機関及び警察当局への情報提供については、同日公表の「預金口座の不正利用に係る情報提供件数等について」をご参照ください。)

4.利用者から寄せられた相談等の活用状況

利用者の皆様から寄せられた相談等は、利用者全体の保護や利便性向上の観点から検査・監督上の参考として活用しています。

20年1月1日から3月31日までに受け付けた情報提供のうち、以下のものなどについて、金融機関に対する検査における検証や監督におけるヒアリング等、金融行政を行う上での貴重な情報として活用しています。

  • (1)預金取扱金融機関によるリスク性商品等の販売時における顧客への説明態勢及び広告等の不適正な表示に関するもの

  • (2)預金取扱金融機関における本人確認や説明を求めた際の不適切な顧客対応に関するもの

  • (3)預金取扱金融機関の個人情報の取扱いに関するもの

  • (4)いわゆる貸し渋り・貸し剥がしに関するもの

  • (5)保険会社の不払い等(保険金等の不適切な不払い、支払漏れ等)に関するもの

  • (6)保険募集人等の不適正な行為(重要事項の不十分な説明、手続きに関する不適切な案内・対応等)に関するもの

  • (7)いわゆる集団投資スキームを利用した法令違反のおそれのある行為に関するもの

  • (8)証券会社とのインターネット経由での取引に関するもの

  • (9)貸金業者による法令違反のおそれのある行為及び不適切な業務運営に関するもの

また、預金口座の不正利用に関する情報については、金融機関及び警察当局へ204口座の情報提供を行っています。

さらに、19年10月1日から12月31日までの間における情報の活用状況は以下のとおりです。

  • (1)監督において行った176金融機関等に対するヒアリング等に際して、相談室に寄せられた情報を参考としています。

  • (2)金融庁が着手した25金融機関の検査等に際して、相談室に寄せられた情報を参考としています。

5.利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

寄せられた相談等のうち利用者の皆様に注意喚起する必要がある事例等について、「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」として周知しております。

今回、新たに追加する「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」は、以下のとおりです。

  • (1)預金・融資等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

    • 融資に関する相談等

      • 【相談事例等】

        • 金融機関に追加融資を申し込んだところ、「金融庁の検査で問題になるので融資できない」と断られました。
      • 【アドバイス等】

        • 金融庁は金融機関の業務の健全性及び適切性の確保のため、金融検査を行っていますが、取引先企業に貸出しを行うかどうかの判断は、金融機関が自らの経営方針によって決定すべきことであり、金融庁は「この企業には貸出しを行ってはいけない」というように、個別の取引について判断や働きかけを行うことはありません。
        • 融資の申込みに際しては、金融機関から十分に説明を受け、また、借り手側においても事業への意欲をアピールするなど、金融機関とよく話し合ってください。
        • なお、中小企業の資金調達に役立つ金融検査の知識として「PDF中小企業の資金調達に役立つ金融検査の知識」を掲載していますので、参考にしてください。
  • (2)保険商品等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

    • 保険内容の顧客説明に関する相談等

      • 【相談事例等(満期通知)】

        • 自動車保険を契約していましたが、知らない間に満期が過ぎ、無保険状態になってしまいました。これに関し、保険会社から事前の満期通知がありませんでした。保険会社は、契約者に対して満期通知をする義務があるのではないでしょうか。
      • 【アドバイス等】

        • 保険業法等法令上においては、保険会社に対し保険契約者等への満期通知を義務付けているものではありません。満期管理に関しては、保険会社任せとせず、契約者ご自身の問題として管理していただくことが重要です。
  • (3)投資商品等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

    • 金融商品の購入に関する相談等

      • 【相談事例等】

        • 金融機関で、株式、債権、投資信託等の金融商品を購入しようとすると、財産の状況を詳しく聞かれたり、長時間の説明を聞かなくてはいけないと聞きましたが、本当ですか。
      • 【アドバイス等】

        • 金融機関は、株式、債券、投資信託等の金融商品を勧誘する場合には、顧客の知識、経験、財産の状況等、顧客の属性を総合的に考慮してそれぞれの顧客に見合った勧誘をする必要があります(適合性の原則)。

          また、取引契約を締結する場合には、あらかじめ顧客の投資判断に必要な情報を記載した書面を交付し、顧客に理解される為に必要な方法・程度による説明をしなければなりません。

        • その過程で、投資経験や財産の状況等を聞かれたり、必要な説明を受けることがありますが、これは、顧客の属性や状況に応じたきめ細かで柔軟な勧誘等が行われる上で、一般的に意味のあることと考えられます。
        • しかし、例えば取引の都度、顧客の財産状況を把握しなければ一切の金融商品を販売しないなど、金融機関の対応が適合性の原則の趣旨等から疑問に思われる場合は、「金融商品取引法の疑問に答えます」を参考にしていただき、それでもなお金融機関の対応に疑義がある場合には、金融サービス利用者相談室にお問い合わせください。
    • 投資信託の購入に関する相談等

      • 【相談事例等】

        • 銀行で投資信託を購入しようと思いますが、注意点があれば教えてください。
      • 【アドバイス等】

        • 投資信託は多種多様な商品がありますが、国内外の株式、債券、不動産などに投資をしていますので、常に価格が変動しています。したがって、預金とは違い、投資した金額より受け取る金額が少なくなる元本割れを発生させるリスクがあることを十分理解してから、購入を検討してください。

          また、預金とは違い、購入時や売却時に手数料が掛かることが一般的です。

          なお、投資信託の中には、元本確保型と言われている商品もありますが、あくまで元本を確保するような運用を志向しているだけで、決して元本保証をしている商品ではありませんので注意が必要です。

        • 投資信託をはじめとする投資商品は、取引によって損失を被ったとしても、投資家自らの判断でその取引を行った限りにおいてはその損失を自ら負担することになりますので、商品の内容を十分理解した上で投資判断をしていただくことが重要と考えられます。
  • (4)貸金業に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

    • 総量規制に関する相談等

      • 【相談事例等】

        • 貸金業法が施行されて、借入限度額の審査が厳しくなると聞きましたが、本当ですか。
      • 【アドバイス等】

        • 借り手の年収等を基準にその3分の1を超える貸付けを原則禁止する、いわゆる総量規制のことかと思われますが、これは、改正貸金業法の本体施行日(平成19年12月19日)から2年半以内に実施されることになっており、まだ実施されていません。
        • しかし現状でも、いわゆる過剰貸付けは法律で禁止されており、貸金業者は、顧客の資力等、借入れの状況、返済計画等について調査し、返済能力を超えると認められる貸付けの契約を締結してはならないこととなっています。

          貸金業者の適切な対応が求められますが、借り手の方も、無理なく返済できるかどうか借入前に十分検討する必要があります。

今回、新たに追加するものを加えた以下の項目について、「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」を公表しておりますので、こちらもご参照ください。


* その他、金融庁のホームページ(「一般のみなさんへ」)では、金融サービスを利用する皆様にご注意いただきたい情報を掲載しております。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局政策課金融サービス利用者相談室(内線9541)
(別紙2)
総務企画局政策課(内線3168)
検査局総務課(内線2530)
監督局総務課(内線3314)

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