平成21年4月30日
金融庁

「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等
(期間:平成21年1月1日~3月31日)

【今期の特徴】

  • 相談等の受付件数は12,445件となり、相談室開設(平成17年7月)以来最高だった前期に比べて減少

  • 預金・融資等に関する相談等は前期に比べてやや減少しているが、個別取引など融資業務に関するものが増加(3.(1))

  • 投資商品等に関する相談等は前期に比べて大幅に減少しているが、未公開株に関するものが増加(3.(3)、5.(3))

1. はじめに

  • (1)金融庁では、金融サービス利用者の利便性の向上を図るとともに、寄せられた情報を金融行政に有効活用するため、金融サービス等に関する利用者からの電話・ウェブサイト・ファックス等を通じた質問・相談・意見等に一元的に対応する金融サービス利用者相談室(以下「相談室」)を開設しています。

  • (2)利用者からの相談等については、専門の相談員が電話で対応しています。相談員からは、問題点を整理するためのアドバイスを行ったり、業界団体が開設している紛争処理機関等を紹介しています。なお、寄せられた相談等の内容や処理状況等については、金融庁内の関係部局に回付し、検査・監督等の参考として活用しています。

  • (3)相談室に寄せられた利用者からの相談件数や主な相談事例等のポイント等については、四半期毎に公表しています。平成21年1月1日から3月31日までの間(以下「今期」)における相談等の受付状況及び特徴等は、以下のとおりです。なお、今回の公表分とは別に、金融円滑化「大臣目安箱」情報として受け付け、大臣に直接届けられたものがあります。

2. 受付状況

平成21年1月1日から3月31日までの間に、12,445件の相談等(詳細については、PDF別紙1(PDF:23K)をご参照ください。)が寄せられています。1日当たりの受付件数は平均211件となっており、20年10月1日から12月31日までの間(以下「前期」)の実績(229件)と比べやや減少しています。

相談等の内訳は、以下のとおりです。

  • (1)相談等の類型

    質問・相談として寄せられたものが10,269件(83%)、意見・要望として寄せられたものが1,521件(12%)、情報提供として寄せられたものが584件(5%)、その他が71件(1%)となっています。

  • (2)相談等の方法

    電話による相談等が10,803件(87%)、ウェブサイトによる相談等が845件(7%)、ファックスによる相談等が192件(2%)、手紙による相談等が360件(3%)、その他が245件(2%)となっています。

  • (3)相談等の分野

    預金・融資等に関するものが4,310件(35%)、保険商品等に関するものが2,847件(23%)、投資商品等に関するものが3,581件(29%)、貸金等に関するものが1,472件(12%)、金融行政一般・その他が235件(2%)となっています。

3. 分野別の特徴

  • (1)預金・融資等に関する相談等の受付件数4,310件のうち、個別取引・契約の結果に関するものが1,720件(40%)、一般的な照会・質問に関するものが1,033件(24%)等となっています。

    業態別では、銀行に関するものが2,577件(60%)、信用金庫・信用組合等の協同組織金融機関に関するものが518件(12%)、その他1,215件(28%)となっています。

    業務別では、預金業務に関するものが1,108件(26%)、融資業務に関するものが2,143件(50%)、その他注1が1,059件(25%)となっており、融資業務に関するものは前期に比べて増加(1,934件→2,143件)しています。

    今期の受付件数は、一般的な照会・質問に関する相談等が減少(1,315件→1,033件)したこと等から、前期に比べてやや減少(4,612件→4,310件)しています。

    注1:その他では、為替についての相談等が寄せられています。

  • (2)保険商品等に関する相談等の受付件数2,847件のうち、個別取引・契約における顧客説明及び個別取引・契約の結果に関するものが合計1,457件(51%)(うち保険金の支払に関するもの1,079件)、金融機関の態勢・各種事務手続に関するものが451件(16%)(うち保険金請求時等における保険会社の対応に関するもの272件)等となっています。

    業態別では、損害保険会社に関するものが1,370件(48%)、生命保険会社に関するものが844件(30%)、その他633件(22%)となっています。

    今期の受付件数は、保険金の支払に関する相談等が減少(1,193件→1,079件)したこと等から、前期に比べてやや減少(3,077件→2,847件)しています。

  • (3)投資商品等に関する相談等の受付件数3,581件のうち、一般的な照会・質問に関するものが1,527件(43%)、行政に対する要望等に関するものが709件(20%)等となっています。

    業態別では、証券会社(第一種業)に関するものが752件(21%)、市場に関するものが405件(11%)、個別法人・団体に関するものが383件(11%)、その他注2が2,041件(57%)となっています。

    商品別では、未公開株に関するものが381件(11%)、上場株式に関するものが263件(7%)、投資信託に関するものが215件(6%)等となっており、未公開株に関するものは前期に比べて増加(311件→381件)しています。

    今期の受付件数は、行政に対する要望等に関する相談等が減少(1,417件→709件)したこと等から、前期に比べて大幅に減少(5,219件→3,581件)しています。

    注2:その他では、無登録業者や外国為替証拠金取引業者(第一種業)に関する相談等が寄せられています。

  • (4)貸金等に関する相談等の受付件数1,472件のうち、一般的な照会・質問に関するものが710件(48%)、個別取引・契約の結果に関するものが379件(26%)、不適正な行為に関するものが105件(7%)等となっています。

    今期の受付件数は、個別取引・契約の結果に関する相談等が減少(692件→379件)したこと等から、前期に比べて減少(1,909件→1,472件)しています。

  • (5)金融行政一般・その他に対する意見・要望等の受付件数235件のうち、一般的な照会・質問に関するものが76件(32%)、行政に対する要望等に関するものが41件(17%)等となっています。

  • (6)預金口座の不正利用に関する情報提供は、13件寄せられています。(金融庁及び全国の財務局等より金融機関及び警察当局への情報提供については、同日公表の「預金口座の不正利用に係る情報提供件数等について」をご参照ください。)

  • (7)貸し渋り・貸し剥がしに関する情報提供は、160件寄せられています。(「貸し渋り・貸し剥がしに関する情報の受付・活用状況について」は、PDF別紙2(PDF:25K)をご参照ください。)

  • (8)金融円滑化ホットラインに寄せられた金融の円滑化に関する情報提供は、142件となっています。(「金融円滑化ホットラインに寄せられた情報の受付・活用状況について」は、PDF別紙3(PDF:21K)をご参照ください。)

  • (9)(7)の貸し渋り・貸し剥がしに関する情報及び(8)の金融円滑化ホットラインに寄せられた情報の受付件数の推移(再掲)については、PDF別紙4(PDF:14K)をご参照ください。

4. 利用者から寄せられた相談等の活用状況

利用者の皆様から寄せられた相談等は、利用者全体の保護や利便性向上の観点から検査・監督上の参考として活用しています。

21年1月1日から3月31日までに受け付けた情報提供のうち、以下のものなどについて、金融機関に対する検査における検証や監督におけるヒアリング等、金融行政を行う上での貴重な情報として活用しています。

  • (1)預金取扱金融機関によるリスク性商品等の販売時における顧客への説明態勢及び広告等の不適正な表示に関するもの

  • (2)預金取扱金融機関における本人確認や説明を求めた際の不適切な顧客対応に関するもの

  • (3)預金取扱金融機関が借り手に対する優越的な地位を利用して行った金融商品の販売に関するもの

  • (4)預金取扱金融機関の個人情報の取扱いに関するもの

  • (5)いわゆる貸し渋り・貸し剥がしに関するもの

  • (6)保険会社等の不払い等に関するもの

  • (7)保険募集人等の不適正な行為(重要事項の不十分な説明、手続に関する不適切な案内・対応、不告知の教唆、無断契約等)に関するもの

  • (8)損害保険会社の火災保険の保険料過徴収に関するもの

  • (9)金融商品取引業者によるリスク性商品等の販売時における顧客への説明態勢に関するもの

  • (10)証券会社の高齢者に対する勧誘に関するもの

  • (11)金融商品取引業者の不適正な行為(ホームページを閉鎖し電話に出ない等)に関するもの

  • (12)貸金業者による法令違反のおそれのある行為(取立行為規制違反、取引履歴の不当な開示拒否等)に関するもの

  • (13)貸金業者による顧客への不適切な説明に関するもの

また、預金口座の不正利用に関する情報については、金融機関及び警察当局へ14口座の情報提供を行っています。

さらに、20年10月1日から12月31日までの間における情報の活用状況は以下のとおりです。

  • (1)監督において行った326金融機関等に対するヒアリング等に際して、相談室に寄せられた情報を参考としています。

  • (2)金融庁が着手した16金融機関の検査等に際して、相談室に寄せられた情報を参考としています。

5. 利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

寄せられた相談等のうち利用者の皆様に注意喚起する必要がある事例等について、「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」として周知しています。

今回、新たに追加する「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」は、以下のとおりです。

  • (1)預金・融資等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

    • 本人確認に関する相談等

      • 【相談事例等】

        • 子供の入学金の振込みを行いたいのですが、本人確認はどのようにされるのでしょうか。
      • 【アドバイス等】

        • マネー・ローンダリング、テロ資金対策のための国際的な要請を受けて、平成19年1月4日以降、10万円を超える現金送金などを行う際に、金融機関に対し送金人の本人確認等を義務付ける、本人確認法施行令、本人確認法施行規則の改正が行われました(平成18年9月22日公布。平成20年3月1日以降は、犯罪収益移転防止法に基づきます)。
        • 入学志願者である振込名義人に代わって保護者等が振込みの手続を行う場合には、入学金等の振込みのために自己の氏名と異なる名義を用いることを金融機関等の窓口において申し出ることにより、当該保護者の本人確認書類のみを提示すればよいこととなっています。
        • ただし、一般的な入学金の納付時期以外の期間においては、原則として、振込名義人と代理人の双方の本人確認書類の提示が必要なことにご留意ください。
  • (2)保険商品等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

    • 保険契約に関する相談等

      • 【相談事例等(クーリング・オフ制度)】

        • 保険契約にもクーリング・オフの適用はあるのでしょうか。
      • 【アドバイス等】

        • 保険の申込みをした方又は保険契約者は、保険業法第309条第1項の規定により、「保険契約の申込みの撤回等に関する事項を記載した書面を交付された日」または「申込みをした日」とのいずれか遅い日から起算して「8日以内」であれば、適用除外となる場合(保険業法第309条第1項のほか、同法施行令第45条及び同法施行規則第241条の規定に該当するもの)を除き、書面によりその保険契約の申込みの撤回又は解除を行うことができます。
          • (*)適用除外となる場合の主な例としては、「法人契約や事業保険契約」、「保険期間が1年以下の契約」、「法令により加入を義務付けられているもの(自賠責保険など)」、「債務履行の担保のための契約」、「保険会社が指定した医師の診査を成立の条件とする保険契約の申込みをした場合において、当該診査が終了した場合」、「既契約の内容変更の場合」などがあります。

          • (*)一方で、法令ではクーリング・オフの適用対象から除外されているものであっても、保険会社・商品・申込形態によっては、クーリング・オフの対象としている場合があります。また、クーリング・オフの適用期間を延長している場合もあります。

        • 「保険契約の申込みの撤回等に関する事項を記載した書面」は、「保険料充当金領収証」などの他の書面と兼ねているケースがあります。
          なお、現金ではなく口座振込みやクレジットカード払いなどを利用される場合は、申込形態によって、クーリング・オフの起算日が異なってきますので、申込時までに交付される「注意喚起情報」で確認しておく必要があります。
        • クーリング・オフの手続については、一般に、保険会社に書面を郵送することによって申し出ていただく必要があり、書面の発信時にクーリング・オフの効力が生じることになります。書面の必要記載事項は、各会社の「注意喚起情報」や「契約のしおり」等でご確認ください。
  • (3)投資商品等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

    • 未公開株式の取引に関する相談等

      • 【相談事例等(金融庁や財務局等を騙る業者)】

        • 金融庁等から許可を得て未公開株の買取りをしているという業者から連絡があり、高値で買い取るので未公開株を買ってほしいと言われて当該未公開株を購入しましたが、買い取ってもらえません。
        • 金融庁等から委託されて未公開株の被害状況の把握や被害相談を行っているという団体から連絡があり、保有している未公開株を教えてしまいました。
        • 金融庁等の所管法人として未公開株の保有者へ助言を行っているというNPO法人等から連絡があり、現在保有している未公開株は有望なので買い増すよう助言され、買い増してしまいました。
        • 金融庁等からの指示を受けて未公開株の購入代金を取り返しているという団体から連絡があり、購入代金を取り返すためには、当該団体から別の未公開株や投資ファンドを購入する必要があると言われました。
        • 金融庁等から認可を受けて未公開株の将来性を評価しているという団体から連絡があり、保有している銘柄は、上場の準備で金融庁へ届出が出されており上場確実であると言われ、買い増すよう勧誘を受けています。
      • 【アドバイス等】

        • 未公開株の取引等に関して、金融庁等が何らかの業務を外部へ委託することはありません。金融庁や財務局等との関係を騙る業者から連絡等があった場合には、詐欺的な商法であると考え、一切関わりにならないようにしてください。
        • 未公開株への投資の勧誘で、以下に掲げる項目に1つでも該当するものがある場合には、詐欺的な商法の可能性が高いので、一切の関わりを持たないことをお勧めします。
          • * 全く知らない名前の業者から、未公開株の勧誘を受けている。

          • * 以前未公開株を購入したことがあるが、購入した業者とは別の業者から勧誘を受けている。

          • * 未公開株購入の勧誘を受けている時に、別の業者(第三者)からタイミングよく連絡があり、勧誘を受けている未公開株を買い取る、勧誘を受けている未公開株は将来性があるなどと言われた。

          • * 実際には上場する予定がないにもかかわらず、「○○市場へ上場することが決まっている」「上場に向けて準備している」などと説明し、未公開株の勧誘を行っている。

          • * 具体的な上場時期や上場市場が決定していると説明するが、主幹事証券会社や監査法人を教えない。若しくは、選任せずに自分達でやっていると説明している。

          • * 主幹事証券会社や監査法人を教えるとインサイダー取引になると言われている。

          • * 未公開株購入の勧誘をしている業者が、金融庁等から認可、許可、委託、指示等を受けていると説明している。

        • 未公開株には上場株式のような客観的な価格はありませんし、流動性が乏しく、詐欺的な商法も多数認められています。さらに、未公開株のみならず、投資話に「夢のような儲け話」はありませんので、投資を行う際は、特に慎重な検討をお願いします。
        • 未公開株に投資をした後に騙されたとお考えになるのであれば、警察に相談してください。また、返金等を求めるのであれば、消費生活センターや各地の弁護士会に相談してください。
        • 金融庁でも「未公開株購入の勧誘にご注意!」等の注意喚起情報をウェブサイトに掲載しています。また、無登録業者の情報を収集していますので、金融サービス利用者相談室に情報提供をお願いします。
  • (4)貸金業に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

    • 総量規制に関する相談等

      • 【相談事例等】

        • 10年以上、貸金業者で借入れと返済を繰り返していますが、最近新たに借入れをしようとしたら、収入を証明する書類として源泉徴収票等を提出するよう求められていますが、どういうことでしょうか。
      • 【アドバイス等】

        • 借り手の年収等を基準にその3分の1を超える貸付けを原則禁止する、いわゆる総量規制に関連しての対応かと思われますが、これは、改正貸金業法の本体施行日(平成19年12月19日)から2年半以内に実施されることになっており、まだ実施されていません。
        • 総量規制が施行された場合には、貸金業者に対して、借入れをしようとする人の年収等の資力や信用状況、借入状況の調査が義務付けられます。また、借入総額が年収の3分の1を超過している場合には、利用限度額が減額され、新たな借入れが制限されることになります。
        • 年収等の返済能力を調査する場合、貸金業者は、借入れをしようとする人から源泉徴収票などの定められた書面の提出を受けなければならないことになっています。
        • 現状においても、過剰貸付けは法律で禁止されていますので、借入れを検討されている場合には、返済能力を慎重に検討し、無理のないご利用をお願いします。

今回、新たに追加するものを加えた以下の項目について、「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」を公表していますので、こちらもご参照ください。


* その他、金融庁のウェブサイト(「一般のみなさんへ」)では、金融サービスを利用する皆様にご注意いただきたい情報を掲載しています。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局政策課金融サービス利用者相談室(内線9541)
(別紙2)
総務企画局政策課(内線3168)
検査局総務課(内線2521)
監督局総務課(内線3314)
(別紙3)
検査局総務課(内線2521)
監督局総務課(内線3314)
(別紙4)
総務企画局政策課(内線3168)
監督局総務課(内線3314)

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