平成22年7月30日
金融庁

「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等
(期間:平成22年4月1日~6月30日)

【今期の特徴】

  • 貸金等に関する相談等は、本年6月の改正貸金業法の完全施行の実施を控え、一般的な照会・質問に関する相談等が多く寄せられたこと等から、大幅に増加した。(注)(3.(4))

  • 投資商品等に関する相談等は、未公開株取引に関する相談等が増加した。(3.(3)、5.(3))

  • 全体の件数は前期と同水準であった。(2.)

(注)ただし改正貸金業法施行後の相談件数は、落ち着いた状態で推移している。

1. はじめに

  • (1)金融庁では、金融サービス利用者の利便性の向上を図るとともに、寄せられた情報を金融行政に有効活用するため、金融サービス等に関する利用者からの電話・ウェブサイト・ファックス等を通じた質問・相談・意見等に一元的に対応する金融サービス利用者相談室(以下「相談室」)を開設しています。

  • (2)利用者からの相談等については、専門の相談員が電話で対応しています。相談員からは、問題点を整理するためのアドバイスを行ったり、業界団体が開設している紛争処理機関等を紹介しています。なお、寄せられた相談等の内容や処理状況等については、金融庁内の関係部局に回付し、検査・監督等の参考として活用しています。

  • (3)相談室に寄せられた利用者からの相談件数や主な相談事例等のポイント等については、四半期毎に公表しています。平成22年4月1日から6月30日までの間(以下「今期」)における相談等の受付状況及び特徴等は、以下のとおりです。

2. 受付状況

今期は、15,215件の相談等(詳細については、PDF別紙1(PDF:72K)をご参照ください。)が寄せられています。1日当たりの受付件数は平均249件となっており、22年1月1日から3月31日までの間(以下「前期」)の実績(242件)と同水準となっております。

相談等の内訳は、以下のとおりです。

  • (1)相談等の類型

    質問・相談として寄せられたものが12,836件(84%)、意見・要望として寄せられたものが1,447件(10%)、情報提供として寄せられたものが574件(4%)、その他が358件(2%)となっています。

  • (2)相談等の方法

    電話による相談等が13,451件(88%)、ウェブサイトによる相談等が1,077件(7%)、ファックスによる相談等が237件(2%)、手紙による相談等が381件(3%)、その他が69件(0%)となっています。

  • (3)相談等の分野

    預金・融資等に関するものが5,101件(34%)、保険商品等に関するものが2,904件(19%)、投資商品等に関するものが3,868件(25%)、貸金等に関するものが2,822件(19%)、金融行政一般・その他が520件(3%)となっています。

3. 分野別の特徴

  • (1)預金・融資等に関する相談等の受付件数5,101件のうち、個別取引・契約の結果に関するものが2,491件(49%)、一般的な照会・質問に関するものが1,381件(27%)等となっています。

    業態別では、銀行に関するものが2,663件(52%)、信用金庫・信用組合等の協同組織金融機関に関するものが687件(13%)、その他が1,751件(34%)となっています。

    業務別では、預金業務に関するものが1,225件(24%)、融資業務に関するものが2,986件(59%)、その他が890件(17%)となっています。

    今期の受付件数は、個別取引・契約の結果に関するものが前期に比べて減少(3,061件→2,491件)し、全体でも減少(6,012件→5,101件)しております。

    また、銀行協会等の業界団体を紹介した相談等は251件あります。

  • (2)保険商品等に関する相談等の受付件数2,904件のうち、個別取引・契約における顧客説明及び個別取引・契約の結果に関するものが合計1,654件(57%)(うち保険金の支払に関するもの1,232件)、金融機関の態勢・各種事務手続に関するものが441件(15%)(うち保険金請求時等における保険会社の対応に関するもの273件)等となっています。

    業態別では、損害保険会社に関するものが1,531件(53%)、生命保険会社に関するものが795件(27%)、その他が578件(20%)となっています。

    今期の受付件数は、前期と同水準(2,949件→2,904件)となっています。

    また、保険協会等の業界団体を紹介した相談等は390件あります。

  • (3)投資商品等に関する相談等の受付件数3,868件のうち、一般的な照会・質問に関するものが1,819件(47%)、個別取引・契約の結果に関するものが725件(19%)等となっています。

    業態別では、証券会社(第一種業)に関するものが581件(15%)、個別法人・団体に関するものが912件(24%)、無登録業者に関するものが631件(16%)、その他が1,744件(45%)となっています。

    商品別では、未公開株に関するものが800件(21%)、債券等に関するものが421件(11%)、ファンドに関するものが299件(8%)、上場株式に関するものが221件(6%)等となっています。

    今期の受付件数は、未公開株に関するものが増加(682件→800件)したほか、債券等に関するものが大幅に増加(263件→421件)したこと等から、全体では前期に比べて増加(3,431件→3,868件)しております。

    未公開株取引に関するものについては、詐欺的な投資勧誘に関する相談等が多く寄せられています。

    また、証券業協会等の業界団体を紹介した相談等は124件あります。

  • (4)貸金等に関する相談等の受付件数2,822件のうち、一般的な照会・質問に関するものが1,681件(60%)、個別取引・契約の結果に関するものが538件(19%)、業者の態勢・各種事務手続に関するものが113件(4%)等となっています。

    今期の受付件数は、改正貸金業法の完全施行にかかる政府広報や、テレビ及び新聞で改正貸金業法について報道されたことなどから、一般的な照会・質問に関するものが大幅に増加 (899件→1,681件)し、全体では前期に比べて大幅に増加(1,684件→2,822件)しています。

    また、改正貸金業法の完全施行に伴う総量規制に関する相談等は479件寄せられ、貸金業協会等の業界団体を紹介した相談等は124件ありました。

    ただし、改正貸金業法の完全施行(平成22年6月18日)後の貸金等に関する相談等の受付件数は、落ち着いた状況で推移しています。(6月14日~18日:257件、6月21日~25日:170件、6月28日~7月2日:153件、7月5日~9日:122件(件数は週単位の合計))

  • (5)金融行政一般・その他に対する意見・要望等の受付件数520件のうち、一般的な照会・質問に関するものが67件(13%)、行政に対する要望等に関するものが55件(11%)等となっています。

  • (6)預金口座の不正利用に関する情報提供は、34件寄せられています。(金融庁及び全国の財務局等より金融機関及び警察当局への情報提供については、同日公表の「預金口座の不正利用に係る情報提供件数等について」をご参照ください。)

  • (7)貸し渋り・貸し剥がしに関する情報提供は、28件寄せられています。(「貸し渋り・貸し剥がしに関する情報の受付・活用状況について」は、PDF別紙2(PDF:36K)をご参照ください。)

  • (8)金融円滑化ホットラインに寄せられた金融の円滑化に関する情報提供は、12件となっています。(「金融円滑化ホットラインに寄せられた情報の受付・活用状況について」は、PDF別紙3(PDF:65K)をご参照ください。)

  • (9)(7)の貸し渋り・貸し剥がしに関する情報及び(8)の金融円滑化ホットラインに寄せられた情報の受付件数の推移(再掲)については、PDF別紙4(PDF:34K)をご参照ください。

4. 利用者から寄せられた相談等の活用状況

利用者の皆様から寄せられた相談等は、利用者全体の保護や利便性向上の観点から検査・監督上の参考として活用しています。

今期に受け付けた情報提供のうち、以下のものなどについて、金融機関に対する検査における検証や監督におけるヒアリング等、金融行政を行う上での貴重な情報として活用しています。

  • (1)預金取扱金融機関によるリスク性商品等の販売時における顧客への説明態勢に関するもの

  • (2)預金取扱金融機関による広告等の不適正な表示に関するもの

  • (3)預金取扱金融機関における不適切な顧客対応に関するもの

  • (4)預金取扱金融機関が借り手に対する優越的な地位を利用して行った金融商品の販売に関するもの

  • (5)預金取扱金融機関の融資業務における担保の取扱いに関するもの

  • (6)預金取扱金融機関の個人情報の取扱いに関するもの

  • (7)いわゆる貸し渋り・貸し剥がしや貸出条件変更に関するもの

  • (8)金融機関の信託業務における不適切な行為に関するもの

  • (9)保険会社の不払い等(付随的な保険金の支払漏れ、第三分野商品に係る保険金の不払い等)に関するもの

  • (10)保険募集人等の不適正な行為(重要事項の不十分な説明、手続に関する不適切な案内・対応、不告知の教唆、無断契約、名義借り、保険料の立替等)に関するもの

  • (11)損害保険会社の火災保険の保険料過徴収に関するもの

  • (12)貸金業者による法令違反のおそれのある行為(取立行為規制違反等)に関するもの

  • (13)貸金業者による顧客への不適切な説明に関するもの

  • (14)システム障害に関するもの

  • (15)外国為替証拠金取引業者の不適正な行為に関するもの

  • (16)無登録営業に関するもの

  • (17)金融商品取引業者の不適正な行為(ホームページを閉鎖し電話に出ない等)に関するもの

  • (18)金融商品取引業者によるリスク性商品等の販売時における顧客への説明態勢に関するもの

  • (19)外国為替証拠金取引業者とのインターネット経由での取引に関するもの

  • さらに、前期における情報の活用状況は以下のとおりです

  • (1)監督において行った290金融機関等に対するヒアリング等に際して、相談室に寄せられた情報を参考としています。

  • (2)金融庁が着手した22金融機関の検査等に際して、相談室に寄せられた情報を参考としています。

また、預金口座の不正利用に関する情報については、金融機関及び警察当局へ24口座の情報提供を行っています。

5. 利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

寄せられた相談等のうち利用者の皆様に注意喚起する必要がある事例等について、「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」として周知しています。

今回、新たに追加又は改訂する「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」は、以下のとおりです。

  • (1)預金・融資等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

    • 融資に関する相談等

      • 【相談事例等】<新規追加>

        • 金融庁のAであると名乗る者から電話があり、100万円入金してもらえれば、金融庁より融資を行うとのことであった。金融庁で個人に融資を行っていますか。
      • 【アドバイス等】

        • 金融庁の職員を騙った上記のような電話があったとの情報が寄せられています。金融庁が個人の方に融資を行うことは絶対にありません。上記のような不審な連絡については十分にご注意ください。また上記のような連絡があった場合には、最寄の警察への相談とともに、金融庁金融サービス利用者相談室へ情報提供をお願いします。
  • (2)保険商品等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

    • 保険内容の顧客説明に関する相談等

      • 【相談事例等(保険金額等)】<追加修正>

        • 有配当の保険に加入しています。保険会社の業績は悪くないのに、配当金が支払われないのは何故でしょうか。
      • 【アドバイス等】

        • 一般的に、配当金は保険料の計算に用いた予定率と実績との差によって生じた剰余を契約者に還元するものです。保険種類や契約の時期によって予定率は異なるほか、毎年の決算の結果によって生じる剰余金も一定ではありません。予定率が高く設定されている契約では、剰余が生じなかった場合、有配当の保険であっても、配当金がゼロとなることがあります。
  • (3)投資商品等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

    • 未公開株式の取引に関する相談等

      • 【相談事例等(未公開株の買取業者等)】<追加修正>

        • 未公開株を購入した業者と連絡が取れなくなってしまったが、突然、他の業者から電話があり、「新たな規制が実施されるので、未公開株は全て無効になる」と言われた。10万円を出せば、直ぐに買取業者を紹介すると言われたが、信用しても良いでしょうか。
      • 【アドバイス等】

        • 未公開株の買取行為には、金融商品取引業(証券会社)の登録が必要ですが、日本証券業協会に所属する会員会社等は、グリーンシート銘柄以外の未公開株式については、原則として勧誘を行っておりません。
        • 未公開株への投資の勧誘で、以下に掲げる項目に1つでも該当するものがある場合には、詐欺的な商法の可能性が高いので、一切の関わりを持たないことをお勧めします。
        • * 全く知らない名前の業者から、未公開株の勧誘を受けている。

        • * 未公開株の買取業者・助言業者等を名乗る業者から、買取等の勧誘を受けている。

        • * 以前未公開株を購入したことがあるが、購入した業者とは別の業者から勧誘を受けている。

        • * 未公開株購入の勧誘を受けている時に、別の業者(第三者)からタイミングよく連絡があり、勧誘を受けている未公開株を買い取る、勧誘を受けている未公開株は将来性があるなどと言われた。

        • * 未公開株の被害救済を装い、買取業者の紹介料や返金のための手付金名目で金銭を払うよう要求してくる。

        • * 買取業者から、買取単位若しくは取引単位まで買増しするよう言われている。

        • * 実際には上場する予定がないにもかかわらず、「○○市場へ上場することが決まっている」「上場に向けて準備している」などと説明し、未公開株の勧誘を行っている。

        • * 具体的な上場時期や上場市場が決定していると説明するが、主幹事証券会社や監査法人を教えない。若しくは、選任せずに自分達でやっていると説明している。

        • * 主幹事証券会社や監査法人を教えるとインサイダー取引になると言われている。

        • * 金融庁や財務局、証券取引等監視委員会等の公的機関等及び公的機関等を連想させるような名称を使用している。

        • * 未公開株購入の勧誘をしている業者が、金融庁等から認可、許可、委託、指示等を受けていると説明している。

        • 未公開株には上場株式のような客観的な価格はありませんし、流動性が乏しく、詐欺的な商法も多数認められています。さらに、未公開株のみならず、投資話に「夢のような儲け話」はありませんので、投資を行う際は、特に慎重な検討をお願いします。
        • 未公開株に投資をした後に騙されたとお考えになるのであれば、警察に相談してください。また、返金等を求めるのであれば、消費生活センターや各地の弁護士会に相談してください。

    金融庁及び証券取引等監視委員会では、金融庁や証券取引等監視委員会又はこれらを連想させる組織を騙った業者等の情報収集をしています。

    もし、そのような業者から連絡等があった場合には、金融庁金融サービス利用者相談室又は証券取引等監視委員会の情報受付窓口新しいウィンドウで開きますに情報提供をお願いいたします。

  • (4)貸金等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等


* その他、金融庁のウェブサイト(「一般のみなさんへ」)では、金融サービスを利用する皆様にご注意いただきたい情報を掲載しています。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局政策課金融サービス利用者相談室(内線9541)
(別紙2)
総務企画局政策課(内線3168)
検査局総務課(内線2530)
監督局総務課(内線3314)
(別紙3)
検査局総務課(内線2530)
監督局総務課(内線3314)
(別紙4)
総務企画局政策課(内線3168)
監督局総務課(内線3314)

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