「トランジション・ファイナンス環境整備検討会」
(第9回):議事要旨

1.日時: 令和6年3月1日(金曜日)14時00分~16時00分

2.会場: 経済産業省別館6階626・628会議室及びオンライン

3.出席委員:伊藤座長(一橋大学)、秋元委員(公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE))、伊井委員(株式会社みずほフィナンシャルグループ)、上野委員(一般財団法人電力中央研究所)、押田委員(マニュライフ・インベストメント・マネジメント株式会社)、岡崎委員(第一生命保険株式会社)、梶原委員(株式会社日本格付研究所)、金子委員(株式会社三井住友銀行)、金留委員(DNV GL ビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社)、北島委員(アクサ・インベストメント・マネージャーズ株式会社)、竹ケ原委員(株式会社日本政策投資銀行)、長谷川委員(一般社団法人日本経済団体連合会)、林委員(BofA証券株式会社、国際資本市場協会(ICMA))、宮本委員(日本生命保険相互会社)

4.議事:
(1) 開会
(2) 事務局説明
(3) トランジションに向けた分野別ロードマップ
(4) 環境省説明
(5) 討議
(6) 閉会

5.議事内容:

議事(1)開会

⚫ 事務局より研究会の概要、運営、ご参加者等について説明。
⚫ 経済産業省産業技術環境局GX推進金融室 梶川室長より挨拶

  • 約一年ぶりの環境整備検討会の開催となる。この一年間でGX推進法が成立し、国際的にはG7の議長国を務め、首脳コミュニケ等でトランジション・ファイナンスの重要性について認識された。2月にはクライメート・トランジション利付国債(CTB)の初回債の発行があり、トランジション・ファイナンスとして大きな動きがあった。過去5年かけて着実に環境整備が進み、法整備などの進展もあった。民の資金供給に対する環境整備と共に官の連携も進んでおり、今後も金融庁・環境省と連携しつつ、取組を推進していきたい。
  • 本日は事務局説明の他、RITE秋元委員からRITEが自主研究として作成した分野別ロードマップの定量化に関する報告や、環境省からCOP28の結果についてご説明いただく。
  • 本委員会は、6月に国際資本市場協会(ICMA)のハンドブック改訂を踏まえた、日本の基本指針のあり方の議論のキックオフと位置付けている。最終的にはラベルの議論ではなく、資金の流れの中で、トランジション戦略を以てカーボンニュートラル実現への道筋を示すあり方もあると考えるが、現時点ではラベルが必要だと考えている。グリーン・ファイナンスの対象としてきた分野以外の多排出産業にどのように資金供給するか。CTBでも、資金使途特定型のトランジション・ラベルを発行することは各国投資家から理解を得られた点であり、資金使途を特定した上でラベル付けする意義は大きい。アジアへの裾野拡大も踏まえて重要になる。


議事(2)(3)(4)

⚫ 事務局より資料3について説明。
⚫ 秋元委員より資料4について説明。
⚫ 環境省より資料5について説明。
⚫ COP28におけるグローバルストックテイクの決定では、COP26のグラスゴー合意にて曖昧さを残していた1.5℃への絞り込みがより明確になった。NDCと温度目標の関係についても、現行NDCはパリ協定との温度目標(2℃と1.5℃)と整合的とされているが、次期NDCは1.5℃のみになっており、驚いている。これまでのCOPでは同志途上国グループ(LMDC)がNDCを1.5℃目標のみに結びつけることに反対していたが、今回様々な留保はありつつも、1.5℃のみに結び付けた。
⚫ ファイナンスにおいても、民間企業だけでなく中央銀行についての記載がある点も大きな進捗である。
⚫ CTBに対する海外投資家の反応はどのようなものがあったか。 また論点となった資金使途などはあるか。
⚫ 事務局:欧州・米国で説明会を実施したが、トランジション・ファイナンスに関する理解が進んでおり、仕組みを含めて高い関心、良い評価を得られたと考えている。個別投資家レベルでは原子力に対する批判的な姿勢も見られたが、日本のエネルギー事情への理解は一定いただけた。
⚫ 事務局:資金使途に研究開発が多いこともあり、レポーティングをしっかりするよう欧州よりコメントを受けた。
⚫ (CTBの第三者評価機関として、海外投資家へ説明した際の印象について)資金使途を丁寧に説明する重要性を実感した。トランジション戦略に意図があるのに対して、フレームワークの幅が広く、政府が今回の債券の資金使途の内容及びそれらがトランジション戦略にどのように貢献すると考えているか、という質問があった。R&Dが使途の半分を占めていることについては驚き、賞賛、あるいは技術成熟度など多くの質問が寄せられた。また、再エネがもっと含まれるべきではないかという意見があった。これに対し、再エネ技術は確立している部分が大きいため、CTBではそれ以外に脱炭素に向けた取組が必要な産業に研究開発支援の必要性があることを産業の排出量内訳を含め説明した。経産省のGX推進戦略、GHG排出量の各国内訳、資金使途などに関する詳細な説明に対して素晴らしいと評価された。メディアではアンモニアや混焼ばかりが論点になっているが、それ以外の面でも注目があり、理解を得られている。
⚫ 欧州はArticle9との整合を重視しており、規制面が強い。カーボンプライシングについても日本は関係者が連携するイニシアティブ型であるのに対し、欧州は規制を導入しているため企業がついてくるかについて疑問があった。米国は現実的にゲームチェンジャーとなり得る企業があれば投資するという考え方である。
⚫ (CTBの第三者評価機関として、海外投資家へ説明した際の印象について)米国や欧州で共通した議論として、大きくは3つに大別される。1つ目は電力に関して、発電量の絶対量(総量)の変化も含めて電源構成(原子力の活用、再エネの割合、水素・アンモニア等による発電)の変遷に注目するもの。2つ目は脱炭素を推進するアプローチの仕方。例えば欧州はEUタクソノミーのように予め策定したグリーン基準に対して取組み(プロジェクト)の適格性を評価するアプローチであるのに対し、日本はロードマップ等の方針に整合するプロジェクトを適格とするアプローチをとっている(全体としてグリーン基準は明確には設定していない)。説明前は、日本のアプローチには一定の分かり難さが残っていた印象だが、説明後にはアプローチの良否では無く、プロジェクトの適格性が適切に評価されているという点を理解いただいた。3つ目が債券発行後のレポーティングについて。CTB初回債はスタートという位置づけであり、日本の脱炭素計画に対して、CTB初回債の主な資金使途である研究開発等が今後どのような成果が出ていくのか、また、成果が将来の脱炭素化にいつ、どの程度貢献するのかを、ロードマップや削減計画と関連付けた形で継続的してレポーティングすることが期待されている。
⚫ アンモニアに対する反応はどうか。
⚫ アンモニアについては複数の機関投資家から、その活用方針について問い合わせがあった。GXではアンモニアをエネルギー供給源として活用するが、アンモニアの利用は、再エネや原子力によるエネルギー供給(電力・熱)を前提にした上で、アンモニアが特定の業種において必要なエネルギー(電力・熱)の一部を担う可能性があり、再エネや原子力に加えて、多様なエネルギー供給源のひとつの候補として取組むことについて理解いただけた。
⚫ アンモニアの混焼にボイラとガスタービンがあることを初めて知ったというような反応もあった。IHIなど2030年ガスタービン専焼といった事例があることも紹介し、非常に新しい知識として受け入れられた。一方で本質的にグリーンアンモニアは可能か、水素でよいのではないか、という指摘があり、今後の第7次エネルギー基本計画を含め丁寧に説明していく必要があると思われる。
⚫ CTB1回目の起債にはアンモニアが入っていないが、今後も含めて投資家にはどのように説明したのか。
⚫ 事務局:排除したものではなく、今回は含まれていないというのみである。フレームワークには資金使途候補としてアンモニアを含んでいる。
⚫ Climate Bond Initiative(CBI)はアンモニアを排除しているわけではなく、現時点の混焼率の低さと2040年の混焼率50%という技術成熟度の遅さを理由として否定的見解を示している。そのため違う経路があれば受容される。説明が不足していると考えており、多方面のステークホルダーから引き続き市場へ説明をお願いしたい。
⚫ RITEの自主研究について、海外への説明のためにも英訳が早くいただけるとありがたい。
⚫ RITEの分析については政府でどのように活用される予定か。分野別ロードマップとの関係性で引用する計画などはあるのか。
⚫ 事務局:本件はRITEの自主研究である。そのコンテンツの一つとして経済産業省の分野別技術ロードマップとの関係性をみていただいた。そのため、将来的な政策との関係について特に決まったものはない。世の中に多くの研究がある中で国内の実情を踏まえたものを作成いただいており、今後様々な議論をしていく上で大変参考になると捉えている。
⚫ 今回の研究はモデルの結果として効率的・整合的な結果を出しているだけであり、前提条件が違えば結果は異なる。実際の政策は、様々な要素を考慮して決定されるが、例えばエネルギー基本計画はエネルギー安全保障が重要となるが、今回の研究ではこうした要素を排除している。
⚫ 電力広域的運営推進機関(OCCTO)では、将来の電力需要に焦点を当てた分析をしている。電力の需要側が焦点となるため、今回の研究とモデルは同じだがシナリオが異なり、見え方は異なる可能性がある。こうした点を総合的に踏まえていく必要がある。
⚫ 電力部門について、2050年時点において大半が太陽光(系統接続・系統接続なし両方)となっているシナリオがあった。現在、国内ガス火力はトランジションプロジェクトとして、将来的に水素やカーボンニュートラルガスを利用する形でロックイン回避(トランジション計画)を説明している場合が多いが、いくつかのシナリオでは、水素を利用した発電が限定的であり、将来水素に燃料転換することが必ずしも計画に乗らない形に見える。
⚫ 今回の研究は日本特有の制約、特にエネルギー安全保障に関する制約を考慮していないこと、また5つのシナリオに絞っていることから極端な結果になりやすい。IPCCやIEAでも、電力は鉄鋼などと比較すると費用効率化の観点で相対的に早く原単位を下げる必要がある分野となっており、こうした実情が素直に今回の結果に出た。モデルは個別既存設備の残耐用年数や設備新設時のリードタイムは考慮されておらず、この点、日本の実情が反映されているかは今後検討する必要がある。追加的な制約を加えたシナリオが必要であれば追加も検討していく。


議事(5)討議

⚫ 事務局:基本指針を策定した際には、アクサ・インベストメント・マネージャーズがガイドラインを公表し、ICMAがハンドブックの検討をしている段階であり、世の中にトランジションの考え方浸透していなかった。こうした中、グリーン分野以外への資金供給の必要性を認識し、3省庁合同で分かりやすいものを日本語で策定した背景がある。グリーンボンド原則と合わせて基本指針をラベルに活用いただき、調達額は1.6兆円に達した。国際的には発展途上だが、国内では一定程度市場が創出された。一方、現在は各産業のトップレイヤーが資金調達をしている状況であり、引き続き裾野を拡大していく必要がある。そのためICMAの考えとの整合を確保しつつ、日本の状況を踏まえた表現を検討していきたい。
⚫ 昨今国際的にトランジション・ファイナンスという言葉が当たり前に使われている。ボンドにおけるラベル付けは発展途上だが、トランジションに対する気運は高い。今回日本がCTBを発行したことで国際的にも注目を集めており、この気運や関心の高まりを活用していきたい。これまで日本は受け身だったが、日本から発信できる攻めの時期であり、3省庁で促進していただきたい。
⚫ 国内投資家には、債券を購入したいがファイナンスド・エミッション(FE)の課題があるとしている投資家もおり、トランジション・ファイナンスの促進にはFEの扱いや課題に対する理解を並行して促進することが重要。
⚫ ICMAの2月のレポートは非常によくまとめられている。日本の記載も非常に多く、トランジションについては日本に頼っている、あるいは日本の取組みを海外に展開したい意図がある。
⚫ グリーンの定義についてはICMAとも意見交換しているが、最終的には各国地域の事情を反映し、科学的根拠に基づいて1.5℃目標と整合することを説明してほしいといわれている。
⚫ ベン図は入れるとかえって混乱する可能性もある。グリーンの定義は国により違うが透明性と信頼性が大事。基本指針にもこうした記載を入れているが、ラベルも確りと認めつつ、国内にもわかりやすく海外にも信頼性をもって発信できるものを作成いただきたい。
⚫ グリーンとトランジションの二元論で捉えている人と、グリーンの中にトランジションを位置づけている人など多様であり議論が白熱している。(インデックス開発大手)MSCIやCBIでグリーンになるのか、という議論もある。最終的には大きなグリーンという概念の中にトランジションを位置づけてグリーンの使途を拡張していく方針で進めていくのが良いのではないか。
⚫ トランジションとラベリングする意義も発信いただきたい。CTBでは、アセットがグリーンと同じならばなぜグリーンとせずトランジションとするのか、という質問があった。グリーンボンドに付加的に戦略があり、2050年までの道筋と立ち位置を見せることがトランジションの肝であると説明した。投資家は個々の債権がどの程度削減に寄与するかを計算しており、CTBを購入することによる削減への寄与度を気にしているため、この説明へは良い反応を得た。今後はインパクトレポートで寄与度にまで言及していくことが重要。
⚫ Pure greenには入らないがネットゼロに寄与するものを排除しないようにすることが当初の基本指針策定の背景。グリーンの境界が曖昧であり広い意味でのグリーン(Light green) からpure greenに移行していくということではないか。少なくとも基本指針策定時と状況は変化しており現在のベン図は削除したほうが良い。
⚫ 事務局:トランジションにはすぐに排出量の削減につながらないが、パリ協定の達成に必要なものが含まれる。ここに対する資金供給を促進していきたい意図があり、Light greenでも捉えられていない部分がある。
⚫ 広い意味でのグリーンにトランジションを位置づけた際、ロックインの議論はどのように位置づけられるか。これまでのトランジションではグリーンにならないものも排出削減に寄与する点でトランジションとしていた。広い意味でのグリーンに位置づけるとアンモニア混焼が不当に排除されないか。
⚫ フォローアップガイダンスは良いガイダンスであった。資金使途不特定の場合は日本では特にモニタリングや金融の規律が働きベストエフォートが保たれやすい。グリーンを拡張した概念にこれらがどのように収まるかは今後検討が必要。
⚫ トランジションを動的なものとして捉えることが非常に重要。広い意味でのグリーンの概念の中にトランジションを位置づけ、その概念の中でトランジションの位置づけが変化していくという考えは分かりやすい。
⚫ ロックインに関する対応については、企業のトランジション戦略に着目するファイナンスも含まれることを明記すると良いのではないか。つまり、グリーンの概念の外側にあるものも入る可能性があることを記載すれば良い。ただし、どれだけ外側から入ってきたものでも、パリ協定には必ず整合すべきであり、パリ協定との整合を示すために1.5℃の概念をグリーンの概念の外側に入れると良いのではないか。
⚫ 企業のトランジション戦略に1.5℃またはパリ協定との整合を求めると、企業が自らそれらの整合について説明するようになる。現状の企業開示では超長期戦略の公表は難しく、1.5℃またはパリ協定との整合を説明するにはやや不足している側面がある。開示を後押しする意味でも1.5℃の概念を外側に入れ、最終的にSSBJにまで議論がつながると望ましい。
⚫ 1.5℃整合は非常に重要であり記載すべきだと考える。一方実際に資金供給する際はWell Below2℃(WB2℃)も実務的に認めている。現在はWB2℃だが、今後は1.5℃を目指すべきということを企業が理解しているのであれば、その実態を認めるべきではないか。故にパリ協定と合致しているものがトランジションであるという表し方で現時点では良いのではないか。今後ICMAの改定や国際議論が進む中で将来的に1.5℃整合を求めることもあり得る。
⚫ 「できれば1.5℃整合」という記載が非常に重要。「できれば」という記載が入らないとトランジションで調達できない業種がある。国としての1.5℃にコミットすることは重要だが、それを等しく全ての業界に求めるのとは話が異なるのではないか。一方で金融機関がイニシアティブに加入する中で1.5℃整合が求められている点も認識している。
⚫ ICMAハンドブックにおけるパリ協定の温度目標に関する記載は、原文そのままではなく、ICMAの解釈が入っている点に留意いただきたい。基本指針に記載する際は、協定やその後の合意文書の文言に立ち返った方がよいのではないか。
⚫ 事務局:トランジション・ファイナンスの対象を考えた際、多くがHard-to-abateセクターになり、これらの産業はグリーンボンドでの調達ができていない実態がある。1.5℃整合が求められると現状の解決策にはならない。1.5℃整合が満たせる業界のみのファイナンスではない。パリ協定の原文に沿う形で基本指針に記載するのが良いと考えている。
⚫ COP28で1.5℃に焦点が当たったものの、現時点で1.45℃程度気温上昇している。目指すのは良いが、これを厳密にすると現実的に対応が不可能な企業が多くなる。パリ協定長期目標でWB2℃と1.5℃の両方を包含すべきではないか。
⚫ 1.5℃については前の委員の意見に賛同。トランジション・ファイナンスの普及には仲間づくりが重要であり、アジアと連携できると良い。日本はイニシアティブをとれる立場にあり、アジアの現状を考慮すると厳密性を追求しすぎない方が良い。また、トランジションの認知度を個人も含め増やしてくという観点では、例えば一般NISAに組み入れてもらえるようにするといった方法もある。
⚫ ベン図の議論についてだが、CTBの評価を見ても、評価機関により解釈が異なっており、解釈の余地を残すという意味では、あえて今、ベン図の考え方を定める必要はないと考える。
⚫ ベン図に限らず日本のトランジションは現実的なソリューションを提供しているという点でグローバルの中で最も解決力が高いと考えている。日本でしかできないことが脱炭素社会の実現につながるというメッセージを出せると良い。フォローアップや、CTBを実施する中で、日本の取組が知覚できるようになってきた。実態として日本が進んでおり、この点を訴求できないか。
⚫ CTBのIRで欧州・米国に行かれたとのことだが、アジアでも開催していただきたい。企業が今後アジアで発表する際の種まきになる。
⚫ アセットマネージャーとしてCTBに投資表明をすることが価格の観点から課題があった。年金などアセットオーナーの後押しや理解が必要。アセットマネージャーに企業分析の知見がたまっているため、これを活用することで国内の気候変動に関するエンゲージメントを強化できる可能性がある。
⚫ 基本指針について、今後改訂を繰り返していくと経緯がわからなくなる。ICMAを参照している箇所、国内の特性を踏まえて記載している箇所を分け、経緯が分かるようにしておくことが今後のために重要。
⚫ トランジションの普及という観点では、アジアが重要。東南アジアのタクソノミーは信号機システムを活用している。トランジションはアンバーとイコールではないが、東南アジアでアンバーと位置づけられているものに日本のトランジションとつながるものがある。これを研究するのが良いのではないか。
⚫ COPのUAEコンセンサスは「1.5℃を射程に入れ続ける(keep 1.5℃ within reach)」という書きぶりになっておりこれは良い書き方ではないか。
⚫ 大きなグリーンという概念の中にトランジションを位置づけて、グリーンの中で動的に動くという考えはわかりやすいがリスクもある。グリーン原理主義のEUからウォッシュ批判を受ける可能性があり、現時点ではベン図がないほうが良いのではないか。
⚫ 普及にも関係するが、オーストラリアやアジアの味方を増やしてから、ベン図を打ち出すステップを踏むのがよいのではないか。日本にはかなりの知見が蓄積されつつあり、ともに歩めるよう日本から国としてトランジションのスタンダードを輸出できると良い。
⚫ ベン図は理解しやすいが、これで誤解無く説明するのは難しい印象を受ける。現時点で公式資料として打ち出す必要はないと考えるが、定義や考え方は、この関連省庁、委員会関係者間では認識にずれないように留意しなければならない。定義がないと、主体により解釈が異なり意図せずウォッシュ批判を受けることにつながるリスクがあると考える。
⚫ ICMAがグリーン性を説明する際に用いた、「科学的根拠がある」ということは、「再現性がある」と同義であると考える。つまり読み手により解釈や解が変わるものであってはならないと考えている。科学的根拠が何を求めているか、読み手の解釈で差異が生じないよう記載を精緻化するとか、補足説明が必要となる。ICMAの改訂での変更箇所の背景を議論して検討してはどうか。
⚫ Scope 3の検討を次年度お願いしたい。欧州ではScope 3の議論が活発化している中、国内では少ないリソースでScope1+2に集中したいという意見がある。欧州と日本の考え方を整理して解説いただきたい。
⚫ 多様な意見をいただきつつ、根底には委員で共通した考えがあると認識している。現時点でベン図は出さないほうがよいと思われる。
⚫ またトランジション・ファイナンス普及の観点ではアジアを視野に入れる点は共通認識がもてた。

⚫ 事務局:基本指針については、夏前までの改訂を視野にいれており、次回には草案を提示したい。

―― 了 ―― 

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