アクセスFSA 第118号(2013年4月)

アクセスFSA 第118号(2013年4月)

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企業会計審議会・企画調整部会合同会議にて安藤会長
から報告書を受け取る島尻大臣政務官(3月26日)

トピックス

(1)「「金融ADR制度のフォローアップに関する有識者会議」における議論の取りまとめ」の公表について

金融ADR制度(金融分野における裁判外紛争解決制度)は、平成21年6月に成立した「金融商品取引法等の一部を改正する法律」により制度化され、平成22年4月に施行されました。その際、同法附則において、法施行後3年以内に、指定紛争解決機関の業務の遂行状況等を踏まえ、金融ADR制度の在り方等について検討を行うべきことが規定されました。

この規定も踏まえ、平成24年11月に、金融庁総務企画局長のもとに「金融ADR制度のフォローアップに関する有識者会議」(座長:山本和彦 一橋大学大学院法学研究科教授)を設置し、各指定紛争解決機関の業務の遂行状況の検証及び金融ADR制度の在り方等に関する検討を行ってきました。

これらの検証及び検討を踏まえ、平成25年3月に「「金融ADR制度のフォローアップに関する有識者会議」における議論の取りまとめ」を公表しました。

同取りまとめにおいて、指定紛争解決機関は、利用者保護に一定の役割を果たしていると評価されている一方、利用者の信頼性向上や納得感等の面から運用上の改善すべき点が存在していると指摘されています。こうしたことから、対応の方向性のひとつとして、指定紛争解決機関向けの監督指針を策定・公表することにより、利用者の信頼性向上等を図ることが適当であるとの提言が示されています。

金融庁としては、この提言も踏まえ、指定紛争解決機関向けの監督指針を策定する予定です。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「「金融ADR制度のフォローアップに関する有識者会議」における議論の取りまとめ」について(平成25年3月8日)にアクセスして下さい。


(2)「保険業法施行規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等に対するパブリックコメントの結果等の公表について

金融庁では、保険業法等の一部を改正する法律(1年以内施行分)等に係る「保険業法施行規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等につきまして、平成25年1月11日から平成25年2月12日にかけて公表し、広く意見の募集を行いました。

本件の政令、内閣府令及び命令は、平成25年3月25日に公布され、平成25年3月26日から施行されています。

本件の概要は、以下のとおりです。

  • 1. 保険業法施行令等の一部を改正する政令

    保険業法等の一部を改正する法律(平成24年法律第23号)のうち

    • (1)同一グループ内の保険会社を再委託者とする保険募集の再委託及び

    • (2)保険契約の移転に係る規制のあり方の見直し

    を内容とする公布後1年以内施行部分に係る所要の規定の整備を行います。

  • 2. 保険業法施行規則等の一部を改正する内閣府令

    • (1)保険契約の移転に係る規制のあり方の見直し

      保険契約の一部移転の解禁に伴い、保険契約者間の公平性や保険契約者の保護の観点から、保険契約者への情報提供の充実や契約移転の認可申請時の提出書類の拡充等を図るものです。主な改正は、以下のとおりです。

      • イ.保険契約者への情報提供の充実の一環として、公告事項の記載内容の拡充等を行います。

      • ロ.移転対象契約者が異議を申し立て、かつ、その保険契約につき解約の申込みをした場合に、移転会社が移転対象契約者に払い戻すべき金額を規定します。

      • ハ.移転対象契約の選定基準の合理性、対象範囲の明確性や移転の必要性等の観点から、当局が移転の是非を判断する上で必要な認可の申請書類の追加や、認可審査時に当局が配慮すべき事項を追加します。

      • ニ.保険業を営む株式会社が会社分割により保険契約を承継させる場合も、上記イ~ハと同趣旨の手当が必要となることから、所要の改正を行います。

    • (2)同一グループ内の保険会社を再委託者とする保険募集の再委託

      保険募集再委託の一部解禁に伴い、再受託者たる保険募集人における適正な保険募集を確保する観点から、保険募集の再委託を行う際に求められる認可申請書類等を規定するものです。主な改正は、以下のとおりです。

      • イ.保険募集の再委託は再委託者と所属保険会社等が密接な関係を有する場合に限り可能としているところ、当該グループの範囲を定めます。

      • ロ.保険募集の再委託を行う場合は、再委託者と所属保険会社等が再委託に係る事項の定めを含む委託に係る契約の締結について、内閣総理大臣の認可を受けることとしているところ、当該認可申請書の記載事項及び添付書類について定めます。

      • ハ.保険募集の再委託を可能とするに当たり、保険募集人の登録事項等に、再委託者及び再委託に関する所属保険会社等の商号又は名称の追加等を行います。これに伴い、保険業法施行規則別紙様式の改正も行います。

      • ニ.ロ.の認可申請に係る添付書類を変更する場合に、当該変更事項の届出を要する旨規定します。

      • ホ.ロ.の認可に際しての標準処理期間を定めます。

  • 3. 認可特定保険業者等に関する命令の一部を改正する命令

    認可特定保険業者等について、2.(1)と同様の規定を整備します。

  • 4. 保険業法施行規則第百五条の六第四項の規定に基づく金融庁長官が定める会社分割により保険契約を承継させる場合の認可の申請の書面の様式並びにその記入及び算出の方法の一部を改正する件

    2.(1)ニにおいて、保険業法施行規則第105 条の6第4項が改正されることに伴い、必要な改正を行います。

  • 5. 保険会社向けの総合的な監督指針(本編)の一部改正

    • (1)保険契約の移転に係る規制のあり方の見直し

      • イ.移転に異議を述べた契約者に対する払戻額については、解約控除を行わないなど契約者に不利益を与えない金額とすることを明示します。

      • ロ.保険契約移転の認可審査の留意点として、具体的な責任準備金の積立方法や相互会社における剰余金の分配方法、保険計理人等による確認等を求めます。

      • ハ.保険契約の承継を伴う会社分割についても、上記イ.及びロ.に準じて取り扱います。

    • (2)同一グループ内の保険会社を再委託者とする保険募集の再委託

      • イ.所属保険会社等及び再委託者において求められる、再委託に係る保険募集の的確、公正かつ効率的な遂行を確保するために必要な体制の整備その他の措置の具体的内容について定めます。

        所属保険会社等: 再委託に係る方針策定、当該方針に沿った再委託の許諾、再委託の実施状況の確認、必要な場合には再委託契約の変更又は解除を求めることができる態勢
        再委託者: 上記方針に沿った最受託者の選定、教育・管理・指導
      • ロ.再委託に係る重要な事項の変更があった場合には、その都度再認可が必要となる旨明示します。

  • 6. その他所要の改正

    保険会社向けの総合的な監督指針(様式・参考資料編)、保険会社向けの総合的な監督指針(少額短期保険業者向けの監督指針)、保険会社向けの総合的な監督指針(別冊)(少額短期保険業者向けの監督指針)(様式等集)、認可特定保険業者向けの総合的な監督指針(本編)及び認可特定保険業者向けの総合的な監督指針(様式集)についても、上記5.に準じて所要の改正を行います。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「審議会・研究会等」の中の「金融審議会」の「議事録・資料等」から「「保険業法施行規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等に対するパブリックコメントの結果等の公表について」(平成25年3月25日)にアクセスして下さい。


(3)「監査基準の改訂及び監査における不正リスク対応基準の設定に関する意見書」の公表について

近時、金融商品取引法上のディスクロージャーをめぐり、不正による有価証券報告書の虚偽記載等の不適切な事例が相次いでいるが、こうした事例においては、公認会計士監査が有効に機能しておらず、監査手続をより実効的なものとする必要があるとの観点から、平成24年5月から企業会計審議会監査部会において検討が進められました。企業会計審議会においては、不正に関する公認会計士監査の実務の状況や監査基準の国際的な改訂の状況等を踏まえ、不正による重要な虚偽表示のリスクに対応した監査手続等の明確化等に向けた監査基準の見直し等の審議を行い、平成25年3月26日に、「監査基準の改訂及び監査における不正リスク対応基準の設定に関する意見書」として取りまとめ、公表しました。

改訂監査基準及び監査における不正リスク対応基準は、平成26年3月期決算に係る財務諸表の監査から実施します。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「「監査基準の改訂及び監査における不正リスク対応基準の設定に関する意見書」の公表について」(平成25年3月26日)にアクセスして下さい。


(4)信用金庫・信用組合の会員・組合員の外国子会社への直接貸付等の解禁について

平成25年3月29日に、「信用金庫法施行令及び中小企業等協同組合法施行令の一部を改正する政令」が関連する内閣府令・監督指針の改正と合わせて公布・施行されました。

これにより、信用金庫・信用組合の会員・組合員である中小企業などは、新たに以下のサービスを受けることができるようになりました。

  • ○(当該中小企業等の)外国子会社に対し、取引先の信用金庫・信用組合から直接の資金を貸し付けてもらうこと

  • ○外国子会社が海外で現地や日本の金融機関などから貸付等を受ける場合に、信用金庫・信用組合から債務を保証してもらうこと

以下、本制度改正の概要について具体的に解説します。

  • 1. 本改正の概要

    • (1)信用金庫・信用組合による貸付・債務の保証の枠組み

      信用金庫・信用組合(以下、「信用金庫等」という。)は、会員・組合員(以下、「会員等」という。)の相互扶助のための金融機関であることから、それぞれの業法に当たる信用金庫法・中小企業等協同組合法(以下、「法」という。)上、資金の貸付は原則として会員等に対して行うことができるものです。

      会員等以外への資金の貸付および手形の割引(員外貸付)については、信用金庫法施行令・中小企業等協同組合法施行令(以下、「政令」という。)に限定列挙された対象に対してのみ行うことができます。

      すなわち、信用金庫等の貸付等は、通常、会員等である地域の(注1)中小企業や個人に対するものに限定されており、例外が認められる場合が政令上明記されているというのが全体枠組みです。

      他方、信用金庫等が行う債務の保証については、法により、「会員/組合員のためにするものその他の内閣府令で定めるもの」に限定されています。

      (注1)信用金庫等は定款において地区を定めること(変更には内閣総理大臣の認可が必要)となっており、会員等の資格は定款に定めた地区に事務所や勤務先を有する中小企業や個人などに限られています。

    • (2)改正の概要

      今般の制度改正は、以上に述べた法的枠組みの中で、

      • イ.会員等の外国子会社への直接の資金の貸付について、新たに員外貸付の1つとして政令に規定することにより可能とする

      • ロ.会員等の外国子会社が負う債務の保証について、新たに信用金庫等が行うことが できる債務の保証の1つとして内閣府令(注2)において規定することにより可能とする

      ことを内容としています。

      (注2)「信用金庫法施行規則」および「中小企業等協同組合法による信用協同組合及び信用協同組合連合会の事業に関する内閣府令」

  • 2. 改正の経緯

    本制度改正の背景は、信用金庫等がメインバンクであることも多い中小・零細企業が海外に現地法人を設け、製造の一部や販路の拡大を請け負わせる等の取組みが増加していることです。これにより、地域の中小・零細企業について、それらの海外現地法人も普段から取引関係にある信用金庫等から資金の貸付や債務の保証を直接受けることへのニーズが高まりました。

    本制度改正以前において、信用金庫等の取引先である中小企業は、自らが信用金庫等から借り受けた資金を海外現地法人に又貸しする、いわゆる親子ローンなども行われていましたが、中小企業が海外を含む事業展開をより円滑化することに資するため、本改正が行われたものです。

    平成25年1月11日には、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」(閣議決定)に、「日本企業の海外展開支援等」との位置付けで、「信用金庫・信用組合による会員・組合員の海外子会社への融資等の解禁」が盛り込まれました。その後、制度改正案について約1ヶ月間のパブリックコメント手続きを経て、同年3月26日には「信用金庫法施行令及び中小企業等協同組合法施行令の一部を改正する政令」が閣議決定され、同年3月29日には改正政令・府令の公布・施行、関係告示・改正監督指針の施行に至っています。

  • 3. 制度改正の具体的内容

    • (1)「外国子会社」の定義

      地域や職域等の会員等の相互扶助を旨とする信用金庫等の本来の取引対象は会員等であり、本改正は会員等である中小企業等のニーズに応ずる目的で行うものであることから、外国子会社に対する貸付や債務の保証は、当該外国子会社と会員等との結び付きが相当程度認められる範囲で解禁されています。

      このような趣旨から、「外国子会社」の概念については、

      • イ.外国の法令に準拠した法人等の団体であって、会員等が総株主等の議決権(に相当するもの)の50%超を保有するものが「外国子会社」であることを原則とした上で、

      • ロ.外国の法制度等によって50%超の議決権を保有することが制限されている場合については、

        • (i)会員等が総株主等の議決権(に相当するもの)を現地の法制度や慣習上許される上限まで保有している団体であって、

        • (ii)会員との間に、「人的関係、財産の拠出に係る関係その他の関係」において密接な関係が相当程度あるものが外国子会社に当たること

      と規定しています。

      (注3)「人的関係、財産の拠出に係る関係その他の関係」とは、具体的には、以下のいずれかをいう旨内閣府令において規定された。

      • 会員等の役員や使用人等である者などで、外国子会社の財務および営業または事業の方針の決定に関して影響を与えることができるものが、外国子会社の取締役会その他これに準ずる機関の構成員の過半数を占めていること
      • 会員等が外国子会社の重要な財務および営業または事業の方針の決定を支配する契約等が存在すること
      • 外国子会社の資金調達額(貸借対照表の負債の部に計上されているものに限る)の総額の過半について会員等が融資(債務の保証および担保の提供を含む)を行っていること

      なお、本改正の「外国子会社」の概念は、間接支配(子会社等を通じた保有)分と直接支配分とを合わせた総株主等の議決権の50%超の議決権ではなく、会員等が「直接」総株主等の50%超の議決権を持つこととしています。

    • (2)会員等の外国子会社に対する貸付額の制限

      本改正により、上記(1)の定義による会員等の外国子会社に対し、信用金庫等による資金の貸付と債務の保証が解禁されました。

      これに関係して、信用金庫等による員外貸付は政令上、

      • イ.貸付額に制限のない員外貸付

      • ロ.合計額が資金の貸付および手形の割引の総額(金融機関に対するものを除く)の20%以内に制限される員外貸付

      の2種類に分けられていますが、会員等の外国子会社への貸付は上記ロ.の員外貸付に分類され、他の貸付額に制限のある員外貸付等と合わせて総貸付額の20%を超えない範囲での貸付にとどめなければなりません。

      (注4)当該分類は、信用金庫の場合(信用金庫法施行令第7条参照)と信用組合の場合(中小企業等協同組合法施行令第14条参照)とで異なります。

    • (3)信用金庫の卒業会員の取扱い

      信用金庫は、信用金庫法上、従業員数の増加や資本金の増加などにより会員要件を充たさなくなったことにより脱退した会員に対し、会員であった期間に応じて脱退後最長10年間、資金の貸付を行うことが経過措置として認められています。

      今般の改正の中で、上記の事由により脱退した会員を「卒業会員」と定義した上、親会社等である卒業会員への資金の貸付が認められるのと同じ期間、卒業会員の外国子会社に対する資金の貸付についても行えることが信用金庫法施行規則および告示(「信用金庫が会員以外の者に対して行う資金の貸付け等に関する期間及び金額を指定する件」)により規定されました。

  • 4. 監督指針の改正

    既に述べた政令・府令・告示の改正と合わせて、信用金庫等による会員等の外国子会社への資金の貸付・債務の保証に係る適切なリスク管理を確保するため、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針(本編)」の改正が行われました。主な内容は、以下の通りです。

    • (親会社である)会員等を通じた実効性ある外国子会社に対する融資の審査やモニタリングの実施と合わせ、必要に応じ、現地において借手企業の状況を確認できる態勢整備
    • 必要に応じ、(親会社である)会員等と外国子会社との間で保証契約を締結
    • 外貨建てによる外国子会社に対する貸付の場合について、適切な為替リスク管理を実行
    • 日本国内の法令に加え、借手企業の所在地における法令遵守のための態勢整備
  • 5. 外国法制との関係

    会員等の外国子会社に対する資金の貸付や債務の保証は、通常、日本に存在する信用金庫等の事務所と会員の外国子会社との間で行われるため、現地の関係法制度に従わなくてはならない点は重要です。したがって、今般改正された制度上の要件を充たす信用金庫等と外国子会社との間の取引であっても、現地法制度上の制限がないかどうかについて十分に確認の上行われる必要があります。


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※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「「信用金庫法施行令及び中小企業等協同組合法施行令の一部を改正する政令(案)」等に対するパブリックコメントの結果等について」(平成25年3月26日)にアクセスして下さい。


(5)「金融検査マニュアル・監督指針」の一部改正、「銀行法施行規則等の一部を改正する内閣府令」等の公表について

金融円滑化法の期限到来後も、金融機関が、(1)円滑な資金供給や貸付条件の変更等に努めるとともに、(2)中小企業等に対する経営支援に積極的に取り組むよう促すため、金融検査マニュアル・監督指針等を改正いたしました。

今後、金融検査マニュアルに基づき、検査において円滑化遂行の態勢の状況を検証するとともに、監督指針に基づき、監督において定期的なヒアリング等を通じて、金融機関による中小企業等への円滑な資金供給に向けた積極的な取組みを確認していきます。また、内閣府令等を改正し、金融機関に対し、定期的に、中小企業等に対する経営支援の取組状況の公表を義務付けたことにより、金融機関による中小企業等に対する経営改善支援が後押しされることを期待しています。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「「金融検査マニュアル・監督指針」の一部改正、「銀行法施行規則等の一部を改正する内閣府令」等の公表について 」(平成25年3月29日)にアクセスして下さい。


(6)有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項(平成25年3月期版)と有価証券報告書レビューの実施について

金融庁では、有価証券報告書等の適正確保のために、有価証券報告書の提出会社等に向けて「有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項(平成25年3月期版)と有価証券報告書レビューの実施について」を昨年に引き続き、平成25年3月29日に公表しました。主な内容は、以下のとおりです。

  • 1. 有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項

    平成25年3月期以降の有価証券報告書の作成に当たり留意すべき事項等について、以下のとおり整理しました。各提出者におかれては、これらの点に留意して有価証券報告書を作成し、各財務局及び福岡財務支局並びに沖縄総合事務局(以下、「財務局等」という。)へ提出願います。

    • (1)新たに適用となる開示制度・会計基準等

      平成25年3月期から新たに適用となる開示制度・会計基準等は、特段ありません。

      なお、平成24年5月17日に公表された「退職給付に関する会計基準」は、平成25年4月1日以後開始する事業年度(以下、「翌事業年度」という。)の年度末の財務諸表から適用(期首からの早期適用も可能)されることとなっており、多数の会社において翌事業年度からの適用が想定されます。

      翌事業年度から「退職給付に関する会計基準」を適用する会社については、既に公表されている会計基準等のうち適用していないものがある場合に求められる「未適用の会計基準等に関する注記」を、重要性の乏しいものを除いて記載する必要があります(財務諸表等規則第8条の3の3、連結財務諸表規則第14条の4)。

    • (2)最近の課徴金事案及び自主訂正事案を踏まえた留意事項

      最近の課徴金事案及び自主訂正事案において、以下の点について不適切な会計処理が認められています。

      • 売上及び売上原価に関連する会計処理

      • 貸倒引当金等の引当金の計上

      • 連結子会社等における会計処理

    • (3)有価証券報告書レビュー(平成24年3月期以降)を踏まえた留意事項

      平成24年3月期以降の有価証券報告書を対象とした有価証券報告書レビューについては、現在実施中ですが、そのうち重点テーマ審査と情報等活用審査において、有価証券報告書の作成に当たり留意すべき点が認められております。これらについて、現状までの状況を取りまとめています。

  • 2. 有価証券報告書レビュー(平成25年3月期以降)の実施

    平成25年3月期以降の有価証券報告書を対象に、引き続き「法令改正関係審査」、「重点テーマ審査」及び「情報等活用審査」を柱とした有価証券報告書レビューを実施します。

    • (1)法令改正関係審査

      有価証券報告書の記載事項のうち「役員の状況」及び「コーポレート・ガバナンスの状況」における社外取締役及び社外監査役に関する記載内容が、平成24年3月30日に改正されています(注)。当該改正点について、平成25年3月31日を決算日とする企業を対象に法令改正関係審査を実施します。各提出者におかれては、調査票を作成し、有価証券報告書の提出先の財務局等へ、平成25年7月16日(火)までに提出願います。

      なお、提出方法については、各財務局等からの連絡等に従い、自社の状況を正確に記載してご提出下さい。

      (注)関連資料「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」等に対するパブリックコメントの結果等について」(平成24年3月30日)

    • (2)重点テーマ審査

      提出された有価証券報告書のうちから、特定の事項に着目して審査対象を抽出し、提出者に対する質問・ヒアリングを含めた審査を実施します。

      審査に当たっては、所管の財務局等より該当提出者に対し、具体的な質問事項を送付させていただきますので、ご協力のほどよろしくお願いします。

      本年度(平成25年3月期以降の有価証券報告書)の重点テーマは、以下のとおりです。

      • 企業結合及び事業分離等

      • 固定資産の減損

      • 連結財務諸表作成手続(子会社管理を含む)

      • 金融商品に関する会計処理・開示

      • 偶発債務(引当金の計上を含む)

    • (3)情報等活用審査

      上記の重点テーマに該当しない場合であっても、適時開示や報道、提供された情報等を勘案し、所管の財務局等より、具体的な質問事項を送付させていただくことがありますので、ご協力のほどよろしくお願いします。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項(平成25年3月期版)と有価証券報告書レビューの実施について」(平成25年3月29日)にアクセスして下さい。


(7)中小企業の業況等に関するアンケート調査結果の概要の公表について

中小企業金融の実態把握の一環として、平成25年2月に、全国の財務局等を通じて、各都道府県の商工会議所47先を対象に、会員企業の業況や資金繰りの現状と先行き等について聴き取り調査を実施したところ、その調査結果の概要は以下のとおりとなりました。

  • 1.中小企業の業況感は、現状D.I.のマイナス幅が前回調査に比べ僅かながら縮小しているものの、引き続き厳しい状況にあります。なお、先行きD.I.のマイナス幅は、現状D.I.に比べ11ポイント小さくなっています。

    悪化の要因としては、「売上げの低迷」の割合が最も大きく、次いで、「販売価格の下落」となっています。


    (↑クリックすると拡大されます)

  • 2.中小企業の資金繰りは、現状D.I.のマイナス幅が前回調査に比べ僅かながら縮小しているものの、引き続き厳しい状況にあります。なお、先行きD.I.のマイナス幅は、現状D.I.に比べ3ポイント小さくなっています。

    悪化の要因としては、「販売不振・在庫の長期化等、中小企業の営業要因」の割合が最も大きくなっています。


    (↑クリックすると拡大されます)

(参考1)東日本大震災に関連した業況感に関する主なコメントについては、以下のとおりとなっています。

  • ≪製造業≫
    • 食品製造業においては、風評被害への対応からコスト増となっている(福島県)

    • 特殊車両などの一部機械メーカーは、東北の復興需要により引き続き業況が良いが、その他の業者は殆どが県内取引先を相手にしているため、人口減などにより需要の増加を望めない状況は変わらない(高知県)

  • ≪小売業≫
    • 24年11月から、震災復興支援事業として水戸市プレミアム商品券事業が始まったが、小売業への還元はあまりなく、依然として消費者の需要は厳しい状況である(茨城県)

  • ≪卸売業≫
    • 特に大きな懸念材料もなく、物流が滞る動きもないことから、ほぼ震災前の水準に戻っている(山形県)

    • 震災復興需要により木材関係の取引はあるが、落ち着き気味の傾向にある(茨城県)

    • 建設資材を扱っている一部業者は復興需要により業況が良いが、その他の業者については小売業の影響もあり業況が悪い(高知県)

    • 米卸業においては、震災以降、流通が変わったことによる慢性的な米不足により仕入原価が上昇する中、価格転嫁が困難となっている(長崎県)

  • ≪建設業≫
    • 沿岸部における震災復興関連の公共工事については、人手不足から盛岡市内の業者にも下請でのオファーが増加しているが、利益率の高いガレキ処理工事を引受ける一方で、建築工事は工期等の制限が厳しいため敬遠しがちである(岩手県)

    • 震災の復旧工事は落ち着いたものの、生コン等資材の価格上昇や人手不足などもあり、復興に向けた本格的な工事は遅れ気味となっている(宮城県)

    • 震災からの復興・復旧工事に加え、除染事業などによる需要増が続いている(福島県)

    • 震災特需は落ち着きつつあるが、消費税増税前の駆け込み需要の動きがわずかながら見られる(茨城県)

    • 東日本大震災の影響による材料の入手難・価格上昇に加えて、官民ともに需要が低迷していることから請負単価が低下しており、現状の業況は悪い(奈良県)

  • ≪サービス業≫
    • 盛岡市内の観光地では、震災・風評被害の影響のほか平泉効果の恩恵もあまり受けておらず、関連業者にとってはやや厳しい状況が続いている(岩手県)

    • 温泉地は観光客が戻らないなど、原発事故による風評被害の影響が長期化しているほか、観光客の減少分を補ってきた作業員による宿泊もピークを過ぎて減少傾向にある(福島県)

    • コンベンション関連においては、震災の影響による反動から売上は回復している模様であり、ホテル等の利用件数も順調に推移している(神奈川県)

  • ≪不動産業≫
    • 新築マンションの需要増などから不動産価格が上昇傾向にあるが、震災後に修繕した中古住宅は動きが鈍い(宮城県)

    • 内陸部での個人住宅の着工戸数は増加傾向にあるものの、沿岸部での不動産価格の低下・売上低迷により、全体としては厳しい状況となっている(静岡県)

    • 全体として売買需要が少ないものの、津波対策から高地に対する関心が高くなっている(和歌山県)

  • ≪運輸業≫
    • 震災による影響はほぼ無くなり物流は比較的順調なものの、最近は円安の影響を受けてガソリン価格が値上がり傾向にあり、業界にとってはマイナス要因となっている(山形県)

    • 昨年は復興需要があったが、本年は反動により業況は良くない(高知県)

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「中小企業の業況等に関するアンケート調査結果の概要の公表について」(平成25年3月29日)にアクセスして下さい。


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