預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律要綱

我が国経済において金融機関の行う資金決済が果たす役割の重要性にかんがみ、我が国の金融の機能の一層の安定化を図るため、破綻金融機関に係る資金決済の確保に関し資金決済に関する預金者その他の債権者の保護その他所要の措置を講ずる必要があるため、預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正することとする。

一 預金保険法の一部改正(第1条関係)

  • 1. 目的

    この法律の目的に、破綻金融機関に係る資金決済の確保を図ることを加えることとする。

    (預金保険法第1条関係)

  • 2. 預金保険機構の業務の範囲

    上記1.の目的を達成するため、預金保険機構(以下「機構」という。)の業務に、下記6.(2)の規定による決済債務の弁済のための資金の貸付けの業務を加えることとする。

    (預金保険法第34条関係)

  • 3. 決済用預金に係る保険料の額

    次に掲げる要件のすべてに該当する預金に係る保険料の額は、各金融機関につき、当該保険料を納付すべき日を含む営業年度の直前の営業年度の各日における当該預金(外貨預金等を除く。以下「決済用預金」という。)の額の合計額を平均した額を十二で除し、これに当該保険料を納付すべき日を含む営業年度の月数を乗じて計算した金額に、機構が委員会の議決を経て定める率を乗じて計算した金額とすることとする。

    • (1)その契約又は取引慣行に基づき下記6.(1)に規定する為替取引等の金融機関が行う資金決済に係る取引に用いることができるものであること。

    • (2)その預金者がその払戻しをいつでも請求することができるものであること。

    • (3)利息が付されていないものであること。

      (預金保険法第51条の2関係)

  • 4. 決済用預金に係る保険金の額

    決済用預金(他人の名義をもって有するもの等を除く。以下「支払対象決済用預金」という。)に係る保険金の額は、元本の額に相当する金額とすることとする。

    (預金保険法第54条の2関係)

  • 5. 決済用預金に係る保険金の支払等のための措置

    • (1)金融機関は、保険事故が発生した場合における支払対象決済用預金に係る保険金の支払又はその払戻しの円滑の確保を図るため、電子情報処理組織の整備等の措置を講じなければならないこととする。

    • (2)内閣総理大臣は、上記(1)に規定する措置が講ぜられていないと認めるときは、金融機関に対し、その必要の限度において、期限を付して当該措置を講ずるよう命ずることができることとする。

      (預金保険法第58条の3関係)

  • 6. 資金決済に関する債権者の保護

    • (1)決済債務の保護

      為替取引等の金融機関が行う資金決済に係る取引に関し金融機関が負担する債務(外国通貨で支払が行われるものを除き、金融業者以外の者の委託に起因するもの等に限る。以下「決済債務」という。)であって、かつ、支払対象決済用預金の払戻しを受けた場合に消滅するもの以外のもの等については、支払対象決済用預金に係る債務等とみなして、この法律の規定を適用することとする。

      (預金保険法第69条の2関係)

    • (2)決済債務の弁済のための資金の貸付け

      機構は、被管理金融機関等から決済債務の弁済のために必要とする資金の貸付けの申込みを受けた場合において、必要があると認めるときは、委員会の議決を経て、当該決済債務に係る上記4.の規定により計算した保険金の額の合計額に達するまでを限り、当該貸付けを行うことができることとする。

      (預金保険法第69条の3関係)

    • (3)決済債務等に係る破産法等の特例

      • 破産法等の特例

        決済債務を負担する金融機関及び決済債権者(当該金融機関との間で相互に決済債務を負担する他の金融機関等)が、決済債務の相殺に関する契約を当該金融機関に係る保険事故が発生する前に締結している場合において、当該契約の対象となる決済債務が当該金融機関に係る支払の停止等より後に生じたときであって上記(2)の規定による貸付け等を行う旨の決定があったときは、破産法等の規定にかかわらず、当該決済債権者が有する債権に係る当該金融機関が負担する決済債務を当該決済債権者が負担する決済債務と相殺することができることとする。

      • 商法の特例

        会社整理における保全処分又は特別清算開始の命令を受けた破綻金融機関に対し上記(2)の規定による資金の貸付け等を行う旨の決定があるときは、裁判所は、当該破綻金融機関の申立てにより、決済債務の弁済又は預金等の払戻しを許可することができることとする。

        (預金保険法第69条の4、第127条の2関係)

  • 7.  雑則

    内閣総理大臣は、必要があると認めるときは、機構に、上記5.(1)に規定する電子情報処理組織の整備等の措置が講ぜられていることを調査するための立入り、質問又は検査を行わせることができることとする。

    (預金保険法第137条関係)

  • 8. 罰則

    所要の規定の整備を行うこととする。

    (預金保険法第147条、第150条関係)

  • 9. 附則関係

    特定預金(外貨預金等を除く預金等のうち為替取引に用いられる預金をいう。当該預金については、平成14年4月1日から平成15年3月31日までに発生した保険事故において全額保護の対象とされている。)であって決済用預金に該当しないものについては、平成15年4月1日から平成17年3月31日までの間、決済用預金とみなすこととする。

    (預金保険法附則第6条の2の3関係)

  • 10. その他所要の規定の整備を行うこととする。

二 金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部改正(第2条関係)

  • 1. 決済債務の弁済等の許可

    破産の宣告を受けた金融機関に対し上記一6.(2)の規定による資金の貸付け等を行う旨の決定があるときは、裁判所は、破産管財人の申立てにより、決済債務の弁済又は預金等の払戻しを許可することができることとする。

    (金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第509条の2関係)

  • 2. その他所要の規定の整備を行うこととする。

三 その他

  • 1. 施行期日

    この法律は、平成15年4月1日から施行する。

    (附則第1条関係)

  • 2. 経過措置等

    経過措置等に関する規定を設けることとする。

    (附則第2条~第10条関係)

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