証券取引法等の一部を改正する法律の概要
この法律は、内外の金融情勢の変化に対応し、証券市場の構造改革を促進する必要性にかんがみ、有価証券の販売経路の拡充・多様化に資する証券仲介業制度を創設するとともに、証券会社等についてその信頼性の向上の観点から株主に関する制度の整備を行うほか、我が国取引所について国際競争力の強化と取引の流動性の向上を図る観点から持株会社制度及び外国の取引参加者が国内に支店を設けることなく取引所取引に参加できる制度の整備を行う等、所要の措置を講ずるため、証券取引法、外国証券業者に関する法律、金融先物取引法その他の関係法律の整備等を行うものである。
一 証券取引法の一部改正(第1条関係)
1. 証券会社等の主要株主
(1)証券会社の主要株主(原則、総株主の議決権の100分の20以上を保有している者)は、議決権保有割合等を記載した届出書を内閣総理大臣に提出しなければならないこととする。
(2)内閣総理大臣は、証券会社の主要株主が欠格事由に該当することとなったときは、当該主要株主に対し主要株主でなくなるための措置等をとることを命ずることができることとする。
2. 協同組織金融機関による有価証券の売買等に係る書面取次ぎの解禁
協同組織金融機関が顧客の書面による注文を受けてその計算において有価証券の売買等を行うことができることとする。
3. 証券仲介業制度
銀行等の金融機関以外の者は、内閣総理大臣の登録を受けて、証券仲介業(証券会社等の委託を受けて有価証券の売買の媒介等を行う業務)を営むことができることとする。
4. 証券取引所
(1)株式会社証券取引所の総株主の議決権の100分の50を超える議決権の取得を禁止する等、証券取引所の株主に関する制度を整備することとする。
(2)証券取引所を子会社とする証券取引所持株会社について、その設立等は内閣総理大臣の認可を受けなければならないこととするほか、株主に関する制度等を整備することとする。
5. 外国証券取引所による国内への端末設置
外国有価証券市場を開設する者は、内閣総理大臣の認可を受けて、その使用する電子情報処理組織と証券会社等の使用に係る入出力装置とを接続することにより、当該証券会社等に有価証券の売買等の取引を行わせることができることとする。
二 外国証券業者に関する法律の一部改正(第2条関係)
外国証券業者(外国証券会社を除く。)は、内閣総理大臣の許可を受けて、取引所取引を業として営むことができることとする。
三 投資信託及び投資法人に関する法律の一部改正(第3条関係)
投資信託委託業者の主要株主について、証券取引法における証券会社等の主要株主に係る規定と同様の規定を整備するほか、所要の規定の整備を行うこととする。
四 有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律の一部改正(第4条関係)
(1)認可投資顧問業者が証券業又は信託業務を営む場合について、所要の規定の整備を行うこととする。
(2)認可投資顧問業者の主要株主について、証券取引法における証券会社等の主要株主に係る規定と同様の規定を整備するほか、所要の規定の整備を行うこととする。
五 金融先物取引法の一部改正(第5条関係)
金融先物取引所の株主に関する制度及び外国金融先物取引所による国内への端末設置等について、証券取引法における規定と同様の規定を整備することとする。
六 商工組合中央金庫法、農業協同組合法、水産業協同組合法、中小企業等協同組合法、信用金庫法、労働金庫法及び農林中央金庫法の一部改正(第6条~第12条関係)
協同組織金融機関が営む有価証券の売買等に係る書面取次ぎに関する規定の整備等、所要の規定の整備を行うこととする。
七 社債等の振替に関する法律の一部改正(第13条関係)
加入者保護信託制度における加入者への支払に係る所得税法等の適用に関する所要の規定の整備を行うこととする。
八 施行期日
この法律は、次に掲げるものを除き、平成16年4月1日から施行することとする。
(1)証券取引法及び金融先物取引法等の所要の改正規定 この法律の公布の日
(2)協同組織金融機関の有価証券の売買等に係る書面取次ぎに関する規定、社債等の振替に関する法律の一部改正 この法律の公布の日から一月を経過した日