広報コーナー 第8号
 

金融審議会金融分科会第1回会合開催(1月22日(木))
 

<金融審議会について>


.中央省庁再編後初回の金融審議会総会の開催
 中央省庁再編に伴う審議会の統合による新たな金融審議会の初回総会(通算第10回)が1月29日に開催された。総会では、まず委員の互選により、貝塚啓明委員が会長に就任し、また、貝塚会長の指名により、片田哲也委員が会長代理に就任した。
 また、柳澤金融担当大臣からの挨拶の後、昨年8月に行われた諮問に加え、公認会計士制度に関し新たに諮問が行われた。諮問は以下のとおり。
 
 
<内閣総理大臣、金融庁長官及び財務大臣による諮問(昨年8月に金融再生委員会、金融庁長官及び大蔵大臣により行われた諮問を引き継ぎ)>
「経済・金融を取り巻く環境の変化を見据え、安定的で活力ある金融システムの構築及び金融市場の効率性・公正性の確保に向けて、金融に関する制度の改善に関する事項について、審議を求める。」
<内閣総理大臣及び金融庁長官による諮問(今回、新たに諮問)>
「公認会計士制度を取り巻く環境の変化を見据え、公認会計士監査の一層の充実強化及び環境の変化に適合した公認会計士制度の整備に向けて、公認会計士制度の改善に関する事項について、審議を求める。」
 
 審議会における当面の審議については、(1)情報化社会の進展に対応した金融分野における利用者保護等の在り方、(2)21世紀における利用者利便と経済の効率性向上に資する金融システムの整備、(3)金融機関監督の国際的な潮流と我が国の対応、(4)グローバルなレベルでの市場間競争の急速な進展に対応するための市場整備、(5)自動車損害賠償責任保険を取り巻く状況の変化に応じた制度整備、(6)公認会計士監査の一層の充実強化及び環境の変化に適合した公認会計士制度の整備、といった切り口から審議することとされ、これも踏まえて、金融審議会において、法令上設置されている金融分科会及び金利調整分科会に加え、自動車損害賠償責任保険制度部会、公認会計士制度部会及び金融の基本問題に関するスタディグループを設置することが了承された。


.金融分科会の開催
 金融分科会第1回会合が2月22日に開催された。まずは、委員の互選により、蝋山昌一委員が分科会長に就任し、また、蝋山分科会長の指名により、田中直毅委員が分科会長代理に就任した。その後、金融分科会における今後の審議の進め方として、3つの部会(第一部会、第二部会、特別部会)を設置することが了承された。
 第一部会(部会長:神田秀樹委員)においては、証券取引のグローバル化・情報化等に対応した市場インフラ、取引の枠組・ルールの整備等といった大きな切り口から議論を深めていくこととされた。
 第二部会(部会長:福井俊彦委員)においては、金融仲介機能のあり方に関する各種事項として、(1)金融機能の向上に関する諸問題(例えば、銀行社債の発行手続の改善、銀行による事業会社の株式取得制限(現行5%上限)等の見直し)、(2)国民のニーズに応えた金融インフラの整備(信託業法における行為規制をはじめ信託取引の全般的なルール整備について勉強を開始)、(3)保険会社をめぐる総合的な検討(資本基盤充実手段や新商品提供の促進、ディスクロージャーの改善やガバナンスの在り方等)、(4)国際的な観点も踏まえた金融機関監督、といった事項について審議することとされた。このうち、まずは、保険会社をめぐる総合的な検討について、早急に着手することとされた。
 特別部会(部会長:倉沢康一郎委員)においては、金融分野における個人情報保護等のあり方について審議されることとされ、我が国の個人情報保護システムの中核となる基本法制の確立に向けて立案作業が行われている「個人情報の保護に関する法律案」に加え、どのような別途の措置が必要かということ等について議論することとなった。
 なお、これらの部会においては、実務的・専門的な検討の要に応じ、さらにワーキンググループを設置することとしている。

【資料】
1.金融審議会委員等名簿
2.金融分科会所属委員等名簿
3.金利調整分科会所属委員名簿
4.金融審議会の構成
5.金融分科会の審議体制

(資料1)
金 融 審 議 会 委 員 等 名 簿
平成13年3月現在
会  長   貝 塚 啓 明   中央大学法学部教授
会長代理 片 田 哲 也 (株)小松製作所取締役会長
委  員 池 尾 和 人 慶応義塾大学経済学部教授
  岩 原 紳 作 東京大学法学部教授
江 頭 憲治郎 東京大学法学部教授
太 田   宏 読売新聞社編集局次長
岡 部 直 明 日本経済新聞社論説副主幹
加 古 宜 士 早稲田大学商学部教授
神 田 秀 樹 東京大学法学部教授
倉 沢 康一郎 武蔵工業大学環境情報学部教授
斎 藤 静 樹 東京大学経済学部教授
首 藤   恵 中央大学経済学部教授
関   哲 夫 新日本製鉄(株)代表取締役副社長
高 橋 伸 子 生活経済ジャーナリスト
田 中 直 毅 21世紀政策研究所理事長
成 川 秀 明 日本労働組合総連合会総合政策局長
浜   矩 子 三菱総合研究所主席研究員
原   早 苗 消費科学連合会企画委員
福 井 俊 彦 富士通総研理事長
福 間 年 勝 三井物産(株)取締役副社長
松 原 亘 子 日本障害者雇用促進協会会長
山 下 友 信 東京大学法学部教授
蝋 山 昌 一 高岡短期大学長
脇 田 良 一 明治学院大学長
〔計24名〕  
幹  事 増 渕   稔 日本銀行理事
(敬称略・五十音順)

(資料2)
金 融 分 科 会 所 属 委 員 等 名 簿
平成13年3月現在
分科会長   蝋 山 昌 一   高岡短期大学長
分科会長代理 田 中 直 毅 21世紀政策研究所理事長
委  員 池 尾 和 人 慶応義塾大学経済学部教授
  岩 原 紳 作 東京大学法学部教授
太 田   宏 読売新聞社編集局次長
岡 部 直 明 日本経済新聞社論説副主幹
片 田 哲 也 (株)小松製作所取締役会長
神 田 秀 樹 東京大学法学部教授
倉 沢 康一郎 武蔵工業大学環境情報学部教授
斎 藤 静 樹 東京大学経済学部教授
首 藤   恵 中央大学経済学部教授
高 橋 伸 子 生活経済ジャーナリスト
成 川 秀 明 日本労働組合総連合会総合政策局長
浜   矩 子 三菱総合研究所主席研究員
原   早 苗 消費科学連合会企画委員
福 井 俊 彦 富士通総研理事長
福 間 年 勝 三井物産(株)取締役副社長
山 下 友 信 東京大学法学部教授
専門委員 井 口 武 雄 三井海上火災保険(株)最高執行責任者、
取締役会長・社長
  宇 野 郁 夫 日本生命保険相互会社代表取締役社長
奥 本 英一朗 日本証券業協会会長
長 野 幸 彦 朝日信用金庫会長
山 本 惠 朗 (株)富士銀行頭取
〔計23名〕
幹  事 増 渕   稔 日本銀行理事
(敬称略・五十音順)

(資料3)
金 利 調 整 分 科 会 所 属 委 員 名 簿
平成13年3月現在
委  員   池 尾 和 人   慶応義塾大学経済学部教授
  江 頭 憲治郎   東京大学法学部教授
貝 塚 啓 明   中央大学法学部教授
関   哲 夫   新日本製鉄(株)代表取締役副社長
成 川 秀 明   日本労働組合総連合会総合政策局長
原   早 苗   消費科学連合会企画委員
松 原 亘 子   日本障害者雇用促進協会会長
〔計7名〕  
(敬称略・五十音順)

(資料4)
金 融 審 議 会 の 構 成
 

(資料5)
金 融 分 科 会 の 審 議 体 制
 
(注1 )部会には実務的・専門的な検討の要に応じワーキンググループを設置。
(注2 )特別部会については、他省庁の審議会との連携も視野。

 
<保険会社に対する監督上の措置の見直し案の公表
(パブリック・コメント)について>

はじめに
 保険会社の財務の状況を的確に把握し、その健全性の確保を図るとともに、そうした財務の状況をより適切に保険契約者等に対してディスクロ−ズする観点から、今般、保険会社に対する監督上の措置について、以下の見直しを考えている。
(1) ソルベンシー・マージン基準の見直し
(2) ディスクロージャーの更なる充実
(3) モニタリングの強化


.ソルベンシー・マージン基準の見直し
 ソルベンシー・マージン基準は、保険会社における保険金等の支払能力を示す指標(通常の予測を超えるリスクの額を分母とし、このリスクが損失として顕在化した場合に、この損失をてん補することが可能な財源を分子として比率を求めるもの。)であり、早期是正措置等の監督上の措置を行う基準として、保険会社の経営の健全性の確保の観点から重要な役割を果たしている。
 他方、金融商品の時価評価の導入に伴い、平成12年4月1日以降開始する事業年度において、このソルベンシー・マージン基準の算定の前提となる財務諸表の取扱いが変更される。今回は、こうした金融商品の時価評価の導入等も踏まえて以下の諸点につき見直しを行うものである。
 
(1)  有価証券の評価損益の反映(分子)
 これまでは、有価証券の含み損益は上場株式についてのみソルベンシー・マージン(分子)の対象とすることとしていた。今後は、時価会計の導入を踏まえ、非上場株式、国内債券、外国証券の評価損益についても新たにソルベンシー・マージンの対象とすることとする。
(2)  時価評価額に基づくリスク額の算定(分母)
 分母となるリスク額は、対象資産の残高などに一定のリスク係数を乗じることで算定しているが、価格変動リスク、信用リスク等について、この対象資産の残高をこれまでの取得価額から時価評価額に変更することとする。
(3)  債券の価格変動リスクの算入(分母)
 分母における価格変動リスクの算定にあたり、これまでは、国内株式、外国株式、外貨建債券・外貨建貸付金等、不動産、金地金、商品有価証券を対象としていたところ、今後は、国内債券についても対象とする。
(4)  「将来利益」の算入の厳格化(分子)
 これまで、有配当保険契約を減配することにより生じるリスク対応財源を「将来利益」として100%ソルベンシー・マージンに算入してきたところ、今後は、現行基準の50%に制限することとする。
 
(注 )現行基準における「将来利益」は、過去5年間の配当準備金繰入額の平均額又は直近年度の配当準備金繰入額のいずれか小さい額としている。
(5)  グループ内の銀行等とのダブル・ギアリングの否認
 これまでは、保険会社間における株式及び劣後債等の資本調達手段の意図的な保有については、ダブル・ギアリングとして否認(当該保有額を分子から控除)してきたところであるが、今後は、保険会社の子会社等(子会社、子法人等、関連法人等)に該当する銀行及び証券会社との意図的な保有についても否認の対象とする。


.ディスクロージャーの更なる充実
 保険会社の財務の状況等をより的確に保険契約者等にディスクロ−ズする観点から、新指標を創設するとともに、保険会社がディスクロージャーに関する補助資料を作成する場合の留意点を事務ガイドラインに規定する。
 
(1)  新指標の創設
 生命保険会社のフローの基礎的な収益の状況を示す指標として、有価証券の売却益等を考慮しない「基礎利益」を創設することとする。
 一方、有価証券の売却益等についても保険金等の支払に充てることが可能な財源であることを踏まえ、有価証券売却損益及び有価証券評価損益の額については別掲するものとする。
 なお、この「基礎利益」についても、保険会社の財務の状況等を示す指標の一つにすぎず、保険会社の健全性を判断するためには、その他の指標であるソルベンシー・マージン比率、資産・負債及び損益等の財務の状況、又は新規契約、解約等の業務の状況に関する指標も含めて総合的に検討することが必要である。
 
(注 )新設会社においては、設立当初における事業費負担が重いことから、基礎利益がマイナスとなる傾向があることに留意。
  [指標案]
 

(2)

 ディスクロージャー補助資料作成の留意点
 法令に基づいて作成したディスクロージャー誌に関し、保険会社が顧客への説明のため、パンフレット等の簡易な資料を作成する場合、一部の指標を取り出すことによって全体が優良であるかのように表示することのないよう事務ガイドラインに規定する。


.モニタリングの強化
 保険会社の財務及び業務の状況等に関し、期中における継続的かつ多面的な実態把握を充実させ、併せて保険会社のリスク管理強化を促す観点から、以下のとおりモニタリングを強化することとする。
 
(1)  内部管理指標によるモニタリング
 保険会社の経営実態を総合的に把握するため、市場リスク、流動性リスク、信用リスク関係の内部管理指標(新契約、解約、VaR等)を四半期毎に徴求する。
(2)  ソルベンシー・マージン比率等の上半期末の徴求
 ソルベンシー・マージン比率及び実質資産負債差額(有価証券の含み損益等も勘案した実質ベースの純資産額)について、事業年度末に加え、上半期末(9月末)にも徴求し、早期是正措置制度の発動基準等として活用する。
(3)  決算見込みの計数によるモニタリング
 下期入り後、当年度決算の見込みについて報告を徴求する。


.おわりに
 以上の監督上の措置の見直しを踏まえ、当庁としても、今後の監督行政において各保険会社の保険金等の支払能力などの経営・財務状況等を総合的かつきめ細かく把握し、十分なフォローを行っていきたいと考えている。

 
<主な出来事>(2月)
 
2日(金) 企業会計審議会総会開催
企業会計審議会第一部会開催(第5回)
5日(月) 株式会社関西さわやか銀行に対する銀行業及び担保附社債に関する信託事業の免許
6日(火) 保険業法施行規則等の一部を改正する内閣府令(案)等の公表(パブリック・コメント)
ラボ・アジア証券会社東京支店に対する行政処分
ファード・セニョーラ レバノン財務大臣の大臣表敬訪問
7日(水) 顧問会議開催(第3回)
「日本債券信用銀行の基準日貸借対照表の確定等について」発表
8日(木) 検査要員(非常勤職員)の募集(検査の補佐要員)
9日(金) 企業会計審議会第二部会開催(第14回)
預金等受入金融機関及び保険会社に係る検査マニュアルの充実について(内部監査・外部監査ワーキング・グループとりまとめ)の公表(パブリック・コメント)
  証券取引法及び金融先物取引法の一部を改正する法律等の一部の施行に伴う電子開示制度に係る政府令案の概要の公表(パブリック・コメント)
「長崎第一信用組合に対する管理の終了期限の延長について」発表
「商法等の一部を改正する法律」の施行等に伴う金融関係内閣府令案の概要の公表(パブリック・コメント)
13日(火) 「信用金庫法施行令等の一部を改正する政令」(案)の概要の公表(パブリック・コメント)
金融庁における政策評価の実施要領(案)の公表(パブリック・コメント)
株式会社なみはや銀行に対する管理を命ずる処分の取消し
15日(木) 顧問会議開催(第4回)
保険業法施行規則等の一部を改正する内閣府令等案の概要の公表(パブリック・コメント)
16日(金) 茨城商銀信用組合に対する金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分
20日(火) 金融税制に関する研究会開催(第4回)
銀行持株会社(株式会社三菱東京フィナンシャル・グループ)に対する設立認可
21日(水) 証券会社の自己資本規制に関する内閣府令等の改正案の公表(パブリック・コメント)
22日(木) 金融審議会金融分科会開催(第1回)
「証券取引法第百六十一条の二に規定する取引及びその保証金に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(案)の概要の公表(パブリック・コメント)
23日(金) 「あざみ生命保険株式会社に対する生命保険業の免許について」発表
企業会計審議会固定資産部会開催(第5回)
「大正生命保険株式会社に係る業務及び財産の管理に関する計画の承認について」発表
26日(月) 株式会社幸福銀行に対する管理を命ずる処分の取消
27日(水) 「株式会社八千代銀行の産業活力再生特別措置法に基づく事業再構築計画の認定について」発表