証券取引等監視委員会メ-ルマガジン (第62号) 平成28年1月4日
証券監視委ウェブサイト http://www.fsa.go.jp/sesc/index.htm

<目次>

1.市場へのメッセージ

2.コラム


1.市場へのメッセージ


◆最近の犯則事件の告発状況(平成27年4月~12月)について◆

証券監視委は、平成27年度において、これまでに内部者取引、虚偽有価証券報告書提出、偽計・風説の流布、相場操縦、大量保有報告書不提出の嫌疑で7件の告発を行っています。

個別の事案概要については、下記参考の報道発表を御覧いただきたいと思いますが、証券監視委による犯則事件においては、一度告発した事案に関連して再度告発に至ることは珍しくなく、その形態はさまざまです。

今年度のケースでいうと、平成27年10月23日に告発した「オリンパス株式会社に係る虚偽有価証券報告書提出事件」(下記参考4)は、平成24年3月に告発した「オリンパス株式会社に係る虚偽有価証券報告書提出事件」と同一の虚偽有価証券報告書提出事実を対象とした事案です。犯則調査当時には国外にいた犯則嫌疑者が、その後帰国したことを受け、東京地検と連携して共犯の疑いで調査を行ったところ、犯則の心証を得たため、今回告発したものです。なお、このように国外から戻ってきた共犯者を告発した他の事例としては、平成26年8月に告発した「井上工業株式会社株券に係る偽計事件」があります。

また、平成27年12月8日に告発した「石山Gateway Holdings株券に係る内部者取引事件」(下記参考6)は、同年6月15日に告発した「石山Gateway Holdings株式会社に係る偽計事件」(下記参考2)及び同年7月3日に告発した「石山Gateway Holdings株式会社に係る虚偽有価証券報告書提出事件」(下記参考3)に関し、その際の強制調査を重要事実として行われた内部者取引です。この事案のように、証券監視委による強制調査を重要事実として行われた内部者取引事案としては、平成21年3月31日に告発した「株式会社プロデュース株券に係る内部者取引事件」があります。いずれの事案においても、粉飾決算を嫌疑事実とする証券監視委の強制調査を、重要事実の類型の一つである「上場会社等の運営、業務又は財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの(金商法第166条第2項第4号:いわゆるバスケット条項)に該当するとしたものです。

この2つの事例は比較的特殊なケースといえますが、より一般的なケースとして、一つの事案について異なる視点から複数回の告発を行うことがあります。両事例のもとになった事案、すなわち、上記の平成24年3月のオリンパス事案のように会計年度を分けるなどして3度の告発をしたものや、上記の石山Gateway Holdings事案のように、偽計と粉飾で2度の告発を行ったものが、その実例として挙げられます。

また、平成27年12月に告発した「新日本理化株式会社株券に係る相場操縦事件」(下記参考5)及び「新日本理化株式会社及び明和産業株式会社の各株券に係る風説の流布、偽計及び大量保有報告書不提出事件」(下記参考7)は、風説の流布及び偽計行為に関連して、大量保有報告書の不提出や相場操縦行為が認められたことから、それらを併せた上で、2度にわたって告発することとしました。この事例も、犯則類型や手口の性質などを考慮して、複数回の告発となったものです。

犯則事件の高度化・複雑化が進む中で、複数の犯則類型や手口を組み合わせた犯則事案が発生する機会は、今後一層増えてくると考えています。証券監視委では、そのような複雑な事案について十分な実態解明をしていくため、これからも、様々な角度からの犯則調査を心がけていきたいと考えています。

(参考)平成27年4月~12月の証券監視委による告発事案


2.コラム

[日本取引所自主規制法人からの寄稿]


◆上場会社の役職員による自社株売買確保に向けた取組みについて◆

「有価証券の取引等の規制に関する内閣府令」の一部改正(2015年9月16日施行)により、いわゆる「知る前契約・計画」に係るインサイダー取引規制の適用除外の範囲が拡大されました。

府令改正に合わせ、日本取引所自主規制法人は東京証券取引所とともに、上場会社宛てに通知「役職員による自社株売買機会の確保に向けて」を発出し、上場会社の役職員による自社株売買に係る社内ルールについて、今回の府令改正への対応と併せて、社内ルールが過剰に厳しいものとなっていないかの点検をしていただき、必要ならば、所要の見直しを行っていただくようお願いしました。

また、日本取引所自主規制法人では上場会社の実務担当者を対象としたセミナーを開催し、いわゆる「知る前契約・計画」に係る制度内容の解説及び実務上の活用例の紹介を行うとともに、自社株売買に係る社内ルールの見直しの観点を説明しました。

今後は、上場会社における社内ルールの見直し等の状況について、アンケート調査を実施する予定です。

なお、通知やセミナーの内容につきましては、当社グループウェブサイトにも掲載しておりますのでご参照ください。

日本取引所自主規制法人 売買審査部


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