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1.はじめに
平成18年12月24日に閣議決定された平成19年度政府予算案における金融庁関連の機構・定員及び予算の概要について説明します。
金融サービスの利用者保護を図り、利用者が安心して安全に取引を行うことができるよう、市場監視機能の強化及び消費者保護施策等の推進、並びに郵政民営化への対応を中心に、以下のとおりの体制整備及び総額約221億円の予算が認められました。
2.機構・定員
(1)市場監視機能の強化(41人)
○金融商品取引法の施行に伴う規制対象の拡大等を踏まえ、証券取引等監視委員会事務局を2次長体制とするなど証券市場監視体制を大幅に強化するとともに、監督体制を整備することとしました。
○恒常的に変貌を遂げている市場・企業開示に係る制度の企画立案体制を強化することとしました。
(2)消費者保護施策等の推進(9人)
貸金業の利用者保護のための検査・監督体制及び金融サービス利用者相談の体制を強化するとともに、消費者保護施策等の推進に関する制度の企画・立案体制を強化することとしました。
(3)郵政民営化への対応(12人)
郵政民営化法により金融庁の監督対象となる郵便貯金銀行及び郵便保険会社に対し的確な監督を実施するため、参事官(郵便貯金・保険監督担当)を設置するなど、郵便貯金銀行及び郵便保険会社に対する検査・監督体制を整備することとしました。
【内訳】
(注) 総務企画局の「計画削減・振替等」には、計画削減及びFIUの警察庁への移管に伴う振替減等が含まれている。
3.予算
(1)新庁舎移転関係経費など、総額で約221億円が認められました。
(2)なお、預金保険機構に係る政府保証枠については、金融システムの安定を引き続き揺るぎないものとするとの考え方に基づき、48兆円が認められました。
(参考)平成18年度預金保険機構の政府保証枠
平成19年度 金融庁予算(概算決定)の概要
(注)1 | .各々の計数を百万円未満で四捨五入したため、計数が符号しない場合がある。 |
2 | .預金保険機構に係る政府補償枠については、金融システムの安定を引き続き揺るぎないものとする考え方に基づき、48兆円を確保。 |
(注) | 各々の計数を百万円未満で四捨五入したため、計数が符号しない場合がある。 |
※ 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「平成19年度機構・定員及び予算について」(平成18年12月25日)」にアクセスしてください。
近時、企業活動の多様化・複雑化・国際化が進展する中、監査業務も複雑化・高度化しています。その一方で、公認会計士監査をめぐる非違事例等、監査の信頼性を揺るがしかねない事態が生じており、これらは組織的監査の重要性を改めて浮き彫りにしています。
このような問題意識に立って、昨年4月以降、金融審議会公認会計士制度部会において、公認会計士・監査法人制度のあり方について審議が行われ、12月22日に報告書「公認会計士・監査法人制度の充実・強化について」が取りまとめられました。
報告書における主な提言は以下のとおりです。
1.監査法人の品質管理・ガバナンス・ディスクロージャーの強化
(1)監査法人の業務管理体制の適切な構築・運用の確保
監査法人において、
i)監査証明業務を執行する者、
ii)審査等、品質管理を担当する者、
iii)品質管理体制の整備等、業務運営に関する意思決定を行う者、
の役割分担の明確化
(2)監査法人の社員資格の非公認会計士への拡大
(3)情報開示の義務付けによる監査法人自身の透明性の確保
2.監査人の独立性と地位の強化
(1)独立性の強化に向けたルールの整備等
○独立性保持に関する総則的規定の整備
○監査法人社員の退職後の就職制限及び退職社員が役員に就職した会社に対する出身母体監査法人による監査の制限を連結ベースに拡大
○特定企業への報酬依存(50%超)に関する日本公認会計士協会ルールの徹底
○大規模監査法人で上場会社監査に従事する主任会計士に係るローテーションの法定化(現行、日本公認会計士協会のルールにおいて、一般原則の継続監査期間7年、インターバル期間2年を継続監査期間5年、インターバル期間5年に加重)
○新規公開時におけるローテーション期間の短縮
(2)監査人の選任・監査報酬の決定等に関する適切な枠組みの整備
○監査人の選任、監査報酬の決定における監査役の役割強化(同意権→議案等決定権)を提言(会社法関連事項)
○監査報酬に係る企業及び監査人による開示の強化
○監査人交代時における企業及び監査人による開示の強化
○財務書類に重要な影響を及ぼす不正・違法行為について会社における是正が図られない場合の当局への報告義務
3.監査法人等に対する監督・責任のあり方の見直し
(1)行政処分の多様化(現行は戒告、業務停止、解散命令の三類型)
i)業務改善命令
ii)役員等解任命令
iii)専門職業教育・訓練の指示
iv)個人の公認会計士による著しく不当な業務遂行に対する処分・業務改善指示
(2)経済的な非違抑止の手段の導入
(3)有限責任組織形態の監査法人制度の導入
(要件としてi)登録制、ii)最低資本金、iii)財務書類の開示、iv)保証金の供託、保険加入等を設ける)
(4)品質管理上必要と認められる場合に、日本公認会計士協会の品質管理レビューを待たずに公認会計士・監査審査会が監査法人等に対して報告徴求・立入検査を行うことを容認
(5)外国監査事務所に対する届出(登録)、検査・監督の導入
金融庁としては、この報告に示された提言を踏まえ、本通常国会に「公認会計士法等の一部を改正する法律案」を提出する予定です。
※ 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「公認会計士・監査法人制度の充実・強化について」(平成18年12月22日) にアクセスして下さい。
平成17年3月に公表された「地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム(平成17~18年度)」(以下「新アクションプログラム」という。)に基づき、各地域金融機関は、それぞれの「地域密着型金融推進計画」(以下「推進計画」)を策定・公表し、取組みを進めています。
各金融機関が「推進計画」の平成18年度上半期(平成17年4月~平成18年9月)における進捗状況について、それぞれ公表を行ったことを踏まえ、金融庁においても、昨年12月21日、平成18年度上半期の金融機関による取組み実績とこれについての評価及び今後の課題等について取りまとめ、公表しました。概要は以下のとおりです。
(参考)対象金融機関数 574金融機関(平成18年9月末 現在)
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地方銀行 65行(埼玉りそな銀行を含む)、第二地方銀行 47行 信用金庫292金庫、信用組合170組合 |
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1.金融機関の取組み実績
地域密着型金融の機能強化に向けた取組みは、新アクションプログラムに移行してから1年半が経過したところ、事業再生、創業・新事業支援等の取組みの一部に伸び悩みも見られるものの、総じて実績は着実に上がっていると言えます。
具体的な項目について、主な傾向をまとめれば以下のとおりです。
(1) 創業・新事業支援機能等の強化
創業・新事業支援のための融資は、政府系金融機関等との協調融資は伸び悩んだものの、自前の創業等支援融資商品による融資を中心に着実に進捗しています。また、少額ながらも、新連携事業等、産学や多業種間で連携した新たな取組みも実績が増加しています。
(参考)
- 創業等支援融資商品による融資
16年度 2,817件 250億円 ⇒ 17年度 5,449件 603億円
⇒ 18年度上半期 3,359件 361億円 - 政府系金融機関等との協調融資
16年度 702件 684億円 ⇒ 17年度 809件 987億円
⇒ 18年度上半期 367件 326億円 - 企業育成ファンドへの出資 16年度 153億円 ⇒ 17年度 241億円
⇒ 18年度上半期 119億円
(2) 取引先企業に対する経営相談・支援機能の強化
取引先企業に対するコンサルティング・情報提供機能の強化のため、商談会の開催等ビジネスマッチングの取組みが積極的に行われており、その成約件数は引き続き大きく増加しています。また、社債発行支援、M&A支援、株式公開支援とも着実に実績が上がってきています。
要注意先債権等の健全債権化等に向けた取組みについては、各金融機関において引き続き多様な経営改善支援の取組みが実施されています。地域銀行においては、平成17年度~平成18年度上半期に経営改善支援を行った債務者(正常先を除く。)の20.0%(約6,450先)の業況が改善し、債務者区分がランクアップしています。これは前回のアクションプログラムの1年目~2年目上半期の実績率を上回っています。
(参考)
- 経営改善支援取組み先(正常先を除く)のランクアップ率
15年度~16年度上半期(集中改善期間の1年目~2年目上半期) 19.9%
⇒ 17年度~18年度上半期(重点強化期間の1年目~2年目) 20.0% - ビジネスマッチングの成約案件 16年度 10,428件 ⇒ 17年度 15,954件
⇒ 18年度上半期 11,548件
(3) 事業再生に向けた積極的取組み
事業再生に向けた取組みについては、全般的な傾向として、大口先からより規模の小さい先やより再生が困難な先へ対象が広がる中、中小企業再生支援協議会の活用の件数や、企業再生ファンドへの出資の金額は、前年並みで着実に進捗しています。そのような中、特に整理回収機構を活用した支援が伸びており、また、再生手法としては、DES(債務の株式化)の活用が件数、金額とも大きく伸びています。
(参考)
- 中小企業再生支援協議会の再生計画策定先
16年度 302件 3,422億円 ⇒ 17年度 380件 3,572億円
⇒ 18年度上半期 188件 1,446億円 - DDS 16年度 57件 281億円 ⇒ 17年度 64件 257億円
⇒ 18年度上半期 18件 58億円 - DES 16年度 33件 261億円 ⇒ 17年度24件 191億円
⇒ 18年度上半期 23件 166億円
(4) 担保・保証に過度に依存しない融資の推進等
財務制限条項を活用した融資商品やシンジケートローンの組成が、件数、金額とも大幅に増加しています。また、スコアリングモデルを活用した融資や、債権譲渡担保融資については、幅広く普及しつつある中、少額ながらも動産担保融資の実績件数が急増しています。
(参考)
- 財務制限条項を活用した商品による融資
16年度 3,632件 954億円 ⇒ 17年度 5,486件 2,031億円
⇒ 18年度上半期 3,481件 1,193億円 - シンジケートローンの組成
16年度 420件 4,792億円 ⇒ 17年度 567件 5,245億円
⇒ 18年度上半期 314件 4,151億円 - スコアリングモデルを活用した商品による融資
16年度 19.1万件 1.8兆円 ⇒ 17年度 25.0万件 2.6兆円
⇒18年度上半期 10.6万件 1.2兆円 - 動産・債権譲渡担保融資
16年度 19,000件1,737億円 ⇒ 17年度 23,585件 1,998億円
⇒18年度上半期 9,982件 929億円
(うち動産担保融資) 17年度 27件 47億円
⇒18年度上半期 55件 38億円
2.金融機関の取組みについての評価及び今後の課題
総じて取組みは順調に進捗しているとの評価が多いものの、金融機関からは、事業再生のスピードアップや、総合的リスク管理態勢の構築、法令等順守態勢の強化、利用者への情報提供等が課題としてあげられたほか、利用者からは、金融機関が二極化している、職員の能力や本支店間に格差がある、非財務情報の評価能力や事業再生のノウハウが不足している等の意見もありました。
新アクションプログラムの最終段階となる平成18年度下半期は、各方面の意見も踏まえ、各種の取組みを一層積極的に進めていくことが地域金融機関に求められます。
※ 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「『地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム(平成17~18年度)』の進捗状況について(18年度上半期)」(平成18年12月21日)にアクセスしてください。
地域銀行の平成18年度中間決算発表を受けて、金融庁では各行の発表した計数等を集計し、12月8日に公表しました(公表後、銀行による修正を踏まえて1月18日に更新)。
以下、地域銀行の平成18年度中間決算の概要について説明します。
1.収益の状況
平成18年9月期の中間決算については、貸出金残高は増加したものの、預貸にかかる利鞘が減少したほか、国債等債券関係損益が損に転じたため、本業のもうけを示す実質業務純益は減少。この結果、中間純利益は4,026億円となり、平成17年9月期(4,587億円)に比べ減益となりました。
なお、役務取引等利益は増加しているほか、有価証券利回りが上昇したことから、資金利益自体は全体として増加となりました。
2.自己資本比率の状況
自己資本比率(単体加重平均ベース)は、利益計上による自己資本の増加等から9.9%と平成18年3月期に比べ0.1%ポイントの上昇となりました。
3.不良債権の状況
不良債権(金融再生法開示債権)残高は8.4兆円となり、平成18年3月期と比べ0.3兆円減少しました。
不良債権比率は4.4%と平成18年3月期に比べ0.1%ポイント低下し、ピーク時の平成14年9月期(8.3%)の半分近い水準となり、全体として、引き続き低下しています。
※ 地域銀行とは、
平成18年9月期は地方銀行64行、第二地方銀行47行、埼玉りそな銀行の112行、平成17年9月期は地方銀行64行、第二地方銀行48行、埼玉りそな銀行の113行。
※ 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「地域銀行の平成18年度中間決算の概要(更新)(暫定集計値)」(平成19年1月18日)にアクセスしてください。
「ストック・オプション等に関する会計基準」等の会計基準の導入及び「会社法」等の施行に伴い、中間財務諸表等規則、中間連結財務諸表規則(以下「中間財務諸表等規則等」という)及び企業内容等の開示に関する内閣府令が改正(平成18年5月1日施行)されています。
これらの改正等に伴い、平成18年9月中間決算及び今後の半期報告書の作成・提出に際しては、以下の事項について留意する必要があります。
I.中間財務諸表等規則等の改正等について
「ストック・オプション等に関する会計基準」等の会計基準及び「会社法」の施行に伴う中間財務諸表等規則等の改正(平成18年4月25日公布)については、平成18年5月1日以後に終了する中間会計期間(中間連結会計期間)から適用されます。
また、「企業結合に係る会計基準」及び「事業分離等に関する会計基準」の導入に伴う中間財務諸表等規則等の改正(平成18年4月26日公布)については、平成18年4月1日以後に開始する中間会計期間(中間連結会計期間)から適用されます。
上記改正にあわせて、中間財務諸表等規則ガイドライン及び中間連結財務諸表規則ガイドラインが改正されております。
II.企業内容等の開示に関する内閣府令の改正について
改正後の企業内容等の開示に関する内閣府令については、施行日以後終了する中間会計期間に係る半期報告書から適用することとしております。
III.添付書類(代表者による適正性の確認)について
代表者の確認書制度については、金融商品取引法において義務化され、平成20年4月1日以降開始する事業年度から適用されます。それまでの間は、この確認書の提出は任意のものとなっておりますが、経営者自らが市場における信頼性の向上を積極的に図っていくためにも、この制度の一層の活用をお願いいたします。
※ 詳しくは、金融庁ホームページの「市場の信頼性確保」から「半期報告書の作成・提出に際しての留意事項について(平成18年9月中間期版)」にアクセスしてください。
【中国】
山本大臣は平成18年12月26日から28日にかけて中国を訪問しました。
中国では、周小川・人民銀行行長(総裁)、劉明康・銀行業監督管理委員会主席、尚福林・証券監督管理委員会主席、及び 李克穆・保険監督管理委員会副主席と会談しました。
一連の会談では、先般の日中首脳会談において、「金融」に関する「互恵協力」が点分野として謳われたことを受け、日中の金融監督当局間の協力関係をより一層強化していくことで意見が一致しました。
また、先方から中国の金融セクターの改革の進捗についてのご説明をいただくとともに、日中双方の金融部門における民間企業のビジネス環境の一層の改善等について意見交換を行いました。
今回の訪問をスタート台として、今後、実務レベル協議の定期化等、日中両国当局間の互恵協力・信頼関係を深めていくことが極めて重要と考えております。
山本大臣の中国訪問:銀行業監督管理委員会主席 劉 明康 氏との会談
【英国、米国】
山本大臣は、平成19年1月7日から14日にかけて英国及び米国を訪問しました。
英国では、キング・イングランド銀行総裁及びマッカーシー金融サービス機構長官他と会談し、また再チャレンジ関連で若年者向け教育訓練施設の視察や関係者との面談を行いました。また、米国ではバーナンキ連邦準備制度理事会議長、コックス証券取引委員会委員長及びガイトナー・ニューヨーク連銀総裁他と会談しました。
一連の会談では、わが国金融市場の国際競争力向上に向けて、わが国が今後取り組むべき方向性等についての意見交換が行われ、また、グローバル化が進展する中で、金融当局相互の連携を更に深めていくことで意見が一致しました。
金融庁では、今回の訪問を踏まえ、世界の二大国際金融センターである両国の金融当局者・市場参加者等との意見交換を通じて、「貯蓄から投資へ」という流れをより一層確かなものとし、我が国金融・資本市場の国際金融センターとしての魅力を更に向上させていくことが重要であると認識しており、金融審議会にスタディグループ(仮称:我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ)を設置し、国際的に魅力ある市場の構築に向けた方策を検討したいと考えています。
今回の訪問は、二大国際金融センターたる英米の金融当局者・市場参加者の生の声に接して連携・対話の強化を図ることができ、大変有意義なものとなりました。
山本大臣の米国訪問:証券取引委員会委員長 コックス氏との共同記者会見
※ 詳しくは、金融庁ホームページの「記者会見等」から「山本内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(平成19年1月5日)」、「山本内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(平成19年1月16日)」にアクセスしてください。