【金融ここが聞きたい!】

  • このコーナーは、大臣の記者会見における質疑・応答(Q&A)などの中から、時々の旬な情報をセレクトしてお届けするものです。

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〔地域力再生機構への対応〕

Q: 昨日(6月28日)、地域力再生機構の第一回会合がありまして、今後、本格的に地銀を使って何らかのインセンティブを付けながらきめ細かくということだと思うのですが、どこまで、金融庁として、組織的なバックアップをおやりになる予定なのでしょうか。

A: 不良債権処理については、リレーションシップバンキング、出来れば継続的なゴーイング・コンサーンでの処理というのが可能であれば、地域の雇用情勢や経済関係に変化や悪影響がないと思っておりますので、その意味では、出来るだけ不良債権処理には慎重な姿勢が必要だと思っております。しかしながら、産業の将来性を考えた時に、早く労働移動をしたほうがいい産業というのも当然あるだろうと思います。そういったところを、逆に、今度はリレーションシップバンキングの枠の中だけでは処理できないという点について、他のファンドを利用する、或いは人的な資源を供給していただくということから、労働移動が円満に行われるということになるならば、その地域におきましては朗報であろうと思います。そんな意味で、地域銀行の理解を得るために、金融庁としましても、積極的に関与をし、また、情報提供するという形で取り組んでまいりたいと思っております。

【平成19年6月29日(金)閣議後記者会見】

〔スティール・パートナーズによるブルドックソースへの敵対的TOB〕

Q: 東京高裁が、昨日(7月9日)、ブルドックソースに敵対的TOBを仕掛けていたスティール・パートナーズに対して、濫用的買収者と認定した上で、買収防衛策の発動について判断したわけですけれども、これによって、日本の企業として初めて防衛策を発動したわけですが、この件について大臣の評価をまずお聞きかせ下さい。

A: 7月9日、東京高裁がスティール・パートナーズの抗告を棄却したことは承知しております。個別事案に関する事柄であり、金融庁としてコメントすることは差し控えさせていただきます。また、株価は様々な要因を背景に市場において決定されるものでございますし、また株式投資は、個々の投資家が投資判断をされるものでございます。その変動要因を特定することは困難であることから、コメントは差し控えさせていただきます。全て一般論に近いわけでありますが、株主総会が開かれ、いわゆるM&Aや株主利益が、どこにあるかの選択をされた時に、一応の日本側の事業会社側に優位な展開が見られたというように報じられております。そうであろうと思います。また、今回の事例も含めまして、株主買収防衛策という具体的な計画を示されたというのは、特別なケースであったとも思いますが、全体的としては、市場の中での公開買い付け、或いは市場である以上は、上場している以上は、好むと好まざるとに関わらず、株主の皆さんに対応しなければならないという宿命を帯びているという原則論が明らかになってきた昨今の市場でございます。そして、グリーンメーラーと揶揄されるような行動もあるわけでございますけれども、それは全て市場の中で織り込まれたものであり、かつまた市場の中で解決をしていくべきことであろうと思います。そんな意味で、これから、市場は第一幕目をやや終了しつつあり、今後、第二幕目に展開するであろう、いわゆるグローバル経済の中の株式市場のあり方というものを問うことになろうと思っております。特に私の方としましては、事業会社側の防衛策担当、及び防衛策の相談を受けられている企業弁護士側の方々の、いわゆる情報収集や対抗策研究が、格段に、飛躍的に進展されたのではないかと思っておりまして、今後、グローバル経済に対する備えが、段々に、攻めるも守るも十分な理解と手法が備わってきているように思っておりまして、頼もしく感じる市場展開であろうと思っております。今後、さらなる双方の努力を期待するところでございます。

Q: 外国ファンドは、かなり日本企業に積極的に投資をしてきたわけですけれども、今回の判断について、一部では、外資が日本市場から撤退していくのではないかとの見方もあるわけですが、金融行政に与える影響、金融行政を運営していく中で、今回の判断が与える影響についてお聞かせ下さい。

A: 外資が一部ケースで敗退した、だから全て市場に嫌悪感が生じるのではないかということはあり得ないと、私は思います。あくまで、シーンの一場面でありまして、次なるページは、おそらくグローバルマーケットの中での展開がさらに深まって行くだろうと思います。様々なロンドンやニューヨークの出来事、シンガポールの出来事を考えました時に、これは知恵比べですから。知恵というのは、無尽蔵に豊富に出てくるものなりと私は思っておりますので、今後は、さらに工夫を凝らした攻撃があり、また防御がなければならないというように、展開が繰り広げられることを予想するところでございます。

【平成19年7月10日(火)閣議後記者会見】

〔新潟県中越沖地震への対応〕

Q: 昨日(7月16日)の中越沖地震で、既に関東財務局、日本銀行の新潟支店の方で、被災された方の預金払い戻し対応などを要請されているようですが、今後、金融庁、或いは大臣として、何か追加的な対応をされるお考えはあるでしょうか。また、現状について、どのように認識されているか伺えれば助かります。

A: まず、地震で亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げます。また、被害に遭われた方々に対しまして、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。また、総理も昨日、現地を訪れておられまして、総理のリーダーシップの下、政府が一体となって、被災地地域への支援、復旧に全力をあげて参らなければならないというように思っております。また、新潟県内の金融機関につきましては、一部におきまして、停電等のため、休業を余儀なくされているものの、大方の金融機関の店舗営業は本日の定時から支障なく行われていると承知しております。

(略)

今後、地域の被災者のニーズに応じた適切な対応を行うことが望ましく、それぞれの経営判断の下で必要な対応が行われていくことを期待しているところでございます。そして、また、関東財務局新潟財務事務所長、日本銀行新潟支店長から各機関に発せられました要請は、こうした自然災害の時の通常のありよう、緊急のありようですが、まず、金融機関の要請として預金証書・通帳を紛失した場合でも、預金者であることを確認して払い戻しに応ずること、届出の印鑑のない場合には拇印にて応ずること。事情によっては、定期預金、定期積金等の期限前払い戻しに応ずること。また、これを担保とする貸付についても応ずること等々、こうした要請を書面にてさせていただいておりますし、証券会社へも同様でございますし、生損保へも同様でございます。そういうように、今後、金融機関でも地域のニーズに応じた対応が取られていくだろうと思っておりますし、もし、何らかありましたら、金融庁としては、直ちにきっちりとした対策を取りたいというように思っております。以上でございます。

【平成19年7月17日(火)閣議後記者会見】

〔村上ファンド裁判〕

Q: 今週、村上ファンドの裁判の判決が出るのですけれども、大臣のお考えとして、村上ファンドが経済界に与えた影響、また変化というものを、大臣はどのようにお考えでしょうか。

A: 裁判のことにつきましては、司法判断でございますので、私は、ひたすら判決については見守りたいと思います。また、こうした巨額な資金を運用される方々にとっての健全なあり方というものは、社会に問われたことだろうと思っておりますし、他方で、このことを是とする人、或いは非とする人というのが、地域地域、各層、各分野におられると承知しておりますけれども、しかし、そこは犯罪として、私は見つめているわけでございまして、その意味におきましては、二度とこうしたことによって、健全なマネージメントをする方々や、取引をされておられる方々の評価を落とすことのないように、市場のステークホルダー、関係者としては、健全な考え方を持って事業に取り組んでいただきたいと思うところでございます。

【平成19年7月17日(火)閣議後記者会見】

〔米国のサブプライム・ローン焦げ付き問題〕

Q: アメリカでサブプライム・ローンの焦げ付きが問題化しておりますけれども、先週、FRBのバーナンキさんも、サブプライム・ローンを組み込んだ証券、或いはファンドとか金融機関の貸付けなど、最大1,000億ドル、日本円にして12兆円ぐらいだと思うのですが、そのぐらいの損失になると発言されていらっしゃいましたけれども、この動きと、邦銀も一部貸付けがあるのではないかという見方がありますけれども、邦銀への影響について大臣はどのようにお考えでしょうか。

A: アメリカにおきまして、サブプライム・ローンの焦付きなどによりまして、金融機関等が多大な損失を被る可能性がある、と指摘がされております。一般論として申し上げれば、サブプライム・ローンが組み入れられているような高リスクの金融商品につきましては、個々の金融機関が適切なリスク管理の下で投資することが必要であると考えております。いずれにせよ、金融庁といたしましては、本問題も含め、金融機関のリスク管理状況を十分注視して参りたいと考えております。
 バーナンキさんのご発言は、かなり世界を駆け巡っておりますし、我々も注視をしているところでございます。この間来られた、ヴォルカーさんというFRBの前の前の議長さんにもこのお話を聞いたところでございます。全体としての印象は、確かにリスクというものを考えながらのサブプライム・ローンという仕組みがあるけれども、この量と、もし万が一のデフォルトみたいなものの数字を計算しても、銀行というものが、しっかり態勢を組んでいることからすると、世界全体の景気、景況観に与える影響は、さほど広がるものではないだろうという感想をこちらは受け取ったわけでございます。しかしながら、経済というのは、非常にマインドという面を重視する必要がございますので、こういったことに対しても、注意深くFRBが対処しておられるという、この間のバーナンキさんのしっかりとしたお話については、私ども、アメリカのこうした対応については、しっかりした態勢で臨んでおられると評価するところであります。

【平成19年7月24日(火)閣議後記者会見】

〔ダヴィンチ・アドバイザーズによるテーオーシーへの敵対的TOB〕

Q: テーオーシーとダヴィンチの敵対的TOB成立の可否が間もなく判明するわけですけれども、敵対的TOBが成立すれば初ということで、金融市場に与える影響について、ご所見を伺いたいのですが。

A: 長官会見でもありましたように、個別案件についてコメントは差し控えさせていただきと思います。
 一般論で申し上げれば、公開買付けの局面において、株主、投資者が適切な情報に基づいて投資判断を行うためにも、しっかりとした透明性、公平性が市場に必要だということは、これまた自明の理でございます。こうした観点からして、今回のこのケースで、情報開示が適切に行われているかどうか、そして、いわば、この種の不動産ファンドのダヴィンチ・アドバイザーズによるテーオーシーへのTOBが締め切られて、成立するというようなことは、市場としましては新しいニュースとして受け取られるわけでございますが、我々としては、適正な手続きが進んでいるかどうかという観点で見守っていきたいと思っておりますが、いわば、こうした新しい局面局面に応じて軽挙妄動することのない健全な市場の構築に努めてまいりたいと考えております。

【平成19年7月24日(火)閣議後記者会見】


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