【金融ここが聞きたい!】

  • このコーナーは、大臣の記者会見における質疑・応答(Q&A)などの中から、時々の旬な情報をセレクトしてお届けするものです。

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〔サブプライムローン問題〕

Q: G7会合ですが、今日開幕してサブプライム問題が議論になる見通しとなっています。この会合についての大臣の期待と、世界金融市場についての現状認識を改めてお願いします。

A: これは、夏ほどの不安心理はございませんけれども、かねてから申し上げているように油断大敵だと思います。これで完全に終わったわけではないという認識に立った各国の協調体制が必要であるかと思います。

(中略)

 言ってみれば、21世紀型の危機管理が求められる時代になっていると思います。たまたま、ブラックマンデーが20年前に起きました。その当時とは比べものにならないくらい、リスクが複雑化し拡散をしているわけです。グローバル資本主義の中で、瞬時にお金が移動していくということは、危機の波及スピードもそれだけ速いということでありますから、まさに危機というものをどれだけ認知し、これを肥大化させないような方策を取っていくかということがまず必要になるかと思います。それぞれの金融機関においては、リスク管理の徹底ということがさらに求められていくと思います。

平成19年10月19日(金)閣議後記者会見より抜粋

Q: G7でサブプライムローン問題に関連して、格付機関への監督の仕方とか、金融機関のリスク管理などについて、今後更に検討することとなりましたけれども、大臣として今後、この問題についてどのように取り組んでいかれるお考えでしょうか。

A: 既に、この問題は、私のところで金融市場戦略チームを作りまして、鋭意検討中でございます。格付会社と金融機関との不透明な関係も指摘されておりますし、また、高い格付けの金融商品が突如、その格付けが引き下げられるというようなことが起こって、実際に値段が付かないという場面もあったりしたわけであります。こうしたことが何故起こったのか、そのあたりを、今、分析をしているところでございまして、どういう対応策があり得るかを検討しております。近々、格付けの専門家からも意見を聴取する予定になっております。いずれにしても、G7でこういう議論が行われているわけでありますから、私としては、油断大敵というスタンスで引き続き取り組んでいきたいと思っています。

平成19年10月23日(火)閣議後記者会見より抜粋

Q: サブプライム問題で、今でも損失が拡大しておりますけれども、今後、リスクがあるとするならば、どういったものでしょうか。

A: 海外のラージ・アンド・コンプレックス・フィナンシャル・インスティテューション、巨大複合金融機関の決算状況を見ますと、サブプライム・ローン問題がいろいろなところに広がりをみせているということがわかります。例えば損失がLBO(レバレッジド・バイ・アウト)の世界にも及んでいるということでありますから、この問題はそう簡単に収まる話ではないと改めて認識をいたしました。私のところでやっております金融市場戦略チームへも、今週は格付機関においでいただいてヒアリングをいたしますけれども、とにかく、日本としてどういう危機管理を行っていくか、その戦略についての第一次レポートを来月中には出したいと思っております。

平成19年10月30日(火)閣議後記者会見より抜粋

Q: 日本の金融機関もサブプライム損失を一部開示し始めておりますけれども、それについてはいかがお考えでしょうか。

A: 個別の話はいたしませんけれども、先ほども申し上げたように、日本の金融システムが安定化に向かってきている。そういう中で、日本の金融機関がそれほどリスクを取れる状態にはまだなっていなかったという不幸中の幸いもあったかと思います。また、バーゼルIIをいち早く実施をしてきたという効果もあったのではないかと思います。そういったことが重なって、日本の大手金融機関のサブプライム関連損失が欧米に比べて、比較的軽微で済んでいるという認識を持っております。

平成19年10月30日(火)閣議後記者会見より抜粋

〔証券税制〕

Q: 証券税制について、これまで「豊かさ実感」ですとか、「貯蓄から投資への流れ」ということをおっしゃっておりましたが、なぜ重要なのか、今、損しても、数年後の日本の経済にどうしてプラスになるのか、この辺を、なかなか難しいかと思いますが、改めて具体的におっしゃっていただきたいということと、今後の協議にどう臨むのか、その辺についてお聞かせください。

A: 日本人は本当に一生懸命働いて、富を蓄積してきたのですが、その富の蓄積の個人版が、個人金融資産、1,550兆円を超える資産になっているわけです。したがって、これを上手に使ったり、運用したりすると、まさしく個人が豊かさを実感できることにつながっていくのです。しかし、不幸なことに、日本ではずっとデフレが続いてまいりました。金利も超低金利状態であります。一方、諸外国では、例えばフランス人は日本人よりもかなり違うお金の運用の仕方をしているのです。いわゆる預貯金ももちろんありますが、リスクマネーとして投資をしている部分はかなりシェアがあります。その次が、アメリカ人ぐらいだと思いますが。そういう具合にリスクマネーとして運用をしている国々と日本を比較してみますと、(日本ではリスクマネーの)シェアが非常に低いことがあります。大半が預貯金という形で、これはデフレの下で超低金利ということでありますから、金利収入で豊かさを実感しようと思っても、これはできない話であります。経済がある程度成長していけば、そういうリスクマネーとして運用した分については、まさに豊かさを実感できる使い方ができるのではないでしょうか。その意味で、折角稼いだ富を預貯金の形で運用する部分があまりにも多いものですから、なかなか豊かさの実感に通じていっていないのだろうと思います。
 金融資産の中で、配当とかキャピタルゲインとか言うものも、利子所得と別立てで、利子所得よりもより優遇して、税を組み立てていくという過渡期の処置が今までのやり方であったわけです。考えてみれば、こういう非常事態対応でやってきた税制というのは、構造改革という側面を考えれば、より恒久化してよいのではないかという形で、配当税制については恒久化の要望を出したところです。これを実現するためには、いくつかのハードルを越えなければいけません。まずは、(財務省)主税局の壁、主税局のハードルがあります。与党・税調のハードルがあります。そして、国会のハードルがあります。いずれも簡単に越えられるとは思っておりませんが、国民の多くがこういう税制が必要であると考えていただけるのであれば、これらのハードルは越えていくことができるということを申し上げております。

平成19年10月2日(火)閣議後記者会見より抜粋

Q: 来年度税制改正で、証券優遇税制が一つの焦点になるかと思いますが、民主党は金持ち優遇として廃止を求めていますが、大臣のご認識、今後の論議の行方について改めてお考えをお聞かせ下さい。

A: これを金持ち優遇というのは、ちょっと現実離れしていると思います。投資信託などをお買いになる方で、一番多いのは年金生活の方なのです。そのような年金生活者が金持ちなのかというと、ちょっとそれは違うのではないでしょうか。今のようにデフレが延々と続いている中で、いかに豊かさを実感できるかということになれば、やはり銀行に塩漬けにしておくよりも、リスクマネーとして運用するということがとても大事だと思います。早い話が、銀行に100万円預けておいても、年間2,000円です。しかし、上場株の配当平均利回りでは、100万円預けておけば、1万1,000円を超える配当がくるわけですから、それを考えてもどちらが豊かさを実感できるか、ということになるのではないでしょうか。そういう豊かさを実感できる「貯蓄から投資へ」の流れを作るためには、税のインセンティブというのは必要ではないでしょうか。

平成19年10月9日(火)閣議後記者会見より抜粋

〔保険会社の不払い問題〕

Q: 生保の不払い問題ですが、今後、失効返戻金を巡る問題などいろいろな問題が焦点になると思いますが、改めて精査に当たっての大臣のお考えをお聞かせ下さい。

A: 二度とこういうことが起きないような態勢を作ってもらうことが大事です。ですから、業務執行態勢がきちんと確立できたが故にこれだけの問題が明らかになったのか、それとも全然そのような執行態勢が整っていないが故にこういう問題が起こってきたのか、そのあたりをよく見させていただきます。その精査をできるだけ早くやるということです。

平成19年10月9日(火)閣議後記者会見より抜粋

〔保険商品の銀行窓販〕

Q: 保険商品の銀行窓販の問題ですけれども、予定通り12月22日に全面解禁される方向となりました。その際、販売後のトラブル処理などについて、金融庁として監督を強化する方針ですけれども、これまでの議論を振り返って、改めて大臣の考え方をお聞きできるでしょうか。

A: この議論は何年も前からやっていまして、私が自民党の金融調査会の事務局長をやっていた時代に全面解禁を3年後という具合に決めたわけです。この間、モニタリングもやりまして、その結果についての丁寧なご説明もしてきたわけです。一方、生保においては、先ごろの大変な加入者・契約者に対するご迷惑をかけるような事態が頻発したわけでございまして、そうした教訓も踏まえて今回の解禁の合意に活かしていただきたいと思っております。いずれにいたしましても、最終的に利用者・契約者の保護ということは極めて大事なことでありますし、いろいろなチャンネルが広がって利用者・契約者がより利便性を享受できるシステムにしていくべきだと思っております。

平成19年10月19日(金)閣議後記者会見より抜粋

〔金融商品取引法〕

Q: 金融商品取引法の施行から1ヶ月ですが、今のところ問題は出ていないかどうか、大臣の見解をお願いします。

A: スタート前後においては、若干の混乱もあったようでございます。また、金融庁へのお問い合わせも、1日200件ほどあった時期もございました。1ヶ月たちまして、お問い合わせの件数も15件程度と、かなり減ってきております。金商法は日本の貯蓄から投資への流れを加速するものであり、利用者保護という大きな柱を立てたまさしく金融行政の大転換のツールでございます。その意味でも、早くこの体制に馴染んでいただくということを希望いたします。

平成19年10月30日(火)閣議後記者会見より抜粋


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