【金融ここが聞きたい!】

  • このコーナーは、大臣の記者会見における質疑・応答(Q&A)などの中から、時々の旬な情報をセレクトしてお届けするものです。

    もっとたくさんご覧になりたい方は、是非、金融庁ホームページの「記者会見」のコーナーにアクセスしてください。

〔サブプライム・ローン問題〕

Q: 先週、いち早く主要金融機関のサブプライムの残高をまとめられました。世界の当局でもそのようなことをやっているところはあまりないと聞いているのですけれども、そういうことをされたのも、金融庁としての危機管理の教訓みたいなことを意図したものなのでしょうか。

A: そうです。やはり状況がわからない、何がどうなっているのかわからないというのは、疑心暗鬼を広めるだけです。ですから、今の状況がこんな具合になっているということを明らかにすることによって、疑心暗鬼の罠に落ち込むことが回避できると思います。福田総理の適切な指示もございまして、「今の状況はどうなっているのか」というご質問に答える意味もございまして、先週の段階で発表いたしました。

平成19年11月27日(火)閣議後記者会見より抜粋

〔IOSCO東京コンファレンス会議〕

Q: IOSCOの会議が先週開かれて、閉幕しましたが、アメリカのSECのコックス委員長と大臣が会談をされたと思うのですけれども、今回のサブプライム問題、または格付会社の取扱いについてどういう意見交換をなさったのでしょうか。

A: コックス委員長も元政治家ですし、私も政治家ですから、細かい話はしておりません。私の方からは喩え話でございますが、日本でBSEが出たときに消費者が大変疑心暗鬼に包まれました。しかし、日本ではその後、万全の態勢を作り上げて消費者の安心を回復することが出来ました。例えば、全頭検査とか、トレーサビィリティー(追跡を可能にする仕組み)とか、こういう手法を確立しました。これは政治家同士の会話と思って聞いていただければ結構ですけれども、コックス委員長の方から「でもBSEがでると相当牛を処分しなければいけませんよね」いう話がありました。確か、私の記憶では日本ではそれほど牛は処分されていません。農家一軒の一緒に飼っている牛が処分された程度でございまして、大量に牛を処分したイギリスとかアメリカとはちょっと違った解決法を採った記憶がございます。こういうのは全く別次元の話ではありますが、疑心暗鬼という観点からいきますと、非常にシンボリックな話です。例えば今、仕組債みたいなものが、トレーサビィリティーがあるかといえば全くありません。これはトレーサビィリティーがないことが、セールスポイントみたいな作られ方をしているわけでございまして、そういったことについては、今後IOSCOのみならず、いろいろな機会を通じて検討がなされていかなければならないと思っております。コックス委員長からは、IOSCOの会議でもご挨拶されましたように、日本の教訓というものをよく学んでいきたいと、こういう低姿勢のお話がございました。

平成19年11月13日(火)閣議後記者会見より抜粋

〔金融専門人材に関する研究会〕

冒頭発言) 金融サービス士と称してまいりました「金融専門人材に関する研究会」についてでございます。来週月曜日、11月19日、金融庁金融研究研修センターに「金融専門人材に関する研究会」を立ち上げ、第1回の会合を行う予定でございます。この研究会は、我が国金融システムを担う専門人材に必要とされる知識、及び資質についての幅広い検討を行うため、お手元のメンバー表にあります各界有識者にお集まりをいただき、ご提言をいただくものでございます。金融専門人材の育成については、経済財政諮問会議「金融資本市場ワーキンググループ」の報告や、本年6月の金融審議会「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」の中間論点整理においても施策として掲げられております。また、私もかねてから問題意識を持って提言をしてきた経緯があります。我が国金融・資本市場の競争力強化を実現するためには、市場の発展を担う人材の確保・育成が急務であり、また市場参加者においても、当局においても、共通のコンプライアンス感覚を有する人材が確保されることはよりよい規制環境の実現に資するものと考えます。こうした観点から、本研究会において、具体的かつ有意義な議論を行っていただくことを期待いたしております。

平成19年11月16日(金) 閣議後記者会見より抜粋

Q: 先ほど発表いただいた研究会についてですけれども、研究会を作るということになったきっかけといいますか、誰の発案でどういう経緯があるのか、また人材育成について幅広い検討とありますけれども、どのようにして育成していくのか。大臣のお考えをお聞かせ下さい。

A: これは先ほど申し上げましたように、随分前から提言してきた経緯がございます。また、経済財政諮問会議のワーキンググループでも取り上げられ、金融審でも中間論点整理の中で取り上げられております。やはり、こういう専門人材がいろいろなところに散らばることによって、例えば監督当局のみならず、発行会社、証券会社、日本証券業協会、東証自主規制法人、こういったところに共通のコンプライアンス感覚、共通の知識を持った人たちが散らばることによって、金融の世界の正しい生態系の秩序が維持されるものと考えています。日本の金融行政が事前の統制型、護送船団方式から、事前にルールや検査監督の着眼点を示しつつ事後的にチェックする形に変わって久しいわけでございますが、この方式というのはある意味で行政コストがとてもかかるものです。しかし、日本の簡素で、効率的な政府を作るという大方針からいきますと、事前統制をやめたからといって、どんどん人数を増やしていくということにも限界がございます。また、それぞれのプレーヤーがそれぞれのコンプライアンスの感覚を持って自己規律を果たしていただくことは、自由社会においてはとても大事なことだと思います。そういう意味でこうした金融人材の育成というのは必要になると思います。アメリカですと弁護士の数が非常に多くて、その弁護士たちがそれぞれ細かな専門分野を持って活躍しているわけでありますが、残念ながら我が国においては弁護士や公認会計士の数が非常に少ないという現実がございます。そこで、こうした金融専門の分野に特化した人材の育成を行っていくことは急務だと考えました。こうした構想をいろいろな方々、特にロースクール(法科大学院)関係者などにお話をしましたところ、こうしたことについてのご関心が非常に高いということがわかりまして、それでは是非前向きに研究を始めようか、ということでこの研究会を立ち上げることにしたわけでございます。

平成19年11月16日(金) 閣議後記者会見より抜粋

〔金融危機から10年〕

Q: 明後日(11月24日)、土曜日が、山一証券が自主廃業発表をしてからちょうど10年という節目の時期にあたるわけですが、ここ10年の金融不安に対してどういった形で対応してきたのかということと、その金融不安の最後に当たる足利銀行がどういうふうになるのが理想的だと思われますでしょうか。

A: 金融不安というのは、10年前に突如起こったわけではなくて、平成4年くらいから始まっているわけです。いわゆる危機と言われるもの、金融不安と言われるものは実は1回2回だけではなくて、平成4年もあれば、平成7年の住専もあれば、平成9年の山拓ショックもあれば、翌年の長銀破綻もあればというように延々と繰り返されてきたわけです。その歴史の教訓というものを我々は学ぶ必要があると思います。だいたいその当時からプロはわかっていたわけでありますけれども、やはり流動性の危機の根底にはソルベンシーの問題があると。支払い能力に問題ありということだったと思います。
 不良債権処理のトラックレコードも相当日本は蓄積をしてきているわけでございます。また、疑心暗鬼を解消するには、何が必要かというノウハウが沢山あるわけです。制度整備もきちんと行われ、不良債権比率も劇的に低下をしてきているわけでありますから、まさにこれから今起こっている世界のお金の不具合、変調状況については、日本はいろいろなノウハウを提供できる立場にあるのだろうと思います。この間も申し上げたように、SECのコックス委員長がIOSCOの会議に来られたときに、お茶飲み話でございますけれども、「是非、日本の教訓、ノウハウを教えて欲しい」と非常に低姿勢で言っておられました。こういうときには、ピンチはチャンスなのではないでしょうか。

平成19年11月22日(木)繰上げ閣議後記者会見より抜粋


次のページ

 

 

 

サイトマップ

ページの先頭に戻る