アクセスFSA 第66号(2008年5月)

【トピックス】

「金融専門人材について(基本的なコンセプト)」の公表について

グローバルな市場間競争が一層激化する中で、国際的なプレゼンスが低下傾向にある我が国金融・資本市場の競争力を強化し、その魅力を向上させていくことが喫緊の課題となっています。また、魅力ある市場の実現により、我が国の金融サービス業が高い付加価値を生み出し、経済の持続的成長に貢献していくことも期待されています。

現在の我が国金融・資本市場の状況を見ると、金融機関の多くは、高度な金融商品・サービスの提供という点で外資系金融機関の後塵を拝しており、また、金融商品取引法施行時の混乱に見られたように、金融監督当局と金融機関、事業会社等の現場との間で、必ずしもコンプライアンス意識の共有が図られていない状態にあります。

こうした状況を踏まえれば、国際金融センターにふさわしい金融の専門知識やスキルを持った人材の厚みを増していくこと、当局と現場との間で共通のコンプライアンス意識を有する人材を確保していくことが、金融・資本市場の競争力強化にとって最も重要な課題の一つであり、規制当局や市場関係者が一体的に取り組む必要があるものと考えられます。

こうした観点から、平成19年11月、金融庁金融研究研修センター(センター長:吉野直行慶應義塾大学教授)では「金融専門人材に関する研究会」(以下「研究会」という。)を設置し、これまで5回の精力的な議論を重ねてきました。

研究会では、まず、議論の対象となる金融専門人材に期待される役割、キャリアパスのイメージ、求められる資質といった基本的なコンセプトについて議論を行い、次に、資格要件や実務経験、継続教育、資格のグローバル化といった点についても議論が及びました。

これまでの議論において、金融専門人材の基本的なコンセプトについての論点が整理されたため、本年4月30日に公表し、その考え方を広く示した上で、幅広くコメントを集め、本年夏頃を目途とした最終的な論点整理に向けて、更なる検討を進めていきたいと考えています。

「金融専門人材」の資格のイメージ(案)

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」または「パブリックコメント」から「金融専門人材について (基本的なコンセプト)」に対する意見募集の実施について」(平成20年4月30日)にアクセスしてください。


オフショア市場・レポ取引に係る利子の非課税措置の恒久化
(適用期限の撤廃)について

平成20年4月30日、第169回国会において「所得税法等の一部を改正する法律」(平成20年法律第
23号)
新しいウィンドウで開きますが可決・成立し、同日に公布・施行されました。

これにより、

  • (1)特別国際金融取引勘定(オフショア勘定)において経理された預金等の利子の非課税

  • (2)外国金融機関等の債券現先取引(レポ取引)に係る利子の課税の特例(非課税措置)

適用期限が撤廃されました。

東京オフショア市場は、本邦金融資本市場の国際化、円の国際化の促進に資するものとして、昭和61年12月に創設され、同時にオフショア勘定に経理された非居住者に帰属する預金等の利子の非課税措置が取られましたが、従来この措置は2年毎に適用期限が延長されていたところです。

また、債券現先取引(レポ取引)とは、債券と資金を相互に融通する取引のことで、平成14年度税制改正において、国債の保有を促進する観点から、外国金融機関等の債券現先取引(レポ取引)に係る利子の課税の特例(非課税措置)が導入されましたが、従来この措置は2年毎に適用期限が延長されていたところです。

金融庁は、平成19年12月21日に「金融・資本市場競争力強化プラン」を策定し、魅力ある質の高い市場の構築を目指しているところですが、この度、上記2措置の適用期限が撤廃されたことは、オフショア市場における取引や国内金融機関等と海外金融機関等との間のレポ取引の安定性を確保するものであり、我が国金融・資本市場の競争力強化に資するものと考えています。

※ 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「オフショア市場・レポ取引に係る利子の非課税措置の恒久化(適用期限の撤廃)について」(平成20年5月1日)にアクセスしてください。


証券税制等について(平成20年度税制改正)

平成20年4月30日に、平成20年度税制改正に関する法律「所得税法等の一部を改正する法律」新しいウィンドウで開きますが公布・施行されました。

上場株式及び公募株式投資信託(以下「上場株式等」という。)の配当金等及び譲渡益については、平成15年度税制改正(ただし、公募株式投資信託の譲渡益については、平成16年度税制改正)により、軽減税率(10%)が適用されてきたところです。

平成20年度税制改正により、上場株式等の配当金等及び譲渡益に係る税率については、100万円以下1の上場株式等の配当金等2 及び500万円以下の上場株式等の譲渡益に対し、軽減税率(10%)を平成22年末まで適用することとされました(図1)

したがって、1年間に受け取る上場株式等の配当金等の合計額が100万円超の場合、当該100万円超の部分について、確定申告していただく必要があります(税率20%が適用されるため、源泉徴収のみで課税関係が終了しません。)。

また、特定口座(源泉徴収口座)において管理している上場株式等を含め、1年間に受け取る上場株式等の譲渡益の合計額が500万円超の場合、当該500万円超の部分について、確定申告していただく必要があります(税率20%が適用されるため、源泉徴収のみで課税関係が終了しません。)。

1 年間1銘柄あたり1万円以下の配当金については、100万円基準の算定対象外となります。

2 大口保有(発行済株式又は出資の総数又は総額の5%以上)の場合を除きます。

(図1)上場株式等の配当金等及び譲渡益に係る平成21年・22年の特例措置(イメージ)

(図1)上場株式等の配当金等及び譲渡益に係る平成21年・22年の特例措置(イメージ)

また、上場株式等の譲渡損失については、これまで、上場株式等の譲渡益とのみ、損益通算することが認められていました。平成20年度税制改正においては、個人投資家の株式投資のリスクを軽減するため、平成21年より、上場株式等の譲渡損失と配当金等との間で損益通算の仕組みを導入することとされました(図2)

(図2)損益通算の範囲(イメージ)

(図2)損益通算の範囲(イメージ)

投資家の利便性に配慮する観点から、特定口座を活用して損益通算を行う方法についても、証券会社等におけるシステム開発等の準備が整った段階(平成22年1月を目途)から適用可能とされました。

詳細については、お近くの税務署等にご相談ください。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「金融庁の政策⇒政策の一覧へ」から、「証券税制が変わります(平成21年・22年分)」にアクセスしてください。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」または「パブリックコメント」から「外国監査法人等に関する内閣府令」等の公表について(平成20年3月14日)に、また、英語版「The FSA Publishes Frequently Asked Questions Regarding the Notification Requirements for Foreign Audit Firms, etc.」(2008年3月19日)にアクセスしてください。


日本・シンガポール間の金融サービス協力に関する合同委員会の開催について

日本とシンガポールとの金融分野における関係は、多くの日系金融機関が活動し、東京証券取引所がシンガポール取引所の株式を約5%取得するなど、これまでも深いものがありましたが、金融庁は、今般、シンガポールの金融監督当局であるシンガポール通貨監督庁(MAS)1との間で「金融サービス協力に関する合同委員会」第4回会合を開催しました。

(概要)

  • (1)日程:平成20年4月23日(水)

  • (2)場所:シンガポール

  • (3)出席者
       日本側:知原参事官(国際担当)
       シンガポール側:
    テオ・スウィーリャン副長官(金融監督担当)

金融サービス協力に関する合同委員会は、平成14年11月に発効した日本・シンガポール経済連携協定に基づいて設置されたものです。

一方、昨年末公表された「金融・資本市場競争力強化プラン」において、海外当局との連携を強化することが取り上げられており、特に「成長著しいアジア市場の監督当局との連携強化を図ること」とされています。これを受けて、これまでの両国間の金融サービス協力の動向等の議論にとどまらず、幅広いテーマで議論をすることとなりました。

今回は、両国における最近の金融行政の動向、国際動向等、両国の当局が関心を有している問題、具体的には、サブプライム問題や「金融・資本市場競争力強化プラン」等について意見交換を行いました。オン・チョンティー副長官(国際関係担当)も意見交換に参加し、両国間の連携を更に強化していくことを確認しました。

アジア各国は急速な経済発展を遂げており、これら監督当局等との連携強化を図ることは、金融分野における交流と協力が深化を続け、相互依存が深まっていることから極めて重要なことと考えられます。今後とも、こうした会合等を通じて両国当局間の更なる連携を図っていきたいと考えています。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「シンガポール通貨監督庁(MAS)との金融サービス協力に関する合同委員会 第4回会合の開催について」(平成20年4月25日)にアクセスしてください。

1 MASは、他国の中央銀行および金融監督当局に相当し、銀行業、証券業、保険業等を一元的に監督する機関です。 これまで政府の各部局に分散されていた金融・通貨行政に係る機能を一元化すべく、財務省傘下の法定機関として1971年に設立され、2006年に首相府傘下に移管されました。

    ゴー・チョクトン上級相(前首相)がMAS理事会議長として組織としてのトップを務め、事務方のトップはヘン・スィーキェット長官です。

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