アクセスFSA 第67号(2008年6月)

【国際関連】

渡辺金融担当大臣のマレーシア出張について

渡辺金融担当大臣は、6月15日(日)、マレーシアのクアラルンプールにて世界経済フォーラム・東アジア会議に出席し、「世界経済のリーダーシップ」をテーマとするパネル討論等に参加しました。

世界経済フォーラム・東アジア会議

同パネル討論では、ベトナムのニン財務大臣やインドのシンハ元財務大臣等と共に、世界的な金融市場の混乱がアジア経済にどのような影響を与えているか、アジアは世界の経済成長をリードしていくことができるか等について率直な意見交換を行いました。渡辺大臣からは、国際的な金融市場に対する現状認識や我が国が過去の金融危機の経験から学んだ教訓、さらに、我が国が今後行うべき改革の方向性等について積極的な意見表明・情報発信を行いました。

セッション終了後の昼食会では、パネル討論で一緒になったベトナムのニン財務大臣と隣席で懇談し、その後、インドネシアのパンゲストゥ貿易大臣やマレーシアのゼディ中央銀行総裁とも個別に会談を行いました。一連の会談では、一次産品価格の高騰によるインフレの影響等、各国の経済・金融情勢について意見交換を行いました。

パンゲストゥ貿易大臣(インドネシア) ゼティ中央銀行総裁(マレーシア)
パンゲストゥ貿易大臣(インドネシア) ゼティ中央銀行総裁(マレーシア)

一連の会議や会談において、渡辺大臣から日本とアジアは同じ船に乗っているとの発言がありましたが、そうした認識に基づき、引き続きアジア各国との連携を強化していきたいと考えています。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「記者会見」から渡辺内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(平成20年6月17日)にアクセスしてください。


IOSCO(証券監督者国際機構)による「サブプライム基金に関するタスクフォース報告書」公表について

IOSCO(証券監督者国際機構)新しいウィンドウで開きますは、5月29日、「サブプライム危機に関するタスクフォース報告書」(Report of the Task Force on the Subprime Crisis)と題する報告書を公表しました。

IOSCOは、サブプライムローン問題による最近の市場混乱を検討し、IOSCOとして取り組むべき課題を特定するために、2007年11月にサブプライム危機に関するタスクフォース(以下、「サブプライム・タスクフォース」)を設置しました。サブプライム・タスクフォースには、プラダ仏金融市場庁長官(前専門委員会議長)とコックス米証券取引委員会(SEC)委員長(前専門委員会副議長)を共同議長とし、日本を含む15の先進国・地域の普通会員で構成されている専門委員会のメンバーが参加しています。本報告書は、サブプライム・タスクフォースにおける議論の成果を取りまとめたものです。

本報告書は、以下の5章と、日本を含む主要国におけるABSに関する開示規制等の状況を説明する付属文書(Appendix A)から構成されています。

  • (1) サブプライムローン問題に端を発する市場の混乱の背景

    サブプライムローン問題に端を発する市場の混乱の背景を、金融市場の技術進歩やサブプライムモーゲージセクターの脆弱な引受実務などの観点から説明しています。

  • (2) 発行者の透明性・投資家のデューディリジェンス

    ストラクチャード・ファイナンス商品に関する情報開示や投資家のデューディリジェンスのあり方などを議論しています。

  • (3) 金融機関のリスク管理及び健全性監督

    金融機関のリスクモデル化や内部管理上の問題、流動性管理の問題などを議論しています。

  • (4) 価格評価

    非流動的な市場環境における公正価値会計原則のあり方や金融機関の自社ポジションの公正な価格評価のモデル化などについて議論しています。

  • (5) 信用格付機関

    5月28日にIOSCOが公表している「ストラクチャード・ファイナンス市場における信用格付機関の役割に関する報告書」の要約となっています。

本報告書は、各章において、専門委員会の下に設置されている常設委員会1に対して提言を行う形式となっており、提言を受けた各常設委員会が今後作業を進めていくことになりますが、当庁としても、引き続きIOSCOでの議論や検討に積極的に参画していきたいと考えています。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「IOSCO(証券監督者国際機構)による「サブプライム危機に関するタスクフォース報告書」公表について」(平成20年6月9日)にアクセスしてください。

1 専門委員会の下には、(1)会計・監査・開示、(2)流通市場、(3)市場仲介者、(4)法務執行・情報交換、(5)投資管理に関する5つの「常設委員会(SC:Standing Committee)」が設けられており、専門的・実務的な議論が行われています。


第5回日EU会計基準・監査の動向に関するモニタリング会合の 開催について

平成20年5月26日、パリにおいて、第5回日EU会計基準・監査の動向に関するモニタリング会合が開催されました。

モニタリング会合は、金融庁と欧州委員会(EC)との間で、日EU相互の会計基準のコンバージェンスの状況をモニターし、また監査人監督等の監査の分野についての議論を行うため、平成18年11月より開催されています。

会計基準については、ECが予定している同等性評価の動向や、国際会計基準委員会財団(IASCF)のガバナンス強化など二ついて話し合われました。

  • (注1)EUでは、2005年より、域内国の証券発行者(公募・上場)に対して、国際会計基準(IFRSs)の使用が義務付けられています。また、2009年以降は、EU域内で資金調達を行う、域外第三国の証券発行者(公募・上場)に対しても、IFRSs又はこれと同等の会計基準の使用を義務付けることとしています。このためECは、本年央までに第三国の会計基準とIFRSsとの同等性評価を行うこととしています。

まずECの同等性評価については、ECが、本年4月に公表した、「日本、米国、中国、カナダ、韓国の会計基準の同等性評価に関する作業報告書」において提案している日本基準に対する評価が、前向きなものであるとの認識を双方が表明しました。

  • (注2)日本基準については、「2008年6月時点で、企業会計基準委員会(ASBJ)が2007年8月に国際会計基準審議会(IASB)と合意した「東京合意」において示された目標に向けた予定どおりの対応をしている場合、同等と評価すべき」との案を示しています。

  • (注3)またECは、6月、2009年以降について、日本の会計基準をIFRSsと同等と考えることが適当とする欧州委員会規則改正案等を公表しました。

また両者とも、IFRSsの使用やIFRSsとのコンバージェンスの動きが世界規模で広がる中、IASBや、IASBの資金拠出・人選などを行うIASCFのガバナンス強化の重要性に関する認識を共有し、協力していくことに合意しました。

  • (注4)IASCFは、現在、定款の見直し作業を行っており、その中にガバナンス改革についても盛り込むことを検討中です。IASCFは、6月19日に、定款改訂に関する円卓会議を開催し、金融庁からも代表者が出席しました。

  • (注5)金融庁は、IASCFの定款の見直し作業に先立ち、昨年11月、EC、米国証券取引委員会(SEC)、及び証券監督者国際機構(IOSCO)と共に、IASBを含むIASCFの活動を監視する「モニタリング・グループ」の設立を提案しました。また、本年6月には、改革に向けた取組みを推進するための共同声明を発表しました。

監査については、EUによる域外国の監査監督体制の同等性評価に関する経過措置や、我が国による外国監査法人等の届出制度について議論が行われました。

EUは、法定監査指令に基づき、2008年6月末以降、域内市場に上場する域外企業の監査を行う域外監査事務所に対し、各EU加盟国当局に登録して直接の監督に服するか、又は当該域外国において、EU指令で定められているものと「同等」の監督体制に服することを求めることとし、そのための同等性評価の準備を進めてきました。しかし本年1月、この同等性評価を2011年まで延期する提案を行い、2011年までEU当局への登録を免除する経過措置の適用について検討を行っており、モニタリング会合においても検討状況の説明がされました。

また、当方から、日本において、本年4月から施行の外国監査法人等による届出制度について説明を行いました。

次回の会合については2008年秋頃に開催される予定です。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「第5回日EU会計基準・監査の動向に関するモニタリング会合(平成20年5月26日開催)」(平成20年5月30日)にアクセスしてください。


IOSCO(証券監督者国際機構)による「ストラクチャード・ファイナンス市場における信用格付機関の役割に関する報告書」の公表について

平成20年5月28日、IOSCOは、「ストラクチャード・ファイナンス市場における信用格付機関の役割に関する報告書」を公表しました。

IOSCOは、平成19年4月に、ストラクチャード・ファイナンス市場における格付機関の役割について議論することに合意し、信用格付機関タスクフォースを設置しました。その後これまで同タスクフォースは、米国のサブプライム問題の教訓等を踏まえ議論を行い、市中協議を経て、本報告書を作成しました。本報告書には、信用格付機関の基本行動規範の改訂版も示されています。

  • (注1)サブプライム・ローン問題に関連した証券化商品の格付に関わっていた格付機関に対しては、証券化商品の格付ビジネスに利益相反の可能性が内在していたのではないか、格付モデルの内容や妥当性につき適切な検証やディスクロージャーがなされていたのかどうか、などの点について、対応・検討すべきとの指摘があります。

  • (注2)「信用格付機関の基本行動規範」は、格付機関が自主的に自らの行動規範として採用(遵守)するか、それができない場合には、その理由を説明・開示することが要請されています。

金融庁は、各格付機関における基本行動規範の改訂を踏まえた動向を注視していく方針です。


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