アクセスFSA 第72号(2008年11月)

アクセスFSA 第72号(2008年11月)

中小企業金融の円滑化に関する意見交換会で挨拶する中川大臣(10月15日) 金融審議会第一部会で挨拶する谷本副大臣(10月15日)

日本外国特派員協会で講演する中川大臣(11月21日)

目次


【特集】

株券電子化の実施について(平成21年1月5日実施)

株券電子化制度を規定した「株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律」(平成16年法律第88号)の施行期日を、平成21年1月5日とする政令(平成20年政令第350号)が11月19日に公布されました。

来年1月5日の株券電子化のスムーズな実施のためには、いわゆる「タンス株券」をお持ちの株主を中心に関係者の方々にできるだけ早く準備をしていただく必要があります。

ここでは改めて、株券電子化の意義や、電子化までに株主の方々が何をしたらよいかなどについて説明します。

Q1.株券電子化とは、どういうことですか?

株券電子化(株式のペーパーレス化)とは、上場会社の株式等に係る株券をすべて廃止し、株券の存在を前提として行われてきた株主権の管理を、証券保管振替機構及び証券会社等の金融機関に開設された口座において電子的に行うこととするものです。

現在においても、株券保管振替制度の活用により、株券そのものの受渡しや保管等の管理を株主自身が行わなくても売買や株主権の行使をすることができますが、一方で、株券を株主自身で管理し、株券の受渡しを株主自身が行う売買等も認められており、株式の譲渡や管理に当たり様々なリスクや非効率性が指摘されています。

今後は、新たな株式振替制度により株券電子化が実施され、電子的な管理に統一されることになります。

Q2.株券電子化のメリットは何ですか?

株券電子化には、次のような多くのメリットがあります

  • (a)株主にとっては、

    • i)株券を手元で保管することなどによる紛失や盗難、偽造株券取得のリスクが排除されます

    • ii)株式の売買の際、実際に株券を交付・受領したり株主名簿の書換申請を行う必要がなくなります

    • iii)発行会社の商号変更や売買単位の変更の際に、株券の交換のため、発行会社に株券を提出する必要がなくなります。

  • (b)発行会社や株主名簿管理人にとっては、

    • i)株主名簿の書換に当たり株券が偽造されたものでないか等のチェックを行う必要がなくなります

    • ii)株券の発行に伴う印刷代や印紙税、企業再編(企業間の合併や株式交換、株式移転など)に伴う株券の回収・交付のコスト等が削減できます。

    • iii)株券喪失登録手続を行う必要がなくなります。

  • (c)証券会社にとっては、

    • i)株券の保管や運搬に係るリスクやコスト等が削減されます。

    • ii)株主が株券を証券保管振替機構に預託する場合や証券保管振替機構に預託された株券を引き出す場合の手続を行う必要がなくなります。

株券電子化とは

Q3.株券電子化までに株主は何をしたらよいのですか?

  • (1)株券電子化の実施に際して、すでに証券保管振替機構に預託されている株券については、一斉に新たな株式振替制度に移行できるように措置されているため、株主が特段の手続をとる必要はありません

  • (2)自宅や貸金庫などご自身で管理されている株券、いわゆる「タンス株券」については

    • (a)証券保管振替機構に預託する

    • (b)本人名義であることを確認した上で管理を続ける(特別口座に自動的に移行)

    といった2つの対応方法があります。

    (a)の方法で対応される場合、株券の証券保管振替機構への預託期限が平成20年12月19日とされていることから、できる限り早めに証券会社等にご相談ください(現在でもこの預託を行うことは可能です。)。

    (b)の方法で対応される場合、株券の名義が他人名義となっている場合には、株券電子化が実施される日までに株券を所有者本人の名義に書き換えておかないと、株主としての権利を失うおそれがあります。したがって、電子化実施までに本人名義に書き換えておくようにしてください。

保有株券の取扱いについて

Q4.株券を証券保管振替機構に預託しなかった場合、株主の権利はどうなるのですか。

株券電子化が実施されると株券は無効となり、株主名簿上の株主の名義で、発行会社により設定される「特別口座」において株式が管理されることになります。

なお、株券電子化が実施される日までに株券を所有者本人の名義に書き換えていない場合、本人以外の名義の特別口座で管理されることになります。このような場合に、株式の名義を本来の本人名義に回復するには手続が必要となります。

Q5.他人名義で開設された特別口座の名義を本人名義に回復するには、どのような手続が必要ですか。

他人名義で開設された特別口座の名義を本人名義に回復するためには、以下のような手続が必要となります。

  • (1)特別口座の名義人との共同申請

  • (2)以下のいずれかの書類を提出して申請

    • (a)相続を証する書面(相続手続が未了の場合)

    • (b)裁判の判決、和解調書など

    • (c)無効となった株券+株券電子化前に当該株券を取得したことを証する書面(株券電子化後1年間のみ)

これらの手続は、株券の発行会社(上場会社)や「株主名簿管理人」である信託銀行等が取り扱っています。申請にあたってどのような書類が必要となるか等については、株券の発行会社(又は信託銀行等)にご相談ください。

Q6.株券を担保としている場合、どのような手続が必要でしょうか。

株券を担保とする場合、担保設定の事実を株主名簿には記載しない、いわゆる略式担保の方法が一般的ですが、このような略式担保の方法で株券を担保としている場合、株券電子化までに以下のいずれかの手続を行うことによって、質権を保全する必要があります。

  • (1)担保権者と担保権設定者との共同手続(平成20年12月19日まで)

    担保権設定者及び担保権者がそれぞれ証券会社等に口座を開設し、担保権設定者から証券会社等を通じて証券保管振替機構に株券を預託し、担保権設定者の口座から担保権者の口座への振替を行う手続です。この手続によると、これまでの略式担保と同様に、匿名性を維持することができます。

    詳しい手続等につきましては、お早めにお取引先の証券会社等にご相談ください。

  • (2)担保権者による単独手続(平成20年12月22日から株券電子化の実施前まで)

    質権者が単独で発行会社(又は信託銀行等)に請求することによって、株主名簿に株券に質権が設定されているという事実を明確に記載しておく手続です。

    必要書類など詳しい手続につきましては、発行会社(又は信託銀行等)までご相談ください。

株式担保取引の取扱い
担保株券の電子化移行手続

Q7.未上場の株券も電子化されるのですか。

株券電子化の対象は証券取引所に上場されている株券であり、未上場の株券(未公開株式)は対象外です。

(注)上場株券のほか、上場投資証券及び上場優先出資証券も電子化の対象です。

Q8.株券電子化の実施後に何か注意する点はありますか。

株券電子化の実施後においては、無効となった株券をまるで有効であるかのように装って売り付ける行為や、金融庁や証券会社、関係団体などを名乗って無効株券を回収する行為などの詐欺的行為がないとは言い切れません。株券電子化により上場会社の株券は無効となり、株券の株式としての価値はなくなりますが、金融庁や証券会社、関係団体などが無効株券を回収することはありません。このような詐欺的行為にはくれぐれもご注意ください。

株券電子化に関するご質問、ご相談窓口

「株券電子化」なんでも相談窓口(株券電子化コールセンター)

TEL.0120-77-0915(平日・土曜日 9時00分~17時00分)

※ 「株券電子化」については金融庁ウェブサイトにも掲載しています。金融庁ウェブサイトのホームページ「金融庁の政策 » 政策の一覧へ」から「株券電子化について」にアクセスしてください。

また、より多くの方々に株券電子化について理解を深めていただくべく、政府広報オンライン・お役立ち動画「株券電子化の準備 もうお済みですか?」新しいウィンドウで開きますでは、株券電子化の概要や留意点について広報を行っています(このオンライン動画には、金融庁ウェブサイトの「株券電子化について」のページからもアクセスできます。)。


次のページ

サイトマップ

ページの先頭に戻る