アクセスFSA 第72号(2008年11月)

【トピックス】

中小企業向け融資の貸出条件緩和が円滑に行われるための措置について

1.はじめに

金融庁は、本年10月30日に政府・与党によって決定された「生活対策」を受け、金融機関が借り手に対する返済条件の緩和を柔軟に行えるように、11月7日、監督指針及び金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕(以下「マニュアル別冊」といいます。)を改定しました。

以下、本コーナーにおいて、改定監督指針及び改定マニュアル別冊の概要等について説明します。

2.監督指針・マニュアル別冊改定の経緯・目的

中小企業をとりまく現下の経済情勢が厳しいなかで、金融機関が既存の融資について柔軟に貸出条件の緩和(返済期間延長・金利減免等)に応じることができれば、借り手企業の資金繰りや経営の改善が図られ、さらには借り手企業の経営改善の結果、金融機関が抱える信用リスクの軽減にもつながります。

他方、借り手が「返済期間延長」や「金利減免」などといった条件変更を要請しても、条件変更に応じると、その債権が貸出条件緩和債権(不良債権)に該当するおそれがあり、その場合、不良債権比率や引当率が上昇することになるため、金融機関が柔軟な条件変更に応じにくいとの事情がありました。

監督指針の規定上、借り手を支援する目的で、借り手に有利となるような貸出条件の変更をした場合、その債権は原則として貸出条件緩和債権となり、銀行法及び金融再生法の体系上、不良債権に該当してしまいます。

しかし、監督指針では、その例外として「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画」(以下「実抜計画」といいます。)が策定されていれば、条件変更が行われた場合でも、貸出条件緩和債権に該当しない取扱いを規定しています。

こうした例外規定があるにもかかわらず、実際には中小企業に対する適用は必ずしも一般的ではありませんでした。なぜかと言うと、実抜計画の要件として、「概ね3年後の当該債務者の債務者区分が正常先となること」が求められていますが、中小企業においては、リストラの余地も小さく黒字化や債務超過解消までに時間がかかるため、3年で正常先になる計画を策定するのが難しいとの特性があるからです。

また、3年で正常先になるような計画となると、債権放棄などの大きな金融支援が必要となるケースが多く、金融機関側からみて、そうした計画の策定は難しいとの声がありました。

そこで、こうした中小企業の特性を踏まえ、金融機関が条件変更により柔軟に応じることができるような環境の整備に向けて、監督指針及びマニュアル別冊を改定することとしました。

3.改定の内容

  • (1)経営改善計画の期間を延長(3年から5年)

    中小企業についてはその特性を踏まえ、正常先に至るまでの期間を「概ね5年」に延長しました。

    具体的には、監督指針の「概ね3年」という規定について、「企業の規模に応じた延長が認められる」ことを、また、「債務者が中小企業の場合には、マニュアル別冊を参照すること」を追記しました。そして、これを受ける形でマニュアル別冊において、中小企業については「概ね3年」を「概ね5年」と明記しました。

    この改定により、これまで「要管理先」とされていた借り手が「その他要注意先」となる事例や、そもそも「要管理先」となることを恐れて金融機関が条件変更を積極的に行わなかった借り手についても、新たに実抜計画が策定される事例等が出てくることが期待されています。

    例えば、経営状態からは「破綻懸念先」と判断されるものの、5年間で正常先となるような合理的で実現可能性の高い経営改善計画を策定することにより、「要注意先」とみなされる中小企業があったとします。今までであれば、この中小企業は、計画に伴い元本返済猶予等の条件緩和が行われた結果、要注意先のなかでも「要管理先」と判断されていたと考えられますが、今回の改定によって、5年間の経営改善計画をもって条件緩和債権に該当しないとの取扱いが可能となったことから、「その他要注意先」と判断されることになります。

    また、金融機関が「破綻懸念先」の中小企業について、3年の経営再建計画を策定しようとすると多額の債権放棄が必要になってしまうことから、計画を策定できなかったケースでも、今回の改定により、5年の計画が認められることから、金融機関にとっても過度な負担をせずに無理のない再建計画を策定できるようになります。

    さらに、「その他要注意先」の中小企業から早めの経営改善のために5年間にわたる改善の見通しとともに条件変更の要請があった場合、今までであれば、条件変更に応じてしまうと不良債権になってしまうのを嫌って条件変更に応じなかった金融機関も、今回の改定により、柔軟に条件変更に応じることが可能となります。

  • (2)経営改善計画の期間を柔軟化

    正常先となる期間を「概ね5年」に延長したことに加え、特例として、順調に進捗している計画については、より長期であっても認められることになりました。

    具体的には、経営改善計画が概ね計画通り(売上高や当期利益が計画比して概ね8割)に進捗している場合には、最長10年以内の計画についても5年の計画と同様に扱えることです。

    例えば、残存期間10年の経営改善計画について、過去の進捗状況が概ね計画通りであり、将来的にも順調な推移が見込まれる場合には、同計画を実抜計画として扱うことが可能となります。また、新たに10年の計画を策定した場合、当初は「要管理先」として判断されるものの、その進捗状況が確認できれば、それ以降、実抜計画として扱うことが可能となるため、「その他要注意先」になります。

    なお、この点について、金融検査における当面の運用として計画期間が5年を超え10年以内であり、かつ、明らかに達成困難であるとは認められない場合には、進捗状況が確認できない計画策定直後であっても、概ね計画通りに進捗しているものとして扱うことにしています。

  • (3)計画終了時の債務者区分に係る柔軟化

    計画期間の延長に加え、計画終了時の債務者区分についても、一定の柔軟化を図りました。

    具体的には、仮に計画終了時に債務者区分が「正常先」とならない場合であっても、計画終了後に自助努力により事業の継続性を確保できるのであれば、債務者区分は「その他要注意先」であっても差し支えありません。

    例えば、5年後の計画終了時に「正常先」の状態まで改善が進むがどうかは定かではないとしても、少なくとも金融機関による追加的な金融支援なしに自力で債務の返済に十分なだけのキャッシュフローを確保できる見通しがあるというような場合には、計画終了時の債務者区分が「要注意先」であったとしても、実抜計画とみなせます。

  • (4)計画期間中の金利要件の廃止

    実抜計画であるかどうかの判定にあたり、「概ね5年後に正常先」となることに焦点を絞り、条件変更後の総合的な採算についての用件を撤廃いたしました。

    具体的には、今までは、監督指針上、実抜計画と認められる要件として、計画期間中一定の利回りが確保されていることが求められていましたが、今回、この規定を削除し、実抜計画であるかどうかの判定を「概ね5年後に正常先」となるような計画であるか否かという要件のみで判断することになります。

    例えば、今までであれば、条件変更を伴う計画を策定するにあたって、一定の利回りの確保という要件を満たすため、条件変更の内容に制約がかかり、結果的に実現可能な計画が策定できないといったケースもありましたが、こうした要件が削除されことにより、計画が立てやすくなるとともに、条件変更についてより柔軟に対応できるようになりました。

    なお、この部分は監督指針の改定であることから、大企業等についても「概ね3年後に正常先」となるのであれば、金利水準にかかわらず、貸出条件緩和債権に該当しないこととなります。

  • (5)計画の検証における対応

    計画に関する諸条件については(1)~(4)のような改定を行いましたが、そもそも一般に中小企業は、大企業のように大部で精緻な計画を策定することは困難です。このため、中小企業については、大企業のような計画策定は求めない点を明確化しました。

    具体的には、「経営改善計画がなくても、経営改善の見込みが確認できれば計画がある場合と同様に扱う」ことを、マニュアル別冊に明記しました。これにより、債務者が計画を策定していない場合であっても、例えば、借手企業側に、今後の資産売却予定、役員報酬や諸経費の削減予定、新製品等の開発計画や収支改善計画などがある場合、あるいは、金融機関の側で中小企業の実態をきめ細かく把握したうえで作成・分析した資料がある場合などには、これらに基づいて経営改善の見込みを判断することも可能となります。

    なお、前記(2)に関し、5年を超える計画の進捗状況について判断する際に、例えば、進捗状況が当初の計画を下回り「概ね8割」に満たない場合でも、こうした進捗状況のみをもって機械的・画一的に判断するのではなく、計画を下回った要因について分析するとともに、その後の業績改善が期待され、返済に十分なキャッシュフローの確保が見込まれるような場合には、実抜計画があると判断できます。

    なお、今回の改定は、中小企業の特性に着目したものであり、恒久的な取扱いとなっていることも重要なポイントとなっています。

貸出条件緩和債権の見直しについて

4.今回の改定を踏まえた検査・監督現場、金融機関及び中小企業への周知について

今回の見直しが実際に中小企業の資金繰りや経営の改善につながるためには、金融機関が実際に柔軟な対応を行うとともに、金融検査・監督の現場においても適切な対応が確保されること、そして、何よりも借り手の中小企業に今回の改定の内容を知っていただき、金融機関と話し合いを行っていただくことが重要と考えています。特に、今後年末に向けて中小企業の資金繰りが一層逼迫することが予想されることから早急な対応が必要です。

このため、11月7日の改定と同時に、財務局を含めたすべての検査・監督担当官に対して、今回の改定の趣旨を徹底するように中川金融担当大臣から文書によって直接指示が行われました。この大臣指示を徹底するため、既に、本庁検査官及び全財務局の検査監理官への説明を行ったほか、本庁職員が全国の財務局に赴き、現場の検査官及び監督担当への説明を行いました。

金融機関に対しては、条件緩和の対応を含め中小企業の実態を踏まえた柔軟な対応をより一層徹底していただくよう、同じく11月7日に、各金融団体に対して要請文を発出するとともに、財務局からも管轄下の金融機関に対し、個別金融機関毎に同様の要請を行っています。また、政府系金融機関や信用保証協会等に対しても、各所管官庁の協力を得ながら、同様の要請を行っています。

さらに、改定内容の理解を深めていただくため、各金融団体の主催で金融機関の実務担当者を対象とした説明会を開催し周知を図っています。

借り手である中小企業に対しても、力を入れて周知しています。中小企業庁の協力を得て、商工会議所、商工会、中小企業団体中央会及び商店街振興組合の中小企業関係4団体に対し、会員であるの中小企業への周知に係る要請文を発出しました。

また、今回の改定のポイントを分かりやすく記載した中小企業向けのパンフレットを35万部作成し、全国の各財務(支)局、経済産業局、全国の中小企業関係団体、法人会、税理士会及び青色申告会に送付するとともに、当庁及び各財務(支)局のウェブサイトに公表しました。さらに、マニュアル別冊の中小企業向け説明会等の際に、この中小企業向けのパンフレットを用いて周知を図っています。

※ 今回改定された監督指針及びマニュアル別冊の内容については、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から、『中小企業向け融資の貸出条件緩和が円滑に行われるための措置』(平成20年11月7日)にアクセスしてください。

中小企業の皆様へ
中小企業の皆様へ

銀行等の自己資本比率規制の一部弾力化について

1.はじめに

本年10月30日に政府・与党によって決定された「生活対策」の中の一項目として、銀行等の自己資本比率規制の一部弾力化措置を講じることとなりました。本措置は、現状の世界的な金融市場の混乱を受けた異例の状況の下、自己資本比率の急激な変動によって銀行等の預貯金取扱金融機関の金融仲介機能を低下させないよう、監督上の対応を取るものであり、企業会計上の変更をするものではありません。

2.本措置案の概要

11月7日に本措置案の具体的な内容として以下のものが公表されました後、11月13日(木)から21日(金)までの間、本措置を規定する特例告示案をパブリックコメントに付し、皆様からのご意見を募集しました。いただいたご意見を検討し、本年12月決算に間に合うよう公布・施行する予定です。

なお、本措置は平成20年12月末決算から平成24年3月末決算までの時限的な措置とする予定です。

  • 【国内基準(海外営業拠点を持たない金融機関に適用される基準)】

    これまでは、会計上の「その他有価証券」の評価益が自己資本に算入されず、評価損(税効果が勘案されるため、評価損全体の約60%。以下同じ。)のみが自己資本の基本的項目(ティア1)から控除されるという取扱いになっていましたが、これを評価損益ともに自己資本にはカウントしない取扱いとします。

  • 【国際統一基準(海外営業拠点を持つ金融機関に適用される基準)】

    これまでは、その他有価証券の評価益の45%が自己資本の補完的項目(ティア2)に算入され、評価損が自己資本の基本的項目(ティア1)から控除されるという取扱いになっていましたが、このうち、自己資本比率規制上、リスク・ウェイトが0%である債券(国債など)についての評価損益を自己資本にカウントしない取扱いを認めることとします(選択制)。ただし、本措置の期間内であればいつでも本措置による基準に移行することが可能ですが、一度移行した場合は、期限まで再度変更することはできないものとします。

(弾力化の概要)

国内基準 国債等

評価益:自己資本に反映せず

評価損:約60%をティア1控除

(評価益:変更なし)

評価損:自己資本に反映せず

株式・社債等
国際統一基準 国債等

評価益:45%をティア2算入

評価損:約60%をティア1控除

評価益:自己資本に反映せず

評価損:自己資本に反映せず

株式・社債等

(評価損・評価益ともに変更なし)

(注)国際統一基準行については、特例を用いることについて選択制であるが、一旦特例を適用した場合はこれを継続して用いなければならない。

◎平成24年3月31日までの時限措置(予定)

※ 詳しくは金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「銀行等の自己資本比率規制の一部弾力化について」(平成20年11月7日)にアクセスしてください。


平成20検査事務年度検査基本方針の改定について

1.はじめに

金融庁では、各検査事務年度における検査の実施方針等を明記した検査基本方針を毎年公表しています。平成20検査事務年度の検査基本方針は8月19日に公表したところですが、国際的な会計基準をめぐる動きに応じた時価評価等の明確化に金融検査でも対応することを目的として、去る10月28日に平成20検査事務年度検査基本方針の改定を実施しました。

この措置は、10月30日に政府・与党によって決定された「生活対策」において掲げられている「適正な金融商品会計に向けた努力へのサポート」に資するものです。

2.改定の背景・内容

金融商品の会計処理及び時価の算定は、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」及び日本公認会計士協会 会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」等に基づいて行われています。これらによって定められている金融商品の会計処理及び時価の算定は、国際的な会計基準と同じ考え方に基づいていると考えられますが、最近の金融市場における混乱を背景として、時価の算定に関する質問が寄せられたことを受け、企業会計基準委員会は、金融商品の公正価値(時価)の算定方法を明確化するため、「金融資産の時価の算定に関する実務上の取扱い」を策定・公表しました(10月16日公開草案公表、パブリックコメント開始。10月28日最終版公表)。

企業会計基準委員会の公表した「金融資産の時価の算定に関する実務上の取扱い」では、市場に十分な取引がある場合、金融商品の公正価値(いわゆる「時価」)は市場価格によるが、市場で取引がなく実際の売買事例が極めて少ない場合や、売手と買手の希望価格差が著しく大きい場合等には、金融商品の公正価値の算出に際し、市場価格ではなく、合理的に算出された価額(理論値)を使用することもできることが明確化されています。

当該取扱いについては、20年9月末決算から適用可能とされており、公表と同日に、日本公認会計士協会から各監査法人に対して公表内容の周知がなされたところです。これらを踏まえて、金融検査でも的確に対応を行うため、金融庁では、「平成20検査事務年度検査基本方針」に、金融機関による有価証券の自己査定の検証に当たっては同取扱いに留意する旨を、『検査の留意事項』として追記することとしました。

3.具体的な取組み

金融庁では、改定した検査基本方針の内容について、直ちに全ての検査官に徹底するとともに、20年9月末を対象とした検査より実施しているところです。また、今後、新たに会計基準の明確化等が図られた場合には、それにも留意して検証を行うこととしています。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から、「平成20検査事務年度検査基本方針の改定について」(平成20年10月28日)にアクセスしてください。


「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等
(期間:平成20年7月1日~9月30日)

金融サービス利用者相談室(以下「相談室」といいます。)に寄せられた利用者からの相談件数や主な相談事例等のポイント等については、四半期毎に公表しています。平成20年7月1日から9月30日までの間における相談等の受付状況及び特徴等は、以下のとおりです。

  • 1.平成20年7月1日から9月30日までの間に、12,661件の相談等(詳細については、「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等(平成20年10月31日)をご参照ください。)が寄せられています。1日当たりの受付件数は平均201件となっており、20年4月1日から6月30日までの間の実績(185件)と比べやや増加しています。

  • 2.分野別の受付件数としては、預金・融資等に関するものが3,398件(27%)、保険商品等に関するものが3,698件(29%)、投資商品等に関するものが3,848件(30%)、貸金等に関するものが1,419件(11%)、金融行政一般・その他が298件(2%)となっています。

  • 3.分野別の特徴等としては、

    • (1)預金・融資等については、融資の実行・返済や振り込め詐欺救済制度など一般的な照会に関するものについての相談等が寄せられています。

    • (2)保険商品等については、保険金の支払に関するもの、保険金請求時等における保険会社の対応に関するものについての相談等が寄せられています。

    • (3)投資商品等については、証券会社(第一種業)に関するもの、市場に関するもの、登録詐称・無登録業者に関するものについての相談等が寄せられています。

    • (4)貸金等については、一般的な照会・質問に関するもの、個別取引・契約の結果に関するもの、不適正な行為に関するものについての相談等が寄せられています。

  • 4.なお、受け付けた相談等の中には、検査・監督上参考となる情報(注)も寄せられており、利用者全体の保護や利便性向上の観点から、金融機関に対する検査における検証や監督におけるヒアリング等、金融行政を行う上での貴重な情報として活用しています。

    • (注)検査・監督上参考となる情報の例

      • (1)預金取扱金融機関によるリスク性商品等の販売時における顧客への説明態勢及び広告等の不適正な表示に関するもの

      • (2)預金取扱金融機関における本人確認や説明を求めた際の不適切な顧客対応に関するもの

      • (3)預金取扱金融機関の個人情報の取扱いに関するもの

      • (4)いわゆる貸し渋り・貸し剥がしに関するもの

      • (5)保険会社等の不払い等(保険金等の不適切な不払い、支払漏れ等)に関するもの

      • (6)保険募集人等の不適正な行為(重要事項の不十分な説明、手続に関する不適切な案内・対応、不告知の教唆、無断契約、保険料の立替、名義借り等)に関するもの

      • (7)損害保険会社の火災保険等の保険料過徴収に関するもの

      • (8)いわゆる集団投資スキームを利用した法令違反のおそれのある行為に関するもの

      • (9)貸金業者による法令違反のおそれのある行為(取立行為規制違反、取引履歴の不当な開示拒否等)に関するもの

    また、預金口座の不正利用に関する情報については、金融機関及び警察当局へ94口座の情報提供を行っています。

    さらに、平成20年4月1日から6月30日までの間における情報の活用状況は以下のとおりです。

    • (1)監督において行った227金融機関等に対するヒアリング等に際して、相談室に寄せられた情報を参考としています。

    • (2)金融庁が着手した18金融機関の検査等に際して、相談室に寄せられた情報を参考としています。

  • 5.寄せられた相談等のうち利用者の皆様に注意喚起する必要がある事例等について、「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」として周知しています。今回、新たに追加又は改訂する「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」の項目・相談事例等は、以下のとおりです。

    • □預金・融資等

      • ○振り込め詐欺救済制度に関する相談等

        • 振り込め詐欺の対象になる犯罪行為とはどのようなものですか。例えば、インターネットオークション詐欺のようなものも対象となりますか。
        • 手続を行ってから被害金が支払われるまでどれくらいかかりますか。
    • □保険商品等

      • ○保険契約者の保護に関する相談等

        • 保険会社の経営が破綻した場合の契約者保護の仕組について教えてください。
    • □投資商品等

      • ○投資者保護制度に関する相談等

        • 証券会社が破綻した場合、投資者保護の仕組としてどのようなものがあるのでしょうか。
    • □貸金等

      • ○違法な金融業者からの借入れに関する相談等(改訂)

        • ダイレクトメールで融資勧誘をしてきた業者に借入れを申し込んだところ、「金融庁から貸付停止命令が出されており解除手数料が必要」と言われ、借入前にお金を振り込みましたが融資が実行されません。
        • 融資勧誘の電話をしてきた業者に借入れを申し込んだところ、「融資条件として保険を掛けることが必要」と言われ、保険料を借入前に振り込みましたが融資が実行されません。
        • インターネットで検索した業者に借入れを申し込んだところ、「貸付限度額の上限となっているため事前に保証料をいただかないと融資できない」と言われ、保証料を借入前に振り込みましたが融資が実行されません。
        • 携帯サイトで検索した業者に借入れを申し込んだところ、「新規顧客には金利を先払いしてもらっている」と言われ、借入前にお金を振り込みましたが融資が実行されません。
        • 雑誌で見つけた業者に借入れを申し込み、業者の言うとおりに、信用情報登録料、公正証書作成料、金融庁供託金、信用保証料等を振り込みましたが融資が実行されません。
      • ○都道府県登録業者に関する相談等

        • ある貸金業者(○○県登録)から借入れを行っておりますが、延滞等もなく正常に返済を続けてきたにも関わらず、一括返済又は追加担保を差し入れることを要求されました。

* その他、金融庁のウェブサイト(「一般のみなさんへ」)では、金融サービスを利用する皆様にご注意いただきたい情報を掲載しています。

金融サービス利用者相談室における相談等の受付状況表
(平成20年7月1日~9月30日)

1.類型別受付件数

類型別受付件数

2.受付方法別件数

受付方法別件数

3.分野別受付件数

分野別受付件数

4.分野別・要因別の相談等受付件数

分野別・要因別の相談等受付件数

預金口座の不正利用に係る情報提供件数等について

平成15年9月12日、金融庁は、預金口座を利用した悪質な事例が大きな社会問題となっていることを踏まえ、当局が預金口座の不正利用に関する情報提供を受けた場合には、明らかに信憑性を欠くと認められる場合を除き、当該口座が開設されている金融機関及び警察当局への情報提供を速やかに実施する旨事務ガイドライン(現監督指針)を改正したところであり、その情報提供件数等について、四半期毎に公表しています。

これによると、調査を開始した平成15年9月以降、本年9月30日までに、金融庁及び全国の財務局等において、20,240件の預金口座の不正利用に係る情報提供を行いました。

また、金融機関としても、預金口座の不正利用と思われる情報があった場合には、直ちに調査を行い、本人確認の徹底や、必要に応じて預金取引停止、預金口座解約といった対応を迅速にとっていくことが肝要であり、本年9月30日までに、当局が情報提供を行ったものに対し、金融機関において、10,644件の利用停止、7,848件の強制解約等を行っています。

預金口座の不正利用に係る情報提供件数等

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「「預金口座の不正利用に係る情報提供件数等について」(平成20年10月31日)」にアクセスしてください。


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