短期社債等の振替に関する法律案要綱

一 総則

  • 1. 目的

    この法律は、短期社債等の振替を行う振替機関及び短期社債等の発行、譲渡等に関し必要な事項を定めることにより、短期社債等の流通の円滑化を図ることを目的とする。

    (第1条関係)

  • 2. 定義

    短期社債、短期社債等、振替機関、加入者につき、所要の定義規定を設けることとする。

    (第2条関係)

二 振替機関

  • 1. 指定

    • (1)主務大臣は、一定の要件を備える株式会社を、その申請により、振替業を営む者として指定することができることとする。

    • (2)上記(1)の指定を受けようとする者は、商号、資本の額及び純資産額等の所定の事項を記載した指定申請書を添付書類とともに主務大臣に提出しなければならないこととする。

      (第3条、第4条関係)

  • 2. 資本の額等

    • (1)振替機関の資本の額及び純資産額は、それぞれ5億円以上の政令で定める金額以上でなければならないこととする。

    • (2)振替機関は、その資本の額を減少しようとするときは主務大臣の認可を受けなければならないこととし、また、資本の額を増加しようとするときは主務大臣に届け出なければならないこととする。

      (第5条、第6条関係)

  • 3. 秘密保持義務

    振替機関の役職員等について、秘密保持義務に係る規定を設けることとする。

    (第7条関係)

  • 4. 業務

    • (1)振替機関は、振替業及び株券等の保管及び振替に関する法律に規定する保管振替業等並びに振替業に関連する業務で当該振替機関が振替業を適正かつ確実に営むにつき支障を生ずるおそれがないと認められるものとして主務大臣の承認を受けた業務のほか、他の業務を営むことができないこととする。

    • (2)振替機関は、他の者のために、その申出により短期社債等の振替を行うための口座を開設しなければならないこととする。

      また、振替機関は、社債権者の有する短期社債の総額がその発行総額を超える場合に行う短期社債の消却義務の履行の目的のため、自己のために短期社債等の振替を行うための口座(機関口座)を開設することができることとする。

    • (3)振替機関は振替口座簿を備えなければならないこととする。

    • (4)振替機関は、当該振替機関における振替口座簿の記録による取扱いについてあらかじめ発行者から同意を得た短期社債等でなければ、取り扱うことができないこととする。

      また、発行者は、特定の種類の短期社債等について一の振替機関に対し当該同意をしたときは、当該短期社債等について他の振替機関に同意をしてはならないこととする。

    • (5)振替機関は、特定の加入者又は発行者に対し不当な差別的取扱いをしてはならないこととする。

    • (6)その他所要の規定を設けることとする。

      (第8条~第14条関係)

  • 5. 監督

    • (1)振替機関に帳簿書類等の作成・保存、業務及び財産に関する報告書の主務大臣への提出を義務付けることとする。

    • (2)振替機関の定款又は業務規程の変更は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じないこととする。

    • (3)下記三3.(6)の場合等所定の事故が生じたときの主務大臣への報告を振替機関に義務付けることとする。

    • (4)主務大臣は、振替業の適正かつ確実な遂行のため必要があると認めるとき又は振替機関が欠格事由に該当することとなったとき等において、振替機関に対し立入検査、業務改善命令、指定の取消し、業務の停止命令、取締役・監査役の解任命令を行うことができることとする。

    • (5)主務大臣は、振替機関が指定を取り消された等のときは、当該振替機関に対し、振替業を他の株式会社に移転することを命ずることができることとするほか、当該業務移転命令を受けた場合における株主総会の決議に関する商法の特例に係る所要の規定を設けることとする。

    • (6)その他所要の規定を設けることとする。

      (第15条~第24条関係)

  • 6. 合併、分割及び営業の譲渡

    • (1)振替機関に係る合併、新設分割、吸収分割又は営業譲渡については、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じないこととする。

    • (2)上記(1)の認可を受けようとする振替機関は、商号、資本の額及び純資産額等の所定の事項を記載した認可申請書を、添付書類とともに主務大臣に提出しなければならないこととするほか、認可申請があった場合に主務大臣が審査を行うに際しての基準に係る規定を設けることとする。

    • (3)上記(1)の合併等が行われた場合における、振替業の円滑な承継に係る所要の規定を設けることとする。

    • (4)振替機関が上記(1)の合併等を行うときは、株主総会の承認の決議のほか、加入者の承認を受けなければならないこととする。

      (第25条~第32条関係)

  • 7. 加入者集会

    • (1)加入者が上記6.(4)の合併等に対する承認を行うには、加入者集会の決議によらなければならないこととする。

    • (2)加入者集会は振替機関が招集することとするほか、招集手続に係る所要の規定を設ける。

    • (3)加入者集会における加入者の議決権、決議の方法等に係る所要の規定を設けることとする。

    • (4)その他所要の規定を設けることとする。

      (第33条~第39条関係)

  • 8. 解散等

    • (1)振替機関に係る解散の決議等については、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じないこととする。

    • (2)振替機関が振替業を廃止した等のときは、振替業を営む者としての主務大臣の指定は効力を失うこととする。

    • (3)振替機関が振替業を営む者としての指定を取り消された場合又は指定が効力を失った場合における業務の結了に係る所要の規定を設ける。

    • (4)振替機関の清算手続等に係る所要の規定を設ける。

      (第40条~第43条関係)

三 短期社債の振替

  • 1. 通則

    • (1)短期社債についての権利の帰属は、振替口座簿の記録により定まることとする。

    • (2)短期社債については、社債券を発行することができないこととする。

    • (3)上記(2)にかかわらず、振替機関が振替業を営む者としての指定を取り消され又は指定が効力を失った場合であって、当該振替機関の振替業の承継者が存しないときは、短期社債の社債権者は、発行者に対し、社債券の発行を請求することができることとする。

      (第44条、第45条関係)

  • 2. 振替口座簿

    振替口座簿に係る記録事項、新規記録手続、振替手続、抹消手続及び記録の変更手続につき、所要の規定を設けることとする。

    (第46条~第50条関係)

  • 3. 振替の効果等

    • (1)短期社債の譲渡は、振替の申請により、譲受人がその口座において当該譲渡に係る短期社債の金額の増額の記録を受けなければ、その効力を生じないこととする。

    • (2)短期社債の質入れは、振替の申請により、質権者がその口座において当該質入れに係る短期社債の金額の増額の記録を受けなければ、その効力を生じないこととする。

    • (3)短期社債については、信託は、受託者がその口座において、信託財産である旨等の記録を受けなければ、第三者に対抗することができないこととする。

    • (4)加入者は、その口座における記録がされた短期社債についての権利を適法に有するものと推定することとする。

    • (5)加入者は、振替の申請によりその口座において増額の記録を受けた特定の銘柄の短期社債について、当該加入者に悪意又は重大な過失があるときを除き、当該増額の記録に係る権利を善意取得することとする。

    • (6)上記(5)の善意取得により、社債権者の有する短期社債の総額がその発行総額を超えることとなる場合において、振替機関が短期社債の消却義務を負うこととするほか、所要の規定を設けることとする。

      (第51条~第58条関係)

  • 4. 短期社債の発行等に関する商法の特例

    • (1)短期社債の発行については、取締役会の決議により、発行可能期間及び当該期間中において発行した短期社債のうち償還されていないものの総額の限度額を定めた上で、発行を特定の取締役に委任することができることとする。

    • (2)短期社債については、社債原簿の作成を要しないこととする。

    • (3)短期社債については、社債管理会社、既存社債に未払込みがある場合の制限、各社債の金額、社債権者集会等に係る商法の規定を適用しないこととする。

      (第59条関係)

  • 5. 雑則

    振替口座簿に記録されている事項の証明及び短期社債に関する強制執行等につき、所要の規定を設けることとする。

    (第60条、第61条関係)

四 その他の短期社債等の振替

短期社債以外の短期社債等の振替に関する所要の規定を設ける。

(第62条関係)

五 雑則

主務大臣が行う振替機関の指定の取消しに係る財務大臣への協議、この法律の主務大臣、内閣総理大臣の権限の金融庁長官への委任等について、所要の規定を設ける。

(第63条~第68条関係)

六 罰則

振替口座簿に係る虚偽記録等に関して、所要の罰則規定を設ける。

(第69条~第78条関係)

七 その他

  • 1. 施行期日等

    この法律は、平成14年4月1日から施行し、施行日以後に発行される短期社債等について適用することとする。

    (附則第1条関係)

  • 2. 関係法律の整備

    • (1)証券取引法の一部改正

      頻繁に発行・償還が行われる短期社債に適合するよう、発行登録制度における開示事項及び開示方法について、所要の整備を行うこととする。

    • (2)銀行法等の一部改正

      銀行その他の金融機関が、付随業務として短期社債等を取り扱えるよう所要の規定の整備を図るほか、相互会社における「短期社債」の発行規定を設けるなど所要の整備を行うこととする。

    • (3)資産の流動化に関する法律の一部改正

      特定目的会社における「特定短期社債」の発行規定を設けることとし、これに伴い、資産流動化計画等について所要の整備を行うこととする。

    • (4)その他所要の規定の整備を行うこととする。

  • 3. 経過措置等

    その他所要の経過措置等に関する規定を設けることとする。

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