- ホーム
- アクセスFSA
- 第56号
- アクセスFSA 第56号
-
1. 3大監査法人の業務改善状況について
-
(1)検査の概要
公認会計士・監査審査会
(以下「審査会」という。)は、平成17事務年度(平成17年7月から平成18年6月まで)に実施した4大監査法人(あずさ監査法人、監査法人トーマツ、新日本監査法人及び中央青山監査法人)に対する検査で指摘した監査の品質管理上の問題点や金融庁長官の業務改善指示に対する各法人の改善状況を検証することを目的として、平成19年2月から同年6月までの期間に、みすず監査法人(旧中央青山監査法人)を除く3法人に対して順次検査を実施しました。
今回の検査は、各法人の作成した個々の改善策が適切に実施されているか、改善したとする事項の運用において不十分な点がないか等について、本部事務所及び東京、大阪その他一部の地方事務所に立ち入り、検証しました。
審査会は、この検査の結果を踏まえ、3大監査法人の業務改善状況について取りまとめ、平成19年6月29日に「3大監査法人の業務改善状況について」として公表
しました。
-
(2)検査結果の概要
各法人ともに、法人代表者の指示に基づき本部内に改善に関する管理担当部署及び責任者を定めて、改善策の作成、周知、進捗状況の取りまとめを行うなど、組織的に改善策の実施に取り組んでいるものと認められます。今回の検査で検証した限りでは、各法人ともに、個々の改善策の実施が著しく遅延しているもの又は著しく不十分なものは認められませんでしたが、改善策の周知が組織の末端まで徹底されていない事例や改善の進捗管理等に不十分な点がみられ、また、個々の改善策の実施に係る管理及び運用面にも不十分な点がみられています。
なお、各法人は、今回の検査における指摘について、審査会の検査結果通知を待つことなく改善の徹底に取り組んでいます。審査会としては、このような各法人の自主的な取り組みにより、各法人の監査の質が更に向上することを期待しています。
-
(3)今後の対応
今回の検査において法人間の改善状況に差異が認められること、各法人の個々の改善策の内容が異なっていること、さらに、法人の業務改善の成果が個別監査業務に反映される必要があることから、審査会としては、今回の指摘及び今後改善を予定している事項の改善状況並びに個別監査業務の検証を引き続き行っていくこととしております。
-
※詳しくは、金融庁ホームページ内、公認会計士・監査審査会の「新着情報一覧」から、「3大監査法人の業務改善状況について」の公表について(平成19年6月29日)
にアクセスしてください。
-
-
2. 「監査の品質の一層の向上のために-審査基本方針等-」等について
審査会は、第1期(平成16年4月~平成19年6月)における審査及び検査の実績を踏まえ、これまでに指摘した事項に対する改善の確実な定着を促していくことを審査の基本的考え方として盛り込み、平成19年6月29日に「監査の品質の一層の向上のために-審査基本方針等-」
を公表しました。
審査会は、これらの方針について事務年度毎に見直しを行うとともに、事務年度毎に「審査基本計画」及び「検査基本計画」を策定することとし、同日付で「平成19事務年度の審査基本計画及び検査基本計画」
を公表しております。
また、審査会は、これまでに実施してきた検査を踏まえ、検査手続の適正性確保及び効率的な検査の実施に資するため、検査に関する基本事項等について検討し、広く意見の募集を行った上で、平成19年6月29日に「公認会計士・監査審査会の実施する検査に関する基本指針」
を公表しました。
※ 詳しくは、金融庁ホームページ内、公認会計士・監査審査会の「新着情報一覧」から、「監査の品質の一層の向上のために-審査基本方針等-」の策定について(平成19年6月29日)、「平成19事務年度の審査基本計画及び検査基本計画」の策定について(平成19年6月29日)
、「公認会計士・監査審査会の実施する検査に関する基本指針」の策定について(平成19年6月29日)
にアクセスしてください。
平成19年1月30日に金融審議会金融分科会に設置された「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」は、本年6月までに14回の会合を重ね、6月13日には、それまでの議論を踏まえた中間論点整理(第一次)を公表しました。
中間論点整理においては、取引所の取扱商品の多様化や海外企業の株式の国内での取引機会の拡大といった市場制度に関する課題や、課徴金制度の見直し、予見可能性の高い規制環境の構築といった市場監視機能に関する課題、国際的に通用する金融・法務・会計等の専門人材の育成・集積といった市場参加者に関する課題、国際金融センターとしての都市インフラの整備といったインフラに関する課題等、幅広い検討課題が挙げられています。
金融庁としては、今後、中間論点整理に盛り込まれた課題等につき、具体的に検討を進めることとしており、特に、制度的な対応が必要となる課題については、金融審議会で法制面を含め専門的な検討を行っていく予定です。また、これらの検討結果を踏まえ、「金融・資本市場競争力強化プラン(仮称)」を、平成19年内を目途にとりまとめることとしています。
-
1. 山本有二金融担当大臣は、平成19年6月13日に、金融庁において、欧州委員会(EC)のチャーリー・マクリーヴィ委員(域内市場・サービス担当)と会談しました。
会談において、山本大臣とマクリーヴィ委員は、日本の金融商品取引法の整備状況や、EUの金融商品市場指令等の、日・EUの資本市場における最近の動向について意見交換を行いました。
また、山本大臣は、日本の金融資本市場の国際センターとしての魅力を高めようとする取組みについて説明し、これに対し、マクリーヴィ委員は、ファイヤー・ウォール規制等の今後実施される可能性のある施策に高い関心を示しました。
-
2. 山本大臣とマクリーヴィ委員は、会計基準のコンバージェンスや、監査の分野における監査監督体制等の相互協力についても意見交換を行いました。山本大臣は、EU市場の開放的な性格が維持されることの重要性を強調し、また、企業会計基準委員会(ASBJ)によるコンバージェンスに向けた作業が計画的に進捗していることを説明し、マクリーヴィ委員は、この作業の進展に理解を示しました。両者は監査の分野でも、国際規模で企業活動が行われる中で、国を超えて規制当局間での協力が行われる必要があるとの意見を交換しました。
-
3. EUは、平成17年から域内上場企業の連結財務諸表の作成にあたり、国際会計基準の採用を義務付けています。また、平成21年より、日・米・加等の域外国の上場企業に対して、国際会計基準又はこれと同等の基準の使用を義務付ける方針です。このため、平成20年6月までに、日・米・加等の会計基準について、国際会計基準との同等性評価を行う予定としています。
監査についても、EUは、平成20年6月末以降、域内市場に上場する域外企業の監査を行う域外監査法人等に対し、各EU加盟国当局に登録して直接の監督に服するか、又は当該域外国において、EU指令で定められているものと「同等」の監督体制に服することを求める方針です。このため、現在EUは同等性評価の作業を進めています。
-
4. 金融庁は、ECと「日EU会計・監査のモニタリング会合」の枠組みについて合意し、昨年11月より会合を開催しています(第2回は平成19年3月23日、26日開催)。
金融庁は、引き続き、ECとの積極的な対話を行っていく方針です。
※ 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「山本金融担当大臣と欧州委員会マクリーヴィ委員の会談について」(平成19年6月14日)にアクセスしてください。
本年11月8日(木)及び9日(金)の日程で開催される「IOSCO東京コンファレンス」についてのホームページが開設されました。本ホームページにて、プログラムや会場に関する情報を提供していますのでご参照ください。今後、パネリスト等の情報についても追加していく予定です。
IOSCO(証券監督者国際機構)は、世界の116カ国・地域 の182の証券監督当局、証券取引所等から構成される国際的な機関で、証券監督に関する原則や指針等の国際的なルールの策定などを行っている国際機関です。
IOSCO専門委員会は、世界の金融関係者と規制当局が積極的に意見交換を行うことにより、専門委員会の市場ルール作りに対して、市場参加者の声を反映させていくことを目指して、平成16年から毎年国際コンファレンスを開催しています。第1回はニューヨーク、第2回はフランクフルトで開催され、昨年のロンドンでは、規制当局者や証券会社・銀行・運用会社などの経営幹部が約370名参加しました。
国際コンファレンスは、証券行政のあり方や、その時々のタイムリーな金融・資本市場の話題について意見交換を行う場であり、IOSCO東京コンファレンスでは、会計・監査における収斂、取引所間の競争と統合、金融コングロマリットに対するアプローチ、規制当局間協力の新たな展開、オルタナティブ投資に対するアプローチなどについて、パネルディスカションが行われる予定となっております。
なお、お席に限りがありますことから金融庁からご案内状を送付した方のみご参加が可能なイベントとなっておりますことご承知ください。
-
1. 平成19年6月29日、金融庁と米国証券取引委員会(SEC)との間の定期的な政策対話である「日米ハイレベル証券市場対話」(第3回)が、金融庁において開催され、五味 前金融庁長官及びケイシーSEC委員をはじめとするハイレベル職員が参加しました。
-
2. 今回の「日米ハイレベル証券市場対話」においては、クロスボーダー化が進む証券市場における規制に関する議論や、取引所のクロスボーダーでの統合、会計基準のコンバージェンス、監督上の課題など、幅広いトピックについて話し合いました。
-
3. 証券取引のクロスボーダー化が進む中、金融庁とSECが共通して取り組むべき監督上の課題は多く、意見交換と相互理解を深めたことは、非常に有益かつ必要なことです。また、金融庁とSECのハイレベル職員が互いに顔を合わせる機会は限られていることから、今回の「対話」も、両当局の友好・協力関係の一層の発展が確保されました。
※ 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「金融庁と米国証券取引委員会(SEC)との間の「日米ハイレベル証券市場対話」の開催について」(平成19年6月29日)にアクセスしてください。
山本金融担当大臣は、去る7月1日~4日、シンガポールを訪問しました。
当地では、前首相のゴー・チョクトン上級相兼通貨監督庁議長をはじめ、政府、取引所、政府出資の公的投資機関等の指導者と会談しました。
一連の会談では、シンガポールの金融立国の経験を伺うとともに、通貨監督庁と当庁の定期協議を設けるなど、両国当局間の連携を強化していくことで一致いたしました。
また、東京証券取引所とシンガポール取引所の連携について関係者と議論するとともに、幅広い品揃えを有するシンガポールの取引所の実情や、公的投資機関が優秀な人材を世界中から確保してリスクの分散と高収益をもたらす運用を実施している状況などを伺いました。
![]() |
![]() |
当庁では、今回の大臣出張で得た成果を踏まえ、年内に取りまとめる「金融・資本市場競争力強化プラン(仮称)」の充実を図るとともに、両国当局間の協力・信頼関係を引き続き深めていくこととしています。
※ 詳しくは、金融庁ホームページの「活動について 記者会見等」から「記者会見概要」(平成19年7月6日)にアクセスしてください。