アクセスFSA 第204号

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日経お金の教室
神田大臣政務官出演、親子向けの金融経済教育動画

  金融庁では、家計の金融リテラシーの向上に向けて様々な取組みを行っており、その一環として、日本経済新聞社主催の「日経お金の教室」を後援しています。「日経お金の教室」は小学校高学年から中学生とその保護者向けの、金融・経済を学べるウェブサイトです。同サイトでは、日本経済新聞社、金融庁、金融機関等による、お金に関する知識が楽しみながら学べる動画や情報が掲載されているほか、元東大クイズ王 伊沢先生のクイズに答えながら理解を深めることができるようになっています。夏休みにはぜひ、親子でお金のことを学んでみてください!
 
ウェブサイト「日経お金の教室」(本年7月31日公開)
URL : https://ps.nikkei.co.jp/okanenokyoshitsu/新しいウィンドウで開きます


◆ 神田大臣政務官出演 「ワニーサと学ぶお金の話」
 金融庁からは、「ワニーサと学ぶお金の話」と題した子供向けの動画に、神田憲次 金融担当大臣政務官が出演されました。新たな形態のお金として普及が進む電子マネーやQRコード決済に触れつつ、お小遣い帳をつけることで、お金を使い過ぎないコツを教えています。また、お金の賢い使い方として、使う、貯める、ゆずる、増やすの4つの方法を説明しています。最後には、ご自身が税理士として資金繰りに苦労する中小企業の相談にのっていたことから、無駄遣いをせずお金を大切に使ってほしいとの熱いメッセージを伝えて頂きました。

 動画には、金融庁のキャラクターであるつみたてワニーサも登場しました。今までは、ポスターやパンフレットでの活躍が中心でしたが、今回はなんと動いたり、話したりしています!神田大臣政務官と会話しながら、投資の仕組みを説明するアシスタント役をつとめました。

 他にも、金融庁職員による動画「お金の授業」では、紙芝居を使って、「お金の歴史と種類」「お金の使い方」について説明しています。この動画でも、つみたてワニーサが横について、一緒に勉強してくれています。

 今年はコロナ禍による休校もあり、夏休みが短縮されている小学校、中学校が多いと思いますが、夏休みの自由研究の題材として、お子さんと一緒に「お金について」考えてみるのも良いのではないでしょうか。

写真左:神田大臣政務官とワニーサ

写真右:アシスタント役をつとめる「つみたてワニーサ」

 

 


「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた
企業決算・監査等への対応について(骨子)」の公表

企画市場局企業開示課開示業務室 課長補佐 國島 佳恵

(※本稿において意見に係る部分は筆者の個人的見解であり、所属組織の見解を示すものではありません。)

 金融庁では、7月2日に「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査等への対応について(骨子)」を公表しました。本稿では、その背景と概要をご紹介します。

1.背景
 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業の決算や監査をめぐる現状認識や対応のあり方を共有するための場として、金融庁に、「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査等への対応に係る連絡協議会」が設置されました(4月3日)。本連絡協議会は、日本公認会計士協会、日本経済団体連合会、企業会計基準委員会、東京証券取引所などの関係者が参加し、7月2日までに9回の電話会議が開催されました。今般公表された文書は、この連絡協議会での議論の主な点をまとめたものです。

2.概要

 メンバー等による取組み、緊急事態宣言の発令などを踏まえた具体的な取組みとして、

・ 金融庁が、金融商品取引法に基づく有価証券報告書や四半期報告書等の提出期限について、企業側が個別の申請を行わなくとも、一律に2020年9月末まで延長できるようにするための措置を講ずる企業内容等の開示に関する内閣府令等を改正

・ 連絡協議会名で、株主総会の延期や継続会の開催など、例年とは異なるスケジュールや方法とすることの検討を求める声明文を公表し、金融庁、法務省、経済産業省の3省庁連名により、継続会開催の留意事項を明確化する文章を公表

・ 金融庁、企業会計基準委員会、日本公認会計士協会、日本証券アナリスト協会による、新型コロナウイルス感染症の影響に関する具体的かつ充実した企業情報の開示が強く期待されること等を内容とする要請文の公表

・ 東京証券取引所が、決算発表日程の再検討のお願いを上場会社宛てに通知

・ 日本経済団体連合会が、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた定時株主総会の臨時的な招集通知モデルを公表

などを紹介するほか、連絡協議会のまとめとして、

・ 感染拡大のピーク時を含め、クラスターの発生等の大きな混乱はなく、企業決算・監査業務等を進めることができたことを評価

・ 今後、基準日変更を検討する企業があれば、後押しすることや、企業決算・監査等に係るデジタル化の推進など、実務上の中長期的な課題への対応は、引き続き関係者と議論

などの点を確認し、今後の見通しとして、
・ 本連絡協議会は、7月2日の会合にて一区切りとし、万が一状況の変化があった場合は再開
する旨を記載しております。

 取組みの更なる具体的な内容は、一覧と共に、https://www.fsa.go.jp/singi/coronakansakyougikai/index.html にてご紹介・公表しておりますので、こちらもご覧ください。

(参考)3月期決算会社の決算発表・株主総会開催時期の動向等について
<決算発表の動向(6月末時点)>
<3月期決算会社の株主総会開催時期の動向
(6月末開示分まで)>

※ 計算書類報告のための臨時総会を後日開催


 
 

 


投資信託等の販売会社による顧客本位の業務運営の
モニタリング結果について(令和元事務年度)

総合政策局リスク分析総括課                                                         
リスク性金融商品販売モニタリングチーム 主任統括検査官 長澤 敏夫

(※本稿において意見に係る部分は筆者の個人的見解であり、所属組織の見解を示すものではありません。)

 2020年7月3日、金融庁は、「投資信託等の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果について(令和元事務年度)」を公表※1しました。本稿では、このモニタリング結果の概要及び今後の対応についてご紹介します。

1.金融庁によるこれまでの取組みと課題(モニタリング結果のサマリー)
 金融庁では、国民の「貯蓄」から「資産形成」への動きを促進させるため、金融事業者に対して、顧客本位の良質な金融商品・サービスの提供を競い合うように促すべく、2017年3月に「顧客本位の業務運営に関する原則」※2(以下、「原則」という。)を策定・公表し、以後、①「原則」を採択した金融事業者の取組みの「見える化」の促進、②投資信託等の販売会社との対話による取組みの促進、③金融庁・金融機関の取組みにかかる顧客評価の実態把握※3などを進めてきました(図表1)。
図表1 金融庁による顧客本位の業務運営の浸透・定着に向けた取組み

 こうした中、令和元事務年度の主要な論点についての概要は以下の通りとなります。

(1)外貨建保険等の販売態勢について
 平成30事務年度の販売会社へのモニタリングにおいて、特に、外貨建保険については、低金利環境下の比較優位な商品として、販売が急増しており、それに伴い苦情の増加が認められました。このため、令和元事務年度においては、外貨建保険の販売態勢を中心に販売態勢についてモニタリングを実施しました。

 その結果、一部には好事例も認められましたが、業績評価体系が外貨建保険の販売姿勢に影響している可能性が窺え、当該保険の販売に過度なインセンティブを与えない評価体系の整備に課題が認められました。具体的には、外貨建保険の販売が増加している販売会社では、業績評価において、外貨建保険の評価を他のリスク性金融商品よりも高く設定しているといった傾向が見られました。また、一時払い保険販売における円建保険と外貨建保険の業績評価の差の有無と、外貨建保険販売比率との関係性を見たところ、外貨建保険の収益評価を円建保険に近い水準ないしは同水準にした販売会社においては、外貨建比率が減少(図表2左)している一方で、外貨建保険の収益評価が円建保険よりも大幅に高い先においては、外貨建比率が8割以上の水準で推移しており、中でも新たに外貨建保険の評価を高く設定した先では、その後に外貨建比率が急上昇する(図表2右)といった特徴が見られました。そのほか、販売方針や想定する販売顧客層を設定しないまま、金利の優位性をアピールした販売により、預金と誤認したとの苦情が発生するなど、顧客保護の観点からの問題も認められました。

 上記のような外貨建保険販売をはじめとして見られる各販売会社の取組みの深度の差異は、単に、販売現場等における能力の問題だけではなく、販売会社のこの分野における長期的な収益や投資等に関する経営スタンスが反映されていると推測されます。
図表2 業績評価変化に伴う一時払い保険販売に占める外貨建販売比率の推移
【外貨・円貨の業績評価に大差がない販売会社】
【外貨建の業績評価が高い販売会社】
【図表2:左右とも】
(注1)一時払い保険販売額全体に占める外貨建保険販売額の比率
(注2)自行販売ベース
(資料)金融庁

(2)金融事業者の取組みの「見える化」について
 金融庁では、国民が、金融事業者の顧客本位の取組みの状況を比較でき、より自分にあった金融事業者を選択し、自身の資産形成に取り組めるように、「原則」を採択した事業者に向けて、取組方針や取組成果(自主的なKPIや共通KPI※4)の公表(取組みの「見える化」)を求めてきたほか、「原則」を採択し、取組方針を公表した金融事業者については、事業者名とそれぞれの取組方針等を、金融庁ウェブサイト上で公表してきました。

 こうした中、金融事業者の取組みの「見える化」については、平成30事務年度は、「原則」の採択事業者数こそ増加(図表3)しているものの、「原則」を実際の販売現場に浸透させるスタンスが欠如している事例が散見している状況にあったことから、金融庁では、令和元事務年度には、取組成果を公表する事業者のみを金融庁ウェブサイト上の事業者リストに記載するなどの対応を行ってきました。この結果、「原則」採択事業者に占める取組成果公表事業者の割合は、2020年3月末時点で過半を超える61%まで増加し、2019年3月末時点の39%から改善が図られました※5 。しかしながら、取組方針や取組成果を公表している事業者の公表内容を確認したところ、多くの金融事業者では、「原則」を実現するための取組方針が、依然、概念的な内容に留まっているほか、取組成果の公表にあたり、顧客に対して、自社の取組みや取組成果を分かりやすく情報発信する動きは限定的となっています。

 その背景としては、まずは、顧客が上記の各社の取組成果の情報を基にして、複数の事業者を比較選択し、その上で、事業者がライフスタイルや各商品の想定する販売顧客層に基づいた提案を行い、顧客も類似する複数の金融商品を比較しながら購入する、といった一連の金融行動が一般的でなく※6、金融事業者に「見える化」を進めるモチベーションが必ずしも高くなっていないことなども、その一因かと推測されます。したがって、金融事業者の「見える化」が、上記の顧客の金融行動の変化につながるよう、事業者自身が比較可能性等について改善するとともに、金融庁としても顧客への発信を強化することが必要と考えています。
図表3 「原則」採択事業者数及び自主的KPI・共通KPI公表事業者数

(注1)「自主的なKPI」設定社数は、取組方針やその実施状況においてKPIを公表している事業者を集計

(注2)「共通KPI」公表社数は、3指標の共通KPIのうち、1指標以上公表している事業者を集計

(資料)金融庁

(注1)20年3月末時点

(注2)都市銀行等には、外国銀行を含む。地域銀行は、地域銀行及びその銀行持株会社。協同金融は、協同組織金融機関等。金商業者等は、金融商品取引業者等。その他には、銀行等代理業者、金融会社を含む

(注3)JAバンクは、JAバンク全体の共通KPIを公表している先(43)、所在する府県単位の数値を公表している先(93)、個別JA単位の数値を公表している先(72)と、公表単位に違いがあり。共通KPIの公表事業者としては、個別JA単位での公表先のみを集計し、 JAバンク全体や所在する府県単位の数値を公表している先は、自主的なKPI公表事業者に含める

(資料)金融庁


2.今後の対応
 本年に入り、新型コロナ感染症による影響から市場が大きく変動したことにより、顧客が、資産運用に漠然とした不安を感じやすい状況にあり、投資を継続することを難しくしている面があります。こうした状況だからこそ、顧客に対して冷静な対応を促すとともに、相場の不安定化を捉えた短期的な収益を狙う投資手法ではなく、長期・積立・分散により安定的な収益確保を目標とする投資手法の有効性を、改めて理解してもらうようにすることが望ましいと考えています。金融庁としても、関係者と連携しながら資産形成を含む金融リテラシーの向上への取組みをさらに進めていきますが、販売会社においても、日頃のコミュニケーションや運用提案の際に、顧客に対して、しっかりと説明することを期待したいと思います。

 今後とも、販売会社が顧客本位の良質なサービスを提供し、顧客の最善の利益を図っているかという視点に立って、販売会社へのモニタリングを継続するとともに、対話による取組みの改善を図ってまいります。
  

※1   2020年7月3日公表、「投資信託等の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果について(令和元事務年度)」 URL:https://www.fsa.go.jp/news/r2/kokyakuhoni/202007/fd_kouhyou.html

※2  2017年3月30日公表、「顧客本位の業務運営に関する原則」 
URL:https://www.fsa.go.jp/news/28/20170330-1/02.pdf

※3 調査結果については、2019年8月9日公表、「リスク性金融商品販売にかかる顧客意識調査について(最終報告)」参照 
URL:https://www.fsa.go.jp/news/r1/sonota/20190809fd/fd_kouhyou.html

※4 投資信託の販売会社における比較可能な共通KPI。 
URL:https://www.fsa.go.jp/news/30/sonota/20180629-3/20180629-3.html

※5 通常、「原則」採択から1年経過後には取組成果が出ると考えられるため、「原則」採択から1年経過後に取組成果を公表している事業者の割合を評価指標
  とし、以下の基準日で算定して比較したもの。
・2019年3月末:39%(=自主的なKPI公表事業者数(19/3末)513社/原則採択社数(18/3末)1,313社 )
・2020年3月末:61%(=自主的なKPI公表事業者数(20/3末)990社/原則採択社数(19/3末)1,619社 )

※6 平成30事務年度の顧客意識調査において、リスク性金融商品を購入する金融機関を複数比較して選択すると答えた顧客は4割、また、7割の顧客がメインで利用する金融機関を変えたことはないと答えている。さらに、7割の顧客がリスク性金融商品を購入する際、ほかの金融商品との比較説明を受けていないと回答している。

  


IT・サイバーセキュリティの取組みに関するレポートの公表について

総合政策局総合政策課 サイバーセキュリティ対策企画調整室長 水谷 剛                
総合政策局リスク分析総括課 主任統括検査官 片寄 早百合

(※本稿において意見に係る部分は筆者の個人的見解であり、所属組織の見解を示すものではありません。)

 令和2年6月30日、金融庁は、今事務年度における金融機関のITガバナンスの発揮やサイバーセキュリティの強化に向けた取組みを通じて、把握した実態や共通する課題等をとりまとめた次のレポートを公表しました。

1.「金融機関のITガバナンス等に関する調査結果レポート」
 金融機関において、経営者がリーダーシップを発揮し、ITと経営戦略を連携させ、企業価値の創出を実現するための仕組みである「ITガバナンス」の重要性が高まる中、金融庁では、令和元年6月に「金融機関のITガバナンスに関する対話のための論点・プラクティス整理」(以下、「論点・プラクティスの整理」という。)を公表し、金融機関とITガバナンスについて対話する際のポイント等を示しました。

 今事務年度は、この論点・プラクティスの整理の中で、今後整理すべき事項としていたもののうち、「地域銀行のIT戦略・ITガバナンス」(論点①)と「大手生損保のグローバルITガバナンス」(論点②)について実態把握等を進めました。この結果を整理したものが今回公表したレポートです。

 今回この2点について実態把握を進めた背景には、地域銀行では、複数金融機関でシステムが共同化されていますが、この共同センターでは共有化によるコスト削減という当初の目的と異なりITコストに課題が窺われること、大手生損保では、海外展開を加速させる中で、シナジー発揮が不十分であったり、海外のシステム開発において大幅な遅延やコスト超過等の事例が散見されることなど、グループグローバルでのITガバナンスの発揮が喫緊の課題となっていることがあげられます。

 今回の調査・分析結果の概要は、次のようになっています。

【論点①】

 

【論点②】

 引き続き、論点・プラクティスの整理に加え、本レポートも活用しながら、ITの戦略的活用を含め、金融機関のITガパナンスの発揮に向けた対話を深めていきます。

 今後も、業態ごとの金融機関や有識者との議論、本年3月に設置した「基幹系システム・フロントランナー・サポートハブ」を通じた支援を重ねていくとともに、今回明らかになった地域銀行の共同センターの課題を踏まえ、基幹系システムの乗換えコスト低減の可能性について、庁内外の関係者での議論・研究を進めていきます。



2.「金融分野のサイバーセキュリティレポート」
 平成30年10月に金融分野のサイバーセキュリティ戦略である「金融分野におけるサイバーセキュリティ強化に向けた取組方針」をアップデートし、これまで官民が一体となって、金融分野のサイバーセキュリティ強化に向けた取組みを実施してきました。

 サイバーセキュリティレポートは、取組方針に基づく各事務年度の取組みにおいて把握した実態や共通する課題を取りまとめて公表しており、昨年に引き続き2回目となります。本レポートの公表を通じて、当局、金融機関、関係機関の間でサイバーセキュリティに関する認識を共有し、金融分野のサイバーセキュリティ対策の強化に繋げていくことを目的としております。

 金融機関のサイバーセキュリティ対策については、サイバー攻撃からの防御を中心とした「平時のサイバー対策」、インシデント対応を中心とした「有事のサイバー対策」の双方が重要となります。

 下図のとおり、「平時の対策」については、金融機関において自社の情報資産を把握した上で、サイバーセキュリティに係るリスク評価を行うことが基本となります。また「有事の対策」については、インシデントの発生に備え、まずはコンティンジェンシープランを策定することが基本となります。

 しかしながら、サイバーセキュリティ対策は、リスク評価の実施、コンティンジェンシープランの策定だけでは不十分であり、脆弱性診断やサイバー演習等を通じて、対策の実効性を向上させていくことが次の課題となります。

 こうした考え方の下、昨年9月、地域銀行、信用金庫・信用組合に対し、本年3月末までに、脆弱性診断の実施、演習・訓練への参加等を要請し、業界団体とも連携して取り組んだ結果、多くの金融機関は脆弱性診断の実施、演習・訓練への参加等を本年3月末までに完了しました。金融庁としても、今後対応に遅れがみられる先についてフォローしていくこととしております。

 一方、大手金融機関については、脆弱性診断、演習については概ね対応できており、ホワイトハッカーの疑似的な攻撃に対応するTLPT といった高度な評価手法の活用も進んでいるところです。令和元事務年度は、メガグループについては対話の中で、グループグローバルの一元的な管理態勢の高度化、TLPTの活用状況を中心に確認しさらなる高度化を促しました。

 脆弱性診断の実施や演習・訓練への参加の要請などの金融機関のサイバーセキュリティ強化に向けた取組みは、本年7月の東京オリパラ大会の開催を見据えて取り組んできたものです。本年3月に新型コロナウイルス感染症の影響によりオリパラの延期が発表されましたが、コロナウイルスの影響によるサイバー攻撃の増加やテレワークの増加により、サイバーリスクはむしろ高まっており、これまで進めてきたサイバーセキュリティの実効性確保に向けた取組みはますます重要になっております。

 今後当局としても、サイバーセキュリティ対策の実効性確保に向けた取組みを進めていくとともに、新型コロナ感染症を受けたオンライン化・リモート化などの環境の変化を踏まえた新たなセキュリティに関する脅威の動向について、積極的に情報収集を行い、金融機関に必要な対応を促していくこととしています。
平時・有事の対策の考え方


3.最後に
 ITガバナンスの発揮、サイバーセキュリティ対策の強化に向けては、金融機関の経営陣がその重要性を認識するとともに、リーダーシップを発揮し、主体的に取り組むことが不可欠である。金融庁としても、経営陣を含めた金融機関との対話・モニタリングを通じて、それぞれのレポートで示した課題を共有し、金融機関のITガバナンスの発揮、サイバーセキュリティ対策の強化に向けた取組みを進めていきたい。
 
   「TLPT」とは、Threat-Led Penetration Testing の略で、脅威ベースのペネトレーションテストのことを指す。
 

 


令和2年7月豪雨関連情報

 金融庁では、令和2年7月豪雨による災害に対する迅速な復旧・復興に向け以下のとおり支援してまいります。
 

■ 令和2年7月豪雨金融庁相談ダイヤル

  令和2年7月豪雨による災害に関し、「令和2年7月豪雨金融庁相談ダイヤル」を開設しましたので、金融機関とのお取引に関してご心配なことがある場合など、お気軽にご相談ください。

 

 0120-156811(フリーダイヤル)【平日10時00分~17時00分】
※IP電話からは03-5251-6813におかけください。
 

■ 金融機関によるきめ細かな支援

 金融庁・財務局では、日本銀行との連名で、災害救助法が適用された9県(※)内の金融機関等に対し復旧復興に向け以下の事項などを要請しましたので、被災された方におかれましてはお取引先である 金融機関・保険会社へご相談ください。

 ※  山形県、長野県、岐阜県、島根県、福岡県、佐賀県、熊本県、鹿児島県、大分県


 ・ 

預金の払戻時の柔軟な取扱いをすること


(通帳や印鑑がない場合に、可能な確認方法で本人確認を実施して払戻し)

 ・ 貸出金の返済猶予等の条件変更に対応すること

 ・ 生命保険金又は損害保険金の支払いについては、できる限り迅速に行うこと など

 ・ 預金の払戻時の柔軟な取扱いをすること
 


■ 令和2年7月豪雨災害に係る義援金等に関する金融機関等への要請

 金融機関等に対して、義援金等が、被災者の生活再建などを目的として支給される趣旨に鑑み、被災者の生活再建に支障を来すことがないよう、当該義援金等の差押え等に関し、特段の配慮を行うよう要請しました。

■ 住宅ローンなどをご利用されている被災された皆さまへ

 今般の災害で住宅ローンなどの返済にお困りの被災された皆さまのため、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」により、住宅ローンなどの免除・減額といった支援がございますので、お取引先である金融機関へご相談いただき、ご活用ください。

■ 生命保険及び損害保険を契約されている被災された皆さまへ

  災害救助法が適用された地域で、家屋等の損壊・流失等により保険会社との保険契約に関する手掛かりを失ったお客様についての契約照会を各保険協会にて受け付けています。

 ・生命保険について
  生命保険協会 災害地域生保契約照会センター  0120-001731(フリーダイヤル)
   【受付時間】月~金曜日(除く祝日・年末年始)9:00~17:00

 ・損害保険について
  日本損害保険協会 自然災害等損保契約照会センター 0120-501331(フリーダイヤル)
   【受付時間】月~金曜日(除く祝日・年末年始)9:15~17:00

  外国損害保険協会 自然災害等損保契約照会センター 03-5425-7850
   【受付時間】月~金曜日(除く祝日・年末年始)9:00~17:00

■ 令和2年7月豪雨に関連する有価証券報告書等の提出期限に係る措置

  今般の豪雨の影響により、有価証券報告書等を本来の提出期限までに提出できなかった場合、令和2年10月30日までに提出すれば、行政上及び刑事上の責任を問われないこととなります。


※ 金融庁ウェブサイトでは、被災者支援のための施策を取りまとめた特設サイトを開設しております。  
 詳しくはこちら ⇒ https://www.fsa.go.jp/ordinary/heavyrain202007/press.html
 

 


霞が関と地域をつなぐ「霞が関ダイアログ」を開催します!

 令和2年8月、地域課題解決支援チームは、各省庁有志と協力して「霞が関ダイアログ」※を開催します!令和2年1月に、第1回目の霞が関ダイアログを開催しましたが、前回のアンケートで金融機関および自治体の参加者から「省庁との距離が近く感じられてよかった」「各省庁との横断的な取組みは評価できる」「次回開催も期待する」等の意見があり、継続実施の要望をいただいておりました。

 このコロナ禍においても開催を願う声が寄せられたことから、第2回目を開催することとしました!前回は、約200名の金融機関および自治体職員のかたがたにお集まりいただきましたが、今回は三密を避けるためにもZoomを活用したオンライン開催にチャレンジします!
 

※「霞が関ダイアログ」:地域課題解決支援チームと広報室と協働で企画したものであり、金融機関および自治体の現場職員と各省庁の実務担当者との対話により、地方創生を目的とした各省庁施策の理解を深め、現場での施策浸透の促進を図るもの
 

 今回は、新型コロナウイルス感染症拡大による事業者への影響を踏まえ、「コロナ禍における支援制度」をテーマとして開催します。コロナ禍で各省庁から様々な支援制度が打ち出されていますが、「数が多すぎてわからない」「どんなシーンで利用できるのか」「活用事例を教えてほしい」といった声をいただいております。

 そのようなお悩みに対応するためにも各省庁の有志が集い、コロナ禍でこそ活用できる支援制度の勘所を説明してもらいます!現在、中小企業庁、農林水産省、環境省、観光庁、出入国在留管理庁、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局、金融庁の有志が参加を予定しております。(申込制:先着150名)

 今回も各省庁から熱意ある実務担当者が参加し、さらに詳しくお聞きになりたい施策を選んでいただき、グループディスカッションを行う予定です。皆さまのご参加をお待ちしております!是非現場の意見をお聞かせください!


 

 


先月の金融庁の主な取組み(2020年7月1日~7月31日)

金融庁は設立20周年を迎えました(7月1日)
IOSCOによる報告書「依拠のプロセスに関する好事例」(7月1日)
新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査等への対応(骨子)(7月2日)
財務局が「令和2年7月3日からの大雨に伴う災害に対する金融上の措置について」を要請しました。(7月6日、7日、8日、9日16日、29日)
「令和2年7月豪雨金融庁相談ダイヤル」を開設(7月10日)
「コンプライアンス・リスク管理に関する傾向と課題」の一部更新(7月10日)
義援金等を装った詐欺にご注意ください!(7月10日)
多重債務相談に係る令和2年7月豪雨への対応(7月10日)
経営健全化計画の履行状況告(7月14日)
NISA・ジュニアNISA口座の利用状況に関する調査結果(7月14日)
令和2年7月豪雨に関連する有価証券報告書等の提出期限に係る措置(7月14日)
金融安定理事会による「新型コロナウイルス感染症の世界的大流行:金融安定への影響と政策対応」(7月17日)
LIBORの恒久的な公表停止に備えた対応について更新(7月20日)
7月29日、金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第31回)を開催(7月22日)
令和2年7月豪雨災害に係る義援金等に関するお願い(7月27日)
金融安定理事会による「金融安定のモニタリングにおける気候変動に係る物理的リスク・移行リスクの考慮に関する金融当局の取組みの調査報告書」(7月28日)
金融機関における貸付条件の変更等の状況について更新(7月31日)


 アクセスFSA8⽉号をご覧いただきありがとうございます。
 令和2年7月豪雨が大きな被害をもたらし、迅速な復旧・復興に向けて政府一丸となって対応しています。金融庁も相談ダイヤルの設置や金融機関に対するきめ細かい対応の要請などできる限りの取組みを行っているところです。

 また、顧客本位の業務運営やITサイバーセキュリティなどのモニタリングについて昨事務年度を総括するレポートが公表され、それらの解説を記載しています。
 是非、ご堪能いただければと思います。

金融庁広報室長 和田良隆
編集・発行:金融庁広報室
  

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