アクセスFSA 第207号
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全国証券大会における麻生大臣挨拶について
令和2年10月5日(月)、日本証券業協会による「令和2年全国証券大会」が開催され、麻生大臣がビデオメッセージにより、以下のように挨拶を行いました。なお、会の模様は、日本証券業協会ウェブサイト※からご覧いただけます。麻生大臣による挨拶の様子 |
はじめに
本日は、証券大会にお招きいただき、御礼申し上げます。今回は証券大会初めてのWEB開催ということで、ビデオメッセージとなりますが、これも新しい社会様式の中での一つの在り方であり、一つの変化や工夫であると実感しています。本会のご盛会をお慶び申し上げるとともに、開催に当たり、一言ご挨拶を申し上げます。
先般9月16日に菅内閣として新たなスタートを切り、新内閣において、引き続き副総理を拝命し、財政・金融を担当することとなりました。皆様方には、これまでも金融行政に多大なご協力をいただいていますが、引き続きよろしくお願い致します。
日本市場の国際化
日本の国際収支を見ると、日本が海外に投資した資金、特許料、配当等の所得収支の重要性が高まっており、かつての貿易立国から金融立国のような形に変わりつつあります。こうした時代においては、より高度な金融人材やノウハウを日本に集めることが重要となってきます。このためにも、日本が「世界・アジアの国際金融ハブ」として国際金融センターの地位を確立していくことは非常に重要であると考えています。
日本が国際金融ハブとなることにより、企業の成長力向上をもたらす資金調達の多様化、国民の資産形成に資する運用の高度化や、金融イノベーションの進化なども期待でき、日本の抱える課題の解決にもつながります。また、このような取組みにより、地政学的なリスクなどが強まる中で、日本市場が国際的なリスク分散にも貢献できると考えます。アジアや世界における日本市場の役割を高め、世界全体にも役立つ形で発展させることが重要です。
そのためには、確固たる民主主義・法治主義に支えられた安心・安全な拠点としての日本の強みを活かし、海外のプロにも開かれた市場として国際金融ハブを官民一体でつくっていくことが大切であると考えております。
現在、そのための施策を政府一体となって幅広く検討しているところであります。金融庁においては、例えば、高度な専門人材を有する外資系運用会社等が参入しやすいように、登録からモニタリングまで、つまり、川上から川下まで英語で対応できるような体制を作っているところです。
また、こうしたいわゆるバイサイドの、世界の金融人材が日本に入ってくることにより、バイサイドにサービスを提供するセルサイドの人材、更に、彼らにサービスを提供する人材が集積していくよう取り組んでいきたいと考えております。
これを実現するためには、各協会におかれても国際化を推進していただくことが必要となりますので、何卒ご協力をお願い申し上げます。
東京証券取引所のシステム障害
去る10月1日、東京証券取引所において、システム障害により、終日売買が停止するという大変残念な出来事がありました。今回は、寄付き前に注文を受け付けていたにも関わらず取引ができず、証券会社の多くのお客さんが売買ができなくなりました。投資信託も、日本株の値が付かなかった結果、購入や解約ができなくなりました。
取引所、そして、証券会社、運用業界の皆さん。国際金融ハブとしての日本の資本市場の信頼確保のためにも、徹底した原因究明、再発防止が必要です。その際には、システム障害が万一発生した場合でも、安全の確認が取れしだい、速やかに取引を再開し、顧客への影響を最小化する危機管理の能力も高めて行くことが重要です。
金融庁も、皆さんとともにしっかり取り組んでいきたいと考えていますので、連携、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
コロナ禍・コロナ後の金融仲介機能
国際についての話をしましたが、新型コロナウイルス拡大に伴う影響は、人々の生命や生活のみならず、経済、社会、国際政治、経済秩序、さらには人々の行動・意識・価値観にまで多方面に波及しつつあります。特に、ビジネスには甚大な影響があり、観光、飲食、運輸など、苦しんでいるビジネスが多くあります。しかしながら、動画配信サービスや、テレワーク関係など、外に出ない、人と対面で会わない、などの人々の行動・意識・価値観の変化が起きたこの状況を、ビジネスチャンスとして、成功している企業も中にはあります。株価を見ても業種ごとに大きく違いますし、同一業種内でもコロナ前に課題を解決した企業と、コロナ前の課題を抱えたままの企業の間の格差が開いていくのではないでしょうか。
私もかつてセメント会社の経営者をやっていましたが、第一次オイルショック時に、私のところを含めて、セメント各社が大赤字を出すなかで、思い切って最新鋭の設備を導入し、それが、その後の収益拡大につながりました。
このコロナ禍で、果敢に挑戦する企業を支えるために、証券会社が出来ることは多いと私は思います。
現状は、預金取扱機関が、積極的にお金を貸して、企業を一生懸命支えているところですが、「守りの資金繰り」だけでは、耐えしのぐという考えになりがちです。コロナ禍で事業再編や産業構造の転換が進む局面において、積極的な経営を支えるという点では、貸付けよりはエクイティ(証券)の役割が大きいと思われ、証券関係の皆様の活躍が求められます。
『東京セントラル証券』という証券会社をご存じでしょうか。人気ドラマ『半沢直樹』に出てきた証券会社です。ドラマでは、証券取引等監視委員会の立入検査の際にデータを隠蔽するなど、指摘しはじめると、問題となる行為も色々描かれています。他方で、顧客の為に活躍する証券マンの姿も描かれていました。証券会社も銀行も社会の為、お客様の為という『半沢直樹』の信念には、今後のヒントがあるように思いました。
国民の資産形成について
次に、国民の資産形成について、昨年は、G20において、高齢化に伴う金融サービスのあり方に関する提言書「G20福岡ポリシー・プライオリティー」を、日本が中心となってとりまとめました。提言書では、高齢化が進む中、ファイナンシャルプランニングの重要性を強調しました。金融商品の販売にあたっても、販売目標に沿って組成された商品を売りさばくというスタイルを見直し、顧客のライフプランを踏まえて中長期目線での資産形成をアドバイスするというスタイルへの転換が重要です。
ただし、家計の金融資産をみると、今もって1,900兆円のうちの1,000兆円が現預金にとどまっており、日本の豊富な金融資産が十分に活用されていません。結果として、日本が国際金融ハブとなることを妨げているとの指摘も多いところです。
家計による安定的な資産形成を実現していくためには、販売を行う証券会社のみならず、年金などのアセットオーナー、資産運用会社、金融資本市場、投資対象となる企業の成長という一連の流れをインベストメント・チェーンと捉え、包括的に資産運用の高度化に向けて取り組んでいく必要があります。
金融庁では、
・「つみたてNISA」の導入・拡充や金融教育の推進、
・資産運用会社との運用力強化に向けた対話、
・顧客本位の業務運営の推進、そして
・コーポレート・ガバナンスやスチュワードシップ活動の取組み強化など、
皆様とも協力して引き続き推進していきたいと思います。
おわりに
最後になりますが、本日ご列席の皆様方の、益々のご健勝と証券界の更なる発展を心から祈念いたしまして、私の挨拶とさせていただきます。
※ 日本証券業協会ウェブサイト
「令和2年全国証券大会」の模様:https://www.jsda.or.jp/about/gyouji/20130919203231.html
金融仲介機能の発揮に向けたプログレスレポートについて
監督局銀行第二課地域金融企画室 室長補佐 浮田 宏昭
室長補佐 冨川 諒
係員 森 顕子
金融庁は、10月14日「金融仲介機能の発揮に向けたプログレスレポート」※を公表しました。本稿では、このプログレスレポートの概要を紹介いたします。
はじめに
人口減少や高齢化、低金利環境の継続など厳しい経営環境の中、金融機関は、顧客のニーズの多様化に適応し、各々の置かれた環境に応じた持続可能なビジネスモデルを構築することが求められています。
金融庁では、こうした環境や課題の変化を受け、金融機関が自らの経営理念・経営環境を踏まえ、持続可能なビジネスモデル構築のための創意工夫を重ねられるよう、①持続可能なビジネスモデルの構築に向けた課題やその解決策等に関する探究型対話、②企業アンケート調査を始めとした、対話の質的向上に向けた情報・知見の蓄積、制度の点検、③地域経済エコシステムの構築に向けた取組みを行ってきました。
今般公表したプログレスレポートでは、2019事務年度に行ったこれらの対話や取組みをまとめております。
探究型対話
金融庁及び財務局(以下「当局」)は、2019事務年度も、2018年事務年度に引き続き、心理的安全性の確保に努めつつ、地域金融機関の持続可能なビジネスモデルの構築に寄与できるよう、探究型対話の創意工夫と試行錯誤を重ねました。
地域金融機関が持続可能なビジネスモデルを構築するためには、経営理念が金融機関内に浸透していることが必要であると考えられることから、心理的安全性に配慮しつつ、金融機関の各階層(経営トップから役員、本部職員、支店長、営業職員)や社外取締役との間で、多数の対話を実践しました。その結果、例えば、より深い対話を実践するには、金融機関における経営理念の浸透度や「変化に対応すべく自らを探究し、それを共有する企業文化」の広がりの程度(図1参照)を当局が把握した上で対話に臨むことが重要であると認識するなど、様々な気づきを得ることができました。
このほか、持株会社グループを形成する地域金融機関との間では、財務局間の情報共有を通じてグループ単位の経営理念・戦略やビジネスモデルを把握した上で対話を実践するなどしており、今後も、持続可能なビジネスモデルの構築に向けた対話の質的向上に努めてまいります。
企業アンケート調査
こうした対話の質的向上に向けて、当局において、地域金融機関のビジネスモデルに関する情報・知見を深め、組織として蓄積していくことも重要です。
そのため、金融庁は、企業アンケート調査による地域銀行に対する企業からの評価の確認、「金融仲介機能のベンチマーク」の活用状況の点検、人材紹介業や地域商社に関する取組状況の確認、デジタライゼーションに関する地域金融機関への支援等、地域金融機関に関する様々な分野について、多様な取組みを行いました。
このうち、企業アンケート調査では、2015事務年度の調査開始から行ってきたメインバンクの取組みについての調査を継続して行うとともに、金融仲介への取組みの全体観をより具体的に把握するため、非メインバンクの取組みに係る顧客評価の確認も行いました。
まず、メインバンクについて、「自社の経営課題につき地域金融機関が納得感のある分析や対応を行っている」と考える企業(約半数)のうち8割の企業が、金融機関との取引継続を強く希望しているとの結果となりました。このことからは、納得感のある融資やサービスの提案を行い、企業との間で認識を一致させて共通理解の醸成を進めていくことが、より安定的な顧客基盤の確保につながる可能性が窺えます。(図2参照)
また、損益等改善に役立った金融機関の商品・サービスについて聞くと、「経営改善支援サービス」が「融資」に劣らず評価されていることが窺えました。(図3参照)
次に、非メインバンクについて、メインバンクとの取引継続意向がある企業は、非メインバンクに対し「複数行からの借入」や「融資の金利条件」など、主に融資に係る補完機能としての役割を求めていることが窺われる結果となりました。
他方、メインバンクとの取引継続意向が必ずしもあるとは言えない企業は、経営改善支援サービスの提供や自社への理解といった融資以外の機能への期待も高いことが窺えました。(図4参照)
地域課題解決支援室・チーム
地域経済の成長、特にコロナ後の地域経済の回復のためには、地域経済を支える様々なステークホルダーがネットワークを形成し、連携して支援することで地域経済が持続的に成長していくことが望ましいと考えられます。
そのような好循環(地域経済エコシステムの形成)には金融庁も大きな関心を持っており、地域金融機関と探究型対話を行う上で、金融庁が地域経済エコシステムの状況を把握することも必要となります。金融庁では、そうした状況を把握するための活動も行っています。
その一環として、金融庁では、職員の自主的な政策提案の枠組み(政策オープンラボ)から「地域課題解決支援チーム」の活動が始まり、この活動を組織として支えるために「地域課題解決支援室」を設置しました。
地域課題解決支援チームでは、官民金の有志が集う「ちいきん会」のネットワークを通じて寄せられた地域課題に対し、地域の関係者とともに議論を重ね、具体的な解決策を企画・提言するなど、共に課題解決のための施策に取組んでいます。
地域課題解決のための議論の結果の一例として、首都圏の大企業等での勤務経験のある専門人材(「新現役」)と地方の中小企業をマッチングするイベントをオンラインで開催(「新現役交流会2.0」)しました。
なお、このイベントでは、マッチング率が7割を超す結果(参加企業43社中32社がマッチング)となっております。
最後に
以上の取組みは、2020事務年度も継続して行う予定であり、地域経済の実態把握・分析(インテリジェンス)、地域金融人材の能力向上に向けた取組み、さらなる対話の質的向上といった施策と合わせて、地域金融機関の持続可能なビジネスモデルの構築に向けた取組みをさらに加速させていく方針です。
※ 本年10月14日公表、「金融仲介機能の発揮に向けたプログレスレポートについて」:https://www.fsa.go.jp/news/r2/ginkou/20201014-1/20201014-1.html
身に覚えのないキャッシュレス決済サービスを通じた銀行口座からの
不正な出金にご注意ください!
情報通信技術の進展やスマートフォンの普及などを背景に、電子マネーやQRコード決済等のキャッシュレス決済が年々広がりをみせています。
今般、こうしたキャッシュレス決済の中で、資金移動業者(例えば、○○ペイ、○○Pay等)が提供するサービスを通じて、銀行口座から不正な出金を行う事案が多数発生しました。
具体的には、犯罪者が、不正に入手した預金者の口座情報等をもとに当該預金者の名義で資金移動業者のアカウントを開設し、銀行口座と連携した上で、銀行口座から資金移動業者のアカウントへ資金を入金(チャージ)することで不正な出金を行ったというものです。
今般の事案において、最も注意しなければならないことは、資金移動業者の提供するキャッシュレス決済サービスをご利用されていない方も被害に遭われているという事実です。インターネットバンキングを利用されていない方も被害に遭われています。キャッシュレス決済サービスのご利用の有無に関わらず、誰でも被害に遭われる可能性があるということです。
こうしたことを踏まえ、金融庁では、警察庁、消費者庁、全国銀行協会及び日本資金決済業協会と連携して注意喚起のチラシ(下)を作成し、預金者に対して、広く注意を呼びかけています。
!ご注意いただきたいポイント!
● こうした不正出金は、キャッシュレス決済サービスをご利用されていないお客さまのほか、インターネットバンキングを利用されていない方も被害に遭われています。
● ご自身の銀行口座に不審な取引がないか、お取引先の銀行口座のご利用明細を今一度ご確認いただき、口座情報の管理にご注意願います。
● 銀行口座に身に覚えのない取引があった場合には、お取引先銀行またはご利用明細に記載されているキャッシュレス決済サービスを提供する事業者にご相談ください。
● 銀行およびキャッシュレス決済サービス事業者は、このような悪意のある第三者による不正な出金による被害について、連携のうえ全額補償を行っています。
● こうした事案に便乗した詐欺にもご注意願います。
● 本件についてご質問・ご相談等がある場合、下記の相談窓口までお問い合わせください。
金融庁 金融サービス利用者相談室 |
電話番号:0570-016811、 受付時間:平日10:00~17:00 |
警察庁 | 不正出金の被害が確認された際には、最寄りの警察署等にご相談ください |
消費者ホットライン | 電話番号:188(お近くの消費生活相談窓口をご案内します) |
全国銀行協会 相談室 | 電話番号:0570-017109、 03-5252-3772 受付日 :月~金(祝日および休業日を除く)、 受付時間:9:00~17:00 |
日本資金決済業協会 お客さま相談室 |
電話番号:03-3556-6261、 受付時間:平日10:00~17:00 |
市場へのメッセージ(令和2年10月26日)
証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、勧告事案等に関する解説記事を「市場へのメッセージ」として証券監視委ウェブサイトに掲載しております。ここでは、令和2年10月26日に掲載した「市場へのメッセージ」の主な内容についてご紹介します。
※「市場へのメッセージ」の全文については、証券監視委ウェブサイトをご参照ください。
参考URL:
https://www.fsa.go.jp/sesc/message/index.htm
本件は、平成30年11月5日に公表された、日東工業株式会社(以下「日東工業」といいます。)による北川工業株式に対する公開買付けの実施に関するインサイダー取引規制違反です。
本件の課徴金納付命令対象者(以下「対象者」といいます。) は2名です。
●対象者(1)について
対象者(1)は、公開買付者である日東工業の役員から情報伝達を受けた者です。
対象者(1)は、日東工業の役員から、当該役員が職務に関し知った、日東工業の業務執行を決定する機関が、北川工業株式の公開買付けを行うことの決定をした旨の事実の伝達を受けながら、その公表前に、自己の計算において、北川工業株式を買い付けたものです(インサイダー取引規制違反)。
●対象者(2)について
対象者(2)は、公開買付者である日東工業と契約を締結している者に勤務する者から情報伝達を受けた者です。
対象者(2)は、日東工業と契約を締結していたA社に勤務する者から、同人がその契約の締結に関し知った、日東工業の業務執行を決定する機関が、北川工業株式の公開買付けを行うことについての決定をした旨の事実の伝達を受けながら、その公表前に、自己の計算において、北川工業株式を買い付けた事案です(インサイダー取引規制違反)。
【事案の特色等】
本件は、これまでも数多く勧告事例のある「公開買付け等事実」に基づくインサイダー取引規制違反です。
公開買付け等事実によるインサイダー取引規制違反の件数推移については、令和2年6月24日公表の「金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編~」※2 10頁、17頁に掲載されていますので、ご覧下さい。
公開買付けについては、当事者である買付企業や買付対象会社のみならず、コンサルティング会社や金融機関など多くの関係者が関与すること、また、当事者間での検討開始から最終的な合意・公表までに相当な時間を要することから、他の重要事実に比べてインサイダー取引が行われやすいとの指摘があります。そのため、公開買付けに関わる全ての関係者には、厳正な情報管理に努めることが強く求められていると言えます。
※1 令和2年9月11日公表、「公開買付者の役員から伝達を受けた者及び公開買付者との契約締結交渉から伝達を受けた者による北川工業株式に係る内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について」:https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2020/2020/20200911-1.htm
※2 令和2年6月24日公表、「金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編~」:https://www.fsa.go.jp/sesc/jirei/torichou/20200624.htm
地域ダイアログ発!官民金連携「ふくしま外部人材活用協議会」発足式
令和元年11月に福島県で開催された、公務員と金融機関有志による交流会「ちいきん会」で、外部人材活用がテーマの1つとして議論されました。その後、地域課題解決支援チームは、福島県の有志とともに地域ダイアログを開催してきました。令和2年4月、福島県は副業・兼業人材活用事業を開始し、より一層の活用を図るため、同年6月に金融機関向け「副業・兼業人材活用セミナー」(主催:金融庁、東北財務局)を開催しました。このセミナーを通じ、金融機関が外部人材活用に関する理解力向上や各経営支援機関の連携強化を課題として認識したことから、オンラインでダイアログを行い、課題解決について議論してきました。
令和2年10月、ダイアログメンバーである民間NPO法人が中心となって、県内15金融機関を含めた様々な経営支援機関が参画する「ふくしま外部人材活用協議会」が発足しました。同月30日に開催した本協議会の発足式では、金融庁の堀本審議官が復興庁を代表して参加し、福島県の参加者に対して、本件に取組む意義等を説明しました。本協議会は、令和3年2月まで継続して開催され、外部人材活用の担い手を育成するとともに、地域における各機関との連携強化を協議していく予定です。
発足式の様子 |
「霞が関ダイアログ」を開催します!
令和2年11月、地域課題解決支援チームは、「霞が関ダイアログ」※を開催します!令和2年8月のオンライン開催に続き、今回もオンラインでかつ2日間に渡って開催します。今回は、これまでの中央省庁の施策の発信に加えて、今回は、まちひとしごと創生本部事務局と連携して、「地方創生に資する金融機関等の特徴的な取組事例」も発信します。1日目には、特徴的な取組事例紹介として、「人材確保支援」「創業エコシステム形成」「産学金連携コーディネーター」「公民連携コミュニティ」をテーマとした地方創生支援策の紹介を行い、2日目には、「中小企業のデジタル化支援」「企業版ふるさと納税」「農林水産物の生産者支援」「資本性ローンの活用」をテーマとして紹介します(先着:各日100名)。
今回も熱意ある実務担当者を交えてのグループディスカッションを行います!皆さまのご参加をお待ちしております!
※ 「霞が関ダイアログ」
地域課題解決支援チームのネット ワーキングの取組み。金融機関や自治体の現場職員と各省庁の実務担当者とをつなぎ、双方向での対話により、地方創生を目的とした各省庁施策の理解を深め、施策浸透の促進を図る取組。
つみたてNISA Meetup オンライン開催
金融庁では、「つみたてNISA」をきっかけにより多くの方が資産形成に関心を持っていただけるよう、個人の方々から資産形成に関するご意見を聞かせていただく場として、「つみたてNISA Meetup」(愛称「つみップ」)を全国各地で計33回開催してまいりました。本年5月以降は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、オンラインで3回開催しました。
5月には経済評論家 山崎元氏、投資ブロガーの虫とり小僧氏、吊ら男氏をお招きし、市場混乱期における資産形成について意見交換を行いました。お三方とも、リーマンショック以前から投資を行っており、当時大幅な株式市場下落局面を体験されました。長期投資においては、市場下落局面に直面することは避けられないので、元来の投資方針を変えずに「投資をやめないこと!」が重要と仰っていました。
9月にはファイナンシャル・ジャーナリストの竹川美奈子氏をお招きし、「20・30代投資初心者向けつみップオンライン」を開催しました。資産形成を自分ごととして考え、資産形成にあてる資金を給与から最初に取り置く仕組みを作り、長期分散投資を非課税口座で行うこと。そして、続けることの大事さを説明して頂きました。
竹川美奈子氏のつみップの様子 |
証券監督者国際機構(IOSCO)が推進する世界投資者週間(World Investor Week)にあわせて、10月には日本経済新聞社の田村正之氏をお招きし、「40代投資初心者向けつみップオンライン」を開催しました。田村氏は、年金は長生きリスクなどに備える保険であり、長く働くことで年金は増やせること、その上でNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)も活用し、より充実した資産形成が目指せるとお話し下さいました。
田村正之氏のつみップの様子 |
参加者からは、「移動時間がないため時間的に参加しやすかった」、「地方からでも参加できる」など、オンライン開催のメリットを挙げる声が多く寄せられました。実際に、北は北海道、南は沖縄と幅広い地域からのご参加がありました。また、質問や意見をチャット欄に書き込んでもらったため、「リアルタイムで質問に答えてもらえたので疑問が解消された」という双方向ならではのコメントも頂きました。
5月のつみップは要旨、9月・10月のつみップについては資料と動画をNISA特設サイト※に公開しておりますので、ぜひご覧ください。
※ NISA特設サイト「つみたてNISA Meetup」:https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/opinion/index.html
先月の金融庁の主な取組み(2020年10月1日~10月30日)
・日銀レビュー「共通シナリオに基づく一斉ストレステスト」(10月6日)
・10月7日、金融審議会「銀行制度等ワーキング・グループ」(第2回)を開催(10月7日)
・偽造キャッシュカード問題等に対する対応状況(令和2年3月末)(10月7日)
・偽造キャッシュカード等による被害発生等の状況(10月7日)
・NISA・ジュニアNISA口座の利用状況に関する調査結果(2020年6月末時点)(10月7日)
・関東財務局が「令和2年台風第14号に伴う災害に対する金融上の措置について」を要請(10月12日)
・10月12日、金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第1回)を開催(10月12日)
・「金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習(Delta Wall 5)」を実施(10月13日)
・第13回「金融庁・日本銀行連絡会」を開催(10月13日)
・IOSCO・Committee1次期議長として園田企画市場局企業開示課会計調整室長 兼 総合政策局総務課国際室国際証券規制調整官を再任(10月14日)
・身に覚えのないキャッシュレス決済サービスを通じた銀行口座からの不正な出金にご注意ください!(10月14日)
・金融仲介機能の発揮に向けたプログレスレポート(10月14日)
・主要行等及び地域銀行の「金融仲介の取組状況を客観的に評価できる指標群(KPI)」一覧及び公表状況(10月14日)
・企業アンケート調査の結果(10月14日)
・氷見野長官、国際金融協会(IIF)年次総会において基調講演(10月16日)
・10月20日、「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(第20回)を開催(10月19日)
・10月21日、金融審議会「銀行制度等ワーキング・グループ」(第3回)を開催(10月21日)
・後見制度支援預貯金・後見制度支援信託の導入状況調査の結果(10月23日)
・10月26日、金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第2回)を開催(10月26日)
・「Regional Banking Summit (Re:ing/SUM)」×「日経地方創生フォーラム」(名古屋会場)を11月23日に開催することを公表(10月29日)
・IAIGs等向けモニタリングレポート(10月30日)
・成年年齢引下げに向けた貸金業界の貸付方針・取組状況等(10月30日)
・金融機関における貸付条件の変更等の状況について 更新(10月30日)
編集後記
1日の東京証券取引所のシステム障害に始まり、10月はとても多くのご質問や取材を頂きました。今月号のアクセスFSAではそのようなご関心の高い話題をできるだけ広く網羅するよう腐心したつもりです。国際金融都市、地域金融、国民の資産形成、銀行口座からの不正出金・・・そして半沢直樹。
私自身、原作のファンで『ロスジェネの逆襲』が単行本化されたときには、新刊を購入して池井戸潤先生にサインを頂いておりました。金融の力でこの世界を良くしたいという思いは、この業界に携わる者の一人として、引き続き強く持っていきたいと思います。
編集・発行:金融庁広報室