【金融ここが聞きたい!】


 このコーナーは、記者会見における質疑・応答(Q&A)などの中から、金融を巡る時々の旬な情報をセレクトしてお届けするものです。もっと沢山ご覧になりたい方は、是非、金融庁ホームページの「記者会見概要」のコーナーにアクセスしてください。
 
Q:盗難キャッシュカードについて取りまとめがされたそうですが、その基本的な考え方についてお聞かせください。


:私の方から事務方に指示をして、先般4月15日、盗難キャッシュカードの問題についても検討項目とするよう、偽造キャッシュカード問題スタディグループに対して要請を行いました。スタディグループでは、本要請を受け、盗難キャッシュカード問題についても、精力的な御議論を行っていただき、本日(5月13日)、盗難キャッシュカード被害への補償のあり方について、中間とりまとめが行われ、その内容を公表する予定と聞いています。
 具体的には、補償のあり方の基本的なルールとして、金融機関への速やかな届け出、警察への被害届、金融機関による調査への全面的な協力等を条件として、届出日の一定期間前以降に発生した被害について、仮に金融機関が無過失であった場合であっても、原則として、預金者と金融機関が50%ずつ負担。ただし、預金者が無過失の場合、金融機関が全額負担。また、預金者が重過失の場合、預金者の全額負担が望ましいとしているものと承知しています。
 金融関係団体及び各金融機関においては、同スタディグループの中間とりまとめを踏まえ、補償のあり方について、真剣な検討を行っていただきたいと考えております。
平成17年5月13日(金) 閣議後会見 抜粋)

 
Q:東京証券取引所が来月13日にカネボウを上場廃止にすることを決定しましたが、これについての大臣の御所見をお聞かせください。


:5月12日、東京証券取引所は、監理ポストに割り当てていたカネボウ株式について、上場廃止基準に該当すると判断し、同社株式の整理ポストへの割り当てを決定したものと承知しています。これにより、同社株式は整理ポストへの割り当て決定の翌日から1ヶ月後の6月13日に上場廃止となると聞いています。個別の上場株式の取扱いについては、取引所が自主規制規則に基づき判断するものであり、同社株式の取扱いについても、東京証券取引所がこれまでの聴取等を踏まえて判断されたものと承知しています。
平成17年5月13日(金) 閣議後会見 抜粋)

 
Q:上場廃止基準についてですが、前の時も議論になったと思いますが、今の上場廃止基準は端的に言うと白か黒かという非常に柔軟性のない基準ではないかという指摘が出ています。とりわけ今回のような事業再生プロセスにある企業を、重大性という一言を理由に上場廃止にしてしまうという基準の運用については色々課題があるのではないかと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。


:一般論ということでお話をさせていただきますと、取引所を巡る環境は変化してきており、金融と産業の一体的再生ということで、事業再生についての案件も今まで以上に出てきております。そうした中で、新しい経営陣が旧経営陣の不正を積極的に解明した結果、上場廃止になるならば引続き隠蔽したままにしておこうと、こうしたことを誘引することになるのではないかという御議論があります。また一方で、経営者が変れば過去の不正の問題が全て許されるのかという議論もあります。このように取引所を巡る環境というものは変化してきているわけでありますので、その中で自主規制規則、或いは上場廃止基準そのものに対する議論を深めていくことは大切なことだと思いますし、東京証券取引所においてもそうしたお考えはお持ちではないかと思います。金融庁としても東京証券取引所をはじめ取引所の皆様方と日常的に意見交換をしていますので、そうした意見交換の中で必要があれば議論をし、或いは意見交換をしていきたいと思っています。
平成17年5月13日(金) 閣議後会見 抜粋)

 


【金融便利帳】


 このコーナーは、とかく専門的でわかりにくい金融に関する用語や様々な疑問について、わかりやすく解説するものです。
 今月のキーワードは「金融コングロマリット」です。

 コングロマリット(conglomerate)とは、相互に関連のない異業種企業がまとまって、複数の種類の事業を多角経営する巨大複合企業グループを指します。そのような定義から、一般的に金融コングロマリットといえば、銀行、保険、証券の少なくとも二つを包括するような広範囲の金融サービスを提供する企業グループと解されています。

 我が国では、銀行は銀行業、保険会社は保険業、証券会社は証券業にそれぞれ従事するという専業主義がとられてきましたが、平成5年の金融制度改革による業態別子会社での相互参入の解禁や、平成10年の金融持株会社の解禁、金融システム改革法による子会社規定の整備等を通じて、現在の我が国金融においては、コングロマリット化の進展等の新たな展開を示している状況にあります。
 いわゆる4大銀行グループについては、全てのグループにおいて持株会社制のもと銀行を中核として証券会社、信託銀行等を保有していますし、また、それ以外でも、証券会社又は保険会社が中核となって他業態の金融機関とグループを形成しているものなど、業態をまたがるグループ形態が多く見られます。さらに我が国に進出している外資系金融機関についても、グループに銀行、保険、証券を複数含むコングロマリットの形態をとる金融機関が多く見られるところです。

 かかる現状を踏まえ、今般策定・公表したPDF「金融コングロマリット監督指針(案)」においては、金融コングロマリットの形態を分かりやすく4つに分けて定義しています。
 まず一つ目は法律上の持株会社(銀行持株会社、保険持株会社又は証券持株会社)をトップの会社とし、傘下に銀行、保険会社、証券会社等(証券会社、証券投資顧問業者又は投資信託委託業者)のうち、2以上の異なる業態の金融機関を連結子会社として有するようなグループ。(グループの範囲には他の連結子会社等も含まれます。)これを「金融持株会社グループ」としています。
 二つ目は、法律上の持株会社には該当しない企業をトップとしますが、同様に銀行、保険会社、証券会社等のうち、2以上の異なる業態の金融機関を有するグループです。これを「事実上の持株会社グループ」としています。
 三つ目はトップの会社自身が銀行、保険会社、証券会社等のいずれかであって、傘下に自らとは異なる業態の金融機関を有するグループ。これを「金融機関親会社グループ」としています。
 最後に、これら三つのうちいずれかの形態のコングロマリットを国際的に展開していて、日本国内に銀行、保険会社、証券会社等の現地法人又は支店を有する海外のグループを、「外国持株会社等グループ」として定義しています。


 「金融コングロマリット監督指針(案)」について、本号のトピックス「金融コングロマリット監督指針(案)について」に掲載していますので、アクセスしてみてください。


【お知らせ】


〇 大臣・副大臣・政務官への質問募集中

 本号では休載させていただきましたが、アクセスFSAでは、読者の皆様から寄せられた金融を巡る大臣・副大臣・政務官へのご質問に、大臣・副大臣・政務官が直接お答えする【大臣に質問!】【副大臣に質問!】【政務官に質問!】のコーナーを設けております。「金融庁のやっている金融行政って、よくわからないんだけれど、大臣・副大臣・政務官にこんなことを、是非、直接聞いてみたい!」というご質問がございましたら、金融庁ホームページの「ご意見箱」にお寄せください。その際、ご意見箱の件名の欄には、必ず「大臣に質問」「副大臣に質問」「政務官に質問」とご記入ください。また、本文の欄にご質問の内容をご記入下さい。ご意見箱のコーナーには、「45行以内」とありますが、「大臣に質問」、「副大臣に質問」、「政務官に質問」の場合には、ご質問の趣旨を明確にさせていただくために、恐縮ですが100字以内に収めていただきますようお願いいたします。お寄せいただきましたご質問の中から1問選定させていただき、「アクセスFSA」において大臣・副大臣・政務官の回答を掲載させていただきます。大臣・副大臣・政務官へのご質問がございます方は、「ご意見箱」へどうぞ。また、「大臣・副大臣・政務官への質問募集中」にもアクセスしてみてください。


〇 新着情報メール配信サービスへのご登録のご案内


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【4月の主な報道発表等】
 
1日(金) ホームページの改訂
決済用預金を導入した金融機関(業態別)の状況(速報)
バーゼルII推進室の設置
中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針の一部改正
  保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チームの開催
  偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループの開催
 
6日(水) 企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)に対するパブリック・コメントの結果
 
7日(木) 株式会社日本国債清算機関に対する有価証券債務引受業の免許
 
8日(金) クレディ・スイス信託銀行株式会社に対する行政処分
証券会社の自己資本規制に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)の公表(パブリック・コメント)
  偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループ開催
 
11日(月) 租税特別措置法、租税特別措置法施行規則及び地方税法の改正に伴う事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)の改正
株式会社びわこ銀行の産業活力再生特別措置法に基づく事業再構築計画の認定
 
13日(水)   評定制度研究会開催
  保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チーム開催
 
14日(木)   企業会計審議会監査部会開催
 
15日(金) 近畿労働金庫に対する行政処分
静岡県労働金庫に対する行政処分
中国労働金庫に対する行政処分
社団法人日本損害保険協会、社団法人生命保険協会、日本証券業協会、全国銀行個人情報保護協議会、社団法人信託協会に対する認定個人情報保護団体の認定
  金融審議会金融分科会第一部会開催
  偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループ開催
 
18日(月) 株式会社ジョイント・キャピタル・パートナーズ、モリモト・アセットマネジメント株式会社、ケネディスク・リート・マネジメント株式会社に対する投資信託委託業者の認可
 
20日(水) 金融先物取引法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(案)の公表(パブリック・コメント)
  評定制度研究会開催
 
21日(木)   企業会計審議会内部統制部会開催
 
22日(金) 貸し渋り・貸し剥がしホットライン情報の受付・活用状況
貸金業関係の事務ガイドラインの一部改正(案)に対するパブリック・コメント結果
貸金業関係の事務ガイドラインの一部改正
預金口座の不正利用に係る情報提供件数等
パナソニックペンションファンドマネジメント株式会社、T.ロウ・プライス・グローバル投資顧問、トレイダーズ投資顧問株式会社に対する投資一任契約に係る業務の認可
シティトラスト信託銀行に対する行政処分
株式会社南都銀行に対する行政処分(近畿財務局長処分)
  偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループ開催
 
25日(月)   金融経済教育懇談会開催
 
26日(火)   財務局長会議開催
  偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループ開催
 
27日(水) 保険業法施行規則の一部を改正する内閣府令(案)の公表(パブリック・コメント)
平成15年度政策評価結果の政策への反映状況の公表
グローバリー株式会社に対する行政処分
証券会社の自己資本規制に関する内閣府令の一部改正する内閣府令(案)に対するパブリック・コメントの結果
  貸金業制度に関する懇談会開催
  評定制度研究会開催
  保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チーム開催
 
28日(木) 日本郵政公社による証券投資信託の受益証券の募集取扱いの業務の特例等に関する法律の施行日政令(案)及び業務の特例等に関する法律の施行に関する政令(案)の公表(パブリック・コメント)
金融検査に関する基本指針(案)の公表(パブリック・コメント)
金融コングロマリット監督指針(案)の公表(パブリック・コメント)
金融先物取引法の一部改正法の施行に伴う関係府省令の整備等に関する内閣府令の公表(パブリック・コメント)
金融審議会委員の任免
  金融審議会金融分科会第一部会開催
  企業会計審議会監査部会開催
  偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループ開催
   
マークのある項目につきましては、から公表された内容にアクセスできます。

金融庁アクセスFSA アクセスFSA 第30号