有識者コラム

(注)本コラムは有識者本人の個人的見解に基づいて書かれたものであり、当庁の見解、意見等を示すものではありません。

心とお財布が幸せになる!お金との付き合い方

  • 平成29年12月27日
  • ファイナンシャルプランナー
  • CFPR 認定者
    山中伸枝

第8回 20代の資産形成:明日に投資しよう

こんにちは、ファイナンシャルプランナーの山中伸枝です。

20代のみなさん、計画的にお金を貯めていますか?投資ってしていますか?

そんな質問を30年前の自分自身に問いかけてみたら、きっとポカーンと口を開けて、頭の中に「?」がいっぱい浮かんでいそう。学校を卒業し就職したばかりの私は、給料をもらうと家賃や水道光熱費の支払い、背伸びして買ったバッグのローンの支払い、日々の食費や日用品の買い物、友達とのお茶代など何も考えずに「やりくり」とは程遠いようなお金の使い方をしていました。もちろん「資産形成」なんて全く意識したことがありませんでした。

お財布にお金がなくなれば、次の給料日まであと〇日の辛抱だ!とすこしばかり節約の真似事をしてやり過ごし、給料日には遊びに行って、ボーナスをひたすら待ち望むというような生活でした。時はバブルでしたから、余計に浮かれていたのでしょうね。

ただバブルといっても、所詮新人でしたから先輩方が何やら話をしていた「財テク」という投資話にのれるほどお金もありませんでした。言われた仕事をなんとかこなし、いただいた給料の中で遊び暮らしたという思い出です。

それでも、最初に勤めた会社で、経理の先輩社員から半ば強制的に始めさせられた財形貯蓄は良い経験でした。給与天引きで使う前に貯蓄する、いわゆる先取り貯蓄は月1万円ではありましたが、入社してすぐから始めさせられたので、その1万円は最初からないものと思って生活をすることができました。しかも、お金を下ろしたくても、経理の先輩にお願いしないことにはお金を引き出せなかったので、「何に使うの?もうおろすの?」と怒られるのが怖くてお金を出すこともできずにいました。

やはり貯蓄は強制的にでもやるべきですね。私はわずか3年で最初の会社を辞めたのですが、ボーナスでの積立もあったので全部で50万円ほどのお金になっていました。結婚を控えていたので、そのお金でエステに通い自動車免許もとりました(笑)。給与天引きで、気が付かないうちにお金が貯まって、そのお金で大きな買い物ができるって、気持ちがいいなぁと思いました。

私自身の経験談は胸を張って言う様な立派な話ではありませんが、こういうプチ成功体験は、20代でぜひ実感して欲しいことです。会社に財形貯蓄がある人、あるかどうかわからない、財形が何か分からないという人は人事や総務といった会社の窓口に問い合わせて、早速始めましょう。

もし会社に給与天引きでお金が貯められる仕組みがないのであれば、銀行の積立預金を始めましょう。まずは先取り貯蓄、お金はあると使いたくなるものなので、さっさと使えないようにしてしまうのがポイントです。

積立の金額は、社会人の年数を目安に始めましょう。社会人1年生は月1万円、2年生は月2万円、3年生は月3万円です。ここにボーナスで5万円ずついれていけばあっという間に100万円貯まります。そして、100万円が貯まったら、使いましょう(笑)。

さて、この使い方ですが、「投資」がお勧めです。ただし投資といっても何も株を買ったり、FXをしたりということではありません。自分のための投資です。

お金の使い方には3つあります。浪費、消費、投資です。

浪費とは、お金を支払ったとたん、あーあって残念に思ってしまうお金の使い方です。もっと調べて決めればよかったかなとか、今じゃなくてもよかったかなと少し心が凹むお金の使い方です。せっかく貯めた100万円の使い道としてはふさわしくありませんね。

消費とは、お値段同等の満足感が得られるものです。いわゆる、フツーの買い物です。必要なものを必要なお金で買うのが消費です。でも今回使うお金は100万円です。フツーの買い物はやはりもったいないですね。

投資とは、わくわくするお金の使い方です。自分の将来が変わるようなそんな期待感があるお金の使い方です。例えば、有給休暇を使って海外旅行に行くとか、資格をとる勉強をするとか、会社の近くに引っ越して、朝活を始めるとか…。お金の使い道はなんでも構いません。大事なことは「自分の将来のために使うこと」です。

株のトレードでほんの少しの利鞘を稼いで喜ぶのは、自分のためにお金を使うことになりません。お金のためにお金を使っているだけです。またそれは投資でもありません。単なる投機です。

吟味して100万円を自分のために使えたら、お金を使うエキスパートになれます。お金を貯める大切さ、お金を使う素晴らしさを若いうちに体感すること、これはその後の人生の価値観を大きく左右する大切なポイントです。

将来の自分のために100万円を使えたら、また新しい積立を始めます。今度はつみたてNISAとiDeCoでお金を増やしていきます。まずは世界中の株や債券に投資をする投資信託「バランスファンド」を買いましょう。そして毎月そのバランスファンドのレポートを読みます。マンスリーレポートなど、運用のプロが市場をどう判断し、どう行動をしたのか毎月同じレポートを読み定点チェックをするのです。運用報告会などがあれば参加するといいですね。投資信託を通じ、世界の経済を学ぶことは自分のためになります。

頑張っている人なら、世の中の頑張っている人に共感できるはずです。世界は明日のためにもっともっと良くなろうとしている!そんな大きな動きに感動を覚えると思います。

正直、私は20代の方に「老後は年金だけでは暮らせないんだから、老後のために節約して貯蓄をしなさい」とは言いたくありません。なぜなら20代の人には、老後が来る前に、もっともっとたくさんの若い時間があるのですから、今から老後を考える必要はないと考えるからです。でもiDeCoを使って勉強しながら将来の自分へお金を仕送りするのは大賛成です。会社員なら原則iDeCoは月2.3万円ですから、その程度の先取りができる方はぜひ始めるべきです。もちろんつみたてNISAも有効です。引っ越しや結婚、転職などこれからの人生のステップアップに、つみたてNISAのお金は選択肢を増やしてくれます。

20代は、自分が幸せになることを一生懸命考える時期です。

「えっ、自分だけが幸せになればいいっていうの?なんか無責任」って思う方もいるかもしれませんね。実はこの言葉、私が20代の時に人生の先輩から教えてもらった言葉の受け売りなんです。

短大を卒業し、3年ほど旅行会社で働いてすぐに結婚した私は、夫の仕事の都合でそれから4年間アメリカのオハイオ州で過ごしました。なんとなく流れのままに海外生活を始めてしまった私は、義父の勧めで大学で勉強を始めたものの、英語もなかなか上達せず、友人もできず、もちろん授業にもついていけず自己嫌悪で暗い日々を送っていました。自分で何をしたらいいのか、何をすべきなのかもわからず悶々としている時に、当時50代の英語の家庭教師の先生にこう言われたのです。

自分が幸せになることを一生懸命考えて、自分が幸せになるために努力しなさいと。

最初私は「自分だけが幸せになるなって、なんて自己中心的な考えなの?」と憤慨していました。とても無責任な言い方に聞こえたからです。なんとか世の中に必要とされる人間になりたい、世の中に貢献できる人間になりたいともがいていたのですから、正直彼女の言葉にがっかりしたものでした。

でも、彼女の言葉は私の中にずっと生きていて、何度も何度も心の中で繰り返されてきたんですね。そしてだんだんこの言葉の意味が分かるようになりました。

自分が幸せになるってことはどういうことか?

みなさんはどう考えますか?自分が幸せになるという状態は、「自分一人だけが幸せ」ということではありませんよね。自分が幸せになるには、周りの人が幸せにならないと自分は決して幸せになれないんですよね。人は一人で生きているわけじゃありませんから。また周りの人が幸せになるには、世の中が幸せにならないといけないんです。ということは、自分が幸せになるために努力をするということは、世の中を幸せにすること!

ただ、「世の中を幸せにすることは何か?」なんて壮大なお題目は何から手をつけて良いのか分からずやるべきことが分からなくなってしまうので、まずは「自分が幸せになること」から始める。これってものすごくよい考え方なのではないかと思うのです。

なので、20代のみなさんへのお勧めは自分を幸せにするために行動する、そしてそのためにお金を使う、お金を使うためにお金を貯める。この流れを早くに作ることをお勧めします。

自分を幸せにする。

一体なんでしょうね。ステキな風景に出逢う、ステキな仕事に出逢う、ステキな恋に出逢う…

ステキな瞬間にいつ出逢えるかは分かりません。出逢った時に、お金がなくてチャレンジできなかった、なんてことにならないよう、将来の自分へのプレゼント、先取り貯蓄を実行しましょう。

お財布からお金を出すときは、浪費、消費、投資を考えてみましょう。将来の自分がわくわくするような投資が増えるといいですね。楽しみながらお金を貯め、楽しみながらお金を使えるようになれると、幸せに近づけそうです。

有識者プロフィール

山中 伸枝

CFPR認定者。ファイナンシャルプランナー。1993年、米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業後メーカーに勤務。これからは自らの知識と信念で自分の人生を切り開いていく時代と痛感し、FPを目指す。
著書:「なんとかなる」ではどうにもならない 定年後のお金の教科書(インプレス)ど素人が始めるiDeCo(個人型確定拠出年金)の本(翔泳社)、100人以下の会社のためのiDeCo&企業型DC楽々活用法(日本法令)他