破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告

1 はじめに

本報告は、政府が破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容その他金融機関の破綻の処理の状況について、令和7年4月1日以降令和7年9月30日までの間を中心として取りまとめたものであり、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第5条の規定に基づき、国会に提出するものである。

金融機関の破綻処理に関しては、これまでも適時・適切に所要の措置を講じることに努めてきたところである。今後とも政府としては、日本の金融システムの一層の安定の確保に万全を期してまいる所存である。

2 管理を命ずる処分等の状況

報告対象期間中(令和7年4月1日から令和7年9月30日までの間、以下同じ。)に金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分等は行われていない。

3 預金保険機構による主な資金援助等の実施状況等及び公的資金の使用状況

  1. 預金保険機構による主な資金援助等の実施状況等
    • (1)金銭の贈与

      預金保険機構による資金援助のうち、破綻金融機関から事業を譲り受ける救済金融機関等に対する金銭の贈与は、報告対象期間中には行われていない。

      なお、金銭の贈与の額は、これまでの累計で19兆319億円となっている。この累計のうちいわゆるペイオフコストの範囲内の金銭の贈与の額は7兆6,133億円、ペイオフコストを超える金銭の贈与の額は11兆4,186億円となっている。

      ペイオフコストの範囲内の金銭の贈与は、預金保険機構の一般勘定で経理され、金融機関からの保険料をその財源としている。なお、ペイオフコストを超える金銭の贈与は、預金保険機構の特例業務勘定で経理され、金融機関からの特別保険料及び特例業務基金に交付された国債をその財源としていたが、特例業務勘定は平成14年度末に廃止され、同勘定に属する資産及び負債は一般勘定に帰属している。

    • (2)資産の買取り

      預金保険機構による資金援助のうち、破綻金融機関等からの資産の買取りは、報告対象期間中には行われていない。

      なお、破綻金融機関等からの資産の買取りの額は、これまでの累計で6兆5,192億円となっている。

      破綻金融機関からの資産の買取りは、平成14年度末までは特例業務勘定で経理されていたが、同勘定廃止後は一般勘定で経理されており、預金保険機構は同勘定において、金融機関からの保険料を原資として、買取りを委託した整理回収機構に対して貸付けを行っている。

    • (3)優先株式等の引受け等

      • マル1 預金保険機構による金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律(以下「金融機能早期健全化法」という。)に基づく株式等の引受け等の額は、これまでの累計で8兆6,053億円となっている。

        金融機能早期健全化法に基づく株式等の引受け等は、金融機能早期健全化勘定で経理されており、預金保険機構は同勘定において、返済資金を原資として、株式等の引受け等を委託した整理回収機構に対して貸付けを行っていたが、株式等の処分の完了に伴い、貸付金は同勘定に返済されている。

        (注)
        金融機能早期健全化法に基づく株式等の引受け等の申請は、平成13年3月31日(特定協同組織金融機関等については平成14年3月31日)までとなっている。
      • マル2 預金保険機構による預金保険法第107条第1項の規定に基づく株式等の引受け等は、報告対象期間中には行われていない。

        なお、預金保険法第107条第1項の規定に基づく株式等の引受け等の額は、これまでの累計で1兆9,600億円となっている。

        預金保険法第107条第1項の規定に基づく株式等の引受け等は、危機対応勘定で経理され、預金保険機構は同勘定において、政府保証付借入れ等で調達した資金を用いて引受け等を行うこととなる。

      • マル3 預金保険機構による金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法(以下「組織再編成促進特別措置法」という。)に基づく優先株式等の引受け等の額は、これまでの累計で60億円となっている。

        組織再編成促進特別措置法に基づく優先株式等の引受け等は、金融機関等経営基盤強化勘定で経理されていたが、平成16年度末に同勘定は廃止され、同勘定に属する資産及び負債は金融機能強化勘定(下記マル4参照)に帰属している。

        (注)
        組織再編成促進特別措置法に基づく優先株式等の引受け等の申請は、平成16年7月31日までとなっている。
      • マル4 預金保険機構による金融機能の強化のための特別措置に関する法律(以下「金融機能強化法」という。)に基づく株式等の引受け等は、報告対象期間中には行われていない。

        なお、金融機能強化法に基づく株式等の引受け等の額は、これまでの累計で7,257億円となっている。

        金融機能強化法に基づく株式等の引受け等は、金融機能強化勘定で経理されており、預金保険機構は同勘定において、政府保証付借入れ等で調達した資金を用いて、株式等の引受け等を委託した整理回収機構に対して貸付けを行っている。

        (注)
        金融機能強化法に基づく株式等の引受け等の申請は、当初、平成20年3月31日までとなっていたが、平成20年12月、平成23年6月、平成28年12月及び令和2年6月の同法の改正により、令和8年3月31日までとなっている。
      (注)
      預金保険機構による資金援助等の実施及び回収状況等については〔PDF参考3-1〕参照。
  2. 公的資金の使用状況
    • (1)一般勘定

      一般勘定は、ペイオフコストの範囲内の一般資金援助等の業務を経理することとされている。一般勘定の資金は、金融機関から徴収する保険料(令和7年度の保険料率は決済用預金0.022%、一般預金等0.014%)と政府保証による民間金融機関等からの借入れ又は預金保険機構債の発行で賄うことができることとされている。

      なお、一般勘定の借入金等の残高はない(令和7年9月末)。

    • (2)金融再生勘定

      金融再生勘定は、特別公的管理銀行に対する損失の補塡、健全金融機関等の資産の買取りを行う整理回収機構への貸付け等の業務を経理することとされている。金融再生勘定の資金は、政府保証による民間金融機関等からの借入れ又は預金保険機構債の発行で賄うことができることとされている。

      なお、金融再生勘定の借入金等の残高はない(令和7年9月末)。

    • (3)金融機能早期健全化勘定

      金融機能早期健全化勘定は、金融機能早期健全化法に基づく株式等の引受け等に係る整理回収機構への貸付け等の業務を経理することとされている。金融機能早期健全化勘定の資金は、政府保証による民間金融機関等からの借入れ又は預金保険機構債の発行で賄うことができることとされている。

      なお、金融機能早期健全化勘定の借入金等の残高はない(令和7年9月末)。

    • (4)危機対応勘定

      危機対応勘定は、預金保険法第40条の2第2号に掲げる業務等を経理することとされている。危機対応勘定の資金は、政府保証による民間金融機関等からの借入れ又は預金保険機構債の発行で賄うことができることとされている。

      なお、危機対応勘定の借入金等の残高はない(令和7年9月末)。

    • (5)金融機能強化勘定

      金融機能強化勘定は、金融機能強化法に基づく株式等の引受け等に係る整理回収機構への貸付け等の業務を経理することとされている。金融機能強化勘定の資金は、政府保証による民間金融機関等からの借入れ又は預金保険機構債の発行で賄うことができることとされている。

      金融機能強化勘定の借入金等の残高は、令和7年9月末で3,445億円(民間金融機関等借入金1,845億円、預金保険機構債1,600億円)となっている。

      (注)
      預金保険機構の各勘定の政府保証及び借入金等の状況については〔PDF参考3-2〕参照。

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