アクセスFSA 第66号(2008年5月)
【金融ここが聞きたい!】
※このコーナーは、大臣の記者会見における質疑・応答(Q&A)などの中から、時々の旬な情報をセレクトしてお届けするものです。もっとたくさんご覧になりたい方は、是非、金融庁ウェブサイトの「記者会見」のコーナーにアクセスしてください。
Q: 銀行決算についてですが、まだ全部が出揃ったわけではありませんが、金融庁はこれまでFSF(金融安定化フォーラム)報告を受けて、各金融機関に証券化商品に関して自らの判断で適切な開示をということで要請しているところだと思いますが、銀行の決算発表を終えた株価の推移を見ると、マーケットの方がきちっと評価しているのか、評価していないのか、なかなかつかみにくいところであるわけですけれども、大臣は現時点での開示内容についてどのように見ていらっしゃるのでしょうか。
A:マーケットの評価についてはいちいちコメントはいたしませんが、それぞれの銀行・金融機関において、きちんとしたリスク管理が求められます。それを自らの判断によって適切な開示をやっていただくというのが基本です。金融庁として、金融機関がリスクを取るなというつもりは全くございませんし、金融機関はリスクを取って初めて金融ビジネスが成り立つわけです。ですから、適切なリスクテイク、その上でリスク管理を適切に行っていただく、そしてその結果、途中経過をきちんと開示をしてもらうというのが基本でありますから、それぞれの金融機関の判断に従って、ディスクロを適切に行っていただきたいと思います。
Q: 金融庁、金融専門人材に関する研究会が出しました(金融専門人材についての)基本コンセプトについてなのですが、大臣は過去、著書の中でご自身も「金融サービス士」という資格制度について言及されているのですけれども、これから広く意見を募るということでまだ形がどうなっていくのかというのは見えないのですが、民間の方では趣旨をめぐって不安に思っている方もいらっしゃるようです。改めて資格制度についてお考えをお聞きしたいと思うのですが。金融庁として対策を打たれるということはありませんか。
A:資格を作ることを決め打ちしているわけでは全くございません。金融専門人材を養成するにはどうしたらいいだろうか、という問題提起をしているところです。懇談会においては、民間資格も含めて議論をしていただいたわけです。このような金融専門人材、なかんずくコンプライアンス関係に詳しい人たちがいろいろな分野に散らばって配置されていれば、コンプライアンス感覚の共有が相当できるようになると思います。発行会社にも証券会社にも自主規制機関にも、また監督当局にもそのような人材が散らばっていることによって、いわば生態系の秩序が維持されるようになると思います。そうすると行政のコストは肥大化せずに済むようになるわけです。
我々は金融自由化の流れの中で、護送船団方式を止め、つまり事前の統制方式を止めたわけです。事前の統制というのはある意味では行政のコストが非常に小さくてすむわけです。箸の上げ下ろしまで統制していくわけですから、そんなに大きなコストは必要ないのです。しかし、事後チェック方式に大転換するということは、民間にはどうぞご自由にやってください、一方ルール違反は徹底して取締りを強化します、という一般的な流れなのです。そうすると、逆に行政のコストが非常に高くなってしまうということがあり得るわけです。したがって、我々は行政のコストを肥大化させずにルールとプリンシプルに基づいて民間がより自由な経済活動ができるようにするにはどうしたらよいか、ということを考えた結果、やはり金融の専門人材が圧倒的に不足しているのではないか、と考えてこのような提案をしたところでございます。是非、いろいろなご意見をお待ちしております
【お知らせ】
○ 悪質なファンドの勧誘にご注意ください!
ファンド形態で出資の勧誘を行う場合は登録が必要です
昨年9月30日に金融商品取引法(以下「金商法」といいます。)が施行され、一般投資家向けにいわゆるファンド形態で出資の勧誘等を行う者(以下「業者」といいます。)に財務局(福岡財務支局及び沖縄総合事務局を含む)への登録義務が課されました。
具体的には、
1. 一般投資家からお金を集め(出資を募り)
2. 何らかの事業や投資を行い
3. その事業や投資から生じる収益を出資者に分配する仕組み
を運営している者は、 財務局への登録が義務付けられました。
登録業者(4,198のファンド業者(平成20年4月末現在))については、金融庁ウェブサイトで確認が出来ます。無登録業者からの出資の勧誘等には十分ご注意ください。
また、登録業者でも、出資の勧誘等の際には、例えば、次のようなルールを守らなければならないことになっています。
- 公告をする場合には、金融商品取引業者である旨及び登録番号などを表示しなければならならず、利益の見込みについても、著しく事実に相違する表示や、著しく誤認させるような表示をしてはならない。
- 契約を締結しようとするときは、あらかじめ、顧客に対し、登録番号、契約の概要、手数料の概 要等を記載した書面を交付しなければならない。
- 「虚偽のことを告げる行為」や「不確実な事項について断定的判断を提供して勧誘をする行為」をしてはならない。
- 損失補てんをしてはならない。
○ 証券市場における不正・違法行為に関する情報を受け付けています!
証券取引等監視委員会は、証券会社などに対する検査、証券市場にかかわる開示検査、課徴金調査及び犯則事件の調査、そのほか日常的な市場監視活動を通じて、公正・公平かつ透明で健全な市場の構築に努めています。当委員会は、こうした調査、検査などの参考とするため、電話、文書(ファクシミリを含む)、インターネットなどで情報提供を受け付けており、平成18事務年度には、6,485件と、多数の情報をお寄せいただきました。 インサイダー取引や相場操縦、有価証券報告書の虚偽記載、証券会社などにおける無断売買や不当な勧誘などの証券市場に関する違法行為に気づいたら、証券取引等監視委員会まで情報をご提供ください。(なお、調査、検査の依頼や証券会社などとのトラブル処理には対応しておりません。) インターネットにおける情報受付窓口は証券取引等監視委員会ウェブサイトをご覧ください。 |
一般からの情報提供を求めるポスター |
○ 株券電子化について
平成16年に、株券を電子化する法律(社債、株式等の振替に関する法律)が成立し、平成21年1月を目途に上場会社の株券を電子化するための準備が進められています。
株券電子化のスムーズな実施のためには、いわゆる「タンス株券」をお持ちの株主を中心に関係者各位に早めの準備を行わって頂く必要があります。
ただ、株券の電子化については、まだまだ十分な知識をお持ちでない方が多いようです。
そこで、金融庁のウェブサイトの改訂(平成19年2月13日)等によって、個人投資家を中心とした関係者各位に株券電子化の概要やご留意頂きたい点をお伝えしてきたところですが、更に、より多くの方々に株券電子化について理解を深めて頂くべく、政府広報オンライン・お役立ち動画「株券電子化の準備 もうお済みですか」では、株券の電子化の概要や留意点について広報を行っております。なお、この政府広報オンラインは、金融庁ウェブサイトからもアクセスできます。
以下では、株券電子化の概要と留意点のうち、特にご注意頂きたい点をピックアップします。
1. 概要
株券電子化は、上場会社の株式について、「株券」をなくし、証券保管振替機構及び証券会社等の口座で、コンピューターにより電子的に管理しようとするものです。
2. 留意点(タンス株券をお持ちの株主)
株券電子化にあたって、自宅や貸金庫などご自身で株券を管理されている株主(いわゆる「タンス株券」をお持ちの株主)については、特に以下の点に留意してください。
(1) お持ちの株券がご自分の名義ではなく、ご本人が株主としての権利を失ってしまうおそれもありますので、株他人名義となっている場合には、株券電子化実施の前に、証券会社等を通じて証券保管振替機構に預託するか、少なくともご自分名義への書換手続を行ってください。 (2) お持ちの株券がご自分名義となっている場合、(1)のように株主としての権利が失われることはありませんが、株券電子化後に売却を行おうとする場合にスムーズに行うことができるようにする等のために、株券電子化実施の前に、証券会社等を通じて証券保管振替機構に預託しておくのが望ましいと考えられます。
なお、上記の証券会社等や証券保管振替機構における預託のための事務手続に時間を要することも予測されます。株券電子化のスムーズな実施に向け、上記預託のための手続はできるだけ早めに行うようにしてください(現在でも当該預託を行うことは可能です。)
※ 「株券電子化」については金融庁ウェブサイトにも掲載しています。金融庁ウェブサイトのトップページ「金融庁の政策 → 政策の一覧へ」から「株券電子化について」にアクセスしてください。
○ 新着情報メール配信サービス(日本語版・英語版)へのご登録のご案内
金融庁ウェブサイトでは、新着情報メール配信サービス(日本語版・英語版)を行っております。皆様のメールアドレスをあらかじめ登録していただきますと、日本語版の場合、毎月発行される「アクセスFSA」や日々発表される各種報道発表など、新着情報を1日1回、電子メールでご案内します。
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○ 証券取引等監視委員会ウェブサイトにて新着情報メール配信サービス(日本語版・英語版)の開始
平成20年4月2日より証券取引等監視委員会ウェブサイト(日本語版・英語版)にて新着情報メール配信サービスを開始しました。「電子メールアドレスの登録」画面で電子メールアドレスをあらかじめ登録すると、金融商品取引業者等に対する行政処分等に関する勧告や課徴金納付命令に関する勧告など、証券取引等監視委員会ウェブサイトの新着情報を、電子メールにてご案内致します。
詳しくは、日本語版の登録をご希望の方は、「新着情報メール配信サービス」に、英語版の登録は「Subscribing to E-mail Information Service」にアクセスしてください。
○ 金融円滑化ホットラインの開設について
金融庁では、金融の円滑化に関し、中小企業など借り手の方々の声を電話によりお聞きする情報等の受付窓口として、「金融円滑化ホットライン」を下記のとおり4月30日に開設いたしました。
これは、原油・素材価格の高騰や円高の影響により、大企業や中小企業ともに大部分の業種で業況感が悪化している等、中小企業の経営が圧迫されている状況に対し、十分な注視が必要であり、一層の配慮が求められていることを踏まえ、平成20年4月4日に経済対策閣僚会議において決定された、「成長力強化への早期実施策」に盛り込まれた中小企業金融の円滑化に向けた施策の一つとして、行政の態勢整備を行うこととしたものです。
本ホットラインに寄せられた情報等は必要に応じて金融機関にフィードバックするとともにヒアリングを行うなど、検査・監督に活用させていただきます。
名称:「金融円滑化ホットライン」 受付時間:平日10時00分~16時00分 電話番号:03-5251-7755 受付内容:銀行、信用金庫、信用組合の融資に関する情報等 |
※ ご留意事項
○ ホットラインの利用者の皆様と金融機関との間の個別トラブルにつきましては、お話を伺った上で、他機関の紹介や論点の整理などのアドバイスは行いますが、あっせん・仲介・調停を行うことは出来ませんので、あらかじめご了承ください。
○ ホットラインへの情報等の提供は、電話にて行っていただきますようお願いします。
【5月の主な報道発表等】
※ マークのある項目につきましては、から公表された内容にアクセスできます。