アクセスFSA 第69号(2008年5月)
【金融ここが聞きたい!】
このコーナーは、大臣の記者会見における質疑応答などの中から、時々の旬な情報をセレクトしてお届けするものです。
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【茂木大臣就任記者会見冒頭発言】
この度、内閣府の特命担当大臣金融担当、そして行政改革担当、公務員制度改革担当を拝命いたしました茂木 敏充です。どうぞよろしくお願いいたします。
昨日、官邸では総理の方から「改革の担当大臣としてしっかりやって欲しい」というお話がありましたが、今日も辞令交付がございまして、同じように改革の担当大臣だという自負を持って取り組んで欲しい、というお話がございました。
Q: 早急に取り組むべき具体的な懸案について教えていただきたい。また、その対応方針、スケジュール感について教えていただければと思います。
A:サブプライムの問題は世界的に金融の混乱、こういったことを招いているわけでありますが、我が国は、昨日も申し上げたように、金融システムは欧米と比べると相対的に安定はしていると思います。しかし、グローバルな金融市場では依然として緊張が続いているわけでありますから、高い警戒水準を維持しながら注意深くフォローしていくということが、何より現時点では重要であると思っております。それから、原油、原材料価格が高騰しておりまして、我が国の景気にも下振れリスクというものが高まっているわけであります。特に、中小企業は、極めて厳しい状況にありまして、ここで、金融機関の金融仲介機能が極めて重要になってくると考えております。当然、金融機関としての財務の健全性の維持ということもありますが、同時に、中小企業に対する円滑な資金供給に万全を期していくということが大切だと思っております。
それから、昨日、総理の方からも「我が国の金融の資本市場の国際競争力を強化するために、東京をロンドンやニューヨークと並び立つ市場にするように努力して欲しい」というお話がありました。ご案内のとおり、昨年12月に、この金融資本市場の国際競争力強化のために、市場強化プランのとりまとめを行ったわけでありまして、これをしっかり進めて行きたいと思っているところであります。
Q: 渡辺前大臣は私的懇談会として、「金融市場戦略チーム」というチームを独自に立ち上げて、いろいろな提言等もされてきたのですけれど、現時点で、大臣はそういった私的懇談会のようなものを新たに立ち上げるお考え・意思のようなものはあるのでしょうか。
A:今日の今の時点で、具体的にどういった懇談会を作るか、何を進めるか、こういうことについて明確なプランを持っているわけではありません。ただ、私が例えばIT担当大臣をやりました時に、そこの中で、日本におけるIT戦略がどこまで進んでいるか、ただ、2001年に始まったプランにしても、ちょうど私が2003年から2004年にくらいにやりました時に、進めるのはいいのですが、これまでやってきた評価はどうなのか、ということで、評価の専門委員会というのを作りました。ちょうどその頃ITの国際化を進めていく、特にアジア戦略を作らなければならない、こういうことで、国際問題に関する懇談会を2つ作らせていただきましたが、少なくとも、ITの分野ではそういったことが非常に有効に機能したと、こんな風にかんがえており、様々な金融の問題もそうでありますし、民間の知恵であったり、いろいろな私見をしっかり行政に活かしていくことが重要だと思っています。
Q: 証券税制についてお聞きしたいのですが、昨日、講演で高齢者と小口投資家の優遇ということをおっしゃったわけですけど、なぜ、高齢者優遇が今必要なのかということについてお聞きしたいのですが。結局、説明では個人金融資産(保有)の6割以上が高齢者であり、だから優遇して活性化につなげるのだということだと思うのですが、むしろ、政策としては、蓄えのない層に優遇措置を設けるべきではないかと思うのですが、その辺は大臣、どのようにお考えでしょうか。
A:昨日は英語で講演しましたので、
十分説明できていなかった点もあるかと思いますが、今まさにこの証券税制につきまして、8月末の要望に向けて最終的な調整を行っているところでありまして、おそらく、確定拠出型年金、401k制度の充実であったり、いくつかの項目が出てまいりますが、大きな柱としましては、今言いました高齢者の投資の税率の軽減なり、非課税の制度の導入の問題、それからもう一つは、小口投資家の育成のための優遇措置・特例措置、言ってみますと、日本版のISA(個人貯蓄口座制度)といったことが二つ目の柱になってくると、そういうふうに考えておりまして、単に高齢者優遇だけではなく、広く一般の投資家を育てていくということも非常に重要な観点だと、こんなふうに思っているところであります。
それから高齢者につきましては、確かに今、個人の金融資産1,500兆円、GDPの2.9倍にあたるわけでありますが、その資産につきまして、高齢者が6割を保有している、特に、株式投資信託でいいますと7割を保有しているとこういう現状もありますが、同時に、高齢者の側に立って見ますと、今の利子所得が減少する一方で、家計における配当所得の割合というのが増加しているわけであり、まさに高齢者にとっては、これが「第二の年金」としての重要性が高まっていると、こういう観点を考えております。その一方で、若年層につきましては、ご指摘のように、株式投資信託の保有も少額であり、小口の継続的、長期投資を通じた資産形成が重要な課題だと、こんなふうに考えております。証券税制につきましては、どうしても「金持ち優遇にあたらないか」というご批判なりご懸念が出るところでありますが、実際問題で申し上げると、株式、それから投資信託等の投資家、これは7割が年収500万円未満の方であり、特に最近で申し上げると、投資を増やしているのも同じ年収500万円未満の世帯ということになってきますので、そういった意味も含めて、小口の投資家を増やしていく、それから、「第二の年金」として配当所得等が特に重要になっている高齢者への対策を取る、これが二つの大きな柱ということになってまいります。
【お知らせ】
○ 悪質なファンドの勧誘にご注意ください!
ファンド形態で出資の勧誘を行う場合は登録が必要です
昨年9月30日に金融商品取引法(以下「金商法」といいます。)が施行され、一般投資家向けにいわゆるファンド形態で出資の勧誘等を行う者に財務局(福岡財務支局及び沖縄総合事務局を含む)への登録義務が課されました(プロ向け業務(=適格機関投資家等特例業務)を行う者であれば届出義務)。
具体的には、
1.他者からお金を集め(出資を募り)
2.何らかの事業や投資を行い
3.その事業や投資から生じる収益を出資者に分配する仕組み
を運営している者は、 財務局への登録又は届出が義務付けられました。
登録業者及び届出業者については、金融庁ウェブサイトで確認が出来ます。
無登録業者からの出資の勧誘等には十分ご注意ください。
また、登録業者でも、出資の勧誘等の際には、例えば、次のようなルールを守らなければならないことになっています。
- 公告をする場合には、金融商品取引業者である旨及び登録番号などを表示しなければならならず、利益の見込みについても、著しく事実に相違する表示や、著しく誤認させるような表示をしてはならない。
- 契約を締結しようとするときは、あらかじめ、顧客に対し、登録番号、契約の概要、手数料の概要等を記載した書面を交付しなければならない。
- 「虚偽のことを告げる行為」や「不確実な事項について断定的判断を提供して勧誘をする行為」をしてはならない。
- 損失補てんをしてはならない。
たとえ登録を受けている業者であっても、信頼できるとの確信が持てない場合は、慎重な対応をお勧めします。
○ 認定投資者保護団体の更なる活用を期待しています。
金融商品取引法(以下「金商法」といいます。)においては、投資者保護のための横断的法制の構築の一環として、「認定投資者保護団体」に関する制度を整備しています。
この制度は、苦情解決およびあっせん業務の業態横断的な取組みをさらに推進するため新たに設けられたものであり、金商法上の自主規制機関以外の民間団体が金融商品取引業者等に関する苦情の解決およびあっせん業務を行う場合に、行政がこれを認定することにより、当該民間団体の業務の信頼性を確保しようとする枠組みです。
金商法が施行されて以降、平成19年9月30日に社団法人生命保険協会、平成20年3月7日に社団法人日本損害保険協会が認定を受けております。認定投資者保護団体は、金融商品取引業者以外の者も設立が可能で、具体的には、たとえば、消費者団体、NPO法人や各種の業界団体等が考えられますが、これに限らず、認定の要件・基準を満たす民間団体は認定投資者保護団体になることが可能です。金融庁としては、苦情解決・あっせん業務は、事後的な投資者保護策として非常に重要ですので、同制度が幅広く活用され、一層の投資者保護に寄与していただくことを強く期待しています。
○ 証券市場における不正・違法行為に関する情報を受け付けています!
証券取引等監視委員会 インサイダー取引や相場操縦、有価証券報告書の虚偽記載、証券会社などにおける無断売買や不当な勧誘などの証券市場に関する違法行為に気づいたら、証券取引等監視委員会まで情報をご提供ください。(なお、調査、検査の依頼や証券会社などとのトラブル処理には対応しておりません。) インターネットにおける情報受付窓口 |
一般からの情報提供を求めるポスター |
○ 株券電子化について
平成16年に、株券を電子化する法律(社債、株式等の振替に関する法律)が成立し、平成21年1月を目途に上場会社の株券を電子化するための準備が進められています。
株券電子化のスムーズな実施のためには、いわゆる「タンス株券」をお持ちの株主を中心に関係者各位に早めの準備を行わって頂く必要があります。
ただ、株券の電子化については、まだまだ十分な知識をお持ちでない方が多いようです。
そこで、金融庁のウェブサイトの改訂(平成19年2月13日)等によって、個人投資家を中心とした関係者各位に株券電子化の概要やご留意頂きたい点をお伝えしてきたところですが、更に、より多くの方々に株券電子化について理解を深めて頂くべく、政府広報オンライン・お役立ち動画「株券電子化の準備 もうお済みですか」では、株券の電子化の概要や留意点について広報を行っています。なお、この政府広報オンラインは、金融庁ウェブサイトからもアクセスできます。
以下では、株券電子化の概要と留意点のうち、特にご注意頂きたい点をピックアップします。
1. 概要
株券電子化は、上場会社の株式について、「株券」をなくし、証券保管振替機構
及び証券会社等の口座で、コンピューターにより電子的に管理しようとするものです。
2. 留意点(タンス株券をお持ちの株主)
株券電子化にあたって、自宅や貸金庫などご自身で株券を管理されている株主(いわゆる「タンス株券」をお持ちの株主)については、特に以下の点に留意してください。
(1) お持ちの株券がご自分の名義ではなく、ご本人が株主としての権利を失ってしまうおそれもありますので、 株他人名義となっている場合には、株券電子化実施の前に、証券会社等を通じて証券保管振替機構に預託するか、少なくともご自分名義への書換手続を行ってください。 (2) お持ちの株券がご自分名義となっている場合、(1)のように株主としての権利が失われることはありませんが、株券電子化後に売却を行おうとする場合にスムーズに行うことができるようにする等のために、株券電子化実施の前に、証券会社等を通じて証券保管振替機構に預託しておくのが望ましいと考えられます。
なお、上記の証券会社等や証券保管振替機構における預託のための事務手続に時間を要することも予測されます。株券電子化のスムーズな実施に向け、上記預託のための手続はできるだけ早めに行うようにしてください(現在でも当該預託を行うことは可能です。)
※ 「株券電子化」については金融庁ウェブサイトにも掲載しています。金融庁ウェブサイトのトップページ「金融庁の政策 → 政策の一覧へ」から「株券電子化について」にアクセスしてください。
○ 新着情報メール配信サービス(日本語版・英語版)へのご登録のご案内
金融庁ウェブサイトでは、新着情報メール配信サービス(日本語版・英語版)を行っています。皆様のメールアドレスをあらかじめ登録していただきますと、日本語版の場合、毎月発行される「アクセスFSA」や日々発表される各種報道発表など、新着情報を1日1回、電子メールでご案内します。
また、英語版でも金融庁英語版ウェブサイトの新着情報や「FSA Newsletter」など、新着情報を1日1回、電子メールでご案内します。
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○ 証券取引等監視委員会ウェブサイトにて新着情報メール配信サービスへのご登録のご案内
証券取引等監視委員会ウェブサイトでは、新着情報メール配信サービス(日本語版・英語版)を行っています。皆様の電子メールアドレスをあらかじめ登録していただきますと、金融商品取引業者等に対する行政処分等に関する勧告や課徴金納付命令に関する勧告など、証券取引等監視委員会ウェブサイトの新着情報を、電子メールにてご案内します。
※ 詳しくは、日本語版の登録をご希望の方は、証券取引等監視委員会ウェブサイトの「新着情報メール配信サービス」に、英語版の登録は「Subscribing to E-mail Information Service」 にアクセスしてください。
○ 金融円滑化ホットラインの開設について
金融庁では、金融の円滑化に関し、中小企業など借り手の方々の声を電話によりお聞きする情報等の受付窓口として、「金融円滑化ホットライン」を開設しております。
これは、原油・素材価格の高騰や円高の影響により、大企業や中小企業ともに大部分の業種で業況感が悪化している等、中小企業の経営が圧迫されている状況に対し、十分な注視が必要であり、一層の配慮が求められていることを踏まえ、平成20年4月4日に経済対策閣僚会議において決定された、「成長力強化への早期実施策」に盛り込まれた中小企業金融の円滑化に向けた施策の一つとして、行政の態勢整備を行うこととしたものです。
本ホットラインに寄せられた情報等は金融機関にフィードバックするなど、検査・監督に活用させていただいているところです。また、寄せられた情報の中に、最近、融資の申込みに際し、融資申込先の金融機関等から、「貴社のような業種へは融資をしないよう、金融庁から指導されているので、ご融資できない。」という対応をされた、といった内容のものがありました。
金融庁が金融機関に対し、特定業種への融資について、抑制的な指導をすることはありません。貸出の判断は金融機関が自らの経営方針によって決定すべきことであり、同様に、金融検査が貸出判断に関与することもありません。
このような不適切な対応を金融機関から受けた場合には、下記の金融円滑化ホットラインに情報提供をお願いします。頂いた情報については、検査・監督に活用させていただきます。
名称:「金融円滑化ホットライン」 受付時間:平日10時00分~16時00分 電話番号:03-5251-7755 受付内容:銀行、信用金庫、信用組合の融資に関する情報等 |
※ ご留意事項
○ ホットラインの利用者の皆様と金融機関との間の個別トラブルにつきましては、お話を伺った上で、他機関の紹介や論点の整理などのアドバイスは行いますが、あっせん・仲介・調停を行うことは出来ませんので、あらかじめご了承ください。
○ ホットラインへの情報等の提供は、電話にて行っていただきますようお願いします。
※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から、「特定業種に対する金融機関の貸出判断について」(平成20年6月17日)にアクセスしてください。
【8月の主な報道発表等】
※ マークのある項目につきましては、
から公表された内容にアクセスできます。