アクセスFSA 第84号(2010年4月)
【金融ここが聞きたい!】
このコーナーは、大臣の記者会見における質疑応答などの中から、時々の旬な情報をセレクトしてお届けするものです。
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Q1: 郵政の見直しに伴って、民間の中小金融機関に対しても、監督、検査のあり方を見直される、というふうに大臣はおっしゃってきておられますが、現在の検討状況というか、具体的に、ここをもう少し負担軽減してあげるといった具体策というのは出てきていらっしゃるのでしょうか。
A1: この間、事務方に「そうするから、そういう方向で検討しておけ」と(言いました)。これは、第二地銀の辺りまで入れるかどうか、信金、信組辺りまでにするのか。その辺りを、検査の実態ともあわせて検討すれば良いと思うのですけれども、金融の実態を見る上において、必ずしも必要ではないような書類、「そんなものはとっていない」ということを(事務方は)言っていましたが、詳細な資料の提出だとか(に過重に頼っていては)…。私が言っているのは、「検査官は、その金融機関に対する、書類とか、数字に頼らない眼力を養わないと駄目だよ」と、「それがなくて、検査をやったって本当の意味の検査はできないよ。だから、資料提出その他に過重に頼るというようなことは、やはり改めたほうが良いだろう」と。金融機関から言わせると、大変な負担になっているというのですよね。簡単に言うと、検査に備えてビクビクしてしまっているのですよ。
私なんかも、金融担当大臣になる前は、本当にいろいろ「融資してやったらどうなの」と(金融機関に)言うと、「いや、私もそう思うのですが、この案件については金融庁が怖い、検査官が怖い」と言うのですよね。私は、(融資を)断る口実にしているという面が多いと思うのですけれども、やはり、検査というのは、金融のノーマルなあり方を検査しているわけですから、それについて必要な限度の負担(だけ)をかけるということが大事だと思います。過重な負担をかけないで、かつ、その金融機関に「ちゃんとせい」と。財務体質を健全化するということの中には、ちゃんとした融資をしているかどうか、社会的責任を果たしているかどうかということも実際は入っているのですけれども、従来は、そこにあまり力点が入っていなかったきらいがありますから、私は、その点に強くウエイトを置いていると。
Q2: 一昨日(注:3月24日)の、大塚(副大臣)さんの会見のときも、預貯金額の平均値とか中央値とか、要望額なんかを調査なさって、要望額が2,000万(円)ちょうどぐらいだったという説明をいただいて、そういう状況なので、限度額が2,000万(円)であれば、ほとんどのニーズを満たすだろうと考えて2,000万(円)になさったとおっしゃったのですね。ただ、そのほとんどのニーズを満たすような額にした場合、国が出資しているという信用力が非常に強力で、お金はたくさん集まってしまうだろうと思うのですが、その辺はそれで良いのかということと、先日、大臣との懇談の席で「お金がたくさん集まったら、また(日本)国債をたくさん買えて、財政的には良いかもしれませんね」と私が申し上げたら、「そんなことをしたら詐欺ではないか」とおっしゃったのですけれども、その辺、その貯金額とか預入額がたくさん集まった場合に、国債以外に使えるような仕組みというのは、ちょっと、アイデアとしてどんなふうに思っていらっしゃるのか。
A2: 最初の質問ですけれども、今の民間金融機関には限度額がないのですよ。幾らでも預けられるわけです。それを、郵便貯金は1,000万(円)で抑えているわけです。現実、そうなっているというわけですよ。だから、「それは政府の暗黙の保証があるからだ」ということを民間金融機関の方々はおっしゃるのですけれども、そんなことを言い出したら、三菱東京(UFJ銀行)とか三井住友(銀行)とか、メガバンクというのは絶対に潰れないという絶大な信用もあるでしょう。政府の暗黙の信用と同じぐらい(信用が)あるでしょう。
農協だってそうですよね。農林中金は、そういう物凄いあれ(信用力)があります。誰も、潰れるとは思わないでしょう。だから、そういう意味の信用力はあるわけですよ。「政府が株を持っているから、郵貯については特別な信用力があるのだ」なんていったら、(もう)片方もあるわけでしょう。だから、私は、信金・信組については、「あなた方がメガバンクに比べて信用力がないのなら、『小っちゃな信用組合に1,000万円以上預けたら、万一の場合大変だ』と思う(人がいる)ことで預金が集まらないのなら、ペイオフ(限度額)を上げてあげましょうか」という話で、「それでメガバンクに対抗できる信用力をつけてあげましょうか」と(言ったら)、「結構だ」とおっしゃった。
だから、私が言っているのは、郵便貯金には、政府が株を持っているという暗黙の信用力で、預金者が預金しやすい環境があるということだけで、現実問題としては、(預入)限度額を上げるのはおかしいという議論にはならないのですね。
Q3: そうすると、ゆうちょ銀行もいつかは潰れる可能性もあるということですか。
A3: それは、物事は、形あるものは必ずなくなるのですから、それは分からないですよね。あなたや私の寿命だって、いつまでも…。だからそれは、郵貯にしたって、出資比率3分の1という形で親会社というのが存在しているということもあるし、また、同じように(預金)保険機構にも入るわけですから。それで、結局、当然ペイオフの適用も受けるわけですから。そういう意味では、金融機関と一緒ですよ。
それと、今日、前原(国土交通)大臣も言っていましたけれども、集めたお金の運用をどうするのかという問題。今、8割ぐらい(日本)国債になっているでしょう。だから、今度、この郵貯(資金量)が増えるのか減るのかは、やってみないと分からないですけれども、これをもっと地域経済のために使う方法はないのか、あるいは国全体にとって有用な使い方がないのかというようなことを…。これは、日本郵政自体が考えることですけれども、政府も株を持っているのですから、政府の立場から、「こういう展開もしたら良いのではないか」というアドバイスをする場合もあると思うのですけれどもね。
ただ、結局、齋藤社長のもとに、(日本郵政が)資金運用のノウハウを具体的に持っているかどうかが心配な点です。だから、ノウハウがないのに、権限というか力だけ与えてしまった場合は、リスクの高い商品に手を出すということだってないわけではないでしょう。そうした場合には、とんでもないことが起きるわけですから、これも、現実問題は、そういう人材養成を含めて、運用については、そろりそろりと進んでいくということをしないといけないでしょうね。
それと、やはり他の金融機関との協調。信金・信組やいろいろな第二地銀とか、そういうところとの協調の中で、そういう役割を果たしていくということも考えなければいけないと思いますね。あなたがおっしゃるように、非常に難しい分野です。
【平成22年3月26日(金)閣議後記者会見(雑誌・フリー等の記者)】
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