金融庁広報誌
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No.276


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令和8年熊本地震関連情報等

7月28日に発生した「令和8年熊本地震」及び8月13日からの千葉県の大雨に伴う災害等により亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された全ての方々に心からお見舞いを申し上げます。

金融庁では、ウェブサイト上に「令和8年熊本地震関連情報」ページを開設し、被災者の皆さまに役立つ情報を提供しています。

現在提供中の情報について、以下のとおり一部ご案内します。

令和8年熊本地震金融庁相談ダイヤル

0120-156811(フリーダイヤル)

【受付時間】平日 10時00分 ~ 17時00分

※IP電話からは03-5251-6813におかけください。

saigai@fsa.go.jp(メールアドレス)

金融庁では、令和8年熊本地震発生に際し、被災者の皆様が金融機関のどの窓口に問合せをすればいいのかということのご照会、あるいは、金融機関とのお取引に関するご相談等を受け付けるため、「令和8年熊本地震金融庁相談ダイヤル」を開設しました。

当ダイヤルはフリーダイヤルですので、金融機関とのお取引に関してご心配なことがある場合には、お気軽にご相談ください。

住宅ローン関係

今般の災害で住宅ローンなどの返済にお困りの被災者(個人)の皆様に対応するため、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を活用することにより、住宅ローンなどの免除・減額を申し出ることができます。

詳しくは、ローン借入先の金融機関等にお問い合わせください。

生命保険及び損害保険関係

災害救助法が適用された地域で、家屋等の損壊等により保険会社との保険契約に関する手掛かりを失った方の契約照会を受け付けます。詳細は、金融庁ウェブサイト等をご確認ください。

義援金等を装った詐欺への注意喚起

過去の災害・震災時には、義援金の募集を装った振り込め詐欺等が多数認められており、今回の令和8年熊本地震においても同様に、皆様の善意に乗じた卑劣な犯罪が発生する恐れがあります。義援金等を装った詐欺に遭わないよう、十分にご注意ください。

災害等に対する金融上の措置について

令和8年熊本地震

九州財務局では、日本銀行との連名で、災害救助法が適用された熊本県内の金融機関等に対して、金融上の措置を要請しました。

https://www.fsa.go.jp/news/r8/ginkou/20260729.html

令和8年8月千葉豪雨

関東財務局では、日本銀行との連名で、災害救助法が適用された千葉県内の金融機関等に対して、金融上の措置を要請しました。

https://www.fsa.go.jp/news/r8/ginkou/20260814.html

今後も随時情報を更新して参りますので、是非ご活用ください。


  • 「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインについて」(東日本大震災・自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関)https://www.dgl.or.jp/新しいウィンドウで開きます


政策解説

仕組預金に関する監督指針改正案の概要

監督局銀行第一課 課長補佐 大野 仁寛

係長 生駒 依里香

係員 庄司 真理

総合政策局リスク分析総括課決済・デジタル金融グループモニタリング室

課長補佐 末広 賢司

係長 平田 直己

※執筆者の肩書や組織名は、執筆当時のものを記載しています。

本年7月30日、仕組預金の販売に関して、監督指針(※1)の改正案を公表し、パブリックコメントの募集を開始しました(※2)。本稿では、その改正の背景、概要等を紹介します。

1.仕組預金の概要

仕組預金とは、デリバティブ取引を組み込んだ預金等であり、その性質として、通常の預金及び定期預金とは異なり、元本について損失が生ずるおそれがあります。

仕組預金の商品例としては、銀行が預入期間を延長する権利を有するもの(満期延長型)、銀行が預入期間を繰り上げる権利を有するもの(満期繰上型)、預入通貨と払戻通貨が異なる可能性があるもの(デュアルカレンシー型)等が挙げられます。

仕組預金は、主要行等、地域銀行、ネット系銀行のいずれにおいても販売されています。近時は、販売額では主要行等が最も大きくなっているものの、残高はネット系銀行が最も多く保有しています。

仕組預金の販売額・残高の推移グラフ

「リスク性金融商品の個人向け販売等の状況に関する定量データ集2025(令和7)年度9月期」より引用

2.現状の規制と課題認識

(1)仕組預金のリスク特性

仕組預金は、上記のとおり、元本割れのおそれがある点等において、通常の預金、定期預金とは異なるリスクを有するものです。

具体的には、例えば、仕組預金のうち、満期延長型は、当初期間1年の定期預金について、銀行が、最大10年等の期間で、毎年、預入期間を延長するか否かの判断権を持つものです。このような商品については、一般の定期預金等と比べて預金金利が高く満期まで保有すれば元本保証となりますが、他方で、期間が延長されている間に資金ニーズや運用方針の変更等で顧客が中途解約を行う場合には、相当水準の解約手数料が求められるおそれがあります。また、現状のような金利上昇局面では、銀行が期間延長することが想定されますが、その結果、預金者は当初約定した固定金利が長期間固定化され、上昇後のより高い金利で運用する機会を失うおそれもあります。

(2)現状の規制

このようなリスク特性を踏まえて、仕組預金は、法令において、「特定預金等」と位置付けられ、株式や投資信託などの商品に準じた規制が課せられています。具体的には、契約締結前の情報提供義務等の行為規制、損失補填の禁止、適合性の原則等の規制が適用されます。

特に、契約締結前の情報提供義務としては、契約締結前交付書面を交付することにより、顧客に対して、受入れの対象となる者の範囲、手数料の計算方法を含む解約時の取扱い、満期延長型の仕組預金にあっては銀行が期間延長をした場合に預金金利が市場金利を下回ることにより顧客に不利となるおそれがある旨等を記載しなければならないとされており、顧客保護が図られています。

(3)販売チャネルの多様化

しかし、近年、インターネットやアプリ等の普及により、販売チャネルが増加しています。そして、仕組預金を販売するウェブサイトやアプリページの表示においては、上記のようなリスクが、顧客の目に留まりやすい形で記載されていない例もあり、必ずしも顧客に十分に伝わっていないケースがあると考えています。

このような状況を踏まえて、今回、監督指針を改正し、銀行等による説明態勢の充実を図ることとしました。

3.改正案の具体的な内容

以上を踏まえて、以下のとおり、銀行等に対して仕組預金の販売における説明態勢の充実を求める改正案を公表しています。

(1)説明資料の充実

上記のとおり、仕組預金の販売にあたっては、従前より、法令に基づいて、契約締結前交付書面において、一定の事項についての記載が求められ、事前の情報提供が義務付けられています。

しかし、今回の改正では、販売チャネルの多様化を踏まえて、契約締結前交付書面のみならず、法令上作成が義務付けられる書面以外の説明資料のうち、顧客説明・勧誘等で中心的な役割を果たす商品概要資料又は重要情報シートにおいても、後述するような項目について、分かりやすい記載をすることを求めています。

(2)説明項目の充実

顧客が商品性、リスク特性を理解するうえで特に重要と考えられる項目について、具体例を提示しながら、説明を求めることとしています。

具体的には、以下の事項について、顧客の目に触れやすい商品概要資料等において、記載・説明することを求めています。

  • デリバティブが組み込まれたもので、通常の定期預金とは異なるリスクを有すること、具体的な違い

    (例)中途解約した場合には、元本割れのリスクがあること

  • 適していない顧客属性

    (例)オプション投資を行うに適した投資経験や知識が十分ではない者など顧客の具体的状況・資金の性質

  • 適している顧客属性

    (例)最大満期までに使用するニーズが見込まれない余裕資金を運用する者など顧客の具体的状況・資金の性質

  • 解約手数料の水準及びその決定要因

    (例)当該仕組預金の金利と解約時における市場金利の差などの決定要因

  • 金利の内訳・構成

    (例)オプションプレミアムの額

4.おわりに

販売チャネルが多様化する中で、リスク性商品を販売するにあたっては、様々な顧客属性、販売経路、取引目的等があることを踏まえながら、顧客が十分にリスクを理解することができるよう、資料の充実を図る必要があると考えています。

今回の改正はこのような事情を踏まえたものですが、引き続き、顧客保護が図られるよう、取り組んでいきます。

なお、本改正については、8月末のパブリックコメント終了後、所要の対応を進める予定です。

仕組預金の説明態勢等に係る監督指針の改正(概要)

  • ※1主要行等向けの総合的な監督指針、中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針、系統金融機関向けの総合的な監督指針及び漁協系統信用事業における総合的な監督指針を指す。以下同様。

  • ※2https://www.fsa.go.jp/news/r8/sonota/20260730-3/20260730-3.html


特別企画

金融庁の組織再編について

金融庁の組織再編について

金融庁では、金融機関に対する監督や金融関連制度の企画・立案など様々な業務に取り組む中、「資産運用立国」の取組を更に発展させることをはじめとする重要政策への対応、金融分野におけるデジタル技術の進展への対応、金融機関に対するモニタリングの高度化など、金融行政上の新たな課題も生じています。

そこで、 これらの課題に対応するため、本年夏に金融庁の組織再編を行い、監督局の所掌範囲が過大にならないよう適正に見直すことにより、きめ細かく効率的・効果的な監督業務を進めていくための環境を整えることとしました

以下では本年8月の組織再編のポイントをご紹介します。

1.各分野のビジネスの発展やイノベーションの促進を図り、それぞれの監督・モニタリングの高度化を進める

これまでの総合政策局を「資産運用・保険監督局」に再編し、近年重みが増す資産運用業及びアセットオーナーでもある保険業に対する監督の連携強化を行います。

次に、監督局を「銀行・証券監督局」に再編し、銀行業・証券業の実態を踏まえた、グループベースでの監督の高度化を図ります。

加えて、マネー・ローンダリングや金融機関へのサイバー攻撃への対応等といった専門的横断テーマを担当し、両監督局と連携して業務を行う総括審議官を、「監督総括審議官」に名称変更を行い、役割の明確化を行いました。

2.金融庁が不断に進化し続けるための体制を強化する

「資産運用・保険監督局」及び「銀行・証券監督局」の設置に伴い、これまで総合政策局で担ってきた全庁的な金融行政の立案・総合調整機能については、新たに官房部門を担当する次長(局長級)を設置し、ここで担うこととしました。

また、既存の参事官(課長級)を課長に名称変更する形で、国際課、信用課、郵政金融課、資金決済課、暗号資産・ステーブルコイン課を新たに設置しました。

なお、これらの組織再編については、金融庁組織令の一部を改正する政令(令和八年政令第二百四十六号)等に基づき行うものであり、本年8月7日に施行しました。

金融庁としては、こうした組織体制の見直しも進めながら、金融・経済を巡る環境が目まぐるしく変化する中において、質の高い金融行政サービスを提供し続けられるよう、引き続き取り組んでまいります。

図表 組織再編の概要



連載企画:金融庁職員が語る!金融行政の実務
~資産運用立国編③~

金融庁の組織や実務について、幹部職員や担当職員との対談を通してわかりやすく紹介します。6月号・7月号に引き続き、家計、金融商品の販売会社、資産運用会社、アセットオーナー、企業等のインベストメントチェーンを構成する各主体に向けた様々な施策を実施し、日本経済の成長と国民の豊かさの向上を目指す「資産運用立国」の取組みについて掘り下げていきます。今回が資産運用立国編の最終回となります。

※本対談記事は、2026年7月以前に実施した対談や公表内容に基づき作成しており、参加者の肩書や組織名は、対談当時のものを記載しています。

<対談企画の参加者>

服部 孝洋
東京大学金融教育研究センター特任准教授
八幡 道典
金融庁総合政策局審議官
中村 香織
金融庁企画市場局市場課市場企画室長
宮内 文
金融庁監督局資産運用課資産運用企画室課長補佐

2026年版の資産運用サービスの高度化に向けたプログレスレポート

宮内

今年7月に公表した「資産運用サービスの高度化に向けたプログレスレポート2026」では、資産運用サービスの更なる高度化に向けて、業界において長年課題として指摘・議論されてきたテーマにくわえ、これまで取り上げてこなかった新しいテーマを幅広く取り上げつつ、詳細な実態把握を心掛けました。

いくつかご紹介すると、まず、「資産運用業務・資産管理業務」の高度化について、前回、基準価額の一者計算をはじめとする論点をご紹介しましたが、レポートでは今後の方向性として、資産運用会社が運用に専念できる環境を整備していくため、事務処理等は信託銀行等に集約するなど、関係者間で適切な業務分担を行い、関係業界・金融庁が連携して、業務の効率化・合理化を進めていく必要があるとしています。また、今後の関係業界での検討の基礎材料となるよう、①資産運用会社から信託銀行への指図等、 ②投資信託の計理、③資産運用会社から販売会社やアセットオーナーへの運用報告等(レポーティング)に関する実態把握結果を整理していますが、資産運用会社・資産運用会社から事務の委託を受ける専門会社・信託銀行・システムベンダー各社に提供いただいた多数のデータや意見を踏まえ、実態を可能な限り詳細に示すよう努めました。

また、新たなテーマとして、プライベート・エクイティファンド(PEファンド)の資金調達上の課題や投資家サイドから見た投資環境の課題も取り上げています。企業の事業再編等が活発化し、大型のM&A案件も増加する中で、外資系PEファンドだけでなく、日系PEファンドも大型案件に対応可能なファンドへと成長していくことが期待されます。今回、ファンド規模500億円以上のPEファンドや国内の主要な投資家への多数のヒアリング等を基に現状や課題を整理しており、本レポートが、日本のPE市場の発展に向けて官民双方で取り組んでいくための一助になればと考えています。

図表1 資産運用サービスの高度化に向けたプログレスレポート2026について

市場課とプロダクトガバナンス

服部

中村さんは、そもそもなんで金融庁を選ばれたのでしょうか。

中村

私は元々公務員になろうとは考えていませんでした。就職活動を始めた頃に業界を決めずにいくつかの企業の話を聞いてみました。その中で、どの業種でも省庁が様々なルールを定めていることに気づき、自分の性格的にはルール作りに関わるほうが向いているように感じました。その中で受けたのが金融庁でした。金融は、動きが一番早そうな分野に見えたというのが1つの理由です。

服部

ルールを作るという話がありましたが、宮内さんには、監督という観点で資産運用についてお話をしてもらいました。中村さんが所属している市場課が、企画や法令改正を担当していると思います。企画市場局については新発田審議官などにご参加いただいた第1回でその概要をお聞きしました

中村

写真:中村室長

おっしゃる通り、市場課では、金融市場関係の企画・法令改正等を担当しています。前事務年度は暗号資産に関する法改正を行っています。私がいる市場企画室では、暗号資産の法改正のほか、「顧客本位の業務運営」を担当しています。私たちが安心して金融商品を購入するうえでは、金融商品やサービスの組成・販売などを行う、全ての金融事業者が、顧客本位の業務運営に努めていただくことが重要です。

図表2が「顧客本位の業務運営に関する原則」をまとめたものです。7つの原則により構成されています。

最近の取組の1つに、プロダクトガバナンスがあります。顧客の最善の利益にかなった商品提供を、製造(組成)・販売側が一体となって確保することを目的としています。

問題意識としては、金融商品を購入した投資家側の情報が、証券会社等の販売会社側にあり、商品を作る運用会社側になかなか共有されていないことがあります。例えば、食料品などでは、製造者が想定するターゲット層に売れているか、実際の購入者層はどういった人たちかについて、「売っているのはスーパーなのでわかりません」ということはあまり考えられないと思います。一方、投資信託(ファンド)では製造者と販売者の情報共有が進んでいないので、これを進めていこうということです。

そこで、運用会社および販売会社の間で情報連携をすることによって、想定する顧客属性と、実際に商品を購入した顧客属性が合致しているかを検証する取組を始めました。今年の6月末で、まずは両者の情報連携が一周したところですので、今後、より効率的な情報連携の在り方や、金融商品の組成や販売の改善に向けた検討を行っていくフェーズに入ります。

図表2 顧客本位の業務運営に関する原則

図表3 製販全体として顧客の利益にかなった関係の構築に向けて

服部

プロダクトガバナンスという表現はよくプログレスレポートに出てくるのですが、ソフトローですよね。

中村

はい、そうです。強制的なルールで1本の線を引くと、じゃあこれだったらいいんですか、あれだったらいいんですか、といった話になりがちです。そうした整理も時に必要ですが、「顧客本位の業務運営」で求められる、1人1人の顧客にふさわしいサービスを提供するという観点からは、そうした規制の仕方は必ずしも実態に合わないと思います。

服部

こういう取組は、資産運用立国を進めるうえで課題が認識され、導入されたものなのでしょうか。

中村

資産運用立国の中では、「家計の安定的な資産形成」も重要な柱の1つですが、そもそも、資産運用業界全体として、より良いサービスを提供していくためは、健全な競争が進んでいくことも必要だと思います。金融庁の果たせる役割は、投資家保護を前提としつつ、しかるべき環境を整備するということだと思います。

服部

顧客本位の業務運営に関しては、他にどのような取組がありますか。

中村

顧客本位の業務運営に関する最近の取組は、図表4のとおり、「顧客の最善利益を勘案した誠実公正義務」の法定化、「プロダクトガバナンスに関する原則」の策定、利益相反の可能性の情報提供のルール化があります。

図表4 顧客本位の業務運営確保に向けた直近の取組

服部

不正販売などに関するモニタリングはどのような体制になっているのでしょうか。

中村

総合政策局、組織再編後は銀行・証券監督局のコンダクト企画室と、監督局の各業態の所管課が担当しています。私が所属している市場課は制度を担当していますが、業態をまたいだ横断的なモニタリングについてはコンダクト企画室で行っています。7月には、2025事務年度のモニタリングの結果をデータ集と併せて公表しています

八幡

我々としては、金融商品の手数料の絶対的な適正水準については判断できません。どのような分野でもプロの世界がありますが、資産運用の分野でもプロがいます。そのプロがサービスを提供する対価として、相応の手数料を受け取ることは正当だと思います。それが顧客にとって見合っているのであれば良いわけです。一方、例えば、顧客に対して回転売買を勧めてその都度手数料をとるような形では、決してプロの仕事に対する適正な対価とは言えません。また、そのようなビジネスモデルでは業界は持続可能ではないのではないかと疑問をもちます。そのため、行政当局としては、「その仕事、その提案、その手数料の水準は顧客本位の観点から適正ですか?」と問いかけをし、金融機関サイドも自信をもって、「これは顧客のためにプロとしてこういう仕事をし、こういう対価を受け取っている」と説明できる形であることが大切なのだろうと思っています。

服部

今回参加している方は、内閣官房と併任している方が多い印象です。内閣官房などの経験は今の業務にどう生きているのでしょうか。金融庁以外で仕事をすることの意味はなんでしょうか。

八幡

内閣官房は、資産運用立国のような金融庁だけではなく政府全体が関係するテーマを扱う場合に、司令塔としての役割を担います。民間企業でも、会社全体で行う社長直轄のプロジェクトの場合には、社長室にプロジェクトチームを置いたりすると思いますが、内閣官房は社長室に当たります。そういう立場での経験は、行政官としてとても意味のあることだと思います。金融庁の職員としてのスキルアップの観点で、私は、内閣官房はもとより、色々な省庁に出向する経験を増やしてもいいんじゃないかと思っています。他の組織での経験に加え、金融庁の外から金融庁をみることで、より金融行政を俯瞰できますし、他省庁とはどういう形で連携していけばいいかということも理解できます。金融庁も人手不足なので容易ではないのですが、もう少し余裕があれば、海外勤務の経験などもできたほうが、さらに金融庁の業務を深く理解できるとおもいます。

ずっと金融庁から動かずに専門性を高めた方が良いという意見もあるのですが、それは程度問題ですね。特定の知識に詳しい行政官も必要ですし、知識は多いに越したことはありませんが、様々な経験、視点を持った行政官が組織としては重要です。とりわけ幹部職員には、バランス感覚が重要になってくると思います。とはいえ、さすがに、一年単位でくるくる異動するのはやめた方がいいなとも思います。課長や審議官も三年くらいは継続してやった方がよいこともあります。幅広い経験を積むためには、色々と経験した方が良いとも思いますので、悩ましいところですが、あくまでもバランスをとった人事、人員配置が大切だということだと思います。

服部

このテーマの最後として、今後の資産運用分野をどのように考えているか、どのようなことを期待したいかなどについて、一言お願いします。

八幡

今年7月、内閣官房から、資産運用立国実現プランをグレードアップした新たな金融戦略を公表しました。この戦略には、資産運用部門の更なる発展に向けた野心的な施策案が多数盛り込まれています。

高市内閣が進める「強い経済」の実現に向けて、金融分野には、成長資金の供給という極めて重要な役割が期待されています。そのためには伝統的な銀行、証券、保険といった分野の機能発揮も重要ですが、加えて資産運用部門への期待はとても大きいです。この分野は、悪く言えば、世界に少し出遅れた分野で、ベインキャピタル、カーライル、ブラックストーンといった海外勢が日本国内でも活躍しています。他方で、よく言えば、この資産運用業界自身が有望な成長産業の一つですので、今後、世界に伍していくような国産の資産運用企業が出現してくることが期待されています。金融庁のみならず、政府全体で、この分野を盛り上げることにより、我が国の金融業界全体が大きく発展し、ひいては日本経済の発展、成長につながるものと確信しています。



お知らせ

金融庁のバージョンアップの取組
~金融の信頼を守り、明日への挑戦を(ひら)く。~



はじめに

長官直轄チーム「金融庁20年委員会」(2025年8月設置)が中心となって、5年後、10年後、20年後も質の高い金融行政サービスを提供していく、進化し続ける金融庁を実現するための取組を検討してきました。2026年8月、その取組の概要を取りまとめ、公表しました

目標の共通理解

金融庁を絶えず自己変革できる組織にするためには、金融庁内で金融行政の目標の共通理解を深め、日々の業務の原点を見つめ直すことが重要です。

その取組の一環として、金融行政の目標を職員がより身近に感じる契機となるよう、金融行政のスローガン

「金融の信頼を守り、明日への挑戦を(ひら)く。」

を策定しました。

スローガンの策定にあたっては、金融行政の目標等に関する全庁的な議論の結果を踏まえて検討を重ね、複数回の職員アンケートも実施しました。

このスローガンは、金融行政が目指す、

  • 金融システムの安定、利用者保護、市場の公正性・透明性(いわゆる「守り」)の側面と、
  • 金融仲介機能の発揮、利用者利便、市場の活力(いわゆる「攻め」)の側面

の両立を表現しています。

金融行政のスローガン「金融の信頼を守り、明日への挑戦を拓く。」

金融行政のスローガン

金融は、個人や企業、そして社会全体の営みを支える基盤です。
金融の信頼があるからこそ、お金のやりとりに安心が生まれます。
日々、世界が複雑に変化する中でも、私たちは、金融の信頼を守り続けます。

この信頼をもとに、便利で多彩な金融が行き渡る社会を追い求めます。
個人や企業が、身近な一歩から世界への飛躍まで、将来につながる挑戦に
踏み出せるよう、私たちは挑戦を続けます。明日への挑戦を拓きます。

その先にある、持続的な経済成長や安定的な資産形成――
そして一人ひとりが明るい未来を描ける社会を、私たちは実現していきます。

スローガンに込めたメッセージ

人材育成・働く環境の整備

こうした金融行政のスローガンに込められた目標を達成するため、以下の人材育成と働く環境の整備に関する取組を進めていきます。

以下の取組も含め、金融庁のバージョンアップの取組を進めることにより、絶えず自己変革し、質の高い金融行政サービスを提供し続けます。

人材育成
専門性の向上 知見の蓄積・継承や新たな課題への対応を図るため、検査官人材育成チームを設置し、検討を開始した。
他分野も含め、専門性の高度化をさらに進める。アカデミアとの連携を深める。
キャリア形成 人事異動の理由説明の充実を図った。
人事担当者のスキルアップを図り、職員との対話を充実させる。人事評価のフィードバックを強化する。
マネジメント 幹部向けマネジメント研修の充実を図った。
対象者や研修内容を拡充し、実施時期を前倒しするなど、 さらに高度化する。
働く環境の整備
業務効率化 職員からの疑問や質問に、生成AIを活用して回答する支援システムの提供を行った。
職員のニーズに 応じたツールの開発をさらに進める。
柔軟な働き方 育休明け職員や育児中職員間の交流イベントを開催し、ライフステージに応じた働き方に関する情報共有や職員同士のネットワークづくりを促した。
サテライトオフィスを8月より導入する。
コミュニケーション 金融庁のバージョンアップの取組に関する対話を全庁的・集中的に行った。
幹部・職員間、課室単位、少人数グループ単位などの意見交換や庁内外への情報発信をさらに充実させる。
全職員が参加可能なチャットを開設し、課室を超えたコミュニケーションを促進する。
※政策評価有識者会議や金融行政モニターなどの外部有識者のご意見を引き続き金融庁のバージョンアップに活かしていく。
オフィス改革 執務室のレイアウトやデスクの刷新など、オフィス改革を進めた(直近では6月に実施)。
この取組を金融庁全体に広げる。


金融庁こども霞が関見学デーの開催



7月29日、30日の2日間にわたって、「こども霞が関見学デー」が開催されました。

本イベントは、文部科学省をはじめ、霞が関に所在する各府省庁等が連携し、所管の業務説明や関連業務の展示等を行うことにより、夏休み期間中に子どもたちに広く社会を知ってもらうこと、政府の施策に対する理解を深めてもらうこと、活動参加を通じて親子の触れ合いを深めてもらうことを目的とした取り組みです。

金融庁も例年、主に小学生を対象としたイベントを開催しており、今回は、お金の役割や大切さを子どもたちに分かりやすく実感してもらうため、小学校高学年・中学生と小学校低学年に対象を分けた金融経済教育講座などのプログラムを実施しました。

1.「金融庁のお仕事案内」

金融庁の仕事を子どもたちに知ってもらうため、小学校高学年・中学生の参加者に向けて、久米広報室長(肩書はイベント開催時点)による業務説明を行いました。お金の流れや金融庁の仕事について、身近な話題も交えながら子どもたちに伝えました。

2.金融庁クイズ

小学校低学年の参加者は、ワニーサから出題される、金融庁やNISAに関するクイズ6問に挑戦しました。

全問正解者へ贈呈される記念品を目指し、保護者の方と相談しながら正解を予想し、真剣に取り組んでいただきました。

写真:金融庁のお仕事案内の模様

写真:金融庁クイズの模様

3.金融経済教育講座

金融教育を専門的に行っている「キッズ・マネー・ステーション」による金融経済教育講座を実施しました。今回は、小学校高学年・中学生向けとして「世界のお金・日本のお金」、小学校低学年向けとして「キャッシュレスでおでかけ体験」を行いました。

キッズ・マネー・ステーション新しいウィンドウで開きます

子どもたちが物やお金の大切さを知り「自立する力」を持つようにという想いで設立された団体。全国に約300名の講師が所属し、自治体・学校などで、お金教育・キャリア教育の講座実績が多数。

「世界のお金・日本のお金」

―炭多翔太講師・宮内裕子講師―

「円高・円安になったらハンバーガーはどうなる?」というテーマでワークに取り組み、為替について楽しく学びました。

また、諸外国のお札を用いながら、世界にはさまざまな通貨があることや、それぞれの通貨の価値が変動する仕組みについて、丁寧に教えていただきました。

「キャッシュレスでおでかけ体験」

―北村由紀講師・肥後紀子講師―

講師によるお芝居では、キャッシュレス決済はお金の動きが見えにくいため、計画的に利用することの重要性を教えていただきました。

また、ワークを通じて、電子マネーやデビットカード、クレジットカードについて、それぞれの特徴や支払いの仕組みを楽しく学びました。

写真:「世界のお金・日本のお金」の模様

写真:「キャッシュレスでおでかけ体験」の模様

4.金融庁大臣室・審判廷見学ツアー

金融庁内の見学として、参加者を金融担当大臣の執務室である大臣室と、金融商品取引法等違反に関する審判手続を行う審判廷にご案内しました。大臣室では、子どもたちだけでなく保護者の方も、大臣の椅子に座るなどして、楽しんで記念撮影をしていました。

写真:大臣室見学の模様

写真:審判廷見学の模様

5.特別企画

(1)片山大臣・岩田副大臣ご挨拶&質問コーナー

特別プログラムとして、29日には岩田和親内閣府副大臣(金融担当)、30日には片山さつき金融担当大臣に会場へお越しいただき、参加者に向けてメッセージを頂戴しました。

また、「大臣・副大臣に質問がある人?」の呼びかけに、子どもたちの手が続々と上がりました。片山大臣と岩田副大臣は、子どもたちから次々と飛び出す無邪気な質問に率直かつ丁寧に答えつつ、一人ひとりと丁寧に向き合い、和やかな交流の時間となりました。

写真:子どもたちからの質問に答える片山大臣

~子どもたちから片山大臣への質問~
  • どうすれば大臣になれますか?
  • 一番大変な仕事は何ですか?

写真:子どもたちからの質問に答える岩田副大臣

~子どもたちから岩田副大臣への質問~
  • 副大臣でよかったことはなんですか?
  • 小学生はどういうお金の勉強をすればいいですか?
(2)大臣・副大臣との記念撮影

子どもたちは、大臣・副大臣と金融庁公式キャラクターの「ワニーサ」と記念撮影を行いました。普段なかなか接することのできない大臣・副大臣との交流に、子どもたちは少し緊張しながらも終始笑顔を見せていました。

写真:大臣と子どもたちの記念撮影

写真:副大臣と子どもたちの記念撮影

6.体験コーナー

1億円や金塊のレプリカなどが用意された体験コーナーでは、実際に持ち上げた子どもたちから「重い!」という声が聞かれました。

また、お金に関するたくさんの本や世界中のお札を興味深そうに眺めており、楽しみながら金融への理解を深めている様子が伺えました。

写真:体験コーナーの模様①

写真:体験コーナーの模様②


金融経済教育全国キャラバン
~ワニーサと学ぶ 未来のためのお金の教室、日本全国ごあいさつの旅! vol.16~



7.25千葉イベントの模様

写真:イベントの様子①
写真:イベントの様子② 写真:イベントの様子③

9.12大阪イベントの開催

  • 日時:令和8年9月12日(土曜) 10時00分 ~ 16時30分(予定)

  • 会場:ららぽーと門真 (大阪府門真市松生町1番11号)
    1F センターコート

  • 出演者:もりやすバンバンビガロ、スマイル、酒井藍、ラニーノーズ、おばたのお兄さん、安部若菜、平山真衣(NMB48)、MC:UK、祇園

  • 主な内容

    • ステージショー
      • *ワルーサ襲来!?お金の知識で世界を平和に!?

      • *学ぼう!お金の知識 みんないっしょに幸せ家族

      • *うんこお金ドリル 生活編(推奨学年:小学1~3年生)

    • ミニ講義プログラム
      • *マインクラフトで学ぶークエスト・オブ・ファイナンス~勇者の武器はお金の知識~
        [SMBCグループ提供]*NOT OFFICIAL MINECRAFT PRODUCT.NOT APPROVED BY OR ASSOCIATED WITH MOJANG

      • *うんこお金ドリル 経済編(推奨学年:小学4~6年生)

また、当日会場には、協力企業・団体によるお金に関する様々なブースをご用意しています!

ワニーサとなかまたちも来るよ!

うんこ先生

うんこ学園の校長先生。
子どもたちに問題の解き方を分かりやすく教えてくれる。

ワニーサ

金融庁からやってきた金融経済教育推進担当の参事官。
資産形成を応援する制度、NISAの広報担当もしているよ!

とうしくん

ほのぼのとした外見ながら、勉強熱心で今後大きく成長する期待大!

*詳細はイベント公式サイトをご覧ください*
https://wanisa-caravan.fsa.go.jp/event/osaka/新しいウィンドウで開きます

ワニーサが行く日本全国ごあいさつの旅

前回に引き続き、 ワニー参事官(ワニーサ)が全国の知事や金融関係者のもとへ出向き、金融経済教育のさらなる充実に向けた連携強化をお願いしております!

随時ワニーサ公式Xアカウント(@Wa_nisa_FSA新しいウィンドウで開きます)にて配信中!

入江 鳥取銀行頭取を訪問(8月12日配信新しいウィンドウで開きます

中澤 北陸銀行頭取を訪問(8月13日配信新しいウィンドウで開きます

これまでたくさんの地域で
金融経済教育推進の活動をしてきたよ!

「金融庁ワニーサの金融経済教育」新しいウィンドウで開きます
Webサイトも見てね!

ワニー参事官の名刺画像
ワニーサ全国旅マップ

つみたてNISA公式Xアカウント(新しいウィンドウで開きます)

先月の金融庁の主な取組(令和8年7月1日~7月31日)


金融庁職員による寄稿等

金融庁では、当庁施策の紹介や説明を含め、その活動状況等について、各種刊行物等への執筆を行っており、ウェブサイト上で公表しています。本稿でもその一部について掲載いたします。

~最近掲載された寄稿等のご紹介~

※執筆者の肩書や組織名は、執筆当時のものを記載しています。

その他の寄稿等についても、金融研究センターウェブサイト新しいウィンドウで開きますを是非ご覧ください。


編集後記

アクセスFSAをご覧頂きありがとうございます。8月7日付で広報室長に着任しました小澤です。まずは令和8年熊本地震及び令和8年8月千葉豪雨により亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された全ての方々に心からお見舞いを申し上げます。被災者の皆様に役立つような、現在提供中の関連情報についても冒頭のページに一部ご案内しておりますので、必要に応じてご参照ください。

普段より1か月ほど遅い異動となりましたが、広報室も新しい体制の下、金融庁の施策等の金融行政の情報をしっかりとわかりやすく皆様に伝えるという使命を果たしていきたいと思います。

8月7日には、新たに生じている金融行政上の新たな課題にきめ細かく対応できる環境を整えるため、金融庁は組織再編を行いました。また、組織再編だけでなく、金融庁自体のバージョンアップのための取組として、金融行政のスローガンを公表するとともに、そのスローガンに込められた目標を達成するため、人材育成と働く環境の整備に関する取組を進めていきます。今月号のアクセスFSAでは、これらの金融庁にとって重要な内容を記事として取り扱っています。

さらに、連載企画である服部特任准教授と金融庁職員の対談は、今回で重要政策の一つである「資産運用立国」編の最終回を迎えます。

アクセスFSAを通じて、多くの皆様に金融庁の政策や組織を知って頂き、また、政策に携わる金融庁職員の思いも伝えられるよう、コンテンツの充実に取り組んでまいります。

金融庁広報室長 小澤 裕史
編集・発行:金融庁広報室

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