若手の社会人(1年〜3年目)に対する資産形成のアドバイスをしていただくため、金融庁で開催している個人投資家との意見交換会、つみたてNISA Meetup(略してつみップ)にゲストとして何度もご参加いただいている投資ブロガーの虫とり小僧さんにお越し頂き、金融庁若手(入庁1年〜3年目)との座談会を開催しました。その模様をまとめたもので、今回は第4回。複数回に分けて掲載予定です。
※ 参加者のコメントは、個人的見解に基づいて書かれたものであり、当庁の見解、意見等を示すものではありません。
「投資」に興味はあるんですが、ハイリスク・ハイリターンのイメージが強いです。それと、iDeCo(イデコ)がいいらしいというのは聞くのですが、正直勉強する時間もなくて。。それでいつのまにか時間が過ぎて、結局何もできていないというのが現状です。
金融庁の職員さんとの座談会ということで、かなり気合いを入れてきたのですが、本当にヨッシーさんは普通の方ですね(笑)
すみません。。(心の声:あれ、もしかして私、ディスられてる?)
いえいえ、謝らないでくださいよ。世の中の圧倒的多数派はヨッシーさんみたいな人でしょうし、むしろこの座談会の様子を記事にして読んでもらいたいのはそういう「普通の人」だと思うので、この企画にフィットしてて、いい感じですよ!素晴らしいですって!!
ありがとうございます。(心の声:なんか微妙な褒められ方だけど、ま、いっか♪)
さて、ヨッシーさんから、iDeCo、つまり個人型の確定拠出年金の話もありましたが、その話はちょっと後回しにして、まずは「投資はハイリスク・ハイリターンのイメージが強い」ということについて取り上げてみましょう。
ところで、アスカさんやマツモさんも、やはりそういうイメージを持っていますか?
私は担当部署で少しだけ投資の勉強をしたので、投資といっても色々なものがあることを知っています。でも、それまではヨッシーさんと同じようなイメージを持っていました。
へえ、そうなんだ。(心の声:チッ、なんなの、この子、いい子ぶっちゃって)
僕はヨッシーさんと同じです。投資って聞くと、どうしてもギャンブルみたいなイメージがありますね。
だよねえ!(心の声:あら、マツモくん、なんてかわいいの!)
そういえば先日、投資サークルの大学生たちと意見交換する場を金融庁が設けてくれて、私もゲスト参加したのですが、その懇親会で彼らから寄せられた質問は、ほとんどが仮想通貨に関するものでした。仮想通貨関連のニュースやCMはよく目にするので、身近に感じるのかもしれません。
たしかに。。
ただ、そういう身近な投資に関する情報って、仮想通貨に限らずたいていは大儲けか大損のどちらか。ほんの数ヶ月で数倍になったり、数分の一になったりするような投資はやはり「ハイリスク・ハイリターン」だと思います。そりゃあ、投資イコール=ギャンブルみたいなイメージになりますよね。
でも、なんでまともな投資に関する情報って少ないんでしょうか。
コツコツと積立て投資を実践して、少しずつ資産形成に取り組むなんてニュースは、面白みがゼロ、ハッキリ言って超ツマラナイ。しかも、そういう投資をするための金融商品って利幅がメチャクチャ少ないので、多くの金融機関はあまり熱心ではありません。だからCMだって流れない。まあ、彼らも利益を出すのが仕事ですから。
・・じゃあ、私みたいな未経験者はどこで投資に関する情報を仕入れたり、金融商品を見つけたりすればいいんですか。
ヨッシーさん、そこで、金融庁の厳選したつみたてNISA対象商品ですよ。まずはあの投資信託の中から選んでみればいいと思います。
あ、そっか。そうですよね!
灯台下暗し(笑)
日本では6000本以上の投資信託が売られていますが、つみたてNISA対象商品にはボッタクリみたいなヒドい金融商品はありません。しかも「長期・積立て・分散」投資に適した低コストの商品158本(平成30年8月20日現在)に限定されています。当然、私もつみたてNISAを利用してまっせ。
(出典)金融庁「つみたてNISA Meetup」資料より
え?虫とりさんも??(心の声:10年以上投資経験があっても、やることは初心者と同じなんだ)
はい、税制優遇もあるし、株式や債券なんかの期待リターンはプラスであるという前提を持てる人であれば、使わないともったいないですから。
ただ、リスク性資産への投資なので元本保証はないですし、一時的には半減するくらいのこともある、というくらいの覚悟は必要かもしれません。
(一同 青ざめる)
は、半減!?(心の声:やっぱ投資なんてするもんじゃねーな)
実際、2008年のリーマンショック後は、私の投資しているリスク性資産、つまり投資信託もそのくらいになりましたよ。しかも、元本割れの状態はおよそ5年間も続きました。リスク性資産に投資するっていうのはそういうことなんですよ。でも、そこで投資をやめずに続けてきたからこそ、現在トータルではそこそこのリターンになっているわけです。
(出典)金融庁「つみたてNISA Meetup」資料より
そっか、下がったときにも積立てを続けていれば、安く仕込むことができるってことですね!(心の声:やっぱ暴落時に仕込んでこそ、漢だよな)
はい、一時的に大きく下げたとしても、循環的にまた上がってくる投資対象であれば、ね。
で、でも……元本保証がないって聞くと、どうしても投資するのを躊躇ってしまいます。
その気持ち、よ〜く分かります。私も預貯金だけの世界から飛び出すときは、めっちゃビビりましたから。汗水流してやっとこさ得た「虎の子」を元本割れのリスクに晒すんですから、そりゃあ当然の感情ですよね。それに、必ず儲かるかどうかも分からないわけですし。
(一同 うなずく)
ただ、私はビビると同時に、このまま将来にわたってずっと「円」による預貯金だけしか持たずにいることにも不安を持っていました。
手持ちの資産がある場合、もしくは少しずつお金が増えていくようなキャッシュフローの生活ができている場合、自分のお金は必ずどこかになんらかの形で置いておく必要があります。我々は経済との関わりは避けられないのです。
なるほどですね。(心の声:なんかまた理屈っぽくて小難しい話になってきたぞ)
今後、本当に世界経済の成長や株価の上昇が続くのかどうかは、正直、分かりません。ただし、もしもそうであった場合に、その恩恵を受けられる状況にしておくか否か、または日本経済や円が弱くなってもある程度は対応できるようにしておくか否かという話です。
(出典)金融庁「つみたてNISA Meetup」資料より
投資には、資産防衛というかリスクヘッジというか、保険みたいな要素もあるということですか。
そのとおり。つまり、一切投資をしない、というのは、ある方向に全力でベットしているようなものだと解釈することもできるのです。日本「円」への一点集中投資であると。
例えば将来、円安になるのか円高になるのかは分かりませんが、円だけしか持っていなくて、今後じわじわと円安方向に為替が動き続けたら、困ったことになるかもしれませんよね。輸入品とかがメッチャ値上がりしたりして。
でも、そんなこと言われても、為替とか将来のことなんて分からないし。。
もちろん、何かに全力で賭ける必要はありません。
自分の金融資産のうち、余裕資金だけをリスク性資産に投資するとか、1〜2割だけにしておくとか、毎月1万円からとか、試しにほんのちょっとだけ、なーんてのもOKなのです。
そっか、たしかにそうですよね。(心の声:毎月1万円くらいなら私にもできるかも)
世界経済の成長は続くとは思いますが、ひょっとしたらそうはならないかもしれない。でも、判断は必要だから、どっちの可能性の方が高いのかを考えて、それを資産配分に反映させておく……てな感じでしょうか。その結果として、投資をしない判断だって、もちろんアリ。ちゃんと自分の頭で考えてみることが大切だと思います。
ちなみに私の金融資産は、だいたい半分がリスク性資産です。
え!そんなに!?
まあ、私は社会人になったばかりの皆さんよりもおそらく金融資産は多いので、そこそこリスクを取ることが可能ですし、値動きにも慣れているので。ただ、理解も納得もしていないのに真似しちゃダメですよ。それだと、きっと続かなくなってしまいますから。
少しは勉強して、一歩くらいは踏み出さなきゃって気持ちになってきました。
投資は自己責任ですが、自分の資産の一部を世界中の優良企業の株式がパッケージされた投資信託にしておいたりするのは、やっぱり預貯金オンリーよりも良さそうだよなぁ、と私は思いますよ。それに、つみたてNISAなら、ほぼそういう商品だけがラインナップされていますし。
(一同 うなずく)
皆さんがどう考えて、その考えをどう自分の資産配分に反映させるようにしたのか、いつかまたそんな話ができたら面白そうですね。