つみップオンライン

つみップオンライン要旨その1

金融庁では従来からつみたてNISA Meetup(つみップ)を開催し、ブロガー、FP、一般投資家の皆さんと触れ合う機会を設けてきました。今回は、試行的につみップをオンラインで開催しました。

【パネリスト紹介】

山崎元さん

経済評論家。雑誌、本、セミナーで資産運用について発信。

虫とり小僧さん

15年前から手間やコストをかけずに投資をしている。「いつか子供に伝えたいお金の話」管理人。

吊られた男さん(つらおさん)

投資信託を使った低コストインデックス投資で資産形成をしている。「吊られた男の投資ブログ」管理人。「庶民のためのズボラ投資」著者。

※ 参加者のコメントは、個人的見解に基づいて発言されたものであり、当庁の見解、意見等を示すものではありません。また、発言は、実施日(2020年5月14日)の情報をもとにしたものです。

【金融庁プレゼンテーション】

  • ・つみたてNISAの認知度は、2017年37%、2018年50%、2019年は60%と向上しています。今後もより多くの人に「つみたてNISA」という名前を知ってもらえるよう、制度の内容を含め周知に力を入れていきたいと考えています。

  • ・つみたてNISAの口座数は、2018年50万口座から2019年には188万口座となっています。皆様のおかげで、認知度も口座数も増えてきています。今後も資産形成を行う人が増えることを期待しています。

  • ・足元の市場環境は、日米株式市場ともにピークから30%程度下落し、半分ほど戻った状況です。つみたてNISA制度が始まって以来、初めての大きな市場の混乱だったと思います。こうした状況では、投資家の投資への意欲が低下するのではないかと懸念していましたが、投資信託市場の資金流出入を見ると、今年1-3月は資金の流入超となっています。

  • ・長期積立分散投資の効果についてですが、1990年1月の日経平均のピークの翌月から2020年3月まで、毎月1万円ずつ日経平均に積立投資を行った場合のシミュレーションを行いました。その結果、今年3月の市場下落局面を含めても、投資総額363万円に対して、現在472万円とプラスの結果になっています。こうしたデータからも、資産形成を長期的な視点で行うことが大事、との原則は引き続き有効だと考えられます。一時的に積立投資が難しくなったり、取り崩さざるを得なくなった方もいらっしゃるかもしれませんが、皆さんも長い目で判断していただければと思います。

【山崎元氏プレゼンテーション】

投資の考え方

  • ・お金の3つの自由:お金には使途の自由、大きさの自由、形の自由があります。初心者かベテランか、若いか高齢者であるか、サラリーマンか富裕層か、そういったタイプ・属性と運用方法は、本来関係ありません。タイプ別に運用方法や運用商品を提案されることがありますが、金融機関が手数料の高い商品を売ろうとするための理由付けに過ぎないと思います。正しい運用方法を一つだけ知っていればいいわけですね。

  • ・投資の意味:全ての人が投資をする必要はなく、リスクを取って資金を提供するとそれが有利に働くと考える人が投資をすればいいです。有利だと思わない人は投資しないで、一生懸命働いてお金を貯めて計画的に取り崩せばいい。まあ、投資が有利な場合が多いのではと考えていますけど。投資の意味は資本を提供して社会に参加させて稼ぐということです。働かないでお金に働かせて稼ぐという人もいますが、それは適切な説明じゃないと思いますよ。株式を買って企業の将来の利益からリターンを得るわけですが、利益が得られるかどうかは分からないのでリスクを取っている。そのリスクが投資の利益の見返りと考えられています。

  • ・投資の3原則:どうやって投資をしたらいいかは3原則があります。長期、分散、低コストで投資しましょうということ。長期投資が望ましい理由ですが、そもそも投資とは、生産活動にお金を参加させて、生産活動の果実からリターンを得るということですが、生産するには時間が必要ということです。預金より高いリターンが得られるのは、リスクプレミアムがあるということで、リスクプレミアムをため込むというのが投資。それには時間がかかるので長期投資が必要なんです。

  • ・分散投資は一定期間、一定金額でのリスクを下げることができます。銘柄数が多い方が、分散されているし、一企業に偏らない方がいい。金融商品を沢山持つ必要はなく、広く分散投資された商品に投資すればいい。よくある分散投資の誤解は、買うタイミングを分けた方がいいといった、時間やタイミングの分散効果についての議論ですが、それは気休めに過ぎません。積立投資に意味が無いということではなく、積立投資には貯蓄と相性が良いという特徴があります。

  • ・低コストというのは、運用商品の手数料が低いことが第一の基準です。私は0.5%ルールとよく言っているが、例えば100万円投資する場合は5万円以上手数料を払うようなものや、手数料が分からないものは避けた方がいいです。特に投資商品を購入する際に、運用の巧拙を評価することは難しいもので、多くの研究でも過去の実績と将来の運用リターンは関係ないことが指摘されています。このように将来の運用リターンを見通すことは難しい一方で、手数料の高い商品は低い商品と比べて、リターンの期待値が相対的に劣るので、手数料の低い投資信託がいいということですね。

  • ・個人資産運用の手順:個人は、予備費を別に持っておいて、最悪1/3くらい損してもいい金額を投資に回すのがいいです。投資利回り5%程度のものをいくら買うか考えればいい。若い人は、人的資本(将来稼ぐお金の価値の総和を現在価値に割り引く)が大きいので、ほとんどリスク資産で大丈夫だと思います。リスク資産は内外の株式のインデックスファンドにしましょう。よく外国株6:国内株4の割合を推奨しています。年金基金が使っている期待リターンで計算すると、このような比率になるんです。リスクを取らない資産は個人向け国債変動金利型10年と普通預金にするといい。普通預金はもったいないと思うかもしれないが、今は別の商品で持っていっても金利がほとんど付かないので、普通預金にお金を置く状態が大きな損ではありません。

  • ・運用資産の配置の仕方:では、その運用に回す資産をどこに置くべきでしょうか。これは、まずiDeCo、NISA、つみたてNISAといった税制面で有利な器を最大限に使うのが基本です。その際、そういった税制面で有利な器には、リスクを余り取らないバランスファンドや預金・保険ではなく、リスク資産を入れた方が合理的です。特につみたてNISAについては、手数料の高い商品が最初からある程度除外されていることから、運用商品の選択という点では優れた制度です。20年という税制メリットを最大限使うことが良いと考えます。また、iDeCoやDCは60歳まで引き出せないのは長期投資を行うにはメリットだが、やはり突然お金が必要になることもあるため、まずは引き出すこともできるつみたてNISAで運用を覚えていくのが良いですね。

(つみップオンライン要旨その2に続く)

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