金融庁担当者から金融商品を購入する際のポイント(案)とその狙いについて、説明しました。
・金融経済教育に関する経緯を簡単に振り返ると、2013年4月の「金融経済教育研究会報告書」において、金融経済教育の意義・目的が3つにまとめられたほか、生活スキルとして最低限身に付けるべき金融リテラシーの内容が整理されました。この報告書に沿って、「金融経済教育推進会議」が設置され、金融リテラシー・マップの策定や金融リテラシー調査の実施といった施策が行われてきました。
・金融リテラシー・マップは、小学生、中学生などの対象セグメント別に、身に付けるべき金融リテラシーの具体的な内容を整理したものです。金融庁では、このリテラシー・マップに沿って金融知識の普及に取り組んでいます。
・金融リテラシー調査は、金融広報中央委員会(事務局:日本銀行)が行っている3年に1度、18歳以上の個人の金融リテラシーの現状把握を目的とした調査であり、日本の金融リテラシーの現状を理解する上で重要な調査です。多くの項目のアンケート調査であり、単純に順位の議論をすることは適切ではありませんが、「複利」「インフレ」「分散投資」といった資産形成に関係の高い項目についての理解度は、他国対比でみて高いとはいえない状況になっています。さらに、株式、投資信託、外貨預金等の価格変動する金融商品の購入は、一部に留まっていること、またその商品性を十分理解していないまま購入する人が多いことなども明らかになっております。金融庁では、金融リテラシー向上についての一つの目標として、若年層を中心に、広く資産形成に関するリテラシーの促進を掲げています。
・関連して、金融庁では、金融機関における顧客本位の業務運営について取組みを進めていますが、金融機関の販売現場における課題も見受けられるところです。こうした事業者に対する議論と並行して、一般の利用者に対するアプローチを進めていくことも大事と考えています。
・そのため、金融庁として、金融商品購入時のポイントを整理しているところです。特に、つみたてNISAが開始されたこともあり、長期的視点に立って資産形成に取り組む個人が少しずつ増えていますが、次のステップに進むにあたって何をすればいいかわからない、といった声もあります。つみたてNISAでは、投資可能な金融商品が厳しく限定されていますが、その外には多くの選択肢が存在しています。多数の選択肢がある中で、悩んでいる方に対し、どういった情報を提供すれば、より賢く金融商品を選ぶことができるようになるか、が検討課題です。前述の金融リテラシー・マップにおいて関連のポイントが整理されているほか、海外の取組みでも参考になる事例がありますが、今回はそうしたものも参考にしながら、より日本の実情に合った実践的なものを作りたいと考えています。
・そこで、金融庁の担当課内で議論し、たたき台として金融商品購入時のポイント(案)を作成しました。具体的には、投資信託に限らず、幅広く金融商品購入時の金融サービスのポイントをまとめたものと、投資信託によりフォーカスをあてたものの二つです。より利用者に届くものとするため、利用者に近い有識者から意見を聞きたいと考え、今回の会を設けさせていただきました。役所の中だけで作ったものですので、至らぬ点や見落としているポイントもあると考えており、幅広くご意見頂ければと思います。
(以上)