つみップオンライン

つみップオンライン要旨その3

【パネルディスカッション】

司会

現状どういった投資をしていて、今回株式市場が下がった時にどの程度金融資産が減りましたか?

虫とり

国内外の株式を中心に、債券、REITのインデックスファンドの積立投資をしています。15年投資していて、自動積立して、ほぼほったらかしです。売買にかける時間は、1年間のうちに1時間もかけないくらいですね。いくら減ったかというと、直近のピークから3月中旬の下落までだと、年収以上減ってました。今は少し戻りましたが、まだまだマイナスです。

吊ら男

長期分散低コストということで、インデックスファンドにずっと投資しています。投資対象はほとんど株式で90%以上、日本株、先進国の株、新興国の株を3:4:3の割合でずっと買ってます。2007年に本格的に投資を開始しました。最近はコロナで外に出かけられなくなったので、その分投信を買ってます。直近のピークから最近の底までで損失額は1,400万円くらい。(どよめき)今年、テスラの電気自動車モデル3を買いたいなと思ってたら、モデル3が2台分ぶっとびました。投資の評価額は4,200万円くらいです。下がった時はあまり何も考えてないですね。積立投資を13、4年やっていると評価額を見るのも飽きてしまったので、見るのも買うのも忘れてしまうような状態です。減ってるけど、まあいいかというのが正直なところ。今は株式市場が少し戻ってきて1,400万円のうち半分、700万円くらいのマイナスでしょう。

司会

皆さん平常心を保って、投資を続けられていますが、なぜ平常心を保てるのでしょうか?

山崎

元々はファンドマネージャーとして投資をしていたので、相場が上がっていても下がっていても気が抜けません。個人としては、リストラされたり病気になったりというリスクも沢山あるんですから、お金の投資のリスクだけを取り出して考えるのはバランスがよくない。いつ上がるか下がるかは分からないので、コントロールできないことですよね。将来の稼ぎを生み出す人的資本と比較すると、持ってる金融資産はそれほどでもないので、お金が足りないならもっと稼ぐことに力を入れた方が遥かに建設的で有効だと思います。

虫とり

今となっては何とも思わないですが、2005年から投資を始めて最初の3年でリーマンショックを経験し、6割くらいマイナスになりました。当時、自分の金融資産をどこにどう置いておくかべきかを考えました。株式市場は上がったり下がったりしますが、長期のリターンはプラスであるだろうと考えました。企業は営業活動から利益が出て、債券も利子があり、REITも不動産からキャッシュフローがあると考えたからです。そうすると、金融資産の半分くらいは預貯金以外に置いた方が無難だと考えました。過去のデータを見ると、株式が3割くらい下がるという事は標準偏差(リスク)で見ると普通に起こりうる出来事です。なので、平常心です。

吊ら男

慣れはありますね。1点目は、リーマンショックで6割以上やられたのでその経験。2点目は人的資本、1,400万円減ったのは大きいが無くても困らないと考えています。投資を切り崩して生活していれば無くなってしまうと大変ですけど、投資には手を付けずに、日々の給与で生活しているので大丈夫です。投資が全額無くなっても、将来楽しむお金が多少減る程度と考えています。投資の中だけでリスクコントロールを考えない方がよくて、自分の人生全体で他にお金を作れる力を持った方がいい。会社をクビになっても翌月就職できるという力があれば、投資だけで困ることはないと思います。そういう意味で、投資に依存しない環境を作れていますね。3点目は、将来値上がりする可能性が高いと考えているからです。過去は将来を約束しないと言われますが、過去100年で見ると上がる時もあれば下がる時もあるんです。一時的に下がっても、将来的には復活していくだろうと信じています。それがあるので、そんなに不安になりませんね。

司会

積立投資の場合、金融商品の売却はどう考えるべきでしょうか?

吊ら男

そのお金を何のために増やしているか、何のために使うかによりますね。基本的には必要な時に崩すというのが大原則だと思います。会社を立ち上げるからでもいいし、老後で取り崩すというのでもいい。老後に取り崩すという場合は、毎月決まった金額を売却するとか、旅行に行くときに必要額を取り崩すというのも考えられます。取り崩すまで金融商品に投資しておけば、一時的に減ることもありますが、基本増えていくだろうと思いますしね。

虫とり

つみたてNISAは20年だから、20年経ったら売却しないといけないという誤解もありますね。つみたてNISAが終わっても、一般の課税口座に移して継続して投資ができます。ある程度の資産はリスク資産に置いておくと自分で決めているのであれば、取り崩す必要がなければ売る必要はないと思います。

吊ら男

なので、タイミングを図って、無理して高値、安値の判断をする必要はないと思いますね。

山崎

一般論として、いつ売るのかと聞かれることは多々あります。必要な時に売る、部分的に売ってもいいというのが大事です。いくらで買ったかは過去の話なので、判断材料にしないというのが大原則。趣味で個別株投資をしているのであれば、企業収益よりも株価が高く割高になったものとか、企業収益が予想より小さくなったので売るというのも、十分あってよいですが、資産形成という事でいえば、70歳、80歳になるまでずっと持っていて、部分的に売るという形になるのだと思います。銀行口座、証券口座、iDeCo、つみたてNISAなど様々な口座を持っている場合は、つみたてNISAが最も売るともったいない口座です。それは、つみたてNISAは売ってしまうと非課税枠が復活しないからです。iDeCoの場合は、口座内でスイッチングできるので、あまりお勧めはしませんが口座内で投資信託を売って預金商品を買うこともできる。

司会

つみたてNISAで最も注意すべきことは何ですか?

山崎

途中でやめないことですかね。途中でやめるともったいない。途中で売却できるのは、iDeCoに対するつみたてNISAのメリットではありますが。リーマンショックの時、投資をやめてしまう人が続出しました。投資をやめた人はマイナスが抑制できたと言いますが、その後も投資を再開していない場合が多く、市場回復局面が取れませんでした。リーマンショックの前の時点よりも株価はその後高くなったので、もったいないことをしましたね。投資を継続することが大事です。

虫とり

同じく、ビビってやめてしまうのが最も避けたいことですね。今回の市場下落局面でピークと比べると3割マイナスになったと言いましたが、今までずっと投資を続けてきたんで、投資元本に対してはまだまだ黒字になっています。ここから3割下がってもまだプラスでしょう。リーマンの時もルール通りリバランスしたので、今回のような局面になってもマイナスにならないというのは、皆さんに発信したいと思っていました。

吊ら男

つみたてNISAは20年と長いので、最近投資をした場合は少し下がってしまったかもしれないが、まだスタート地点です。リーマンショックでも直後は高値で買ったと感じたかもしれないが、その後大きく上昇したので、一喜一憂しない方がいいですね。

司会

投資を行うにあたって、試行錯誤をするのは避けられないと思います。ただ、あまり大きな失敗をしないで試行錯誤することは出来るのでしょうか?

山崎

それはつみたてNISAで始めることですね。投資金額が少しずつしか増えていかないので、最初は市場下落局面が来ても被害が大きくないです。金額が増えた頃には、それまでの経験でドキドキを抑えられる。つみたてNISAは金融庁が用意した失敗しにくい投資教育教材だと、よく言っています。更につみたてNISAではダメな商品を相当除外してあり、商品選択でも失敗しにくくなっている。途中でやめると損だから、長期投資が実行しやすいという点もある。対象の商品はインデックスファンドがメインであり、特にそれらは分散投資にもなっている。積立投資も精神的に続けやすい仕組みです。投資金額や投資知識が万全になってからいきなりウォーレンバフェットを目指して完璧な運用を始めるよりも、試行錯誤をしながら始められるのがいいと思います。

虫とり

仮想通貨やFXや個別株とかに興味を持つ人もいるかもしれませんが、それらの分野は自分で勉強してもらって、コアとなる部分はつみたてNISAを活用するのがいいと思います。

吊ら男

つみたてNISAに加えて、確定拠出年金を利用するのもいいと思う。投資する金額が毎月限られているので、投資を実行しながら投資の値動きの体験をすることができます。

司会

企業に入ると確定拠出年金に加入する方も多いと思いますが、そこで気を付ける点はありますか?

吊ら男

企業型の確定拠出年金に実際加入しています。老後まで下せないので、途中で売り抜けることができない。売買も機動的にできないので、40年後に上がっているところ(株式)に入れておくのがいいのでは。

山崎

確定拠出年金の内情についてお話しすると、商品ラインナップの中に手数料が高いものが入っている場合があります。それらを避けて、外国株のインデックスファンドを選ぶか、日本株のインデックスファンドと組み合わせるか、どちらかがいいでしょう。自身の運用資産全体で考えると期待リターンの高い資産を置いておくべきなので、インデックスファンド一択かな。

虫とり

海外株式のインデックスファンドに投資をすればいいのでは。昨年、確定拠出年金でずっとマイナスのままという人がいましたが、リーマンショックでびっくりして預金に変えて、そのまま忘れていた人でした。途中で預金に代えずに投資を継続していたら、かなりのプラスになっていたはずですね。

司会

最後に、投資を始めたばかりの人やこれから始めようという人に、どうやって勉強したらいいかアドバイスをお願いします。

虫とり

山崎元さんの本を1つ読む(笑)。ウェブサイトは金融庁NISA特設サイトの『教えて虫とり先生』を読む。宣伝は置いておいて、あまり最初から完璧を目指して絶対損しないようにやろうとしないで、「そこそこ」という気持ちが大事だと思う。自分は筋トレをずっとやっていたが、筋トレも真面目にやりすぎて途中で疲れてやめちゃう人は、適当だけどずっと続けている人に勝てないんですよね。ゆるく続けられるスタンスが良いと思う。

吊ら男

あまり頭でっかちにならない方がいい。サッカーの理論をいくら勉強しても、サッカーはうまくならない。実際に取り組みながら、理論をアップデートしていくのがいい。あと、うまくいっても運で儲かっているだけということもあるので、自分の理論は半分正しいくらいで考えておいた方がいいが無難ですね。

山崎

実践するという意味では、まずはつみたてNISAか、つみたてNISA的な投資をするのがいいと思いますが、もう一つ言うと、実際に損したり得したりして、マーケットに興味を持つことが重要です。日経平均、ニューヨークダウ、為替レート、米国10年債金利を毎日見た方がいいでしょう。日経平均が上がって、円高になったがなぜか、明日はどうなるか10秒でも毎日考えてみる。頭に経済を考えるスイッチが入る。色んな記事を読むと経済と連動させて考える軸ができる。筋肉のトレーニングと同じように、マーケットを考える筋肉がつきますよ。

(終了)

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